会社の組織図や人事制度の説明で、「各部署の職掌を明確にする」「職掌に応じて業務を割り振る」といった表現を見かけることがあります。
しかし、「職掌」と聞いても、職務や職責、所掌との違いがはっきりしない方は多いのではないでしょうか。
職掌(しょくしょう)とは、基本的には、その人や組織が担当している仕事・職務のことです。また、人事管理の専門的な文脈では、類似する仕事を大きな種類や系統にまとめた「職務の分類」を意味することもあります。
さらに、歴史的な文献では「しきしょう」と読み、昔の官人や神社の職員などを指す別の意味があります。
この記事では、まず現代の仕事で使う意味をわかりやすく説明し、具体例や自然な例文を交えながら、「所掌・職務・職責・職位・職務分掌」との違い、人事制度での用法、読み方の注意点まで整理します。
- 「職掌」とは?意味をわかりやすく解説
- 「職掌」の読み方は?「しょくしょう」と「しきしょう」の違い
- 「職掌」の使い方とよくある表現
- 職掌の具体例を部署別に紹介
- 「職掌」と「所掌」の違いは?
- 「職掌」と「職務・職責・職位・職権」の違い
- 「職掌」と「職務分掌・業務分掌」の違い
- 人事制度における「職掌」とは?職種や等級との違い
- 職掌を明確にするメリットと実務上の注意点
- 職掌の範囲を整理するときの5つの手順
- 「職掌」を使ったビジネス例文
- 職掌を使った社内メールの例文
- 「職掌」のよくある誤解と使い方の注意点
- 歴史上の「職掌(しきしょう)」とは?
- 「職掌」に関するよくある質問(FAQ)
- Q1. 職掌とは簡単に言うと何ですか?
- Q2. 職掌の読み方は「しょくしょう」で合っていますか?
- Q3. 職掌と所掌の違いは何ですか?
- Q4. 職掌と職務は同じ意味ですか?
- Q5. 職掌と職責はどう違いますか?
- Q6. 職掌と職位はどう違いますか?
- Q7. 「職掌に属する」はどんな意味ですか?
- Q8. 「職掌外」とはどういう意味ですか?
- Q9. 「職掌を果たす」と言ってもよいですか?
- Q10. 「職掌」と「職種」は何が違いますか?
- Q11. 「事務職掌」「技術職掌」とは何ですか?
- Q12. 職掌と業務分掌は同じ意味ですか?
- Q13. 一般社員にも職掌はありますか?
- Q14. 履歴書に「職掌」と書くべきですか?
- Q15. 職掌を英語で表すと何ですか?
- まとめ|職掌は「担当する仕事」、人事では「仕事の大きな分類」
- 参考リンク
「職掌」とは?意味をわかりやすく解説
基本の意味は「担当している仕事・職務」
「職掌」の一般的な意味は、その職についている人などが受け持つ仕事や役目です。小学館『デジタル大辞泉』でも、担当する仕事や職務を表す言葉として説明されています。
たとえば、会社の品質保証部門が品質に関する規程の管理や不具合の原因調査を担っているなら、その担当業務を「品質保証部門の職掌」と表現できます。
また、総務課長の職掌について尋ねられた場合は、一般的に「総務課長として何を担当するのか」を確認していると考えられます。ただし、具体的な担当範囲は会社の組織規程や役職ごとの取り決めによって異なります。
- 営業部の職掌を明確にする。
- この事務が誰の職掌に属するのか確認する。
- 担当部署の職掌を見直し、仕事の重複を減らす。
このように、職掌は単に「仕事がある」ということではなく、誰がどの仕事を受け持つかを示す場面で役立ちます。
人事制度では「仕事の大きな分類」を意味することもある
「職掌」は人事管理の専門用語として、少し異なる意味でも使われます。
