「国民健康保険料と国民健康保険税は何が違う?」「引っ越したら保険料が保険税に変わった」「保険税と書いてあるけれど、確定申告では社会保険料控除を受けられる?」など、国民健康保険の納付通知書を見て疑問を持つことがあります。
国民健康保険には、自治体によって「保険料」として徴収する方式と、「保険税」として徴収する方式があります。
どちらも国民健康保険の運営に必要な費用を加入者に負担してもらう制度ですが、単に名称が違うだけではありません。徴収の根拠となる法律や、滞納した場合の時効、加入手続きが遅れた場合にさかのぼって請求できる期間などが異なります。
結論からいうと、「国民健康保険料」は国民健康保険法に基づいて徴収するもの、「国民健康保険税」は地方税法に基づいて地方税として徴収するものです。
ただし、医療機関で受けられる保険給付が、保険料方式と保険税方式で自動的に変わるわけではありません。また、どちらも、所定の条件の下で所得税や住民税の社会保険料控除の対象になります。
この記事では、国民健康保険料と国民健康保険税の違いを比較表で整理し、計算方法、徴収権の時効、過去にさかのぼる請求、滞納した場合の対応、社会保険料控除、引っ越した場合の取り扱いまで解説します。
- 「国民健康保険料」と「国民健康保険税」の違い【結論】
- 【徹底比較】「国民健康保険料」と「国民健康保険税」の違いを比較表で整理
- 「国民健康保険料」とは?意味と仕組み
- 「国民健康保険税」とは?意味と仕組み
- なぜ自治体によって「保険料」と「保険税」が違うの?
- 保険料と保険税で、支払う金額は違う?
- 【重要】時効の違い|保険料は2年、保険税は5年
- 加入手続きが遅れた場合は、何年分を請求される?
- 保険料と保険税では、滞納した場合の扱いが違う?
- 保険税でも社会保険料控除を受けられる?
- 引っ越しで保険料から保険税に変わった場合はどうする?
- 【実践】国民健康保険料と国民健康保険税で迷いやすい5つの場面
- 国民健康保険料・国民健康保険税の通知書で確認したい5つのポイント
- 「国民健康保険料」「国民健康保険税」と似た言葉の違い
- 「国民健康保険料」と「国民健康保険税」の3秒判定
- よくある間違いと注意点
- 「国民健康保険料」と「国民健康保険税」の例文12選
- FAQ|国民健康保険料と国民健康保険税のよくある質問
- Q1. 国民健康保険料と国民健康保険税は同じものですか?
- Q2. なぜ自治体によって名称が違うのですか?
- Q3. 保険料と保険税では、どちらが安いですか?
- Q4. 保険料と保険税の時効は、それぞれ何年ですか?
- Q5. 加入手続きを忘れていた場合、何年分を請求されますか?
- Q6. 国民健康保険税は社会保険料控除の対象になりますか?
- Q7. 保険料や保険税は、確定申告で何年分を申告しますか?
- Q8. 家族の国民健康保険税を支払った場合も控除できますか?
- Q9. 保険税を滞納すると、税金と同じように差押えされますか?
- Q10. 引っ越したら保険料から保険税に変わることはありますか?
- Q11. 失業して収入がなくなれば、保険料・保険税は自動的に安くなりますか?
- Q12. 納付が難しい場合は、どこに相談すればよいですか?
