「先生を尊敬している」
「先生に敬意を払う」
「尊敬」と「敬意」は、どちらも相手を敬う気持ちに関係するため、意味がよく似ています。
そのため、
「尊敬することと敬意を持つことは同じ?」
「敬意を払うとはどういう意味?」
「尊敬は人に、敬意は行動に使う?」
「尊敬していない相手にも敬意を払える?」
「尊敬語は、尊敬している人にだけ使うもの?」
「尊重・敬愛・敬服とは何が違う?」
と迷うことがあります。
簡単にいうと、「尊敬」は、相手の人格・考え方・能力・行動などを優れたものとして認め、敬うことです。一方、「敬意」は、相手を敬い、大切に扱おうとする気持ちそのものを表します。
たとえば、
「私は祖父を尊敬している」
なら、祖父の人柄・生き方・行動などに価値を認め、敬っています。
一方、
「長年地域に貢献してきた人々に敬意を表する」
なら、その功績や努力を重んじる気持ちを言葉・態度として示しています。
一言で覚えるなら、
尊敬=「この人・行いは立派だ」と認めて敬う
敬意=「敬う気持ち」そのもの
です。
ただし、両者には大きく重なる部分があります。
実際、辞書では「敬意」を「尊敬する気持ち」と説明しています。
そのため、すべての場面で厳密に二分できるわけではありません。
実用上は、相手を高く評価して敬うことを述べたいなら「尊敬」、敬う気持ちや、それを示す態度・表現に焦点を当てるなら「敬意」と考えると使い分けやすいでしょう。
この記事では、「尊敬」と「敬意」の基本的な違いから、「尊敬する」「敬意を払う」「敬意を表する」「尊敬の念」「尊敬語」、さらに「尊重」「敬愛」「敬服」「畏敬」との違いまで詳しく解説します。
- 「尊敬」と「敬意」の違い【結論】
- 「尊敬」とは?
- 「尊敬する」は人に対してよく使う
- 人だけでなく行動・姿勢なども尊敬の理由になる
- 「尊敬の念」とは?
- 「尊敬を集める」とは?
- 「敬意」とは?
- 「敬意を払う」とは?
- 「敬意を表す」とは?
- 「敬意を表す」と「敬意を表する」はどちら?
- 「尊敬」と「敬意」の決定的な違い
- 「尊敬していない人にも敬意を払う」は矛盾?
- 「尊敬する人」と「敬意を払う人」の違い
- 「努力を尊敬する」と「努力に敬意を表する」の違い
- 「尊敬の気持ち」と「敬意」はほぼ同じ?
- 「尊敬語」と「敬意」の関係
- 尊敬していない上司にも尊敬語を使う?
- 「敬意」と「敬語」の違い
- 「尊敬」と「尊重」の違い
- 「敬意」と「尊重」の違い
- 「尊敬」と「敬愛」の違い
- 「尊敬」と「敬服」の違い
- 「尊敬」と「畏敬」の違い
- 「敬意」と「謝意」の違い
- ビジネスで「尊敬しています」は使える?
- 「敬意を払う」は目上の人だけ?
- 「尊敬・敬意」で迷ったときの3秒判定
- 「尊敬」を使った例文
- 「敬意」を使った例文
- 具体例で比較:恩師
- 具体例で比較:職場
- 具体例で比較:スポーツ
- 具体例で比較:意見の対立
- よくある間違い1:「尊敬」と「敬意」は完全な同義語だと思う
- よくある間違い2:「敬意を持つには相手を尊敬していなければならない」と考える
- よくある間違い3:「尊敬語は尊敬している人にだけ使う」と考える
- よくある間違い4:「敬意を払う=相手に同意する」と考える
- よくある間違い5:「尊敬を払う」と書く
- よくある間違い6:「敬意する」と書く
- 「尊敬」と「敬意」に関するよくある質問
- まとめ
- 参考資料・出典
「尊敬」と「敬意」の違い【結論】
| 比較項目 | 尊敬 | 敬意 |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | 相手の人格・思想・行為などを優れたものとして尊び敬うこと | 相手を敬う気持ち |
| 重点 | 相手への評価と敬い | 敬う気持ち・態度 |
| 代表的な形 | 人を尊敬する | 人に敬意を払う |
| よく使う表現 | 尊敬する、尊敬を集める、尊敬の念 | 敬意を払う、敬意を表す、敬意を込める |
| 個人的な高い評価 | 特に表しやすい | 必ずしも必要ではない |
| 社会的・儀礼的な場面 | 使える | 特に使いやすい |
3秒で判断するなら、
「その人・行いを立派だと思い敬っている?」 → 尊敬
「相手を敬う気持ちや態度を示している?」 → 敬意
と考えると分かりやすいでしょう。
「尊敬」とは?
