「国民健康保険の軽減」と「減免」の違いとは?7割・5割・2割軽減、失業時の特例、申請方法を解説

「退職して収入が減ったら、国民健康保険料も安くなる?」「国民健康保険の7割軽減と減免は何が違う?」「自己都合退職でも減免を受けられる?」など、国民健康保険の負担について調べていると、「軽減」と「減免」という言葉が登場します。

どちらも保険料・税の負担を抑える制度ですが、対象者や適用条件、申請方法、計算の仕組みなどが異なります。

結論からいうと、「軽減」は主に法令で定められた所得基準や離職理由などに応じて保険料・税の一部を減らす仕組み、「減免」は災害や失業、所得の急減などの特別な事情に応じて、自治体の条例などに基づき負担を減らしたり免除したりする仕組みです。

例えば、前年の世帯所得が一定の基準以下であれば、原則として国民健康保険料・税の均等割や平等割が7割・5割・2割軽減されます。

一方、前年は十分な所得があったものの、今年になって事業を廃止したり、病気で働けなくなったりして収入が大幅に減少した場合は、自治体独自の減免制度が関係することがあります。

また、倒産や解雇などによる非自発的失業者には、前年の給与所得を30%とみなして保険料・税を計算する特例があります。

この記事では、軽減と減免の違いを比較表で整理し、2026年度の7割・5割・2割軽減の基準、失業時の特例、自己都合退職、未就学児や産前産後の負担軽減、申請方法、納付が難しい場合の対処法まで詳しく解説します。

  1. 「国民健康保険の軽減」と「減免」の違い【結論】
  2. 【徹底比較】「軽減」と「減免」の違いを比較表で整理
  3. 「軽減」とは?代表的な3つの制度
    1. 1. 低所得世帯に対する7割・5割・2割軽減
    2. 2. 非自発的失業者に対する軽減
    3. 3. 未就学児の均等割軽減
  4. 【2026年度】7割・5割・2割軽減の所得基準
    1. 一人暮らしの場合の基準額
    2. 夫婦2人で国民健康保険に加入している場合
    3. 低所得世帯の法定軽減は原則として申請不要
  5. 非自発的失業者の軽減は、自己都合退職でも使える?
    1. 対象となるのは、所定の離職理由コードに該当する人
    2. 軽減期間は、離職日の翌日が属する月から翌年度末まで
    3. 雇用保険受給資格者証などを用意して申請する
  6. 「減免」とは?災害・失業・所得急減などに対する制度
    1. 特別な事情で保険料・税の納付が難しい場合に関係する
    2. 災害によって住宅や家財に大きな損害を受けた場合
    3. 事業の廃止や疾病で所得が大幅に減少した場合
    4. 一般的な自己都合退職でも減免の対象になる可能性がある
  7. 【計算例】7割軽減なら年間保険料はいくら減る?
  8. 【計算例】失業者の軽減で給与所得300万円はどう扱われる?
  9. 【2026年度】前年は低所得、今年は失業した場合、軽減と減免は両方受けられる?
  10. 産前産後の国民健康保険料は免除される?
    1. 原則として出産予定月の前月から4か月分
    2. 届出方法は自治体へ確認する
  11. 軽減と減免の申請方法はどう違う?
    1. 低所得世帯の法定軽減は、所得の申告が重要
    2. 非自発的失業者の軽減は、原則として申請が必要
    3. 自治体の減免は、所得減少などを示す資料が必要
  12. 減免制度は自治体によって異なる?
  13. 【実践】場面別に「軽減」と「減免」を使い分ける
    1. 場面1:前年の所得が少ない世帯
    2. 場面2:会社の倒産や解雇によって失業した
    3. 場面3:自己都合退職後に収入が大幅に減少した
    4. 場面4:台風で自宅が大きな被害を受けた
    5. 場面5:未就学児がいる世帯
  14. 納付が難しい場合、軽減・減免以外の方法はある?
  15. 申請前に確認したい5つのポイント
    1. 1. どの軽減制度が適用されているか
    2. 2. 前年の所得と今年の見込所得を整理する
    3. 3. 離職理由コードを確認する
    4. 4. 必要書類と申請期限を確認する
    5. 5. 保険料・税を納付できない場合は相談する
  16. 「軽減」「減免」と似た言葉の違い
    1. 「免除」との違い
    2. 「減額」との違い
    3. 「徴収猶予」との違い
    4. 「分割納付」との違い
  17. 「軽減」と「減免」の3秒判定
  18. よくある間違いと注意点
    1. 「7割軽減なら、年間保険料が必ず7割減る」は誤り
    2. 「退職すれば誰でも失業者の軽減を受けられる」は誤り
    3. 「軽減はすべて申請不要」は誤り
    4. 「減免は全国どの自治体でも同じ条件で受けられる」は誤り
    5. 「所得がゼロなら、申告しなくても必ず軽減される」は誤り
    6. 「減免の申請をすれば、既に納期限を過ぎた分も必ず減る」は誤り
  19. 「軽減」と「減免」の例文12選
    1. 「軽減」を使った例文
    2. 「減免」を使った例文
  20. FAQ|国民健康保険の軽減と減免のよくある質問
    1. Q1. 軽減と減免の最も大きな違いは何ですか?
    2. Q2. 国民健康保険の7割軽減を受けるには、申請が必要ですか?
    3. Q3. 2026年度の7割・5割・2割軽減の所得基準はいくらですか?
    4. Q4. 自己都合退職でも国民健康保険料は安くなりますか?
    5. Q5. 会社都合退職では、どのような軽減がありますか?
    6. Q6. 失業者の軽減は何年間受けられますか?
    7. Q7. 病気で働けなくなった場合も減免されますか?
    8. Q8. 災害で自宅が被害を受けた場合は?
    9. Q9. 軽減と減免を両方受けられますか?
    10. Q10. 未就学児がいる場合、軽減を受けられますか?
    11. Q11. 減免の申請期限を過ぎた場合はどうなりますか?
    12. Q12. 保険料・税の納付が難しい場合は、どこに相談すればよいですか?
  21. まとめ|軽減は所定の基準、減免は特別な事情による負担軽減
  22. 参考資料・出典

