パソコンやルーターの設定を確認すると、
「192.168.1.10」
のようなIPアドレスが表示されることがあります。
一方、インターネット上の「IPアドレス確認サイト」を利用すると、それとはまったく違うIPアドレスが表示されることがあります。
すると、
「自分のIPアドレスはどちら?」
「グローバルIPとプライベートIPは何が違う?」
「192.168から始まると全部プライベートIP?」
「固定IPとグローバルIPは同じ?」
「グローバルIPがないとインターネットへ接続できない?」
「100.64から始まるIPはプライベートIP?」
と疑問に感じることがあります。
結論からいうと、「グローバルIPアドレス」はインターネット上で通信するためにグローバルに扱われるIPアドレスを指す一般的な呼び方で、「プライベートIPアドレス」は家庭・会社などの内部ネットワークで自由に再利用できるよう予約されたIPv4アドレスです。
最も簡単に覚えるなら、
グローバルIPアドレス=「インターネット側で使う住所」
プライベートIPアドレス=「家庭や会社の中だけで使う住所」
です。
IPv4のプライベートアドレスとしてRFC 1918で定められているのは、次の3範囲です。
- 10.0.0.0〜10.255.255.255
- 172.16.0.0〜172.31.255.255
- 192.168.0.0〜192.168.255.255
これらのアドレスは、世界中の家庭や会社で繰り返し利用できます。
その代わり、通常のインターネット全体ではそのまま通信先として利用しません。
家庭ではルーターがNAT・NAPTを行い、内部のプライベートIPアドレスとインターネット側のアドレス・ポートを対応付けることで、多数の端末がインターネットを利用できます。
この記事では、「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」の違いから、固定IP・動的IP、NAT・NAPT、CGNAT、100.64.0.0/10、IPv6、ポート開放との関係まで詳しく解説します。
- 「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」の違い【結論】
- そもそもIPアドレスとは?
- 「グローバルIPアドレス」とは?
- グローバルIPアドレスは誰が管理している?
- 「プライベートIPアドレス」とは?
- 同じ「192.168.1.10」を世界中で使っても大丈夫?
- プライベートIPアドレスはインターネットで使えない?
- 家庭ではなぜプライベートIPでインターネットを使える?
- NAT・NAPTを具体例で理解する
- 「自分のIPアドレス」が2つ表示される理由
- 1台のパソコンが複数のIPアドレスを持つこともある
- 「固定IP」と「グローバルIP」は同じ?
- 「固定グローバルIP」は存在する?
- 「動的グローバルIP」もある?
- プライベートIPも固定できる?
- 「172から始まるIP」は全部プライベートIP?
- 「192から始まるIP」は全部プライベートIP?
- 「10から始まるIP」は全部プライベート?
- 「100.64.x.x」はプライベートIP?
- 100.64.0.0/10もインターネットへ直接ルーティングされる?
- 「CGNAT」とグローバルIPの関係
- CGNATなら自宅にグローバルIPv4アドレスがない?
- CGNATではなぜポート開放が難しい?
- 「169.254.x.x」はプライベートIP?
- 「127.0.0.1」はプライベートIP?
- IPv4アドレスには「特殊用途」がたくさんある
- なぜ説明記事で「203.0.113.x」をよく見る?
- グローバルIPアドレスが分かると住所まで分かる?
- 同じグローバルIPなら同じ人?
- IPv6にも「グローバルIP」はある?
- IPv6にも「プライベートIP」はある?
- IPv6のULAとIPv4のプライベートIPは同じ?
- IPv6でグローバルアドレスを持つと危険?
- グローバルIPなら外部から必ず接続できる?
- プライベートIPでは自宅サーバーを公開できない?