相手を優れたものとして認め、尊び敬うこと
「尊敬(そんけい)」とは、辞書では、
他人の人格・思想・行為などを優れたものとして尊び敬うこと
と説明されています。
たとえば、
- 父を尊敬する
- 恩師を尊敬する
- 尊敬する人物
- 彼の生き方を尊敬している
- 多くの人から尊敬を集める
などと使います。
「尊敬」には、単に丁寧に扱うだけではなく、
「この人は立派だ」
「この人の考え方や行動は優れている」
という評価が含まれやすいのが特徴です。
「尊敬する」は人に対してよく使う
「尊敬」は、
「人を尊敬する」
という形で非常によく使います。
たとえば、
「私は父を尊敬しています。」
「学生時代の恩師を今でも尊敬している。」
などです。
相手の人格・考え方・能力・実績・生き方などに価値を認めていることを表します。
人だけでなく行動・姿勢なども尊敬の理由になる
「尊敬」は人物全体だけを評価する言葉ではありません。
たとえば、
「困っている人を助け続ける彼の姿勢を尊敬している。」
と表現できます。
この場合、特定の行動・姿勢を立派なものとして認め、その人を敬っています。
辞書でも「人格・思想・行為など」が尊敬の対象として示されています。
「尊敬の念」とは?
「尊敬」は、
「尊敬の念」
という形でもよく使います。
「念」は心に抱く思いを表すため、
「尊敬の念を抱く」
とは、相手を尊び敬う気持ちを心に持つという意味です。
たとえば、
「長年研究を続けてきた博士に尊敬の念を抱く。」
と使います。
「尊敬を集める」とは?
多くの人から敬われる場合には、
「尊敬を集める」
と表現できます。
たとえば、
「彼は誠実な仕事ぶりによって、周囲から尊敬を集めている。」
です。
人柄・行動・実績などが高く評価されていることを表します。
「敬意」とは?
相手を敬う気持ち
「敬意(けいい)」とは、辞書では、
相手を尊敬する気持ち・敬う心
と説明されています。
たとえば、
- 敬意を払う
- 敬意を表す
- 敬意を表する
- 敬意を込める
- 敬意を抱く
- 敬意を示す
などと使います。
「尊敬」が「人を尊敬する」という動作として使いやすいのに対し、「敬意」は相手を敬う気持ちそのものを名詞として表すことが多い言葉です。
「敬意を払う」とは?
代表的な表現が、
「敬意を払う」
です。
これは、
相手を敬う気持ちを持ち、それにふさわしい態度で接する
という意味です。
たとえば、
「異なる意見を持つ相手にも敬意を払う。」
「先人の功績に敬意を払う。」
などと使えます。
「払う」といっても、お金を支払うという意味ではありません。
相手へ注意・配慮・尊重する気持ちを向けるという表現です。
「敬意を表す」とは?
「敬意を表す」
とは、敬う気持ちを言葉・態度・行動などによって外へ示すことです。
たとえば、
「長年の功績に敬意を表します。」
という表現です。
宮内庁の式典でのおことばなどでも、長年の努力や貢献について、
「深く敬意を表します」
という表現が使われています。
特に式辞・挨拶・表彰など、改まった場面と相性のよい言葉です。
「敬意を表す」と「敬意を表する」はどちら?
