「遅刻した理由を説明してください」
「事故の原因を調べる」
「理由」と「原因」は、どちらも「なぜそうなったのか」に関係する言葉です。
そのため、
「遅刻の理由と遅刻の原因は何が違う?」
「退職理由と退職原因はどちら?」
「事故なら理由ではなく原因?」
「理由は人の行動、原因は自然現象に使う?」
「原因と要因は何が違う?」
「根拠・動機・事情との違いは?」
と迷うことがあります。
簡単にいうと、「理由」は、物事がそうなったわけや、そのように考えたり判断したりした根拠・事情を表します。一方、「原因」は、ある結果・状態・変化を実際に引き起こしたもとを表します。
たとえば、
「会社を辞めた理由を聞く」
なら、本人がなぜ退職したのか、その事情・考え・動機などを尋ねています。
一方、
「機械が停止した原因を調べる」
なら、機械停止という結果を発生させた故障箇所・異常などを探しています。
一言で覚えるなら、
理由=「なぜ?」に対する説明
原因=「何がこの結果を起こした?」に対する答え
です。
ただし、「理由」と「原因」は完全に分離できる言葉ではありません。
辞書でも「理由」には、物事がそうなった「わけ」という意味があり、哲学的な意味では結果に対する原因を含む場合もあると説明されています。
そのため、
「遅刻した理由は電車の遅延です」
と、
「遅刻の原因は電車の遅延です」
のように、同じ事実について両方を使えることもあります。
違うのは、その事実を「本人の説明・わけ」として見るか、「結果を生じさせた因果関係」として見るかです。
この記事では、「理由」と「原因」の基本的な違いから、「遅刻」「退職」「事故」「故障」「売上低下」などでの使い分け、「原因」「要因」「根拠」「動機」「事情」「事由」「きっかけ」との違いまで詳しく解説します。
- 「理由」と「原因」の違い【結論】
- 「理由」とは?
- 「理由」は人の判断・行動と相性がよい
- 「判断した理由」に「原因」は使いにくい
- 「理由を説明する」は理由
- 「理由」には根拠の意味もある
- 「理由」には「口実」という意味もある
- 「原因」とは?
- 「原因」の反対側には「結果」がある
- 事故・故障では「原因」が使いやすい
- 「原因を究明する」は原因
- 「原因」は悪い出来事だけに使う?
- 「理由」と「原因」の決定的な違い
- 「遅刻した理由」と「遅刻の原因」の違い
- 「退職理由」と「退職原因」の違い
- 「事故の理由」と「事故の原因」の違い
- 「故障の理由」と「故障の原因」は?
- 「売上が下がった理由」と「原因」の違い
- 「理由」と「原因」は重なることもある
- 「理由」と「原因」は英語でも完全には一対一ではない
- 「原因」と「要因」の違い
- 「理由」と「根拠」の違い
- 「理由」と「動機」の違い
- 「理由」と「事情」の違い
- 「理由」と「事由」の違い
- 「原因」と「きっかけ」の違い
- 「理由・原因」で迷ったときの3秒判定
- 「理由」を使った例文
- 「原因」を使った例文
- 具体例で比較:遅刻
- 具体例で比較:会社を辞める
- 具体例で比較:製品トラブル
- 具体例で比較:会議の判断
- よくある間違い1:「理由は人、原因は物にしか使わない」と考える
- よくある間違い2:「理由と原因は必ず別の事実」と考える
- よくある間違い3:「理由は主観、原因は客観」と完全に分ける
- よくある間違い4:「事故の理由」と書けば必ず間違いだと思う
- よくある間違い5:「原因」と「要因」は完全に同じと思う
- よくある間違い6:「根拠」と「理由」を同じだと思う
- 「理由」と「原因」に関するよくある質問
- まとめ
- 参考資料・出典
「理由」と「原因」の違い【結論】
| 比較項目 | 理由 | 原因 |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | 物事がそうなったわけ・判断などの根拠 | 物事・状態・変化を引き起こすもと |
| 重点 | 説明・事情・根拠 | 因果関係 |
| 人の判断・行動 | 特に使いやすい | 使える場合もある |
| 事故・故障 | 文脈によって使える | 特に使いやすい |
| 代表的な動詞 | 理由を説明する、理由を述べる | 原因を調べる、特定する、究明する |
| 代表例 | 退職した理由 | 故障の原因 |
3秒で判断するなら、
「なぜそうした・そう考えたのかを説明する?」 → 理由
「何がこの結果を引き起こしたのかを調べる?」 → 原因
と考えると分かりやすいでしょう。
「理由」とは?
