ルーターやネットワークについて調べていると、
「LAN」
「WAN」
という言葉をよく目にします。
家庭用Wi-Fiルーターの背面にも、
「LAN」
「WAN」
と書かれた端子があり、
「LANとWANは何が違う?」
「LANは有線、WANはインターネットという意味?」
「Wi-FiはLANに含まれる?」
「WANポートとLANポートには何をつなぐ?」
「LAN同士をつないだらWANになる?」
「インターネットとWANは同じ?」
と迷うことがあります。
結論からいうと、「LAN」は家庭・会社・学校など比較的限られた範囲の機器を接続するネットワークで、「WAN」は地理的に離れたLANや拠点などを広範囲に接続するネットワークです。
正式名称は、
LAN=Local Area Network
WAN=Wide Area Network
です。
一言で覚えるなら、
LAN=「近い範囲のネットワーク」
WAN=「離れた場所をつなぐ広域ネットワーク」
です。
IETFのRFC 1812では、LANを一般に建物や敷地など小さな地理的範囲をカバーするネットワーク、WANを地理的に分散したホストやLANを接続する広域ネットワークとして説明しています。
Ciscoも、LANを家庭・オフィス・学校など限られた場所の機器を接続するネットワーク、WANを複数のLANやネットワークを広い地理的範囲で接続するものとして説明しています。
この記事では、「LAN」と「WAN」の違いから、Wi-Fi、ルーター、ONU、LANポート・WANポート、IPアドレス、NAT、WLAN、VLAN、インターネットとの関係まで詳しく解説します。
- 「LAN」と「WAN」の違い【結論】
- 「LAN」とは?
- 家庭のWi-FiもLAN?
- LANでは何ができる?
- 「WAN」とは?
- インターネットはWAN?
- LANとWANの最大の違いは「地理的な範囲」
- LANは必ず自分で管理するネットワーク?
- 家庭用ルーターの「LANポート」と「WANポート」の違い
- WANポートには何をつなぐ?
- LANポートには何をつなぐ?
- LANポートとWANポートは形が同じなのに違う?
- ルーターはLANとWANの境界にある
- LAN側とWAN側ではIPアドレスも違う?
- WAN側は必ずグローバルIPアドレス?
- LANではなぜプライベートIPアドレスを使う?
- LANとWANの間でNATは必ず必要?
- Wi-FiルーターのWi-Fi側はLAN?
- 「WLAN」と「WAN」は名前が似ているが別物
- 「VLAN」とLANの違い
- 「MAN」とは?
- 離れた2つのLANをVPNでつなぐとWAN?
- WANは必ず遅い?
- WANでは必ず通信事業者を使う?
- 「SD-WAN」とは?
- 「LAN・WAN」で迷ったときの3秒判定
- 「LAN」を使った例文
- 「WAN」を使った例文
- 具体例で比較:一般家庭のネットワーク
- 具体例で比較:企業の東京本社と大阪支社
- よくある間違い1:「LAN=LANケーブル」と思う
- よくある間違い2:「WAN=インターネット」と思う
- よくある間違い3:「WANポートには必ずグローバルIPが付く」と思う
- よくある間違い4:「Wi-FiはLANとは別物」と思う
- よくある間違い5:「LANはIPアドレス、WANは別の仕組み」と思う
- よくある間違い6:「LANとWANの間には必ずNATがある」と思う
- よくある間違い7:「WANは必ずLANより遅い」と思う
- 「LAN」と「WAN」に関するよくある質問
- まとめ
- 参考リンク・出典
「LAN」と「WAN」の違い【結論】
| 比較項目 | LAN | WAN |
|---|---|---|
| 正式名称 | Local Area Network | Wide Area Network |
| 主な範囲 | 家庭・会社・学校・建物など比較的限定された範囲 | 離れた地域・都市・拠点など広い範囲 |
| 代表例 | 自宅ネットワーク、社内ネットワーク | 拠点間ネットワーク、通信事業者ネットワークなど |
| 主な機器 | スイッチ、アクセスポイント、ルーター等 | ルーター、通信事業者設備等 |
| Wi-Fi | 無線LANとしてLANを構成できる | WANそのものではない |
| インターネット | インターネットへ接続する側 | インターネットは巨大なWANの一例と考えられる |
| 家庭用ルーター | LAN側インターフェースを持つ | WAN側インターフェースを持つ |
3秒で判断するなら、
「自宅・会社の中のネットワーク?」 → LAN
「離れたネットワーク同士をつなぐ?」 → WAN
と考えると分かりやすいでしょう。
「LAN」とは?