どちらも使われる表現です。
「敬意を表す」
は比較的一般的です。
「敬意を表する」
は、式辞・公的文章などで使われる、より改まった言い方です。
たとえば、
「長年のご尽力に心から敬意を表します。」
「関係者の努力に深い敬意を表する。」
のどちらも自然です。
「尊敬」と「敬意」の決定的な違い
違い1:相手を高く評価しているか、敬う気持ちそのものか
「尊敬」は、相手の人格・思想・行為などを優れたものとして認める意味を持ちます。
一方、「敬意」は、その相手を敬う気持ちそのものです。
たとえば、
「彼の誠実な人柄を尊敬している。」
では、相手への高い評価が明確です。
一方、
「相手の立場に敬意を払い、丁寧に話す。」
なら、必ずしも相手の人格・能力全体を高く評価していることまで意味しません。
違い2:敬意は「個人的な尊敬」より広く使える
文化庁は、敬語について説明する中で、重要な点を示しています。
敬意は、必ずしも、
「その人を個人的に尊敬している気持ち」
だけではありません。
その人の、
- 立場
- 存在
- 役割
- 相手との関係
などを尊重することも、敬意の表れになり得るとされています。
つまり、
「個人的には尊敬していない相手にも、社会的・対人的な敬意を持って接する」
ことはあり得ます。
ここが、「尊敬」と「敬意」を理解するうえで非常に重要なポイントです。
違い3:よく組み合わせる動詞が違う
実際の文章では、定着した組み合わせにも違いがあります。
| 尊敬 | 敬意 |
|---|---|
| 人を尊敬する | 人に敬意を払う |
| 尊敬の念を抱く | 敬意を表す |
| 尊敬を集める | 敬意を示す |
| 尊敬される | 敬意を込める |
「敬意する」とは通常いいません。
また、相手を敬うという意味で、
「尊敬を払う」
とするのも一般的ではありません。
尊敬する
敬意を払う
をセットで覚えるとよいでしょう。
「尊敬していない人にも敬意を払う」は矛盾?
矛盾とは限りません。
これは「尊敬」と「敬意」の違いがよく分かる例です。
文化庁は敬語の解説で、敬意は必ずしも個人的な尊敬の気持ちだけではなく、相手の社会的な立場や存在を尊重することも含み得ると説明しています。
たとえば、仕事で意見の合わない相手がいたとします。
その人の考え方を「素晴らしい」と思っていなくても、
相手の人格を傷つけない
話を最後まで聞く
礼儀ある言葉で話す
といった態度を取ることはできます。
これは、相手への「敬意」と考えることができます。
「尊敬する人」と「敬意を払う人」の違い
「尊敬する人」
とは、自分がその人物の人格・行動・能力などを高く評価している人です。
たとえば、
「最も尊敬する人物は祖父です。」
と使います。
一方、
「敬意を払う相手」
は、自分が相手を大切に扱い、礼儀ある態度を取るべき相手という意味でも使えます。
その相手が必ずしも「人生の手本にしたい人物」である必要はありません。
「努力を尊敬する」と「努力に敬意を表する」の違い
たとえば、長年一つの活動を続けている人がいるとします。
「その努力を尊敬する。」
という表現は意味を理解できますが、通常は、
「努力を続ける彼を尊敬する。」
「その姿勢を尊敬する。」
など、人や姿勢を中心に表現すると自然です。
一方、
「長年にわたる努力に敬意を表する。」
は非常に自然です。
功績・努力・貢献などに対し、敬う気持ちを示す場面では「敬意」が使いやすいでしょう。
「尊敬の気持ち」と「敬意」はほぼ同じ?