物事がそうなったわけ・判断した根拠
「理由(りゆう)」とは、辞書では、
物事がそうなった、または物事をそのように判断した根拠・わけ・事情
と説明されています。
たとえば、
- 遅刻した理由
- 欠席した理由
- 退職した理由
- 反対する理由
- この商品を選んだ理由
- 理由を説明する
などと使います。
「理由」で重要なのは、
「なぜそうなったのか」
だけでなく、
「なぜそうしたのか」
「なぜそう考えるのか」
にも使えることです。
「理由」は人の判断・行動と相性がよい
たとえば、
「なぜこの会社へ応募したのですか?」
と聞かれた場合、答えるのは、
「応募した理由」
です。
本人がその行動を選んだ事情・考え・目的などを説明します。
同様に、
「この案に反対する理由を説明してください。」
なら、反対という判断をした根拠を求めています。
「判断した理由」に「原因」は使いにくい
たとえば、
「この商品を購入した理由は、価格が安かったからです。」
は自然です。
一方、
「この商品を購入した原因は、価格が安かったからです。」
とすると、少し不自然な印象になります。
購入という本人の意図的な選択について、
「なぜその判断をしたのか」
を説明しているため、「理由」が適しているからです。
「理由を説明する」は理由
「理由」とよく組み合わされる動詞には、
- 説明する
- 述べる
- 尋ねる
- 聞く
- 示す
- 挙げる
などがあります。
たとえば、
「欠席した理由を説明してください。」
「賛成する理由を三つ挙げてください。」
などです。
理由は、相手へ「なぜか」を説明するための言葉として非常によく使われます。
「理由」には根拠の意味もある
「理由」は、単なる出来事のわけだけでなく、
判断・主張を支える根拠
にも使えます。
たとえば、
「私はこの案に反対です。理由は費用が高すぎるからです。」
とすれば、「費用が高い」という事実を、反対という判断の理由として挙げています。
この場合は、何かの出来事を物理的に発生させた「原因」ではありません。
「理由」には「口実」という意味もある
辞書では、「理由」には、
いいわけ・口実
という意味もあります。
たとえば、
「忙しいことを理由に参加しなかった。」
です。
この場合、「忙しい」が参加しないことを説明する事情として用いられています。
「原因」とは?
ある結果・変化を引き起こしたもと
「原因(げんいん)」とは、辞書では、
ある物事や状態・変化を引き起こすもとになること、また、その事柄
と説明されています。
たとえば、
- 事故の原因
- 故障の原因
- 火災の原因
- 失敗の原因
- 原因を突き止める
- 原因不明
などと使います。
「原因」で中心になるのは、
原因 → 結果
という因果関係です。
「原因」の反対側には「結果」がある
「原因」は、
「結果」
と対になる言葉です。
たとえば、
原因:部品の破損
↓
結果:機械が停止した
という関係です。
つまり、
「なぜ機械が止まったのか」
を因果関係として追っていくと、「原因」を探すことになります。
事故・故障では「原因」が使いやすい
事故・故障・不具合などでは、
「原因」
が非常によく使われます。
たとえば、
「事故原因を究明する。」
「故障の原因を特定する。」
「火災原因を調査する。」
などです。
経済産業省も、重大な製品事故が発生した場合について、製造・輸入事業者には事故原因を究明し、必要に応じて再発防止措置を講ずる責任があると説明しています。
この「原因究明」は、事故という結果を生じさせた要素・過程を調べることです。
「原因を究明する」は原因
「原因」とよく組み合わされる動詞には、
- 調べる
- 探る
- 突き止める
- 特定する
- 究明する
- 分析する
- 取り除く
などがあります。
たとえば、
「同じトラブルを繰り返さないため、根本原因を究明する。」
と使います。
単に「説明を聞く」のではなく、因果関係を調査するニュアンスがあります。
「原因」は悪い出来事だけに使う?