「国民健康保険の軽減」と「減免」の違い【結論】

国民健康保険の軽減と減免を区別する際は、「あらかじめ定められた所得基準などに基づく制度」なのか、「特別な事情による個別の負担軽減」なのかに注目しましょう。

  • 軽減:前年の所得が一定基準以下の世帯や、所定の離職理由に該当する人などについて、法令で定められた条件に基づき保険料・税を軽くする制度。
  • 減免:災害や失業、事業の廃止、疾病による収入の急減など、特別な事情によって納付が困難な場合に、自治体の条例などに基づき保険料・税を減額または免除する制度。

ただし、「軽減」という名称の制度がすべて申請不要というわけではありません。また、「減免」についても、どの自治体でも同じ条件で利用できるわけではありません。

実際に受けられる制度は、所得状況、離職理由、世帯構成、居住する自治体などによって異なります。

【徹底比較】「軽減」と「減免」の違いを比較表で整理

比較項目 軽減 減免
基本的な意味 所定の基準に該当する場合に、保険料・税の一部を減らす 特別な事情に応じて、保険料・税を減額または免除する
代表的な制度 低所得世帯の7割・5割・2割軽減、非自発的失業者への軽減など 災害、事業廃止、疾病、所得急減などによる自治体の減免
主な判断基準 前年の世帯所得、加入者数、離職理由など 災害による損害や所得の減少率、生活状況など
減額の対象 制度によって均等割・平等割、給与所得の算定額など 自治体の条例などによって所得割・均等割など
申請の要否 低所得世帯の法定軽減は原則申請不要。失業者の特例は申請が必要 原則として申請が必要な場合が多い
減額割合 制度で定められた割合など 自治体が定める基準による
所得の申告 必要。未申告者がいると適用されない場合がある 所得や減少見込みなどを示す資料が必要になる場合がある
相談先 住所地の市区町村の国民健康保険担当窓口

