経済ニュースを読んでいると、「リセッション(recession)」という言葉をよく目にします。
一方、非常に深刻な景気悪化については、
「デプレッション(depression)」
という言葉が使われることもあります。
英語ではよく似た経済用語ですが、
- リセッションとデプレッションは何が違うのか
- どちらも日本語では「不況」なのか
- デプレッションは「恐慌」と訳せばよいのか
- GDPが2四半期連続でマイナスならリセッションなのか
- リセッションが長引けば自動的にデプレッションになるのか
- 世界恐慌はなぜ「Great Depression」なのか
と疑問に思う人も多いでしょう。
結論から言えば、リセッションは経済活動が広く低下する「景気後退」を表す一般的な言葉で、デプレッションはリセッションよりはるかに深刻で長期的な経済悪化を表す言葉です。
ただし、非常に重要な注意点があります。
「どこからがデプレッションなのか」について、世界共通の正式な判定基準が決まっているわけではありません。
つまり、
リセッション=通常の景気後退
デプレッション=極めて深刻な景気後退・大不況・恐慌級の状態
という理解が基本です。
この記事では、「リセッション」と「デプレッション」の違いを中心に、「景気後退」「不況」「恐慌」「景気減速」との関係、GDPとの関係、1929年からの世界恐慌まで詳しく解説します。
- 結論:デプレッションはリセッションよりはるかに深刻
- リセッション(recession)とは?
- リセッションでは何が起こる?
- デプレッション(depression)とは?
- デプレッションには正式な定義がない
- リセッションとデプレッションの関係
- リセッションが長引けば必ずデプレッション?
- リセッション=GDPが2四半期連続マイナス?
- アメリカでは2四半期連続マイナスだけで決めない
- 日本の「景気後退」はどう判断する?
- 景気後退と不況は同じ?
- リセッションと不況の違い
- デプレッションと恐慌は同じ?
- 「恐慌」は普通の不況より強い言葉
- Great Depressionとは?
- 株価暴落=デプレッションではない
- 銀行破綻が起こればデプレッション?
- リセッションと金融危機の違い
- デプレッションと金融危機の違い
- リセッションと景気減速の違い
- 景気減速→リセッション→デプレッション?
- ソフトランディングとは?
- スタグフレーションとリセッションの違い
- リセッションになると物価は必ず下がる?
- デプレッションではデフレになる?
- デプレッションとデフレーションは別の言葉
- リセッションで失業率はどうなる?
- デプレッションでは雇用への影響も極めて大きい
- リセッションになると株価は必ず下がる?
- 「景気後退入り」とは?
- 「テクニカル・リセッション」とは?
- 「デプレッション入り」という公式発表はある?
- なぜデプレッションという言葉はあまり使われない?
- 2008年の金融危機はデプレッション?
- Great RecessionとGreat Depressionの違い
- 「recession」と「depression」の日常英語での意味
- 経済ニュースでの使い分け
- リセッションを「恐慌」と訳すのは強すぎる
- デプレッションを「景気後退」とだけ訳すと弱すぎる場合がある
- 4つの言葉を整理
- リセッションは悪いことだけ?
- 中央銀行はリセッションにどう対応する?
- 政府はリセッションにどう対応する?
- デプレッションでは政策対応も大規模になりやすい
- 「リセッション懸念」とは?
- 「デプレッション懸念」はかなり強い表現
- GDPだけでは景気全体を判断できない理由
- 日本の景気動向指数とは?
- リセッションとデプレッションを一瞬で見分ける方法
- 例文で使い分けを確認
- よくある質問
- Q1. リセッションとは簡単に言うと何ですか?
- Q2. デプレッションとは簡単に言うと何ですか?
- Q3. リセッションとデプレッションは同じですか?
- Q4. デプレッションには正式な定義がありますか?
- Q5. GDPが2四半期連続マイナスなら必ずリセッションですか?
- Q6. 日本では誰が景気後退を判断しますか?
- Q7. リセッションと不況の違いは?
- Q8. デプレッションと恐慌は同じですか?
- Q9. リセッションが長く続けばデプレッションですか?
