「いただく」と「くださる」の違いは?「ご確認いただく・ご確認くださる」の使い分けも解説

「ご確認いただきありがとうございます」

「ご確認くださりありがとうございます」

ビジネスメールでは、どちらの表現もよく見かけます。

意味が非常に近いため、

「いただくとくださるは何が違う?」

「ご利用いただきありがとうございます、は間違い?」

「ご確認いただくと、ご確認くださるではどちらが丁寧?」

「していただけますか、と、してくださいますか、はどう使い分ける?」

と迷う人も多いでしょう。

簡単にいうと、「いただく」は自分側が相手から何かをしてもらう、受け取るという立場から述べる謙譲表現です。一方、「くださる」は、相手が自分側に何かをしてくれるという立場から述べる尊敬表現です。

たとえば、先生が自分に本をくれた場合、

「私は先生から本をいただきました」

といえます。

同じ出来事を、先生を主語にすれば、

「先生が本をくださいました」

となります。

つまり、

いただく=「私は相手から〜してもらう」

くださる=「相手が私に〜してくれる」

という視点の違いです。

どちらか一方だけが正しい、あるいはどちらかの方が必ず丁寧というわけではありません。

文化庁も、「御利用いただく」と「御利用くださる」は、敬語としての種類こそ異なるものの、どちらも相手を立てる適切な表現だと説明しています。

この記事では、「いただく」と「くださる」の基本的な意味から、「〜していただく」「〜してくださる」の違い、「ご利用いただきありがとうございます」は正しいのか、「いただけますか」「くださいますか」の使い分けまで詳しく解説します。

  1. 「いただく」と「くださる」の違い【結論】
  2. 「いただく」とは?
    1. 「いただく」の基本的な意味
    2. 「いただく」は「食べる・飲む」にも使う
  3. 「〜していただく」とは?
  4. 「いただく」は謙譲語Ⅰ
  5. 「くださる」とは?
    1. 「くださる」の基本的な意味
  6. 「〜してくださる」とは?
  7. 「くださる」は尊敬語
  8. 文化庁が示す「いただく」と「くださる」の違い
  9. 「ご利用いただきありがとうございます」は間違い?
  10. 「ご利用くださりありがとうございます」も正しい
  11. どちらの方が丁寧?
  12. 「先生に説明していただきました」と「先生が説明してくださいました」の違い
    1. 先生に説明していただきました
    2. 先生が説明してくださいました
  13. 助詞の違いを見ると分かりやすい
  14. 「ご確認いただく」と「ご確認くださる」の違い
  15. 「ご確認いただけますか」と「ご確認くださいますか」の違い
    1. ご確認いただけますか
    2. ご確認くださいますか
  16. 「いただけませんか」と「くださいませんか」の違い
  17. 「いただく」と「もらう」の違い
  18. 「くださる」と「くれる」の違い
  19. 物を受け取る場合にも視点の違いは同じ
  20. 「お客様がご利用いただく」は注意
  21. 「ご参加いただく」と「ご参加くださる」も同じ関係
  22. 「ご協力いただく」と「ご協力くださる」もどちらも使える
  23. 「いただきありがとうございます」と「くださりありがとうございます」はどちらが自然?
  24. 「〜てくれてありがとう」との関係で考える
  25. 「いただく」と「くださる」で迷ったときの3秒判定
  26. 「いただく」を使った例文
  27. 「くださる」を使った例文
  28. ビジネスメールでの使い分け例
    1. 資料を確認してもらった
    2. 相手の行為に感謝を示す
    3. 参加を依頼する
    4. 参加してくれたことに感謝する
  29. よくある間違い1:「いただく」だけが正しいと思う
  30. よくある間違い2:「くださる」だけが文法的に正しいと思う
  31. よくある間違い3:「いただく」の主語を相手にして考える
  32. よくある間違い4:どちらが上の敬語かだけで判断する
  33. 「いただく」と「くださる」に関するよくある質問
    1. Q1. 「いただく」と「くださる」は同じ意味ですか?
    2. Q2. 「ご利用いただきありがとうございます」は間違いですか?
    3. Q3. 「ご利用くださりありがとうございます」も正しいですか?
    4. Q4. 「いただく」と「くださる」はどちらが丁寧ですか?
    5. Q5. 「ご確認いただけますか」と「ご確認くださいますか」はどちらが正しいですか?
    6. Q6. 「いただく」を簡単な言葉に直すと何ですか?
    7. Q7. 「くださる」を簡単な言葉に直すと何ですか?
    8. Q8. 「ご協力いただき」と「ご協力くださり」はどちらでもいいですか?
  34. まとめ
  35. 参考資料・出典

「いただく」と「くださる」の違い【結論】

比較項目 いただく くださる
敬語の種類 謙譲語Ⅰ 尊敬語
基本の言葉 もらう くれる
視点 恩恵を受ける自分側 行為をする相手側
基本的な形 私は先生に〜していただく 先生が〜してくださる
相手への敬意 ある ある
恩恵を受ける意味 ある ある
代表例 ご説明いただく ご説明くださる

覚え方は非常にシンプルです。

いただく=「してもらう」

くださる=「してくれる」

と考えてください。

「いただく」とは?

