「名詞」とは?国語での意味・5つの種類と見分け方を例文で解説|代名詞・連体詞との違いと練習問題

「名詞は物の名前」と習っても、「希望」や「時間」のような目に見えない言葉、「私」「これ」のように人や物を指す言葉まで名詞に入るのか、迷うことがあります。

また、国語のテストで「この」と「これ」、「走る」と「走り」、「本」と「本を」の違いを聞かれると、名詞の定義だけでは答えられないこともあります。

名詞(めいし)は、人・物・場所・時間・事柄などの名前を表す、活用しない自立語です。現代語の中学校文法では、普通名詞・固有名詞・数詞・形式名詞・代名詞の5種類に分けて説明する教材があります。

この記事では、国語の学校文法を基準に、名詞の意味・5つの種類・具体例・見分け方を整理します。「これ」と「この」の違い、形式名詞と転成名詞、名詞と動詞・形容動詞・助詞の関係、品詞の分類方法の違いまで説明し、最後に解答・解説付きの練習問題を用意しました。

  1. 【結論】名詞とは?意味を簡単に説明
  2. 名詞の3つの特徴|自立語・活用しない・主語になれる
    1. ① 名詞は自立語である
    2. ② 名詞は活用しない
    3. ③ 名詞は主語になれる性質を持つ
  3. 名詞の種類は5つ|一覧表で意味と例を確認
  4. ① 普通名詞とは?一般的な人・物・事柄の名前
    1. 目に見えない言葉も普通名詞になる
    2. 「学校」と「東京大学」では何が違う?
  5. ② 固有名詞とは?人名・地名・作品名など
    1. 「日本人」「富士山登山」は全部が固有名詞?
    2. 作品名・施設名では一般語でも固有名詞になり得る
  6. ③ 数詞とは?数量・順序を表す名詞
    1. 「三人」は名詞?「三人で」はどうなる?
    2. 数を表す語と、数字が含まれる固有名詞は区別する
  7. ④ 形式名詞とは?「こと・もの・ところ・はず」など
    1. 「こと」はすべて形式名詞になる?
    2. 「ところ」も場所の意味とは限らない
    3. 形式名詞は漢字とひらがなのどちらで書く?
  8. ⑤ 代名詞とは?「私・これ・ここ」などの指し示す名詞
    1. 人称代名詞|私・あなた・彼など
    2. 指示代名詞|これ・それ・あれ・どれなど
    3. 「この・その・あの」とはどう違う?
  9. 転成名詞とは?動詞や形容詞からできた名詞
    1. 「笑い」が動詞なのか名詞なのかは文脈で決める
    2. 「高さ」は形容詞ではない
  10. 名詞の見分け方|学校のテストで使える4ステップ
    1. 「が・は」を付ける方法は補助的に使う
    2. 文節と単語を混同しない
    3. 単語の一部分だけを見て判断しない
  11. 名詞が文の中で果たす役割|主語だけではない
  12. 名詞とほかの品詞の違い|間違えやすい例を比較
    1. 名詞と動詞|「勉強」と「勉強する」
    2. 名詞と形容動詞|「健康」と「健康だ」
    3. 名詞と連体詞|「それ」と「その」
    4. 名詞と助詞|「本を」の「を」は名詞ではない
    5. 名詞と副詞|「昨日」と「ゆっくり」
  13. 「名詞」と「体言」の違いは?
  14. 代名詞は名詞の一種?「10品詞」と「11品詞」の違い
  15. 名詞の例文15選|種類と見分け方をまとめて確認
  16. よくある間違いと対処法|名詞の品詞判定で迷ったら
    1. 「名詞は形のある物だけ」と思ってしまう
    2. 「助詞が付いたもの全部が名詞」と考えてしまう
    3. 「この」と「これ」を混同する
    4. 「勉強」「勉強する」を同じ品詞にしてしまう
    5. 「動き」「笑い」を必ず動詞と判断する
  17. 練習問題24問|名詞の種類と似た品詞の違いを確認
    1. 基礎問題1〜8|名詞の5種類
    2. 標準問題9〜16|名詞と他の品詞
    3. 応用問題17〜24|文章の中で見分ける
  18. 練習問題の解答と解説|24問を一覧で確認
  19. 名詞に関するよくある質問(FAQ)
    1. Q1.名詞とは一言でいうと何ですか?
    2. Q2.名詞には何種類ありますか?
    3. Q3.名詞はすべて目に見えるものですか?
    4. Q4.「私」「僕」「あなた」は名詞ですか?
    5. Q5.「これ」と「この」はどちらも名詞ですか?
    6. Q6.「三人」「五冊」は名詞になりますか?
    7. Q7.「こと」は必ず形式名詞ですか?
    8. Q8.形式名詞と普通名詞の違いは何ですか?
    9. Q9.転成名詞は6種類目の名詞ですか?
    10. Q10.「勉強」は名詞ですか、動詞ですか?
    11. Q11.「笑い」は名詞ですか?
    12. Q12.名詞と体言は同じ意味ですか?
    13. Q13.名詞は必ず主語になりますか?
    14. Q14.名詞と助詞の違いは何ですか?
    15. Q15.名詞と代名詞を分けて11品詞とするのは間違いですか?
    16. Q16.英語のnoun(名詞)と日本語の名詞は同じですか?
    17. Q17.「明日」「今日」は名詞ですか?
    18. Q18.テストではどうやって名詞を見分ければいいですか?
  20. まとめ|名詞は「名前を表す、活用しない自立語」
  21. 参考リンク

