「てきせつな対応をする」
「てきかくな判断をする」
「適切」と「的確」は、読み方こそ違いますが、どちらも「正しい」「ふさわしい」といった印象を持つため、使い分けに迷いやすい言葉です。
たとえば、
「適切な判断と的確な判断は何が違う?」
「適切な対応と的確な対応はどちらが正しい?」
「アドバイスなら適切?的確?」
「適切な表現と的確な表現はどう違う?」
「正確・適正・妥当との違いは?」
と疑問に思うことがあります。
簡単にいうと、「適切」は、状況・目的・相手などに合っていてふさわしいことを表します。一方、「的確」は、物事の要点を外さず、判断・表現などに間違いがないことを表します。
たとえば、
「けが人に適切な処置を行う」
なら、その人の状態・状況に合った処置を行うことが重要です。
一方、
「状況を的確に判断する」
なら、状況の重要なポイントを正しく捉え、判断を誤らないことに重点があります。
一言で覚えるなら、
適切=「その場に合っている」
的確=「的を外していない」
です。
ただし、「判断」「対応」「指示」「アドバイス」「表現」などには、「適切」と「的確」の両方を使えることがあります。
その場合は、どちらか一方が間違いなのではなく、何を評価しているのかが違います。
この記事では、「適切」と「的確」の基本的な意味から、「適切な対応」「的確な判断」「適切な表現」「的確なアドバイス」の違い、「正確」「適正」「適当」「妥当」との使い分けまで詳しく解説します。
- 「適切」と「的確」の違い【結論】
- 「適切」とは?
- 「適切」は「適している」と考えると分かりやすい
- 「適切な対応」とは?
- 「適切な処置」も適切
- 「適切な方法」とは?
- 「適切なタイミング」とは?
- 「的確」とは?
- 「的確」は要点を外さないことが重要
- 「的確な判断」とは?
- 「的確な指示」とは?
- 「的確な回答」とは?
- 「適切」と「的確」の決定的な違い
- 「適切な判断」と「的確な判断」の違い
- 「適切な対応」と「的確な対応」の違い
- 「適切なアドバイス」と「的確なアドバイス」の違い
- 「適切な表現」と「的確な表現」の違い
- 「適切な言葉」と「的確な言葉」の違い
- 「適切な指示」と「的確な指示」の違い
- 「適切かつ的確」はおかしい?
- 政府広報でも「適切」と「的確」は使い分けられている
- 「適切」と「正確」の違い
- 「的確」と「正確」の違い
- 「適切」と「適正」の違い
- 「適切」と「適当」の違い
- 「適切」と「妥当」の違い
- 「的確」と「適確」はどちら?
- 「適切・的確」で迷ったときの3秒判定
- 「適切」を使った例文
- 「的確」を使った例文
- 具体例で比較:クレーム対応
- 具体例で比較:医療
- 具体例で比較:仕事の指示
- 具体例で比較:文章
- よくある間違い1:「適切」と「的確」は完全な同義語だと思う
- よくある間違い2:「判断には必ず的確」と考える
- よくある間違い3:「対応には必ず適切」と考える
- よくある間違い4:「的確=正確」と完全に同じだと思う
- よくある間違い5:「適切=適当」と考える
- よくある間違い6:「適切かつ的確」は重複表現だと思う
- 「適切」と「的確」に関するよくある質問
- まとめ
- 参考資料・出典
「適切」と「的確」の違い【結論】
| 比較項目 | 適切 | 的確 |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | 状況・目的などに合っていてふさわしい | 的を外さず、間違いがない |
| 重視するもの | 状況への適合・ふさわしさ | 正確さ・要点の把握 |
| 簡単な言い換え | ふさわしい・適した | 正確な・要点を突いた |
| 対応 | 状況に合った対応 | 問題の核心を捉えた対応 |
| 判断 | 状況に照らしてふさわしい判断 | 事実・要点を外さない判断 |
| 表現 | 場面・相手にふさわしい表現 | 意味を正しく言い表した表現 |
| 代表例 | 適切な処置 | 的確な判断 |
3秒で判断するなら、
「その場・目的に合っていますか?」 → 適切
「要点を外さず正しいですか?」 → 的確
と考えると分かりやすいでしょう。
「適切」とは?