なお、自治体によっては、法令上の軽減措置を「減額」と表記したり、複数の負担軽減制度をまとめて「軽減・減免」と案内したりすることがあります。

名称だけで判断せず、どの制度の適用を受けるのかを確認することが重要です。

「軽減」とは?代表的な3つの制度

1. 低所得世帯に対する7割・5割・2割軽減

国民健康保険では、前年の世帯所得が一定の基準以下の場合、均等割や平等割について、7割・5割・2割の軽減が適用されます。

例えば、所得が少ない一人暮らしの世帯では、基準に該当すれば均等割が7割軽減されることがあります。

ただし、7割軽減とは、年間の国民健康保険料・税の総額が必ず7割減るという意味ではありません。

通常、法定軽減の対象となるのは均等割や平等割であり、所得割などには別の計算が適用されます。

2. 非自発的失業者に対する軽減

倒産や解雇、一定の雇止めなどによって離職した人については、所定の条件を満たす場合、国民健康保険料・税の特例的な軽減を受けられます。

この制度では、対象となる人の前年の給与所得を30%とみなして、保険料・税を計算します。

例えば、前年の給与所得が300万円だった人が対象になった場合、軽減の計算では、その給与所得を90万円とみなします。

ただし、給与収入を30%にするのではなく、所定の給与所得を30%とみなす制度です。また、保険料・税の請求額が必ず70%減るわけではありません。

3. 未就学児の均等割軽減

子育て世帯の負担を軽くするため、未就学児に係る国民健康保険料・税の均等割を5割軽減する制度があります。

2022年4月から始まった全国共通の制度で、所定の条件に該当する未就学児が対象です。

例えば、均等割について7割の法定軽減が適用されている世帯では、まず7割軽減した後の未就学児の均等割額について、さらに5割軽減されます。

そのため、もともとの均等割額から計算すると、未就学児分は合計で8割5分の軽減となります。

【2026年度】7割・5割・2割軽減の所得基準

2026年度は、国民健康保険料・税の低所得世帯に対する軽減判定基準が見直されています。

以下は、2026年度の基本的な基準です。

軽減割合 軽減判定所得の基準額
7割 43万円+10万円×(給与所得者等の数-1)
5割 43万円+31万円×被保険者等の数+10万円×(給与所得者等の数-1)
2割 43万円+57万円×被保険者等の数+10万円×(給与所得者等の数-1)

ここでいう「被保険者等の数」には、国民健康保険の加入者のほか、所定の特定同一世帯所属者を含みます。

また、給与所得者等が1人以下の場合、10万円を掛ける部分は加算しません。

実際の判定では、国民健康保険に加入していない世帯主の所得も含まれる場合があります。公的年金所得や事業所得などについても、所定の計算上の取り扱いがあります。

一人暮らしの場合の基準額

例えば、給与所得者等が1人以下で、国民健康保険の加入者が1人の場合です。

軽減割合 2026年度の軽減判定所得の基準額
7割 43万円以下
5割 74万円以下
2割 100万円以下

ただし、ここに示した金額は軽減判定に用いる所得の基準額です。給与収入や年金収入そのものの金額ではありません。

夫婦2人で国民健康保険に加入している場合

給与所得者等が1人以下で、国民健康保険の加入者が2人の場合、2026年度の基準額は次のとおりです。

軽減割合 軽減判定所得の基準額
7割 43万円以下
5割 105万円以下
2割 157万円以下

所得や家族構成が同じでも、世帯主の加入状況や給与所得者等の人数によって判定額が変わる場合があります。

低所得世帯の法定軽減は原則として申請不要

7割・5割・2割の法定軽減は、原則として自治体が申告された所得情報などを基に判定します。

そのため、通常は別途軽減申請を行う必要はありません。

ただし、世帯内に所得未申告の人がいる場合は、軽減が適用されないことがあります。

前年の収入がゼロであっても、住民税の申告などが必要になる場合があるため、自治体の案内を確認しましょう。

非自発的失業者の軽減は、自己都合退職でも使える?