限られた範囲の機器を接続するネットワーク
LANは、
Local Area Network
の略です。
「Local」は、
局所的な・地域的な
という意味があります。
CiscoではLANについて、家庭、オフィス、建物など、1つの限られた物理的な場所に存在する機器を接続するネットワークと説明しています。
たとえば自宅で、
- パソコン
- スマートフォン
- テレビ
- NAS
- プリンター
- ゲーム機
を同じネットワークへ接続している場合、そのネットワークがLANです。
家庭のWi-FiもLAN?
はい。
LANは「LANケーブルで接続するもの」という意味ではありません。
無線で構成するLANは、
WLAN(Wireless LAN)
と呼ばれます。
Wi-FiはWLANを実現する代表的な技術です。
そのため、
LAN=有線
Wi-Fi=LANではない
という理解は正しくありません。
自宅のネットワークでは、
有線Ethernet+Wi-Fi
を組み合わせて1つのLANを構成することがあります。
LANでは何ができる?
LAN内では、インターネットを経由しなくても機器同士で通信できます。
たとえば、
- PCからNASへファイルを保存する
- PCからネットワークプリンターへ印刷する
- スマートフォンからテレビへ映像を送る
- 家庭内サーバーへ接続する
といった通信です。
インターネット回線が一時的に停止していても、LAN自体が正常なら家庭内の機器同士で通信できる場合があります。
つまり、
LANとインターネットは同じものではありません。
「WAN」とは?
地理的に離れたネットワークを接続する広域ネットワーク
WANは、
Wide Area Network
の略です。
「Wide Area」は、
広い範囲
という意味です。
RFC 1812では、地理的に分散しているホストやLANを接続するネットワークをWANと説明しています。
Ciscoも、WANを複数のLANやネットワークを広い地理的範囲で接続する「ネットワークのネットワーク」と説明しています。
たとえば企業が、
- 東京本社
- 大阪支社
- 福岡営業所
のLANを通信回線で接続している場合、その拠点間をつなぐネットワークはWANの一例です。
インターネットはWAN?
広い意味では、世界最大規模のWANと考えることができます。
Ciscoも、インターネットを世界最大のWANとして説明しています。
ただし、
WAN=インターネットだけ
ではありません。
企業が通信事業者の専用回線やMPLS、VPNなどを使って複数拠点を接続するネットワークもWANです。
つまり、
インターネットはWANの代表例の一つ
と考えると分かりやすいでしょう。
LANとWANの最大の違いは「地理的な範囲」
LANとWANの違いとして最も基本的なのが、
ネットワークがカバーする範囲
です。
一般的には、
LAN=建物・家庭・オフィスなど限定された範囲
WAN=都市・地域・国などをまたぐ広い範囲
と整理できます。
ただし、
「何メートルまでなら必ずLAN、何キロ以上なら必ずWAN」
という単純な距離だけの境界があるわけではありません。
RFC 1932でも、LAN・MAN・WANの区別は基本的に地理的な分散に関係するとしながら、ネットワークの技術的特徴を一律に決められるわけではないことが指摘されています。
LANは必ず自分で管理するネットワーク?
家庭LANなら、多くの場合は利用者自身がWi-Fiルーターなどを管理します。
会社では情報システム部門やネットワーク管理者が管理することがあります。
一方WANでは、
- 通信事業者
- ISP
- 企業のネットワーク部門
など、複数の主体が関係する場合があります。
ただし、
LAN=自分所有、WAN=通信会社所有
と厳密に決まっているわけではありません。
家庭用ルーターの「LANポート」と「WANポート」の違い
家庭用Wi-Fiルーターを見ると、
LAN
と書かれたポートと、
WAN
や、
Internet
と書かれたポートがあります。
これは、ルーターの、
家庭内ネットワーク側
と、
外部ネットワーク側
を区別しています。
| ポート | 主な接続先 |
|---|---|
| LANポート | PC、テレビ、NAS、スイッチングハブなど |
| WANポート | ONU、モデム、ホームゲートウェイ、上位ルーターなど |
WANポートには何をつなぐ?
