家庭や会社のネットワーク機器を見ていると、
「ルーター」
「スイッチングハブ」
というよく似た機器が登場します。
どちらもLANケーブルを差し込むポートが複数あり、外見だけでは違いが分かりにくいため、
「ルーターとスイッチングハブは何が違う?」
「LANポートを増やしたいときはどちらを買う?」
「スイッチングハブだけでインターネットにつながる?」
「ルーターにもLANポートが4つあるなら、ハブと同じでは?」
「MACアドレスとIPアドレスのどちらを使う?」
「L2スイッチとL3スイッチは何が違う?」
と迷うことがあります。
結論からいうと、「ルーター」は異なるIPネットワーク間でパケットを転送する機器で、「スイッチングハブ」は主に同じLAN内の機器を接続し、MACアドレスを基にEthernetフレームを適切なポートへ転送する機器です。
一言で覚えるなら、
ルーター=「ネットワークとネットワークをつなぐ」
スイッチングハブ=「同じネットワーク内の機器をつなぐ」
です。
また、一般的な家庭用Wi-Fiルーターには、ルーター機能だけでなく、
- Ethernetスイッチ
- Wi-Fiアクセスポイント
- DHCPサーバー
- NAT・NAPT
- ファイアウォール
などが1台にまとめられています。
そのため、背面に複数のLANポートを持つ家庭用ルーターを見ると、スイッチングハブとの違いが分かりにくくなるのです。
この記事では、「ルーター」と「スイッチングハブ」の違いから、IPアドレス・MACアドレス、L2・L3、MACアドレステーブル、VLAN、マネージドスイッチ、LANポート増設まで詳しく解説します。
- 「ルーター」と「スイッチングハブ」の違い【結論】
- 「ルーター」とは?
- ルーターは「違うネットワーク」の境界に置く
- ルーターは何を見て転送先を決める?
- 「スイッチングハブ」とは?
- スイッチングハブはMACアドレスを使う
- MACアドレステーブルとは?
- スイッチはどうやってMACアドレスを覚える?
- 宛先MACアドレスをまだ知らない場合は?
- スイッチングハブと昔の「ハブ」は同じ?
- ルーターとスイッチの最大の違いは「IP」と「MAC」
- 「L2」と「L3」とは?
- 「L2スイッチ」とは?
- 「L3スイッチ」とは?
- では「L3スイッチ」と「ルーター」は同じ?
- ルーターのLANポートはスイッチなの?
- LANポートが足りないときはルーターを買い足す?
- スイッチングハブだけでインターネットにつながる?
- スイッチングハブを追加するとIPアドレスは変わる?
- スイッチングハブはIPアドレスを配る?
- スイッチ自身にIPアドレスはある?
- 「アンマネージドスイッチ」とは?
- 「マネージドスイッチ」とは?
- 「VLAN」とは?
- スイッチはブロードキャストを止める?
- ルーターはブロードキャストドメインを分ける
- 「MACアドレス」と「IPアドレス」はどう連携する?
- 別ネットワークの相手へ送るときのMACアドレスは?
- ルーターを通るとMACアドレスは変わる?
- スイッチングハブを何台もつなげてよい?