対象となるのは、所定の離職理由コードに該当する人

非自発的失業者に対する軽減では、離職時の年齢が65歳未満であることや、雇用保険の受給資格があることなどが必要です。

対象となる代表的な離職理由コードは、次のとおりです。

区分 対象となる離職理由コード
特定受給資格者 11・12・21・22・31・32
特定理由離職者 23・33・34

例えば、会社の倒産や解雇のほか、一定の雇止めや正当な理由のある自己都合退職なども、対象となる場合があります。

したがって、形式上は自己都合退職であっても、離職理由コードによっては軽減対象になることがあります。

一方、正当な理由のない一般的な自己都合退職については、通常、この軽減の対象にはなりません。

軽減期間は、離職日の翌日が属する月から翌年度末まで

非自発的失業者に対する軽減の対象期間は、原則として、離職日の翌日が属する月から翌年度末までです。

例えば、2026年9月30日に離職した場合は、原則として2026年10月から2028年3月までが軽減対象期間になります。

ただし、対象期間内に国民健康保険を脱退した場合は、原則としてその時点で軽減が終了します。

また、再び国民健康保険へ加入した場合は、所定の条件を満たせば、残りの期間について軽減を受けられる場合があります。

雇用保険受給資格者証などを用意して申請する

非自発的失業者の軽減では、通常、自治体への申請が必要です。

申請時には、ハローワークから交付される雇用保険受給資格者証や雇用保険受給資格通知などを使用します。

離職理由コードを確認し、対象となる場合は、住所地の市区町村へ申請方法を問い合わせましょう。

書類の記載内容を確かめることと、複数の資料を照らし合わせて正確性を調べることの違いについては、「確認」と「検証」の違いも参考になります。

「減免」とは?災害・失業・所得急減などに対する制度

特別な事情で保険料・税の納付が難しい場合に関係する

国民健康保険の減免は、災害や事業の廃止、疾病などの特別な事情によって、保険料・税を納めることが難しくなった場合に関係する制度です。

具体的な対象者や減免割合、必要書類、申請期限などは、自治体の条例や運用によって異なります。

例えば、前年は会社員として一定の所得があったものの、今年になって重い病気で働けなくなり、世帯の所得が大幅に減った場合です。

このような状況では、前年所得だけで算定される通常の保険料・税の負担が重くなることがあります。

そのため、自治体の所得急減による減免制度が利用できないか確認することが重要です。

災害によって住宅や家財に大きな損害を受けた場合

地震や台風、火災などによって住宅や家財に大きな損害を受けた場合、自治体が定める条件に該当すれば、国民健康保険料・税の減免を受けられることがあります。

ただし、損害が発生すれば無条件に全額免除されるわけではありません。

災害の種類や損害の程度、所得、加入期間などによって判断されます。

事業の廃止や疾病で所得が大幅に減少した場合

自営業者が事業を廃止した場合や、病気などで働けなくなった場合にも、自治体によっては減免制度があります。

例えば、さいたま市では、事業の廃止や疾病などによって世帯所得が大きく減少した場合、所定の条件に応じて所得割を減額する制度が設けられています。

ただし、前年所得や今年の見込所得、所得の減少率などについて条件があります。

また、非自発的失業者への軽減を受けている人については、別の所得急減減免の対象外となる場合もあります。

一般的な自己都合退職でも減免の対象になる可能性がある

正当な理由のない一般的な自己都合退職では、原則として非自発的失業者への軽減は受けられません。

しかし、退職後に収入が大幅に減少し、国民健康保険料・税の納付が困難になった場合は、自治体の減免制度が関係することがあります。

例えば、退職後に病気を発症して就職が難しくなり、世帯の所得が急減した場合です。

ただし、単に自己都合退職したという理由だけで、必ず減免されるわけではありません。自治体が定める減免条件を満たす必要があります。

【計算例】7割軽減なら年間保険料はいくら減る?

ここでは、法定軽減の計算の仕組みを理解するため、架空の数字を使用します。

例えば、年間の国民健康保険料・税の内訳が次のようになっている場合です。

項目 軽減前の金額
所得割 60,000円
均等割 50,000円
平等割 30,000円
合計 140,000円

仮に均等割と平等割の合計8万円に、7割軽減が適用された場合を考えます。

80,000円×70%=56,000円

この場合、軽減額は5万6,000円です。

所得割がそのままであれば、軽減後の年間保険料・税は8万4,000円になります。

項目 金額
軽減前の年間保険料・税 140,000円
7割軽減の対象となる部分 80,000円
軽減額 56,000円
軽減後の年間保険料・税 84,000円

このように、7割軽減の対象となっても、年間の保険料・税の総額がそのまま7割減るわけではありません。

また、自治体によっては平等割を設けていない場合があり、実際の計算は各自治体の料率・税率や軽減制度によって異なります。

【計算例】失業者の軽減で給与所得300万円はどう扱われる?