- まとめ|保険料は国民健康保険法、保険税は地方税法に基づく
- 参考資料・出典
「国民健康保険料」と「国民健康保険税」の違い【結論】
二つの言葉を区別するポイントは、自治体が国民健康保険の負担金をどの法律に基づいて徴収するかです。
- 国民健康保険料:国民健康保険法に基づき、自治体が保険料として徴収するもの。
- 国民健康保険税:地方税法に基づき、自治体が地方税として徴収するもの。
例えば、保険料方式を採用している自治体から、保険税方式を採用している自治体へ引っ越した場合です。
引っ越し前は「国民健康保険料納入通知書」が届いていたのに、引っ越し後は「国民健康保険税納税通知書」が届くことがあります。
この場合、国民健康保険から別の医療保険へ変わったのではありません。新しい自治体が保険税方式を採用しているため、徴収する際の名称と法的な取り扱いが変わったのです。
【徹底比較】「国民健康保険料」と「国民健康保険税」の違いを比較表で整理
| 比較項目 | 国民健康保険料 | 国民健康保険税 |
|---|---|---|
| 読み方 | こくみんけんこうほけんりょう | こくみんけんこうほけんぜい |
| 徴収の根拠法 | 国民健康保険法 | 地方税法 |
| 法的な性質 | 社会保険の保険料 | 地方税 |
| 採用する方式 | 各市区町村が条例によって定める | |
| 主な算定要素 | 前年所得、加入者数、自治体の料率など | 前年所得、加入者数、自治体の税率など |
| 納付義務者 | 原則として世帯主 | 原則として世帯主 |
| 徴収権の消滅時効 | 原則2年 | 原則5年 |
| さかのぼって賦課できる期間 | 原則最大2年 | 原則最大3年度分 |
| 医療機関で受ける保険給付 | 徴収方式だけを理由とする違いはない | |
| 社会保険料控除 | 対象になる | 対象になる |
| 納付方法 | 普通徴収、所定の条件による年金からの特別徴収など | 普通徴収、所定の条件による年金からの特別徴収など |
上記の時効や遡及賦課は、原則的な制度の比較です。実際には、督促による時効の更新や個別の賦課決定、還付などについて、別途法令上の取り扱いがあります。
「国民健康保険料」とは?意味と仕組み
国民健康保険法に基づいて徴収される保険料
国民健康保険料は、国民健康保険法に基づき、市区町村が徴収する保険料です。
保険料方式を採用している自治体では、国民健康保険に加入する世帯に対して、保険料の納入通知書などを送付します。
加入者は、自治体が定めた納期限や方法に従って納付します。
保険料額は全国一律ではありません。前年の所得や加入者数、自治体の料率、適用される軽減・減免などによって異なります。
徴収権の消滅時効は原則2年
国民健康保険法第110条では、保険料などを徴収する権利について、原則として2年間の消滅時効が定められています。
ただし、納期限から2年が経過すれば、どのような場合でも必ず支払義務がなくなるという意味ではありません。
例えば、法令に基づく督促などによって、時効が更新される場合があります。
そのため、未納の保険料については、個別の納期限や督促の状況などを確認する必要があります。
さかのぼって賦課できる期間にも制限がある
国民健康保険法には、保険料の賦課決定についても期間制限があります。
原則として、その年度の最初の納期限の翌日から2年を経過すると、新たな賦課決定ができなくなります。
例えば、国民健康保険への加入手続きを長期間行っていなかった場合でも、自治体が無制限に何年分もさかのぼって保険料を賦課できるわけではありません。
ただし、実際の起算日や例外的な取り扱いは、個別の事情によって異なります。
「国民健康保険税」とは?意味と仕組み
地方税法に基づいて徴収される地方税
国民健康保険税は、市区町村が地方税法に基づいて、国民健康保険の費用に充てるために徴収する地方税です。
国民健康保険法では、自治体が保険料を徴収することを原則としながら、地方税法に基づいて保険税として徴収することも認めています。
そのため、保険税方式を採用している自治体では、「国民健康保険税納税通知書」などが届きます。
税という名前ですが、住民税や固定資産税とは異なり、国民健康保険の費用に充てることを目的とした税金です。
徴収権の消滅時効は原則5年
国民健康保険税の徴収権の消滅時効は、原則として5年です。
国民健康保険料の原則2年と比べると、時効期間が長くなっています。
ただし、保険税についても、法令に基づく督促や滞納処分など、個別の手続きによって時効の扱いが変わる場合があります。
したがって、未納の国民健康保険税について「5年たったから必ず払わなくてよい」と自己判断することは適切ではありません。
さかのぼって賦課できる期間は原則最大3年度分
国民健康保険税の賦課については、地方税法に基づく期間制限が適用されます。
自治体の公式案内では、加入の届け出が遅れた場合、原則として最大3年度分の国民健康保険税をさかのぼって課税できると説明されています。
一方、すでに課税されている国民健康保険税を徴収する権利の消滅時効は、原則5年です。
「過去にさかのぼって課税できる期間」と「課税済みの税金を徴収できる期間」は別の仕組みなので、混同しないようにしましょう。
なぜ自治体によって「保険料」と「保険税」が違うの?