- 「ルーター・スイッチングハブ」で迷ったときの3秒判定
- 「ルーター」を使った例文
- 「スイッチングハブ」を使った例文
- 具体例で比較:LANポートを増やしたい
- 具体例で比較:家庭LANをインターネットへ接続したい
- よくある間違い1:「ルーターとスイッチングハブはLANポート数が違うだけ」と思う
- よくある間違い2:「スイッチングハブだけあればルーターはいらない」と思う
- よくある間違い3:「ルーターの4つのLANポートは4つの別ネットワーク」と思う
- よくある間違い4:「スイッチはすべての通信を全ポートへ流す」と思う
- よくある間違い5:「スイッチにはIPアドレスが絶対にない」と思う
- よくある間違い6:「スイッチ=必ずL2」と思う
- よくある間違い7:「LANポートを増やすためルーターをもう1台ルーターモードでつなぐ」と考える
- 「ルーター」と「スイッチングハブ」に関するよくある質問
- まとめ
- 参考資料・出典
「ルーター」と「スイッチングハブ」の違い【結論】
| 比較項目 | ルーター | スイッチングハブ |
|---|---|---|
| 主な役割 | 異なるネットワークを接続 | 同じLAN内の機器を接続 |
| 主に見る情報 | IPアドレス | MACアドレス |
| 代表的な階層 | L3(ネットワーク層) | L2(データリンク層) |
| 利用するテーブル | ルーティングテーブル・転送表 | MACアドレステーブル |
| 家庭での用途 | 家庭LANとインターネット側を接続 | 有線LANポートを増やす |
| NAT・NAPT | 家庭用ルーターでは搭載されることが多い | 通常のL2スイッチでは行わない |
| DHCPサーバー | 家庭用ルーターでは搭載されることが多い | 通常のL2スイッチの基本機能ではない |
| VLAN | 対応製品あり | マネージドスイッチ等で対応 |
3秒で判断するなら、
「別のネットワークへデータを送りたい?」 → ルーター
「同じLANに有線機器を追加したい?」 → スイッチングハブ
と考えると分かりやすいでしょう。
「ルーター」とは?
異なるIPネットワークを接続する機器
ルーターは、
Router
と書きます。
IETFのRFC 1812では、IPルーターは複数のネットワークを接続し、IPデータグラムをネットワーク間で転送する装置として説明されています。
ルーターは受け取ったIPパケットの、
宛先IPアドレス
を確認し、ルーティング情報を基に、
「次にどのネットワーク・インターフェースへ送ればよいか」
を判断します。
この処理を、
ルーティング
や、
フォワーディング
と呼びます。
ルーターは「違うネットワーク」の境界に置く
たとえば家庭では、
自宅LAN
と、
インターネット側のネットワーク
の間にルーターがあります。
概念的には、
インターネット ← ルーター → 家庭LAN
という形です。
家庭LAN側の端末がインターネットへ通信するとき、ルーターは外部ネットワークへパケットを転送します。
ルーターは何を見て転送先を決める?
ルーターが重要な判断材料として利用するのが、
IPアドレス
です。
たとえば宛先が、
192.168.1.50
なら自宅LAN内に存在するかもしれません。
一方、インターネット上の別ネットワークにあるIPアドレスなら、デフォルトルートなどに従って上流へ転送します。
ルーターは、
ルーティングテーブル
などを基に次の転送先を判断します。
「スイッチングハブ」とは?
同じLAN内の機器同士を効率よく接続する機器
スイッチングハブは一般に、
Ethernet Switch
Network Switch
などと呼ばれる機器です。
Ciscoは、スイッチについて、パソコン、プリンター、サーバーなど複数の機器を接続し、同じネットワーク内で互いに通信できるようにする装置と説明しています。
家庭で、
「ルーターのLANポートが足りない」
という場合に追加する機器が、スイッチングハブです。
スイッチングハブはMACアドレスを使う
一般的なL2スイッチは、Ethernetフレームに含まれる、
MACアドレス
を利用して転送先を判断します。
MACアドレスは、Ethernetなどのデータリンク層で通信相手を識別するために利用されるアドレスです。
スイッチは、
「このMACアドレスの機器は、このポートの先にいる」
という情報を学習します。
その情報を保存するのが、
MACアドレステーブル
です。
MACアドレステーブルとは?
たとえばスイッチのポートに、
- ポート1:PC-A
- ポート2:PC-B
- ポート3:プリンター
が接続されているとします。
スイッチは受信したEthernetフレームの送信元MACアドレスなどから、
| MACアドレス | 接続ポート |
|---|---|
| PC-AのMAC | ポート1 |
| PC-BのMAC | ポート2 |
| プリンターのMAC | ポート3 |
といった情報を学習できます。
Juniper Networksも、L2スイッチでは学習したMACアドレスをEthernet switching tableに保存し、不要なフラッディングを減らす仕組みを説明しています。
スイッチはどうやってMACアドレスを覚える?
