仕事をしていると、
- 「上司から業務指示を受けた」
- 「担当者に業務指示を出す」
- 「業務指示に従って対応してください」
といった表現を耳にすることがあります。
一方で、「業務指示」という言葉について、
- そもそも業務指示とは何?
- 普通の「指示」と何が違う?
- 「業務命令」と同じ意味?
- 「お願い」「依頼」も業務指示になる?
- 口頭で言われただけでも業務指示?
- 上司からの指示には必ず従わなければならない?
- 厳しい業務指示はパワハラになる?
などと疑問に思うこともあるでしょう。
結論から言うと、業務指示とは、仕事を進めるために、上司・管理者などが担当者へ仕事内容・方法・期限・優先順位などを具体的に示すことを表す言葉です。
たとえば、
「今日の17時までに報告書を作成してください」
「この顧客への回答を先に進めてください」
「製品Aの検査結果を確認し、異常があれば報告してください」
などは、典型的な業務指示と考えられます。
ただし、「業務指示」と「業務命令」は日常的には近い意味で使われるものの、言葉の強さや場面には違いがあります。
この記事では、「業務指示」の意味を基本から確認し、「業務命令・依頼・指導・指示命令」との違い、口頭・メールでの伝え方、受ける側・出す側の注意点まで詳しく解説します。
- 「業務指示」とは?【結論】
- 「業務指示」を簡単に言うと?
- 「業務指示」の具体例
- 「業務指示」と「指示」の違い
- 「業務指示」と「業務命令」の違い
- 「業務指示」と「依頼」の違い
- 「業務指示」と「指導」の違い
- 「業務指示」と「お願い」は違う?
- 「業務指示」と「指示命令」の違い
- 業務指示は誰が出す?
- 同僚から言われたことも「業務指示」?
- 口頭の指示も業務指示になる?
- メールの指示も業務指示?
- 業務指示を受けたら何を確認する?
- 分からない業務指示は確認してもいい?
- 複数の上司から違う指示を受けたら?
- 業務指示は必ず従わなければならない?
- 業務指示はパワハラになる?
- 適切な業務指示を出す5つのポイント
- 悪い業務指示の例
- 業務指示をメールで出す例文
- 業務指示を受けたときの返答例
- 「業務指示を出す」は自然な表現?
- 「業務指示を受ける」は自然?
- 「業務指示書」とは?
- 業務指示とマニュアルの違い
- 業務指示と職務分掌の違い
- 3秒で判断|これは業務指示?
- よくある質問
- まとめ
- 参考リンク・出典
「業務指示」とは?【結論】
業務指示とは、仕事を遂行するために必要な内容・方法・期限・優先順位などを、担当者へ具体的に示すことです。
「指示」には、人にある事柄を知らせたり、何をすべきか指図したりする意味があります。
そこに「業務」が付くことで、仕事上行われる指示を意味する「業務指示」になります。
たとえば、次のようなものです。
- 資料を○日までに提出するよう指示する
- 顧客からの問い合わせに回答するよう指示する
- 作業の順番を変更するよう指示する
- 設備を停止して点検するよう指示する
- 会議へ出席するよう指示する
- 担当業務の進捗を報告するよう指示する
つまり、単に「仕事をしてください」というだけではなく、誰が・何を・いつまでに・どのように行うのかを明らかにする行為も業務指示に含まれます。
「業務指示」を簡単に言うと?