光回線でONUと市販Wi-Fiルーターを使う代表的な構成なら、
光ファイバー
↓
ONU
↓
Wi-FiルーターのWANポート
↓
LAN・Wi-Fi端末
となります。
つまりWANポートは、
「家庭LANの外側へ向かう接続口」
と考えると分かりやすいでしょう。
LANポートには何をつなぐ?
LANポートには、家庭内LANへ参加させる機器を接続します。
たとえば、
- パソコン
- NAS
- テレビ
- ゲーム機
- プリンター
- スイッチングハブ
などです。
LANポートが足りなくなったら、スイッチングハブを追加することで有線端末を増やせます。
LANポートとWANポートは形が同じなのに違う?
見た目が同じRJ-45系Ethernet端子でも、論理的な役割が異なる場合があります。
一般的な家庭用ルーターでは、
LAN側=家庭内ネットワーク
WAN側=ISP・上位ネットワーク側
として別のインターフェースに設定されています。
そのため単にコネクターの形を見るだけではなく、機器の表示や設定を確認する必要があります。
一部のルーターでは、設定によってLANポートとWANポートの役割を変更できる製品もあります。
ルーターはLANとWANの境界にある
家庭用ルーターの役割を理解すると、LANとWANの関係も分かりやすくなります。
RFC 7084では家庭向けIPv6ルーターについて、
LAN Interface
を利用者側ネットワークへの接続、
WAN Interface
をサービスプロバイダー側ネットワークへの接続として定義しています。
つまり家庭用ルーターは、
LAN側とWAN側の間でIPパケットを転送する境界装置
と考えられます。
LAN側とWAN側ではIPアドレスも違う?
一般的な家庭用IPv4環境では異なるアドレスになります。
たとえば、
LAN側ルーター:192.168.1.1
PC:192.168.1.20
という家庭内ネットワークがあるとします。
WAN側ではISPから、LAN側とは別のIPv4アドレスが割り当てられます。
家庭用ルーターには、
LAN側IPアドレス
と、
WAN側IPアドレス
の両方が存在することがあります。
WAN側は必ずグローバルIPアドレス?
必ずではありません。
家庭用ルーターのWAN側に、ISPから専用のグローバルIPv4アドレスが割り当てられる構成もあります。
しかし、
- 上位にもルーターがある
- 二重NATになっている
- CGNATを利用している
- IPv4 over IPv6サービスを利用している
などの場合、WAN側に表示されるIPv4アドレスが一般的な専用グローバルIPv4アドレスとは限りません。
したがって、
WAN=必ずグローバルIP
と覚えるのは正確ではありません。
LANではなぜプライベートIPアドレスを使う?
IPv4の家庭LANでは、
- 10.0.0.0/8
- 172.16.0.0/12
- 192.168.0.0/16
のプライベートアドレスが広く使われています。
たとえば、
192.168.1.10
192.168.1.11
のようなアドレスです。
家庭用ルーターがNAT・NAPTを利用すれば、多数のLAN内端末が外部IPv4通信を共有できます。
LANとWANの間でNATは必ず必要?
必ずではありません。
NATはLANとWANの定義そのものではありません。
家庭用IPv4環境ではプライベートIPv4アドレスと外部側アドレスを接続するため、NAPTが非常に広く使われています。
しかし企業ネットワークやIPv6などでは、NATを使わずルーティングする構成もあります。
つまり、
LAN=NAT内側
WAN=NAT外側
という関係は家庭用IPv4では分かりやすいものの、LAN・WANそのものの定義ではありません。
Wi-FiルーターのWi-Fi側はLAN?