- 「グローバルIP・プライベートIP」で迷ったときの3秒判定
- 「グローバルIPアドレス」を使った例文
- 「プライベートIPアドレス」を使った例文
- 具体例で比較:自宅のパソコンからWebを見る
- 具体例で比較:会社内のパソコン
- よくある間違い1:「グローバルIP=固定IP」と思う
- よくある間違い2:「192から始まるIPは全部プライベート」と思う
- よくある間違い3:「172から始まるIPは全部プライベート」と思う
- よくある間違い4:「100.64.x.xは普通のプライベートIP」と思う
- よくある間違い5:「インターネットで使えないアドレスは全部プライベートIP」と思う
- よくある間違い6:「グローバルIPがあれば外部から必ず接続できる」と思う
- よくある間違い7:「IPv6にはグローバル・ローカルの違いがない」と思う
- 「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」に関するよくある質問
- まとめ
- 参考リンク・出典
「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」の違い【結論】
| 比較項目 | グローバルIPアドレス | プライベートIPアドレス |
|---|---|---|
| 主な利用場所 | インターネット側 | 家庭・会社などの内部ネットワーク |
| 世界中での一意性 | グローバルに一意となるよう管理される | 別々のネットワークで同じ値を再利用できる |
| 一般のインターネットでの到達性 | 経路・ファイアウォール等の条件が整えば到達可能 | RFC 1918アドレスはグローバルには到達可能として扱われない |
| 代表例 | ISP等から割り当てられるIPv4アドレス | 192.168.1.10など |
| 割り当て | ISP・組織等を通して利用 | 家庭・会社内で自由に利用可能 |
| NATとの関係 | NATの外側で利用されることが多い | NATの内側で利用されることが多い |
| 固定・動的 | どちらもあり得る | どちらもあり得る |
3秒で判断するなら、
「192.168.1.10など家庭内で使うアドレス?」 → プライベートIP
「インターネット側で通信に使われるアドレス?」 → グローバルIP
と考えると分かりやすいでしょう。
そもそもIPアドレスとは?
IPアドレスは、IPネットワーク上で通信先を識別し、データを目的地へ届けるために使われるアドレスです。
IPv4では32ビット、IPv6では128ビットのアドレスを利用します。
たとえばIPv4では、
192.168.1.10
のように表記します。
ただし、すべてのIPv4アドレスが同じ目的で使われるわけではありません。
中には、
- プライベートネットワーク用
- ループバック用
- リンクローカル用
- CGN用
- 文書・サンプル用
など、特別な用途へ予約されたアドレスがあります。
「グローバルIPアドレス」とは?
インターネット全体で通信するために利用されるIPアドレス
日本の一般的なネットワーク解説でいう「グローバルIPアドレス」は、インターネット上で利用するためにグローバルに管理されたIPアドレスを指します。
英語では、文脈によって、
- Public IP Address
- Globally Routable Address
- Global Unicast Address
などの表現が使われます。
ただし、
「グローバルIPアドレス」という日本語の日常用語が、すべてのIPv4アドレスを単純に二分する一つのRFC用語として定義されているわけではありません。
IANAはIPv4アドレスのうち、プライベート利用、ループバック、リンクローカル、文書用などの特殊用途アドレスを別途管理しています。
一般的な意味では、こうした特殊用途ではなく、インターネット上でグローバルに利用可能なアドレスを「グローバルIP」「パブリックIP」と呼んでいます。
グローバルIPアドレスは誰が管理している?
インターネット上で同じグローバルIPアドレスを無秩序に複数の組織が使えば、どこへパケットを送るべきか分からなくなります。
そこでグローバルなIPアドレス資源は、
IANA
や、地域インターネットレジストリである、
RIR(Regional Internet Registry)
などの仕組みを通じて管理されています。
日本を含むアジア太平洋地域ではAPNICがRIRとしてIPアドレス資源を管理しています。
一般利用者は通常、ISPなどからインターネット接続に必要なアドレスを提供されます。
「プライベートIPアドレス」とは?
家庭・会社など閉じたネットワーク内で再利用できるIPv4アドレス
IPv4のプライベートIPアドレスは、RFC 1918で予約されたアドレス空間です。
次の3つです。
| 範囲 | プレフィックス |
|---|---|
| 10.0.0.0〜10.255.255.255 | 10.0.0.0/8 |
| 172.16.0.0〜172.31.255.255 | 172.16.0.0/12 |
| 192.168.0.0〜192.168.255.255 | 192.168.0.0/16 |
IANAも現在、この3範囲を、
Private-Use
として登録しています。
これらは家庭や会社などの内部ネットワークで、IANAへ申請することなく利用できます。
同じ「192.168.1.10」を世界中で使っても大丈夫?
