「要支援と要介護は何が違う?」「要支援2と要介護1では、受けられるサービスが変わる?」「親が一人で歩けなくなってきたけれど、介護認定を受けたほうがいい?」など、高齢の家族の介護について考え始めると、さまざまな疑問が生じます。
介護保険のサービスを利用するうえで、基本となるのが「要支援」と「要介護」という二つの区分です。
どちらも、日常生活で支援や介護が必要になった人について、市区町村が認定するものですが、心身の状態や必要な介護の程度、利用できるサービスなどが異なります。
結論からいうと、「要支援」は日常生活の一部に支援が必要で、介護予防による状態の維持・改善が期待される状態、「要介護」は日常生活で継続的な介護が必要な状態です。
要支援は1・2の2段階、要介護は1~5の5段階に分かれます。
ただし、要支援2と要介護1は、介護の必要度を判定する際の基準時間が共通しています。両者を区別する際には、認知機能の低下や、状態の安定性なども考慮されます。
また、要支援だから必ず介護保険サービスを利用できないわけではありません。訪問看護や福祉用具貸与など、要支援の人が利用できる介護予防サービスもあります。
この記事では、要支援と要介護の違いを比較表で整理し、7段階の認定基準、要支援2と要介護1の違い、受けられるサービス、支給限度額、認定申請、区分変更の方法まで、具体例を交えて詳しく解説します。
- 「要支援」と「要介護」の違い【結論】
- 【徹底比較】「要支援」と「要介護」の違いを比較表で整理
- 「要支援」とは?要支援1・2の状態と特徴
- 「要介護」とは?要介護1~5の状態と特徴
- 【一覧表】要支援1から要介護5までの認定基準
- なぜ「要支援2」と「要介護1」は同じ基準時間なのに区分が違う?
- 要支援と要介護では、受けられるサービスがどう違う?
- 特別養護老人ホームは、要支援でも入所できる?
- 要支援と要介護では、ケアプランの相談先も違う
- 【一覧表】要支援・要介護の支給限度基準額
- 【計算例】要支援2と要介護1では、利用できるサービス量がどれくらい違う?
- 要支援・要介護の認定は、どのように決まる?
- 要支援から要介護へ変わった場合は、どうすればよい?
- 認定の有効期間と更新手続きは?
- 【実践】場面別に「要支援」と「要介護」を考える
- 「要支援」「要介護」と似た言葉の違い
- 認定申請前に確認したい5つのポイント
- 「要支援」と「要介護」の3秒判定
- よくある間違いと注意点
- 「要支援」と「要介護」の例文12選
- FAQ|「要支援」と「要介護」のよくある質問
- Q1. 要支援と要介護の最も大きな違いは何ですか?
- Q2. 要支援と要介護は、それぞれ何段階ありますか?
- Q3. 要支援2と要介護1は、何が違いますか?
- Q4. 要支援でも訪問介護やデイサービスを利用できますか?
- Q5. 要支援でも介護予防訪問看護を利用できますか?
- Q6. 要支援でも特別養護老人ホームへ入所できますか?
- Q7. 要介護認定の申請はどこで行いますか?
- Q8. 申請から認定結果が届くまで、どのくらいかかりますか?
- Q9. 要支援から要介護に変わったら、ケアマネジャーも変わりますか?
- Q10. 認定の有効期間中でも、区分変更を申請できますか?
- Q11. 支給限度基準額を超えて介護サービスを利用できますか?
- Q12. 認定結果に納得できない場合は、どうすればよいですか?