国民健康保険料と国民健康保険税は、自治体が採用する徴収方式によって決まります。
国民健康保険法では、国民健康保険の運営に必要な費用を保険料として徴収することを原則としつつ、地方税法に基づく保険税方式も認めています。
自治体は、それぞれの条例によって、徴収方式や料率・税率、納期限などを定めています。
そのため、隣接する自治体でも、一方は保険料方式、もう一方は保険税方式を採用している場合があります。
また、同じ方式を採用していても、自治体ごとに料率・税率などが異なるため、所得や家族構成が同じなら必ず同額になるわけではありません。
保険料と保険税で、支払う金額は違う?
名称だけで負担額の高低は決まらない
国民健康保険料と国民健康保険税は、いずれも自治体の条例に基づいて金額を計算します。
例えば、保険料方式の自治体Aと保険税方式の自治体Bを比較した場合、必ず自治体Aのほうが安い、あるいは自治体Bのほうが高いということはありません。
実際の金額は、前年の所得、加入者数、年齢、自治体の料率・税率、軽減・減免制度などによって異なります。
基本的には世帯単位で計算される
市区町村の国民健康保険では、基本的に世帯単位で保険料・税を計算します。
主な計算要素として、前年の所得に応じた所得割、加入者数に応じた均等割、自治体によって設けられる平等割などがあります。
例えば、国民健康保険に加入している世帯員が1人の場合と3人の場合では、所得が同じでも均等割などの負担が異なることがあります。
40歳以上65歳未満では介護保険分も関係する
40歳以上65歳未満の国民健康保険加入者については、原則として介護保険分も合わせて計算されます。
そのため、同じ自治体で所得が同じ場合でも、加入者の年齢構成によって保険料・税が異なることがあります。
一方、65歳以上の介護保険料は、原則として国民健康保険料・税とは別に徴収されます。
具体的な計算例
ここでは、制度の仕組みを理解するため、架空の金額を使って計算します。
| 計算項目 | 架空の年額 |
|---|---|
| 所得割 | 160,000円 |
| 均等割 | 45,000円 |
| 平等割 | 25,000円 |
| 年間の合計額 | 230,000円 |
この例では、年間の合計額が23万円となります。
自治体が保険料方式を採用していれば国民健康保険料として、保険税方式を採用していれば国民健康保険税として徴収されます。
ただし、上記は説明用の架空の数字であり、実際の料率・税率や賦課限度額を示すものではありません。
【重要】時効の違い|保険料は2年、保険税は5年
国民健康保険料と国民健康保険税について、実務上重要な違いの一つが、徴収権の消滅時効です。
| 項目 | 国民健康保険料 | 国民健康保険税 |
|---|---|---|
| 徴収権の消滅時効 | 原則2年 | 原則5年 |
| 遡及して賦課できる期間 | 原則最大2年 | 原則最大3年度分 |
| 時効の更新など | 法令に基づく督促などによる場合がある | 地方税法などに基づく督促などによる場合がある |
消滅時効は「放置してよい期間」ではない
消滅時効とは、所定の期間が経過することで、法律上の権利が消滅する仕組みです。
しかし、国民健康保険料や国民健康保険税について、単純に2年または5年が経過すれば必ず支払義務がなくなるわけではありません。
督促などによって時効が更新される場合や、滞納処分が進められる場合があります。
納付が難しい場合は、未納のまま放置せず、自治体の担当窓口へ早めに相談しましょう。
徴収権の時効と還付の期限も確認する
保険料や保険税を払い過ぎていた場合には、還付の手続きが関係することがあります。
国民健康保険料と国民健康保険税では、還付に関する時効の取り扱いも異なります。
例えば、国民健康保険料の還付を受ける権利については、原則として2年です。
一方、国民健康保険税の還付請求権については、原則として5年とされています。
ただし、過去の加入状況が後から変わった場合などは、賦課決定の期間制限も関係します。返金が可能かどうかは、自治体に個別の状況を説明して確認しましょう。
加入手続きが遅れた場合は、何年分を請求される?