- Q10. 株価が暴落すればデプレッションですか?
- Q11. Great RecessionとGreat Depressionは同じですか?
- Q12. recessionとdepressionを日本語でどう訳せばよいですか?
- まとめ
- 参考資料
結論:デプレッションはリセッションよりはるかに深刻
| 項目 | リセッション | デプレッション |
|---|---|---|
| 英語 | recession | depression |
| 日本語の目安 | 景気後退 | 恐慌・大不況・深刻な景気後退 |
| 深刻さ | 比較的一般的な景気循環の後退局面 | 極めて深刻 |
| 期間 | 数か月~数年程度の場合がある | 長期化することが多い |
| 経済への影響 | GDP・雇用・生産などが悪化 | GDP・雇用・金融システムなどが極端に悪化することがある |
| 正式な定義 | 国・機関により判定方法が異なる | 世界共通の明確な定義はない |
| 代表例 | 通常の景気後退局面 | 1930年代のGreat Depression |
最大の違いは、経済悪化の「深さ」と「広がり」、そして「長さ」です。
リセッションは資本主義経済で繰り返される景気循環の一部として起こります。
しかしデプレッションは、通常の景気循環の後退局面という範囲を超えるほど、経済活動が深刻かつ長期的に落ち込んだ状態を指す場合に使われます。
リセッション(recession)とは?
「recession」は、日本語で一般に「景気後退」と訳されます。
経済活動がそれまでの拡大局面から縮小局面へ転じ、生産・所得・雇用・消費などが広範囲に悪化していく状態です。
アメリカで景気循環の日付を判定しているNBER(全米経済研究所)は、リセッションについて、経済全体に広がる顕著な経済活動の低下であり、通常は数か月以上続くものと説明しています。
つまり、一つの業界だけが悪化したからといって、経済全体がリセッションになったとは限りません。
リセッションでは何が起こる?
典型的なリセッションでは、経済のさまざまな部分に悪影響が及びます。
たとえば、
- 企業の売上が減る
- 企業の設備投資が減る
- 工場の生産が減る
- 雇用が減る
- 失業率が上昇する
- 家計が消費を控える
- 企業収益が悪化する
などです。
これらが互いに影響し合い、景気の悪化が広がる場合があります。
デプレッション(depression)とは?
「depression」は、経済分野では一般に、非常に深刻で長期的な経済不振を表します。
日本語では、
- 恐慌
- 大不況
- 深刻な不況
などと訳されます。
最も有名なのが、1929年から1930年代に世界を襲った、
Great Depression(世界恐慌・大恐慌)
です。
デプレッションには正式な定義がない
ここは特に重要です。
「GDPが○%下がれば必ずデプレッション」
「○年以上続けばデプレッション」
という世界共通の正式ルールがあるわけではありません。
IMF(国際通貨基金)の解説でも、デプレッションには正式な定義がないとされています。
そのうえで、一般的には極めて深刻なリセッションをデプレッションと考え、実質GDPが10%を超えて低下するほどの非常に大きな落ち込みを一つの目安として紹介しています。
ただし、この「10%」を絶対的な公式基準だと考えてはいけません。
リセッションとデプレッションの関係
二つを関係図で考えると分かりやすくなります。
通常の景気変動
↓
景気後退・リセッション
↓ 深刻化・長期化
極めて深刻な景気後退
↓
デプレッションと呼ばれる場合がある
つまりデプレッションは、一般的なリセッションとは別の無関係な現象ではありません。
非常に深刻な経済縮小を特別に表現する言葉として理解すると分かりやすいでしょう。
リセッションが長引けば必ずデプレッション?
必ずしもそうではありません。
デプレッションかどうかは、期間だけではなく、
- GDPの落ち込み
- 失業
- 企業倒産
- 金融危機
- 生産減少
- 社会への影響
などを含めた深刻さによって語られることが多いからです。
長期間にわたって成長率が低い経済でも、巨大な経済崩壊が起きていなければ、通常「デプレッション」とは表現しないことがあります。
リセッション=GDPが2四半期連続マイナス?
