制度の案内や申請書、アンケート、研修のお知らせなどで、「対象者」「支援対象者」「申請対象者」という言葉を見かけることがあります。
何となく「その制度などに関係する人」という意味だとは分かっても、
- 「対象者」とは具体的にどんな人なのか
- 「対象」と「対象者」は何が違うのか
- 「該当者」と「対象者」は同じなのか
- 「対象者に該当する」という表現はおかしくないのか
- 「対象外」とはどのような状態なのか
など、細かな使い方になると迷うこともあるでしょう。
結論からいうと、「対象者」とは、ある行為・制度・調査・サービスなどが向けられる人、あるいはその範囲に含まれる人を意味します。
たとえば「研修の対象者」であれば、その研修を受ける範囲に含まれる人、「給付制度の対象者」であれば、その制度による給付の対象となる人です。
この記事では、「対象者」の意味を基本から確認したうえで、「対象・該当者・対象外」との違い、「対象者になる」「対象者に該当する」などの自然な使い方、行政・会社・アンケート・申請での例文まで詳しく解説します。
結論|「対象者」とは何かの対象となる人
「対象者(たいしょうしゃ)」とは、ある行為・制度・サービス・調査・募集などが向けられる人、またはその範囲に含まれる人を表す言葉です。
「対象」は、辞書では「行為の目標となるもの」「めあて」などの意味を持つ言葉です。
そこに、人を表す「者」が付くことで、
対象+者=何らかの対象となる人
という意味になります。
たとえば、次のように使います。
- 研修の対象者
- アンケートの対象者
- 支援制度の対象者
- 補助金の対象者
- 健康診断の対象者
- 調査対象者
- 採用試験の対象者
つまり「対象者」は、特定の制度だけで使われる専門用語ではありません。
「誰に向けられているのか」「誰がその範囲に入るのか」を表したいときに幅広く使える言葉です。
「対象者」の読み方
「対象者」は、
たいしょうしゃ
と読みます。
「対象」は「たいしょう」、「者」はこの場合「しゃ」です。
「対象者(たいしょうしゃ)」と一続きの言葉として、行政文書、会社の案内、募集要項、アンケートなどで広く使われています。
「対象者」を簡単な言葉に言い換えると?
文脈によって、次のように言い換えられます。
- 対象となる人
- 該当する人
- 利用できる人
- 参加できる人
- 支援を受ける人
- 調査を受ける人
- 制度が適用される人
ただし、「対象者」が必ず「利用できる人」「支援を受けられる人」という意味になるわけではありません。
たとえば「アンケート対象者」であればアンケートを行う相手ですし、「調査対象者」であれば調査の対象になる人です。
つまり、何の「対象」なのかによって具体的な意味が変わる点が重要です。
「対象」と「対象者」の違い
「対象」と「対象者」は非常に近い言葉ですが、意味の範囲が異なります。
| 言葉 | 意味 | 人以外にも使えるか | 例 |
|---|---|---|---|
| 対象 | 行為・意識などが向けられるもの | 使える | 対象商品、対象地域、調査対象 |
| 対象者 | 対象となる人 | 基本的に人を指す | 支援対象者、研修対象者 |
「対象」は人に限りません。
たとえば、
- 対象商品
- 対象地域
- 対象施設
- 対象期間
- 調査対象
など、物・場所・期間などにも使えます。
一方、「対象者」は「者」が付いているため、基本的には人を指します。
「対象」という言葉そのものについて詳しく確認したい場合は、「対象」とは?意味・使い方をわかりやすく解説も参考にしてください。
「対象者」と「対象となる人」は同じ?
