インターネット回線やネットワーク設定を見ていると、
「固定IPアドレス」
「動的IPアドレス」
という言葉が登場します。
自宅サーバーやNAS、監視カメラなどについて調べたときに、
「固定IPが必要です」
と説明されることもあります。
しかし、
「固定IPと動的IPは何が違う?」
「固定IP=グローバルIP?」
「192.168.1.10を固定したら固定グローバルIPになる?」
「DHCPを使ったら必ず動的IP?」
「動的IPはルーターを再起動すると必ず変わる?」
「固定IPがないと自宅サーバーは公開できない?」
と迷うことがあります。
結論からいうと、「固定IPアドレス」は同じ機器・回線などで継続的に同じIPアドレスを利用する構成を指し、「動的IPアドレス」は利用するIPアドレスがネットワーク側から必要に応じて割り当てられ、将来変更される可能性がある構成を指します。
一言で覚えるなら、
固定IP=「基本的に同じ番号を使い続ける」
動的IP=「ネットワーク側から借りるため、変わる可能性がある」
です。
ただし重要なのは、
固定/動的
と、
グローバル/プライベート
は別の分類だという点です。
たとえば、
- 固定グローバルIP
- 動的グローバルIP
- 固定プライベートIP
- 動的プライベートIP
のすべてが存在し得ます。
また、「固定IP」という日常的な言葉と、DHCPの「manual allocation」「automatic allocation」などの技術用語も完全に同じではありません。
この記事では、「固定IPアドレス」と「動的IPアドレス」の違いから、DHCP、DHCP予約、固定グローバルIP、プライベートIP、DDNS、自宅サーバー、IPv6との関係まで詳しく解説します。
- 「固定IPアドレス」と「動的IPアドレス」の違い【結論】
- 「固定IPアドレス」とは?
- 「動的IPアドレス」とは?
- 動的IPは「接続するたび変わる」という意味?
- ルーターを再起動すれば動的IPは必ず変わる?
- DHCPとは?
- DHCP=動的IPなの?
- 「DHCP予約」とは?
- DHCP予約と手動固定IPの違い
- 手動固定IPで注意すること
- 「固定IP」と「グローバルIP」の違い
- 「固定グローバルIP」とは?
- 「固定プライベートIP」とは?
- 「動的グローバルIP」とは?
- 「動的プライベートIP」とは?
- 固定IPは何に便利?
- 普通のスマホやパソコンにも固定IPは必要?
- 「サーバー=必ず固定IP」?
- 動的グローバルIPでも自宅サーバーを公開できる?
- 「DDNS」とは?
- 「Dynamic DNS」と「DNS UPDATE」の関係
- 固定グローバルIPがあればDDNSは不要?
- DDNSがあれば固定IPとまったく同じ?
- 固定IPはセキュリティ的に危険?
- 動的IPなら攻撃されない?
- 固定IPなら通信速度が速くなる?
- 固定IPにするとインターネットが安定する?
- 固定IPが役立つ「接続元IP制限」とは?
- ただしIPアドレスだけで本人確認は十分?
- CGNAT環境なら固定IPはどうなる?
- 固定IPを契約すればポート開放できる?
- IPv6にも固定IP・動的IPはある?
- IPv6のアドレスはずっと同じ?
