「病気で会社を休むことになったけれど、傷病手当金はもらえる?」「仕事中のけがで入院した場合は、休業補償給付になる?」「どちらも4日目から支給されるなら、同じ制度なの?」など、療養のために仕事を休む際、給付金の違いがわからず迷うことがあります。
傷病手当金と休業補償給付は、どちらも病気やけがで働けなくなった人の収入を支える制度ですが、対象となる原因や計算方法、支給期間、申請先などが異なります。
結論からいうと、「傷病手当金」は原則として業務外の病気やけがによる休業に対する健康保険の給付、「休業補償給付」は業務上の病気やけがによる休業に対する労災保険の給付です。
例えば、休日に自宅で転倒して骨折し、療養のために会社を休む場合は、健康保険の傷病手当金が関係します。一方、工場で作業中に負傷して働けなくなった場合は、労災保険の休業補償給付が関係します。
また、通勤途中の事故による休業については、労災保険の「休業給付」という別の名称が使われます。
この記事では、傷病手当金と休業補償給付の違いを比較表で整理し、待期期間、計算方法、給付日数、退職後の受給、給与や有給休暇との関係、申請手続きまで、具体例を交えて解説します。
- 「傷病手当金」と「休業補償給付」の違い【結論】
- 【徹底比較】「傷病手当金」と「休業補償給付」の違いを比較表で整理
- 「傷病手当金」とは?意味と支給条件
- 「休業補償給付」とは?意味と支給条件
- 待期期間の違い|同じ「3日間」でも数え方が異なる
- 【計算例】傷病手当金と休業補償給付はいくらもらえる?
- 傷病手当金と休業補償給付は、同時に受け取れる?
- 有給休暇を使った場合、給付金はどうなる?
- 退職後も傷病手当金や休業補償給付を受け取れる?
- 【実践】場面別に「傷病手当金」と「休業補償給付」を使い分ける
- 傷病手当金・休業補償給付の申請方法
- 給付金を申請する前に確認したい5つのポイント
- 「傷病手当金」「休業補償給付」と似た言葉の違い
- 「傷病手当金」と「休業補償給付」の3秒判定
- よくある間違いと注意点
- 「傷病手当金」と「休業補償給付」の例文12選
- FAQ|「傷病手当金」と「休業補償給付」のよくある質問
- まとめ|業務外なら傷病手当金、業務上なら休業補償給付
- 参考資料・出典
「傷病手当金」と「休業補償給付」の違い【結論】
二つの制度を区別するうえで重要なのは、仕事を休む原因が業務外にあるのか、業務上にあるのかという点です。
- 傷病手当金:健康保険の被保険者が、原則として業務外の病気やけがの療養によって働けず、十分な給与を受けられない場合に支給される給付。
- 休業補償給付:労働者が業務上のけがや病気の療養によって働けず、賃金を受けられない場合に、所定の条件を満たすことで労災保険から支給される給付。
両者は、働けない期間の収入を補うという役割では共通しています。しかし、加入している保険、給付額の計算方法、支給期間などは同じではありません。
特に注意したいのは、仕事中にけがをした場合でも、本人が自由に傷病手当金を選択できるわけではないことです。業務災害に該当する場合は、原則として労災保険の制度を利用します。
【徹底比較】「傷病手当金」と「休業補償給付」の違いを比較表で整理
| 比較項目 | 傷病手当金 | 休業補償給付 |
|---|---|---|
| 読み方 | しょうびょうてあてきん | きゅうぎょうほしょうきゅうふ |
| 制度 | 健康保険 | 労災保険 |
| 主な対象 | 業務外の病気やけが | 業務上の病気やけが |
| 受給対象者 | 原則として健康保険の被保険者本人 | 原則として労災保険の対象となる労働者 |
| 支給開始 | 連続する3日間の待期完成後、4日目以降 | 原則として休業4日目以降 |
| 支給額 | 所定の方法で算定した標準報酬月額に基づく日額の3分の2相当額 | 原則として給付基礎日額の60%相当額 |
| 追加給付 | 労災保険と同じ休業特別支給金はない | 原則として20%相当額の休業特別支給金がある |
| 支給期間 | 支給開始日から通算1年6か月 | 所定の支給要件を満たす期間 |
| 最初の3日間 | 健康保険からの傷病手当金は支給されない | 業務災害では原則として事業主が休業補償を行う |