「実質GDPが2四半期連続で前期比マイナスになるとリセッション」
という説明を聞くことがあります。
これは、リセッションを判断する際の分かりやすい目安・経験則として広く使われます。
しかし、世界共通の絶対的な定義ではありません。
IMFも、実質GDPが2四半期連続で減少することは実務上よく使われる目安である一方、GDPだけを見る方法には限界があると説明しています。
アメリカでは2四半期連続マイナスだけで決めない
アメリカでは、NBERのBusiness Cycle Dating Committeeが景気循環の日付を判定しています。
NBERは、
- 経済活動の落ち込みの深さ
- 経済全体への広がり
- 持続期間
などを総合的に見ます。
したがって、「実質GDPが2四半期連続でマイナスだったか」だけでリセッションを決めているわけではありません。
日本の「景気後退」はどう判断する?
日本では、内閣府経済社会総合研究所が「景気基準日付」を設定しています。
景気が拡張から後退へ転じるポイントを「景気の山」、後退から拡張へ転じるポイントを「景気の谷」と呼びます。
そして、
景気の山から谷までが景気後退局面
となります。
日本でも単純に「GDPが2四半期連続マイナスだから正式に景気後退」と決定する仕組みではありません。
景気後退と不況は同じ?
「景気後退」と「不況」は日常的には近い意味で使われますが、ニュアンスが異なります。
「景気後退」は景気が悪い方向へ動いている局面・方向に注目した言葉です。
一方、「不況」は経済活動が低迷した状態を広く表します。
そのため、景気後退期が終わって景気が少し回復し始めても、経済活動の水準が低ければ、人々が「まだ不況だ」と感じることがあります。
詳しくは、「景気後退」と「不況」の違いは?リセッション・GDP・景気動向指数との違いまでわかりやすく解説も参考にしてください。
リセッションと不況の違い
日本語でrecessionを「不況」と訳すこともありますが、より厳密に対応させるなら、
recession=景気後退
と考えるほうが分かりやすいでしょう。
「不況」はより幅広く、景気が悪い状態全般について使われます。
デプレッションと恐慌は同じ?
完全な一対一対応ではありませんが、経済分野ではdepressionを「恐慌」と訳すことがあります。
代表例が、
Great Depression=世界恐慌・大恐慌
です。
ただし「depression」という英単語が出てきたら必ず日本語で「恐慌」としなければならないわけではありません。
文脈によっては「大不況」「深刻な不況」などの訳が分かりやすい場合もあります。
「恐慌」は普通の不況より強い言葉
日本語の「恐慌」は、単なる景気低迷よりもはるかに深刻な経済混乱を連想させます。
たとえば、
- 大量失業
- 企業倒産の急増
- 金融機関の破綻
- 信用収縮
- 生産の大幅な減少
などが社会全体に広がる状況です。
そのため、通常のリセッションを何でも「恐慌」と訳すのは適切ではありません。
Great Depressionとは?
「Great Depression」は、1929年に始まった世界的な深刻な経済危機を指します。
日本語では一般に、
- 世界恐慌
- 大恐慌
などと呼ばれます。
アメリカのFederal Reserve Historyによると、アメリカの経済活動は1929年にピークを迎えた後に急減し、1930年代には生産の大幅な低下、大量失業、銀行危機などが発生しました。
アメリカのGDPは大きく落ち込み、1933年には失業率が約25%まで上昇したとされています。
まさに通常のリセッションとは規模が違う経済危機でした。
株価暴落=デプレッションではない
ここも混同しやすいポイントです。
株価が大幅に暴落したからといって、それだけで経済がデプレッションになったとはいえません。
株式市場は実体経済の一部です。
デプレッションは、株価だけではなく、
- 生産
- 雇用
- 所得
- 消費
- 投資
- 金融システム
など、経済全体への非常に大きな影響を伴う状態を指します。
銀行破綻が起こればデプレッション?