状況・目的などにぴったり合っていること
「適切(てきせつ)」とは、辞書では、
状況・目的などにぴったり当てはまり、その場や物事にふさわしいこと
と説明されています。
たとえば、
- 適切な対応
- 適切な処置
- 適切な指導
- 適切な言葉
- 適切な方法
- 適切なタイミング
などと使います。
ポイントは、単に「間違っていない」だけではなく、
その状況・目的・相手に合っているか
という点です。
「適切」は「適している」と考えると分かりやすい
「適切」の「適」は、
合う・かなう・ぴったり当てはまる
という意味を持つ漢字です。
そのため、
適切=その場に適している
と考えると理解しやすいでしょう。
たとえば、
「子どもの年齢に適切な説明をする。」
なら、内容が正しいだけではなく、その子どもの年齢・理解力に合った説明をするという意味です。
「適切な対応」とは?
「適切な対応」は、非常によく使われる表現です。
意味は、
その状況に合った、ふさわしい対応
です。
たとえば、顧客から苦情があった場合、
「事情を確認し、適切に対応する。」
と表現できます。
厚生労働省・労働局のハラスメント対策でも、相談への「適切な対応」や、事後の「迅速かつ適切な対応」といった表現が使われています。
ここで重要なのは、単に回答内容が正確かどうかだけではありません。
- 相手の状況
- 問題の重大さ
- 規則
- タイミング
- 関係者への配慮
などを踏まえ、ふさわしい行動を取ることが「適切な対応」です。
「対応」と「対処」の使い分けについては、「対応」と「対処」の違いもあわせて確認すると理解しやすくなります。
「適切な処置」も適切
医療・事故・トラブルなどでは、
「適切な処置を取る」
という表現がよく使われます。
たとえば、けがをした人に対し、
「症状に応じて適切な処置を行う。」
とします。
けがの程度・場所・本人の状態などに合った処置を選ぶため、「適切」がよく合います。
「適切な方法」とは?
目的を達成するために、その条件に合った方法を選ぶ場合も「適切」です。
たとえば、
「データの性質に適切な分析方法を選ぶ。」
「状況に応じて適切な方法で連絡する。」
などです。
方法そのものが数学的・事実的に正しいというより、目的や条件に合っているかが中心になります。
「適切なタイミング」とは?
何かをする時期がその状況にふさわしい場合は、
「適切なタイミング」
と表現できます。
たとえば、
「適切なタイミングで情報を公表する。」
です。
タイミングには「正解の秒数」があるわけではありません。
その場の事情に照らし、早すぎず遅すぎず、ふさわしい時期であることがポイントです。
「的確」とは?
的を外さず、間違いがないこと
「的確(てきかく)」とは、辞書では、
的を外さず、間違いがないこと
と説明されています。
たとえば、
- 的確な判断
- 的確な指示
- 的確な分析
- 的確な回答
- 的確なアドバイス
- 意図を的確に伝える
などと使います。
「的」という漢字が入っているため、
「的を射ている」
というイメージで覚えると分かりやすいでしょう。
「的確」は要点を外さないことが重要
「的確」は、単に「なんとなく合っている」という意味ではありません。
何が重要なのかを正しく捉え、ずれのない判断・発言などをすることを表します。
たとえば、
「問題の原因を的確に分析した。」
なら、表面的な部分ではなく、問題の原因を正しく捉えています。
「質問に的確に答えた。」
なら、聞かれたポイントを外さず答えたという意味です。
「的確な判断」とは?
「的確」の代表的な使い方が、
「的確な判断」
です。
辞書でも「的確な判断」が代表例として挙げられています。
また、医薬品医療機器総合機構(PMDA)も、科学的視点に基づいて、
「的確な判断」
を行うことを行動理念として掲げています。
ここでの「的確」は、
事実・情報・重要なポイントを正しく捉え、判断を外さない
という意味です。
「的確な指示」とは?
必要な内容を正しく捉え、相手に迷いが生じないよう指示する場合は、
「的確な指示」
と表現できます。
たとえば、災害・事故の現場で、
「責任者が的確な指示を出した。」
とします。
何をすべきかという核心を外さず、正しく指示していることがポイントです。
「的確な回答」とは?