- まとめ|要支援は介護予防、要介護は継続的な介護の必要度で区分される
- 参考資料・出典
「要支援」と「要介護」の違い【結論】
要支援と要介護を区別するうえで重要なのは、日常生活で必要となる支援・介護の程度と、心身の状態の維持・改善可能性です。
- 要支援:日常生活の基本的な動作はおおむね自分で行えるものの、家事や身支度などの一部に支援が必要で、介護予防による状態の維持・改善が期待される状態。
- 要介護:身体機能や認知機能などの低下によって、日常生活で継続的な介護が必要となる状態。
例えば、身の回りのことは自分でできるものの、買い物や掃除などに支援が必要になった場合、要支援の認定を受けることがあります。
一方、食事や排せつ、入浴、移動などについて、継続的な介護が必要になった場合は、要介護の認定を受けることがあります。
ただし、具体的な認定区分は、本人の病名や歩行能力だけで決まるわけではありません。認定調査、主治医意見書、介護認定審査会による審査などを経て決定されます。
【徹底比較】「要支援」と「要介護」の違いを比較表で整理
| 比較項目 | 要支援 | 要介護 |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | 日常生活の一部に支援が必要な状態 | 日常生活で継続的な介護が必要な状態 |
| 認定区分 | 要支援1・2 | 要介護1~5 |
| 介護保険の主な給付 | 予防給付 | 介護給付 |
| サービスの主な目的 | 生活機能の維持・改善、要介護状態への進行予防 | 必要な介護を受けながら日常生活を維持する |
| ケアプランの相談先 | 原則として地域包括支援センターなど | 在宅の場合、主に居宅介護支援事業所 |
| 訪問介護 | 市区町村の総合事業における訪問型サービスなど | 介護保険の訪問介護 |
| デイサービス | 市区町村の総合事業における通所型サービスなど | 介護保険の通所介護など |
| 福祉用具 | 所定の介護予防福祉用具貸与など | 所定の福祉用具貸与など |
| 特別養護老人ホーム | 原則として入所対象外 | 原則として要介護3以上が新規入所の対象。要介護1・2には特例がある |
| 認定する主体 | 市区町村 | |
| 利用者負担 | 原則1割。一定以上の所得がある人は2割または3割 | |
要支援と要介護の違いは、介護の必要度だけでなく、利用できるサービスの種類や相談先にも影響します。
「要支援」とは?要支援1・2の状態と特徴
要支援は、介護予防による維持・改善を目指す状態
要支援は、家事や身支度などの日常生活の一部に支援が必要であり、特に介護予防サービスなどによって、生活機能の維持・改善が期待される状態を指します。
例えば、身体機能の低下によって長時間の掃除や重い買い物が難しくなったものの、食事や排せつなどはおおむね自分で行える場合です。
ただし、こうした状態だから必ず要支援と認定されるわけではありません。日常生活全体の状況や、介護に必要な手間などを総合的に評価します。
要支援1とは?
要支援1は、7段階の認定区分のうち、介護の必要度が比較的低い区分です。
例えば、身の回りのことは自分でできるものの、立ち上がりや家事の一部について見守りや支援が必要になっている場合などが考えられます。
厚生労働省の認定基準では、要介護認定等基準時間が25分以上32分未満、またはこれに相当すると認められる状態です。
要支援2とは?
要支援2は、要支援1よりも日常生活での支援の必要度が高い区分です。
例えば、移動や入浴などの一部に支援が必要になり、継続的な介護予防サービスなどの利用を検討する場合です。
要介護認定等基準時間の目安は32分以上50分未満で、要介護1と共通しています。
ただし、認知機能や状態の安定性などについて審査した結果、要支援状態にあると判定された場合は、要支援2となります。
「要介護」とは?要介護1~5の状態と特徴
要介護は、継続的な介護が必要な状態
要介護は、身体機能や認知機能などの低下によって、日常生活で継続的な介護が必要な状態です。
要介護1から要介護5までの5段階に分かれ、原則として数字が大きいほど、介護に必要な手間が多いと判定されています。
ただし、要介護度は病気の重症度や、介護する家族の大変さだけで決まるものではありません。
要介護1とは?
要介護1は、日常生活で部分的な介護が必要と判定された状態です。
例えば、入浴や移動などについて、一部の介助が必要になった場合が考えられます。
要介護認定等基準時間は32分以上50分未満、またはこれに相当する状態で、認知機能の低下や状態の安定性などを踏まえて、要支援2とは区別されます。
要介護2とは?
要介護2は、要介護1よりも介護に必要な手間が多いと判定された状態です。
例えば、移動や排せつ、入浴など、複数の日常生活動作について継続的な介助が必要な場合が考えられます。
要介護認定等基準時間の目安は50分以上70分未満です。
要介護3とは?
要介護3は、日常生活のさまざまな場面で相当程度の介護が必要と判定された状態です。
要介護認定等基準時間の目安は70分以上90分未満です。
また、特別養護老人ホームへ新たに入所する場合、原則として要介護3以上が対象となります。
要介護4とは?
