住宅ローンの繰上返済について調べていると、
「期間短縮型」
「返済額軽減型」
という2つの方法が出てきます。
どちらも余裕資金を使って住宅ローンの元金を予定より早く返す方法ですが、繰上返済後の効果が異なります。
そのため、
「期間短縮型と返済額軽減型は何が違う?」
「利息が多く減るのはどちら?」
「毎月の住宅ローン返済を楽にできるのは?」
「住宅ローン控除を受けている途中でも繰上返済して大丈夫?」
「100万円を繰上返済したら、どのくらい効果が違う?」
と迷うことも多いでしょう。
結論からいうと、期間短縮型は毎月返済額を基本的に変えず、完済時期を早める方法です。一方、返済額軽減型は返済期間を基本的に変えず、毎月返済額を減らす方法です。
最も簡単に覚えるなら、
期間短縮型=「早く返し終える」
返済額軽減型=「毎月の支払いを軽くする」
です。
同じ金額を同じ時点で繰上返済するなら、一般に、
利息軽減効果は期間短縮型のほうが大きくなりやすい
という特徴があります。
一方、家計の毎月負担を減らしたい場合には返済額軽減型のほうが目的に合います。
ただし、住宅ローン控除を利用している場合には、期間短縮型によって償還期間が短くなり過ぎると、控除の対象外になる場合があります。
この記事では、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の違いから、利息軽減効果、元金、住宅ローン控除、繰上返済のタイミングまで詳しく解説します。
- 「期間短縮型」と「返済額軽減型」の違い【結論】
- そもそも「繰上返済」とは?
- 一部繰上返済には主に2種類ある
- 「期間短縮型」とは?
- 期間短縮型ではなぜ利息が大きく減りやすい?
- 期間短縮型のメリット
- 期間短縮型の注意点
- 「返済額軽減型」とは?
- 返済額軽減型のメリット
- 返済額軽減型でも利息は減る?
- なぜ期間短縮型のほうが有利になりやすい?
- 具体例:100万円を繰上返済するとどう違う?
- 繰上返済は早いほど利息軽減効果が大きい?
- ただし「早ければ早いほど絶対に繰上返済すべき」ではない
- 「期間短縮型=必ず正解」ではない
- 「期間短縮型」と「返済額軽減型」は目的で使い分ける
- 住宅ローン控除を受けている場合は注意
- 「残り10年以上」ならよいという意味ではない
- なぜ返済額軽減型は住宅ローン控除の期間要件へ影響しにくい?
- 住宅ローン控除中の繰上返済は「利息」と「控除」の両方を見る
- 手数料にも注意
- フラット35の繰上返済は?
- 期間短縮型では「短縮できる月数」に注目
- 返済額軽減型では「毎月いくら減るか」に注目
- 一度期間短縮型を選んだら元に戻せる?
- 繰上返済と一括返済の違い
- 繰上返済と「元金均等返済」は別の話
- 変動金利でも繰上返済できる?
- 金利が高いほど繰上返済効果は大きい?
- 「期間短縮型・返済額軽減型」で迷ったときの3秒判定
- 「期間短縮型」を使った例文
- 「返済額軽減型」を使った例文
- よくある間違い1:「返済額軽減型では利息が減らない」と思う
- よくある間違い2:「期間短縮型なら毎月返済額も減る」と思う
- よくある間違い3:「同じ金額を繰上返済すればどちらも同じ効果」と思う
- よくある間違い4:「繰上返済はいつ行っても効果が同じ」と思う
- よくある間違い5:「住宅ローン控除中でも期間をどこまで短くしても問題ない」と思う
- よくある間違い6:「繰上返済手数料はどの住宅ローンでも無料」と思う
- よくある間違い7:「余裕資金は全部繰上返済したほうがよい」と思う
- 「期間短縮型」と「返済額軽減型」に関するよくある質問
- まとめ
- 参考リンク・出典
「期間短縮型」と「返済額軽減型」の違い【結論】
| 比較項目 | 期間短縮型 | 返済額軽減型 |
|---|---|---|
| 毎月返済額 | 原則としてそのまま | 少なくする |
| 返済期間 | 短くする | 原則としてそのまま |
| 完済時期 | 早くなる | 基本的に変わらない |
| 利息軽減効果 | 大きくなりやすい | 期間短縮型より小さくなりやすい |
| 毎月の家計負担 | 基本的に変わらない | 軽くなる |
| 向いている目的 | 早期完済・総利息削減 | 毎月返済額の削減 |
| 住宅ローン控除 | 返済期間の短縮に注意 | 期間を維持するため影響しにくい |
3秒で判断するなら、
「住宅ローンを早く終わらせたい?」 → 期間短縮型
「今後の毎月返済額を下げたい?」 → 返済額軽減型
と考えると分かりやすいでしょう。
そもそも「繰上返済」とは?