- 「固定IP・動的IP」で迷ったときの3秒判定
- 「固定IPアドレス」を使った例文
- 「動的IPアドレス」を使った例文
- 具体例で比較:家庭内のNAS
- 具体例で比較:自宅サーバー
- よくある間違い1:「固定IP=グローバルIP」と思う
- よくある間違い2:「DHCPを使えば必ず動的IP」と思う
- よくある間違い3:「動的IPは接続するたび必ず変わる」と思う
- よくある間違い4:「ルーターを再起動すればIPを変更できる」と思う
- よくある間違い5:「固定IPなら通信速度が速い」と思う
- よくある間違い6:「DDNSがあれば固定IPと完全に同じ」と思う
- よくある間違い7:「固定IPならファイアウォール不要」と思う
- 「固定IPアドレス」と「動的IPアドレス」に関するよくある質問
- まとめ
- 参考リンク・出典
「固定IPアドレス」と「動的IPアドレス」の違い【結論】
| 比較項目 | 固定IPアドレス | 動的IPアドレス |
|---|---|---|
| IPアドレス | 基本的に同じものを継続利用 | 変更される可能性がある |
| 設定方法 | 手動設定、DHCP予約、ISP契約など | DHCPやISP側の割り当てなど |
| 管理 | 設定・重複管理が必要 | 自動化しやすい |
| 家庭内LAN | NAS・プリンター・サーバー等で便利 | PC・スマホ等で一般的 |
| インターネット回線 | 固定グローバルIPサービス等 | 家庭向け回線などで利用される |
| 外部からの接続 | 接続先を一定にしやすい | DDNS等が必要になることがある |
| DHCPとの関係 | DHCPを使って固定的に割り当てることも可能 | DHCPの動的割り当てが代表例 |
3秒で判断するなら、
「同じIPアドレスを継続して使いたい?」 → 固定IP
「空いているIPアドレスを自動的に借りる?」 → 動的IP
と考えると分かりやすいでしょう。
「固定IPアドレス」とは?
継続して同じIPアドレスを利用する構成
固定IPアドレスとは、一般に、特定の端末・サーバー・回線などへ、継続的に同じIPアドレスを使用させる構成を指します。
英語では、
Static IP Address
と呼ばれることがあります。
たとえば社内NASを、
192.168.1.100
で利用すると決め、今後も同じアドレスでアクセスできるようにするケースです。
利用者は、
\\192.168.1.100
など、決まった接続先として扱いやすくなります。
「動的IPアドレス」とは?
必要に応じてネットワーク側から割り当てられるIPアドレス
動的IPアドレスは、端末や回線が接続したときなどに、利用可能なIPアドレスを自動的に割り当てる構成を指します。
代表例が、
DHCPによる動的割り当て
です。
RFC 2131ではDHCPの「dynamic allocation」について、一定期間、またはクライアントが明示的に返却するまでIPアドレスを割り当てる方式と定義しています。
利用者がIPアドレスを1台ずつ手入力する必要がなく、多数の端末を効率的に管理できます。
動的IPは「接続するたび変わる」という意味?
必ず変わるわけではありません。
ここは非常に重要です。
動的IPとは、
「変更される可能性があるIPアドレス」
と考えるほうが正確です。
同じ端末が何度接続しても、DHCPサーバーの状態によっては長期間同じIPアドレスを割り当てられることがあります。
家庭のインターネット回線でも、動的なグローバルIPv4アドレスが数日・数週間・それ以上変わらないことがあります。
したがって、
「昨日と今日で同じIPだから固定IP契約」
とは判断できません。
ルーターを再起動すれば動的IPは必ず変わる?
必ずではありません。
ISPや接続方式によっては、再接続しても以前と同じアドレスが再び割り当てられることがあります。
逆に、回線を切断しなくても事業者側の都合などで変更される可能性があります。
つまり、
動的IP=利用者が好きなタイミングで変更できるIP
でもありません。
DHCPとは?
DHCPは、
Dynamic Host Configuration Protocol
の略です。
ネットワークへ接続した端末に、
- IPアドレス
- サブネットマスク
- デフォルトゲートウェイ
- DNSサーバー
などのネットワーク設定を自動的に提供するために利用されます。
家庭ではWi-FiルーターがDHCPサーバーとして動作し、スマートフォンやパソコンへIPアドレスを配布していることが多くあります。
DHCP=動的IPなの?
完全な同義語ではありません。
RFC 2131ではDHCPのアドレス割り当て方法として、次の3種類を示しています。
| 方式 | 概要 |
|---|---|
| Automatic allocation | DHCPがクライアントへ恒久的なIPアドレスを割り当てる |
| Dynamic allocation | 一定期間などの条件でIPアドレスを割り当てる |
| Manual allocation | 管理者が決めたIPアドレスをDHCPがクライアントへ通知する |
つまり、
DHCP=必ず毎回違うIPアドレスを配る仕組み
ではありません。
管理者が特定端末へ決まったIPアドレスを割り当て、その設定をDHCP経由で端末へ伝えることもできます。
「DHCP予約」とは?