要介護4は、要介護3よりも介護に必要な手間が多い状態です。
例えば、移動や排せつ、入浴などについて、広い範囲で継続的な介助が必要になる場合が考えられます。
要介護認定等基準時間の目安は90分以上110分未満です。
要介護5とは?
要介護5は、7段階の認定区分の中で、介護に必要な手間が最も多い区分です。
要介護認定等基準時間の目安は110分以上です。
ただし、要介護5だから必ず寝たきりである、あるいは要介護4だから必ず歩けるというように、特定の身体状態だけで区分を判断することはできません。
【一覧表】要支援1から要介護5までの認定基準
厚生労働省が示す要介護認定等基準時間は、次のとおりです。
| 認定区分 | 要介護認定等基準時間の目安 |
|---|---|
| 要支援1 | 25分以上32分未満 |
| 要支援2 | 32分以上50分未満のうち、要支援状態にある人 |
| 要介護1 | 32分以上50分未満のうち、要介護状態にある人 |
| 要介護2 | 50分以上70分未満 |
| 要介護3 | 70分以上90分未満 |
| 要介護4 | 90分以上110分未満 |
| 要介護5 | 110分以上 |
各区分には、それぞれの基準時間に相当すると認められる状態も含まれます。
また、要介護認定等基準時間は、実際に家族が毎日介護する時間や、利用できる訪問介護の時間を示すものではありません。
認定調査の結果などから、介護の必要度を客観的に評価するために推計される時間です。
なぜ「要支援2」と「要介護1」は同じ基準時間なのに区分が違う?
要支援2と要介護1は、どちらも要介護認定等基準時間が32分以上50分未満という共通の基準を持っています。
それでも認定区分が異なるのは、介護の必要度だけでなく、認知機能の低下や状態の安定性なども考慮するからです。
認知機能の低下が関係する
例えば、身体機能は比較的保たれていても、認知機能の低下によって、日常生活で継続的な見守りや介護が必要となる場合です。
要介護1と要支援2を区別する際には、こうした認知機能の状態などが評価されます。
心身の状態が安定しているかどうかも関係する
心身の状態が不安定で、短期間に状態が大きく変化する可能性がある場合にも、要支援2と要介護1の判定に影響することがあります。
ただし、病気があるから要介護1、病気がないから要支援2と単純に決まるわけではありません。
最終的には介護認定審査会で判定する
認定調査の一次判定で要支援2と要介護1の境界に該当した場合は、認知機能や状態の安定性に関する情報、認定調査の特記事項、主治医意見書などを踏まえて、介護認定審査会で審査します。
そのため、基準時間だけを見て、本人や家族が要支援2・要介護1を確定することはできません。
要支援と要介護では、受けられるサービスがどう違う?
要支援では介護予防サービスが中心
要支援1・2と認定された人は、原則として介護予防サービスなどを利用します。
例えば、介護予防訪問看護、介護予防通所リハビリテーション、介護予防福祉用具貸与などです。
介護予防サービスは、要介護状態になることを防ぎ、できる限り自立した日常生活を維持することを目的としています。
要介護では介護給付によるサービスを利用する
要介護1~5と認定された人は、介護給付によるサービスを利用できます。
例えば、訪問介護、訪問看護、通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護などです。
実際に利用できるサービスの種類や回数は、本人の要介護度やケアプラン、サービス事業所の受け入れ状況などによって異なります。
要支援の訪問介護とデイサービスは総合事業が中心
要支援1・2の人が、訪問介護に相当するサービスやデイサービスに相当するサービスを利用する場合は、主に市区町村の介護予防・日常生活支援総合事業が関係します。
例えば、掃除や買い物などの日常生活支援、通所による運動や交流などです。
サービスの内容や利用料金、利用できる事業所などは、市区町村によって異なります。
特別養護老人ホームは、要支援でも入所できる?