基本的には同じ意味として理解できます。
たとえば、
「今回の研修の対象者は新入社員です。」
は、
「今回の研修の対象となる人は新入社員です。」
と言い換えられます。
「対象者」のほうが簡潔で、行政文書・社内文書・申込案内などに向いています。
一方、一般の人向けに分かりやすく案内したい場合には、「対象となる方」「利用できる方」などに言い換えることもあります。
「対象者」と「該当者」の違い
「対象者」と特に混同されやすいのが「該当者」です。
結論から整理すると、
- 対象者=ある制度・行為などが向けられる範囲にいる人
- 該当者=ある条件・資格などに当てはまる人
という違いがあります。
「該当」は、辞書では「ある条件・資格などに当てはまること」という意味です。
そのため「該当者」は、簡単にいうと条件に当てはまった人です。
具体例で考えると分かりやすい
たとえば、会社が次の条件で研修を行うとします。
「入社3年以内の社員を対象とする」
この場合、入社3年以内の社員は研修の対象者です。
そして社員一人ひとりについて条件を確認し、
「あなたは入社2年目なので、この条件に該当します」
という場合には、その人は該当者でもあります。
したがって、同じ人物が「対象者」と「該当者」の両方になることもあります。
ただし、言葉が注目しているポイントが違います。
| 言葉 | 何に注目しているか |
|---|---|
| 対象者 | 制度・サービス・行為などが向けられる範囲 |
| 該当者 | 条件・資格などに当てはまっているか |
詳しい使い分けについては、「該当者」と「対象者」の違いでさらに詳しく解説しています。
「対象者」と「対象外」の違い
「対象者」の反対側に位置する表現として、よく使われるのが「対象外」です。
「対象外」とは、その制度・行為・サービスなどの対象となる範囲に含まれていないことです。
たとえば、
- 18歳以上が対象者
- 18歳未満は対象外
といった関係です。
ただし、「対象者」の厳密な反対語が常に「対象外」というわけではありません。
「対象者」は人を示す言葉ですが、「対象外」は人だけでなく、商品・地域・期間などにも使えるからです。
たとえば、
- この商品はキャンペーン対象外です。
- 北海道は配送サービスの対象外です。
- 土日は割引の対象外です。
とも表現できます。
「対象外の人」と「非対象者」はどちらが自然?
一般的には、
「対象外の人」「対象外となる方」
のほうが自然で分かりやすいでしょう。
「非対象者」という言葉も文脈によって使われることがありますが、日常的な案内文ではやや硬く感じられることがあります。
一般向けのお知らせなら、
「次の方は対象外です」
「○○に該当しない方は対象外となります」
などと書くほうが伝わりやすくなります。
「対象者になる」とは?
「対象者になる」は自然な日本語です。
それまで対象になっていなかった人が、条件や状況の変化などによって対象となる場合に使います。
たとえば、
「来年度から制度が拡大され、65歳以上の人も対象者になります。」
という文章です。
この場合は、制度変更によって「対象となる範囲に入る」という意味になります。
「対象者となる」と「対象者になる」の違い
基本的な意味は同じです。
- 対象者になる
- 対象者となる
のどちらも使えます。
ただし、
「対象者となる」のほうがやや硬く、行政文書・規程・制度説明などで使われやすい傾向があります。
たとえば、
「本制度の対象者となるのは、次の要件をすべて満たす者です。」
という表現は、制度案内として自然です。
一般向けに柔らかく書くなら、
「次の条件を満たす方が対象です。」
としてもよいでしょう。
「対象者に該当する」はおかしい?
「対象者に該当する」という表現は、基本的におかしくありません。
「該当する」は「条件や分類などに当てはまる」という意味なので、
「対象者という分類に当てはまる」
という意味で使えます。
たとえば、
「次のいずれかに当てはまる方は、本制度の対象者に該当します。」
という文章です。
ただし、少し硬く感じる場合もあります。
一般向けの案内なら、
- 本制度の対象となります。
- 本制度をご利用いただけます。
- 次の方が対象者です。
などのほうが読みやすい場合があります。
「該当する対象者」はどういう意味?
「該当する対象者」という表現は文脈によって意味が分かりにくくなることがあります。
たとえば、
「該当する対象者に連絡してください」
と書くより、
「条件に該当する方に連絡してください」
または
「対象者に連絡してください」
としたほうが意味が明確です。
「対象」と「該当」を一つの文章で使う場合には、何が対象で、何の条件に該当するのかを明確にすると読みやすくなります。
「対象者」と「候補者」の違い
「対象者」と「候補者」も場面によって混同されることがあります。
「候補者」は、何らかの地位・役割・選択などについて、選ばれる可能性がある人です。
一方、「対象者」は、その制度・行為などが向けられる範囲に入る人を意味します。
たとえば、
「管理職研修の対象者」
は、管理職研修を受ける範囲に含まれる人です。
これに対して、
「次期部長の候補者」
は、部長として選ばれる可能性のある人です。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 対象者 | 制度・行為などの対象となる人 |
| 候補者 | 選択・選任される可能性のある人 |
「対象者」と「対象者候補」の違い