家庭用ルーターや企業ネットワークでは、
DHCP予約
固定割り当て
アドレス予約
などと呼ばれる機能があります。
これは、特定の端末を識別し、毎回同じプライベートIPアドレスを割り当てる設定です。
たとえばNASへ、
192.168.1.100
を予約しておけば、NAS側はDHCPによる自動取得のままでも、基本的に同じアドレスを使用できます。
DHCP予約と手動固定IPの違い
| 比較項目 | DHCP予約 | 端末側の手動固定 |
|---|---|---|
| 設定する場所 | DHCPサーバー・ルーター | 端末自身 |
| 端末側 | 自動取得のままでよい場合が多い | IP等を手動入力 |
| 一元管理 | しやすい | 端末ごとに管理 |
| 重複防止 | DHCP側で管理しやすい | 管理者が注意する必要あり |
家庭内のNASやプリンターを固定したい場合は、対応ルーターであればDHCP予約を利用すると管理しやすい場合があります。
手動固定IPで注意すること
たとえば端末Aへ、
192.168.1.100
を手動設定したとします。
ところがDHCPサーバーがそのことを知らず、同じ192.168.1.100を別の端末Bへ配ってしまうと、
IPアドレスの重複
が発生する可能性があります。
そのため手動固定する場合は、
- DHCP配布範囲の外を利用する
- DHCP側で除外設定をする
- DHCP予約を利用する
など、アドレス管理が重要です。
「固定IP」と「グローバルIP」の違い
固定IPとグローバルIPは別の分類です。
固定/動的=IPアドレスが変わる可能性に関する分類
グローバル/プライベート=IPアドレスを利用する範囲に関する分類
です。
| 固定 | 動的 | |
|---|---|---|
| グローバルIP | 固定グローバルIP | 動的グローバルIP |
| プライベートIP | 固定プライベートIP | 動的プライベートIP |
この4種類を分けて理解すると混乱しにくくなります。
「固定グローバルIP」とは?
インターネット回線へ継続して同じグローバルIPアドレスを割り当てるサービスです。
ISPによっては、
固定IPサービス
などの名称で提供されています。
代表的な用途には、
- 自社サーバー公開
- VPN接続先
- 遠隔監視
- 接続元IPアドレスによるアクセス制限
などがあります。
「固定プライベートIP」とは?
家庭・会社内で、特定端末へ決まったプライベートIPアドレスを利用させる構成です。
たとえば、
NAS=192.168.1.100
プリンター=192.168.1.101
監視カメラ=192.168.1.102
と決めておけば、LAN内の利用者が毎回同じアドレスでアクセスできます。
これは固定IPですが、
固定グローバルIPではありません。
「動的グローバルIP」とは?
インターネット接続時などにISP側から割り当てられ、将来変更される可能性があるグローバルIPアドレスです。
一般家庭では、このような形で外部IPv4アドレスを利用する場合があります。
ただしCGNATやIPv4 over IPv6などでは、宅内ルーター自身へ専用グローバルIPv4アドレスが直接割り当てられない構成もあります。
「動的プライベートIP」とは?
家庭用LANで最も身近な例です。
スマートフォンをWi-Fiへ接続すると、ルーターのDHCPサーバーから、
192.168.1.23
などのプライベートIPv4アドレスが一定期間割り当てられます。
このアドレスは次回も同じ場合がありますが、別のアドレスへ変更される可能性もあります。
固定IPは何に便利?
固定IPの大きな利点は、
「接続先のIPアドレスが変わらない」
ことです。
特に、
- サーバー
- NAS
- プリンター
- 監視カメラ
- VPN
など、ほかの端末から接続される側で便利です。
接続するたびにIPアドレスが変わると、接続先設定も変更しなければならないからです。
普通のスマホやパソコンにも固定IPは必要?