| 申請先 | 協会けんぽや健康保険組合など | 所轄の労働基準監督署 |
| 所得税 | 非課税 | 非課税 |
なお、健康保険の傷病手当金は、国民健康保険の加入者全員に共通して用意されている給付ではありません。加入している保険制度や保険者によって扱いが異なるため、勤務先の健康保険に加入していない場合などは確認が必要です。
「傷病手当金」とは?意味と支給条件
傷病手当金は、業務外の病気やけがで働けない場合の給付
傷病手当金は、健康保険の被保険者が、業務外の病気やけがの療養によって働くことができず、十分な給与を受けられない場合などに支給される制度です。
例えば、休日に私的なスポーツで骨折し、手術や療養のために1か月間会社を休む場合です。
また、業務外の病気で入院した場合だけでなく、自宅療養が必要な場合にも、所定の条件を満たせば対象になることがあります。
傷病手当金の4つの主な支給条件
協会けんぽでは、傷病手当金の主な支給条件として、次の4つを案内しています。
- 業務外の病気やけがの療養のために休んでいること。
- 療養のため、それまで従事していた仕事に就くことができないこと。
- 連続する3日間を含み、4日以上仕事に就けなかったこと。
- 休業期間について給与の支払いがない、または支払われる給与が傷病手当金より少ないこと。
仕事に就けない状態かどうかは、医師などの意見や、本人の仕事内容などを踏まえて判断されます。
例えば、骨折した人が歩くことはできても、重い荷物を運ぶ仕事には従事できない場合があります。そのような場合は、実際の職務内容も重要な判断材料になります。
最初の3日間は連続して休む必要がある
傷病手当金には、連続する3日間の待期期間があります。
例えば、月曜日から水曜日まで連続して仕事に就けず、木曜日も療養のため休んだ場合は、月曜日から水曜日までが待期期間となり、木曜日から支給対象になる可能性があります。
一方、月曜日と火曜日に休み、水曜日に通常どおり仕事をして、木曜日に再び休んだ場合は、最初の月曜日から水曜日までで待期期間が完成したことにはなりません。
ただし、待期期間には、所定休日や有給休暇なども含まれます。必ずしも3日間すべてが欠勤扱いである必要はありません。
支給期間は通算1年6か月
傷病手当金の支給期間は、原則として、支給開始日から通算して1年6か月です。
「通算」とは、途中で支給されない期間があっても、実際に支給された期間を合計するという考え方です。
例えば、療養中に一時的に職場復帰し、その後、同じ傷病によって再び働けなくなった場合には、残っている支給期間について受給できる可能性があります。
ただし、実際の受給の可否は、同一の傷病かどうかや労務不能の状態などによって判断されます。
「休業補償給付」とは?意味と支給条件
休業補償給付は、業務災害による休業を支える給付
休業補償給付は、労働者が業務上のけがや病気によって療養が必要となり、働けず、賃金を受けられない場合に、労災保険から支給される給付です。
例えば、仕事中の事故によって足を骨折し、療養のために一定期間働けなくなった場合などです。
なお、通勤災害による休業については、原則として「休業給付」という名称が使われます。休業補償給付と休業給付は、対象となる災害の種類が異なります。
休業補償給付の3つの主な支給条件
休業補償給付は、原則として次の条件を満たす場合に支給されます。
- 業務上のけがや病気によって療養していること。
- 療養のために労働することができないこと。
- 働くことができないため、賃金を受けていないこと。
そして、これらの条件を満たす場合、原則として休業4日目から支給されます。
業務災害に該当するかどうかや、休業補償給付の支給対象となるかどうかは、申請内容や事故の状況などを踏まえて判断されます。
休業4日目から60%と20%の給付がある
休業補償給付の金額は、原則として休業1日につき給付基礎日額の60%相当額です。
さらに、所定の条件を満たす場合には、給付基礎日額の20%相当額の休業特別支給金が支給されます。
そのため、両方を合わせると、原則として給付基礎日額の80%相当額となります。
ただし、実際の給付額は、給付基礎日額の計算や、休業した日の賃金支払状況などによって異なります。
休業補償給付に一律の1年6か月という上限はない