国民健康保険への加入は、原則として14日以内に届け出る
会社を退職して、ほかの健康保険へ加入しない場合などは、国民健康保険への加入手続きが必要になります。
原則として、加入資格が生じた日から14日以内に、住所地の市区町村へ届け出ます。
届け出が遅れたからといって、届出日から国民健康保険に加入するというわけではありません。
原則として、本来加入すべき日までさかのぼって資格を取得します。
保険料方式と保険税方式では遡及賦課の期間が異なる
例えば、会社を退職した後、国民健康保険への加入手続きを長期間行っていなかった場合です。
本来の加入日までさかのぼって国民健康保険の資格を取得することになりますが、保険料・税を過去にさかのぼって賦課できる期間には制限があります。
保険料方式では原則最大2年、保険税方式では原則最大3年度分という違いがあります。
ただし、実際に何年度分が請求されるかは、資格取得日や各年度の納期限、自治体の条例、個別の事情などによって異なります。
遅れて届け出ても、無保険期間がなくなるとは限らない
過去の加入資格が認められたとしても、届け出が大幅に遅れた場合には、その間の医療費について給付が制限される場合があります。
また、さかのぼって加入することで、過去の保険料・税をまとめて請求されることもあります。
国民健康保険への加入が必要になったら、早めに手続きを行うことが重要です。
保険料と保険税では、滞納した場合の扱いが違う?
どちらも滞納すると督促などの対象になる
国民健康保険料と国民健康保険税は、どちらも自治体が定めた納期限までに納付する必要があります。
期限を過ぎると、督促状が送付される場合があります。
また、納付されない状態が続き、所定の条件を満たす場合には、財産の差押えなどの滞納処分が行われることがあります。
徴収の優先順位などに違いがある
保険税方式は、地方税法に基づく地方税として徴収されます。
一方、保険料方式は国民健康保険法に基づいて徴収されるものです。
そのため、滞納した場合の徴収権の優先順位などについて、法的な取り扱いが異なります。
具体的には、国民健康保険税は地方税としての徴収順位が適用されるのに対し、国民健康保険料には別の規定が適用されます。
納付が難しい場合は自治体に相談する
失業や病気、災害などによって保険料・税の納付が困難になった場合は、自治体へ相談しましょう。
事情によっては、分割納付の相談や、所定の減免・徴収猶予などが利用できる場合があります。
ただし、相談しただけで、すべての保険料・税が自動的に免除されるわけではありません。
具体的な制度や申請期限、必要書類については、自治体の担当窓口へ確認する必要があります。
保険税でも社会保険料控除を受けられる?