多くの場合は必要ありません。
一般的なパソコン・スマートフォンは、
「ほかの端末から常に決まったIPアドレスで接続される」
用途ではないことが多いためです。
DHCPで自動的に設定したほうが管理しやすく、IPアドレスの重複なども避けやすくなります。
「サーバー=必ず固定IP」?
必ずとは限りません。
サーバーへ名前で接続し、DNSやロードバランサー等によって接続先を管理する構成もあります。
クラウド環境でも、サーバー本体のIPアドレスが永続的ではなくても、固定的な外部アドレスやロードバランサー、DNS名を別に提供する設計があります。
重要なのは、
利用者から見た接続先を安定して提供できるか
です。
動的グローバルIPでも自宅サーバーを公開できる?
条件が整えば可能です。
ただしグローバルIPアドレスが変更されると、以前のIPアドレスでは接続できなくなります。
そこで利用されることがあるのが、
DDNS(Dynamic DNS)
です。
「DDNS」とは?
DDNSは一般に、変化するIPアドレスと一定のホスト名・ドメイン名を対応させる仕組み・サービスを指します。
たとえば、
myhome.example.net
という名前を使い、グローバルIPアドレスが変わったときにDNS情報も更新します。
利用者は変化する数字のIPアドレスではなく、同じホスト名で接続し続けられます。
「Dynamic DNS」と「DNS UPDATE」の関係
IETFのRFC 2136では、DNSゾーンのリソースレコードを追加・削除できる、
DNS UPDATE
というプロトコルが規定されています。
ただし一般向けの「DDNSサービス」が必ずRFC 2136をそのまま利用しているとは限りません。
サービス事業者独自のAPIなどを使ってDNSレコードを更新する場合もあります。
そのため、
DDNS=RFC 2136そのもの
と完全に同一視しないほうが正確です。
固定グローバルIPがあればDDNSは不要?
通常、固定グローバルIPアドレスが変化しないのであれば、
「IPアドレス変更を追いかけてDNSを更新する」
という目的のDDNSは必要ありません。
通常のDNSレコードとして、固定IPアドレスを登録できます。
DDNSがあれば固定IPとまったく同じ?
完全に同じではありません。
IPアドレスが変化してからDNS側へ新しい情報が反映されるまで、一時的に古いアドレスが参照される可能性があります。
またDNSキャッシュのTTLなども影響します。
さらに、接続元IPアドレスを固定値として登録しなければならないシステムでは、DDNSでは代替できない場合があります。
固定IPはセキュリティ的に危険?
固定であること自体が脆弱性ではありません。
ただし外部から到達可能な固定グローバルIPでサーバーを公開すると、そのアドレスは長期間変わらないため、継続的にスキャンや攻撃の対象になる可能性があります。
そのため、
- 不要なポートを公開しない
- ファイアウォールを設定する
- OS・ソフトウェアを更新する
- 強力な認証を使う
- ログを監視する
などの対策が重要です。
一方、
動的IPなら安全
という意味でもありません。
動的IPなら攻撃されない?
いいえ。
インターネットへ公開されたサービスに脆弱性があれば、現在割り当てられているIPアドレスがスキャン対象になる可能性があります。
IPアドレスが将来変わることは、適切なセキュリティ対策の代わりにはなりません。
固定IPなら通信速度が速くなる?
通常、「IPアドレスが固定だから通信速度が速い」という関係はありません。
通信速度は、
- 回線速度
- ネットワーク混雑
- ISP
- 接続方式
- ルーター
- 相手サーバー
などによって決まります。
固定IPサービスが法人向け高速回線とセットになっている場合でも、速度向上は固定IPそのものの効果とは限りません。
固定IPにするとインターネットが安定する?
これもIPアドレスを固定しただけで回線品質が向上するわけではありません。
固定IPの主な利点は、
「接続先や接続元のアドレスを一定にできる」
ことです。
回線の速度・遅延・切断のしにくさとは別の問題です。
固定IPが役立つ「接続元IP制限」とは?
企業向けクラウドサービスなどでは、
「このIPアドレスから来た通信だけ許可する」
というアクセス制御を行うことがあります。
この場合、利用者側のグローバルIPアドレスが頻繁に変わると、許可リストの更新が必要になります。
固定グローバルIPなら同じアドレスを登録し続けられるため、接続元IP制限と相性がよい場合があります。
ただしIPアドレスだけで本人確認は十分?