繰上返済とは、住宅ローンで本来予定されている毎月返済とは別に、
元金の一部または全部を予定より早く返済すること
です。
住宅金融支援機構も、返済途中で融資金の全部または一部を繰り上げて返済できると案内しています。
住宅ローンの利息は、基本的に、
残っている元金
に対して発生します。
そのため、元金を予定より早く減らせば、それ以降に発生する予定だった利息を減らすことができます。
これが繰上返済の基本的な仕組みです。
一部繰上返済には主に2種類ある
住宅ローンを一部だけ繰上返済する場合、代表的な方法が、
- 期間短縮型
- 返済額軽減型
です。
住宅金融支援機構も一部繰上返済の方法として、
「月々の返済額は今までどおりにして返済期間を短縮する方法」
と、
「返済期間は今までどおりにして月々の返済額を少なくする方法」
を案内しています。
「期間短縮型」とは?
毎月返済額を変えず、完済時期を前倒しする
期間短縮型とは、繰上返済したあとも基本的に毎月返済額を変えず、
返済期間を短くする方法
です。
たとえば住宅ローンが、
残り25年
だったとします。
まとまった金額を繰上返済することで、
残り23年
などへ短縮できれば、それだけ早く完済できます。
毎月支払う金額を維持しながら元金を先に減らすため、将来予定されていた返済回数そのものを減らせるのが特徴です。
期間短縮型ではなぜ利息が大きく減りやすい?
利息が発生する、
「元金」
だけでなく、
「期間」
も短くなるからです。
住宅ローンでは、元金が残っている間は利息を払い続けます。
期間短縮型では元金を先に減らし、さらに最終返済日も前倒しします。
そのため、
本来なら将来支払う予定だった何回分もの利息をまとめて削減できる
ことになります。
期間短縮型のメリット
代表的なメリットは、
- 完済時期を早められる
- 同額を繰上返済するなら利息軽減効果が大きくなりやすい
- 退職前に住宅ローンを終わらせるなど返済終了年齢を下げやすい
- 住宅ローン残高を早く減らせる
ことです。
特に、
「総返済額をできるだけ減らしたい」
という目的で繰上返済を行う場合に重要な方法です。
期間短縮型の注意点
毎月返済額は基本的に減りません。
そのため、
「今月から住宅ローンの負担を軽くしたい」
という目的には直接つながりません。
また、住宅ローン控除を利用している場合には、後述する、
償還期間10年以上
という要件にも注意する必要があります。
「返済額軽減型」とは?
返済期間を変えず、毎月返済額を少なくする
返済額軽減型とは、繰上返済後も基本的に完済予定日を変えず、
残った元金を残存期間で改めて返済することで、毎月の支払額を下げる方法
です。
たとえば、毎月10万円返済していた住宅ローンが、繰上返済によって、
月10万円 → 月9万5,000円
のように軽減されるイメージです。
完済時期は基本的に変わりません。
返済額軽減型のメリット
最大のメリットは、
今後の毎月返済額を減らせる
ことです。
たとえば、
- 教育費が増える
- 収入が減る予定がある
- 毎月の家計に余裕を持たせたい
- 住宅ローン以外の貯蓄も増やしたい
といった場合、毎月返済額を軽くすることで家計の固定費を減らせます。
つまり、返済額軽減型は、
将来の総利息削減より、現在から毎月のキャッシュフローを改善したい場合
に特徴があります。
返済額軽減型でも利息は減る?