保険料・保険税のどちらも社会保険料控除の対象
国民健康保険料と国民健康保険税は、どちらも所得税や住民税の社会保険料控除の対象になります。
例えば、年間20万円の国民健康保険税を支払った場合、その支払額は所定の条件の下で、社会保険料控除の対象になります。
「保険税」という名前だから、社会保険料控除を受けられないということはありません。
基本的には、実際に支払った年に控除する
社会保険料控除は、原則として、その年の1月1日から12月31日までに実際に支払った保険料・税を対象とします。
例えば、2025年度分の国民健康保険税であっても、2026年1月に支払った分については、原則として2026年分の社会保険料控除に含めます。
反対に、2026年度分として請求された金額でも、2027年1月に支払った場合は、原則として2027年分の控除対象になります。
家族の保険料・税を支払った場合
本人だけでなく、生計を一にする配偶者やその他の親族が負担すべき国民健康保険料・税を本人が支払った場合も、所定の条件を満たせば、支払った本人の社会保険料控除の対象になります。
ただし、誰が実際に支払ったかによって、控除できる人が異なります。
例えば、世帯主が家族の国民健康保険料・税を本人の口座から支払っている場合などです。
一方、家族本人の年金から天引きされている場合は、原則として年金受給者本人が支払ったものとして扱われます。
保険税を支払ったからといって、税金が同額戻るわけではない
社会保険料控除は、所得税や住民税の計算において、所得から所定の金額を差し引く仕組みです。
例えば、国民健康保険税を年間20万円支払った場合は、原則として20万円を社会保険料控除として計上できます。
しかし、20万円がそのまま税金から差し引かれたり、20万円全額が還付されたりするわけではありません。
実際に減る税額は、本人の所得や適用される税率、ほかの所得控除などによって異なります。
引っ越しで保険料から保険税に変わった場合はどうする?
以前の自治体では脱退、新しい自治体では加入の手続きが必要
国民健康保険に加入している人が、別の市区町村へ引っ越す場合です。
転出元では原則として国民健康保険の資格を失い、転入先では新たに加入することになります。
例えば、保険料方式の自治体から保険税方式の自治体へ引っ越した場合は、転出元の保険料と転入先の保険税について、それぞれ精算や賦課が行われます。
転出後にも以前の自治体から請求が届く場合がある
引っ越した後、転出元の自治体から、保険料や保険税の請求が届くことがあります。
これは、必ずしも誤った二重請求とは限りません。
例えば、年度内の保険料・税を複数回の納期に分けて徴収している場合です。
加入していた月数に応じて再計算した結果、転出後の納期にも支払うべき金額が残ることがあります。
一方、納め過ぎていた場合には、還付されることもあります。
新旧の自治体の通知書を照らし合わせる
引っ越し後、以前の自治体と新しい自治体の両方から納付通知書が届いた場合は、対象年度と加入期間、納付済みの金額などを確認しましょう。
保険料と保険税では名称が異なりますが、加入期間が適切に区分されているかどうかが重要です。
通知書に書かれた内容を確かめることと、複数の書類を突き合わせて正確性を調べることの違いについては、「確認」と「検証」の違いも参考になります。
【実践】国民健康保険料と国民健康保険税で迷いやすい5つの場面
場面1:退職後、国民健康保険に加入した
会社を退職し、市区町村の国民健康保険へ加入する場合です。
保険料方式を採用している自治体では国民健康保険料、保険税方式を採用している自治体では国民健康保険税として請求されます。
どちらになるかは、加入者本人が自由に選択するものではありません。
場面2:同じ所得なのに、引っ越したら負担額が変わった
引っ越し前と引っ越し後で、保険料・税の金額が異なる場合です。
この場合は、保険料方式と保険税方式の違いだけでなく、自治体ごとの料率・税率、均等割などの違いも確認する必要があります。
名称が変わったから保険料が高くなった、とは限りません。
場面3:確定申告で保険税を社会保険料控除に入れたい
国民健康保険税を支払っている人が、確定申告を行う場合です。
国民健康保険税も社会保険料控除の対象になるため、その年に実際に支払った金額などを確認して申告します。
納付通知書に書かれた年間の請求額ではなく、実際に支払った金額を確認することが重要です。