【結論】名詞とは?意味を簡単に説明

名詞とは、「だれ・何・どこ・いつ・どんな事柄」などを指し示す言葉のうち、活用せず、助詞を伴って主語になれる性質を持つ品詞です。たとえば「列車が着く」「明日は休みだ」「友情が深まる」の「列車」「明日」「友情」は名詞です。

確認するポイント 名詞の特徴 例
読み方 めいし 名詞
品詞としての位置づけ 活用しない自立語 花・約束・私・三人
表す内容 人物・物・場所・時・数・概念など 生徒・時計・駅・秋・二つ・希望
文中での働き 助詞を伴い主語になれる。修飾語や述語の一部にもなる 猫が眠る/空の色/彼は医師だ
別の呼び方 体言(学校文法では基本的に名詞) 「山」「私」など
主な分類 普通名詞・固有名詞・数詞・形式名詞・代名詞 後述の一覧で比較

「名前を表す」といっても、机や犬のように形のあるものに限りません。「自由」「努力」「喜び」といった抽象的な事柄も名詞です。日本語では、名詞そのものを英語のように複数形へ変化させることも通常ありません。

ただし、「が」を付けられるかどうかは有力な目安であって、それだけですべての品詞を確定する万能な試験ではありません。単語の区切り方や文章中の働きも一緒に見ます。

名詞の3つの特徴|自立語・活用しない・主語になれる

① 名詞は自立語である

自立語とは、文節の中心になり、通常はそれ自体で一つの意味を持つ言葉です。「木が/揺れる」では「木」は名詞で、自立語です。一方「が」は助詞なので、自立語ではなく付属語です。

たとえば「海は/青い」なら、「海」が自立語の名詞、「は」が付属語の助詞です。一つの文節に名詞と助詞が入ることもあります。

② 名詞は活用しない

活用とは、語の文法的な形が変化することです。動詞「歩く」は「歩かない・歩きます・歩けば」などと形を変えますが、名詞「道」は「道が・道を・道で」と助詞が付いても、「道」という単語自体の形は変わりません。

「名詞の後ろに『だ』『です』が付くから名詞も活用する」という考え方は誤りです。学校文法では「学生だ」の「学生」は名詞、「だ」は助動詞として区別します。

③ 名詞は主語になれる性質を持つ

「花が咲いた」「午後が楽しみだ」「彼女が笑った」では、「花」「午後」「彼女」が主語を構成する名詞です。「が」や「は」などを添えれば主語になるという特徴は、名詞を見分ける大きな手掛かりです。

ただし、名詞がいつも主語として使われるわけではありません。「花を育てる」の「花」は名詞ですが、文の中では動作の対象を表しています。品詞と文の成分は、別の観点から判断します。

名詞の種類は5つ|一覧表で意味と例を確認

中学校の教材では、名詞を「普通名詞・固有名詞・数詞・形式名詞・代名詞」の5種類に整理する方法が使われています。最初に全体像をつかみましょう。

種類 何を表す? 代表例 例文
普通名詞 一般的な人・物・場所・事柄の名前 公園・医師・時間・勇気 勇気が必要だ。
固有名詞 特定の人・地名・作品などにつけられた固有の名前 富士山・京都・夏目漱石 京都を訪ねた。
数詞 数量や順序 三つ・二人・五冊・第一 二人が到着した。
形式名詞 具体的な意味が薄れ、前から修飾されて用いられる名詞 こと・もの・ところ・はず 泳ぐことが好きだ。
代名詞 人・物・場所・方向などを指し示す言葉 私・あなた・これ・そこ これを使おう。