難しく考える必要はありません。
業務指示を簡単に言えば、
「仕事上、何をしてほしいのかを具体的に伝えること」
です。
たとえば、上司が部下に、
「この書類を確認しておいてください」
と言えば、それも仕事内容に関する指示であれば業務指示になり得ます。
一方、
「帰りに個人的な買い物をしてきて」
のように業務と関係のない私的な頼み事まで、通常の意味で業務指示とは呼びません。
したがって、「誰が言ったか」だけではなく、その内容が仕事に関係しているかが大切です。
「業務指示」の具体例
業務指示には非常に多くの種類があります。
代表的なものを場面別に見てみましょう。
仕事の内容を指示する
- 「今日はA社向けの見積書を作成してください」
- 「この商品の在庫数を確認してください」
- 「顧客から届いた問い合わせに回答してください」
もっとも基本的な業務指示です。
担当者が何をするべきかを明確に示します。
期限を指示する
- 「報告書は金曜日までに提出してください」
- 「午前中に確認を終えてください」
- 「15時までに回答をお願いします」
仕事の内容だけでなく、「いつまでに行うか」も業務指示の重要な要素です。
優先順位を指示する
- 「通常業務よりこちらを優先してください」
- 「A社への回答を先に進めてください」
- 「このトラブル対応を最優先にしてください」
複数の仕事を抱えている場合、優先順位を明確にすることも業務指示になります。
方法を指示する
- 「このフォーマットを使って作成してください」
- 「必ず二人で確認してください」
- 「作業終了後にチェックリストへ記入してください」
仕事の結果だけでなく、作業方法・確認方法などを指定する場合もあります。
安全に関する指示
- 「作業前に必ず電源を切ってください」
- 「保護具を着用してから作業してください」
- 「異常を確認したら作業を中断してください」
工場・建設・運送・研究施設などでは、安全に関する業務指示が特に重要です。
「業務指示」と「指示」の違い
「指示」は非常に広い意味を持つ言葉です。
仕事以外でも使えます。
たとえば、
- 先生が生徒に指示する
- 医師が患者に指示する
- 係員が来場者に指示する
- 監督が選手に指示する
などです。
一方、「業務指示」は、仕事・職務に関係する指示に限定されます。
| 言葉 | 意味 | 範囲 |
|---|---|---|
| 指示 | 何をするべきかなどを示す | 仕事以外にも使える |
| 業務指示 | 仕事を遂行するための指示 | 業務・職務に関するもの |
したがって、業務指示は「指示」の一種と考えると分かりやすいでしょう。
「業務指示」と「業務命令」の違い
もっとも混同しやすいのが「業務命令」です。
日常の職場では、「業務指示」と「業務命令」が似た意味で使われることがあります。
ただし、言葉のニュアンスには違いがあります。
| 比較 | 業務指示 | 業務命令 |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | 業務内容や方法などを示す | 業務上、一定の行為を命じる |
| 言葉の強さ | 比較的やわらかい | 強い |
| 日常業務 | 使いやすい | やや大げさな場合もある |
| 人事・勤務など | 内容による | 「命令」と表現されることがある |
たとえば、
「この資料を今日中に確認してください」
という日常的な仕事上の指示を、わざわざ「業務命令を発した」と表現すると少し大げさに感じられる場合があります。
一方、会社として明確に従業員へ一定の行動を求める場面では「業務命令」という言葉が使われることがあります。
詳しい違いについては、「業務命令」と「業務指示」の違いで詳しく解説しています。
「業務指示」と「依頼」の違い
「指示してください」と「依頼してください」では、受け取る印象が違います。
「依頼」は、相手に何かをしてもらうよう頼むことです。
そのため、基本的には、
依頼=お願いする
指示=何をすべきか示す
という違いがあります。
たとえば、他部署の担当者へ、
「お手数ですが、資料をご確認いただけますか」
と頼む場合には「依頼」と表現しやすいでしょう。
一方、直属の部下へ担当業務として、
「本日中に資料を確認してください」
と伝える場合には「業務指示」と表現しやすくなります。
ただし、実際の職場では、丁寧な言葉を使っているから「依頼」、命令口調だから「指示」と単純に分かれるわけではありません。
「お願いします」という表現でも、その人の職務として行うことを求めているなら、実質的には業務上の指示となる場合があります。
「業務指示」と「指導」の違い
「指示」と「指導」も似ていますが、目的が異なります。
指示は「何をするか」を示すことです。
指導は「できるようになるよう教えること」に重点があります。
たとえば、新入社員に、
「このデータをシステムへ入力してください」
と言うのは指示です。
一方、
「このシステムでは、最初に顧客番号を入力してから、このボタンを押します」
と仕事の方法を教えるなら指導の性格が強くなります。
| 言葉 | 中心となる意味 |
|---|---|
| 指示 | 何をするか・どうするかを示す |
| 指導 | 知識・技能・考え方などを教え導く |
実際の職場では、
「指示しながら指導する」
ことも少なくありません。
詳しくは、「指示」と「指導」の違いも参考にしてください。
「業務指示」と「お願い」は違う?