必ずしもそうではありません。
「原因」は、ある状態・変化を引き起こすもとを表す言葉なので、本来は悪い出来事だけに限定されません。
ただし、日常では、
- 事故
- 病気
- 故障
- 失敗
- トラブル
などについて「原因」を調べる場面が多いため、悪い結果と一緒に使う印象が強くなっています。
好ましい結果については、「成功の原因」と言うこともできますが、
「成功の要因」
「成長の要因」
など、「要因」の方が自然な場面もあります。
「理由」と「原因」の決定的な違い
違い1:「説明」か「因果関係」か
最も重要な違いです。
理由は、その出来事・行動・判断がなぜなのかを説明します。
原因は、その結果を何が発生させたのかを示します。
たとえば、
「退職した理由を聞く。」
なら、本人が退職を選んだ事情を聞いています。
一方、
「社員の離職が増えた原因を分析する。」
なら、離職増加という現象を発生させた要因を調べています。
違い2:「なぜそうした?」か「何がそうさせた?」か
次の二つの質問を比べると分かりやすくなります。
「なぜ会社を辞めたのですか?」
→ 本人の理由を尋ねる。
「なぜこの会社では退職者が多いのですか?」
→ 離職を増やしている原因を分析する。
もちろん、「退職者が多い理由」と言うこともできます。
ただし、「原因」とすれば、より因果関係の分析に重点が置かれます。
違い3:「原因」は本人の説明がなくても成立する
機械故障・自然現象・病気などには、人間の意思がなくても原因があります。
たとえば、
「強風が倒木の原因となった。」
「部品の摩耗が故障の原因だった。」
などです。
一方、「理由」は人の説明・判断・行動と特に相性のよい言葉です。
ただし、日常語では「雨が降った理由」「価格が上昇した理由」のように、人の意思がない現象にも「理由」を使えるため、
「人間なら理由、自然なら原因」
と完全に分けることはできません。
「遅刻した理由」と「遅刻の原因」の違い
同じ出来事に両方使える代表例です。
遅刻した理由
本人から見た「なぜ遅刻したのか」という説明
です。
たとえば、
「遅刻した理由は、電車が遅れたためです。」
と使います。
遅刻の原因
遅刻という結果を発生させた要素
に注目します。
たとえば、
「遅刻の原因を調べると、家を出る時刻が遅すぎることが分かった。」
です。
本人の説明を求めるなら「理由」、再発防止のために何が遅刻を引き起こしているか分析するなら「原因」が使いやすいでしょう。
「退職理由」と「退職原因」の違い
本人に、
「なぜ退職するのですか?」
と尋ねるなら、通常は、
「退職理由」
です。
たとえば、
- 家庭の事情
- 転職
- キャリアアップ
- 仕事内容が合わない
などが退職理由になります。
一方、人事部が、
「なぜ当社では退職者が増えているのか」
を分析するなら、
「離職の原因」
という表現が使いやすくなります。
給与・労働時間・人間関係など、離職増加という結果を引き起こす要素を調べるためです。
「事故の理由」と「事故の原因」の違い
一般に、事故については、
「事故の原因」
が自然です。
事故は意図的に起こすものではなく、
「何が事故を発生させたのか」
を調べるからです。
たとえば、
「警察が事故の原因を調べている。」
とします。
一方、
「彼が危険な運転をした理由」
なら、運転者がなぜその行動を取ったのかという説明・動機に焦点が移るため、「理由」が自然です。
「故障の理由」と「故障の原因」は?