学校で採用されている分類を示したもので、あらゆる文法理論で必ず5種類という意味ではありません。また、後述する「転成名詞」は、元の品詞からどうできたかという別の観点の呼び方です。

① 普通名詞とは?一般的な人・物・事柄の名前

普通名詞は、特定の一つだけを指す固有の名前ではなく、ある種類に属する人や物、抽象的な事柄などを表します。「川」「映画」「先生」「将来」「健康」など、日常会話に登場する言葉の多くがこれに当たります。

分類の目安 普通名詞の例 使用例
人・職業 友人・研究者・店員 店員が案内する。
物・道具 机・傘・時計 傘を持っていく。
場所・施設 公園・図書館・駅 図書館で調べる。
時・季節 朝・夏・昨日 朝が早い。
考え・気持ち 努力・幸福・約束 努力が実を結ぶ。

目に見えない言葉も普通名詞になる

「愛情」「希望」「信頼」のように手で触れられない言葉も、事柄や概念の名前として使われるため、普通名詞に入ります。「名詞は具体的な物だけ」という覚え方は避けましょう。

「学校」と「東京大学」では何が違う?

「学校」は施設の種類を表す普通名詞です。一方、特定の学校を正式な名前で指す「東京大学」は固有名詞です。普通名詞と固有名詞の違いは、「特定の対象を区別するための名前かどうか」が手掛かりになります。

② 固有名詞とは?人名・地名・作品名など

固有名詞は、ある人や場所、作品などをほかと区別して呼ぶための固有の名前です。人名、都道府県名、山や川の名前、作品名、団体名などが代表例です。

普通名詞 固有名詞 違いの考え方
山 富士山 山という種類と、特定の山の名称
都市 京都市 都市の一般名と、特定の自治体名
作家 夏目漱石 職業名と、特定の人物の名前
小説 『こころ』 作品の種類と、特定の作品名
川 多摩川 一般的な川と、特定の川の名前

固有名詞だからといって、その名前を持つ対象が世界に絶対一つしか存在しないという意味ではありません。同姓同名の人もいます。大切なのは、個々の対象を区別する名称として使っているかという点です。

「日本人」「富士山登山」は全部が固有名詞?

名詞が複数の要素からできている場合は、どこまでを一語として扱うか、どんな意味で使っているかを確認します。「日本」は国名として固有名詞ですが、「日本人」は日本に関係する人々を表す一般的な名称として使われることもあります。複合語は、含まれている漢字一つで決めないことが大切です。

作品名・施設名では一般語でも固有名詞になり得る

「こころ」は気持ちや精神を表す普通名詞ですが、作品名『こころ』として用いられれば固有名詞として捉えられます。同じ表記でも、文章で何を指すかによって役割が変わります。

③ 数詞とは?数量・順序を表す名詞

数詞は、物や人の数、数量、順序などを表す名詞です。「三つ」「五人」「二冊」「第一」などがあります。「数字が書かれている言葉すべて」ではなく、数や順序を名詞として表すかに注目します。

表す内容 数詞の例 例文
個数 三つ・十個 みかんを三つ選ぶ。
人数 二人・五人 二人が相談した。
数量・単位 三冊・二本 三冊を並べた。
順序 第一・二番目 一番目に並ぶ。
期間・回数 三日間・二回 練習を二回行った。

「三人」は名詞?「三人で」はどうなる?

学校文法では「三人」は数量を表す数詞で、名詞の仲間です。「三人で歩く」では「三人」が数詞、「で」が助詞です。二つをまとめた「三人で」は文節として一つのまとまりになる場合があります。

数を表す語と、数字が含まれる固有名詞は区別する

「三つ」は数詞ですが、「三重県」は県名なので固有名詞です。見た目に数字を表す漢字があるかどうかではなく、その語全体の意味を確かめます。

④ 形式名詞とは?「こと・もの・ところ・はず」など

形式名詞は、もともとの具体的な意味が薄れ、前の言葉によって内容が補われる名詞です。「勉強すること」「行くところ」「終わるはず」など、前に説明する言葉を伴って使われることが多いのが特徴です。

形式名詞 例文 その場面での働き
こと 毎朝歩くことを続ける。 「毎朝歩く」という行為・事柄をまとめる
もの 困ったときに頼れるものが必要だ。 前の説明を受けて対象を指す
ところ 今から出かけるところだ。 動作が始まる直前の段階を表す
はず 列車はもう着くはずだ。 そうなる見込み・判断を表す
ため 忘れないために記録する。 目的を表す

「こと」はすべて形式名詞になる?