基本的には、受信したEthernetフレームの、
送信元MACアドレス
を確認します。
たとえばポート1から、
送信元MAC=AA-AA-AA-AA-AA-AA
というフレームを受け取れば、
「AA-AA-AA-AA-AA-AAはポート1側にいる」
と学習できます。
その後、そのMACアドレス宛てのフレームが来れば、ポート1へ転送できます。
宛先MACアドレスをまだ知らない場合は?
スイッチが宛先MACアドレスをまだ学習していない場合、同じVLAN内の複数ポートへフレームを送信して宛先を探す場合があります。
これを一般に、
Unknown Unicast Flooding
と呼びます。
宛先から通信が返れば、その送信元MACアドレスを学習できるため、以後は必要なポートへ効率よく転送できます。
スイッチングハブと昔の「ハブ」は同じ?
厳密には異なります。
昔使われていた、
リピーターハブ
は、受信した信号を基本的にほかのポートへ繰り返して送信する装置でした。
一方、スイッチングハブはMACアドレスを学習し、必要なポートへEthernetフレームを転送できます。
現在では家庭用製品で単に、
「ハブ」
と呼ばれているものの多くが、実際にはスイッチングハブです。
ルーターとスイッチの最大の違いは「IP」と「MAC」
初心者が両者を区別するときの重要なポイントです。
| ルーター | スイッチングハブ |
|---|---|
| IPアドレスを基に転送 | MACアドレスを基に転送 |
| ネットワーク間 | 主に同一LAN・VLAN内 |
| L3 | 主にL2 |
| ルーティングテーブル | MACアドレステーブル |
簡単にいえば、
ルーター=「どのネットワークへ?」
スイッチ=「そのLAN内のどの機器へ?」
を判断します。
「L2」と「L3」とは?
ネットワーク機器の説明では、
L2スイッチ
L3スイッチ
といった言葉が使われます。
Lは、OSI参照モデルなどでいう、
Layer(層)
を意味します。
一般的には、
L2=データリンク層
L3=ネットワーク層
です。
EthernetのMACアドレスによる転送は主にL2、IPアドレスによるルーティングはL3として整理できます。
「L2スイッチ」とは?
一般家庭で使うスイッチングハブの多くは、基本的に、
L2スイッチ
です。
MACアドレステーブルを学習し、Ethernetフレームを適切なポートへ転送します。
LANポートを増設したいだけなら、通常はL2スイッチで十分です。
「L3スイッチ」とは?
L3スイッチは、L2スイッチング機能だけでなく、
IPルーティング機能
を持つスイッチです。
たとえば企業ネットワークで、
- 営業部VLAN
- 総務部VLAN
- サーバーVLAN
の間を高速にルーティングするときなどに利用されます。
Juniper Networksの資料でも、L2環境ではMACアドレステーブルを利用し、L3環境ではIPプレフィックスに対応するルーティング・転送情報を利用する仕組みが説明されています。
では「L3スイッチ」と「ルーター」は同じ?
機能が重なる部分はありますが、完全な同義語ではありません。
L3スイッチはIPルーティングが可能なため、企業LAN内部ではルーターに近い働きをします。
一方、インターネット接続用ルーターには、製品によって、
- NAT・NAPT
- VPN
- WAN接続
- 高度なファイアウォール
- 回線冗長化
など、LAN内部の高速ルーティングとは異なる機能が求められます。
そのため、
「L3スイッチ=家庭用ルーターの完全な代用品」
とは限りません。
ルーターのLANポートはスイッチなの?
家庭用Wi-Fiルーターでは、複数のLANポートが内部のEthernetスイッチ機能につながっている製品が一般的です。
たとえば背面に、
- LAN1
- LAN2
- LAN3
- LAN4
があった場合、同じLANに設定されたこれらのポート同士の通信は、内蔵スイッチによって処理されます。
一方、LAN側ネットワークからWAN・インターネット側へ通信するときにルーター機能が働きます。
つまり1台の家庭用ルーターの中に、
「ルーター」と「スイッチングハブ」
の両方が入っていると考えると理解しやすいでしょう。
LANポートが足りないときはルーターを買い足す?