「いただく」の基本的な意味

「いただく」は、「もらう」の謙譲語として使われます。

たとえば、

  • 先生から本をいただきました。
  • お客様から貴重なご意見をいただきました。
  • 部長から助言をいただきました。
  • 取引先から資料をいただきました。

などです。

自分が何かを受け取ることをへりくだって述べることで、その物や行為を与えてくれた相手を立てています。

「いただく」は「食べる・飲む」にも使う

「いただく」には、「食べる」「飲む」を丁寧・謙譲的に表す用法もあります。

たとえば、

「お料理をいただきます」

「コーヒーをいただきました」

などです。

ただし、今回「くださる」と比較するときに重要なのは、主に「もらう」や「〜してもらう」の意味の「いただく」です。

「〜していただく」とは?

ビジネスで特によく使われるのが、

「〜していただく」

という形です。

たとえば、

  • 確認していただく
  • 説明していただく
  • 参加していただく
  • 利用していただく
  • 回答していただく

などがあります。

これは、普通の言葉に戻すと、

「〜してもらう」

という意味です。

たとえば、

「先生に説明していただきました」

なら、

「私は先生に説明してもらいました」

という関係です。

説明する人は先生ですが、「いただく」の側から見ると、説明してもらうという恩恵を受けた自分側が中心になります。

「いただく」は謙譲語Ⅰ

文化庁の「敬語の指針」では、「いただく」は謙譲語Ⅰとして扱われます。

たとえば、

「お客様に御利用いただく」

という場合、実際に利用するのはお客様です。

しかし、「いただく」という表現全体では、店側が「お客様に利用してもらう」という立場から出来事を捉えています。

そのため、

「お客様が利用するのだから『いただく』はおかしい」

ということにはなりません。

文化庁も、この用法は現在では慣用的な敬語として認められ、特に問題はないと説明しています。

「くださる」とは?

「くださる」の基本的な意味

「くださる」は、「与える」「くれる」の尊敬語です。

たとえば、

  • 先生が本をくださいました。
  • お客様がご意見をくださいました。
  • 部長が助言をくださいました。
  • 取引先が資料をくださいました。

などと使います。

「いただく」と違って、何かを与えたり行ったりする相手側が主語になるのが基本です。

「〜してくださる」とは?

「くださる」は、別の動詞と組み合わせて、相手が自分側のために何かしてくれることも表します。

たとえば、

  • 先生が説明してくださる。
  • お客様が利用してくださる。
  • 担当者が確認してくださる。
  • 取引先が対応してくださる。

などです。

普通の言葉に戻せば、

「〜してくれる」

となります。

たとえば、

「先生が説明してくださいました」

なら、

「先生が私に説明してくれました」

という関係です。

「くださる」は尊敬語

「くださる」は、行為をする相手を高める尊敬語です。

たとえば、

「お客様が御利用くださる」

という場合、「利用する」という行為の主体はお客様です。

そのお客様の行為を高めて表現しています。

したがって、

いただく=受け手側から相手を立てる

くださる=行為者である相手を直接高める

という違いがあります。

文化庁が示す「いただく」と「くださる」の違い

文化庁の「敬語の指針」には、まさにこの2語についての解説があります。

例として、

「御利用いただきましてありがとうございます」

と、

「御利用くださいましてありがとうございます」

のどちらが適切なのかという問題が取り上げられています。

文化庁は、

「御利用いただく」=謙譲語Ⅰ

「御利用くださる」=尊敬語

と整理しています。

つまり、言葉を補うと、

「私がお客様に御利用いただく」

と、

「お客様が御利用くださる」

という違いです。

しかし、どちらもお客様を立てること、そして店側が恩恵を受けることを表している点では共通しています。

そのため、文化庁はどちらも敬語として適切だとしています。

「ご利用いただきありがとうございます」は間違い?