「本を読むことが楽しい」の「こと」は、前の「本を読む」によって内容が定まる形式名詞として説明できます。一方、「事の重大さに気付く」の「事」は、出来事・事情という意味を比較的はっきり持っています。同じ「こと」でも、意味と使われ方を見て判断しましょう。

「ところ」も場所の意味とは限らない

「駅の近くのところに座る」の「ところ」は具体的な場所の意味が強い言葉です。一方、「ちょうど帰るところだ」の「ところ」は、動作の段階を表し、形式名詞として働きます。名詞の種類は、単語だけを切り離して暗記するのではなく、例文と一緒に覚えると正確です。

形式名詞は漢字とひらがなのどちらで書く?

形式的な意味で使う「こと」「もの」「ところ」などは、現代の文章ではひらがなで表されることが多くあります。ただし、文脈や表記基準によって扱いは異なります。国語文法の問題では、漢字かひらがなかだけで形式名詞と決めないことが大切です。

⑤ 代名詞とは?「私・これ・ここ」などの指し示す名詞

代名詞は、人や物、場所、方向などについて、対象の固有名や種類の名前を直接言わず、会話や文脈の中で指し示す言葉です。学校文法の10品詞では、一般に名詞の仲間として扱います。

人称代名詞|私・あなた・彼など

話す人、聞く人、話題に出ている人などを示します。「私は行く」「あなたはどう思う?」「彼は先に帰った」の「私」「あなた」「彼」は人称代名詞です。「誰」「どなた」のように人を尋ねる語も代名詞として扱われます。

指示代名詞|これ・それ・あれ・どれなど

「これは軽い」「それを貸して」「どれが正解?」などで使う「これ」「それ」「どれ」は、物や事柄を指す指示代名詞です。場所の「ここ・そこ・あそこ・どこ」、方向の「こちら・そちら・どちら」などもあります。

指し示す対象 近称 中称 遠称 不定・疑問
物・事柄 これ それ あれ どれ
場所 ここ そこ あそこ どこ
方向 こちら そちら あちら どちら

「この・その・あの」とはどう違う?

「これ」は「これが欲しい」のように、それ自体で人や物を指せます。一方、「この」は「この本が欲しい」のように、後ろの名詞を修飾する言葉です。

例文 注目語 学校文法での品詞 理由
これを持っていく。 これ 代名詞(名詞) 物を指し示す
この箱を持っていく。 この 連体詞 名詞「箱」を修飾する
そこに座る。 そこ 代名詞(名詞) 場所を指し示す
その席に座る。 その 連体詞 名詞「席」を修飾する
どれを選ぶ? どれ 代名詞(名詞) 物を尋ねる
どの色を選ぶ? どの 連体詞 名詞「色」を修飾する

この違いをさらに詳しく知りたい場合は、「連体詞」とは?意味・見分け方と代表例で確認できます。代名詞と連体詞はどちらも「こそあど言葉」に含まれますが、品詞は同じとは限りません。

転成名詞とは?動詞や形容詞からできた名詞

転成名詞は、動詞や形容詞など別の品詞に関わる語形が、名詞として使われるようになったものを指します。普通名詞や固有名詞と並ぶ分類として紹介する教材もありますが、名詞がどこから生まれたかという観点を含むため、先ほどの5種類と単純に数を足す必要はありません。

もとの言葉 名詞としての例 例文
笑う(動詞) 笑い 子どもの笑いが聞こえる。
読む(動詞) 読み この漢字の読みを確かめる。
飾る(動詞) 飾り 窓辺に飾りを置く。
高い(形容詞) 高さ 建物の高さを測る。
深い(形容詞) 深さ 水の深さを調べる。

「笑い」が動詞なのか名詞なのかは文脈で決める

「みんなが笑い、会場が和んだ」の「笑い」は動詞「笑う」の連用形です。一方、「その笑いが広がった」の「笑い」は、笑う行為やその結果を名付ける名詞です。形が同じでも、文中での使われ方が違います。

「高さ」は形容詞ではない

「高い」は形容詞ですが、「高さ」は程度を表す名詞です。「高さが足りない」のように主語となり、「高さを測る」のように助詞を伴います。語の由来だけを見て形容詞と答えないようにしましょう。