別々のプライベートネットワークであれば利用できます。
たとえば、
Aさん宅のパソコン:
192.168.1.10
Bさん宅のパソコン:
192.168.1.10
C社のプリンター:
192.168.1.10
ということも可能です。
それぞれのネットワークが独立していれば、互いに競合しません。
これがプライベートアドレスの大きな特徴です。
RFC 1918でも、プライベートアドレスは複数の組織で再利用でき、そのアドレスは原則として利用している組織内部でのみ一意であればよいと説明しています。
プライベートIPアドレスはインターネットで使えない?
通常のグローバルなインターネット上で、そのまま到達可能な宛先として利用することは想定されていません。
IANAのIPv4 Special-Purpose Address Spaceでも、RFC 1918の3範囲は、
Globally Reachable:False
とされています。
家庭内の192.168.1.10宛てに、インターネットの遠く離れた場所から単純にパケットを送っても、
「世界中にある192.168.1.10のどこへ届けるのか」
をインターネット全体で判断できません。
プライベートIPアドレスは、ローカルネットワークの中で利用するアドレスです。
家庭ではなぜプライベートIPでインターネットを使える?
ここで重要になるのが、
NAT・NAPT
です。
家庭内では、
- 192.168.1.10
- 192.168.1.11
- 192.168.1.12
のようなプライベートIPv4アドレスを利用します。
ルーターはインターネットへ通信するとき、内部のアドレス・ポートと、外部側のIPアドレス・ポートを対応付けます。
これによって複数端末が、1つのインターネット側IPv4アドレスを共有できます。
NAT・NAPTを具体例で理解する
家庭内のパソコンが、
192.168.1.10:52001
からWebサイトへアクセスしたとします。
ルーターのインターネット側IPv4アドレスが仮に別のグローバルアドレスだった場合、NAPTによって、
内部:192.168.1.10:52001
と、
外部:ルーターのグローバルIP+別ポート番号
を対応付けることができます。
Webサイトから見ると、アクセス元は家庭内の192.168.1.10ではなく、ルーターの外部側アドレスになります。
「自分のIPアドレス」が2つ表示される理由
Windowsなどでネットワーク情報を確認すると、
192.168.1.10
が表示されるのに、Web上のIPアドレス確認サービスでは別のアドレスが表示されることがあります。
これは異常ではありません。
一般的な家庭用IPv4ネットワークでは、
パソコン自身=プライベートIPアドレス
インターネット側=ルーターや上流側で利用される別のIPv4アドレス
という構成だからです。
つまり、
「自分のIPアドレスは1つしか存在しない」
わけではありません。
1台のパソコンが複数のIPアドレスを持つこともある
さらに端末は、
- Wi-FiのIPv4アドレス
- 有線LANのIPv4アドレス
- IPv6アドレス
- VPN用アドレス
- リンクローカルアドレス
など、複数のIPアドレスを同時に持つことがあります。
そのため、
「このPCのIPアドレスは何番?」
という質問も、正確には「どのネットワークインターフェース、どの用途のIPアドレスか」を確認する必要があります。
「固定IP」と「グローバルIP」は同じ?
同じではありません。
非常によく混同されます。
「グローバル/プライベート」は、
そのIPアドレスをどの範囲で利用するか
という分類です。
一方、
「固定/動的」は、
IPアドレスが継続して同じなのか、変更される可能性があるのか
という別の分類です。
| 分類 | 意味 |
|---|---|
| グローバルIP | インターネット側で利用するアドレス |
| プライベートIP | ローカルネットワーク内で利用するアドレス |
| 固定IP | 継続して同じアドレスを利用する構成 |
| 動的IP | 接続状況などによって変更される可能性がある構成 |
「固定グローバルIP」は存在する?