減ります。
繰上返済によって元金そのものが減るからです。
元金が少なくなれば、それ以降に発生する利息も少なくなります。
したがって、返済額軽減型でも、
繰上返済をしない場合より総利息を減らす効果
があります。
ただし返済期間をそのまま残すため、通常は同じ金額を同じ時点で繰上返済する期間短縮型より、利息削減額は小さくなります。
なぜ期間短縮型のほうが有利になりやすい?
同じ100万円を繰上返済するとしても、
期間短縮型
では、
「100万円分の元金を減らす」
だけでなく、
返済回数も減らします。
一方、返済額軽減型は元金を100万円減らしても返済期間は維持します。
つまり期間短縮型は、
元金減少+返済期間短縮
の両方によって利息を減らせるため、効果が大きくなりやすいのです。
具体例:100万円を繰上返済するとどう違う?
違いを理解するため、次の単純な条件で試算してみます。
- 借入額:3,000万円
- 金利:年1.5%の固定金利
- 返済期間:30年
- 元利均等返済
- 5年間返済した時点で100万円を繰上返済
- 手数料なし
この条件では、当初の毎月返済額は概算で、
約10万3,500円
です。
5年後のローン残高は概算で、
約2,589万円
です。
ここで100万円を繰上返済すると、残高は約2,489万円になります。
期間短縮型の場合
毎月返済額を約10万3,500円のまま維持すると、概算では返済期間を、
約13か月短縮
できます。
残り期間に支払う利息は、繰上返済をしない場合と比較して、概算で、
約44万円減少
します。
返済額軽減型の場合
残り25年という返済期間を変えない場合、毎月返済額は概算で、
約10万3,500円 → 約9万9,500円
となります。
毎月およそ4,000円程度軽減される計算です。
利息軽減額は概算で、
約20万円
です。
この例では、
| 比較 | 期間短縮型 | 返済額軽減型 |
|---|---|---|
| 100万円繰上返済後 | 毎月返済額を維持 | 返済期間を維持 |
| 主な効果 | 約13か月早く完済 | 月約4,000円軽減 |
| 利息軽減額 | 約44万円 | 約20万円 |
となります。
※あくまで条件を単純化した概算例です。実際の住宅ローンでは返済日、端数処理、金利条件、手数料などによって結果が異なります。
繰上返済は早いほど利息軽減効果が大きい?
同じ金額を返済するなら、一般に早い時期ほど効果は大きくなりやすいです。
理由は、繰上返済した元金について、
その後長期間にわたって支払う予定だった利息を減らせる
からです。
たとえば100万円を、
残り30年の時点で返す
場合と、
残り5年の時点で返す
場合では、その100万円に今後発生する利息の期間が大きく異なります。
そのため通常は返済初期のほうが利息削減効果は大きくなります。
ただし「早ければ早いほど絶対に繰上返済すべき」ではない
利息だけを見れば早期返済にはメリットがあります。
しかし住宅ローン返済中には、
- 生活費
- 教育費
- 住宅修繕費
- 自動車購入費
- 病気・失業などへの備え
として現金を確保しておく必要もあります。
一度住宅ローンへ繰上返済したお金は、原則として自由に引き出せません。
そのため、
手元資金をほとんど残さず繰上返済する
ことには注意が必要です。
「期間短縮型=必ず正解」ではない
利息軽減効果だけを見ると、期間短縮型が有利になりやすいのは確かです。
しかし、たとえば、
毎月返済額10万円の負担が重い
場合には、返済期間を1年短くするより、毎月返済額を9万円台へ下げるほうが家計にとって重要な場合があります。
つまり、
利息削減を優先するのか
と、
毎月の生活余力を優先するのか
によって適した方法は変わります。
「期間短縮型」と「返済額軽減型」は目的で使い分ける
| 目的 | 向いている方法 |
|---|---|
| できるだけ早く完済したい | 期間短縮型 |