これも自動的に決まるわけではありません。
金融機関の破綻は景気に大きな影響を与える可能性がありますが、一部の銀行が破綻しただけでデプレッションと判断することはできません。
重要なのは、金融危機が経済全体へどの程度広がり、雇用・生産・GDPなどにどの程度深刻な影響を及ぼしたかです。
リセッションと金融危機の違い
リセッションは景気後退を表す言葉です。
金融危機は、銀行・証券市場・信用市場など金融システムに重大な問題が起きる状態です。
二つは同じではありません。
金融危機がリセッションを引き起こすこともあれば、景気後退が金融機関の経営を悪化させることもあります。
デプレッションと金融危機の違い
デプレッションも金融危機と同じ意味ではありません。
デプレッションは経済活動全体の極端な悪化を指します。
金融危機は金融システムの危機です。
ただし、歴史的なデプレッションでは金融危機が同時に起こることがあります。
リセッションと景気減速の違い
「景気減速」は、経済が成長していても成長スピードが落ちれば使える言葉です。
たとえば、
実質GDP成長率が、
5% → 3% → 1%
と低下したとします。
経済はまだ1%成長しています。
つまり、景気は減速していますが、必ずしも景気後退とは限りません。
一方、リセッションでは経済活動そのものが縮小する局面を意味します。
詳しくは、「景気後退」と「景気減速」の違いは?GDP・リセッション・景気循環との違いまでわかりやすく解説も参考にしてください。
景気減速→リセッション→デプレッション?
言葉の強さだけを見ると、
景気減速
↓
リセッション
↓
デプレッション
というイメージを持つことができます。
ただし、必ずこの順番で経済が悪化するわけではありません。
また、景気減速は景気後退にならずに再び成長率が高まることもあります。
ソフトランディングとは?
インフレを抑えるため中央銀行が金融政策を引き締める場面では、「ソフトランディング」という言葉も登場します。
景気を極端なリセッションに陥らせず、物価上昇を落ち着かせることを航空機の着陸になぞらえた表現です。
反対に、金融引き締めなどによって景気が急激に悪化する場合には「ハードランディング」という言葉が使われます。
スタグフレーションとリセッションの違い
スタグフレーションは、景気停滞と物価上昇が同時に進む状態です。
リセッションは景気後退そのものを表します。
そのため、リセッション時に必ず物価が上がるとは限りません。
需要が大きく落ち込めば物価上昇率が低下する場合もあります。
一方、供給制約・資源価格上昇などによって、景気が弱いのに物価が上昇する場合はスタグフレーションが問題になります。
詳しくは、「インフレ」と「スタグフレーション」の違いは?物価高・景気後退・コストプッシュとの違いまでわかりやすく解説も参考になります。
リセッションになると物価は必ず下がる?
必ずしも下がりません。
景気が悪化すると需要が弱まり、物価上昇を抑える方向へ働くことがあります。
しかし、
- エネルギー価格の上昇
- 原材料不足
- 通貨安
- 供給網の混乱
などが同時に起きれば、景気が悪いにもかかわらず物価が上昇する可能性があります。
デプレッションではデフレになる?
歴史的なデプレッションでは、需要の急減や信用収縮によって物価が下落する「デフレーション」が発生した例があります。
1930年代のGreat Depressionでは、アメリカで大規模な物価下落も起こりました。
ただし、「デプレッションなら必ずデフレになる」という定義があるわけではありません。
デプレッションとデフレーションは別の言葉
英語が似ているため注意が必要です。
Depression
極めて深刻な経済不況。
Deflation
物価水準が継続的に下落すること。
一方は景気、もう一方は物価に関する言葉です。
リセッションで失業率はどうなる?
一般的に、景気が悪化すると企業の生産・売上が減り、人員採用が減少したり雇用調整が行われたりするため、失業率には上昇圧力がかかります。
ただし、雇用は景気より遅れて動くこともあります。
景気が回復し始めても、失業率の改善に時間がかかるケースがあります。
デプレッションでは雇用への影響も極めて大きい
デプレッション級の経済悪化では、大規模な失業が長期間続く可能性があります。
Great Depressionでは、アメリカの失業率が1933年に約25%まで上昇しました。
通常の景気後退と比べても、社会への影響が極端に大きかったことが分かります。
リセッションになると株価は必ず下がる?