存在します。
サーバー運用や企業向け回線などでは、変わらないグローバルIPv4アドレスを契約できるサービスがあります。
これが一般に、
固定グローバルIPアドレス
と呼ばれます。
外部から継続的に接続するサーバーなどでは便利です。
「動的グローバルIP」もある?
あります。
一般家庭向けのインターネット接続では、固定IPサービスを契約していなければ、インターネット側のIPv4アドレスが将来変更される場合があります。
つまり、
グローバルIP=固定IP
ではありません。
プライベートIPも固定できる?
できます。
家庭や会社内でも、
- NAS
- プリンター
- サーバー
- 監視カメラ
などへ、常に同じプライベートIPアドレスを割り当てる場合があります。
方法として、
- 端末側で固定設定する
- DHCPサーバーでアドレス予約する
などがあります。
したがって、
固定IP=グローバルIP
動的IP=プライベートIP
という関係ではありません。
「172から始まるIP」は全部プライベートIP?
違います。
RFC 1918でプライベート用に予約されているのは、
172.16.0.0〜172.31.255.255
だけです。
たとえば、
172.15.x.x
や、
172.32.x.x
はRFC 1918のプライベートアドレス範囲には含まれません。
「172から始まったら全部プライベート」と覚えないよう注意してください。
「192から始まるIP」は全部プライベートIP?
これも違います。
プライベートアドレスとして予約されているのは、
192.168.0.0/16
です。
つまり、
192.168.x.x
の範囲です。
192で始まるIPv4アドレスすべてがプライベートというわけではありません。
「10から始まるIP」は全部プライベート?
IPv4では、
10.0.0.0/8
がRFC 1918のプライベートアドレスとして予約されています。
したがって、
10.0.0.0〜10.255.255.255
はPrivate-Use範囲です。
「100.64.x.x」はプライベートIP?
RFC 1918のプライベートIPアドレスではありません。
100.64.0.0〜100.127.255.255、つまり、
100.64.0.0/10
はRFC 6598で定められた、
Shared Address Space
です。
主に通信事業者が、
CGN(Carrier-Grade NAT)
を利用するときのために予約されています。
IANAのレジストリでも、100.64.0.0/10は、
Private-Use
ではなく、
Shared Address Space
として別に登録されています。
100.64.0.0/10もインターネットへ直接ルーティングされる?
通常のグローバルインターネットではそのように扱いません。
RFC 6598ではShared Address Spaceを、サービスプロバイダー内部などで利用するためのアドレス空間としています。
一般家庭のRFC 1918プライベートアドレスとは目的が違いますが、どちらも通常のグローバルな到達可能アドレスではない点は共通しています。
「CGNAT」とグローバルIPの関係
CGNATを利用している回線では、家庭用ルーターのさらに外側、ISP側でもNATが行われます。
その場合、
パソコン → 家庭用ルーター → ISPのCGN → インターネット
という構成になります。
複数の契約者が、インターネット側では同じIPv4アドレスを共有する場合があります。
CGNATなら自宅にグローバルIPv4アドレスがない?
契約形態によっては、利用者のルーターへ専用のグローバルIPv4アドレスが直接割り当てられず、ISP側のCGNを通じてグローバルIPv4通信を行う場合があります。
そのため、
ルーターのWAN側IPv4アドレス
と、
Web上から見えるIPv4アドレス
が一致しないことがあります。
CGNATではなぜポート開放が難しい?
家庭用ルーターだけなら、外部ポートを家庭内端末へ転送するポートフォワーディングを設定できます。
しかしCGNATでは、その外側にもISP管理のNATがあります。
利用者は通常、ISP側のNATテーブルを自由に設定できません。
そのため、
自宅サーバー
一部のP2P通信
特定のオンラインゲーム
などで、外部から直接着信する通信が難しくなる場合があります。
「169.254.x.x」はプライベートIP?
RFC 1918のPrivate-Useアドレスではありません。
169.254.0.0/16は、
IPv4 Link-Local
用の特殊アドレスです。
IANAもPrivate-Useとは別に、
Link Local
として登録しています。
端末がDHCPで正常なIPv4アドレスを取得できないときなどに、169.254.x.xのアドレスが自動設定される場合があります。
このアドレスが表示されている場合、ルーターやDHCPサーバーから正常なIPv4設定を取得できているか確認する手掛かりになります。
「127.0.0.1」はプライベートIP?