特別養護老人ホームは、常時介護を必要とする人に対して、生活上の支援や介護などを提供する施設です。
原則として、新たに入所できるのは要介護3以上の人です。
| 認定区分 | 特別養護老人ホームへの新規入所 |
|---|---|
| 要支援1・2 | 対象外 |
| 要介護1・2 | 原則として対象外。ただし、やむを得ない事情がある場合には特例入所の対象となることがある |
| 要介護3~5 | 原則として入所対象 |
ただし、要介護3以上であれば、希望する施設にすぐ入所できるという意味ではありません。
実際には、本人の介護の必要度、生活状況、施設の空き状況などを踏まえて入所が検討されます。
また、要介護1・2であっても、認知症などによって在宅生活が著しく困難な場合などは、特例入所の対象となることがあります。
要支援と要介護では、ケアプランの相談先も違う
要支援は地域包括支援センターなどへ相談する
要支援1・2と認定された人が介護予防サービスを利用する場合は、原則として地域包括支援センターなどへ相談します。
地域包括支援センターは、高齢者の介護や健康、生活上の問題などについて相談できる地域の窓口です。
介護予防ケアプランの作成は、地域包括支援センターや、指定を受けた居宅介護支援事業所などが担当します。
要介護で在宅サービスを利用する場合は居宅介護支援事業所へ
要介護1~5と認定され、在宅で介護サービスを利用する場合は、通常、居宅介護支援事業所のケアマネジャーにケアプランの作成を依頼します。
本人や家族の希望、心身の状態、生活環境などを踏まえて、必要なサービスの種類や回数などを検討します。
ケアプランの作成は、原則として利用者負担がない
介護保険における居宅介護支援や介護予防支援のケアプラン作成については、原則として利用者の自己負担はありません。
ただし、実際に利用する訪問介護やデイサービスなどには、所得に応じた1~3割の利用者負担などが発生します。
【一覧表】要支援・要介護の支給限度基準額
在宅で利用する介護保険サービスには、認定区分に応じた1か月の区分支給限度基準額が設けられています。
主な区分の単位数は、次のとおりです。
| 認定区分 | 1か月の区分支給限度基準額 | 1単位10円とした場合の目安 |
|---|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位 | 50,320円 |
| 要支援2 | 10,531単位 | 105,310円 |
| 要介護1 | 16,765単位 | 167,650円 |
| 要介護2 | 19,705単位 | 197,050円 |
| 要介護3 | 27,048単位 | 270,480円 |
| 要介護4 | 30,938単位 | 309,380円 |
| 要介護5 | 36,217単位 | 362,170円 |
ここで示した金額は、1単位を10円として換算した目安です。実際の金額は、地域やサービスの種類によって1単位当たりの単価が異なります。
また、これは本人が毎月支払わなければならない金額ではありません。
支給限度基準額の範囲内で介護保険サービスを利用する場合、利用者は原則として所定の1~3割を負担します。
一方、区分支給限度基準額を超えてサービスを利用した部分は、原則として全額自己負担になります。
なお、すべての介護保険サービスが、この区分支給限度基準額の対象になるわけではありません。施設サービスなどは別の取り扱いになります。
【計算例】要支援2と要介護1では、利用できるサービス量がどれくらい違う?
例えば、要支援2と要介護1について、1単位を10円として比較してみましょう。
| 項目 | 要支援2 | 要介護1 |
|---|---|---|
| 区分支給限度基準額 | 10,531単位 | 16,765単位 |
| 1単位10円の場合 | 105,310円 | 167,650円 |
| 1割負担で上限まで利用した場合の単純な計算額 | 10,531円 | 16,765円 |
この例では、要介護1の区分支給限度基準額は、要支援2より6,234単位多く設定されています。
ただし、要支援と要介護では、利用できるサービスの種類や報酬体系が異なります。
したがって、単位数の差が、そのまま訪問介護を利用できる時間の差になるわけではありません。
また、市区町村の総合事業については、別途、自治体が定める利用条件などが関係します。
要支援・要介護の認定は、どのように決まる?