この場合は、一つひとつの仕事を指すのではなく、仕事内容や必要とされる労働力の性質が似ている仕事を大きくまとめた職務系列の分類を指します。
たとえば、会社が仕事の性質に応じて「技術職掌」「事務職掌」「作業職掌」などを設ける場合があります。これは「課長か係長か」という役職の上下ではなく、仕事の種類や系統による区分です。
『ブリタニカ国際大百科事典』の「職掌」の項目でも、この職務分類としての意味が解説されています。
なお、すべての会社に共通する職掌の分類表が存在するわけではありません。呼び方、区分数、対象となる職務は各組織の人事制度によって違います。
職掌の意味を一言で覚えるなら
| 使われる場面 | 「職掌」が指すもの | 具体例 |
|---|---|---|
| 一般的なビジネス文書 | 担当している仕事・役目 | 総務部の職掌は庶務や施設管理である |
| 組織規程・職務の整理 | 職務の担当範囲 | 各部署の職掌を整理する |
| 人事管理の専門的な説明 | 仕事を種類や系統で大きくまとめた分類 | 技術職掌と事務職掌を区分する |
| 歴史資料 | 昔の特定の官職・職員など | 律令制下の職掌(しきしょう) |
日常の仕事に関する文章なら、まず「担当する職務」という意味で読み、会社の人事制度を説明している文章なら「職務の分類」という意味でないか確認すると理解しやすくなります。
「職掌」の読み方は?「しょくしょう」と「しきしょう」の違い
現代の一般的な読み方は「しょくしょう」
現代の会社や組織の話で「職掌」と書かれていたら、基本的な読み方は「しょくしょう」です。
「職」は仕事や務め、「掌」はつかさどる・受け持つという意味を持つ漢字です。両方を組み合わせると、「その職で受け持つ仕事」と理解できます。
「しょくそう」「しょくじょう」「しょくしょうぶん」などと読み間違えないようにしましょう。
「しきしょう」は歴史的な別の意味で使う読み方
辞書には「しきしょう」という読み方も載っています。ただし、通常の会社の担当業務を表す「職掌」の別の読み方として、自由に使い分けるものではありません。
「しきしょう」は、律令制の下級官人や、中世の神社で働いた職員などを指す歴史的な語です。現代のビジネスで「職掌の範囲」と言うときに「しきしょうの範囲」と読むのは一般的ではありません。
歴史上の意味については、後半の「歴史上の『職掌(しきしょう)』とは?」でも説明します。
「職掌」の使い方とよくある表現
「職掌に属する」とは?
「職掌に属する」は、ある仕事が特定の部署や役職の担当範囲に含まれるという意味です。
例文:「取引先からの品質に関する問い合わせの一次対応は、品質保証部の職掌に属します。」
この文は、品質保証部がその仕事の担当部署だということを表します。ただし、実際に問い合わせに回答する人や最終的な承認者まで、必ず同じ部署とは限りません。
「職掌の範囲」とは?
「職掌の範囲」は、どこからどこまでの仕事を引き受けるのかという担当業務の境界です。
例文:「新しいシステムの導入に伴い、情報システム部と各利用部門の職掌の範囲を見直します。」
部署をまたぐ仕事では、受付・処理・確認・承認のどこを誰が担うのかを明確にする必要があります。
「職掌を明確にする」とは?
各部署や担当者に任せる仕事を整理して、曖昧さを減らすという意味です。
例文:「担当漏れを防ぐため、組織変更に合わせて各課の職掌を明確にします。」
たとえば、同じ契約書の確認作業を営業部と法務部のどちらが行うのか曖昧な場合、分担を決め直して文書に残すことが考えられます。
「職掌を担う」「職掌上の」とは?