十分とは限りません。
IPアドレスによる制限はアクセス制御の一要素として利用できますが、
- パスワード
- 多要素認証
- 証明書
- VPN
などと組み合わせることが重要です。
IPアドレスだけを「本人そのもの」と考えないようにしましょう。
CGNAT環境なら固定IPはどうなる?
CGNATでは、ISP側で多数の利用者がグローバルIPv4アドレスを共有します。
そのため宅内ルーターへ、外部から直接到達可能な専用グローバルIPv4アドレスが割り当てられない場合があります。
自宅サーバー・VPNなどをIPv4で外部公開したい場合には、
- 固定グローバルIPv4サービス
- 専用グローバルIPv4サービス
- IPv6による公開
- リレー・トンネル型サービス
など、回線事業者・用途に応じた別の方法が必要になることがあります。
固定IPを契約すればポート開放できる?
固定IPだけで自動的にポートが開くわけではありません。
外部から自宅サーバーへ接続するには、環境によって、
- グローバルIPの到達性
- ルーターのポートフォワーディング
- ルーターのファイアウォール
- 端末側ファイアウォール
- サーバーアプリの待ち受け設定
なども必要です。
固定IP=外部から全ポートへ自由に接続できる
という意味ではありません。
IPv6にも固定IP・動的IPはある?
あります。
IPv6だからアドレスが必ず固定というわけではありません。
IPv6では、
- SLAAC
- DHCPv6
- 手動設定
など複数の方法でアドレスを設定できます。
2026年1月公開のRFC 9915では、DHCPv6によってIPv6ノードへネットワーク設定、IPv6アドレス、プレフィックスなどを提供する仕組みが規定されています。
IPv6のアドレスはずっと同じ?
必ずではありません。
ISPから割り当てられるIPv6プレフィックスが変更されれば、端末のグローバルIPv6アドレスも変化する場合があります。
またIPv6には、プライバシー向上を目的として、一時的なアドレスを利用する仕組みも存在します。
そのため、
「IPv6=固定IP」
とは考えないようにしましょう。
「固定IP・動的IP」で迷ったときの3秒判定
| こんな場合 | 答え |
|---|---|
| 同じIPを継続して使う | 固定IP |
| 将来IPが変更される可能性がある | 動的IP |
| NASを192.168.1.100へ固定 | 固定プライベートIP |
| スマホがDHCPからアドレスを取得 | 一般に動的プライベートIP |
| ISPから毎回同じ外部IPを提供 | 固定グローバルIP |
| ISP側で外部IPが変わる可能性 | 動的グローバルIP |
| DHCP予約 | DHCPを利用した固定的な割り当て |
| 変化するIPへ同じ名前で接続 | DDNS |
最も簡単に覚えるなら、
固定IP=「住所が基本的に変わらない」
動的IP=「住所が変わる可能性がある」
です。
「固定IPアドレス」を使った例文
- NASへ固定IPアドレスを設定する。
- VPN用に固定グローバルIPアドレスを契約する。
- プリンターへ固定IPアドレスを割り当てる。
- DHCP予約で固定IPアドレスとして利用する。
- 接続元制限のため固定グローバルIPアドレスを登録する。
「動的IPアドレス」を使った例文
- パソコンがDHCPから動的IPアドレスを取得する。
- 動的グローバルIPアドレスが変更された。
- DDNSで動的IPアドレスの変更に対応する。
- スマートフォンへ動的プライベートIPアドレスが割り当てられた。
- 動的IPアドレスでも長期間同じ値になることがある。
具体例で比較:家庭内のNAS
NASを購入し、自宅LANへ接続したとします。
NASのIPアドレスがDHCPによって、
192.168.1.30
になりました。
後日、
192.168.1.45
へ変わると、IPアドレスを直接指定していたパソコンから接続できなくなる場合があります。
そこで、
192.168.1.100
をDHCP予約しておけば、NASの接続先を一定にできます。