名詞の見分け方|学校のテストで使える4ステップ

名詞が出てくる問題では、まず単語としての境目を確かめ、次に形が変化するか、最後にどのような意味・働きを持つかを順に確認します。

  1. 単語を分ける。「猫が走った」は「猫/が/走っ/た」。名詞と助詞をまとめて一語にしない。
  2. 活用の有無を確認する。「猫」は変化しない。「走る」は「走らない」「走ります」と活用する。
  3. 人・物・事柄・数などを指すか確認する。「猫」「明日」「努力」「三つ」「これ」は名詞になり得る。
  4. 文の中で何をしているか確かめる。「猫が鳴く」の「猫」が主語を構成するように、助詞とともに働きを判断する。

「が・は」を付ける方法は補助的に使う

「幸せが大切だ」の「幸せ」は名詞として使われています。一方、「静かだ」の「静か」は形容動詞の語幹で、学校文法では「静かだ」全体を一語の形容動詞として扱います。このように「が・は」を付けられるかという簡易的な方法だけでなく、言い切りの形や活用を確認してください。

文節と単語を混同しない

「私の/本を/読む」は3文節ですが、「私/の/本/を/読む」と考えると5単語です。「私」は代名詞、「本」は普通名詞、「の」「を」は助詞、「読む」は動詞です。名詞を選ぶ設問なら文節全体を抜き出さないようにします。

単語の一部分だけを見て判断しない

「きれい」の末尾が「い」だから形容詞、と判断するのは誤りです。「きれいだ」は形容動詞です。同じように、「日本語」の中に「日本」が含まれていても、問題で問われている語全体を見て分類しましょう。

名詞が文の中で果たす役割|主語だけではない

「名詞は主語になれる」という説明は重要ですが、実際の文章では名詞が多様な働きをします。どの助詞と結びつくか、前後の言葉とどうつながるかを確認しましょう。

役割 例文 説明
主語 桜が咲いた。 「桜が」が主語となる
動作の対象 資料を読む。 「資料を」が「読む」を詳しくする
場所・手段 駅で待つ。 「駅で」が場所を表す
名詞を修飾 友人の写真。 「友人の」が「写真」を詳しくする
述語の一部 彼女は医師だ。 名詞「医師」に助動詞「だ」が付く
時間 明日出発する。 名詞「明日」が時間を表し、「出発する」を修飾する

「名詞」や「主語」は同じものではありません。名詞は単語の品詞、主語・修飾語・述語は文の中での成分です。すべての名詞を主語と判断しないことが大切です。

名詞とほかの品詞の違い|間違えやすい例を比較

名詞と動詞|「勉強」と「勉強する」

「勉強」は「勉強が必要だ」「勉強を続ける」のように名詞として使えます。一方、「勉強する」は動作を表す動詞として活用し、「勉強しない」「勉強した」と形を変えます。

学校文法では「勉強する」をサ行変格活用の動詞として扱います。一方、「勉強をする」の場合は「勉強/を/する」と単語を分けます。似た言い方でも単語の構成が違うことがあります。

名詞と形容動詞|「健康」と「健康だ」

「健康が第一だ」の「健康」は名詞です。一方、「祖母は健康だ」のように人の状態を説明する場合には、学校文法で形容動詞の用法として扱うことがあります。一つの語が文脈によって名詞的にも形容動詞的にも働く場合があるので、語尾だけでなく文中の意味と活用を確認しましょう。

さらに分かりやすい対比は「静かだ」と「公園」です。「静かだ」は形容動詞、「公園」は名詞で、「公園だ」なら「公園」が名詞、「だ」が助動詞として区切られます。

名詞と連体詞|「それ」と「その」

「それは私のです」の「それ」は代名詞、「その写真は古い」の「その」は連体詞です。連体詞は後ろの名詞を詳しくしますが、代名詞はそれ自体が人・物・場所などを指します。

名詞と助詞|「本を」の「を」は名詞ではない

「本を」の「本」は名詞ですが、「を」は助詞です。名詞は自立語、助詞は付属語です。助詞の種類については「助詞」とは?4つの種類と見分け方で詳しく解説しています。

名詞と副詞|「昨日」と「ゆっくり」

「昨日」は時間を表す名詞で、「昨日が休みだった」のように主語にもなれます。「ゆっくり」は動作の様子を表す副詞で、「ゆっくり歩く」のように使います。名詞も修飾語として働くため、「動詞を詳しくしている語は必ず副詞」とは言えません。

表現 品詞 判断のポイント
本 名詞 物の名前を表し、活用しない
勉強する 動詞 「勉強しない」と活用する
静かだ 形容動詞 「静かな」「静かに」と活用する
その 連体詞 後ろの名詞を修飾する
それ 代名詞(名詞) 物や事柄を指し示す
ゆっくり 副詞 動作の様子を表す
を 助詞 前の語に付いて関係を示す

「名詞」と「体言」の違いは?