「職掌を担う」は、その仕事や役目を引き受けることを表します。「職掌上の」は、担当する職務に関係するという意味です。
例文:「私は監査に関する職掌を担っています。」
例文:「職掌上必要な情報に限り、関係資料を共有してください。」
「職掌上」は硬い言い回しなので、日常の会話では「担当業務に必要な」「仕事の関係で」などに言い換えると伝わりやすい場合があります。
職掌の具体例を部署別に紹介
「職掌」は抽象的な言葉なので、架空の会社を例に考えてみましょう。
以下はあくまで説明のための例であり、すべての企業でこの分担になっているという意味ではありません。
| 部署 | 職掌の例 | 部署をまたぐ際の注意点 |
|---|---|---|
| 総務部 | 社内設備の管理、文書管理、防災関連の事務 | IT設備は情報システム部と分担する場合がある |
| 人事部 | 採用、配置、研修、人事評価制度の運用 | 給与計算は経理部などが担当する場合もある |
| 経理部 | 会計処理、支払、決算、財務資料の作成 | 支払の承認権限は別の役職者にあることもある |
| 営業部 | 顧客との商談、受注、取引条件の調整 | 契約審査は法務部と連携する場合がある |
| 製造部 | 製造計画に沿った生産、工程管理、製造記録の作成 | 品質判定は品質保証部などが担う場合がある |
| 品質保証部 | 品質体制の維持、監査、品質上の問題の調査・是正確認 | 現場の検査・製造改善とは役割が重なる場合がある |
| 情報システム部 | 社内システムの運用、アカウント管理、障害対応 | 業務上の最終判断は利用部門に残る場合がある |
例:不具合対応では職掌が一つの部署に集中するとは限らない
ある製品で不具合が見つかったとします。製造部が現場の状況を調べ、品質保証部が原因調査や是正措置の確認を行い、営業部が顧客への連絡を担当するといった分担が考えられます。
どの部署にも役目がありますが、全員が同じ判断をするわけではありません。職掌を決めるときは、作業を割り振るだけでなく、情報を渡す相手・判断する人・最終承認者まで確認すると実務で役立ちます。
役職者と一般社員でも職掌は異なり得る
同じ部署に所属していても、担当者は日々の処理、主任は進捗の確認や後輩の支援、課長は部署全体の管理といったように職掌が異なることがあります。
ただし、肩書だけで仕事の範囲がすべて決まるわけではありません。会社が定める役割分担や職務権限を確認することが大切です。
「職掌」と「所掌」の違いは?
最も混同しやすいのが「職掌(しょくしょう)」と「所掌(しょしょう)」です。漢字も読み方もよく似ていますが、辞書における説明には違いがあります。
| 比較項目 | 職掌 | 所掌 |
|---|---|---|
| 読み方 | しょくしょう | しょしょう |
| 基本の意味 | 担当する仕事・職務 | ある機関の職務として定められている事務など |
| 使われやすい場面 | 企業、組織、人事管理など | 行政機関、法令、組織規程など |
| 表現の例 | 管理部門の職掌を整理する | 省庁の所掌事務を定める |
| 注意点 | 人事上の職務分類という意味もある | 法令に基づく担当事務という意味が中心 |
職掌は「受け持つ仕事」に焦点がある
職掌は、個人の仕事にも、部署などの仕事にも使える言葉です。企業が「部門ごとの職掌を定める」と言えば、それぞれが担当する業務の内容や範囲を整理する意味で使えます。
所掌は「機関に割り当てられた事務」に焦点がある
小学館『デジタル大辞泉』での「所掌」は、法令によって特定の機関の職務に属すると定められた事務を表します。行政関係で「所掌事務」と使う場合に、この意味が特に重要です。
もっとも、実務上は両者の用法が重なる場合もあります。「職掌は人だけ、所掌は部署だけ」といった決め方は正確ではありません。まずその組織が使っている規程の用語を優先してください。
「所掌」の意味や所管・管轄との違いは、1327.html「所掌とは?」で詳しく解説しています。
「職掌」と「職務・職責・職位・職権」の違い
これらはすべて組織の仕事に関係しますが、「仕事の内容」「責任」「地位」「権限」という見方が異なります。
| 言葉 | 読み方 | 意味の中心 | 例 |
|---|---|---|---|
| 職掌 | しょくしょう | 担当する仕事・職務、または職務の大きな分類 | 部門の職掌を整理する |
| 職務 | しょくむ | 仕事上の任務・務め | 職務を遂行する |
| 職責 | しょくせき | 職務に伴う責任 | 職責を果たす |
| 職位 | しょくい | 組織での仕事上の地位など | 職位に応じた役割 |