職場では、上司が部下に、
「これ、今日中にお願いできますか?」
と伝えることがあります。
言葉だけを見ると「お願い」です。
しかし、仕事内容・立場・状況を考えると、実質的には業務指示である場合があります。
たとえば、直属の上司が担当業務として資料作成を求めているなら、語尾が「お願いします」でも、単なる個人的なお願いとは性質が違います。
つまり、
言い方が丁寧だから業務指示ではない、とは限らない
ということです。
反対に、同僚から、
「時間があれば手伝ってもらえませんか?」
と任意の協力を求められた場合は、業務指示というより依頼・協力要請と考えやすいでしょう。
「業務指示」と「指示命令」の違い
職場では「指示命令」という言葉も使われます。
「指示」と「命令」を並べた表現で、上位者から下位者へ仕事上の指示・命令を行うことを広く指す場合があります。
たとえば、
- 指示命令系統
- 指示命令を明確にする
- 上司の指示命令に従う
などです。
一方、「業務指示」は、個々の仕事について内容・方法などを具体的に示す行為を指しやすい言葉です。
「指示命令」という表現について詳しく確認したい場合は、「指示命令」とは?正しい表現?も参考になります。
業務指示は誰が出す?
典型的には、上司・管理者・責任者など、業務を割り振ったり管理したりする立場の人が出します。
たとえば、
- 部長から課長へ
- 課長から担当者へ
- チームリーダーからメンバーへ
- 現場責任者から作業者へ
といった形です。
ただし、会社によって指揮命令系統や職務権限は異なります。
「役職が上なら、どの部署の社員にでも自由に指示できる」とは限りません。
実務では、
- 職務分掌
- 組織図
- 職務権限規程
- 就業規則
- 上司から委任された権限
などによって、誰が誰に何を指示するかが整理されている場合があります。
同僚から言われたことも「業務指示」?
必ずしもそうではありません。
通常、同じ立場の同僚が、単に、
「この資料を見てもらえますか?」
と頼むだけなら、「依頼」「お願い」「協力要請」と考えるほうが自然です。
ただし、プロジェクトの責任者として権限を与えられている人など、役職が同じでも業務上の指示を出す立場になっていることはあります。
そのため、肩書だけではなく、その業務において指示を出す権限・役割があるかを見る必要があります。
口頭の指示も業務指示になる?
業務指示は、必ず書面でなければならないわけではありません。
日常の職場では、口頭で業務指示が行われることも数多くあります。
たとえば、
「この荷物を先に発送してください」
という指示を職場で直接伝える場面です。
ただし、内容が重要・複雑な場合には、口頭だけでは、
- 聞き間違い
- 認識違い
- 期限の勘違い
- 言った・言わないの問題
が発生する可能性があります。
そのため、重要な指示はメール・チャット・指示書などでも残すと、内容を共有しやすくなります。
メールの指示も業務指示?
はい。仕事内容を具体的に示していれば、メールや社内チャットでも業務指示となり得ます。
たとえば、
「添付資料について、本日中に内容を確認し、修正箇所があれば返信してください。」
というメールです。
対面で言っていないから「指示ではない」というわけではありません。
むしろメールなどには、
- 内容が記録に残る
- 期限を明確にできる
- 複数人へ同じ内容を共有できる
- 後から確認できる
という利点があります。
業務指示を受けたら何を確認する?
指示を受けた側は、次の点を確認すると仕事の行き違いを減らせます。
何をするのか
作業内容そのものです。
「資料を作る」と言われても、何の資料か分からなければ進められません。
目的は何か
同じ作業でも、目的によって必要な内容が変わります。
「上司への報告資料」なのか、「顧客へ提出する資料」なのかを確認するだけでも、完成形は変わります。
いつまでか
期限が曖昧な指示では、優先順位を判断できません。
「急ぎ」と言われた場合も、可能であれば具体的な日時を確認するとよいでしょう。
どの程度まで行うのか
「調べてください」という指示でも、
- 概要だけでよい
- 資料まで作成する
- 取引先へ確認する
- 結論まで提案する
など、求められる範囲は異なります。
誰に報告するのか
作業終了後の報告先も確認します。
特に複数部署が関係する仕事では重要です。
分からない業務指示は確認してもいい?