質問の意図を正しく理解し、それに対してずれのない答えを返す場合は、
「的確な回答」
と表現できます。
たとえば、
「質問の意図を理解し、的確に回答する。」
です。
回答が長いか短いかではなく、聞かれていることへ正しく答えているかが重要です。
「適切」と「的確」の決定的な違い
違い1:「ふさわしさ」か「正確さ」か
最も重要な違いです。
適切は、状況・目的・相手などへの「ふさわしさ」を評価します。
的確は、判断・表現などが要点を外していないという「正確さ」を評価します。
つまり、
適切=appropriate
的確=accurate / to the point
に近いイメージです。
違い2:「周囲との関係」を見るか「的」を見るか
「適切」は、対象だけではなく、周囲の状況との関係を考えます。
たとえば、同じ発言でも、
友人との会話では適切でも、取引先への正式なメールでは不適切ということがあります。
一方、「的確」は、
言っている内容が核心を捉えているか
を見る言葉です。
そのため、内容としては的確でも、言い方としては適切でないというケースもあり得ます。
違い3:両方を同時に満たす場合もある
「適切」と「的確」は対立する言葉ではありません。
ある対応が、
状況にも合っていて、問題の核心も正しく捉えている
なら、
「適切かつ的確な対応」
と表現できます。
二つの語は似ていますが、評価している軸が異なるため、並べて使っても単純な重複にはなりません。
「適切な判断」と「的確な判断」の違い
「判断」には、どちらも使えます。
ただし、ニュアンスが違います。
適切な判断
その状況に照らして、ふさわしい判断
です。
たとえば、
「悪天候のためイベントを中止するという適切な判断をした。」
なら、安全性や状況を踏まえ、その場にふさわしい判断をしています。
的確な判断
情報・状況を正しく捉え、間違いのない判断
です。
たとえば、
「症状を見て救急搬送が必要だと的確に判断した。」
なら、状況の重要なポイントを正しく捉えています。
| 表現 | 重点 |
|---|---|
| 適切な判断 | 状況にふさわしいか |
| 的確な判断 | 状況・要点を正しく捉えているか |
「適切な対応」と「的確な対応」の違い
「対応」についても両方が成立します。
適切な対応
相手・状況・規則などに合った対応
です。
たとえば、
「顧客からの苦情に適切に対応する。」
なら、相手への配慮や社内ルールなども踏まえた対応を意味します。
的確な対応
問題の原因・要点を正しく捉えた対応
というニュアンスが強くなります。
たとえば、
「障害の原因を素早く特定し、的確に対応した。」
なら、問題の核心に対してずれのない行動を取っています。
したがって、
適切=ふさわしい対応
的確=的を射た対応
と考えると分かりやすいでしょう。
「適切なアドバイス」と「的確なアドバイス」の違い
アドバイスにも両方使えます。
「適切なアドバイス」
なら、相談者の状況・立場・目的などに合った助言です。
一方、
「的確なアドバイス」
なら、問題の本質を正しく捉えた助言です。
たとえば、
転職相談で、その人の家庭事情まで考えて助言するなら「適切」。
本人が気づいていなかった転職活動上の問題を正しく指摘するなら「的確」というニュアンスが強くなります。
もちろん、一つのアドバイスが「適切であり、かつ的確」であることもあります。
「適切な表現」と「的確な表現」の違い
「表現」も比較すると違いが分かりやすい言葉です。
適切な表現
場面・相手・目的にふさわしい表現
です。
たとえば、取引先へのメールでは、友人へのメッセージとは違う丁寧な表現が必要です。
「相手との関係に応じた適切な表現を使う。」
といえます。
的確な表現
伝えたい意味をずれなく言い表した表現
です。
辞書でも「的確」には、意図を的確に伝えるという用例があります。
たとえば、
「この言葉は商品の特徴を的確に表現している。」
なら、商品の核心を正しく言い表しています。
「適切な言葉」と「的確な言葉」の違い
適切な言葉は、その場面にふさわしい言葉です。
たとえば、お見舞いの場で相手を傷つけない言葉を選ぶことです。
一方、
的確な言葉は、言いたい内容を正しく表す言葉です。
つまり、
適切=TPOに合う
的確=意味を正しく表す
という違いがあります。
「適切な指示」と「的確な指示」の違い
適切な指示なら、相手の能力・状況・役割などにふさわしい指示です。
的確な指示なら、必要な行動を明確に示し、内容にずれがない指示です。
たとえば、新人に経験者と同じ高度な作業を急に命じる指示は、内容自体が正しくても「適切ではない」可能性があります。
一方、「右へ避難してください」と言うべき場面で左を指示すれば、「的確ではない」といえます。
「適切かつ的確」はおかしい?