かなり近い意味です。
辞書でも「敬意」は、
「尊敬する気持ち」
と説明されています。
そのため、
「先生への尊敬の気持ちを表す」
と、
「先生への敬意を表す」
は近い意味になります。
ただし、「敬意」の方が短く、改まった文章にも使いやすい表現です。
「尊敬語」と「敬意」の関係
「尊敬」という言葉を見ると、
「尊敬語は、尊敬している人だけに使うのか?」
という疑問が生まれます。
しかし、そうとは限りません。
文化庁の「敬語の指針」に基づく解説では、尊敬語は、
相手側または第三者の行為・ものごと・状態などについて、その人物を立てて述べるもの
と説明されています。
たとえば、
- いらっしゃる
- おっしゃる
- なさる
- 召し上がる
- お読みになる
などです。
つまり、「尊敬語」という名称だからといって、話し手がその人物を心の底から個人的に尊敬していることが使用条件ではありません。
尊敬していない上司にも尊敬語を使う?
文化庁は、この点について明確に説明しています。
敬語は敬意に基づいて選ばれる言葉ですが、その「敬意」は個人的な尊敬だけではありません。
相手の社会的立場・存在や、その場の人間関係を尊重して敬語を使うこともできます。
したがって、
「個人的に尊敬しているかどうか」
と、
「その場で敬語を使うべきかどうか」
は別の問題です。
「尊敬語」という名称だけから判断しないようにしましょう。
「敬意」と「敬語」の違い
敬意は、相手を敬う気持ちです。
敬語は、その敬意や人間関係などを言葉遣いによって表す仕組みです。
文化庁は、敬語だけでなく、場面や相手への配慮なども含めて、より広く、
「敬意表現」
という考え方を示しています。
つまり、相手への敬意は、敬語だけで表すものではありません。
- 相手の話を遮らず聞く
- 相手の考えを頭ごなしに否定しない
- 丁寧な言葉を選ぶ
- 相手の名前・肩書を適切に扱う
- 功績を認める
といった態度・行動も、広い意味で敬意の表現になり得ます。
「尊敬」と「尊重」の違い
「尊敬」と特に混同しやすい言葉が、
「尊重(そんちょう)」
です。
「尊重」は、辞書では、
価値あるもの・尊いものとして大切に扱うこと
と説明されています。
たとえば、
- 本人の意思を尊重する
- 人権を尊重する
- 相手の意見を尊重する
- 個人の自由を尊重する
などです。
違いを簡単に整理すると、
尊敬=相手を立派だと認め、敬う
尊重=相手・権利・考えなどを大切なものとして扱う
です。
相手の意見に賛成できなくても、その人が意見を述べる権利を「尊重」することはできます。
「敬意」と「尊重」の違い
こちらも意味が近い言葉です。
敬意は、敬う気持ちです。
尊重は、価値のあるものとして大切に扱うことです。
たとえば、
「相手に敬意を払う。」
なら、相手を敬う気持ち・態度に焦点があります。
「相手の意見を尊重する。」
なら、その意見を大切に扱い、むやみに否定しないことに焦点があります。
「尊敬」と「敬愛」の違い
「敬愛(けいあい)」は、
尊敬するとともに、親しみ・愛情を持つこと
です。
たとえば、
「敬愛する恩師」
と表現できます。
「尊敬」だけでなく、相手への親しみ・愛情まで含まれているのが特徴です。
| 尊敬 | 敬愛 |
|---|---|
| 相手を尊び敬う | 尊敬し、さらに親しみ・愛情を持つ |
| 尊敬する先生 | 敬愛する恩師 |
「尊敬」と「敬服」の違い
「敬服(けいふく)」は、辞書では、
感心して尊敬の念を抱くこと
と説明されています。
たとえば、
「彼の研究熱心な姿勢には敬服する。」
です。
「尊敬」よりも、
「すごい」「見事だ」と感心させられた結果、敬う気持ちを抱く
というニュアンスが強くなります。
「頭が下がる」という慣用句も、「敬服する」という意味で使われます。
「尊敬」と「畏敬」の違い
「畏敬(いけい)」とは、
偉大な人・崇高なものなどを、おそれうやまうこと
です。
たとえば、
「大自然に畏敬の念を抱く。」
と使います。
通常の「尊敬」に比べて、
圧倒されるような偉大さや、おそれの感情
が含まれます。
| 言葉 | 中心的な意味 |
|---|---|
| 尊敬 | 優れた人・行為などを尊び敬う |
| 敬意 | 相手を敬う気持ち |
| 尊重 | 価値あるものとして大切に扱う |
| 敬愛 | 尊敬し、親しみ・愛情も持つ |
| 敬服 | 感心して尊敬する |
| 畏敬 | 偉大さにおそれを感じながら敬う |
「敬意」と「謝意」の違い
「敬意」と音・形が似ている言葉に、
「謝意(しゃい)」
があります。
意味は異なります。
敬意=相手を敬う気持ち
謝意=感謝または謝罪の気持ち
です。
公的な式辞などでは、
「敬意と謝意を表する」
という表現も使われます。
この場合、
敬意=ご尽力を敬う気持ち
謝意=それに対する感謝
をそれぞれ示しています。
ビジネスで「尊敬しています」は使える?