| 職権 | しょっけん | 職務上認められた権限 | 職権を行使する |
職掌と職務の違い
職務は、仕事として受け持つ任務そのものを指します。職掌も担当する仕事を意味するため、一般的な用法ではほぼ同じ内容を表すことがあります。
ただし、職掌は「担当範囲」や人事上の「仕事の分類」を説明するときにも使える点が特徴です。
例:「監査業務は品質保証部の職掌に含まれる」/「監査の実施は私の職務です」。
前者は組織内での担当範囲、後者は一人の具体的な任務を示しています。職務と役割の関係については、436.html「役割と職務の違い」も参考になります。
職掌と職責の違い
職責とは、職務上の責任です。一方、職掌は担当する仕事です。
例:「顧客への品質報告は品質保証課の職掌である」/「報告の正確性を確保することは課長の職責である」。
ただし、担当する仕事には何らかの責任が伴うため、両者をまったく無関係なものとして考える必要はありません。
職掌と職位の違い
職位は、一般的に仕事上の地位を表します。これに対し、職掌は何を担当するかという仕事の内容に注目します。
たとえば「課長」という職位に就いている人が、採用、人事評価、労務管理といった職掌を担うことがあります。
「課長だから必ず同じ職掌を持つ」とは限りません。営業課長と経理課長では仕事内容が異なりますし、同じ職位でも会社によって割り振りが違います。
職掌と職権の違い
職権は、仕事を行うためにその立場に認められた権限です。職掌が「何を担当するか」なら、職権は「担当業務に関して何を決定・実行できるか」という観点で考えられます。
たとえば、購入申請書の確認が担当者の職掌に含まれていても、購入を最終承認できる職権がその担当者にあるとは限りません。
仕事を担当することと、最終的に決裁する権限があることは別です。この区別を曖昧にすると、手続きの遅れや無断決定につながることがあります。
「職掌」と「職務分掌・業務分掌」の違い
職掌は担当する仕事、分掌は仕事の割り振り
「職掌」と「職務分掌」は漢字が似ていますが、同じ意味ではありません。
職掌が担当する仕事や仕事の分類を表すのに対し、職務分掌は、組織内でそれぞれの職務に伴う責任や権限を整理して配分することを表します。
例:「設備管理は総務部の職掌である」/「設備管理の担当範囲を職務分掌表に記載する」。
前者はどんな仕事を受け持つかを説明し、後者はどの仕事をどこへ割り振ったかを文書で示す場面です。
業務分掌は部門間の仕事の分け方を説明するときに使われる
「業務分掌」は、組織内の部署などが担当する業務を整理し、責任の範囲を分かりやすくすることを指す場合に使われます。
「職務分掌」を役職・担当者まで含む細かな配分、「業務分掌」を部門単位の配分として説明する例もあります。しかし、両者の使い方は会社や規程によって異なり、全国共通の厳密な境界があるわけではありません。
業務分掌規程や具体的な表の作り方は、1985.html「業務分掌とは?」で詳しく解説しています。
一つの事務を例に整理
| 表現 | 実際に言いたいこと |
|---|---|
| 「支払処理は経理部の職掌だ」 | 経理部が受け持つ仕事である |
| 「支払関連の業務分掌を見直す」 | 部署間で誰が何を行うか整理し直す |
| 「担当者ごとの職務分掌を明記する」 | 役職・担当者ごとに責任や権限を定める |
| 「支払の決裁権限を確認する」 | 誰が最終的に支払を承認できるか確認する |
このように、仕事の担当範囲と、仕事の分け方、承認権限は別々に確認すると誤解が少なくなります。
人事制度における「職掌」とは?職種や等級との違い
職掌は仕事の種類・系統による大きなまとまり
人事管理の専門的な用法では、職掌は仕事の質的な共通点に着目した分類を指します。仕事を細かく見ると個々の職務があり、似た職務を職種・職務系列として整理し、さらに大きな区分として職掌を考える場合があります。
たとえば、研究開発、機械設計、設備技術に関する仕事を「技術職掌」という大きな枠で扱う会社が考えられます。一方、経理や人事などの仕事を「事務職掌」にまとめる場合もあります。
ただし、この分類例は説明用のモデルです。実際の人事制度では、技術系と事務系を区分しない会社もあります。
「技術職掌」「事務職掌」「作業職掌」の例
| 職掌区分の例 | 含まれる仕事の例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 技術職掌 | 設計、開発、技術評価、技術支援 | 品質関連業務などをどこに含めるかは企業ごとに異なる |
| 事務職掌 | 総務、経理、人事、受発注に関する事務 | 専門的な企画業務を別枠とする会社もある |