もちろんです。
指示内容が曖昧なまま自己判断で進めた結果、やり直しになるほうが問題になることがあります。
たとえば、
- 「完成イメージについて確認させてください」
- 「期限は金曜日17時という認識でよろしいでしょうか」
- 「AとBでは、どちらを優先すればよいでしょうか」
- 「この作業まで私の担当範囲に含まれますか」
など、具体的に確認するとよいでしょう。
「指示に質問する=反抗する」ではありません。
仕事を正確に行うために必要な確認であれば、むしろ認識違いの防止につながります。
複数の上司から違う指示を受けたら?
職場では、複数の人から異なる指示を受けることがあります。
たとえば、
課長:「A社の資料を最優先で作ってください」
部長:「先にB社のトラブル対応をしてください」
というケースです。
この場合、自分だけで勝手に一方を選ぶより、
「A社資料を優先するよう課長から指示を受けていますが、B社対応を先にしてよろしいでしょうか」
など、指示が競合していることを伝え、優先順位を確認すると安全です。
業務指示では、指示する側が優先順位まで明確にすることも重要です。
業務指示は必ず従わなければならない?
通常の仕事では、会社の業務を遂行するために上司などからさまざまな指示が出されます。
ただし、どのような言葉でも「上司が言えば絶対」という単純な話ではありません。
個別の指示について問題があるかどうかは、
- 仕事内容
- 労働契約
- 就業規則
- 職務権限
- 指示の目的
- 業務上の必要性
- 安全性
- 法令との関係
などによって変わります。
特に、法令違反を求める内容や安全上重大な問題が疑われる場合などは、通常の業務指示と同じように考えるべきではありません。
実際のトラブルについて判断が必要な場合は、会社の相談窓口・人事担当・労働局など、適切な窓口へ確認することが重要です。
業務指示はパワハラになる?
業務指示を出すこと自体が、直ちにパワーハラスメントになるわけではありません。
職場では、仕事を進めるために必要な指示や指導が行われます。
一方で、業務上の必要性がない、業務目的から大きく外れている、方法が著しく不適切であるなど、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動は問題になり得ます。
たとえば、単に仕事を依頼したことと、人格を否定するような言葉を伴って過度な仕事を強要することは同じではありません。
そのため、
「厳しい指示だったからパワハラ」
「仕事上の指示だから絶対にパワハラではない」
のどちらか一方だけで判断するのではなく、内容・必要性・方法・頻度・状況などを総合的に見る必要があります。
適切な業務指示を出す5つのポイント
1.目的を伝える
「これをやってください」だけでなく、なぜ必要なのかを伝えると、担当者が判断しやすくなります。
例:
「明日の会議で使用するため、このデータを今日中に集計してください。」
2.期限を具体的にする
「なるべく早く」「できるだけ急いで」だけでは、人によって受け止め方が違います。
可能なら、
「10月10日の15時まで」
のように明確にします。
3.優先順位を伝える
新しい仕事を指示するときは、既存業務との優先順位も考慮しましょう。
「今やっている作業を止めてこちらを先に」
なのか、
「現在の仕事が終わってからでよい」
のかを明示します。
4.完成条件を明確にする
「資料を作って」とだけ言うより、
- 誰向けか
- 何ページ程度か
- どのデータを使うか
- どの形式で提出するか
を示したほうが認識違いを防げます。
5.質問できる余地をつくる
担当者が不明点を確認できない状況では、間違いが起きやすくなります。
「分からない点があれば確認してください」
と伝えるだけでも、コミュニケーションが取りやすくなります。
悪い業務指示の例
業務指示そのものが間違っていなくても、伝え方が曖昧だと仕事がうまく進みません。
期限がない
「これ、やっておいて。」
いつまでなのか分かりません。
完成形が分からない
「いい感じにまとめてください。」
求める内容を担当者が推測することになります。
優先順位が分からない
「AもBもCも急ぎです。」
すべてが最優先では、実質的に優先順位がありません。
指示が途中で変わる
変更すること自体は必要な場合がありますが、変更理由や新しい条件を共有しないと混乱につながります。
複数人が別々の指示を出す
指示命令系統が整理されていない職場では、担当者がどちらに従えばよいのか分からなくなります。
業務指示をメールで出す例文
シンプルな指示
「添付の資料について、内容をご確認ください。修正が必要な箇所があれば、明日15時までにご連絡をお願いします。」
期限を明確にする
「A社向けの見積書を10月10日15時までに作成し、完成後に私まで共有してください。」
優先順位を示す
「現在進めている資料作成よりも、今回の問い合わせ対応を優先してください。問い合わせ対応完了後、資料作成へ戻ってください。」
確認事項を明確にする
「製造記録を確認し、数量・製造日・担当者名の3点に誤りがないか確認してください。」
良い業務指示は、担当者が読んだときに「次に何をすればよいのか」が分かることが重要です。
業務指示を受けたときの返答例
そのまま対応できる場合
「承知しました。本日17時までに対応します。」
期限を確認したい場合
「承知しました。提出期限は明日15時という認識でよろしいでしょうか。」
優先順位を確認したい場合
「現在A社向け資料を作成していますが、今回の作業を優先する認識でよろしいでしょうか。」
自分だけでは判断できない場合
「確認が必要な点がありますので、作業開始前に一度ご相談させてください。」
ただ「分かりました」と答えるだけでなく、期限・条件まで復唱すると認識違いを防ぎやすくなります。
「業務指示を出す」は自然な表現?