必ずしもリセッションの開始時期と株価下落の時期が一致するわけではありません。
金融市場は将来の景気を予想して動くため、景気後退が正式に確認される前から株価が下がることがあります。
逆に、景気後退が続いている最中でも、市場が将来の景気回復を予想すれば株価が上昇し始める場合があります。
「景気後退入り」とは?
ニュースでは、
「アメリカ経済がリセッション入りする可能性」
「景気後退入りが懸念される」
などと表現されます。
これは、経済が拡張局面から後退局面へ転じることを意味します。
ただし、正式な景気循環の判定には時間がかかる場合があります。
「テクニカル・リセッション」とは?
実質GDPが2四半期連続で前期比マイナスになる状態を「テクニカル・リセッション」と呼ぶことがあります。
これは景気を素早く説明するための便利な目安です。
ただし、すでに説明したように、すべての国・機関がこの条件だけで公式な景気後退を判定するわけではありません。
「デプレッション入り」という公式発表はある?
リセッションほど制度的に判定される言葉ではありません。
「デプレッション」には世界共通の公式基準がないためです。
そのため、経済学者・報道機関などが極端な経済悪化について「デプレッション級」と表現する場合がありますが、数字一つで自動的に認定されるものではありません。
なぜデプレッションという言葉はあまり使われない?
第二次世界大戦後の先進国では、1930年代のGreat Depressionに匹敵するほど長期かつ巨大な経済収縮は非常にまれだからです。
景気がかなり悪化した場合でも、通常は、
- recession
- severe recession
- deep recession
などと表現されることがあります。
「depression」は、それより強い言葉として慎重に使われます。
2008年の金融危機はデプレッション?
2008年前後の世界金融危機は非常に深刻でしたが、一般には「Great Recession(大不況)」という呼び方が広く使われています。
名称からも、1930年代のGreat Depressionとは区別されていることが分かります。
IMFも、2007年から2009年のアメリカの景気後退は深刻だったものの、Great Depressionほどの経済的損失ではなかったと説明しています。
Great RecessionとGreat Depressionの違い
| 言葉 | 主に指すもの |
|---|---|
| Great Recession | 2007~2009年前後の世界金融危機に伴う深刻な景気後退 |
| Great Depression | 1929年から1930年代に広がった世界恐慌 |
英語学習の際にも、二つを混同しないよう注意しましょう。
「recession」と「depression」の日常英語での意味
どちらも経済以外の意味を持つ英単語です。
recessionには「後退」「退くこと」といった意味があります。
depressionには「落ち込み」「くぼみ」などの意味もあり、医学・心理分野では別の意味で使われます。
したがって、文章の文脈によって意味を判断する必要があります。
この記事では、あくまで経済用語としてのrecession・depressionを扱っています。
経済ニュースでの使い分け
英語の経済ニュースでは、通常の景気後退については「recession」が一般的です。
たとえば、
「The economy entered a recession.」
なら、
「経済が景気後退に入った」
と訳せます。
一方、
「The economy fell into a depression.」
なら、通常の景気後退よりはるかに深刻な大不況・恐慌状態を意味します。
リセッションを「恐慌」と訳すのは強すぎる
通常のrecessionを「恐慌」と訳すと、実際以上に深刻な印象を与える可能性があります。
基本的には、
recession=景気後退
と考えるのが安全です。
文脈によって「不況」と訳すこともあります。
デプレッションを「景気後退」とだけ訳すと弱すぎる場合がある
逆に、depressionを単に「景気後退」と訳すと、深刻さが十分に伝わらない場合があります。
特にGreat Depressionなら、
「世界恐慌」
「大恐慌」
と訳すのが一般的です。
4つの言葉を整理
| 言葉 | 意味 | ポイント |
|---|---|---|
| 景気減速 | 経済成長の勢いが弱まる | 成長自体は続いている場合もある |
| リセッション | 経済活動が広く低下する | 景気後退 |
| 不況 | 経済が低迷している状態 | 日常的で広い言葉 |
| デプレッション | 極めて深刻・長期的な経済不振 | 恐慌級の経済悪化 |
リセッションは悪いことだけ?