1. 市区町村に認定を申請する
介護保険サービスを利用したい場合は、原則として住所地の市区町村に、要介護・要支援認定を申請します。
本人や家族が申請するほか、地域包括支援センターなどに相談して手続きを進める方法もあります。
2. 認定調査を受ける
市区町村の認定調査員などが、本人の心身の状態や日常生活の状況などを調査します。
例えば、立ち上がりや歩行、食事、排せつ、認知機能、日常生活上の行動などについて確認します。
本人が普段は介助を必要としているにもかかわらず、調査当日だけ無理をして自分で動いてしまうこともあります。
そのため、家族などが普段の生活状況を整理し、実際に必要な介助や見守りの内容を伝えることが重要です。
3. 主治医意見書を作成してもらう
認定調査とは別に、市区町村が主治医へ意見書の作成を依頼します。
主治医意見書には、病気やけがの状況、心身の状態、日常生活への影響などに関する情報が記載されます。
普段の状態が十分に伝わるよう、受診時に本人や家族が生活上の困りごとを説明しておくとよいでしょう。
4. 一次判定・二次判定が行われる
認定調査の結果や主治医意見書の一部の情報などを基に、コンピュータによる一次判定が行われます。
その後、保健・医療・福祉の専門家などで構成される介護認定審査会が、一次判定の結果、調査の特記事項、主治医意見書などを踏まえて二次判定を行います。
5. 市区町村から認定結果が通知される
市区町村は、介護認定審査会の判定結果などに基づいて、認定区分を決定します。
認定結果は、原則として申請から30日以内に通知されます。
ただし、調査や主治医意見書の作成などに時間がかかる場合は、30日を超えることもあります。
結果が届いたら、認定区分だけでなく、有効期間やサービス利用に必要な手続きも確認しましょう。
認定結果の記載内容を確かめることと、調査時に伝えた生活状況や主治医意見書の内容などを照らし合わせることの違いについては、「確認」と「検証」の違いも参考になります。
要支援から要介護へ変わった場合は、どうすればよい?
要支援から要介護へ認定区分が変わった場合は、原則として利用できるサービスやケアプランの作成体制が変わります。
担当するケアマネジャーなどが変わる場合がある
例えば、要支援2として地域包括支援センターで介護予防ケアプランを作成してもらっていた人が、要介護1と認定された場合です。
在宅の介護サービスを利用する場合、原則として居宅介護支援事業所のケアマネジャーによるケアプランの作成が関係します。
ただし、現在の担当者や地域包括支援センターなどと相談し、適切な引き継ぎを進めることが重要です。
利用しているサービスを見直す必要がある
要支援のときに利用していた総合事業の訪問型サービスなどから、要介護認定後は介護給付の訪問介護などへ切り替える場合があります。
ただし、自治体の事業内容や本人の状態によって取り扱いが異なります。
また、要介護になったからといって、必ず利用サービスの回数を増やさなければならないわけではありません。
本人の希望や生活状況、支給限度基準額などを踏まえて、必要なサービスを検討します。
状態が悪化した場合は区分変更申請を検討する
認定の有効期間中であっても、本人の心身の状態が大きく変わった場合は、区分変更申請ができます。
例えば、要支援2と認定されていた人が転倒後に歩行できなくなり、入浴や排せつなどの介助が新たに必要になった場合です。
こうした場合は、現在の担当者や市区町村の介護保険担当窓口へ相談しましょう。
なお、区分変更申請をすれば必ず要介護度が上がるわけではありません。改めて認定調査などを受け、審査によって区分が決まります。
認定区分やサービス内容の見直しについて、一般的な言葉の違いを整理する際は、「変更」と「修正」の違いも参考になります。
認定の有効期間と更新手続きは?