| 作業職掌 | 生産現場の作業、設備の操作、現場作業 | 「技能職掌」など別の呼称を用いる場合もある |
このような区分は、『ブリタニカ国際大百科事典』が説明する職掌の分類的な意味を理解する助けになります。
職掌と職種の違い
職種は、営業職・経理職・設計職など、職業や仕事内容の種類です。人事管理でいう職掌は、これらをさらに大きな系統にまとめる分類として使われることがあります。
たとえば、電子回路設計と機械設計という異なる職種を技術職掌としてまとめるケースが考えられます。ただし、全企業でこの順番の分類が採用されているとは限りません。
職掌と職群・等級・役職の違い
「職群」は類似する職務をまとめた区分、「等級」は人事制度で定めた段階、「役職」は課長・部長といった組織上のポストを指すことが一般的です。
職掌の分類と等級は別の軸で設計できます。たとえば技術職掌にも複数の等級があり、事務職掌にも複数の等級があるという制度が考えられます。
また、役職の有無と職掌も一致しません。技術職掌に所属する管理職もいれば、技術の専門性を高める担当者もいる、といった設計は可能です。
「職掌が上がった」という表現を見かけた場合も、どのような人事異動や処遇変更を指しているかは、会社の制度で確かめる必要があります。
職掌を明確にするメリットと実務上の注意点
担当漏れや二重作業を減らしやすい
仕事の担当範囲が曖昧だと、二つの部署が同じ資料を作る一方で、誰も点検していない業務が残ることがあります。職掌を整理すれば、重複や抜けに気付きやすくなります。
引き継ぎや問い合わせ対応を円滑にする
担当者が異動したときも、部署ごとの職掌や連絡先が整理されていれば、誰に確認すればよいかを判断しやすくなります。取引先からの問い合わせを適切な部門へ引き継ぐ際にも役立ちます。
担当範囲と責任・権限を同時に確認する
「この作業を担当する」と決めただけでは、処理に必要な情報を閲覧できるか、例外的な案件を誰が判断するかが明らかにならない場合があります。
職掌を明確にする際には、担当する業務に加えて、報告先、協力する部署、例外時の対応、承認を求める相手も確認しましょう。
職掌を細かく分けすぎない
「ここから先は自分の職掌ではない」と線引きするだけでは、部署間に仕事の空白が生まれることがあります。
たとえば顧客からの苦情では、最初に連絡を受けた営業部が情報を集め、品質保証部へ引き継ぎ、必要に応じて製造部と連携する、といった流れが重要です。
職掌を定める目的は、協力を拒むことではなく、協力するための担当と責任を見えるようにすることです。
職掌の範囲を整理するときの5つの手順
会社で職掌を見直す場合は、次の順番で考えると整理しやすくなります。
- 実際に行っている業務を洗い出す:定期業務だけでなく、例外処理や緊急時の仕事も確認します。
- 担当部署・担当役職を確かめる:作業を実施する人と、その結果を確認する人を分けて考えます。
- 部署をまたぐ仕事を整理する:依頼、引き継ぎ、共同作業、最終判断の流れを明確にします。
- 権限と責任を照合する:仕事を任せた人に必要な情報や権限があるか確認します。
- 規程や一覧表に反映して共有する:組織変更・業務変更があれば、内容を見直します。
職掌は、紙に書いて終わりではありません。担当者が変わったあとも運用できるよう、更新する責任者や見直しの時期まで決めておくと役立ちます。
「職掌」を使ったビジネス例文
担当範囲を説明する例文
- 当課の職掌は、顧客情報の管理と契約手続きの支援です。
- 新設された部署の職掌について、組織規程で確認してください。
- 調査の実施と結果の承認が、同じ担当者の職掌に含まれるとは限りません。
- 本件がどの部門の職掌に属するか、関連部署で協議します。
組織変更・業務改善で使う例文
- 組織再編に伴い、営業企画部と営業推進部の職掌を整理しました。
- 窓口業務の重複を解消するため、部門間の職掌を見直します。
- 既存の職掌を維持しつつ、障害発生時の連絡ルートを追加します。
- 職掌の変更点は、来月の部門長会議で説明する予定です。
人事制度で使う例文
- 職掌区分ごとに求められる能力を整理し、研修計画へ反映します。
- 技術職掌と事務職掌の区分は、当社の人事制度に基づいて定めています。
- 職掌を変更する場合は、新たに担当する職務と処遇への影響を確認します。
これらは用法を説明するために作成した例文です。実際の人事制度上の取り扱いは、各社の規程や雇用契約によって異なります。
職掌を使った社内メールの例文
例文1:担当部署を確認するメール
件名:新規業務の担当部門についての確認
関係各位
お疲れ様です。
新たに開始する取引先向け報告書の作成について、現行の組織規程では担当範囲が明確でないため、どの部門の職掌に該当するか確認させてください。