「体言(たいげん)」は、国語文法で名詞や代名詞などをまとめて呼ぶ言葉です。中学校の10品詞の分類では、代名詞・数詞などを名詞に含めるため、体言は基本的に名詞のことと理解して差し支えありません。

対になる「用言(ようげん)」は、動詞・形容詞・形容動詞の総称です。用言は活用しますが、体言は活用しません。

用語 学校文法で指すもの 例
体言 名詞(代名詞・数詞などを含む) 海・私・五つ
用言 動詞・形容詞・形容動詞 歌う・美しい・静かだ
連体詞 体言を修飾する独立した品詞 この・大きな

名詞がどのように10品詞の中で分類されるかについては、「品詞」とは?国語の10種類一覧と見分け方に体系的な説明があります。

代名詞は名詞の一種?「10品詞」と「11品詞」の違い

学校で名詞を学ぶときは、基本的に代名詞を名詞の一種と考えます。したがって「私」「それ」「どこ」は名詞に含まれます。一方、辞書や文法研究では、代名詞を名詞とは別の独立した品詞として数えることがあります。

分類の立場 代名詞の扱い 何が変わる?
中学校の現代語の学校文法 名詞に含める 一般に10品詞で説明する
代名詞を独立させる分類 名詞と別にする 11品詞とする例がある

小学館『デジタル大辞泉』の「名詞」の項目では、代名詞を名詞とは別に扱う説明と、学校文法では名詞に含める場合があるという補足が示されています。どちらが単純に正しい・間違いというより、採用する分類体系が異なります。

学校の授業や定期テストでは、教科書・授業で教わる分類を優先してください。この記事では代名詞を名詞に含めた現代日本語の学校文法を基本とします。

名詞の例文15選|種類と見分け方をまとめて確認

名詞は文章の中でさまざまな位置に現れます。次の例文では、太字の言葉が名詞です。名詞の種類を答える場合は、文中の意味と使われ方も確かめましょう。

例文 名詞の種類 見分ける理由
今朝、風が強かった。 普通名詞 自然現象の一般的な名前
約束を守る。 普通名詞 事柄の名前
図書館で学ぶ。 普通名詞 施設の種類の名前
富士山が見えた。 固有名詞 特定の山の名称
夏目漱石の作品を読む。 固有名詞 特定の人物の名前
京都市を訪れる。 固有名詞 特定の自治体名
三人が集まった。 数詞 人数を表す
二つを選んだ。 数詞 個数を表す
第一に安全を考える。 数詞 順序を表す
歩くことが健康に役立つ。 形式名詞 行為を事柄としてまとめる
そろそろ帰るところだ。 形式名詞 動作の段階を表す
終わるはずだ。 形式名詞 見込みを表す
私は先に行きます。 代名詞「私」 話し手を指す
これを使ってください。 代名詞 物を指し示す
そこに置いてください。 代名詞 場所を指し示す

「私は」のように名詞と助詞がつながって書かれている場合は、「私/は」に分けて考えます。また、「第一に」の「に」は助詞であり、名詞「第一」とは別の語です。

よくある間違いと対処法|名詞の品詞判定で迷ったら

「名詞は形のある物だけ」と思ってしまう

「友情」「不安」「自由」「経験」などの抽象的な概念も名詞です。物を直接指せるかではなく、その言葉が何らかの事柄の名前として使われているかを考えましょう。

「助詞が付いたもの全部が名詞」と考えてしまう

「静かに」の「に」は形容動詞の連用形に含まれる部分として扱われ、「静かに」全体を形容動詞の活用した形と考えるのが中学校の学校文法です。「本に」の「に」とは構造が異なります。

「この」と「これ」を混同する

「この」は次の名詞にかかる連体詞、「これ」は物を指す代名詞です。どちらも「こそあど言葉」ですが、指し示す対象を自分で表せるか、後ろの名詞を修飾しているかを確認します。

「勉強」「勉強する」を同じ品詞にしてしまう

「勉強」は名詞として使えますが、「勉強する」は動詞です。「勉強した」「勉強しよう」と変化するかどうかも確かめましょう。

「動き」「笑い」を必ず動詞と判断する

「動きが速い」の「動き」は名詞です。「物が動き、音がした」の「動き」は動詞の連用形です。同じ形だから同じ品詞とは限りません。

練習問題24問|名詞の種類と似た品詞の違いを確認

ここまでの知識を使い、太字の言葉について答えてみましょう。基礎問題では名詞の種類、標準問題では名詞か別の品詞か、応用問題では文の中での使われ方を判断します。答えと理由は後の表にまとめました。