おかしくありません。
「適切」と「的確」は意味が近いものの、完全な同義語ではないからです。
「適切かつ的確な対応」という場合、
適切=状況にふさわしい
的確=要点・問題を外していない
という二つの条件を満たすことを表せます。
つまり、
「ふさわしいだけでなく、的も外していない」
という意味になります。
政府広報でも「適切」と「的確」は使い分けられている
政府広報オンラインの防災情報では、災害発生時について、
「的確な判断と行動」
という表現と、
「適切な行動」
という表現の両方が使われています。
災害では、危険・情報を正しく捉える「的確さ」と、その状況に応じてふさわしく行動する「適切さ」の両方が重要だからです。
この例からも、「適切」と「的確」は完全に同じ意味ではないことが分かります。
「適切」と「正確」の違い
「正確」は、
事実・基準などと合っていて、間違いがないこと
を表します。
たとえば、
- 正確な時刻
- 正確な数字
- 正確な記録
- 正確な住所
などです。
一方、「適切」は正誤というより、状況へのふさわしさを表します。
たとえば、
「正確な情報」
は、内容に間違いがありません。
「適切な情報」
なら、その人・目的に必要でふさわしい情報という意味になります。
「的確」と「正確」の違い
こちらは非常に近い言葉です。
正確=事実・基準と一致していて間違いがない
的確=要点・目的という「的」を外さず間違いがない
と考えると分かりやすいでしょう。
たとえば、住所を一字も間違えず記録するなら、
「正確に記録する」
が自然です。
一方、複雑な状況の重要なポイントを正しく見抜くなら、
「的確に判断する」
がよく合います。
| 言葉 | 中心となる意味 |
|---|---|
| 正確 | 事実・数値・基準と合っていて間違いがない |
| 的確 | 要点・狙いを外さず間違いがない |
「適切」と「適正」の違い
「適正(てきせい)」は、辞書では、
適当で正しいこと
と説明されています。
たとえば、
- 適正価格
- 適正な運用
- 適正な処理
- 適正な手続
などと使います。
「適切」と意味は近いですが、
適切=その場・目的にふさわしい
適正=基準・ルールなどから見て正しい、適当である
という違いを意識すると分かりやすいでしょう。
たとえば、
「適正価格」
はよく使いますが、同じ意味で「適切価格」とすることは一般的ではありません。
「適切」と「適当」の違い
「適当」は、本来、
条件・目的などにうまく合っていること
という意味を持ちます。
その意味では「適切」とかなり近い言葉です。
ただし、「適当」には、
いいかげん・大ざっぱ
という意味もあります。
たとえば、
「適当に答えておいた。」
という場合は、「ふさわしく答えた」のではなく、「深く考えずいいかげんに答えた」という意味になり得ます。
一方、「適切」には通常、この「いいかげん」という意味はありません。
| 適切 | 適当 |
|---|---|
| 状況・目的にぴったり合う | 条件・目的に合う |
| 基本的に肯定的 | 「ほどほど」の意味もある |
| いいかげんの意味は通常ない | いいかげんの意味でも使われる |
「適切」と「妥当」の違い
「妥当」は、
実情によく当てはまり、無理がなく適切であること
を表します。
たとえば、
- 妥当な結論
- 妥当な金額
- 妥当な判断
- 妥当な方法
などです。
「適切」と非常に近い言葉ですが、
妥当は、判断・結論・金額などについて、合理的に考えて無理がなく納得できるという場面で使いやすい言葉です。
一方、「適切」は、言葉・対応・方法・タイミングなど幅広い対象に使えます。
「的確」と「適確」はどちら?