非自発的失業者への軽減では、対象となる人の前年の給与所得を30%とみなします。

例えば、軽減前の前年給与所得が300万円だった場合です。

項目 金額
軽減前の前年給与所得 3,000,000円
軽減の計算に用いる割合 30%
軽減後のみなし給与所得 900,000円

この例では、対象となる給与所得を90万円として、国民健康保険料・税を計算します。

ただし、実際の保険料・税は、給与所得以外の所得やほかの世帯員の所得、加入者数、自治体の料率・税率などによって決まります。

また、給与収入と給与所得は異なります。源泉徴収票に記載される給与収入を、そのまま30%にする制度ではありません。

【2026年度】前年は低所得、今年は失業した場合、軽減と減免は両方受けられる?

前年の所得が少ない世帯が、今年さらに収入を失った場合には、複数の制度が関係することがあります。

例えば、前年所得に応じた法定軽減と、自治体の所得急減減免です。

しかし、両方の条件に該当しているように見えても、必ず重複して適用できるとは限りません。

自治体によっては、法定軽減の対象世帯や非自発的失業者の軽減対象世帯を、特定の減免制度の対象外としている場合があります。

また、減免額を計算する順序や、対象となる保険料・税の部分なども異なる場合があります。

そのため、納付通知書に既に適用されている軽減額を確認したうえで、追加の減免を申請できるか、市区町村へ問い合わせましょう。

産前産後の国民健康保険料は免除される?

国民健康保険には、出産する被保険者の産前産後期間に係る保険料・税の負担軽減制度があります。

2024年1月から始まった制度で、出産する被保険者について、所定の期間に相当する所得割と均等割が減額されます。

原則として出産予定月の前月から4か月分

単胎妊娠の場合、原則として出産予定月の前月から、出産予定月の翌々月までの4か月間が対象です。

多胎妊娠の場合は、原則として出産予定月の3か月前から6か月間が対象です。

対象となるのは、出産する被保険者本人に係る所定の所得割額と均等割額です。

家族全員の年間保険料・税が、無条件に全額免除されるわけではありません。

届出方法は自治体へ確認する

産前産後の保険料・税の負担軽減については、自治体への届出などが必要になる場合があります。

母子健康手帳など、出産予定日や出産日を確認できる書類の提出が必要になることもあります。

具体的な手続きは、お住まいの市区町村へ確認しましょう。

軽減と減免の申請方法はどう違う?

低所得世帯の法定軽減は、所得の申告が重要

7割・5割・2割の法定軽減は、原則として、自治体が把握している所得情報を基に判定します。

そのため、通常は軽減を受けるための特別な申請は不要です。

ただし、前年所得が未申告の場合は、収入がゼロであっても申告が必要になることがあります。

非自発的失業者の軽減は、原則として申請が必要

倒産や解雇などによる軽減を受ける場合は、通常、雇用保険受給資格者証や雇用保険受給資格通知などを用意して申請します。

離職理由コードと離職時の年齢などを確認し、市区町村の担当窓口へ提出しましょう。

自治体の減免は、所得減少などを示す資料が必要

災害や所得の急減などによる減免を申請する場合は、その事情を証明する資料が必要になることがあります。

例えば、退職証明書、給与明細、所得見込額の申告書、診断書、罹災証明書などです。

必要書類や申請期限は、減免の理由や自治体の制度によって異なります。

また、申請前に納期限を過ぎた分については、減免が適用されない場合もあります。

減免制度は自治体によって異なる?

国民健康保険の減免については、国民健康保険法などを根拠として、自治体の条例によって具体的な基準が定められています。

そのため、ある自治体では所得の減少率が一定以上であれば減免対象になる一方、別の自治体では、前年所得や預貯金額などについて異なる条件が設けられている場合があります。