景気後退は、雇用・所得・企業収益などに深刻な悪影響を与えるため、社会的には大きな問題です。
一方、景気循環の観点では、経済は拡張と後退を繰り返します。
そのため、リセッションそのものは現代経済で時折発生する現象です。
問題は、その深さ・期間・失業などへの影響です。
中央銀行はリセッションにどう対応する?
景気が大きく悪化すると、中央銀行が金融政策を緩和する場合があります。
たとえば、
- 政策金利を引き下げる
- 金融市場へ資金を供給する
- 金融環境を緩和する
などです。
ただし、物価上昇率が高い場合などは、景気だけを見て単純に利下げできないこともあります。
政府はリセッションにどう対応する?
政府が財政政策などによって景気を支える場合があります。
たとえば、
- 公共投資
- 給付
- 減税
- 企業支援
- 雇用対策
などです。
ただし、政策の内容・規模は景気状況や財政事情によって異なります。
デプレッションでは政策対応も大規模になりやすい
デプレッション級の経済危機では、通常の景気対策だけでは十分でない場合があります。
歴史的には、
- 金融システムの安定化
- 銀行救済・預金制度改革
- 大規模な金融緩和
- 財政政策
- 雇用対策
など、幅広い政策が必要になった例があります。
「リセッション懸念」とは?
ニュースで「リセッション懸念が高まっている」と書かれている場合、まだ景気後退が正式に確認されたとは限りません。
市場参加者・専門家などが、今後経済が後退局面へ入る可能性を警戒しているという意味です。
「デプレッション懸念」はかなり強い表現
デプレッションは通常の景気後退よりはるかに強い言葉です。
そのため、単に経済成長率が少し低下した程度で「デプレッション」と表現すると、実態以上に深刻な印象を与える可能性があります。
経済記事を書く場合は、慎重に使う必要があります。
GDPだけでは景気全体を判断できない理由
GDPは経済を見るうえで非常に重要な指標ですが、景気全体を一つの数字だけで完全に把握することはできません。
景気判断では、
- 生産
- 雇用
- 所得
- 販売
- 消費
- 投資
など、複数の指標を見ることがあります。
NBERが2四半期連続GDP減少だけをリセッションの絶対条件にしていないのも、このためです。
日本の景気動向指数とは?
日本では、内閣府が「景気動向指数」を公表しています。
景気に敏感に反応する複数の経済指標を組み合わせ、景気の現状や転換点の分析に利用します。
景気循環を考えるときは、一つのGDP統計だけでなく、さまざまなデータを総合的に見ることが重要です。
リセッションとデプレッションを一瞬で見分ける方法
迷ったら次のように考えてください。
Q1. 一般的な景気後退について話している?
→ リセッション
Q2. GDP・雇用・生産などが極端に悪化し、歴史的規模の大不況になっている?
→ デプレッションと表現される可能性
Q3. 単に経済成長率が鈍っているだけ?
→ 景気減速の可能性
Q4. 景気が低迷した状態を日常的に表したい?
→ 不況
例文で使い分けを確認
例1:リセッション
○「景気指標の悪化から、リセッション入りへの懸念が強まった。」
通常の景気後退について述べています。
例2:デプレッション
○「1930年代のGreat Depressionは世界経済に長期的かつ深刻な影響を与えた。」
歴史的規模の経済危機です。
例3:景気減速
○「GDPはプラス成長を維持しているが、成長率は低下し景気減速が鮮明になった。」
経済が縮小しているとは限りません。
例4:不況
○「長引く不況で消費者の節約志向が強まった。」
経済の低迷状態を広く表しています。
よくある質問
Q1. リセッションとは簡単に言うと何ですか?
経済活動が広い範囲で低下する景気後退局面です。
Q2. デプレッションとは簡単に言うと何ですか?
通常のリセッションを大きく上回るほど深刻で長期的な経済不振を表す言葉です。
Q3. リセッションとデプレッションは同じですか?