間違いではありません。

「利用する」のはお客様なのだから、

「ご利用くださりありがとうございます」が正しく、「ご利用いただきありがとうございます」は誤り

という説明を見かけることがあります。

しかし、文化庁の「敬語の指針」では、「御利用いただく」という用法を明確に認めています。

「利用する」という動作そのものの主体はお客様ですが、

店側がお客様に利用してもらう

という視点から表現すれば、

「ご利用いただく」

となります。

したがって、

「いつもご利用いただき、ありがとうございます」

は適切な敬語表現です。

「ご利用くださりありがとうございます」も正しい

こちらも正しい表現です。

「お客様が利用してくださる」

という、相手側を主語にした尊敬表現だからです。

つまり、

ご利用いただきありがとうございます

と、

ご利用くださりありがとうございます

は、視点こそ異なりますが、どちらも使うことができます。

表現 視点
ご利用いただきありがとうございます 私はお客様に利用してもらい、ありがたく思う
ご利用くださりありがとうございます お客様が利用してくれて、ありがたく思う

どちらの方が丁寧?

「いただく」と「くださる」のどちらが必ず丁寧、という単純な上下関係はありません。

文化庁も、「御利用いただきまして」と「御利用くださいまして」のどちらが適切か、どちらが丁寧かという感じ方には個人差があるものの、基本的にはどちらもほぼ同様に使える敬語だと説明しています。