例えば、さいたま市では、事業の廃止や病気などによって世帯所得が著しく減少した場合、所定の条件に応じて所得割を減額する制度があります。

ただし、その基準や減免割合が、全国の自治体にそのまま適用されるわけではありません。

また、所得基準や軽減割合は年度ごとに見直される場合があります。

以前の年度の制度を参照する際には、現在適用される条件と区別する必要があります。制度の内容が変わる際の用語については、「変更」と「修正」の違いも参考になります。

【実践】場面別に「軽減」と「減免」を使い分ける

場面1:前年の所得が少ない世帯

前年の世帯所得が所定の基準以下だった場合は、7割・5割・2割の法定軽減が関係します。

原則として、自治体が所得情報などに基づいて軽減割合を判定します。

ただし、所得が未申告の場合は、軽減が適用されないことがあるため注意しましょう。

場面2:会社の倒産や解雇によって失業した

倒産や解雇などによって離職し、所定の離職理由コードに該当する場合は、非自発的失業者への軽減が関係します。

例えば、前年の給与所得を30%とみなして、国民健康保険料・税を計算します。

受給資格者証などを用意し、自治体へ申請しましょう。

場面3:自己都合退職後に収入が大幅に減少した

一般的な自己都合退職では、非自発的失業者への軽減の対象にならないことがあります。

しかし、退職後に所得が大幅に減少して納付が難しくなった場合は、自治体の所得急減減免が関係する可能性があります。

具体的な条件は、住所地の市区町村へ確認しましょう。

場面4:台風で自宅が大きな被害を受けた

台風や地震などによって住宅などに大きな損害を受けた場合は、災害による減免制度が関係することがあります。

自治体が定める損害の程度や所得条件、申請期限などを確認する必要があります。

場面5:未就学児がいる世帯

未就学児に係る均等割については、原則として5割軽減が適用されます。

さらに、前年の世帯所得が所定の基準以下であれば、7割・5割・2割の法定軽減も関係します。

ただし、両方の軽減を単純に足し算するわけではありません。法定軽減が適用された後の未就学児の均等割額を、さらに5割軽減する仕組みです。

納付が難しい場合、軽減・減免以外の方法はある?