辞書では、
「的確/適確」
の両方が掲載されています。
どちらも「的を外さず間違いがない」という意味です。
ただし、現在の一般的な文章や公的機関の文章では、
「的確」
の表記を多く見かけます。
たとえば、PMDAでは「的確な判断」、政府広報でも「的確な判断と行動」と表記されています。
通常の文章では「的確」を選べば問題ありません。
「適切・的確」で迷ったときの3秒判定
| こんな場合 | 選びやすい表現 |
|---|---|
| その場に合った対応 | 適切 |
| 状況に合った処置 | 適切 |
| 相手にふさわしい言葉 | 適切 |
| 目的に合った方法 | 適切 |
| 状況にふさわしい判断 | 適切 |
| 要点を外さない判断 | 的確 |
| 問題の核心を捉えた指示 | 的確 |
| 質問にずれなく答える | 的確 |
| 問題の本質を突く助言 | 的確 |
| 意味を正しく言い表す | 的確 |
最も簡単に覚えるなら、
適切=フィットしている
的確=的を射ている
です。
「適切」を使った例文
- 状況に応じて適切に対応する。
- 症状に合った適切な処置を行う。
- 相手に適切な言葉を選ぶ。
- 目的に適切な方法を採用する。
- 問題の程度に応じて適切な措置を取る。
- 悪天候を考慮し、イベントを中止するという適切な判断をした。
「的確」を使った例文
- 状況を的確に判断する。
- 部下へ的確な指示を出す。
- 質問に的確に回答する。
- 問題点を的確に指摘する。
- 顧客の要望を的確に把握する。
- 専門家から的確なアドバイスを受けた。
- 商品の特徴を的確に表現している。
具体例で比較:クレーム対応
顧客から商品の不具合について苦情があったとします。
まず、相手へ丁寧に謝罪し、状況を確認し、社内ルールに沿って交換・返金などを提案した場合、
「適切に対応した」
と表現できます。
一方、不具合の原因をすぐに見抜き、問題解決に必要なポイントを外さず処理した場合は、
「的確に対応した」
とも表現できます。
両方を満たしていれば、
「迅速かつ適切・的確に対応した」
という評価も可能です。
具体例で比較:医療
患者にどの治療・処置を行うかを考える場合、
「患者の状態に応じた適切な処置」
と言えます。
一方、症状・検査結果から重要な兆候を正しく見抜くなら、
「的確な判断」
という表現が合います。
つまり、
状況に合った処置=適切
重要な情報を正しく捉えた判断=的確
です。
具体例で比較:仕事の指示
上司が新人に指示を出すとします。
新人の経験・能力を考え、無理のない仕事を任せるなら、
「適切な指示」
です。
一方、
「まずAを確認し、問題があればBへ連絡してください」
のように、必要な行動をずれなく具体的に示しているなら、
「的確な指示」
と評価できます。
具体例で比較:文章
取引先へのメールで、丁寧で相手との関係に合った言葉を選んでいるなら、
「適切な表現」
です。
一方、複雑な内容を短い言葉で正しく言い表しているなら、
「的確な表現」
です。
文章は、適切でありながら的確であることもできます。
よくある間違い1:「適切」と「的確」は完全な同義語だと思う
意味は近いですが、完全な同義語ではありません。
適切=状況・目的との適合
的確=要点を外さない正確さ
という違いがあります。
よくある間違い2:「判断には必ず的確」と考える
「的確な判断」は代表的な表現ですが、
「適切な判断」
も自然です。
判断内容がその状況にふさわしいことを強調するなら「適切」を使えます。
辞書にも「適切に判断する」という用例があります。
よくある間違い3:「対応には必ず適切」と考える
「適切な対応」は非常によく使われます。
しかし、問題の核心を捉え、ずれのない対応であることを強調する場合は、
「的確な対応」
も成立します。
名詞だけで漢字を決めるのではなく、何を評価しているかを考えましょう。
よくある間違い4:「的確=正確」と完全に同じだと思う
「的確」と「正確」はかなり近い言葉ですが、重点が異なります。
「正確」は事実・数値などとの一致。
「的確」は狙い・要点を外していないことに重点があります。
たとえば、
正確な住所
とは言いますが、通常、同じ意味で「的確な住所」とは言いません。
よくある間違い5:「適切=適当」と考える
「適当」には「ふさわしい」という意味があるため、「適切」と重なる場合があります。
しかし、「適当」には、
「いいかげん」
という意味もあります。
「適切」には通常その意味がないため、特に仕事の文章では違いに注意しましょう。
よくある間違い6:「適切かつ的確」は重複表現だと思う
二つの語は評価軸が違うため、必ずしも重複ではありません。
適切=場面に合う
的確=的を外さない
という二つの条件を同時に述べることができます。
「適切」と「的確」に関するよくある質問
Q1. 「適切」と「的確」は同じ意味ですか?
意味は近いですが、重点が違います。
「適切」は状況・目的にふさわしいこと、「的確」は的を外さず間違いがないことを表します。
Q2. 「適切な判断」と「的確な判断」はどちらが正しいですか?
どちらも正しい表現です。
状況にふさわしい判断なら「適切」、要点・事実を正しく捉えた判断なら「的確」というニュアンスになります。
Q3. 「適切な対応」と「的確な対応」はどちらですか?