| 総利息をできるだけ減らしたい | 期間短縮型 |
| 退職前に完済したい | 期間短縮型 |
| 毎月返済額を減らしたい | 返済額軽減型 |
| 教育費などの支出増加に備えたい | 返済額軽減型 |
| 毎月の生活余力を増やしたい | 返済額軽減型 |
住宅ローン控除を受けている場合は注意
期間短縮型を選ぶ際に重要なのが、
住宅借入金等特別控除、いわゆる住宅ローン控除
です。
国税庁によると、住宅ローン控除の対象となる一定の借入金については、原則として、
10年以上にわたり分割して返済する方法
になっていることが要件の一つです。
そして繰上返済をした結果、一定の判定上の償還期間が10年未満となった場合には、その年分以後、住宅ローン控除の対象とならない場合があります。
「残り10年以上」ならよいという意味ではない
ここは誤解しやすい点です。
国税庁の説明では、繰上返済後の判定は、
当初の契約による最初の返済月から、繰上返済後の最終返済月までの期間
で考えます。
つまり単純に、
「今から残り10年以上あるか」
だけを見るわけではありません。
ただし個別契約によって判断が必要になるため、住宅ローン控除期間中に大きく期間短縮する場合は、金融機関や税務署などへ確認すると安心です。
なぜ返済額軽減型は住宅ローン控除の期間要件へ影響しにくい?
返済額軽減型では、基本的に返済期間そのものを変えません。
そのため期間短縮型のように、
繰上返済によって償還期間が短くなり過ぎる
という問題は起こりにくくなります。
ただし繰上返済によって年末時点の住宅ローン残高は減ります。
住宅ローン控除は年末残高が関係する制度なので、繰上返済額・時期によって控除額へ影響することがあります。
住宅ローン控除中の繰上返済は「利息」と「控除」の両方を見る
繰上返済では、
利息を減らす効果
があります。
一方、住宅ローン控除の対象者では、住宅ローン残高が減ることで控除額が減る場合があります。
そのため単純に、
「繰上返済すればするほど必ず得」
とは限りません。
特に低金利住宅ローンでは、
- 住宅ローン金利
- 住宅ローン控除
- 繰上返済手数料
- 手元資金
を総合的に確認することが重要です。
手数料にも注意
繰上返済手数料は金融機関や住宅ローン商品、手続方法によって異なります。
無料の商品もあれば、条件によって手数料が必要な商品もあります。
少額を何度も繰上返済すると、手数料がある商品では効果が小さくなる可能性があります。
そのため、
繰上返済額だけでなく手数料も含めて判断
する必要があります。
フラット35の繰上返済は?
フラット35では、住宅金融支援機構のインターネットサービス、
「住・My Note」
を利用すると、一部繰上返済を10万円以上から申し込めます。
取扱金融機関の窓口では100万円以上からとなっています。
また、フラット35では繰上返済手数料は不要と案内されています。
ただし、これはフラット35についての条件です。
民間銀行の住宅ローンでは最低金額や手数料、手続方法が異なるため、利用中の商品を確認してください。
期間短縮型では「短縮できる月数」に注目
期間短縮型を利用するときには、
100万円返した
という金額だけでなく、
完済が何か月早くなるのか
を確認すると効果が分かりやすくなります。
たとえば、
70歳完済予定 → 67歳完済予定
になれば、退職後に住宅ローンを支払う期間を3年間減らせることになります。
金銭的な利息削減だけでなく、返済終了年齢という視点でも確認するとよいでしょう。
返済額軽減型では「毎月いくら減るか」に注目
返済額軽減型では、
総利息が何円減ったか
だけを見るのではなく、
毎月の固定費を何円減らせたか
を見ることが重要です。
たとえば月5,000円減れば年間で、
6万円
のキャッシュフロー改善です。
その6万円を、
- 教育費
- 修繕積立
- 生活防衛資金
- 老後資金
などへ回すという考え方もできます。
一度期間短縮型を選んだら元に戻せる?