要支援・要介護認定には有効期間があります。
新規認定の有効期間は原則6か月で、市区町村が必要と認める場合は、3か月から12か月の範囲で設定されます。
更新認定では、原則12か月です。
ただし、更新前後で認定区分が同じ場合は、一定の条件の下で最長48か月まで、区分が異なる場合は最長36か月まで設定されることがあります。
実際の有効期間は、介護保険被保険者証や認定結果通知書に記載されています。
引き続きサービスを利用する予定がある場合は、有効期間が終了する前に更新手続きを行いましょう。
【実践】場面別に「要支援」と「要介護」を考える
場面1:一人暮らしの親が買い物や掃除をしにくくなった
食事や排せつなどは自分でできるものの、買い物や掃除などの日常生活の一部に支援が必要になった場合です。
地域包括支援センターへ相談し、介護予防サービスや市区町村の総合事業を利用できるか確認するとよいでしょう。
なお、こうした状態だから必ず要支援と認定されるわけではありません。
場面2:歩行が不安定で、入浴にも介助が必要になった
歩行が不安定になり、入浴や移動などについて継続的な介助が必要になった場合です。
要支援・要介護認定を申請し、本人の心身の状態や日常生活で必要な介助を評価してもらうことが考えられます。
現在認定を受けている場合は、必要に応じて区分変更申請を検討しましょう。
場面3:身体は比較的元気だが、認知症で見守りが必要になった
歩行や食事は自分でできるものの、認知機能の低下によって日常生活で継続的な見守りが必要になった場合です。
介護認定では、身体的な動作だけでなく、認知機能の低下や日常生活上の行動なども評価します。
本人の普段の生活状況を具体的に整理し、認定調査や主治医の診察などで伝えましょう。
場面4:退院後、自宅で介護サービスを利用したい
入院前は自立して生活していた人が、退院後に歩行や入浴などの介助を必要とするようになった場合です。
退院後の生活に不安がある場合は、入院中から医療機関の相談員や市区町村の介護保険担当窓口などへ相談しましょう。
必要に応じて介護認定の申請を行い、退院後のサービス利用を検討します。
場面5:家族の介護負担が大きくなっている
本人が要支援または要介護の認定を受けていても、家族の負担が大きくなっている場合です。
現在の担当者や地域包括支援センターなどへ相談し、ショートステイなど、利用できるサービスを確認しましょう。
必要なサービスを追加したい場合や、認定区分が現在の状態に合っていないと感じる場合は、ケアプランの見直しや区分変更申請を検討できます。
「要支援」「要介護」と似た言葉の違い
「自立」との違い
介護保険の認定で非該当となった場合は、一般に「自立」と表現されることがあります。
ただし、非該当だからといって、何の支援も受けられないわけではありません。
市区町村の基本チェックリストなどによって、総合事業の対象者となり、所定の介護予防・生活支援サービスを利用できる場合があります。
「事業対象者」との違い
事業対象者は、市区町村の基本チェックリストなどを通じて、介護予防・日常生活支援総合事業のサービス利用が必要と判断された人です。
要支援認定を受けていなくても、所定の総合事業のサービスを利用できる場合があります。
ただし、介護予防訪問看護などの予防給付を利用する場合は、原則として要支援認定が必要です。
「障害支援区分」との違い
障害支援区分は、障害福祉サービスにおける支援の必要度を判定するための区分です。
一方、要支援・要介護認定は、介護保険制度における認定です。
どちらも支援の必要度に関係しますが、対象となる制度や判定方法、利用できるサービスなどが異なります。
認定申請前に確認したい5つのポイント
1. 日常生活で困っていることを具体的に整理する
例えば、歩行、立ち上がり、入浴、排せつ、食事、買い物、服薬管理などについて、どのような支援が必要か整理しましょう。
本人が自分でできることと、介助や見守りが必要なことを分けておくと、認定調査などで説明しやすくなります。
2. 普段の状態を主治医へ伝える
認定申請では、主治医意見書が必要になります。
受診時には、病状だけでなく、日常生活で困っていることや、以前と比べて変わったことなどを伝えましょう。
3. 家族による介助や見守りの状況を整理する
例えば、本人が歩ける場合でも、転倒を防ぐために毎回家族が付き添っていることがあります。
本人の動作だけでなく、家族などが実際に行っている介助や見守りについても整理しておくことが重要です。
4. 利用したいサービスを考えておく
例えば、訪問介護やデイサービス、福祉用具、ショートステイなど、利用を検討しているサービスについて相談しましょう。
ただし、実際に利用できるサービスは、認定区分や市区町村の事業内容などによって異なります。
5. 認定結果に疑問がある場合は早めに相談する