これもRFC 1918のプライベートアドレスではありません。
127.0.0.0/8は、
Loopback
用の特殊アドレスです。
代表的な、
127.0.0.1
は自分自身のコンピューターを指すために利用されます。
したがって、
「インターネットで使わないIPアドレス=全部プライベートIP」
ではありません。
IPv4アドレスには「特殊用途」がたくさんある
| 範囲 | 主な用途 |
|---|---|
| 10.0.0.0/8 | Private-Use |
| 172.16.0.0/12 | Private-Use |
| 192.168.0.0/16 | Private-Use |
| 100.64.0.0/10 | Shared Address Space |
| 127.0.0.0/8 | Loopback |
| 169.254.0.0/16 | Link Local |
| 192.0.2.0/24 | 文書・説明用 |
| 198.51.100.0/24 | 文書・説明用 |
| 203.0.113.0/24 | 文書・説明用 |
このため、
「RFC 1918ではない=必ず通常のグローバルIP」
という判断も正確ではありません。
IANAのSpecial-Purpose Address Registryには、さまざまな特殊用途アドレスが登録されています。
なぜ説明記事で「203.0.113.x」をよく見る?
203.0.113.0/24は、実際の一般インターネットサービス用ではなく、
Documentation(TEST-NET-3)
として予約されたIPv4アドレスです。
技術文書や説明記事で、実在する第三者のIPアドレスを誤って使わないために利用できます。
同様に、
- 192.0.2.0/24
- 198.51.100.0/24
- 203.0.113.0/24
が文書用として予約されています。
グローバルIPアドレスが分かると住所まで分かる?
IPアドレスだけから、一般利用者の正確な自宅住所を必ず特定できるわけではありません。
IPアドレスから、
- ISP
- おおまかな地域
- ネットワーク事業者
などを推定できるサービスはあります。
しかしIPアドレスと実際の契約者・住所の関係は、ISPの割り当て方式、CGNAT、VPN、モバイル通信などによって変わります。
Web上のIP位置情報サービスが示す位置も、必ず正確な現在地を表すわけではありません。
同じグローバルIPなら同じ人?
必ずしもそうではありません。
家庭内では複数の端末がNAPTによって1つの外部IPv4アドレスを共有できます。
さらにCGNATでは、複数の家庭・契約者が同じグローバルIPv4アドレスを共有する可能性があります。
したがって、
同じIPアドレス=同じ端末
同じIPアドレス=同じ人物
とは単純に判断できません。
IPv6にも「グローバルIP」はある?
あります。
IPv6では、
Global Unicast Address
があります。
RFC 4291では、IPv6のGlobal Unicast Addressについて、グローバルルーティングプレフィックス、サブネットID、インターフェースIDなどから構成される一般形式が示されています。
IPv6ではアドレス空間が非常に大きいため、IPv4のようなアドレス節約目的のNAPTへ依存せず、各端末がグローバルユニキャストアドレスを持つ構成を取りやすくなります。
IPv6にも「プライベートIP」はある?
IPv4のRFC 1918プライベートアドレスと完全に同じものではありませんが、IPv6には、
Unique Local IPv6 Unicast Address(ULA)
があります。
RFC 4193では、ULAを、
ローカル通信向けで、通常のグローバルインターネットではルーティングされることを想定しないIPv6アドレス
として定義しています。
ULAには、
FC00::/7
というプレフィックス空間が用意されています。
実際のローカル割り当てではFD00::/8側が利用されます。
IPv6のULAとIPv4のプライベートIPは同じ?
似た用途がありますが、完全に同じ設計ではありません。
IPv4のRFC 1918アドレスは、世界中で同じアドレスを自由に再利用します。
IPv6のULAは、ローカル利用を前提としつつ、ランダムなGlobal IDを利用して、異なる組織間でも衝突する可能性を小さくする考え方があります。
そのため、
「IPv6版192.168.x.xがそのままULA」
と単純化しすぎないほうがよいでしょう。
IPv6でグローバルアドレスを持つと危険?