繰上返済によって元金を返した事実そのものを、通常は取り消して現金へ戻すことはできません。
また短縮した返済期間を再び延ばせるかは、金融機関や契約、返済条件変更の審査によって異なります。
したがって、
「とりあえず全部繰上返済して、必要なら後で戻す」
という使い方はできないと考えたほうがよいでしょう。
繰上返済と一括返済の違い
「繰上返済」には、
一部繰上返済
と、
全額繰上返済
があります。
期間短縮型・返済額軽減型という違いが主に問題になるのは、
一部繰上返済
です。
全額繰上返済は残っているローンをすべて返済して完済するため、返済額軽減型・期間短縮型を選択する必要はありません。
繰上返済と「元金均等返済」は別の話
前の記事で解説した、
元利均等返済
と、
元金均等返済
は通常の返済方法の違いです。
一方、
期間短縮型
と、
返済額軽減型
は、一部繰上返済をした後の条件をどう変更するかという違いです。
つまり、
元利均等・元金均等=普段の返済方法
期間短縮・返済額軽減=繰上返済後の調整方法
です。
変動金利でも繰上返済できる?
多くの住宅ローンで一部繰上返済は可能ですが、具体的な条件は金融機関・商品によって異なります。
変動金利では、今後金利が上昇すると利息負担が増える可能性があります。
元金を繰上返済しておけば、
将来金利がかかる元金自体を減らせる
ため、金利上昇時の影響を小さくする方向に働きます。
ただし、手元資金を減らす点は固定金利の場合と同じです。
金利が高いほど繰上返済効果は大きい?
他の条件が同じなら、金利が高いほど、元金に対して将来支払う利息も多くなります。
そのため、同じ100万円を繰上返済する場合でも、
金利が高い住宅ローンほど利息軽減効果は大きくなりやすい
と考えられます。
逆に住宅ローン金利が非常に低い場合には、繰上返済による利息削減額が比較的小さいこともあります。
「期間短縮型・返済額軽減型」で迷ったときの3秒判定
| 知りたい・実現したいこと | 選択肢 |
|---|---|
| 完済時期を早めたい | 期間短縮型 |
| 総利息をより大きく減らしたい | 期間短縮型 |
| 退職前に返済を終えたい | 期間短縮型 |
| 毎月返済額を下げたい | 返済額軽減型 |
| 今後の家計固定費を減らしたい | 返済額軽減型 |
| 住宅ローン控除の期間要件が心配 | 期間短縮前に確認 |
「期間短縮型」を使った例文
- 退職前に住宅ローンを完済するため期間短縮型で繰上返済した。
- 期間短縮型では毎月返済額を維持しながら完済時期を早める。
- 同額を繰上返済する場合、一般に期間短縮型のほうが利息軽減効果は大きい。
- 住宅ローン控除を利用中なので期間短縮型による償還期間を確認した。
- 期間短縮型で返済終了年齢を下げることができた。
「返済額軽減型」を使った例文
- 毎月の住宅ローン負担を抑えるため返済額軽減型を選んだ。
- 返済額軽減型では返済期間を変えず毎月返済額を減らす。
- 教育費の増加に備えて返済額軽減型で繰上返済した。
- 返済額軽減型でも元金が減るため利息軽減効果はある。
- 家計のキャッシュフロー改善を目的に返済額軽減型を利用した。
よくある間違い1:「返済額軽減型では利息が減らない」と思う
元金を繰上返済するため、その後発生する利息も減ります。
ただし、一般に期間短縮型より利息軽減効果は小さくなります。