どちらも使えます。
相手・状況に合った対応なら「適切」、問題の核心にずれなく対応するなら「的確」です。
Q4. アドバイスは「適切」「的確」のどちらですか?
両方使えます。
相談者の事情に合った助言なら「適切なアドバイス」、問題の本質を正しく指摘した助言なら「的確なアドバイス」です。
Q5. 「適切かつ的確」という表現はおかしくありませんか?
おかしくありません。
「状況にふさわしいこと」と「要点を外していないこと」という別の評価を同時に表せます。
Q6. 「的確」と「正確」は何が違いますか?
「正確」は事実・数値・基準と合っていて間違いがないこと、「的確」は要点・狙いを外さず間違いがないことです。
Q7. 「適切」と「適正」は何が違いますか?
「適切」はその場・目的にふさわしいこと、「適正」は基準・ルールなどから見て適当で正しいことを表す傾向があります。
Q8. 「適切」と「適当」は同じですか?
「ふさわしい」という意味では重なります。
ただし、「適当」には「いいかげん」という意味もあるため、「適切」と完全に同じではありません。
Q9. 「的確」と「適確」はどちらが正しいですか?
辞書には両方の表記が掲載されています。
一般的な文章では「的確」が広く用いられており、公的機関でも「的確な判断」などの表記が使われています。
Q10. 迷った場合の簡単な見分け方は?
「その場に合う?」 → 適切
「的を外していない?」 → 的確
と考えてください。
まとめ
「適切」と「的確」はどちらも肯定的な評価を表す言葉ですが、意味の中心が異なります。
| 適切 | 的確 |
|---|---|
| 状況・目的などに合っている | 的を外さず間違いがない |
| ふさわしさを重視 | 正確さ・要点を重視 |
| 適切な対応 | 的確な判断 |
| 適切な処置 | 的確な指示 |
| 適切な言葉 | 的確な回答 |
| 適切な方法 | 的確な分析 |
最も簡単な覚え方は、
適切=「その場に適している」
的確=「的を外していない」
です。
たとえば、
「顧客に適切に対応する」
なら、相手・状況・ルールなどを踏まえ、ふさわしい対応をしています。
一方、
「問題の原因を的確に判断する」
なら、問題の重要なポイントを正しく捉えています。
また、
「適切な判断」
「的確な対応」
も正しい表現です。
同じ名詞に両方が付く場合は、
状況との相性を評価しているのか
要点を外していないことを評価しているのか
を考えてください。
前者なら「適切」、後者なら「的確」がより意味に合います。
両方の条件を満たしていれば、
「適切かつ的確な判断・対応」
と表現することもできます。
参考資料・出典
本記事は、以下の辞書・公的機関等の資料を参照し、内容を整理したうえで作成しています。
-
コトバンク「適切」
― 状況・目的などにぴったり当てはまり、その場や物事にふさわしいという「適切」の基本的な意味。「適切に判断する」「適切な表現」などの用例 -
コトバンク「的確」
― 的を外さず間違いがないという「的確」の意味。「的確な判断」「意図を的確に伝える」などの用例 -
コトバンク「正確」
― 事実・基準などと合っていて間違いがないという「正確」の意味 -
コトバンク「適正」
― 適当で正しいことという「適正」の意味、「適正な運用」「適正な価格」などの用例 -
コトバンク「適当」
― 条件・目的にふさわしいという意味と、「いいかげん」という別の意味を持つ「適当」の用法 -
コトバンク「妥当」
― 実情によく当てはまり、適切であるという「妥当」の意味 -
政府広報オンライン「防災特集 発災時の行動」
― 災害時について「的確な判断と行動」「適切な行動」という両表現を使用している公的な例 -
医薬品医療機器総合機構「PMDAの理念」
― 科学的視点に基づく「的確な判断」という現在の公的な使用例 -
埼玉労働局「職場におけるハラスメント防止のために事業主が雇用管理上講ずべき措置等」
― 「相談に対する適切な対応」「迅速かつ適切な対応」という現在の公的な使用例
※「適切」と「的確」は意味が近く、「判断」「対応」「表現」「アドバイス」など、同じ名詞にどちらも使える場合があります。どちらかを機械的に正誤で分けるのではなく、文脈で何を評価しているかによって使い分けてください。
※辞書には「的確」の異表記として「適確」も掲載されています。本記事では、現在一般に使われている「的確」を中心に解説しています。
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