グローバルなIPv6アドレスを持つこと自体が危険というわけではありません。
重要なのはファイアウォールなどによるアクセス制御です。
IPv4+NAPT環境では、外部から開始された通信が変換情報なしでは内部へ届きにくいという性質があります。
一方IPv6では端末がグローバルユニキャストアドレスを持つ場合があるため、ルーターのIPv6ファイアウォール等で不要な着信を適切に遮断することが重要です。
グローバルIPなら外部から必ず接続できる?
いいえ。
グローバルIPアドレスがあっても、
- ルーターのファイアウォール
- OSのファイアウォール
- サービスが待ち受けていない
- ISPによる通信制限
- ポート設定
などによって外部から接続できないことがあります。
グローバルIPアドレスは、
「インターネット上から無条件にすべてのポートへアクセスできる」
という意味ではありません。
プライベートIPでは自宅サーバーを公開できない?
家庭内サーバー自身がプライベートIPv4アドレスでも、ルーターにグローバルIPv4アドレスがあり、適切な、
- ポートフォワーディング
- ファイアウォール設定
- サーバー設定
を行えば、外部から利用できる場合があります。
一方、CGNAT環境ではISP側にもNATがあるため、利用者側の設定だけでは公開できない場合があります。
「グローバルIP・プライベートIP」で迷ったときの3秒判定
| こんな場合 | 答え |
|---|---|
| 192.168.1.10 | プライベートIPv4 |
| 10.20.30.40 | プライベートIPv4 |
| 172.20.1.1 | プライベートIPv4 |
| 172.40.1.1 | RFC 1918のプライベート範囲ではない |
| 100.64.x.x | Shared Address Space |
| 169.254.x.x | IPv4 Link-Local |
| 127.0.0.1 | Loopback |
| インターネット上でグローバルに利用 | グローバルIP |
最も簡単に覚えるなら、
グローバルIP=「外の住所」
プライベートIP=「家・会社の中の住所」
です。
「グローバルIPアドレス」を使った例文
- ISPからグローバルIPアドレスが割り当てられる。
- 固定グローバルIPアドレスを契約する。
- ルーターのグローバルIPアドレスを確認する。
- CGNATでは専用のグローバルIPv4アドレスが宅内ルーターへ直接割り当てられない場合がある。
- 外部公開するためグローバルIPアドレスの有無を確認する。
「プライベートIPアドレス」を使った例文
- パソコンへプライベートIPアドレスを割り当てる。
- 家庭内LANでは192.168.x.xのプライベートIPアドレスを利用する。
- DHCPからプライベートIPアドレスを取得する。
- ルーターがプライベートIPアドレスと外部通信をNAPTで対応付ける。
- NASのプライベートIPアドレスを固定する。
具体例で比較:自宅のパソコンからWebを見る
パソコンのLAN側アドレスが、
192.168.1.20
だったとします。
これはプライベートIPv4アドレスです。
Webサイトへ接続するときは、ルーターがNAPTなどによって外部通信と対応付けます。
そのためWebサイト側から見えるIPv4アドレスは、192.168.1.20とは別になります。
この仕組みのおかげで、家族のスマートフォンやパソコンも同じ外部IPv4アドレスを共有できます。
具体例で比較:会社内のパソコン
会社に100台のパソコンがあっても、すべてへ個別のグローバルIPv4アドレスを割り当てる必要はありません。
社内では10.0.0.0/8や172.16.0.0/12などのプライベートアドレスを利用できます。
インターネットとの境界にあるルーターやファイアウォールでNAT・NAPT等を利用すれば、複数の社内端末で外部IPv4アドレスを共有できます。
よくある間違い1:「グローバルIP=固定IP」と思う
違います。
グローバルIPでも固定の場合と動的に変わる場合があります。
固定・動的と、グローバル・プライベートは別の分類です。
よくある間違い2:「192から始まるIPは全部プライベート」と思う
違います。
RFC 1918のプライベート範囲は192.168.0.0/16だけです。
よくある間違い3:「172から始まるIPは全部プライベート」と思う
違います。
プライベートなのは172.16.0.0〜172.31.255.255です。
よくある間違い4:「100.64.x.xは普通のプライベートIP」と思う
RFC 1918のPrivate-Useではありません。
100.64.0.0/10は、主にCGNのためにRFC 6598で予約されたShared Address Spaceです。
よくある間違い5:「インターネットで使えないアドレスは全部プライベートIP」と思う
違います。
Loopback、Link-Local、文書用、Shared Address Spaceなど、プライベート以外にも多くの特殊用途アドレスがあります。
よくある間違い6:「グローバルIPがあれば外部から必ず接続できる」と思う
ファイアウォール・ポート・サーバー設定等によって接続できない場合があります。
よくある間違い7:「IPv6にはグローバル・ローカルの違いがない」と思う
IPv6にもGlobal Unicast AddressやUnique Local Address、Link-Local Addressなど、用途・スコープの異なるアドレスがあります。
「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」に関するよくある質問
Q1. 一番簡単な違いは何ですか?