休業補償給付には、健康保険の傷病手当金と同じ「通算1年6か月」という一律の支給期間はありません。
所定の支給要件を満たしている間は、休業補償給付の対象となる可能性があります。
ただし、療養開始から1年6か月を経過した段階で、傷病が治っておらず、一定の重い障害状態に該当する場合などには、傷病補償年金が関係することがあります。
そのため、長期療養の場合も、いつまでも必ず休業補償給付だけが続くというわけではありません。
待期期間の違い|同じ「3日間」でも数え方が異なる
傷病手当金は、連続する3日間の待期が必要
傷病手当金では、連続した3日間、療養のために仕事に就けない状態であることが必要です。
例えば、月曜日から水曜日まで連続して休み、木曜日も休んだ場合は、原則として木曜日から支給対象になります。
一方、途中で通常どおり働いた場合は、待期の数え方に注意が必要です。
労災保険の休業補償給付は、休業4日目から
労災保険でも、休業補償給付は原則として休業4日目から支給されます。
ただし、健康保険の傷病手当金のように、連続する3日間の待期を完成させるという仕組みとは異なります。
労災保険では、療養のために労働できず賃金を受けないという所定の要件を満たす休業日について、最初の3日間が待期期間になります。
業務災害の最初の3日間は、原則として会社が補償する
業務災害の場合、労災保険から休業補償給付が支給されない最初の3日間については、原則として事業主に休業補償義務があります。
労働基準法第76条に基づき、所定の条件を満たす場合、事業主は平均賃金の60%の休業補償を行います。
一方、通勤災害については、同条に基づく同じ休業補償義務が事業主に課されているわけではありません。
【計算例】傷病手当金と休業補償給付はいくらもらえる?
二つの給付は、計算の基礎となる金額が異なります。
ここでは、制度の違いを理解するために、それぞれ簡単な例を紹介します。
傷病手当金の計算例
支給開始日以前12か月の各標準報酬月額の平均額が30万円だった場合を考えます。
原則として、その平均額を30で割った金額の3分の2相当額が、1日当たりの傷病手当金です。
| 計算項目 | 金額 |
|---|---|
| 標準報酬月額の平均額 | 300,000円 |
| 30で割った金額 | 10,000円 |
| 1日当たりの傷病手当金 | 約6,667円 |
| 支給対象となる10日間の概算 | 約66,670円 |
実際には、所定の端数処理や、支給開始日前の被保険者期間などによって計算方法が異なる場合があります。
また、休業中に給与の一部が支払われる場合には、傷病手当金の支給額が調整されることがあります。
休業補償給付の計算例
次に、労災保険の給付基礎日額が1万円の場合を考えます。
| 給付の種類 | 計算方法 | 1日当たりの金額 |
|---|---|---|
| 休業補償給付 | 10,000円 × 60% | 6,000円 |
| 休業特別支給金 | 10,000円 × 20% | 2,000円 |
| 合計 | 10,000円 × 80% | 8,000円 |
例えば、所定の支給要件を満たす休業日が10日間ある場合、この例では、休業補償給付と休業特別支給金の合計が8万円になります。
ただし、労災保険の給付基礎日額は、原則として労働基準法上の平均賃金に相当する額です。標準報酬月額を30で割って計算する傷病手当金とは、計算の基礎が異なります。
傷病手当金と休業補償給付は、同時に受け取れる?
同じ病気やけが、同じ休業期間について、傷病手当金と休業補償給付を重複して受け取れると考えるのは適切ではありません。
傷病手当金は原則として業務外の病気やけが、休業補償給付は業務災害を対象としているため、そもそも対象となる原因が異なります。
例えば、当初は私傷病として健康保険の傷病手当金を申請していたものの、後に業務上の疾病と認定された場合は、給付の調整や返還などが必要になることがあります。
また、労災保険による給付と健康保険による給付が、それぞれ別の傷病について関係する場合も、個別の給付条件や調整の有無を確認する必要があります。
実際に両制度が関係する可能性がある場合は、加入する健康保険の保険者と、労働基準監督署の両方に相談しましょう。
有給休暇を使った場合、給付金はどうなる?