単純に有線LANポートを増やしたいだけなら、通常はスイッチングハブを追加します。
たとえばルーターのLANポートが4個しかなく、
- PC
- テレビ
- NAS
- プリンター
- ゲーム機
の5台を有線接続したい場合です。
構成は、
ルーター → スイッチングハブ → 複数端末
とします。
ポートを増やすためだけにルーターをもう1台ルーターモードで追加すると、二重ルーター・二重NATなどの原因になることがあります。
スイッチングハブだけでインターネットにつながる?
通常の家庭環境で、ルーターの代わりに単純なL2スイッチだけを置けばよい、という意味ではありません。
スイッチは同じLAN内の端末を接続する機器であり、インターネット側と家庭LANをルーティングする機能を基本的には持ちません。
家庭用IPv4ネットワークではさらに、
- NAT・NAPT
- DHCP
- ファイアウォール
などをルーターが担当することも一般的です。
そのため通常は、
ONU等 → ルーター → スイッチ → 各端末
という構成になります。
スイッチングハブを追加するとIPアドレスは変わる?
通常、単純なL2スイッチを追加しただけで、ネットワークを別IPサブネットに分けるわけではありません。
ルーターのDHCPサーバーから、スイッチの先にある端末へも同じLAN用のIPアドレスが配られます。
たとえば、
ルーター:192.168.1.1
のLANであれば、スイッチにつないだPCも、
192.168.1.20
など同じサブネットのアドレスを取得できます。
スイッチングハブはIPアドレスを配る?
通常のL2スイッチは、DHCPサーバーとしてIPアドレスを配ることが基本的な役割ではありません。
家庭でIPアドレスを配っているのは、多くの場合、ルーターに内蔵されたDHCPサーバーです。
スイッチはDHCP通信を端末とDHCPサーバーの間で転送する立場になります。
スイッチ自身にIPアドレスはある?
機器によります。
安価な、
アンマネージドスイッチ
では、利用者が管理用IPアドレスを設定する必要がない製品が一般的です。
一方、マネージドスイッチでは、Web管理画面やSSHなどへ接続するため、
管理用IPアドレス
を持つ場合があります。
ただし管理用IPアドレスを持つことと、その機器がルーターとして通信をルーティングすることは別です。
「アンマネージドスイッチ」とは?
アンマネージドスイッチは、基本的に、
電源とLANケーブルを接続すれば利用できる
簡易なスイッチです。
Ciscoも、アンマネージドスイッチを設定不要で基本的なネットワーク接続を提供する製品として説明しています。
家庭で単純にLANポートを増やしたい場合には、アンマネージドスイッチが使いやすいでしょう。
「マネージドスイッチ」とは?
マネージドスイッチは、管理者がネットワーク設定を変更・監視できるスイッチです。
製品によりますが、
- VLAN
- QoS
- ポートセキュリティ
- 認証
- 監視
- リンクアグリゲーション
などの機能を持つ場合があります。
Ciscoも、マネージドスイッチではVLANによるネットワーク分割やセキュリティ、トラフィック優先制御など高度な設定が可能と説明しています。
「VLAN」とは?
VLANは、
Virtual LAN
の略です。
物理的には同じスイッチへ接続していても、論理的にLANを分割できる仕組みです。
たとえば、
VLAN 10=社員PC
VLAN 20=監視カメラ
VLAN 30=ゲスト端末
のように分離できます。
異なるVLAN間でIP通信を行うには、一般にルーターやL3スイッチによる、
Inter-VLAN Routing
が必要です。
スイッチはブロードキャストを止める?
通常のL2スイッチは、同じVLAN内のブロードキャストフレームを複数の対象ポートへ転送します。
そのため、
「スイッチを挟めばブロードキャストが別ネットワークに分割される」
とは限りません。
VLANやルーターによってネットワークを分割すると、ブロードキャスト範囲も分けることができます。
ルーターはブロードキャストドメインを分ける
ルーターは異なるIPネットワークを接続するため、基本的にL2ブロードキャストをそのまま別ネットワークへ転送しません。
そのためネットワーク設計では、
ルーターやVLANによってブロードキャストドメインを分割する
という考え方があります。
「MACアドレス」と「IPアドレス」はどう連携する?