通常はLAN側です。
家庭用Wi-Fiルーターでは、
- LANポートに接続した有線端末
- Wi-Fiに接続した無線端末
が同じLANに所属する構成が一般的です。
たとえば、
有線PC:192.168.1.10
Wi-Fiスマホ:192.168.1.20
のように、同じIPサブネットへ接続できます。
ただしゲストWi-Fiなどでは、通常のLANから論理的に分離される場合があります。
「WLAN」と「WAN」は名前が似ているが別物
非常に間違いやすい言葉です。
WLAN=Wireless Local Area Network
WAN=Wide Area Network
です。
WLANはLANの一種で、無線を利用するLANです。
WANとはまったく別の意味です。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| LAN | Local Area Network |
| WLAN | Wireless Local Area Network |
| WAN | Wide Area Network |
「VLAN」とLANの違い
VLANは、
Virtual LAN
の略です。
物理的には同じスイッチ等に接続されている端末を、論理的に別々のLANへ分割する技術です。
たとえば、
VLAN 10=社員PC
VLAN 20=監視カメラ
VLAN 30=ゲスト端末
のように分離できます。
異なるVLAN間でIP通信するには、ルーターやL3スイッチ等によるルーティングが必要になります。
「MAN」とは?
LANとWANの中間的な用語として、
MAN(Metropolitan Area Network)
があります。
都市・地域規模のネットワークを指す言葉です。
大まかには、
LAN=建物・敷地など
MAN=都市・地域など
WAN=さらに広域
と整理できます。
ただし現実のネットワークでは技術が多様化しており、地理的距離だけで必ず明確に分類できるとは限りません。
離れた2つのLANをVPNでつなぐとWAN?
離れた事業所などのLANを、通信事業者回線やインターネットVPNで接続するネットワークは、広い意味でWAN構成と考えることができます。
たとえば、
東京LAN
↓
VPN・通信網
↓
大阪LAN
という形です。
利用者から見ると2拠点が1つの企業ネットワークのように利用できても、その間は広域ネットワークを経由しています。
WANは必ず遅い?
必ずではありません。
従来はLANについて、狭い範囲で高速・低遅延、WANについては長距離で遅延が大きいという特徴で説明されることが多くありました。
RFC 1812にも、LANは一般に小さな地理的範囲で高帯域・低遅延であると説明されています。
しかし現在は、
- 高速光回線
- Metro Ethernet
- 専用線
- 高速VPN
- 大容量通信事業者網
などがあるため、
LAN=必ず速い、WAN=必ず遅い
と単純に判断することはできません。
WANでは必ず通信事業者を使う?
地理的に離れた場所を接続するには、現実には通信事業者の設備やインターネットなどを利用する場合が多くあります。
Ciscoは、WANの物理的な接続方法として、
- 専用線
- 携帯通信
- 衛星通信
などを挙げています。
企業が独自にWAN全体を構築・管理する場合もありますが、通信事業者のサービスを利用する構成が一般的です。
「SD-WAN」とは?
WANについて調べると、
SD-WAN
という言葉も登場します。
SD-WANは、
Software-Defined Wide Area Network
の略です。
ソフトウェア・ポリシー等を利用して、複数のWAN回線や拠点間通信を柔軟に管理する考え方・技術です。
企業では、
- 専用線
- インターネット回線
- モバイル回線
などを組み合わせ、アプリケーションや通信状況に応じて経路を制御する用途があります。
家庭の「LANとWANの違い」を理解する段階では、
SD-WAN=企業の広域ネットワークを柔軟に管理する技術
程度に覚えておけば十分でしょう。
「LAN・WAN」で迷ったときの3秒判定
| こんな場合 | 答え |
|---|---|
| 家庭内のPC・NAS・プリンター | LAN |
| 会社のオフィス内ネットワーク | LAN |
| Wi-Fiで家庭内機器を接続 | WLAN=LANの一種 |
| 東京と大阪の拠点を接続 | WAN |
| 世界規模のインターネット | 巨大なWANの代表例 |
| ルーターのPC側端子 | LANポート |
| ルーターのONU側端子 | WANポート |
| Virtual LAN | VLAN |
| Wireless LAN | WLAN |
最も簡単に覚えるなら、
LAN=「家・会社の中」
WAN=「離れたネットワーク同士を結ぶ外側」
というイメージです。
「LAN」を使った例文
- パソコンを家庭内LANへ接続する。
- LAN内のNASへファイルを保存する。
- LANポートへスイッチングハブを接続する。