傷病手当金では、有給休暇も待期期間に含まれる
傷病手当金の待期期間には、有給休暇や所定休日なども含まれます。
例えば、病気の療養のために月曜日から水曜日まで有給休暇を取得し、木曜日以降も働けない状態が続いた場合、最初の3日間で待期が完成することがあります。
ただし、有給休暇を取得して給与が全額支払われている日は、通常、傷病手当金の支給対象にはなりません。
傷病手当金の額より給与が少ない場合は、差額が支給されることがあります。
休業補償給付も、賃金の支払状況が重要
労災保険の休業補償給付では、療養のために働くことができず、賃金を受けていないことが支給要件になります。
そのため、有給休暇などによって賃金が支払われている場合は、実際の支給について確認が必要です。
また、所定労働時間の一部だけ働いた場合には、その日の賃金額に応じて、休業補償給付などが調整される場合があります。
退職後も傷病手当金や休業補償給付を受け取れる?
傷病手当金は、一定の条件を満たせば退職後も継続できる
健康保険の傷病手当金は、一定の条件を満たす場合、退職後も継続して受給できることがあります。
協会けんぽでは、例えば、退職日までに継続して1年以上の所定の被保険者期間があり、資格喪失日の前日に傷病手当金を受けている、または受けられる状態であることなどが必要です。
また、退職後に一度働ける状態になり、その後再び働けなくなった場合は、継続給付を受けられなくなることがあります。
退職を検討している場合は、退職日当日の勤務状況や受給条件などについて、事前に保険者へ確認するとよいでしょう。
労災保険は、退職しただけで給付を受ける権利がなくなるわけではない
労災保険については、退職したという理由だけで、当然に保険給付を受ける権利が消滅するわけではありません。
例えば、業務災害によるけがの療養が退職後も続き、休業補償給付の支給要件を満たしている場合などです。
ただし、実際の給付には、療養や労務不能の状態、賃金の支払いの有無など、所定の条件があります。
【実践】場面別に「傷病手当金」と「休業補償給付」を使い分ける
場面1:休日にスポーツでけがをして会社を休む
休日に私的なスポーツでけがをし、療養のため会社を休む場合は、健康保険の傷病手当金が関係します。
ただし、傷病手当金の支給には、被保険者であることや、待期期間、労務不能、給与の支払い状況などの要件があります。
場面2:仕事中の事故で骨折し、入院する
仕事中の事故による骨折が業務災害と認められ、療養のために働けず、賃金を受けられない場合は、労災保険の休業補償給付が関係します。
原則として、最初の3日間は事業主が休業補償を行い、4日目以降は労災保険からの給付が支給されます。
場面3:通勤途中に交通事故に遭う
合理的な通勤経路で交通事故に遭い、通勤災害として認定された場合は、労災保険の休業給付が関係します。
この場合、給付の仕組みは業務災害の休業補償給付と似ていますが、最初の3日間について、労働基準法上、使用者に同じ休業補償義務があるわけではありません。
場面4:業務外の病気で長期間療養する
業務外の病気によって数か月間働けなくなった場合は、健康保険の傷病手当金が関係します。
所定の条件を満たせば、支給開始日から通算1年6か月まで支給される可能性があります。
また、会社に休職制度がある場合は、休職期間や復職手続きについても就業規則などを確認しましょう。
場面5:仕事が原因かどうか、まだわからない病気で休む
病気と仕事との因果関係が明らかになっていない段階では、どの保険制度が関係するのか、判断が難しい場合があります。
例えば、業務による負荷が原因ではないかと考えられるものの、まだ労災認定を受けていない場合です。
そのような場合は、医療機関や加入している健康保険の保険者、労働基準監督署などに相談しましょう。
病気の原因を調べる際には、すでにわかっている事実を確かめることと、仕事との関連性を検討することを区別すると整理しやすくなります。関連する表現については、「確認」と「検証」の違いも参考になります。
傷病手当金・休業補償給付の申請方法
傷病手当金は加入先の健康保険へ申請する
傷病手当金を申請する場合は、加入している健康保険の保険者が定める申請書や必要書類を確認します。
協会けんぽの場合は、健康保険傷病手当金支給申請書を使用します。
申請書には、本人が記入する欄のほか、事業主や療養担当者が記入する欄があります。
事業主による勤務状況や給与の支払いについての証明、療養担当者による労務不能についての意見などが必要になります。
長期間休む場合は、給与の締切日などを基準として、1か月単位で申請する方法もあります。
休業補償給付は労働基準監督署へ請求する
休業補償給付を請求する場合は、所定の請求書を使用し、原則として労働基準監督署へ提出します。
業務災害と通勤災害では、使用する請求書の様式が異なります。
また、事業主や医療機関による証明など、必要な手続きがあります。
申請する際には、実際に休業した日や、賃金を受け取った日などを正確に整理しておきましょう。
会社が協力してくれない場合は?