認定結果が本人の普段の状態と大きく異なると感じる場合は、市区町村の介護保険担当窓口などへ相談しましょう。
本人の状態が変化した場合は区分変更申請、認定処分そのものに不服がある場合は介護保険審査会への審査請求など、状況によって必要な手続きが異なります。
困った状況に応じて必要な行動を整理する際は、「対応」と「対処」の違いも参考になります。
「要支援」と「要介護」の3秒判定
| 確認したい内容 | 主に関係する区分・制度 |
|---|---|
| 日常生活の一部に支援が必要で、介護予防が中心 | 要支援1・2 |
| 日常生活で継続的な介護が必要 | 要介護1~5 |
| 要支援の人が訪問型・通所型サービスを利用する | 市区町村の総合事業など |
| 要介護の人が訪問介護や通所介護を利用する | 介護給付 |
| 要支援の介護予防ケアプランを相談する | 地域包括支援センターなど |
| 要介護の在宅ケアプランを相談する | 居宅介護支援事業所など |
| 特別養護老人ホームへ新規入所する | 原則として要介護3以上 |
| 認定の有効期間中に状態が大きく変わった | 区分変更申請 |
ただし、上の表は制度の違いを整理したものです。本人の症状や身体状態だけで、要支援・要介護の区分を自己判定することはできません。
よくある間違いと注意点
「要支援の人は介護保険サービスを利用できない」は誤り
要支援1・2の人も、所定の介護予防サービスなどを利用できます。
また、市区町村の総合事業による訪問型・通所型サービスなども関係します。
「要支援2より要介護1のほうが、必ず身体状態が悪い」は誤り
要支援2と要介護1は、介護に必要な手間を評価する基準時間が共通しています。
認知機能の低下や、状態の安定性なども踏まえて判定するため、身体機能だけで単純に比較できません。
「要介護3なら、希望する特別養護老人ホームへ必ず入所できる」は誤り
要介護3以上は、原則として特別養護老人ホームの新規入所対象ですが、実際の入所には施設の空き状況や本人の生活状況なども関係します。
「要介護度は病名だけで決まる」は誤り
要介護認定では、病気の重症度だけでなく、日常生活で必要な介護の手間や認知機能などを評価します。
同じ病気の人でも、認定区分が異なる場合があります。
「支給限度基準額は、本人が毎月払う金額」は誤り
区分支給限度基準額は、所定の在宅サービスなどについて、介護保険から給付される対象となるサービス量の上限です。
本人は、原則として利用した対象サービス費の1~3割を負担します。
「要支援から要介護へ変わったら、必ず施設へ入所する」は誤り
要介護と認定されても、自宅で訪問介護やデイサービスなどを利用して生活することは可能です。
在宅生活を継続するか、施設への入所を検討するかは、本人や家族の希望、必要な介護、利用できるサービスなどによって異なります。
「要支援」と「要介護」の例文12選
「要支援」を使った例文
- 母は要支援1と認定され、介護予防サービスの利用を検討している。
- 要支援2の父が、介護予防訪問看護を利用することになった。
- 要支援の認定を受けたため、地域包括支援センターへ相談した。
- 要支援の人が利用できる訪問型サービスについて調べた。
- 要支援の認定結果に記載された有効期間を確認した。
- 要支援2から要介護へ区分が変わる可能性があるため、担当者に相談した。
「要介護」を使った例文
- 父は要介護1と認定され、在宅で訪問介護を利用している。
- 要介護2の母について、ケアマネジャーへ相談した。
- 要介護3と認定されたため、特別養護老人ホームへの入所を検討している。
- 退院後に介助が必要になり、要介護認定を申請した。
- 要介護度に応じた区分支給限度基準額を確認した。
- 要介護認定の有効期間が終了する前に、更新申請を行った。
FAQ|「要支援」と「要介護」のよくある質問
Q1. 要支援と要介護の最も大きな違いは何ですか?
日常生活で必要となる支援・介護の程度と、状態の維持・改善可能性などです。要支援は介護予防を中心とする状態で、要介護は日常生活で継続的な介護が必要な状態です。
Q2. 要支援と要介護は、それぞれ何段階ありますか?
要支援は1・2の2段階、要介護は1~5の5段階です。認定の結果、どちらにも該当しない非該当となる場合もあります。
Q3. 要支援2と要介護1は、何が違いますか?
要介護認定等基準時間の目安は、どちらも32分以上50分未満です。ただし、認知機能の低下や状態の安定性などを踏まえて、要支援2か要介護1かを判定します。
Q4. 要支援でも訪問介護やデイサービスを利用できますか?
要支援1・2の人は、市区町村の介護予防・日常生活支援総合事業における訪問型サービスや通所型サービスなどを利用できる場合があります。具体的な内容は自治体によって異なります。
Q5. 要支援でも介護予防訪問看護を利用できますか?