- Wi-Fiを使って無線LANへ接続する。
- VLANを利用して社内LANを論理的に分割する。
「WAN」を使った例文
- 東京本社と大阪支社をWANで接続する。
- ルーターのWANポートへONUを接続する。
- WAN側のIPアドレスを確認する。
- 通信事業者のWANサービスを利用する。
- SD-WANで複数拠点の通信を管理する。
具体例で比較:一般家庭のネットワーク
自宅で光回線を利用しているとします。
構成が、
インターネット
↓
通信事業者ネットワーク
↓
ONU
↓
Wi-Fiルーター
↓
PC・スマホ・NAS
となっている場合、家庭内のPC・スマホ・NASなどを結ぶネットワークがLANです。
ルーターの外側はISP等のネットワークにつながります。
家庭用ルーターは、
LANと外部ネットワークをつなぐ境界
に位置しています。
具体例で比較:企業の東京本社と大阪支社
東京本社には、
- PC
- プリンター
- サーバー
を接続した東京LANがあります。
大阪支社にも別のLANがあります。
この2つのLANを専用線やVPNなどで接続すれば、
離れたLAN同士を接続するWAN
を構成できます。
このように、WANは複数のLANを結ぶ役割を持つことがあります。
よくある間違い1:「LAN=LANケーブル」と思う
違います。
LANはネットワークそのものを表す言葉です。
LANケーブルはLANを構成するために利用できる物理媒体の一つです。
Wi-Fiによる無線LANもLANです。
よくある間違い2:「WAN=インターネット」と思う
インターネットは代表的な巨大WANと考えられますが、WANはインターネットだけを意味する言葉ではありません。
企業専用の拠点間ネットワークなどもWANです。
よくある間違い3:「WANポートには必ずグローバルIPが付く」と思う
必ずではありません。
二重ルーター、CGNAT、IPv4 over IPv6などの構成では、WAN側が一般的な専用グローバルIPv4アドレスにならない場合があります。
よくある間違い4:「Wi-FiはLANとは別物」と思う
Wi-Fiで構成するネットワークはWireless LAN、つまりWLANです。
LANの一種と考えられます。
よくある間違い5:「LANはIPアドレス、WANは別の仕組み」と思う
LANでもWANでもIPを利用できます。
LAN・WANの違いは、IPv4・IPv6のようなプロトコルバージョンの違いではありません。
よくある間違い6:「LANとWANの間には必ずNATがある」と思う
NATは家庭用IPv4環境で広く利用されていますが、LANとWANを区別する必須条件ではありません。
NATなしでルーティングする構成もあります。
よくある間違い7:「WANは必ずLANより遅い」と思う
一般的には広域通信のほうが伝送距離等による遅延が増えやすいですが、実際の性能は回線方式・帯域・混雑・経路等で変わります。
LAN・WANという分類だけで通信速度を決めることはできません。
「LAN」と「WAN」に関するよくある質問
Q1. LANとWANの一番簡単な違いは?
LANは比較的狭い範囲のネットワーク、WANは地理的に離れたLAN・拠点などを接続する広域ネットワークです。
Q2. Wi-FiはLANですか?
はい。
Wi-Fiは無線LANを構築する代表的な技術で、Wireless LANはLANの一種です。
Q3. インターネットはWANですか?
世界中の多数のネットワークを接続しているため、巨大なWANの代表例と考えることができます。
ただしWANという言葉はインターネットだけを意味しません。
Q4. LANケーブルとWANケーブルは違いますか?
家庭用ルーターでEthernet接続する場合、LAN側・WAN側の両方で同種のEthernetケーブルを利用することがあります。
「LAN」「WAN」はケーブルそのものの種類ではなく、接続するネットワーク側の役割を示しています。
Q5. WANポートとLANポートを逆につないでもよいですか?
通常のルーターモードでは役割が異なるため、メーカーが指定する接続方法に従う必要があります。
ONU等の上位機器はWAN・Internetポート、PCやスイッチ等はLANポートへ接続するのが代表的です。
Q6. LAN内の通信もインターネットを通りますか?
同じLAN内で直接通信できる構成なら、通常はインターネットを経由する必要はありません。
たとえばPCから同じLAN内のNASへアクセスする通信です。
Q7. LANがつながっていればインターネットも使えますか?
必ずではありません。
Wi-Fi・LANには正常に接続していても、ONU、WAN接続、ISP、DNSなどに問題があればインターネットを利用できない場合があります。
Q8. WANが切れてもWi-Fiは使えますか?
Wi-Fi自体は動作している場合があります。
WAN・インターネット接続が切れていても、同じLAN内のNASやプリンターなどへ通信できる場合があります。
Q9. LANとVLANは同じですか?