業務災害について、会社が労災保険の請求に協力してくれない場合でも、労働者本人が労働基準監督署へ相談することができます。
会社が労災と認めていないという理由だけで、必ず請求できなくなるわけではありません。
また、傷病手当金の申請について、事業主の証明が得られない場合も、加入している健康保険の保険者へ事情を説明し、必要な対応を相談しましょう。
給付金を申請する前に確認したい5つのポイント
1. 病気やけがの原因を整理する
まず、業務外の病気やけがなのか、業務上の病気やけがなのかを確認しましょう。
通勤途中の事故であれば、労災保険の休業給付が関係する場合があります。
原因がはっきりしない場合は、事故や発病に至る経緯を整理し、医療機関などへ説明することが重要です。
2. 加入している保険を確認する
健康保険の傷病手当金は、原則として被保険者本人が対象です。
一方、労災保険は、原則として適用事業で働く労働者を対象としており、パートやアルバイトも対象になり得ます。
勤務先の健康保険に加入していないという理由だけで、労災保険の対象外になるわけではありません。
3. 待期期間と支給開始日を確認する
傷病手当金と休業補償給付は、どちらも原則として4日目から支給されますが、待期期間の考え方が異なります。
また、休業開始日や勤務の有無、休日や有給休暇の扱いなども重要です。
申請書を作成する際は、実際の勤務記録や休業日を整理しておきましょう。
4. 給与の支払い状況を確認する
傷病手当金と休業補償給付は、いずれも給与や賃金の支払状況が重要になります。
例えば、休業期間中に通常の給与が全額支払われている場合は、給付の対象とならないことがあります。
また、一部の給与が支払われる場合は、給付額が調整されることがあります。
5. 申請書類や手続きに問題がないか確認する
申請する制度によって、必要な書類や提出先は異なります。
例えば、傷病手当金では加入先の健康保険が定める申請書を使用し、休業補償給付では労災保険の所定の請求書を使用します。
手続きが進まない場合は、書類の不足や記載内容の相違など、具体的な問題を整理しましょう。
現在発生している問題と、解決に向けて取り組むべき課題を区別する際には、「問題」と「課題」の違いも参考になります。
「傷病手当金」「休業補償給付」と似た言葉の違い
「傷病手当」との違い
「傷病手当」は、雇用保険の制度で使用される名称です。
例えば、雇用保険の基本手当の受給資格者が、求職の申し込み後に病気やけがで一定期間働けなくなった場合などに、所定の条件を満たせば支給されます。
一方、「傷病手当金」は健康保険の給付です。
名称は似ていますが、対象者や支給条件、申請先などが異なります。
「休業給付」との違い
休業給付は、通勤災害によるけがや病気の療養のために働けず、賃金を受けられない場合などに支給される労災保険の給付です。
一方、休業補償給付は、業務災害による休業を対象とします。
給付の仕組みには共通点がありますが、災害の原因によって名称が異なります。
「休業手当」との違い
休業手当は、使用者の責めに帰すべき事由によって従業員を休業させた場合に、労働基準法第26条に基づいて支払う手当です。
例えば、会社の都合で工場の操業を停止し、従業員を休ませる場合です。
一方、休業補償給付は、業務上のけがや病気によって働けない場合に、労災保険から支給される給付です。
「休業補償」との違い
休業補償は、労働基準法第76条に基づき、業務上のけがや病気で働けない場合に、使用者が行う補償です。
一方、休業補償給付は、労災保険から支給される給付です。
例えば、業務災害の最初の3日間については、原則として使用者の休業補償が関係し、休業4日目以降は労災保険の休業補償給付などが関係します。
「傷病補償年金」との違い
傷病補償年金は、業務災害によるけがや病気について、療養開始から1年6か月を経過した後も治っておらず、所定の障害の状態に該当する場合に支給される労災保険の給付です。