「対象者候補」という表現を使うこともあります。
これは、まだ正式に対象者と決まってはいないものの、対象になる可能性がある人という意味です。
たとえば、
「健康指導の対象者候補を抽出する」
という場合、まず一定の基準で候補者を絞り、その後詳しい確認を行って正式な対象者を決定するような流れが考えられます。
つまり、
- 対象者候補=対象となる可能性がある段階
- 対象者=正式に対象となる段階
と整理できます。
実践|「対象者」の正しい使い方と例文
制度・給付で使う場合
「本制度の対象者は、次の条件をすべて満たす方です。」
制度を利用できる人の範囲を示しています。
「年齢要件を満たしていても、所得条件によっては対象外となる場合があります。」
制度の対象となるために複数の条件がある場合に使えます。
研修・講習で使う場合
「今回の安全衛生研修の対象者は、製造部門に所属する全社員です。」
誰が研修を受けるのかを明確にしています。
「対象者には後日、受講案内をメールで送付します。」
すでに対象となる人が決まっている場合の自然な使い方です。
アンケートで使う場合
「20歳から39歳までの利用者をアンケート対象者としました。」
調査の対象になる人を表しています。
この場合、「対象者」は必ずしも何らかの利益を受ける人ではありません。
単にアンケートを行う相手という意味です。
申請で使う場合
「対象者に該当するかどうか、申請前に要件をご確認ください。」
自分が制度の対象となる条件を満たしているか確認してもらう場面です。
「対象者であっても、申請を行わなければ給付を受けられない場合があります。」
このように、対象者であることと、実際に申請・利用・給付が成立することは別の場合もあります。
会社で使う場合
「昇格試験の対象者には、人事部から個別に通知します。」
受験資格などを満たす社員を示しています。
「在籍3年以上の社員を今回の面談対象者とします。」
会社内の制度・面談・研修などでも自然に使えます。
「対象者である」=必ずサービスを受けられるとは限らない
「対象者」という言葉を読むときに注意したいのが、対象者だからといって、必ず最終的な利用・給付・採用などが決まっているとは限らないことです。
たとえば、ある補助制度について、
- 年齢
- 住所
- 所得
- 申請期間
- 必要書類
など複数の要件が設定されていることがあります。
案内の一部では「対象者」と書かれていても、実際に給付を受けるには申請や審査など別の手続きが必要な場合があります。
したがって制度案内では、単に「対象者」という文字だけを見るのではなく、
- 対象者の条件
- 申請要件
- 対象外となる条件
- 必要な手続き
- 申請期限
まで確認することが重要です。
厚生労働省の公的文書でも、「対象者」と「対象外」を区別しながら、制度ごとに具体的な条件が示されています。
「対象者の方」はおかしい?
「対象者の方」という表現は一般的に使われています。
たとえば、
「対象者の方には通知書を送付します。」
という文章です。
「者」が人を表すため「方」を付けると重複しているように感じることもありますが、「対象者の方」は相手への配慮を加えた表現として広く使われています。
ただし、文章を簡潔にするなら、
- 対象者には通知します。
- 対象となる方には通知します。
としても自然です。
一般向けの柔らかい案内なら「対象となる方」、規程・一覧表・行政文書などでは「対象者」とすると使い分けやすいでしょう。
「対象者各位」は使える?
社内メールや案内文で、
「研修対象者各位」
のように書くことがあります。
「各位」自体に複数の人それぞれへの敬意が含まれるため、
「研修対象者各位」
「受講対象者各位」
といった表現は、社内案内などで使用できます。
より柔らかくするなら、
「研修を受講される皆さまへ」
などと言い換える方法もあります。
「対象者を対象に」は意味が重複する?
たとえば、
「対象者を対象にアンケートを実施する」
という文章は意味自体は伝わりますが、「対象」が重なって少しくどく感じられます。
次のように言い換えると自然です。
- 対象者にアンケートを実施する。
- 該当する人を対象にアンケートを実施する。
- ○○の利用者を対象にアンケートを実施する。
ビジネス文書では、同じ言葉の重複を避けると文章が読みやすくなります。
「対象者なし」と「該当者なし」の違い
どちらも使われる表現ですが、意味の焦点が異なります。
「対象者なし」は、そもそもその制度や行為の対象となる人がいないことを表します。
一方、「該当者なし」は、設定された条件に当てはまる人がいなかったことを表します。
たとえば、
「今年度は研修対象者なし」
であれば、研修を受ける対象となる社員がいないという意味です。
「推薦条件を満たす該当者なし」
であれば、条件に当てはまる人物が見つからなかったという意味になります。
「該当者」という言葉そのものについては、「該当者」とは?意味・使い方をわかりやすく解説もあわせて確認してください。
FAQ|「対象者」に関するよくある疑問
Q1. 「対象者」とは簡単にいうと何ですか?
何らかの制度・サービス・調査・行為などの対象となる人です。
「対象となる人」と言い換えると分かりやすいでしょう。
Q2. 「対象者」と「該当者」は同じですか?
同じ人物を指す場合もありますが、言葉の意味は異なります。
「対象者」は制度や行為などの対象となる人、「該当者」は条件や資格などに当てはまる人です。
Q3. 「対象者に該当する」は正しい表現ですか?