場面4:過去の加入手続きを忘れていた
会社を退職した後、国民健康保険への加入手続きを長期間行っていなかった場合です。
本来加入すべき日までさかのぼって資格を取得しますが、過去の保険料・税を賦課できる期間には、保険料方式と保険税方式で違いがあります。
個別の状況によって実際の請求額が異なるため、自治体へ相談しましょう。
場面5:自治体が保険税方式から保険料方式に切り替えた
自治体が条例を改正し、国民健康保険の徴収方式を変更する場合です。
この場合は、保険税方式と保険料方式で、根拠となる法律や時効などの取り扱いが異なります。
ただし、方式を変更したことだけで、それまでの滞納分や過去の賦課額の取り扱いがすべて自動的に変わるわけではありません。
旧制度と新制度の適用年度や経過措置について、自治体の公式案内を確認する必要があります。
制度の切り替えについて使われる一般的な言葉の違いは、「変更」と「修正」の違いも参考になります。
国民健康保険料・国民健康保険税の通知書で確認したい5つのポイント
1. 保険料方式と保険税方式のどちらか確認する
まず、納付通知書の名称を確認しましょう。
「国民健康保険料」なのか「国民健康保険税」なのかによって、根拠となる法律や時効などの取り扱いが異なります。
2. 計算に使用された前年所得を確認する
保険料・税は、原則として前年の所得などを基に計算されます。
退職して現在の収入が大幅に減っていたとしても、前年の所得が高ければ、加入初年度の負担が高くなる場合があります。
3. 加入している家族の人数を確認する
市区町村の国民健康保険には、会社の健康保険のような被扶養者制度がありません。
家族も国民健康保険に加入している場合は、加入者数が保険料・税の計算に反映されます。
4. 納期限と納付回数を確認する
年間の保険料・税は、自治体が指定する複数の納期に分けて納付する場合があります。
そのため、毎回の納付額が、その月の保険料・税だけを表しているとは限りません。
年度の途中で加入・脱退した場合には、月割りで再計算された結果、追加の請求や還付が生じることがあります。
5. 軽減・減免制度が適用されているか確認する
一定の所得基準を下回る世帯では、均等割や平等割などについて、7割・5割・2割の軽減制度があります。
また、災害や失業などの特別な事情により、自治体の条例に基づく減免や納付猶予を利用できる場合があります。
納付が困難な場合は、納期限が過ぎる前に自治体へ相談しましょう。
すでに滞納している場合についても、放置せず、状況に応じて必要な手続きを確認することが重要です。問題が起きた際の行動の違いについては、「対応」と「対処」の違いも参考になります。
「国民健康保険料」「国民健康保険税」と似た言葉の違い
「健康保険料」との違い
健康保険料は、会社員などが加入する健康保険について使われる言葉です。
例えば、協会けんぽや健康保険組合に加入している会社員は、通常、給与から健康保険料が控除されます。
一方、国民健康保険料と国民健康保険税は、市区町村の国民健康保険について使われます。
「国民年金保険料」との違い
国民年金保険料は、老齢・障害・死亡などに備えるための公的年金制度の保険料です。
一方、国民健康保険料・税は、病気やけがなどによる医療費負担に備える国民健康保険の費用です。
退職後、会社の健康保険と厚生年金保険の両方から外れた場合には、健康保険と年金の手続きを、それぞれ確認する必要があります。
「後期高齢者医療保険料」との違い
後期高齢者医療保険料は、原則として75歳以上の人などを対象とする、後期高齢者医療制度の保険料です。
一方、国民健康保険料・税は、市区町村の国民健康保険の加入者に対して徴収されます。
75歳に達して後期高齢者医療制度へ移行した場合は、国民健康保険の資格を失い、後期高齢者医療制度の保険料を負担することになります。
「介護保険料」との違い
介護保険料は、介護保険制度の運営に必要な費用を負担するためのものです。
40歳以上65歳未満の国民健康保険加入者については、原則として国民健康保険料・税に介護保険分を含めて計算します。
一方、65歳以上の人については、原則として市区町村が別途介護保険料を徴収します。
「国民健康保険料」と「国民健康保険税」の3秒判定
| 確認したい内容 | 関係する言葉 |
|---|---|
| 国民健康保険法に基づいて徴収する | 国民健康保険料 |