所定の条件を満たせば利用できます。要支援1・2の人については、介護予防訪問看護などの予防給付が設けられています。
Q6. 要支援でも特別養護老人ホームへ入所できますか?
原則として入所対象外です。特別養護老人ホームへ新たに入所する場合は、原則として要介護3以上が対象です。要介護1・2には、やむを得ない事情がある場合の特例入所があります。
Q7. 要介護認定の申請はどこで行いますか?
原則として住所地の市区町村で申請します。申請方法がわからない場合は、市区町村の介護保険担当窓口や地域包括支援センターなどへ相談しましょう。
Q8. 申請から認定結果が届くまで、どのくらいかかりますか?
原則として申請から30日以内に認定結果が通知されます。ただし、認定調査や主治医意見書の作成などの事情によって、30日を超える場合があります。
Q9. 要支援から要介護に変わったら、ケアマネジャーも変わりますか?
変わる場合があります。要支援の場合は地域包括支援センターなど、要介護で在宅サービスを利用する場合は主に居宅介護支援事業所がケアプランの作成を担当します。
Q10. 認定の有効期間中でも、区分変更を申請できますか?
できます。心身の状態が大きく変わり、現在の認定区分が実際の状態に合わなくなった場合は、市区町村へ区分変更申請を行うことができます。
Q11. 支給限度基準額を超えて介護サービスを利用できますか?
利用できますが、区分支給限度基準額を超えた部分は、原則として全額自己負担になります。ただし、施設サービスなど、この限度額とは別の取り扱いになるサービスもあります。
Q12. 認定結果に納得できない場合は、どうすればよいですか?
まず、市区町村の介護保険担当窓口へ認定結果や判定の取り扱いについて相談しましょう。認定処分そのものに不服がある場合は、介護保険審査会への審査請求を検討することができます。また、本人の心身の状態が変化した場合は、区分変更申請が関係します。
まとめ|要支援は介護予防、要介護は継続的な介護の必要度で区分される
「要支援」と「要介護」は、どちらも介護保険のサービス利用に関係する認定区分ですが、介護の必要度や利用できるサービスなどが異なります。
- 要支援:要支援1・2の2段階。日常生活の一部に支援が必要で、介護予防による状態の維持・改善を目指す。
- 要介護:要介護1~5の5段階。日常生活で継続的な介護が必要な状態で、介護給付によるサービスなどを利用する。
- 要支援2と要介護1:介護に必要な手間を評価する基準時間は共通しているが、認知機能の低下や状態の安定性などを考慮して区分される。
特に重要なのは、要支援と要介護の認定区分が、病名や歩行能力だけで決まるわけではないことです。
認定申請の際には、本人が普段どのような生活を送っているか、どの場面で介助や見守りが必要なのかを、具体的に伝えることが大切です。
また、認定後に心身の状態が大きく変わった場合は、有効期間中でも区分変更申請ができます。
介護サービスの利用を検討するときは、市区町村の介護保険担当窓口や地域包括支援センターなどに相談し、本人の状態と希望に合ったサービスを確認しましょう。
参考資料・出典
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厚生労働省|要介護認定に係る制度の概要
要支援状態と要介護状態の定義、要介護認定の基本的な仕組み、一次判定・二次判定の流れを確認できます。
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厚生労働省|要介護認定はどのように行われるか
認定区分ごとの要介護認定等基準時間、要支援2と要介護1の違い、認知機能や状態の安定性に関する判定方法を確認できます。
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厚生労働省|介護サービス情報公表システム「サービス利用までの流れ」
認定申請から認定調査、ケアプラン作成、サービス利用までの流れを確認できます。
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厚生労働省|介護サービス情報公表システム「公表されている介護サービスについて」
要支援1・2の予防給付と要介護1~5の介護給付、利用できるサービスの種類などを確認できます。
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厚生労働省|介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
特別養護老人ホームのサービス内容、要支援や要介護1・2の人の入所条件などを確認できます。
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厚生労働省|居宅介護サービス費等区分支給限度基準額及び介護予防サービス費等区分支給限度基準額
要支援1から要介護5までの、区分支給限度基準額の法令上の根拠を確認できます。