具体例で比較:自宅サーバー
自宅サーバーをインターネットへ公開するとします。
固定グローバルIPなら、
同じIPアドレスを接続先として継続利用
できます。
動的グローバルIPの場合は、IPアドレスが変わる可能性があります。
そこでDDNSを利用し、
home.example.net
のようなホスト名を最新のIPアドレスへ更新すれば、利用者は同じ名前で接続しやすくなります。
よくある間違い1:「固定IP=グローバルIP」と思う
違います。
LAN内の192.168.1.100を固定することも固定IPです。
固定/動的とグローバル/プライベートは別々の分類です。
よくある間違い2:「DHCPを使えば必ず動的IP」と思う
DHCPには動的割り当てだけでなく、管理者が決めたアドレスをクライアントへ通知するManual Allocationなどもあります。
家庭用ルーターのDHCP予約も、固定的にアドレスを利用する代表的な方法です。
よくある間違い3:「動的IPは接続するたび必ず変わる」と思う
必ずではありません。
同じアドレスが長期間再利用されることもあります。
重要なのは、将来変更される可能性があることです。
よくある間違い4:「ルーターを再起動すればIPを変更できる」と思う
再接続しても同じグローバルIPが再び割り当てられる場合があります。
実際の割り当てはISPや接続方式によって異なります。
よくある間違い5:「固定IPなら通信速度が速い」と思う
IPアドレスを固定すること自体が、回線速度を高速化するわけではありません。
固定IPと通信速度は別の問題です。
よくある間違い6:「DDNSがあれば固定IPと完全に同じ」と思う
DDNSはIP変更へ追従できる便利な仕組みですが、DNS更新・キャッシュ等による時間差が発生する可能性があります。
接続元IPを固定値として登録する用途では代替できないこともあります。
よくある間違い7:「固定IPならファイアウォール不要」と思う
固定IPは接続先を一定にする仕組みであり、セキュリティ機能ではありません。
サーバーを外部公開するなら、ファイアウォール・認証・アップデート等が必要です。
「固定IPアドレス」と「動的IPアドレス」に関するよくある質問
Q1. 固定IPと動的IPの一番簡単な違いは?
固定IPは基本的に同じIPアドレスを継続利用し、動的IPは将来IPアドレスが変更される可能性があります。
Q2. 固定IPとグローバルIPは同じですか?
違います。
グローバルIPにも固定・動的があり、プライベートIPにも固定・動的があります。
Q3. DHCPを使って固定IPにできますか?
できます。
DHCPサーバー側で特定端末へ特定アドレスを割り当てる設定ができます。
家庭用ルーターではDHCP予約などの名称で提供されることがあります。
Q4. 動的IPは毎日変わりますか?
必ずではありません。
割り当て方式によっては長期間同じこともあります。
Q5. 固定IPは有料ですか?
家庭内のプライベートIPを自分で固定するだけなら、通常それ自体にISP料金はかかりません。
一方、ISPから固定グローバルIPを提供してもらうサービスは、契約によって追加料金が必要になる場合があります。
Q6. NASには固定IPが必要ですか?
必須とは限りませんが、LAN内から安定して接続するため、DHCP予約などで一定のプライベートIPアドレスを利用すると管理しやすくなります。
Q7. 自宅サーバーには固定グローバルIPが必須ですか?
必須とは限りません。
動的グローバルIPとDDNSを組み合わせる方法などもあります。
ただしCGNAT環境では、別途外部から到達する方法を検討する必要があります。
Q8. 固定IPならポート開放できますか?
固定IPだけでは決まりません。
NAT、CGNAT、ファイアウォール、ISPの制限、サーバー設定なども関係します。
Q9. IPv6でも固定IPにできますか?
できます。
ただしIPv6にはSLAAC、DHCPv6、プライバシー用アドレスなどIPv4とは異なる仕組みもあります。
Q10. 一般家庭なら固定IPと動的IPのどちらがよいですか?