同じではありません。
VLANはVirtual LANの略で、物理的なネットワークを論理的に複数のLANへ分割するための技術です。
Q10. 家庭でWANを意識する必要はありますか?
通常の利用では詳しく意識しなくてもインターネットを使えます。
ただしルーター交換、二重ルーター対策、ポート開放、固定IP、IPv4 over IPv6などを設定するときは、LAN側とWAN側を区別できるとトラブルを理解しやすくなります。
まとめ
「LAN」と「WAN」は、ネットワークの範囲・役割を表す基本用語です。
| LAN | WAN |
|---|---|
| Local Area Network | Wide Area Network |
| 比較的狭い範囲 | 広い地理的範囲 |
| 家庭・会社・学校等 | 都市・地域・拠点間等 |
| Ethernet・Wi-Fi等を利用 | 専用線・インターネット・各種通信回線等を利用 |
| PC・NAS・プリンター等を接続 | 複数のLAN・拠点等を接続 |
最も簡単な覚え方は、
LAN=「近い範囲のネットワーク」
WAN=「離れたネットワークをつなぐ広域ネットワーク」
です。
家庭では一般に、
PC・スマホ・NAS・テレビなど=LAN側
ISP・インターネットへ向かう側=WAN側
となります。
そして両者の境界で通信を転送するのが、
ルーター
です。
ただし、
LAN=有線
WAN=インターネット
WAN=必ずグローバルIP
LANとWANの間=必ずNAT
と覚えるのは正確ではありません。
Wi-FiはWLANとしてLANを構成できます。
インターネット以外にもWANは存在します。
またLAN・WANの間をNATなしでルーティングするネットワークもあります。
ネットワーク全体の関係を整理するなら、
LAN=家庭・会社など内部のネットワーク
WLAN=無線で構成するLAN
WAN=離れたLAN・ネットワークを結ぶ広域ネットワーク
ルーター=LANと別ネットワークの間でIPパケットを転送
スイッチングハブ=主に同じLAN内の端末を接続
と理解すると分かりやすいでしょう。
参考リンク・出典
-
IETF / RFC Editor「RFC 1812: Requirements for IP Version 4 Routers」
― LANを一般に小さな地理的範囲をカバーするネットワーク、WANを地理的に分散したホストやLANを接続する広域ネットワークとして説明。またルーターが複数のネットワークを接続してIPデータグラムを転送する仕組みを規定 -
IETF / RFC Editor「RFC 7084: Basic Requirements for IPv6 Customer Edge Routers」
― 家庭向けIPv6ルーターのLAN Interfaceを利用者側ネットワークへの接続、WAN Interfaceをサービスプロバイダー側ネットワークへの接続として定義 -
Cisco「What Is a LAN? Local Area Network」
― LANを家庭・オフィス・学校など限られた場所にある機器を接続するネットワークとして解説。有線・無線の機器、スイッチ、アクセスポイント、ルーター等がLANを構成することを説明 -
Cisco「What Is a WAN? Wide-Area Network」
― WANを複数のLANやネットワークを広い地理的範囲で接続するネットワークとして説明し、インターネットを世界最大のWANとして紹介
※本記事では一般ユーザー向けに、「LAN=比較的狭い範囲」「WAN=地理的に離れたネットワークを結ぶ広域ネットワーク」と整理しています。実際のLAN・MAN・WANの分類に、距離だけで決まる厳密な数値境界があるわけではありません。
※「WAN=インターネット」という説明は簡略化しすぎです。インターネットはWANの代表例ですが、企業専用網、専用線、MPLS、拠点間VPNなど、インターネット以外のWANも存在します。
※家庭用ルーターの「WANポート」「LANポート」は、製品の動作モードによって役割が変化する場合があります。実際の配線は利用しているルーター・ONU・ホームゲートウェイの説明書を確認してください。
※家庭用IPv4環境ではLAN側にプライベートIPv4アドレス、WAN側に外部向けアドレスを利用してNAT・NAPTを行う構成が広く使われていますが、これはLAN・WANそのものの定義ではありません。
※Wi-FiはWireless LANを実現する代表的技術です。「LAN=有線、Wi-Fi=無線なのでLANではない」という区別は正しくありません。