よくある間違い2:「期間短縮型なら毎月返済額も減る」と思う
期間短縮型では毎月返済額を基本的に維持し、その代わり返済期間を短縮します。
毎月負担を減らすのは返済額軽減型です。
よくある間違い3:「同じ金額を繰上返済すればどちらも同じ効果」と思う
期間短縮型は返済期間そのものを減らすため、同条件なら利息軽減効果が大きくなりやすい特徴があります。
よくある間違い4:「繰上返済はいつ行っても効果が同じ」と思う
同じ金額なら、一般に返済期間の早い時期ほど、その後に削減できる利息の期間が長いため効果は大きくなりやすくなります。
よくある間違い5:「住宅ローン控除中でも期間をどこまで短くしても問題ない」と思う
繰上返済によって判定上の償還期間が10年未満になると、住宅ローン控除を受けられなくなる場合があります。
大きく期間短縮する場合は事前確認が必要です。
よくある間違い6:「繰上返済手数料はどの住宅ローンでも無料」と思う
商品によって異なります。
フラット35では原則として繰上返済手数料は不要ですが、民間ローンでは条件を確認する必要があります。
よくある間違い7:「余裕資金は全部繰上返済したほうがよい」と思う
繰上返済すると現金は住宅ローン元金へ変わり、急な生活費として使えなくなります。
生活防衛資金など手元流動性とのバランスも重要です。
「期間短縮型」と「返済額軽減型」に関するよくある質問
Q1. 一番簡単な違いは何ですか?
期間短縮型は毎月返済額を基本的に変えず完済を早め、返済額軽減型は返済期間を変えず毎月返済額を下げる方法です。
Q2. 利息をより多く減らせるのはどちらですか?
同じ金額を同じタイミングで繰上返済する場合、一般に期間短縮型のほうが利息軽減効果は大きくなります。
Q3. 毎月の生活を楽にできるのはどちらですか?
返済額軽減型です。
返済期間を維持しながら毎月返済額を減らします。
Q4. 期間短縮型では毎月返済額は変わりませんか?
基本的には現在の返済額を維持して期間を短縮する仕組みです。
ただし金利タイプや契約条件によって将来の返済額が変わる可能性はあります。
Q5. 返済額軽減型でも完済日は変わりませんか?
基本的には元の返済期間を維持します。
繰上返済した元金を反映し、残期間で計算し直すことで毎月返済額を軽減します。
Q6. 繰上返済は早いほうがよいですか?
利息削減効果だけを見れば、一般に早い時期ほど大きくなりやすいです。
ただし住宅ローン控除や手元資金とのバランスも考慮する必要があります。
Q7. 住宅ローン控除中でも期間短縮型を利用できますか?
利用自体はできますが、繰上返済によって一定の償還期間が10年未満になった場合には、住宅ローン控除の対象外になる場合があります。
期間を大きく短縮する場合は事前に確認しましょう。
Q8. フラット35はいくらから繰上返済できますか?
2026年9月時点の案内では、「住・My Note」を利用した一部繰上返済は10万円以上、取扱金融機関の窓口では100万円以上です。
フラット35の繰上返済手数料は不要と案内されています。
Q9. 繰上返済より貯金を残すほうがよい場合もありますか?
あります。
住宅修繕、生活費、病気・失業などに備える現金が不足するなら、繰上返済による利息削減だけで判断するのは適切ではありません。
Q10. 繰上返済前に何をシミュレーションすればよいですか?