機械・パソコン・設備については、通常、
「故障の原因」
が適しています。
たとえば、
「パソコンが起動しない原因を調べる。」
です。
故障という結果を何が引き起こしているかを調査しているからです。
「故障した理由」も日常会話では使われますが、技術的な分析・修理では「原因」の方が意味が明確です。
「売上が下がった理由」と「原因」の違い
どちらも使えます。
「売上が下がった理由を説明してください。」
なら、売上低下について説明できる事情を求めています。
一方、
「売上低下の原因を分析する。」
なら、
- 客数減少
- 競合店の出店
- 価格上昇
- 商品力の低下
など、売上減少を引き起こした因果要素を特定しようとしています。
理由=説明する
原因=分析・特定する
という違いが分かりやすい例です。
「理由」と「原因」は重なることもある
「理由」と「原因」は、常に別々の事柄を指すわけではありません。
たとえば、
「試合が中止になった理由は大雨です。」
「試合中止の原因は大雨です。」
は、どちらも意味が通じます。
違いは見方です。
前者は、
「なぜ中止になったの?」への説明
です。
後者は、
「何が中止という結果を生じさせたの?」という因果関係
に注目しています。
つまり、同じ「大雨」を、理由としても原因としても捉えられます。
「理由」と「原因」は英語でも完全には一対一ではない
英語では一般に、
reason=理由
cause=原因
と対応させることが多いでしょう。
ただし、英語の「why」も理由・原因・目的などを幅広く尋ねる言葉であり、日本語でも「なぜ」に対して「理由」「原因」の両方で答えられる場合があります。
そのため、「なぜと聞かれたら必ず理由」と考える必要はありません。
「原因」と「要因」の違い
「原因」と特に混同しやすい言葉が、
「要因(よういん)」
です。
辞書では、「要因」は、
物事がそうなった主要な原因
あるいは、物事の成立・発現において原因・条件となる要素と説明されています。
実際の分析では、複数の要素を分けて考えるときに「要因」がよく使われます。
たとえば、
「売上減少には複数の要因がある。」
として、
- 価格
- 競争環境
- 広告
- 季節
などに分けて分析できます。
一方、「原因」は、結果との因果関係そのものを示す語として広く使われます。
なお、専門分野によって「原因」「要因」の使い方は異なるため、常に「原因は一つ、要因は複数」と決めつけない方が安全です。
「理由」と「根拠」の違い
「根拠(こんきょ)」は、
判断・主張などのよりどころとなるもの
です。
たとえば、
「その数字を正しいと判断した根拠を示してください。」
と使います。
「理由」はより広く「なぜか」を説明できますが、「根拠」は、
「その判断・主張を何によって支えているか」
に重点があります。
| 言葉 | 重点 |
|---|---|
| 理由 | なぜそうなった・そう考えたのか |
| 根拠 | 判断・主張を支えるよりどころ |
たとえば、
「この商品をおすすめする理由は性能が高いからです。」
と説明したうえで、
「性能が高いという根拠は第三者試験の結果です。」
と続けることができます。
「理由」と「動機」の違い
「動機(どうき)」は、
人が意思を決めたり、行動を起こしたりする直接の原因
です。
たとえば、
- 応募の動機
- 犯行の動機
- 転職の動機
- 勉強を始めた動機
などです。
「理由」は行動だけでなく、判断・状態・出来事など広く使えます。
一方、「動機」は特に、
「人をその行動へ動かした内面的なきっかけ・目的」
へ焦点を当てます。
たとえば、
「転職理由は勤務時間が長かったことです。」
と説明できます。
一方、
「転職の動機は、新しい分野へ挑戦したいと思ったことです。」
なら、本人を行動へ向かわせた気持ちに焦点があります。
「理由」と「事情」の違い