国民健康保険料・税の納付が難しい場合は、軽減や減免だけでなく、徴収猶予や分割納付などの相談ができる場合があります。

ただし、納付相談を行ったという理由だけで、保険料・税が自動的に減額されるわけではありません。

また、分割納付は、原則として納付する金額を複数回に分ける方法であり、減免とは異なります。

例えば、年間12万円の保険料・税が残っている場合、自治体との相談によって、納付する金額を複数回に分けることがあります。

しかし、分割納付を認められたからといって、12万円の納付義務そのものが減るわけではありません。

納付期限が近づいている場合や、すでに滞納している場合は、自治体の担当窓口へ早めに相談しましょう。

申請前に確認したい5つのポイント

1. どの軽減制度が適用されているか

まず、自治体から届いた納付通知書を確認しましょう。

低所得世帯に対する法定軽減が既に適用されている場合もあります。

一方、非自発的失業者への軽減は、別途申請が必要な場合があります。

2. 前年の所得と今年の見込所得を整理する

低所得世帯の法定軽減は、原則として前年所得に基づいて判定します。

一方、所得急減による減免では、今年の見込所得などが関係する場合があります。

前年の確定申告書や源泉徴収票、今年の給与明細などを整理しておくとよいでしょう。

3. 離職理由コードを確認する

失業による軽減を申請する場合は、雇用保険受給資格者証や雇用保険受給資格通知の離職理由コードを確認しましょう。

一般的な自己都合退職であっても、病気や介護など、正当な理由があると認められる場合には、対象となるコードが付されることがあります。

4. 必要書類と申請期限を確認する

減免の申請では、理由によって必要書類が異なります。

例えば、事業の廃止による所得急減、病気による所得の減少、災害による住宅の損害などでは、それぞれ必要な証明資料が異なる場合があります。

申請期限を過ぎると、減免の対象となる納期が限られる場合もあるため、事前に確認しましょう。

5. 保険料・税を納付できない場合は相談する

軽減や減免の対象にならない場合でも、保険料・税の納付が難しい事情があるなら、自治体へ相談することが重要です。

例えば、納付方法についての相談や、所定の徴収猶予などが関係する場合があります。

問題が発生した際に必要な行動を考える際には、「対応」と「対処」の違いも参考になります。

「軽減」「減免」と似た言葉の違い

「免除」との違い

免除は、所定の条件に該当することで、対象となる負担の全部または一部を支払わなくてよくする仕組みです。

例えば、国民健康保険では、出産する被保険者の産前産後期間に係る所定の所得割と均等割について、免除に相当する負担軽減措置があります。

ただし、制度の名称や対象となる金額は異なるため、免除という言葉だけで負担額がすべてゼロになると考えないようにしましょう。

「減額」との違い

減額は、金額を減らすことを広く表す言葉です。

一方、国民健康保険の軽減や減免は、それぞれ法令や自治体の条例などに基づく具体的な制度を指すことがあります。

そのため、納付通知書に減額と記載されている場合は、どの制度によって金額が減ったのか確認することが重要です。

「徴収猶予」との違い

徴収猶予は、所定の事情がある場合に、保険料・税を徴収する時期を猶予する仕組みです。

一方、軽減や減免は、所定の条件に基づいて負担額そのものを減らす制度です。

徴収猶予を受けたからといって、納付義務のある金額が必ず減るわけではありません。

「分割納付」との違い

分割納付は、納付する金額を複数回に分けて支払う方法です。

例えば、一度に納付することが難しい場合に、自治体へ相談する方法があります。

一方、軽減や減免は、制度上の条件に該当することで、納付する金額そのものを減らす仕組みです。

「軽減」と「減免」の3秒判定

状況 主に関係する制度
前年の世帯所得が所定の基準以下 7割・5割・2割の法定軽減
倒産や解雇などによって失業した 非自発的失業者に対する軽減
未就学児が国民健康保険に加入している 未就学児の均等割軽減
災害で住宅などに大きな損害を受けた 自治体の災害減免が関係する場合がある
事業の廃止や疾病によって所得が大幅に減少した 自治体の所得急減減免が関係する場合がある
保険料・税の支払いを一時的に待ってもらいたい 徴収猶予など
納付する金額を複数回に分けたい 分割納付の相談

ただし、実際に利用できる制度は、所得状況や離職理由、自治体の条例などによって異なります。

よくある間違いと注意点

「7割軽減なら、年間保険料が必ず7割減る」は誤り

7割・5割・2割の法定軽減は、原則として均等割や平等割を対象とする制度です。

そのため、年間の保険料・税の総額が、必ず同じ割合で減るわけではありません。

「退職すれば誰でも失業者の軽減を受けられる」は誤り

非自発的失業者への軽減には、離職時の年齢や雇用保険の受給資格、離職理由コードなどの条件があります。

一般的な自己都合退職では、通常、この制度の対象にはなりません。

「軽減はすべて申請不要」は誤り

低所得世帯の法定軽減は、原則として申請不要です。

一方、非自発的失業者への軽減は、原則として申請が必要です。

「減免は全国どの自治体でも同じ条件で受けられる」は誤り

減免の対象となる事情や所得基準、減免割合、申請期限などは、自治体の条例や制度によって異なります。

「所得がゼロなら、申告しなくても必ず軽減される」は誤り

前年の所得が未申告の場合、法定軽減を受けられないことがあります。

収入がない場合でも、必要に応じて所得申告を行いましょう。

「減免の申請をすれば、既に納期限を過ぎた分も必ず減る」は誤り

自治体によっては、減免の対象となる納期が申請日以後に限られる場合があります。

実際にどの期間が対象になるかは、制度ごとの条件を確認する必要があります。

「軽減」と「減免」の例文12選

「軽減」を使った例文

  1. 前年所得が少なかったため、国民健康保険料の7割軽減が適用された。
  2. 会社の倒産で失業したため、非自発的失業者の軽減制度を申請した。
  3. 未就学児の均等割について、5割軽減が適用された。
  4. 国民健康保険税の軽減基準を、市役所の公式サイトで確認した。
  5. 軽減を受けるため、未申告だった前年の所得について申告した。
  6. 2026年度の軽減判定所得の基準額を確認した。

「減免」を使った例文

  1. 病気によって収入が大きく減ったため、国民健康保険料の減免を相談した。
  2. 災害で住宅が被害を受けたため、保険税の減免を申請した。
  3. 事業の廃止による所得減少について、減免制度の対象になるか問い合わせた。
  4. 国民健康保険税の減免に必要な書類を準備した。
  5. 減免の申請期限を確認し、納期限前に手続きを行った。
  6. 自治体の条例に基づき、所得割の一部が減免された。

FAQ|国民健康保険の軽減と減免のよくある質問

Q1. 軽減と減免の最も大きな違いは何ですか?