使えます。
ただし、相手に直接、
「尊敬しています」
と伝えると、かなり個人的で強い評価の言葉になります。
相手の具体的な行動・実績を褒める場面では、
「長年にわたるご尽力に敬意を表します。」
「その姿勢には深く敬服しております。」
などとすると、改まった文章に適した表現になります。
ただし、「敬意」の方が必ず丁寧、「尊敬」が失礼という意味ではありません。
伝えたい内容の違いです。
「敬意を払う」は目上の人だけ?
いいえ。
敬意は、上下関係だけに使う言葉ではありません。
同僚・部下・年下の人・考えの異なる相手などにも敬意を払うことはできます。
文化庁の敬語に関する考え方でも、現代の敬語では、必要以上に上下関係を強調するのではなく、
「相互尊重」
を基本とすることが重要だと説明されています。
したがって、
「敬意=目上の人だけに向けるもの」
とは考えない方がよいでしょう。
「尊敬・敬意」で迷ったときの3秒判定
| こんな場合 | 選びやすい言葉 |
|---|---|
| 父の生き方を立派だと思う | 尊敬 |
| 恩師を人生の手本だと思う | 尊敬 |
| 優れた人格・行動を敬う | 尊敬 |
| 相手に礼を尽くす | 敬意 |
| 長年の功績をたたえる | 敬意 |
| 相手の立場を尊重して接する | 敬意 |
| 式典で功労者をたたえる | 敬意を表す |
| 相手を心から立派だと思う | 尊敬する |
最も簡単に覚えるなら、
尊敬=「立派だと思って敬う」
敬意=「敬う気持ちを持つ・示す」
です。
「尊敬」を使った例文
- 私は父を心から尊敬している。
- 彼女の仕事に対する姿勢を尊敬している。
- 学生時代の恩師は、今でも尊敬する人物だ。
- 彼は誠実な人柄で多くの人から尊敬されている。
- 長年研究を続ける姿に尊敬の念を抱いた。
- 人のために行動できる彼を尊敬している。
「敬意」を使った例文
- 長年のご尽力に敬意を表します。
- 考えの異なる相手にも敬意を払う。
- 先人の功績に敬意を表する。
- 相手への敬意を忘れずに話し合う。
- 地域を支えてきた人々に敬意を込めて拍手を送った。
- 互いに敬意を持って接することが大切だ。
具体例で比較:恩師
学生時代の先生について、
「先生の生き方を尊敬しています。」
なら、その先生の人格・生き方を優れたものとして評価しています。
一方、
「先生の長年の教育活動に敬意を表します。」
なら、その功績を敬う気持ちを言葉として示しています。
尊敬=自分が抱く評価・敬い
敬意=敬う気持ちと、その表明
という違いが分かります。
具体例で比較:職場
上司について、
「部下を守る姿勢を尊敬している。」
なら、その人物の姿勢を高く評価しています。
一方、意見が一致しない同僚についても、
「相手の意見に敬意を払いながら議論する。」
ことはできます。
相手の意見を「素晴らしい」と評価している必要はありません。
相手の人格・発言する権利などを尊重し、礼儀を持って接しているからです。
具体例で比較:スポーツ
優れた選手について、
「努力を続ける姿勢を尊敬している。」
と言えます。
また、試合の対戦相手について、
「相手チームに敬意を払って全力で戦う。」
と表現できます。
対戦相手を個人的な人生の手本として尊敬していなくても、競技者として敬意を持つことはできます。
具体例で比較:意見の対立
会議で相手の提案に反対しているとします。
反対だからといって、敬意まで失う必要はありません。