通常のWeb閲覧、動画視聴、メール、スマートフォン利用などであれば、動的な自動設定で困らない場合が多いでしょう。
固定IPが特に役立つのは、NAS、サーバー、VPN、監視機器、接続元IP制限など、IPアドレスを一定にする具体的な理由がある場合です。
まとめ
「固定IPアドレス」と「動的IPアドレス」の最大の違いは、IPアドレスが継続的に同じなのか、将来変更される可能性があるのかです。
| 固定IPアドレス | 動的IPアドレス |
|---|---|
| 基本的に同じIPを利用 | IPが変更される可能性がある |
| サーバー・NAS等で便利 | 一般端末の自動設定に便利 |
| 手動設定・DHCP予約等 | DHCP等による割り当て |
| 固定グローバルIPもある | 動的グローバルIPもある |
| 固定プライベートIPもある | 動的プライベートIPもある |
最も簡単に覚えるなら、
固定IP=「基本的に変わらないIP」
動的IP=「変わる可能性のあるIP」
です。
ただし、
固定IP=グローバルIP
動的IP=プライベートIP
ではありません。
実際には、
- 固定グローバルIP
- 動的グローバルIP
- 固定プライベートIP
- 動的プライベートIP
があります。
またDHCPについても、
DHCP=毎回違うIPを割り当てる仕組み
ではありません。
RFC 2131では、
- Automatic Allocation
- Dynamic Allocation
- Manual Allocation
という割り当て方法が定義されています。
家庭内でNASやプリンターのアドレスを一定にしたい場合には、端末へ直接IPアドレスを手入力するだけでなく、
DHCP予約
を使う方法もあります。
外部向けの動的グローバルIPについては、
DDNS
を利用して、変化するIPアドレスと同じホスト名を対応させることもできます。
ネットワーク用語を整理するなら、
固定/動的=IPアドレスが変化するか
グローバル/プライベート=どの範囲で使うIPか
DHCP=IPアドレス等を端末へ設定する仕組み
DDNS=変化するIPと名前を対応させるために利用される仕組み
と分けて考えると理解しやすいでしょう。
参考リンク・出典
-
IETF / RFC Editor「RFC 2131: Dynamic Host Configuration Protocol」
― DHCPv4の基本仕様。Automatic Allocation、Dynamic Allocation、Manual Allocationの3方式を説明し、Dynamic Allocationでは一定期間IPアドレスを貸し出して再利用できる仕組みを規定 -
IETF / RFC Editor「RFC 2136: Dynamic Updates in the Domain Name System (DNS UPDATE)」
― DNSゾーンのリソースレコードを動的に追加・削除するDNS UPDATEを規定。変化するDNS情報を更新する技術的基盤の一つ -
IETF / RFC Editor「RFC 1918: Address Allocation for Private Internets」
― IPv4のプライベートアドレス空間として10.0.0.0/8、172.16.0.0/12、192.168.0.0/16を規定 -
IETF / RFC Editor「RFC 9915: Dynamic Host Configuration Protocol for IPv6 (DHCPv6)」
― 2026年1月公開の現在のDHCPv6標準。IPv6ノードへネットワーク設定、IPv6アドレス、プレフィックス等を提供する仕組みを規定し、RFC 8415を置き換えている
※「固定IPアドレス」「動的IPアドレス」という表現は、ISPサービス、LAN設定、サーバー運用など複数の場面で使われます。本記事では「継続的に同じIPを利用する構成」と「将来変更される可能性がある割り当て」という一般的な意味で整理しています。
※「DHCPを利用する=必ず動的IP」という意味ではありません。RFC 2131ではAutomatic、Dynamic、Manualという複数の割り当て方式が定義されています。
※動的IPアドレスは「接続するたび必ず変化するIP」ではありません。長期間同じIPアドレスが再利用される場合もあります。
※DDNSという名称は広い意味で使われています。一般向けDDNSサービスが必ずRFC 2136のDNS UPDATEをそのまま利用しているとは限らず、独自API等でDNSレコードを更新するサービスもあります。
※固定グローバルIPアドレスを契約していても、ファイアウォールやポート設定を行わなければ外部から任意のサービスへ接続できるわけではありません。また固定IPそのものはセキュリティ機能ではありません。