軽減は、主に法令で定められた所得基準や離職理由などに基づく制度です。一方、減免は、災害や所得急減などの特別な事情に応じて、自治体の条例などに基づき負担を減らしたり免除したりする制度です。

Q2. 国民健康保険の7割軽減を受けるには、申請が必要ですか?

原則として特別な申請は不要です。ただし、世帯内に前年所得が未申告の人がいる場合は、軽減が適用されないことがあります。収入がない場合でも、必要な所得申告を行いましょう。

Q3. 2026年度の7割・5割・2割軽減の所得基準はいくらですか?

基本的には、7割が43万円、5割が43万円に被保険者等1人当たり31万円を加えた額、2割が43万円に同57万円を加えた額です。給与所得者等が複数いる場合などには、所定の加算があります。

Q4. 自己都合退職でも国民健康保険料は安くなりますか?

前年の所得が低ければ法定軽減の対象となる場合があります。また、退職後に所得が大幅に減り、自治体が定める条件を満たせば、所得急減などの減免制度を利用できる場合があります。

Q5. 会社都合退職では、どのような軽減がありますか?

倒産や解雇などによって離職し、所定の条件を満たす場合、非自発的失業者への軽減を受けられます。対象者の前年の給与所得を30%とみなして、国民健康保険料・税を計算する制度です。

Q6. 失業者の軽減は何年間受けられますか?

原則として、離職日の翌日が属する月から翌年度末までが軽減対象期間です。ただし、対象期間中に国民健康保険を脱退した場合などは、取り扱いが異なります。

Q7. 病気で働けなくなった場合も減免されますか?

自治体によっては、疾病などによって所得が大幅に減少した場合の減免制度があります。ただし、所得の減少率や前年所得、今年の見込所得など、所定の条件を満たす必要があります。

Q8. 災害で自宅が被害を受けた場合は?

自治体の条例などに基づき、国民健康保険料・税の減免を受けられる場合があります。損害の程度や申請期限、必要書類について、住所地の市区町村へ確認しましょう。

Q9. 軽減と減免を両方受けられますか?

制度や自治体によって異なります。法定軽減が適用されている場合でも、別の減免制度が関係することがあります。ただし、重複適用できない制度もあるため、市区町村へ確認しましょう。

Q10. 未就学児がいる場合、軽減を受けられますか?

原則として、未就学児に係る国民健康保険料・税の均等割について、5割軽減が適用されます。所得に応じた7割・5割・2割軽減の対象となる場合は、その軽減後の未就学児の均等割額を、さらに5割軽減します。

Q11. 減免の申請期限を過ぎた場合はどうなりますか?

自治体や減免の種類によって異なります。申請期限を過ぎると、減免を受けられない場合や、申請日以後の納期分だけが対象となる場合があります。早めに市区町村へ相談しましょう。

Q12. 保険料・税の納付が難しい場合は、どこに相談すればよいですか?

住所地の市区町村の国民健康保険担当窓口へ相談しましょう。軽減や減免の対象にならない場合でも、分割納付や徴収猶予などについて相談できる場合があります。

まとめ|軽減は所定の基準、減免は特別な事情による負担軽減

「国民健康保険の軽減」と「減免」は、どちらも保険料・税の負担を抑えるための制度ですが、対象者や判断基準、申請方法などが異なります。

  • 軽減:主に前年所得や離職理由など、所定の基準に基づいて保険料・税を減らす制度。7割・5割・2割の法定軽減や、非自発的失業者への軽減などがある。
  • 減免:災害、事業の廃止、疾病、所得急減など、特別な事情によって納付が難しい場合に、自治体の条例などに基づいて減額または免除する制度。
  • 2026年度の注意点:7割・5割・2割の軽減判定所得の基準が見直されているため、対象となる年度の基準を確認する必要がある。

特に重要なのは、低所得世帯への法定軽減が原則申請不要である一方、非自発的失業者の軽減や、自治体の減免では申請が必要になる場合があることです。

また、自治体によって減免の条件や申請期限が異なるため、退職や疾病などで収入が大幅に減った場合は、納付期限が来る前に住所地の市区町村へ相談しましょう。

参考資料・出典

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