グローバルIPはインターネット側で利用するアドレス、プライベートIPは家庭・会社など内部ネットワークで利用するアドレスです。
Q2. プライベートIPv4アドレスは何種類ありますか?
RFC 1918では、10.0.0.0/8、172.16.0.0/12、192.168.0.0/16の3ブロックが定められています。
Q3. 192.168.1.1はグローバルIPですか?
いいえ。
192.168.0.0/16に含まれるため、RFC 1918のプライベートIPv4アドレスです。
Q4. 100.64.1.1はプライベートIPですか?
RFC 1918のPrivate-Useではありません。
100.64.0.0/10に含まれるShared Address Spaceで、主にCGN用途です。
Q5. 固定IPとグローバルIPは同じですか?
違います。
グローバルIPにも固定・動的があり、プライベートIPも固定設定できます。
Q6. 自宅のパソコンにはグローバルIPがありますか?
IPv4では、一般的な家庭環境ならパソコン自身にはプライベートIPv4アドレスが割り当てられ、ルーター等を経由して外部通信する構成が多くあります。
IPv6では端末自身がグローバルユニキャストアドレスを持つ場合があります。
Q7. グローバルIPを変更できますか?
契約・ISPの方式によります。
動的割り当てなら変更される場合がありますが、利用者が好きなグローバルアドレスを自由に指定できるわけではありません。
Q8. プライベートIPは自由に変更できますか?
自分で管理しているLANなら変更できますが、サブネット設定やDHCP、ゲートウェイ等との整合性が必要です。
誤った設定では通信できなくなったり、IPアドレスの重複が発生したりします。
Q9. グローバルIPを他人に知られると危険ですか?
グローバルIPアドレスは通信を行ううえで相手側から見える情報です。
知られただけで直ちに端末を乗っ取られるわけではありませんが、公開サービスの脆弱性、不要な開放ポート、ファイアウォール設定等には注意が必要です。
Q10. グローバルIPとプライベートIPはどう確認すればよいですか?