はい、自然な表現です。
次のように使えます。
- 上司が部下に業務指示を出す
- 責任者から業務指示が出された
- 明確な業務指示を出す
ほかにも、
- 業務指示を行う
- 業務を指示する
- 指示を与える
などの表現があります。
文章を簡潔にしたい場合は、
「担当者に業務指示を出した」
より、
「担当者に作業を指示した」
と具体化する方法もあります。
「業務指示を受ける」は自然?
こちらも自然です。
例:
- 上司から業務指示を受けた。
- 責任者の業務指示を受けて作業を開始した。
- 新しい業務指示を受けたため、作業順を変更した。
「指示を受ける」「指示される」と言い換えても問題ありません。
「業務指示書」とは?
会社によっては、「業務指示書」「作業指示書」などの書面を使用することがあります。
名称や内容は会社によって異なりますが、一般的には、
- 対象者
- 業務内容
- 実施期間
- 作業場所
- 期限
- 注意事項
- 指示者
などを記載します。
特に、口頭だけでは認識違いが生じやすい複雑な作業や、後で指示内容を確認する必要がある仕事では、書面化するメリットがあります。
業務指示とマニュアルの違い
マニュアルは、仕事の標準的な方法・手順などをあらかじめまとめたものです。
一方、業務指示は、その時点で担当者へ具体的な行動を求めるものです。
たとえば、
「検査方法はマニュアルに従ってください」
という業務指示を受け、その後マニュアルを見ながら検査する、といった関係になります。
つまり、
業務指示=何をするか
マニュアル=どう行うかを標準化した資料
と整理できます。
業務指示と職務分掌の違い
職務分掌は、部署・役職・担当者などがどの仕事を担当するのか、基本的な役割分担を定めるものです。
業務指示は、その役割の中で個々の仕事を具体的に割り当てる場面で使われます。
たとえば、品質保証部が製品検査を担当することが職務分掌で定められているとします。
そのうえで上司が、
「今日はA製品の検査を先に行ってください」
と担当者へ伝えるのが業務指示です。
したがって、
職務分掌=担当する仕事の大きな範囲
業務指示=具体的に行う仕事
と考えると分かりやすいでしょう。
3秒で判断|これは業務指示?
迷ったら、次のように考えてみましょう。
- 上司が担当業務を具体的に指示 → 業務指示
- 仕事の期限を指定 → 業務指示
- 仕事の優先順位を指定 → 業務指示
- 仕事の方法を指定 → 業務指示
- 他部署へ協力をお願い → 依頼の場合が多い
- 仕事のやり方を教える → 指導の性格が強い
- 私的な頼み事 → 通常は業務指示ではない
ただし、実際の職場では指示・依頼・命令の境界が明確でないこともあります。
言葉だけでなく、内容・職務・立場・指揮命令関係から判断することが大切です。
よくある質問
業務指示とは簡単に言うと何ですか?
仕事上、担当者に「何を・いつまでに・どのように行うか」を示すことです。
上司から部下への日常的な作業指示などが代表例です。
業務指示と業務命令は同じですか?