| 地方税法に基づいて地方税として徴収する | 国民健康保険税 |
| 徴収権の消滅時効が原則2年 | 国民健康保険料 |
| 徴収権の消滅時効が原則5年 | 国民健康保険税 |
| 過去にさかのぼる賦課が原則最大2年 | 国民健康保険料 |
| 過去にさかのぼる賦課が原則最大3年度分 | 国民健康保険税 |
| 確定申告の社会保険料控除の対象 | どちらも対象 |
| 医療機関で受けられる保険給付 | 徴収方式による違いは原則なし |
国民健康保険法に基づけば「保険料」、地方税法に基づけば「保険税」と覚えましょう。
よくある間違いと注意点
「保険税の自治体では、国民健康保険とは別の保険に入る」は誤り
国民健康保険料と国民健康保険税は、どちらも国民健康保険の運営に必要な費用を徴収する仕組みです。
名称が保険税であっても、別の医療保険制度になるわけではありません。
「保険税なら、保険料より必ず高い」は誤り
実際の金額は、自治体ごとの税率・料率や前年所得、加入者数などによって異なります。
保険料方式か保険税方式かという名称だけで、負担額の高低は決まりません。
「保険税は社会保険料控除の対象にならない」は誤り
国民健康保険税も、国民健康保険料と同様に、所定の条件の下で社会保険料控除の対象になります。
「保険税の徴収権は5年だから、5年後まで放置してよい」は誤り
保険税を滞納した場合は、督促や財産の差押えなど、所定の手続きが行われる可能性があります。
また、督促などによって時効が更新される場合もあります。
納付が難しい場合は、自治体へ相談しましょう。
「時効が5年なら、5年前までさかのぼって課税できる」は誤り
保険税について、徴収権の消滅時効は原則5年ですが、過去にさかのぼる賦課の期間制限は原則最大3年度分です。
すでに課税されている税金を徴収する期間と、新たに過去の年度について課税する期間は異なります。
「納付通知書が10回来たら、10か月分の保険料という意味」は誤り
自治体によっては、年間12か月分の保険料・税を、複数回の納期に分けて徴収します。
そのため、納付回数と保険料・税が発生する月数は、必ずしも一致しません。
「国民健康保険料」と「国民健康保険税」の例文12選
「国民健康保険料」を使った例文
- 退職後、国民健康保険料の見積もりを市役所で確認した。
- 国民健康保険料は、原則として前年の所得などを基に計算される。
- 国民健康保険料の納付通知書が届いた。
- 国民健康保険料の徴収権の消滅時効は、原則として2年だ。
- 国民健康保険料の支払いが難しいため、自治体に相談した。
- 確定申告で、実際に支払った国民健康保険料を社会保険料控除に計上した。
「国民健康保険税」を使った例文
- 引っ越し先の自治体では、国民健康保険税として徴収されている。
- 国民健康保険税の納税通知書が届いた。
- 国民健康保険税の徴収権の消滅時効は、原則として5年だ。
- 国民健康保険税の納期限を確認し、口座振替の手続きを行った。
- 国民健康保険税について、軽減制度の対象になるか問い合わせた。
- 国民健康保険税も、所得税の社会保険料控除の対象になる。
FAQ|国民健康保険料と国民健康保険税のよくある質問
Q1. 国民健康保険料と国民健康保険税は同じものですか?
国民健康保険の運営に必要な費用を徴収するという目的は共通していますが、徴収の根拠となる法律が異なります。保険料は国民健康保険法、保険税は地方税法に基づきます。
Q2. なぜ自治体によって名称が違うのですか?
国民健康保険法では、自治体が保険料方式と保険税方式を選択できる仕組みになっています。どちらを採用するかは、各市区町村が条例で定めます。
Q3. 保険料と保険税では、どちらが安いですか?
名称だけで金額の高低は決まりません。前年所得、加入者数、自治体の料率・税率、軽減制度などによって金額が異なります。
Q4. 保険料と保険税の時効は、それぞれ何年ですか?
徴収権の消滅時効は、国民健康保険料が原則2年、国民健康保険税が原則5年です。ただし、督促などによって時効が更新される場合があります。
Q5. 加入手続きを忘れていた場合、何年分を請求されますか?
過去にさかのぼって賦課できる期間は、保険料方式では原則最大2年、保険税方式では原則最大3年度分です。ただし、実際の請求対象期間は、資格取得日や納期限などによって異なります。
Q6. 国民健康保険税は社会保険料控除の対象になりますか?