基礎問題1〜8|名詞の5種類

  1. 駅で友人を待つ。
    問:太字の語の名詞の種類を答えなさい。
  2. 京都に旅行する。
    問:太字の語の名詞の種類を答えなさい。
  3. 私が説明する。
    問:太字の語の名詞の種類を答えなさい。
  4. りんごを三つ買う。
    問:太字の語の名詞の種類を答えなさい。
  5. 水を飲むことが大切だ。
    問:太字の語の名詞の種類を答えなさい。
  6. 勇気が必要だ。
    問:太字の語の名詞の種類を答えなさい。
  7. 富士山が見える。
    問:太字の語の名詞の種類を答えなさい。
  8. どれが正解ですか。
    問:太字の語の名詞の種類を答えなさい。

標準問題9〜16|名詞と他の品詞

  1. これを運んでください。
    問:太字の語の品詞・分類を答えなさい。
  2. この机を運んでください。
    問:太字の語の品詞・分類を答えなさい。
  3. 勉強を始めよう。
    問:太字の語の品詞・分類を答えなさい。
  4. 毎日勉強する。
    問:太字の語の品詞・分類を答えなさい。
  5. 建物の高さを測る。
    問:太字の語の品詞・分類を答えなさい。
  6. 窓辺に飾りを置く。
    問:太字の語の品詞・分類を答えなさい。
  7. 町はとても静かだ。
    問:太字の語の品詞・分類を答えなさい。
  8. 日本を紹介する。
    問:太字の語の品詞・分類を答えなさい。

応用問題17〜24|文章の中で見分ける

  1. 彼の笑いが聞こえた。
    問:太字の語の品詞・分類を答えなさい。
  2. 彼は大きな声で笑い、立ち上がった。
    問:太字の語の品詞・分類を答えなさい。
  3. もう出発するところだ。
    問:太字の語の品詞・分類を答えなさい。
  4. そこに座ってください。
    問:太字の語の品詞・分類を答えなさい。
  5. その席に座ってください。
    問:太字の語の品詞・分類を答えなさい。
  6. 二人が到着した。
    問:太字の語の品詞・分類を答えなさい。
  7. 三重県に行った。
    問:太字の語の品詞・分類を答えなさい。
  8. 学生だと答えた。
    問:太字の語の品詞・分類を答えなさい。

練習問題の解答と解説|24問を一覧で確認

迷ったところは、太字の語が「何を表すか」「活用するか」「後ろの語を修飾するだけか」を確認してください。学校文法の10品詞の分類に基づいた解答です。

番号 正解 理由
1 普通名詞 一般的な施設の名前。
2 固有名詞 特定の地名。
3 代名詞 話し手を指し示す。
4 数詞 個数を表す。
5 形式名詞 飲むという行為を事柄としてまとめる。
6 普通名詞 抽象的な事柄の名前。
7 固有名詞 特定の山の名称。
8 代名詞 物を尋ねて指し示す。
9 代名詞(名詞) 物を指す語で、それ自体が名詞として働く。
10 連体詞(名詞ではない) 「机」を修飾し、単独で対象を指さない。
11 名詞 「勉強を」と助詞を伴う。
12 動詞(名詞ではない) 「勉強しない」「勉強した」と活用する。
13 名詞(転成名詞の例) 「高い」に由来するが、程度の名前として使われる。
14 名詞(転成名詞の例) 「飾る」に由来し、物の名前として使われる。
15 形容動詞(名詞ではない) 「静かな」「静かに」と活用する。
16 固有名詞 国名を表す。
17 名詞(転成名詞の例) 「笑い」が対象の名前として主語になっている。
18 動詞の連用形(名詞ではない) 「笑う」の活用した形。
19 形式名詞 動作の段階を表す。
20 代名詞 場所を指している。
21 連体詞(名詞ではない) 「席」を修飾している。
22 数詞 人数を表す。
23 固有名詞 数字に使う漢字を含むが、県の名称。
24 名詞 「学生」は名詞。後ろの「だ」は助動詞。

特に9・10、11・12、17・18、20・21は、見た目が似ていても品詞が異なる組み合わせです。暗記ではなく、文章の中での働きと単語の区切り方を説明できるようにすると応用が利きます。

名詞に関するよくある質問(FAQ)

Q1.名詞とは一言でいうと何ですか?