関連する業務内容と想定される作業手順を添付しました。ご担当の範囲や他部門との調整が必要な点がありましたら、ご意見をいただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
例文2:職掌変更を周知するメール
件名:組織変更に伴う職掌の見直しについて
各部署の皆様
お疲れ様です。
来月の組織変更に伴い、総務部と情報システム部の職掌を一部見直しました。
変更後の担当業務と問い合わせ先は、添付の一覧表をご確認ください。移行期間中の案件については、従来の担当部署と新担当部署が連携して対応します。
ご不明な点がございましたら、管理部までお問い合わせください。
よろしくお願いいたします。
例文3:硬い「職掌」をやさしい言葉に言い換える
「本件は当課の職掌外です」という文は、規程を確認する場面では使えますが、相手によっては突き放した印象になる場合があります。
そのようなときは、次のようにすると親切です。
言い換え例:「本件は当課の担当範囲には含まれておりません。担当部署を確認のうえ、改めてご案内いたします。」
「職掌」という語を無理に使う必要はありません。読み手に伝えることが目的なら、「担当業務」「担当範囲」「役割」などの方が適切な場面もあります。
「職掌」のよくある誤解と使い方の注意点
誤解1:職掌は役職の上下を示す言葉である
職掌は、一般的には担当業務を、人事管理では仕事の分類を表します。課長・部長などの序列そのものを指す語ではありません。
誤解2:職掌が同じなら給料や等級も同じである
人事制度によっては、同じ職掌の中に複数の等級や役職を設けます。職掌区分が同じという理由だけで、給与や人事評価の扱いまで同じとは判断できません。
誤解3:「職掌」と「所掌」は常に置き換えられる
意味が重なる場合はあっても、法令に基づく「所掌事務」を「職掌事務」と言い換えると、制度上の正式名称と異なることがあります。規程・公文書・契約書では用語を確認しましょう。
誤解4:職掌があれば決裁権限もある
担当者に仕事が割り当てられていても、最終承認は別の職位や部門が行うことがあります。職掌と決裁権限は混同しないことが重要です。
誤解5:「しきしょう」は「しょくしょう」の言い換えである
「しきしょう」は歴史上の官人・職員などを指す別の語義に対応する読み方です。現代の担当業務を示す通常の文章では「しょくしょう」と読みます。
歴史上の「職掌(しきしょう)」とは?
ここまでの「職掌」は現代の仕事に関する意味でしたが、辞書には同じ漢字で「しきしょう」と読む歴史的な意味が掲載されています。
律令制の下級官人を指す場合
律令制の「職(しき)」などに置かれ、雑務などを担当した下級の官人を「職掌(しきしょう)」と呼んだ例があります。
この場合は、抽象的な「仕事の範囲」ではなく、特定の役目に就く人を指しています。
神社・寺院に関係する場合
歴史資料には、神社で雑務や神楽などを担当した職員を指す例もあります。『精選版 日本国語大辞典』には、寺院に関係する俗役としての用例も掲載されています。
明治初期の官職名としての用法
明治2年から明治10年(1869~1877年)には、皇太后宮職・皇后宮職に置かれ、公文書類を扱った判任官を「職掌」と呼んだ歴史もあります。
こうした歴史上の意味は、現代の人事制度でいう「職掌区分」とは別です。歴史資料を読むときは、年代と文脈を確認しましょう。
「職掌」に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 職掌とは簡単に言うと何ですか?
その人や部署が受け持っている仕事・職務のことです。人事管理では、仕事を種類や系統で大きくまとめた分類を指す場合もあります。
Q2. 職掌の読み方は「しょくしょう」で合っていますか?
はい。現代のビジネスで使う「職掌」は通常「しょくしょう」と読みます。「しきしょう」は歴史的な別の意味で使われる読み方です。
Q3. 職掌と所掌の違いは何ですか?
職掌は担当する仕事・職務です。所掌は、特定の行政機関の職務として法令で定められた事務などを指すことが中心です。ただし、組織の実務では用法が重なることもあります。
Q4. 職掌と職務は同じ意味ですか?
どちらも担当する仕事を表し、意味が近い言葉です。ただし、職掌は人事管理で職務の大きな分類を指す場合があり、職務は仕事上の任務そのものを表すことが一般的です。
Q5. 職掌と職責はどう違いますか?
職掌は担当する仕事、職責はその職務に伴う責任です。担当範囲と責任の所在を一緒に整理すると、仕事の進め方が明確になります。
Q6. 職掌と職位はどう違いますか?