「意見には反対だが、相手には敬意を払って議論する。」
という表現ができます。
「敬意」は、同意・賞賛と同じ意味ではないことが分かります。
よくある間違い1:「尊敬」と「敬意」は完全な同義語だと思う
意味は大きく重なりますが、使い方には違いがあります。
尊敬は、人の人格・思想・行為などを優れたものとして敬うこと。
敬意は、相手を敬う気持ちです。
そのため、よく使う組み合わせも「尊敬する」「敬意を払う」のように異なります。
よくある間違い2:「敬意を持つには相手を尊敬していなければならない」と考える
必ずしもそうではありません。
文化庁も、敬意は個人的な尊敬の気持ちだけではなく、相手の社会的な立場・存在を尊重することも含み得ると説明しています。
人として丁寧に接することと、その人を個人的に高く評価することは別です。
よくある間違い3:「尊敬語は尊敬している人にだけ使う」と考える
これも正確ではありません。
尊敬語は、相手側や第三者の行為・状態などについて、その人物を立てて述べる敬語です。
個人的にその相手を「立派な人だ」と評価していることが使用条件ではありません。
よくある間違い4:「敬意を払う=相手に同意する」と考える
敬意と同意は別です。
たとえば、
「相手の主張には反対だが、相手には敬意を払う。」
という態度は成立します。
意見が違っても、相手を人として大切に扱い、礼儀ある態度で接することはできます。
よくある間違い5:「尊敬を払う」と書く
一般には、
「敬意を払う」
と表現します。
「尊敬」なら、
「尊敬する」
「尊敬の念を抱く」
などが自然です。
よくある間違い6:「敬意する」と書く
「尊敬」は、
「尊敬する」
と動詞として使えます。
一方、「敬意」は通常、
敬意を払う
敬意を表す
敬意を示す
敬意を抱く
などと使います。
「相手を敬意する」
とは通常いいません。
「尊敬」と「敬意」に関するよくある質問
Q1. 「尊敬」と「敬意」は同じ意味ですか?
意味は大きく重なります。
ただし、「尊敬」は相手の人格・思想・行為などを優れたものとして敬うこと、「敬意」は相手を敬う気持ちそのものを表します。
Q2. 「尊敬する」と「敬意を払う」は何が違いますか?
「尊敬する」は、その人・行動を立派だと認めて敬うことです。
「敬意を払う」は、相手を敬う気持ちを持ち、それにふさわしい態度で接することを表します。
Q3. 尊敬していない人にも敬意を払えますか?
はい。
文化庁も、敬意には個人的な尊敬だけでなく、相手の社会的な立場や存在を尊重することも含まれ得ると説明しています。
Q4. 「敬意を表す」と「敬意を払う」の違いは?
「敬意を表す」は、敬う気持ちを言葉・態度などで外に示すことです。
「敬意を払う」は、相手を敬う気持ちを持って接することを表します。
Q5. 「敬意を表す」と「敬意を表する」はどちらが正しいですか?
どちらも使えます。
「表する」の方が改まった文章・式辞などで使われやすい表現です。
Q6. 尊敬語は尊敬する人にだけ使うものですか?
いいえ。
尊敬語は相手側・第三者の行為や状態などについて、その人物を立てて述べる敬語です。
個人的に尊敬していることが使用条件ではありません。
Q7. 「尊敬」と「尊重」は何が違いますか?
「尊敬」は相手を立派だと認めて敬うこと、「尊重」は人・意見・権利などを価値あるものとして大切に扱うことです。
Q8. 「尊敬」と「敬愛」は何が違いますか?