したがって、

いただく=より丁寧

くださる=ややくだけている

と機械的に覚える必要はありません。

大切なのは、誰の視点から出来事を述べているかです。

「先生に説明していただきました」と「先生が説明してくださいました」の違い

同じ出来事を使うと、違いが非常にわかりやすくなります。

先生に説明していただきました

自分側を中心に、

「私は先生に説明してもらった」

と表現しています。

自分が恩恵を受けたことに焦点があります。

先生が説明してくださいました

先生側を中心に、

「先生が私のために説明してくれた」

と表現しています。

先生の行為に焦点があります。

表現 中心となる視点
先生に説明していただきました 説明してもらった自分
先生が説明してくださいました 説明してくれた先生

助詞の違いを見ると分かりやすい

「いただく」と「くださる」は、助詞にも違いが表れます。

基本的には、

相手「に」〜していただく

相手「が」〜してくださる

という形です。

たとえば、

「田中様にご説明いただきました」

「田中様がご説明くださいました」

となります。

迷ったときには、

に+いただく

が+くださる

という基本形を思い出すと整理しやすいでしょう。

「ご確認いただく」と「ご確認くださる」の違い

ビジネスメールでも非常によく使われる組み合わせです。

「資料をご確認いただき、ありがとうございます」

は、

「私はあなたに資料を確認してもらい、ありがたく思います」

という視点です。

一方、

「資料をご確認くださり、ありがとうございます」

は、

「あなたが資料を確認してくれて、ありがたく思います」

という視点です。

意味する出来事はほぼ同じですが、文の組み立て方が異なります。

なお、「確認」と、送付した書類などをよく調べて受け取る「査収」では意味が異なります。詳しくは「ご確認」と「ご査収」の違いで整理しています。

「ご確認いただけますか」と「ご確認くださいますか」の違い

依頼の場面でも、どちらも使うことができます。

ご確認いただけますか

普通の言葉に近づけると、

「確認してもらえますか」

という表現です。

自分が相手から確認という行為を受けられるかどうかを尋ねる形になっています。

ご確認くださいますか

普通の言葉に近づけると、

「確認してくれますか」

という表現です。

相手が確認という行為をしてくれるかどうかを尋ねています。

「いただけますか」は受け手側を起点とするため、依頼が間接的な形になり、やわらかく感じられることがあります。

ただし、「くださいますか」が失礼というわけではありません。

どちらも丁寧な依頼表現として使えます。

「いただけませんか」と「くださいませんか」の違い

さらに丁寧に、

「ご確認いただけませんか」

「ご確認くださいませんか」

とすることもできます。

どちらも、相手に確認をお願いする表現です。

「いただけませんか」は、

「確認してもらうことはできませんか」

という受け手側からの依頼です。

「くださいませんか」は、

「確認してくれませんか」

という相手側の行為に焦点を当てています。

「いただく」と「もらう」の違い

「いただく」は「もらう」の謙譲語です。

たとえば、

「先生から本をもらいました」

より、

「先生から本をいただきました」

の方が、先生への敬意を示した表現になります。

同様に、

「説明してもらいました」

を敬語にすると、

「説明していただきました」

となります。

「くださる」と「くれる」の違い

「くださる」は「くれる」の尊敬語です。

たとえば、

「先生が本をくれました」

より、

「先生が本をくださいました」

の方が先生を立てた表現です。

同様に、

「先生が説明してくれました」

を敬語にすると、

「先生が説明してくださいました」

となります。

物を受け取る場合にも視点の違いは同じ

「いただく」と「くださる」の違いは、補助的な表現だけではありません。

物を受け取る場合にも同じです。

たとえば先生から本を受け取った場合、

「先生から本をいただきました」

と、

「先生が本をくださいました」

は同じ出来事を表します。

ただし、

いただきました → 自分が受け取った側から表現

くださいました → 先生が与えた側から表現

という違いがあります。

「お客様がご利用いただく」は注意

文化庁が注意しているポイントです。

「御利用いただく」を、

「お客様が御利用いただく」

のように組み立てると、敬語の関係が分かりにくくなります。

「いただく」は、自分側が相手に何かをしてもらう表現だからです。

基本形は、

「お客様に御利用いただく」

です。

一方、「くださる」を使うなら、

「お客様が御利用くださる」

となります。

相手に〜いただく お客様にご利用いただく
相手が〜くださる お客様がご利用くださる

「ご参加いただく」と「ご参加くださる」も同じ関係

たとえばイベントについて、

「多くの皆様にご参加いただきました」

といえば、主催者側が参加してもらったという視点です。

一方、

「多くの皆様がご参加くださいました」

なら、参加者側の行為に焦点を当てています。

どちらも参加者を立てた敬語表現です。

「ご協力いただく」と「ご協力くださる」もどちらも使える

同じように、

「皆様にご協力いただき、ありがとうございます」

と、

「皆様がご協力くださり、ありがとうございます」

はどちらも使えます。

前者は「協力してもらった」側からの表現、後者は「皆様が協力してくれた」という側からの表現です。

「いただきありがとうございます」と「くださりありがとうございます」はどちらが自然?

どちらも自然です。

文化庁が示している「御利用いただきましてありがとうございます」「御利用くださいましてありがとうございます」と同じ関係です。

たとえば、

  • ご連絡いただきありがとうございます。
  • ご連絡くださりありがとうございます。
  • ご参加いただきありがとうございます。
  • ご参加くださりありがとうございます。
  • ご確認いただきありがとうございます。
  • ご確認くださりありがとうございます。

はいずれも成立します。

どちらを選ぶかは、文章全体の視点・語感に合わせればよいでしょう。

「〜てくれてありがとう」との関係で考える

違いが分からなくなった場合は、普通の表現へ戻すと簡単です。

説明していただき、ありがとうございます

説明してもらって、ありがとう

一方、

説明してくださり、ありがとうございます

説明してくれて、ありがとう

と考えます。

つまり、

いただく=もらう

くださる=くれる

という基本関係を押さえれば、多くの文章で判断できます。

「いただく」と「くださる」で迷ったときの3秒判定

考え方 選びやすい言葉
「〜してもらう」と言い換えられる いただく
「〜してくれる」と言い換えられる くださる
自分が恩恵を受けた側から述べる いただく
相手の行為に焦点を当てる くださる
先生に説明してもらった 説明していただいた
先生が説明してくれた 説明してくださった
お客様に利用してもらう ご利用いただく
お客様が利用してくれる ご利用くださる

迷ったら、

「もらう」に戻せる? → いただく

「くれる」に戻せる? → くださる

と考えるのが最も簡単です。

「いただく」を使った例文

  • 先生から貴重な助言をいただきました
  • お客様からご意見をいただきました
  • 資料をご確認いただき、ありがとうございます。
  • 多くの皆様にご参加いただきました
  • 田中様に詳しくご説明いただきました
  • ご回答いただけますでしょうか。
  • お時間をいただき、誠にありがとうございます。

「くださる」を使った例文

  • 先生が本をくださいました
  • お客様が貴重なご意見をくださいました
  • 資料をご確認くださり、ありがとうございます。
  • 多くの皆様がご参加くださいました
  • 田中様が丁寧に説明してくださいました
  • ご回答くださいますでしょうか。
  • いつも弊社を応援してくださり、ありがとうございます。