一方、休業補償給付は、療養のため働けず、賃金を受けられない場合の給付です。
長期療養の場合は、傷病の状態などによって、関係する給付が変わることがあります。
「傷病手当金」と「休業補償給付」の3秒判定
| 状況 | 基本的に関係する制度 |
|---|---|
| 休日の私的な活動中のけがで、会社を休む | 傷病手当金 |
| 業務外の病気によって長期間働けない | 傷病手当金 |
| 仕事中の事故で負傷し、療養のため働けない | 休業補償給付 |
| 通勤途中の事故によって働けない | 休業給付 |
| 業務災害の最初の3日間を会社が補償する | 労働基準法上の休業補償 |
| 会社の都合で働ける従業員を休ませる | 休業手当 |
| 雇用保険の受給資格者が求職活動中に病気で働けない | 雇用保険の傷病手当 |
業務外の病気やけがなら傷病手当金、業務上の病気やけがなら休業補償給付を基本に、実際の支給条件を確認しましょう。
よくある間違いと注意点
「傷病手当金はすべての健康保険加入者が受け取れる」は誤り
傷病手当金は、原則として健康保険の被保険者本人を対象とする制度です。
家族の健康保険の被扶養者は、通常、傷病手当金の支給対象ではありません。
また、国民健康保険については、会社員が加入する健康保険と同じ傷病手当金制度が全国一律に設けられているわけではありません。
「傷病手当金の待期期間は、必ず欠勤でなければならない」は誤り
傷病手当金の待期期間には、有給休暇や所定休日なども含まれます。
ただし、連続する3日間、療養のために仕事に就けない状態であることが必要です。
「傷病手当金も労災保険も、必ず給与の80%がもらえる」は誤り
傷病手当金は、原則として所定の方法で算定した日額の3分の2相当額です。
一方、休業補償給付は原則として給付基礎日額の60%相当額で、さらに20%相当額の休業特別支給金が支給されます。
計算の基礎となる金額も異なるため、単純に同じ条件で比較することはできません。
「労災保険の休業補償給付は1年6か月で終了する」は誤り
休業補償給付には、傷病手当金と同じ通算1年6か月という一律の支給期間はありません。
ただし、療養が長期に及び、一定の条件を満たす場合には、傷病補償年金などが関係することがあります。
「会社が労災ではないと言えば、必ず傷病手当金になる」は誤り
会社が労災ではないと説明したことだけで、病気やけがが業務外のものと確定するわけではありません。
業務災害に該当するかどうかは、労働基準監督署が必要な調査などを行い、判断します。
原因の判断が難しい場合は、関係機関へ相談し、適切な制度について確認する必要があります。
「傷病手当金」と「休業補償給付」の例文12選
「傷病手当金」を使った例文
- 業務外の病気で入院したため、傷病手当金を申請した。
- 傷病手当金の待期期間について、加入先の健康保険に確認した。
- 休業中の給与が少なかったため、傷病手当金の支給額を確認した。
- 傷病手当金の支給期間は、原則として通算1年6か月である。
- 退職後も傷病手当金を受給できるか、協会けんぽへ問い合わせた。
- 医師に傷病手当金の申請書を記入してもらった。
「休業補償給付」を使った例文
- 作業中の事故で骨折したため、休業補償給付を申請した。
- 休業補償給付の計算方法について、労働基準監督署に確認した。
- 業務災害の最初の3日間について、会社の休業補償を確認した。
- 休業補償給付と休業特別支給金の違いを調べた。
- 休業補償給付の申請に必要な書類を準備した。
- 長期療養のため、休業補償給付の支給要件について相談した。
FAQ|「傷病手当金」と「休業補償給付」のよくある質問
Q1. 傷病手当金と休業補償給付は同じ制度ですか?
同じ制度ではありません。傷病手当金は健康保険の給付で、原則として業務外の病気やけがによる休業を対象とします。一方、休業補償給付は労災保険の給付で、業務上の病気やけがによる休業を対象とします。
Q2. 傷病手当金はいくら支給されますか?