職位は一般に組織における仕事上の地位を表し、職掌は担当する仕事内容などを表します。同じ職位でも、部署が違えば職掌が異なる場合があります。
Q7. 「職掌に属する」はどんな意味ですか?
その仕事が特定の人や部署の担当範囲に含まれるという意味です。「問い合わせ対応は営業部の職掌に属する」のように使います。
Q8. 「職掌外」とはどういう意味ですか?
定められた担当職務の範囲に含まれない、という意味です。実際に依頼を断る前には、担当規程や他部署との連携方法を確認するとよいでしょう。
Q9. 「職掌を果たす」と言ってもよいですか?
文脈によって意味は伝わりますが、自然さを優先するなら「職務を果たす」「職責を果たす」「職掌に定められた業務を遂行する」などの方が明確な場合があります。何を果たすのかに応じて使い分けましょう。
Q10. 「職掌」と「職種」は何が違いますか?
職種は仕事の種類です。人事管理の専門用語としての職掌は、類似する職務や職種をさらに大きくまとめた分類を指すことがあります。ただし分類の仕組みは組織ごとに異なります。
Q11. 「事務職掌」「技術職掌」とは何ですか?
事務系や技術系など、仕事の性質に応じて設定する職掌区分の例です。会社の人事制度上の名称なので、すべての企業で同じ業務や職種が含まれるわけではありません。
Q12. 職掌と業務分掌は同じ意味ですか?
同じではありません。職掌は担当する仕事を意味し、業務分掌は組織内でその仕事を部署などに割り振って整理することを表します。
Q13. 一般社員にも職掌はありますか?
はい。職掌を担当する仕事という意味で使うなら、管理職だけでなく一般社員にもそれぞれの担当職務があります。人事上の職掌区分の有無は会社によって異なります。
Q14. 履歴書に「職掌」と書くべきですか?
一般的な履歴書や職務経歴書では、「担当業務」「職務内容」「仕事内容」の方が伝わりやすいことが多いでしょう。会社独自の職掌区分を説明する必要がある場合は、その名称と具体的な業務内容を併記すると親切です。
Q15. 職掌を英語で表すと何ですか?
一般的な「担当職務」なら duties、responsibilities、assigned functions などが文脈に応じて使われます。人事管理上の「職掌区分」を示す場合は、job category や job family などが適切なこともあります。どれか一語に必ず一致するわけではありません。
まとめ|職掌は「担当する仕事」、人事では「仕事の大きな分類」
「職掌(しょくしょう)」は、一般的にはその人や部署が担当する仕事・職務を意味します。一方、人事管理では、仕事内容の似た職務を大きくまとめた「分類」を指す専門的な用法もあります。
- 職掌:担当する仕事・職務。または職務を大きくまとめた分類。
- 所掌:主に行政機関などの職務として定められた事務。
- 職務:仕事上の具体的な任務・務め。
- 職責:その職務に伴う責任。
- 職位:仕事上の地位など。
- 職務分掌・業務分掌:組織内で仕事や責任を整理し、割り振ること。
迷ったときは、「どの仕事を担当するのか」を説明するなら職掌、「その仕事にどんな責任があるか」なら職責、「誰がどの仕事を受け持つように割り振るか」なら分掌、と考えると理解しやすくなります。
ただし、人事制度や組織規程の用語には各社・各機関で違いがあります。正式な文書に使うときは、一般的な辞書の意味を押さえたうえで、所属組織の定義も確認してください。
参考リンク
- コトバンク「職掌」
小学館の辞書による一般的な意味と歴史的な読み方に加え、ブリタニカによる人事管理上の職務分類の解説を確認できます。
- コトバンク「所掌」
「所掌」が行政機関の担当事務などを表すことを、辞書の説明から確認できます。
- コトバンク「職責」
「職責」が職務上の責任を表すことを確認でき、職掌との比較に役立ちます。
- コトバンク「職務分掌」
組織内の職務と責任・権限を整理して割り振る意味を、人事労務用語辞典の説明で確認できます。
- 漢字ペディア「職務」
日本漢字能力検定協会のサイトで、仕事上の任務を表す「職務」の基本的な意味を確認できます。
- 漢字ペディア「掌」
「掌」に「つかさどる・受け持つ」という意味があることを確認でき、職掌の漢字の理解に役立ちます。