同じEthernet LAN内でIPv4通信を行う場合、送信者は、
「このIPアドレスの相手へEthernetフレームを送りたい。その相手のMACアドレスは何か?」
を知る必要があります。
IPv4では、
ARP
などによってIPアドレスとMACアドレスの対応を調べます。
IPv6ではNeighbor Discoveryの仕組みが使われます。
つまり、
IPアドレス=IPネットワーク上の宛先
MACアドレス=同一Ethernetリンク上でフレームを届ける宛先
として連携しています。
別ネットワークの相手へ送るときのMACアドレスは?
たとえばパソコンからインターネット上のサーバーへ通信するとします。
サーバーは同じLAN上にはいません。
その場合、パソコンは通常、インターネット上の最終サーバーのMACアドレスを直接調べるのではなく、
デフォルトゲートウェイであるルーター
へEthernetフレームを送ります。
そのため、LAN上の最初のフレームでは、
IPの宛先=最終的なサーバー
Ethernetの宛先MAC=ルーター
という組み合わせになることがあります。
ここを理解すると、ルーターとスイッチの違いがさらに分かりやすくなります。
ルーターを通るとMACアドレスは変わる?
ルーターはパケットを別のリンクへ転送するとき、受信時のリンク層ヘッダーをそのまま遠くの宛先まで運ぶわけではありません。
RFC 1812でも、IPルーターはIPヘッダーを確認して転送処理を行い、リンク層ヘッダーを付け替えて次のネットワークへ送ることが説明されています。
そのため、
IPパケットの送信元・宛先
と、
各リンク上の送信元・宛先MACアドレス
は別々に考える必要があります。
なおNATが行われる場合には、IPアドレス自体も途中で変換されることがあります。
スイッチングハブを何台もつなげてよい?
技術的には複数のスイッチを接続してネットワークを拡張できます。
しかし、
- 帯域のボトルネック
- 配線の複雑化
- ループ
- 障害箇所の特定
などには注意が必要です。
特に複数経路でスイッチ同士を不用意につなぐと、Ethernetフレームがループしてネットワーク障害を引き起こす可能性があります。
企業向けのマネージドスイッチでは、ループを防ぐためのSpanning Tree関連技術などが利用されます。
「ルーター・スイッチングハブ」で迷ったときの3秒判定
| こんな場合 | 答え |
|---|---|
| 異なるIPネットワークを接続 | ルーター |
| 同じLANの端末を接続 | スイッチングハブ |
| IPアドレスを見て転送 | ルーター |
| MACアドレスを見て転送 | スイッチングハブ |
| ルーティングテーブル | ルーター |
| MACアドレステーブル | スイッチングハブ |
| 家庭のLANポートを増やす | スイッチングハブ |
| LANとインターネットを接続 | ルーター |
| VLAN間をIPルーティング | ルーターまたはL3スイッチ |
最も簡単に覚えるなら、
スイッチ=「同じ町の中で届ける」
ルーター=「別の町へ送り出す」
というイメージです。
「ルーター」を使った例文
- ルーターがインターネット側へIPパケットを転送する。
- ルーターをデフォルトゲートウェイとして設定する。
- ルーターのルーティングテーブルを確認する。
- 家庭用ルーターがNAT・NAPTを行う。
- 異なるVLAN間をルーターで接続する。
「スイッチングハブ」を使った例文
- LANポートを増やすためスイッチングハブを接続する。
- スイッチングハブへPCとNASを接続する。
- スイッチングハブがMACアドレスを学習する。
- ギガビット対応のスイッチングハブへ交換する。
- マネージドスイッチでVLANを設定する。
具体例で比較:LANポートを増やしたい
Wi-FiルーターのLANポートがすべて埋まったとします。
さらにNASとテレビを有線接続したい場合、必要なのは通常、
スイッチングハブ
です。
構成は、
Wi-Fiルーター
↓
スイッチングハブ
↓
NAS・テレビ・PC
となります。
これらは引き続き同じLANの中で通信できます。