少なくとも、
- 繰上返済額
- 期間短縮月数
- 毎月返済額の軽減額
- 利息削減額
- 住宅ローン控除への影響
- 繰上返済後に残る手元資金
を比較すると分かりやすくなります。
まとめ
「期間短縮型」と「返済額軽減型」は、どちらも一部繰上返済ですが、繰上返済後に何を変えるかが異なります。
| 期間短縮型 | 返済額軽減型 |
|---|---|
| 返済期間を短縮する | 毎月返済額を軽減する |
| 毎月返済額は基本的に維持 | 完済時期は基本的に維持 |
| 利息軽減効果が大きくなりやすい | 家計の毎月負担を下げやすい |
| 早期完済に向く | キャッシュフロー改善に向く |
最も簡単な覚え方は、
期間短縮型=「時間を減らす」
返済額軽減型=「毎月の金額を減らす」
です。
期間短縮型では、
繰上返済
↓
元金残高が減る
↓
毎月返済額は維持
↓
返済回数が減る
↓
完済が早くなり、利息も大きく減りやすい
という仕組みです。
一方、返済額軽減型では、
繰上返済
↓
元金残高が減る
↓
残りの返済期間で再計算
↓
毎月返済額が少なくなる
という仕組みです。
したがって、
総利息を減らすことを優先 → 期間短縮型
毎月の家計負担を減らすことを優先 → 返済額軽減型
という整理が分かりやすいでしょう。
ただし、期間短縮型では住宅ローン控除の、
「償還期間10年以上」
という要件に注意が必要です。
また、どちらの方法でも繰上返済すれば手元の現金は減ります。
そのため、
利息をいくら減らせるか
だけではなく、
繰上返済後も十分な生活防衛資金が残るか
まで確認することが重要です。
関連用語まで整理すると、
一部繰上返済=住宅ローン元金の一部を予定より早く返済すること
期間短縮型=毎月返済額を維持して返済期間を短縮する
返済額軽減型=返済期間を維持して毎月返済額を軽減する
全額繰上返済=残っている住宅ローンをすべて返済し完済する
元利均等返済=元金と利息を合わせた毎月返済額を原則一定にする
元金均等返済=毎月返済する元金を一定にする
となります。
住宅ローンを繰上返済するときは、単に、
「100万円返済すれば100万円ローンが減る」
だけで考えるのではなく、
「完済を何か月早めたいのか」「毎月いくら軽くしたいのか」「利息はいくら減るのか」
まで比較してみましょう。
期間短縮型と返済額軽減型の違いを理解すると、自分が繰上返済で何を実現したいのかを、より明確に判断できるようになります。
参考リンク・出典
-
住宅金融支援機構「繰上返済(個人住宅融資の場合)」
― 一部繰上返済について、「月々の返済額を変えず返済期間を短縮する方法」と「返済期間を変えず月々の返済額を少なくする方法」の2種類を案内 -
住宅金融支援機構「返済方法変更シミュレーション」
― 繰上返済額から返済期間短縮・毎月返済額軽減を試算できる公式シミュレーション -
フラット35「住・My Noteでできること」
― 一部繰上返済について、住・My Noteでは10万円以上、金融機関窓口では100万円以上、繰上返済手数料は不要と案内 -
国税庁「繰上返済等をした場合の償還期間」
― 繰上返済後の住宅ローン控除の償還期間要件について、最初の返済月から繰上返済後の最終返済月までの期間で判定する考え方を解説 -
国税庁「住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等 Q&A」
― 臨時弁済・繰上返済によって償還期間が10年未満となった場合、住宅ローン控除の対象外となる場合があることを説明 -
国税庁「住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等」
― 住宅ローン控除対象となる借入金について、償還期間10年以上などの基本要件を解説
※期間短縮型のほうが返済額軽減型より利息軽減効果が大きくなりやすいという説明は、同じ借入条件で、同じ時点に同額を繰上返済した場合の一般的な比較です。
※本記事の3,000万円・年1.5%・30年返済・5年後に100万円を繰上返済する例は、仕組みを理解しやすくするための概算です。実際の金融機関の計算では返済日、日割り利息、端数処理、金利変更、手数料などにより数値が異なります。
※住宅ローン控除については、入居時期、住宅の種類、所得、借入条件などによって適用要件が異なります。特に期間短縮型の繰上返済によって償還期間を大きく短縮する場合は、最新の国税庁情報や税務署等で確認してください。
※繰上返済の最低金額、手数料、申込期限、利用できる方法は金融機関・商品によって異なります。本記事で紹介した10万円・100万円という金額はフラット35の住・My Noteおよび金融機関窓口についての案内です。