「敬愛」は尊敬に加えて、親しみ・愛情を持つ意味があります。
Q9. 「尊敬」と「敬服」は何が違いますか?
「敬服」は、相手の行為・能力などに感心した結果、尊敬の念を抱くことです。
Q10. 迷ったときの簡単な見分け方は?
「その人・行動を立派だと思って敬う?」 → 尊敬
「相手を敬う気持ち・態度を表したい?」 → 敬意
と考えてください。
まとめ
「尊敬」と「敬意」は、どちらも相手を敬うことに関係する言葉で、意味は大きく重なっています。
しかし、重点には違いがあります。
| 尊敬 | 敬意 |
|---|---|
| 相手の人格・思想・行為などを優れたものとして敬う | 相手を敬う気持ち |
| 相手への評価を含みやすい | 気持ち・態度に重点 |
| 父を尊敬する | 相手に敬意を払う |
| 尊敬する人物 | 敬意を表す |
| 尊敬の念を抱く | 敬意を示す |
| 尊敬を集める | 敬意を込める |
最も簡単な覚え方は、
尊敬=「立派だと思って敬う」
敬意=「敬う気持ちを持つ・示す」
です。
たとえば、
「私は恩師を尊敬している」
なら、恩師の人格・考え方・行動などを高く評価しています。
一方、
「恩師の長年の教育活動に敬意を表する」
なら、その功績を敬う気持ちを外へ示しています。
また、「敬意」は個人的な尊敬より広く使える点も重要です。
自分とは意見の異なる相手でも、
相手の存在・人格・立場を大切に扱い、敬意を持って接する
ことはできます。
文化庁も、敬意は必ずしも個人的な尊敬の気持ちだけではなく、相手の社会的な立場を尊重することも含み得ると説明しています。
したがって、文章で迷った場合は、
「その人物・行動を優れたものとして高く評価していることを言いたいのか」
「相手を敬い、大切に扱う気持ち・態度を言いたいのか」
を確認してください。
前者なら「尊敬」、後者なら「敬意」が使いやすいでしょう。
参考資料・出典
本記事は、以下の辞書・文化庁・公的機関等の資料を参照し、内容を整理したうえで作成しています。
-
コトバンク「尊敬」
― 他人の人格・思想・行為などを優れたものとして尊び敬うという「尊敬」の基本的な意味 -
コトバンク「敬意」
― 尊敬する気持ち・相手を敬う心という「敬意」の意味。「敬意を表する」「敬意を払う」などの用例 -
文化庁「敬語おもしろ相談室―第一話『敬語の心得』理解度チェックの解答」
― 敬意は必ずしも個人的な尊敬だけではなく、相手の社会的立場・存在を尊重することも含み得るという公式な解説 -
文化庁「敬語おもしろ相談室―第二話『敬語の基本』」
― 尊敬語を、相手側・第三者の行為・ものごと・状態などについて、その人物を立てて述べるものとして説明 -
文化庁「現代における敬意表現の在り方」
― 敬語だけでなく、相手や場面への様々な配慮を含めた「敬意表現」という考え方についての資料 -
コトバンク「尊重」
― 価値のあるもの・尊いものとして大切に扱うという「尊重」の意味 -
コトバンク「敬愛」
― 尊敬し、さらに親しみの気持ちを持つという「敬愛」の意味 -
コトバンク「敬服」
― 感心して尊敬の念を抱くという「敬服」の意味 -
コトバンク「畏敬」
― 偉大な人物・崇高なものなどを、おそれうやまうという「畏敬」の意味 -
宮内庁「主な式典におけるおことば」
― 功績・努力について「深く敬意を表します」とする、公的・改まった場面での「敬意」の使用例
※「尊敬」と「敬意」は意味が大きく重なります。本記事の区別は、辞書上の意味と文化庁の敬意表現に関する考え方を踏まえた、現代日本語での実用的な目安です。
※「尊敬語」という名称であっても、話し手がその相手を個人的に尊敬していることが使用条件ではありません。敬語は人間関係・場面・相手への敬意などを踏まえて使われます。
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