「事情(じじょう)」は、
物事がある状態に至るまでの理由や状態・事の次第
を表します。
たとえば、
「家庭の事情で欠席します。」
と使います。
「理由」が「なぜか」という答えを比較的直接示すのに対し、
「事情」は、
その背景にある複数の状況・都合
を含めて表すことができます。
また、詳しい内容を明らかにしたくない場合に、
「諸事情により中止します。」
と婉曲に表現することもあります。
「理由」と「事由」の違い
「事由(じゆう)」は、
事柄が生じた理由・原因、事のわけ
を表します。
また、法律では、理由または原因となる事実という意味でも使われます。
たとえば、
「やむを得ない事由」
「解約事由」
などです。
日常会話では「理由」の方が一般的で、「事由」は法律・契約・規則などの改まった文章で使われやすい言葉です。
「原因」と「きっかけ」の違い
「きっかけ」は、
物事を始めたり、変化したりする直接の機会・契機
を表します。
たとえば、
「友人の勧めが運動を始めるきっかけになった。」
です。
ここで友人の勧めは、運動を始める契機ですが、それだけで運動習慣が続いているすべての原因を説明できるとは限りません。
そのため、
きっかけ=始まる契機
原因=結果を引き起こすもと
と考えると分かりやすいでしょう。
「理由・原因」で迷ったときの3秒判定
| こんな場合 | 選びやすい言葉 |
|---|---|
| 欠席したわけを説明する | 理由 |
| 退職した本人の事情を聞く | 理由 |
| なぜその案に賛成するか説明する | 理由 |
| 商品を選んだわけ | 理由 |
| 機械が故障したもとを調べる | 原因 |
| 事故が起きたもとを究明する | 原因 |
| 病気を引き起こしたもの | 原因 |
| トラブル再発防止のために分析する | 原因 |
| 遅刻について本人が説明する | 理由が使いやすい |
| 遅刻を繰り返す要因を分析する | 原因が使いやすい |
最も簡単に覚えるなら、
理由=「なぜ?」を説明する
原因=「何が結果を起こした?」を調べる
です。
「理由」を使った例文
- 遅刻した理由を説明する。
- 転職を決めた理由を話す。
- この案に反対する理由を述べる。
- 彼が欠席した理由は分からない。
- この商品を選んだ理由は価格の安さだ。
- 健康上の理由で仕事を休む。
- そのように判断した理由を教えてください。
「原因」を使った例文
- 事故の原因を調査する。
- 機械が停止した原因を特定する。
- 火災の原因は現在調査中だ。
- 売上減少の原因を分析する。
- 不具合の根本原因を突き止める。
- 同じ事故を防ぐため原因を究明する。
- 現時点では故障の原因は不明だ。
具体例で比較:遅刻
上司が社員に、
「今日遅刻した理由を教えてください。」
と言った場合、本人から事情を説明してもらおうとしています。
一方、その社員が毎週のように遅刻しており、改善策を考えるなら、
「遅刻を繰り返す原因を分析しよう。」
となります。
睡眠時間・通勤経路・出発時刻など、結果を生む仕組みを調べるからです。
具体例で比較:会社を辞める
退職面談で本人へ聞くなら、
「退職理由を教えてください。」
が自然です。
一方、会社全体で離職率が上昇している場合、
「離職増加の原因を調査する。」
と表現できます。
同じ「退職」でも、本人の説明を求めるのか、会社側が現象を分析するのかで言葉が変わります。
具体例で比較:製品トラブル
顧客に、
「なぜ交換が必要なのですか?」
と説明する場合は、
「交換する理由」
を伝えます。
一方、製造側が、
「なぜこの製品が破損したのか」
を技術的に調べるなら、
「破損原因を究明する」
となります。
具体例で比較:会議の判断
会議で新規事業を中止することになったとします。
「事業を中止した理由を説明する。」
なら、中止という判断をした根拠・事情を説明します。