はい。使える表現です。
「対象者という条件・分類に当てはまる」という意味になります。
ただし一般向けの案内では、「対象となります」「対象です」のほうが簡潔な場合もあります。
Q4. 「対象者となる」と「対象者になる」はどちらが正しい?
どちらも正しい表現です。
「対象者となる」のほうがやや硬く、制度説明・規程・行政文書などで使われやすい傾向があります。
Q5. 「対象者」と「利用者」は同じですか?
同じとは限りません。
「対象者」は利用できる範囲に含まれている人を表す場合がありますが、「利用者」は実際にそのサービスを利用している人です。
たとえば制度の対象者が1,000人いても、実際の利用者は300人ということがあります。
Q6. 「対象者」と「受給者」は同じですか?
同じとは限りません。
「対象者」は給付の対象となり得る人、「受給者」は実際に給付を受ける人という違いがあります。
対象者であっても、申請していなかったり、追加条件を満たさなかったりする場合には受給者にならないことがあります。
Q7. 「対象者」と「参加者」の違いは?
「対象者」は参加する範囲に含まれる人、「参加者」は実際に参加する人です。
たとえば100人が研修対象者でも、実際に参加した人が90人なら、「対象者100人・参加者90人」となります。
Q8. 「対象者」と「候補者」は同じですか?
異なります。
「対象者」は制度・行為などの対象となる人で、「候補者」は何らかの選択・選任を受ける可能性がある人です。
Q9. 「対象者以外」と「対象外」は同じ?
多くの場面では近い意味になります。
ただし「対象者以外」は人について述べていることが明確なのに対し、「対象外」は人だけでなく商品・地域・期間などにも使えます。
Q10. 「対象となる者」と「対象者」はどちらが正しい?
どちらも使えます。
「対象者」は簡潔な表現です。
一方、法律・規程・制度説明などでは、条件を続けて詳しく示すため、
「対象となる者は、次に掲げる要件を満たす者とする」
のような文章が使われることもあります。
Q11. 「対象者本人」という表現はおかしい?
おかしくありません。
「対象者本人が申請してください」のように、代理人ではなく対象となる本人自身であることを明確にする場合に使えます。
Q12. 「対象者のみ」はどういう意味?
その制度・イベント・サービスなどについて、対象となる人だけという意味です。
たとえば、
「会場への入場は対象者のみとします。」
なら、対象になっていない人は入場できないという意味になります。
まとめ|「対象者」は「何かの対象となる人」
「対象者」とは、ある行為・制度・サービス・調査・募集などが向けられる人、またはその範囲に含まれる人を表す言葉です。
違いを簡単にまとめると、
- 対象:行為などが向けられるもの。人以外にも使える
- 対象者:対象となる人
- 該当者:条件・資格などに当てはまる人
- 対象外:対象となる範囲に含まれていないこと
- 候補者:選ばれる可能性がある人
と整理できます。
特に「対象者」と「該当者」は同じ人物を指すことがありますが、「制度・行為が向けられる範囲」を見るのが対象者、「条件に当てはまるか」を見るのが該当者と考えると違いが分かりやすくなります。
また、制度や給付について「対象者」と書かれていても、必ず利用・給付が確定しているとは限りません。申請条件・対象外条件・必要な手続きなどが別に定められていることもあるため、実際の制度を利用するときは案内全体を確認することが重要です。
参考リンク・出典
- コトバンク「対象」
対象(タイショウ)とは? 意味や使い方 - コトバンクデジタル大辞泉 - 対象の用語解説 - 1 行為の目標となるもの。めあて。「幼児を対象とする絵本」「調査の対象」2 哲学で、主観・意識に対してあり、その認識や意志などの作用が向けられるもの。目途・目標・目安・的・方向・矛先・当たり・目当て・... - コトバンク「該当」
該当(ガイトウ)とは? 意味や使い方 - コトバンクデジタル大辞泉 - 該当の用語解説 - [名](スル)ある条件・資格などに、当てはまること。「該当する箇所に丸をつける」適合・適応・相当・即応・順応・対応・照応・一致・合致・符合・吻合ふんごう・暗合・整合・当てはまる・慣らす・等しい・同然・... - 厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業における介護予防ケアマネジメントの実施等について」
・介護予防・日常生活支援総合事業における介護予防ケアマネジメント(第1号介護予防支援事業)の実施及び介護予防手帳の活用について(◆平成27年06月05日老振発第605001号) - 厚生労働省「国民健康保険料(税)の前納に係る国民健康保険条例参考例の送付について」
・国民健康保険料(税)の前納に係る国民健康保険条例参考例の送付について(◆令和07年10月29日事務連絡)