ビジネスメールでの使い分け例

資料を確認してもらった

お忙しい中、資料をご確認いただき、ありがとうございます。

修正内容を反映し、改めてお送りいたします。

相手の行為に感謝を示す

早速資料をご確認くださり、ありがとうございます。

いただいたご意見をもとに修正いたします。

参加を依頼する

ぜひ多くの皆様にご参加いただければ幸いです。

参加してくれたことに感謝する

本日はご参加くださり、誠にありがとうございました。

よくある間違い1:「いただく」だけが正しいと思う

ビジネスでは「ご確認いただく」「ご利用いただく」という表現が非常によく使われるため、「くださる」は丁寧ではないと思われることがあります。

しかし、「くださる」は正式な尊敬語です。

「ご確認くださりありがとうございます」

も適切な敬語表現です。

よくある間違い2:「くださる」だけが文法的に正しいと思う

反対に、

「実際に確認・利用するのは相手なのだから、『くださる』でなければならない」

と考えるのも適切ではありません。

文化庁が示しているように、「ご利用いただく」は、自分側が相手から利用という恩恵を受ける視点で成り立つ謙譲表現です。

「いただく」にも問題はありません。

よくある間違い3:「いただく」の主語を相手にして考える

「お客様がご利用いただく」のように考えてしまうと、「いただく」の仕組みが分かりにくくなります。

基本的には、

「私どもがお客様にご利用いただく」

という関係です。

相手を主語にするなら、

「お客様がご利用くださる」

と考えると整理できます。

よくある間違い4:どちらが上の敬語かだけで判断する

「いただく」と「くださる」は、そもそも敬語の種類が違います。

謙譲語と尊敬語を、単純に、

「こちらの方が敬意が強い」

と順位付けするのは適切ではありません。

文の視点と、誰を主語にして表現したいのかによって使い分けることが重要です。

「いただく」と「くださる」に関するよくある質問

Q1. 「いただく」と「くださる」は同じ意味ですか?

同じ出来事を表すことがありますが、視点が異なります。

「いただく」は「もらう」の謙譲語で、受け手である自分側から表現します。「くださる」は「くれる」の尊敬語で、行為をする相手側から表現します。

Q2. 「ご利用いただきありがとうございます」は間違いですか?

間違いではありません。

文化庁の「敬語の指針」でも、「御利用いただく」は謙譲語Ⅰとして適切な用法とされています。

Q3. 「ご利用くださりありがとうございます」も正しいですか?

正しい表現です。

「お客様が利用してくださる」という、相手側の行為を尊敬語で表しています。

Q4. 「いただく」と「くださる」はどちらが丁寧ですか?

単純な上下関係ではありません。

文化庁も、基本的にはどちらも同じように使える敬語としています。違いは丁寧さの順位より、受け手側から述べるか、行為者側から述べるかという視点にあります。

Q5. 「ご確認いただけますか」と「ご確認くださいますか」はどちらが正しいですか?

どちらも使えます。

「いただけますか」は「確認してもらえますか」、「くださいますか」は「確認してくれますか」に近い構造です。

Q6. 「いただく」を簡単な言葉に直すと何ですか?

「もらう」です。

「説明していただく」なら「説明してもらう」、「確認していただく」なら「確認してもらう」と考えられます。

Q7. 「くださる」を簡単な言葉に直すと何ですか?

「くれる」です。

「説明してくださる」なら「説明してくれる」、「確認してくださる」なら「確認してくれる」と考えられます。

Q8. 「ご協力いただき」と「ご協力くださり」はどちらでもいいですか?

どちらも使えます。

「ご協力いただき」は、自分側が協力してもらった視点、「ご協力くださり」は相手が協力してくれた視点です。

まとめ

「いただく」と「くださる」は、どちらも相手への敬意と、相手の行為によって自分側が恩恵を受けることを表せる言葉ですが、敬語の種類と視点が異なります。

いただく くださる
謙譲語Ⅰ 尊敬語
「もらう」の敬語 「くれる」の敬語
受け手である自分側から表現 行為者である相手側から表現
先生に説明していただく 先生が説明してくださる
お客様にご利用いただく お客様がご利用くださる

最も簡単な覚え方は、

いただく=「してもらう」

くださる=「してくれる」

です。

たとえば、

「田中様にご説明いただきました」

は、

「私は田中様に説明してもらいました」

という視点です。

一方、

「田中様がご説明くださいました」

は、

「田中様が私に説明してくれました」

という視点です。

同じ出来事でも、どちら側から捉えるかによって言葉が変わります。

また、

「ご利用いただきありがとうございます」

と、

「ご利用くださりありがとうございます」

は、どちらも適切な敬語です。

「いただくの方が正しい」「くださるの方が文法的に正しい」と一方だけを正解にする必要はありません。

文章で迷った場合は、普通の言葉へ戻してみてください。

「〜してもらう」と言いたい? → いただく

「〜してくれる」と言いたい? → くださる

この方法なら、多くの場面で判断できます。

参考資料・出典

本記事は、以下の辞書・文化庁資料を参照し、内容を整理したうえで作成しています。

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