近い意味で使われることがありますが、完全に同じとは限りません。
一般的に「業務命令」のほうが、会社・上司から一定の行為を命じるという強い響きがあります。
一方、「業務指示」は日常的な仕事の内容・期限・方法などを示す場合にも広く使われます。
「お願いします」と言われた場合も業務指示ですか?
場合によります。
言葉遣いが「お願いします」でも、上司が担当業務として仕事を割り当てているなら、実質的には業務指示である場合があります。
口頭でも業務指示になりますか?
なります。
日常的な業務指示が口頭で行われることは珍しくありません。
ただし、重要な内容や複雑な指示はメール・チャット・書面などにも残すと認識違いを防ぎやすくなります。
メールでも業務指示になりますか?
はい。
メールや社内チャットであっても、業務内容・期限などを具体的に示していれば業務指示となり得ます。
同僚からのお願いは業務指示ですか?
通常の同僚同士のお願いであれば、依頼・協力要請と考えることが多いでしょう。
ただし、その人がプロジェクト責任者などとして指示権限を持っている場合は、業務指示となることもあります。
業務指示は断れますか?
個別の状況によって異なるため、「いつでも断れる」「絶対に断れない」と一律には言えません。
仕事の内容、就業規則、労働契約、指示の必要性、安全性、法令との関係などによって判断が変わります。
不安がある場合は、自分だけで判断せず上司・人事・相談窓口などへ確認しましょう。
上司の業務指示はパワハラになりますか?
適正な業務指示を行うこと自体が、直ちにパワーハラスメントになるわけではありません。
一方、業務上必要性のない言動や、業務の目的から大きく外れた指示、社会通念上相当な範囲を超える方法などは問題となる可能性があります。
業務指示と指導の違いは?
業務指示は「何をするのか」を示すことが中心です。
指導は、知識・技術・方法などを教え、本人が適切に仕事をできるよう導くことが中心です。
業務指示の言い換えは?
文脈によって、
- 作業指示
- 仕事上の指示
- 指示
- 業務上の指示
- 作業の割り当て
- 業務の指示
などに言い換えられます。
ただし、「業務命令」は言葉の強さや意味合いが異なるため、常に単純な言い換えになるとは限りません。
業務指示を出すときに大切なことは?
特に重要なのは、
- 何をするのか
- なぜ行うのか
- いつまでなのか
- 何を優先するのか
- どの状態になれば完了なのか
を明確にすることです。
担当者が「次に何をすればよいか」を迷わない指示が、分かりやすい業務指示です。
まとめ
「業務指示」とは、仕事を遂行するために、担当者へ仕事内容・方法・期限・優先順位などを示すことです。
代表的な例としては、
- 資料を作成するよう指示する
- 提出期限を指定する
- 優先する仕事を指定する
- 作業方法を指定する
- 確認・報告を求める
などがあります。
似た言葉との違いを簡単に整理すると、
- 業務指示:仕事上、何をするかなどを具体的に示す
- 業務命令:業務上、一定の行動を命じるという強いニュアンスを持つ
- 依頼:相手に何かをしてもらうよう頼む
- 指導:知識・技能・方法などを教え導く
という違いがあります。
また、業務指示は口頭だけでなく、メールや社内チャットなどでも行われます。
指示を受けた側は、内容だけでなく、目的・期限・優先順位・完成条件・報告先まで確認すると、認識違いを減らせます。
指示を出す側も、「これをやってください」だけではなく、担当者が迷わず行動できる程度まで具体化することが重要です。
なお、業務指示であれば何を言ってもよいわけではありません。業務上の必要性や方法の相当性も重要です。
迷ったときは、「仕事として何をしてほしいのかを具体的に示すのが業務指示」と覚えておくと分かりやすいでしょう。
参考リンク・出典
- コトバンク「指示」 — 「指示」の基本的な意味として、物事を示すことや、人に知らせたり指図したりすることを確認できます。
- コトバンク「命令」 — 「命令」が上位の者から下位の者へ一定の行為を行うよう言いつける意味を持つことを確認できます。
- 厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」 — 職場のパワーハラスメントと、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示・指導との考え方を確認できます。
- 厚生労働省「モデル就業規則について」 — 就業規則の作成・届出や、会社ごとの実情に応じた就業ルールを考える際の公的資料として確認できます。