同じではありません。
デプレッションは、一般的なリセッションよりはるかに深刻な経済悪化を表します。
Q4. デプレッションには正式な定義がありますか?
世界共通の明確な正式定義はありません。
IMFの解説では、一般に極めて深刻なリセッションを指し、実質GDPの10%超の低下を一つの目安として紹介していますが、絶対的な公式基準ではありません。
Q5. GDPが2四半期連続マイナスなら必ずリセッションですか?
「テクニカル・リセッション」の目安としてよく使われますが、すべての国・機関がこの条件だけで正式判定するわけではありません。
Q6. 日本では誰が景気後退を判断しますか?
内閣府経済社会総合研究所が、景気動向指数などを利用して景気基準日付である「山・谷」を設定しています。
Q7. リセッションと不況の違いは?
リセッションは景気が縮小する後退局面に重点があり、不況は経済活動が低迷した状態を広く表します。
Q8. デプレッションと恐慌は同じですか?
経済分野ではdepressionを「恐慌」と訳す場合があります。
特にGreat Depressionは「世界恐慌」「大恐慌」と訳されます。
Q9. リセッションが長く続けばデプレッションですか?
期間だけでは決まりません。
GDP・雇用・金融システムなどへの影響の深刻さも重要です。
Q10. 株価が暴落すればデプレッションですか?
いいえ。
株価は経済の一部であり、デプレッションは実体経済全体の極めて深刻な悪化を表します。
Q11. Great RecessionとGreat Depressionは同じですか?
違います。
Great Recessionは主に2007~2009年前後の世界金融危機に伴う大不況、Great Depressionは1929年から1930年代の世界恐慌を指します。
Q12. recessionとdepressionを日本語でどう訳せばよいですか?
基本的には「recession=景気後退」、「depression=恐慌・大不況・極めて深刻な不況」と理解すると分かりやすいでしょう。
まとめ
「リセッション」と「デプレッション」は、どちらも経済が悪化している状態に関係する言葉ですが、その深刻さが大きく異なります。
| 言葉 | 意味 | 覚え方 |
|---|---|---|
| リセッション | 経済活動が広く低下する景気後退 | 一般的な景気後退 |
| デプレッション | 極めて深刻で長期的な経済不振 | 恐慌級の大不況 |
最も簡単に整理すると、
リセッション=景気後退
デプレッション=極めて深刻なリセッション
です。
ただし、「実質GDPが○%下がればデプレッション」といった世界共通の公式基準はありません。
また、リセッションについてよく聞く「実質GDPが2四半期連続マイナス」という条件も、世界共通の絶対的な定義ではありません。
アメリカのNBERは経済活動の深さ・広がり・持続期間などを総合的に判断し、日本でも内閣府が複数の景気指標を利用して景気の山・谷を設定しています。
そのため、経済ニュースを読むときは、
「GDPがマイナスかどうか」だけでなく、雇用・所得・生産・消費など経済全体がどの程度悪化しているのか
を見ることが大切です。
そして、「デプレッション」は通常の景気悪化について気軽に使う言葉ではありません。
1930年代のGreat Depressionのように、経済・雇用・金融システム・社会全体へ極めて大きな打撃を与える状況を表す非常に強い経済用語だと理解しておくと、リセッションとの違いが分かりやすくなるでしょう。
参考資料
- IMF「Recession: When Bad Times Prevail」 ― リセッションの考え方、「2四半期連続GDP減少」が実務上の目安であること、デプレッションに正式な定義がないことなどを確認
- NBER「Business Cycle Dating Procedure: Frequently Asked Questions」 ― アメリカにおけるリセッションの定義、深さ・広がり・持続期間を重視する判定方法を確認
- 内閣府 経済社会総合研究所「用語の解説」 ― 景気循環・景気の山・景気の谷・景気基準日付など日本の景気判断に関する用語を確認
- 内閣府 経済社会総合研究所「景気基準日付」 ― 日本における景気の拡張・後退局面と山・谷の設定方法を確認
- Federal Reserve History「The Great Depression」 ― 1929年からのGreat Depressionの期間、失業・生産・金融危機など歴史的な影響を確認