原則として、支給開始日以前12か月の各標準報酬月額を平均した額を30で割り、その3分の2に相当する額が1日当たりの支給額です。ただし、被保険者期間が12か月に満たない場合などは、別の計算方法が適用されます。
Q3. 休業補償給付はいくら支給されますか?
原則として、休業1日につき給付基礎日額の60%相当額です。さらに、20%相当額の休業特別支給金が支給される場合があり、両方を合わせると原則として80%相当額になります。
Q4. どちらも4日目から支給されるのですか?
原則として、どちらも4日目から支給されます。ただし、傷病手当金は連続する3日間の待期を完成させる必要があり、労災保険とは待期期間の考え方が異なります。
Q5. 有給休暇を取得していても傷病手当金を受け取れますか?
有給休暇も傷病手当金の待期期間に含まれます。ただし、傷病手当金の支給対象となる日について通常の給与が全額支払われている場合は、原則として傷病手当金は支給されません。給与の額が傷病手当金より少ない場合は、差額が支給されることがあります。
Q6. 通勤途中の事故で働けなくなった場合は、どちらですか?
通勤災害として認められた場合は、労災保険の休業給付が関係します。休業補償給付と似た仕組みですが、業務災害と通勤災害では、最初の3日間の事業主の補償義務などに違いがあります。
Q7. 退職後も傷病手当金を受け取れますか?
一定の条件を満たす場合は、退職後も継続して受給できることがあります。例えば、退職日までに所定の被保険者期間が継続して1年以上あり、資格喪失日の前日に傷病手当金を受けている、または受けられる状態であることなどが必要です。
Q8. パートやアルバイトでも休業補償給付を受け取れますか?
原則として、適用事業で働く労働者であれば、パートやアルバイトも労災保険の対象です。所定の支給要件を満たせば、休業補償給付を受けられる可能性があります。
Q9. 傷病手当金と休業補償給付は課税されますか?
傷病手当金と、労災保険法に基づく休業補償給付は、原則として所得税が課されません。ただし、会社独自の制度による給付などは、名称だけで非課税になるとは限りません。
Q10. 申請先はどこですか?
傷病手当金は、協会けんぽや健康保険組合など、加入している健康保険の保険者へ申請します。一方、休業補償給付は、原則として所轄の労働基準監督署へ請求します。
まとめ|業務外なら傷病手当金、業務上なら休業補償給付
「傷病手当金」と「休業補償給付」は、どちらも病気やけがで働けない人の収入を支える制度ですが、対象となる原因や支給額、支給期間などが異なります。
- 傷病手当金:健康保険の被保険者が、原則として業務外の病気やけがによって働けず、十分な給与を受けられない場合の給付。
- 休業補償給付:労働者が業務上の病気やけがによって働けず、賃金を受けられない場合の労災保険給付。
- 休業給付:通勤災害による休業について、労災保険から支給される給付。
特に重要なのは、両方とも原則として4日目から支給されるものの、待期期間の数え方や支給額の計算方法が異なるという点です。
また、傷病手当金は支給開始日から通算1年6か月という期間の上限がありますが、休業補償給付には同じ一律の上限がありません。
病気やけがによって会社を休むことになった場合は、原因や給与の支払状況、加入している保険などを整理し、適切な制度で申請しましょう。
支給条件について判断が難しい場合は、加入先の健康保険の保険者や労働基準監督署に問い合わせることが重要です。申請時に問題が発生した場合の考え方については、「対応」と「対処」の違いも参考になります。
参考資料・出典
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全国健康保険協会(協会けんぽ)|傷病手当金
傷病手当金の支給条件、待期期間、支給額、通算1年6か月の支給期間、退職後の継続給付について確認できます。
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厚生労働省|1日でも会社を休んだら休業(補償)等給付をもらえるのですか
労災保険の待期期間や、業務災害における最初の3日間の事業主の補償義務について確認できます。
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厚生労働省|休業(補償)等給付の計算方法
給付基礎日額の考え方、60%の保険給付と20%の休業特別支給金の計算方法について確認できます。
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厚生労働省|各労災保険給付の支給事由と内容について
休業補償給付、休業給付、傷病補償年金など、労災保険の主な給付と支給条件を確認できます。