具体例で比較:家庭LANをインターネットへ接続したい
今度は、自宅の192.168.1.0/24というLANからインターネットへ通信したいとします。
この境界で必要になるのが、
ルーター
です。
ルーターが、家庭LANと上流ネットワークとの間でIPパケットを転送します。
家庭用IPv4環境では、さらにNAPTによって複数の端末が外部IPv4通信を共有する場合があります。
よくある間違い1:「ルーターとスイッチングハブはLANポート数が違うだけ」と思う
違います。
ルーターはネットワーク間のIP通信を転送し、L2スイッチは主に同一LAN内でMACアドレスを基にフレームを転送します。
よくある間違い2:「スイッチングハブだけあればルーターはいらない」と思う
家庭LAN内の機器を接続するだけならスイッチで足りますが、別のIPネットワークとの間をルーティングするにはルーター機能が必要です。
よくある間違い3:「ルーターの4つのLANポートは4つの別ネットワーク」と思う
一般的な家庭用ルーターでは、複数LANポートが内蔵Ethernetスイッチにつながり、同じLANとして利用されることが多くあります。
製品設定によってはVLAN等で分離できる場合もあります。
よくある間違い4:「スイッチはすべての通信を全ポートへ流す」と思う
通常のスイッチはMACアドレスを学習し、宛先を把握しているユニキャストフレームは必要なポートへ転送します。
昔のリピーターハブとは動作が異なります。
よくある間違い5:「スイッチにはIPアドレスが絶対にない」と思う
マネージドスイッチは管理用IPアドレスを持つ場合があります。
ただし管理用IPを持つことと、IPルーティングを行うことは別です。
よくある間違い6:「スイッチ=必ずL2」と思う
一般的なスイッチングハブはL2ですが、L3ルーティング機能を持つL3スイッチもあります。
よくある間違い7:「LANポートを増やすためルーターをもう1台ルーターモードでつなぐ」と考える
単純なポート増設ならスイッチングハブが適しています。
ルーターを追加すると、構成によって二重ルーター・二重NATなどになる可能性があります。
「ルーター」と「スイッチングハブ」に関するよくある質問
Q1. ルーターとスイッチングハブの一番簡単な違いは?
ルーターは異なるネットワークをつなぎ、スイッチングハブは主に同じLAN内の機器をつなぎます。
Q2. LANポートを増やしたい場合はどちらを買いますか?
既存の家庭LANへ単純に有線LANポートを追加するなら、通常はスイッチングハブです。
Q3. スイッチングハブだけでWi-Fiは使えますか?
通常のスイッチングハブにはWi-Fiアクセスポイント機能はありません。
Wi-Fiを利用するには、Wi-Fiルーターや無線LANアクセスポイントなどが必要です。
Q4. スイッチングハブに接続したPCもインターネットを使えますか?
スイッチが適切にルーターへ接続され、IP設定等が正常なら利用できます。
スイッチ自身がインターネット接続を行うのではなく、ルーターを経由します。
Q5. スイッチングハブはMACアドレスを覚えますか?
一般的なEthernetスイッチは、受信フレームからMACアドレスとポートの対応を学習し、MACアドレステーブルへ保持します。
Q6. ルーターもMACアドレスを使いますか?
使います。
ルーターがEthernetリンク上で次の機器へフレームを送るときにはMACアドレスが必要です。
ただしルーティング判断そのものでは宛先IPアドレスやルーティング情報が重要になります。
Q7. スイッチングハブを追加するとIPアドレスも増えますか?
グローバルIPアドレスが増えるわけではありません。
同じLANに端末を追加する場合、それぞれの端末がDHCP等によってLAN内のIPアドレスを取得します。
Q8. アンマネージドとマネージドはどちらがよいですか?
家庭で単純にLANポートを増やすなら、設定不要のアンマネージドスイッチが使いやすいでしょう。
VLAN、監視、QoS、ポートセキュリティなどを設定したい場合はマネージドスイッチが適しています。
Q9. L3スイッチがあればルーターはいりませんか?