プライベートIPはOSのネットワーク情報から確認できます。
Windowsなら「ipconfig」などを利用できます。
インターネット側から見えるIPアドレスは、ルーターの接続情報やIPアドレス確認サービス等で確認できます。
ただしCGNAT環境では、ルーターのWAN側IPv4アドレスと、インターネット側から見えるIPv4アドレスが異なる場合があります。
まとめ
「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」は、どちらもIPアドレスですが、利用する範囲が異なります。
| グローバルIPアドレス | プライベートIPアドレス |
|---|---|
| インターネット側で利用 | 家庭・会社など内部ネットワークで利用 |
| グローバルに管理 | 別ネットワークで再利用可能 |
| 固定・動的の両方あり | 固定・動的の両方あり |
| インターネット通信の外部側アドレス | 192.168.x.xなど |
| 特殊用途アドレスとは区別が必要 | RFC 1918で3範囲を規定 |
最も簡単な覚え方は、
グローバルIP=「インターネット側の住所」
プライベートIP=「家庭・会社内の住所」
です。
IPv4のプライベートアドレスは、
10.0.0.0/8
172.16.0.0/12
192.168.0.0/16
の3範囲です。
これらは世界中の家庭・会社で繰り返し利用できます。
家庭用ルーターではNAT・NAPTによって、内部のプライベートIPv4アドレスと外部通信を対応付けることで、複数端末がインターネットを利用できます。
ただし、
グローバルIP=固定IP
プライベートIP=動的IP
ではありません。
固定・動的は別の分類です。
また、
100.64.0.0/10=RFC 1918のプライベートIP
でもありません。
これはCGN向けShared Address Spaceです。
さらに、
- 127.0.0.0/8=Loopback
- 169.254.0.0/16=Link Local
- 192.0.2.0/24等=Documentation
のように、プライベート以外にも特殊用途IPv4アドレスがあります。
したがって、IPアドレスを正しく見分けるには、
「グローバルかプライベートか」だけでなく、「特殊用途として予約されたアドレスではないか」
まで確認することが重要です。
ネットワークの関係を整理するなら、
プライベートIP=LAN内部のアドレス
NAT・NAPT=内部と外部の通信を対応付ける仕組み
グローバルIP=インターネット側で利用するアドレス
CGNAT=さらにISP側でIPv4アドレスを共有する仕組み
と理解すると分かりやすいでしょう。
参考リンク・出典
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IETF / RFC Editor「RFC 1918: Address Allocation for Private Internets」
― IPv4のPrivate Address Spaceとして10.0.0.0/8、172.16.0.0/12、192.168.0.0/16を規定。複数の組織がこれらのアドレスを独立して再利用できることを説明 -
IANA「Private-use IP addresses」
― RFC 1918の3つのIPv4プライベートアドレス範囲を掲載し、プライベートネットワーク内で使用され、パブリックインターネットへ現れるべきではないアドレスであることを説明 -
IANA「IPv4 Special-Purpose Address Space」
― Private-Use、Shared Address Space、Loopback、Link Local、Documentationなど、IPv4の特殊用途アドレスを一覧化し、Globally Reachableかどうか等を掲載 -
IETF / RFC Editor「RFC 6598: IANA-Reserved IPv4 Prefix for Shared Address Space」
― CGN向けShared Address Spaceとして100.64.0.0/10を規定し、RFC 1918のPrivate Address Spaceとは用途が異なることを説明 -
IETF / RFC Editor「RFC 4291: IP Version 6 Addressing Architecture」
― IPv6の128ビットアドレス体系、Global Unicast Address、Link-Local Address、Loopback等を規定 -
IETF / RFC Editor「RFC 4193: Unique Local IPv6 Unicast Addresses」
― IPv6のローカル通信用Unique Local Addressを規定し、通常のグローバルインターネットではルーティングされることを想定しないアドレスとして説明
※本記事では一般的な日本語のネットワーク用語に合わせて「グローバルIPアドレス」と表現しています。IETF・IANAの仕様では、IPv6のGlobal Unicast AddressやIPv4 Special-Purpose Address Registryの「Globally Reachable」など、より具体的な用語・分類が使われます。
※「RFC 1918以外のIPv4アドレス=すべてグローバルIP」と単純に判断することはできません。100.64.0.0/10、127.0.0.0/8、169.254.0.0/16、文書用アドレスなど、さまざまな特殊用途範囲があります。
※固定IP・動的IPと、グローバルIP・プライベートIPは別の分類です。グローバルIPにも固定・動的があり、プライベートIPにも固定・動的があります。
※CGNAT環境では、利用者のルーターへ専用のグローバルIPv4アドレスが直接割り当てられない場合があります。その場合、一般的なポートフォワーディングだけでは外部からの接続が難しいことがあります。
※IPv6ではIPv4のRFC 1918アドレスとは異なるアドレス体系が使われます。Global Unicast Address、Unique Local Address、Link-Local Addressなどを用途に応じて区別してください。