一方、
「事業が赤字になった原因を分析する。」
なら、赤字という結果をもたらした因果関係を調べています。
よくある間違い1:「理由は人、原因は物にしか使わない」と考える
これは正確ではありません。
人の行動にも原因はありますし、自然現象について理由という言葉を使うこともあります。
たとえば、
「人がミスを繰り返す原因を分析する。」
は自然です。
また、
「空が青く見える理由を説明する。」
も自然です。
対象が人か物かではなく、説明に重点を置くのか、因果関係に重点を置くのかで考えましょう。
よくある間違い2:「理由と原因は必ず別の事実」と考える
同じ事実が理由にも原因にもなる場合があります。
たとえば、電車の遅延は、
遅刻した本人が説明する「理由」
であると同時に、
遅刻という結果を生じさせた「原因」
とも言えます。
違うのは事実そのものではなく、その事実をどう捉えるかです。
よくある間違い3:「理由は主観、原因は客観」と完全に分ける
「理由」は本人の説明・判断と結び付きやすく、「原因」は客観的な因果分析で使いやすい傾向があります。
しかし、これは絶対的な区別ではありません。
「価格上昇の理由を客観的に説明する」
こともできますし、原因の判断が調査者によって異なることもあります。
単純に「主観/客観」で二分しない方が安全です。
よくある間違い4:「事故の理由」と書けば必ず間違いだと思う
事故そのものを引き起こしたものを指すなら、通常は「原因」が適しています。
しかし、
「運転者が急いでいた理由」
「危険な行動を取った理由」
など、事故に関係した人の判断・行動について説明するなら「理由」を使えます。
よくある間違い5:「原因」と「要因」は完全に同じと思う
意味は近いですが、「要因」は物事の成立・発生に関わる原因・条件となる要素という意味を持ちます。
複数の要素に分けて分析する場面では「要因」が便利です。
ただし、専門分野によって使い方は変わるため、「原因は一つ、要因は複数」と機械的に決めないようにしましょう。
よくある間違い6:「根拠」と「理由」を同じだと思う
意味は重なりますが、
根拠は、判断・主張を支えるよりどころに重点があります。
「なぜそう考えるか」という理由を述べ、その理由をさらに事実・データなどの根拠で支えることもできます。
「理由」と「原因」に関するよくある質問
Q1. 「理由」と「原因」は同じ意味ですか?
意味は重なる場合がありますが、重点が違います。
「理由」は物事がそうなったわけ・判断の根拠、「原因」は物事・状態・変化を引き起こしたもとです。
Q2. 遅刻は「理由」「原因」のどちらですか?
どちらも使えます。
本人が遅刻した事情を説明するなら「遅刻した理由」、遅刻を引き起こす要素を分析するなら「遅刻の原因」が使いやすいでしょう。
Q3. 退職は「理由」「原因」のどちらですか?
本人がなぜ退職したかを尋ねるなら、通常は「退職理由」です。
企業が離職率上昇を分析するなら「離職の原因」が使いやすくなります。
Q4. 事故は「理由」「原因」のどちらですか?
事故を発生させたものを調べるなら、通常は「事故の原因」です。
事故に関係した人がなぜ特定の行動を取ったかを尋ねるなら「行動した理由」と表現できます。
Q5. 故障はどちらですか?
技術的な分析では、「故障の原因」が一般的です。
故障という結果を引き起こした箇所・条件を調査するためです。
Q6. 「理由」と「要因」は何が違いますか?
「理由」はなぜそうなったかを説明するわけ・根拠です。
「要因」は、その物事の発生・成立に関係する原因・条件となる要素を表します。
Q7. 「理由」と「根拠」は何が違いますか?
「理由」は「なぜか」について幅広く使えます。
「根拠」は判断・主張を正当化するよりどころに重点があります。
Q8. 「理由」と「動機」は何が違いますか?