人・物・場所・事柄などの名前を表す、活用しない自立語です。助詞を伴って主語になれる性質があります。

Q2.名詞には何種類ありますか?

中学校の国語教材には、普通名詞・固有名詞・数詞・形式名詞・代名詞の5種類に分けるものがあります。分類体系によって扱いが異なる場合もあります。

Q3.名詞はすべて目に見えるものですか?

いいえ。「自由」「努力」「安心」のように、目に見えない事柄や概念を表す普通名詞もあります。

Q4.「私」「僕」「あなた」は名詞ですか?

はい。学校文法では代名詞に分類し、代名詞を名詞の一種として扱います。

Q5.「これ」と「この」はどちらも名詞ですか?

「これ」は名詞に含まれる代名詞、「この」は連体詞です。「この」は後ろの名詞を修飾します。

Q6.「三人」「五冊」は名詞になりますか?

学校文法では人数や数量を表す数詞に分類し、名詞の仲間として説明します。

Q7.「こと」は必ず形式名詞ですか?

必ずしもそうではありません。前に説明する言葉を伴い、事柄を形式的に表す場合に形式名詞として働きます。文脈で確認しましょう。

Q8.形式名詞と普通名詞の違いは何ですか?

形式名詞は本来の具体的な意味が薄れ、前の修飾語に内容を補ってもらう傾向があります。「読書すること」などが代表例です。

Q9.転成名詞は6種類目の名詞ですか?

教材によって独立して挙げることもありますが、他の品詞から名詞になったという成立の仕方に注目する分類です。5分類と必ず同じ基準で数えるものではありません。

Q10.「勉強」は名詞ですか、動詞ですか?

「勉強をする」の「勉強」は名詞です。「勉強する」は動詞として活用します。文全体の形を確認してください。

Q11.「笑い」は名詞ですか?

「笑いが起こる」なら名詞です。「笑い、手を振った」なら動詞「笑う」の連用形です。文脈で判断します。

Q12.名詞と体言は同じ意味ですか?

中学校の学校文法では、体言は基本的に名詞(代名詞や数詞を含む)を指すと考えられます。

Q13.名詞は必ず主語になりますか?

いいえ。「本を読む」の「本」は名詞ですが、主語ではなく動作の対象を表しています。名詞は品詞、主語は文の成分です。

Q14.名詞と助詞の違いは何ですか?

名詞は自立語、助詞は通常ほかの語に付く付属語です。「本を」では「本」が名詞、「を」が助詞です。

Q15.名詞と代名詞を分けて11品詞とするのは間違いですか?

間違いではありません。分類体系によって代名詞を独立した品詞にする考え方があります。授業のテストでは教科書の分類を優先しましょう。

Q16.英語のnoun(名詞)と日本語の名詞は同じですか?

共通する性質もありますが、英語には数・冠詞など日本語と異なる文法上の特徴があります。この記事は現代日本語の学校文法を対象にしています。

Q17.「明日」「今日」は名詞ですか?

はい。時間を表す名詞です。「明日が休みだ」と主語になる場合もあり、「明日出かける」と動作の時間を表す場合もあります。

Q18.テストではどうやって名詞を見分ければいいですか?

単語を区切り、活用しない自立語か、何かの名前・数・事柄などを表すかを確かめ、前後の文と合わせて品詞を判断しましょう。

まとめ|名詞は「名前を表す、活用しない自立語」

名詞は、人・物・場所・時・数・事柄などを表す自立語で、活用せず、助詞を伴って主語になれる性質があります。中学校の現代語文法では、普通名詞・固有名詞・数詞・形式名詞・代名詞の5種類に分けて学ぶ教材があります。

  • 普通名詞:学校・未来・友情など、一般的な事柄の名前。
  • 固有名詞:京都・富士山など、特定の対象の名前。
  • 数詞:三つ・二人など、数量や順序を表す。
  • 形式名詞:こと・もの・ところなど、前の言葉を受けて使う。
  • 代名詞:私・これ・ここなど、人や物・場所を指し示す。

迷いやすい「これ/この」「勉強/勉強する」「笑い(名詞)/笑い(動詞の連用形)」は、言葉の形だけでなく、文章の中での働きを確認すると区別しやすくなります。問題を解くときは、名詞の種類を覚えるだけでなく、なぜ名詞なのか説明できることを目指しましょう。

参考リンク

名詞の定義・分類・見分け方について、国語辞典や中学校向け教材で確認できます。分類方法には違いがあるため、学校のテストでは使用する教科書の説明を優先してください。

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