用途によります。
企業LAN内部のVLAN間ルーティングならL3スイッチが適する場合があります。
一方、インターネット接続にはWAN、NAT、VPN、ファイアウォールなど別の機能が必要になる場合があります。
Q10. 家庭用Wi-Fiルーターの中にもスイッチがありますか?
複数のLANポートを持つ一般的な家庭用Wi-Fiルーターでは、LAN側にEthernetスイッチ機能を内蔵している製品が多くあります。
そのため1台で、ルーター、スイッチ、Wi-Fiアクセスポイントなど複数の役割を担えます。
まとめ
「ルーター」と「スイッチングハブ」は、どちらもネットワーク機器ですが、通信を扱う範囲と判断に使う情報が異なります。
| ルーター | スイッチングハブ |
|---|---|
| 異なるネットワークを接続 | 主に同じLANの機器を接続 |
| IPアドレスを基に転送 | MACアドレスを基に転送 |
| 主にL3 | 一般的にはL2 |
| ルーティングテーブルを利用 | MACアドレステーブルを利用 |
| 家庭LANと外部ネットワークを接続 | LANポートを増設できる |
最も簡単な覚え方は、
ルーター=「ネットワークとネットワークをつなぐ」
スイッチングハブ=「同じネットワークの端末をつなぐ」
です。
一般的なL2スイッチは、
MACアドレス
を学習し、MACアドレステーブルを基にEthernetフレームを適切なポートへ転送します。
一方ルーターは、
IPアドレス
とルーティング情報を基に、別のIPネットワークへパケットを転送します。
ただし現代のネットワーク機器では機能が複合化しています。
家庭用Wi-Fiルーターには、
- ルーター
- Ethernetスイッチ
- Wi-Fiアクセスポイント
- DHCP
- NAT・NAPT
- ファイアウォール
などが1台へまとめられていることがあります。
また企業向けにはIPルーティング機能を持つ、
L3スイッチ
もあります。
そのため「ルーターは必ずL3、スイッチは絶対にL2」と製品名だけで判断するのではなく、実際に搭載されている機能を確認することが重要です。
家庭で迷ったときは、
LANポートを増やしたいだけ → スイッチングハブ
別ネットワークへ接続したい → ルーター
と考えると、多くのケースを判断しやすくなります。
参考資料・出典
-
IETF / RFC Editor「RFC 1812: Requirements for IP Version 4 Routers」
― IPルーターが複数ネットワークを接続し、IPヘッダーとルーティング・転送情報を基にIPデータグラムを次のホップへ転送する仕組みを規定 -
Cisco「What is a Switch vs a Router?」
― スイッチを同じネットワーク内の機器を接続する装置、ルーターを複数のネットワークを接続してトラフィックを振り分ける装置として解説 -
Juniper Networks「Layer 2 Forwarding Tables」
― L2スイッチがMACアドレスを学習してMACアドレステーブルへ保存し、VLAN内でフレームを転送する仕組みを解説 -
Cisco「Unmanaged vs Managed Switches」
― アンマネージドスイッチの基本的なプラグアンドプレイ接続と、マネージドスイッチのVLAN・QoS・セキュリティ等の管理機能を解説
※本記事では理解しやすさを優先し、「ルーター=L3」「スイッチ=L2」と基本形を整理しています。実際にはL3スイッチやルーティング機能を持つ複合ネットワーク機器も存在します。
※一般的な家庭用Wi-Fiルーターには、ルーター機能だけでなくEthernetスイッチ、Wi-Fiアクセスポイント、DHCP、NAT・NAPT、ファイアウォール等が統合されている場合があります。そのため物理的な製品1台とネットワーク上の「ルーター機能」を分けて考えることが重要です。
※「ハブ」という言葉は、歴史的なリピーターハブと現在一般的なスイッチングハブの両方に使われることがあります。現在市販されている一般的な家庭向け「LANハブ」は、スイッチングハブであることがほとんどです。
※マネージドスイッチ、L3スイッチ、VLAN、PoEなどの対応機能は製品によって異なります。実際に機器を選定・設定する場合は、メーカーの最新仕様を確認してください。