なります。国民健康保険料と国民健康保険税のどちらも、所定の条件の下で、所得税や住民税の社会保険料控除の対象になります。
Q7. 保険料や保険税は、確定申告で何年分を申告しますか?
原則として、その年の1月1日から12月31日までに実際に支払った金額を申告します。年度が異なる場合でも、実際に支払った年で判断することが基本です。
Q8. 家族の国民健康保険税を支払った場合も控除できますか?
生計を一にする配偶者やその他の親族が負担すべき国民健康保険税を本人が支払った場合は、所定の条件の下で、支払った本人の社会保険料控除の対象になります。ただし、年金から本人に天引きされている場合などは、実際の支払者の扱いに注意が必要です。
Q9. 保険税を滞納すると、税金と同じように差押えされますか?
国民健康保険税を滞納した場合は、地方税法などに基づき、督促や財産の差押えなどが行われる場合があります。国民健康保険料についても、所定の条件の下で滞納処分が行われることがあります。
Q10. 引っ越したら保険料から保険税に変わることはありますか?
あります。引っ越し前と引っ越し後の自治体で採用している徴収方式が異なる場合は、名称が変わることがあります。実際の負担額については、新しい自治体の料率・税率などに基づいて計算されます。
Q11. 失業して収入がなくなれば、保険料・保険税は自動的に安くなりますか?
必ずしもそうではありません。原則として前年所得などを基に計算されるため、失業直後でも負担額が高い場合があります。ただし、一定の所得基準による軽減や、倒産・解雇などによる離職者への軽減、自治体独自の減免などが利用できる場合があります。
Q12. 納付が難しい場合は、どこに相談すればよいですか?
住所地の市区町村の国民健康保険担当窓口や、国民健康保険税の納税相談窓口などへ相談しましょう。所得や離職の状況、納付が難しい理由などを整理しておくと、利用できる制度を確認しやすくなります。
まとめ|保険料は国民健康保険法、保険税は地方税法に基づく
「国民健康保険料」と「国民健康保険税」は、どちらも国民健康保険の運営に必要な費用を加入者に負担してもらうための仕組みですが、徴収の根拠となる法律が異なります。
- 国民健康保険料:国民健康保険法に基づいて徴収する。徴収権の消滅時効は原則2年で、過去にさかのぼる賦課は原則最大2年。
- 国民健康保険税:地方税法に基づいて地方税として徴収する。徴収権の消滅時効は原則5年で、過去にさかのぼる賦課は原則最大3年度分。
- 共通点:どちらも国民健康保険の費用に充てられ、前年所得や加入者数などを基に計算する。所定の条件の下で社会保険料控除の対象になる。
特に重要なのは、徴収権の消滅時効と、過去にさかのぼって賦課できる期間を区別することです。
また、保険料方式と保険税方式のどちらを採用しているかによって、医療機関で受けられる保険給付が自動的に変わるわけではありません。
納付通知書が届いた際には、徴収方式だけでなく、対象年度、算定に使用された前年所得、加入者数、納期限、適用されている軽減制度などを確認しましょう。
参考資料・出典
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厚生労働省|国民健康保険の保険料・保険税について
保険料・保険税の算定方法、軽減制度、減免、納付猶予などについて確認できます。
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長崎市|国民健康保険税
国民健康保険料と国民健康保険税の違い、徴収権の消滅時効、遡及賦課期間、納付回数などを比較できます。
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相馬市|国民健康保険税の仕組み
保険料方式と保険税方式の法的な違い、徴収権の時効、還付請求権や徴収順位などを確認できます。
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国税庁|No.1130 社会保険料控除
国民健康保険料と国民健康保険税の両方が社会保険料控除の対象になることや、控除額の基本的な考え方を確認できます。
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e-Gov法令検索|国民健康保険法
保険料の徴収、徴収権の時効、賦課決定の期間制限などの根拠法令を確認できます。