「理由」は幅広い「なぜ」を表します。
「動機」は特に、人が行動・意思決定をする直接の原因や、その人を行動へ動かした内面的な理由を表します。
Q9. 「原因」と「きっかけ」は何が違いますか?
「原因」は結果を引き起こすもと、「きっかけ」は物事が始まる契機です。
きっかけが原因の一部になる場合もありますが、常に同じではありません。
Q10. 迷ったときの簡単な見分け方は?
「なぜなのかを説明したい?」 → 理由
「何が結果を引き起こしたのか特定したい?」 → 原因
と考えてください。
まとめ
「理由」と「原因」はどちらも「なぜ」に関係しますが、意味の中心が異なります。
| 理由 | 原因 |
|---|---|
| 物事がそうなったわけ・判断の根拠 | 物事・状態・変化を引き起こすもと |
| 説明に重点 | 因果関係に重点 |
| 退職理由 | 事故原因 |
| 欠席理由 | 故障原因 |
| 判断した理由 | 不具合の原因 |
| 理由を説明する | 原因を究明する |
最も簡単な覚え方は、
理由=「なぜ?」に対する説明
原因=「何がこの結果を起こした?」に対する答え
です。
たとえば、
「退職した理由を聞く」
なら、本人がなぜ退職するのか、その事情・考えを尋ねています。
一方、
「離職者が増えている原因を調査する」
なら、離職増加という結果を引き起こしている要素を分析します。
ただし、「理由」と「原因」は意味が重なる場合もあります。
「試合が中止になった理由は大雨だった」
「試合中止の原因は大雨だった」
は、どちらも成立します。
この場合、
理由=中止になったわけとして説明している
原因=大雨が中止という結果を生じさせたと捉えている
という視点の違いがあります。
また、
「理由=人間、原因=自然・物」
「理由=主観、原因=客観」
と完全に分けるのも正確ではありません。
人の行動にも原因があり、自然現象にも「理由」という言葉を使うことがあります。
文章で迷った場合は、対象ではなく、
「わけ・事情・判断根拠を説明しているのか」
「結果を発生させた因果関係を示しているのか」
を確認してください。
前者なら「理由」、後者なら「原因」が使いやすいでしょう。
参考資料・出典
本記事は、以下の辞書・経済産業省等の資料を参照し、内容を整理したうえで作成しています。
-
コトバンク「理由」
― 物事がそうなったわけ、物事をそのように判断した根拠という「理由」の基本的な意味と、「原因」と意味が重なる場合についての解説 -
コトバンク「原因」
― ある物事・状態・変化を引き起こすもとになるものという「原因」の基本的な意味 -
コトバンク「要因」
― 物事がそうなった主要な原因、成立・発現の原因または条件となる要素という「要因」の意味 -
コトバンク「根拠」
― 判断などのよりどころ・理由となるものという「根拠」の意味 -
コトバンク「動機」
― 人が意思を決めたり行動を起こしたりする直接の原因という「動機」の意味 -
コトバンク「事情」
― 物事がある状態に至るまでの理由・状態・事の次第という「事情」の意味 -
コトバンク「事由」
― 事柄が生じた理由・原因、および法律上の理由・原因となる事実という「事由」の意味 -
経済産業省「事業者のみなさまへ―製品安全」
― 重大製品事故について「事故原因を究明」し、再発防止措置を講ずるという現在の公的な「原因」の使用例
※「理由」と「原因」は意味が重なる場合があります。本記事では、辞書上の意味と現代日本語での一般的な用法を基に、実用上の使い分けを整理しています。
※「理由=人の行動」「原因=自然現象・故障」、「理由=主観」「原因=客観」といった区別は理解の助けになる場合がありますが、すべての用例に当てはまる絶対的なルールではありません。
※「原因」「要因」「根本原因」などは、品質管理・事故調査・医療・統計など専門分野によって定義や使い分けが異なる場合があります。
※外部サイトの内容やURLは、公開後に変更・移動・削除される場合があります。
