「セキュリティのため2段階認証を設定してください」
「2要素認証を有効にすると安全性が高まります」
Google・Microsoft・Appleなどのアカウント設定を見ていると、「2段階認証」「2要素認証」「2ファクタ認証」「多要素認証」といった似た言葉が登場します。
そのため、
「2段階認証と2要素認証は同じ意味?」
「認証を2回すれば2要素認証になる?」
「パスワードと秘密の質問なら2要素?」
「SMSの確認コードは2要素認証?」
「多要素認証とは何が違う?」
と迷うことがあります。
結論からいうと、「2段階認証」は認証手続きを2つの段階に分けることを表し、「2要素認証」は異なる種類の認証要素を2種類使って本人確認することを表します。
一言で覚えるなら、
2段階認証=「何回・何段階で確認するか」
2要素認証=「何種類の要素を使って確認するか」
です。
たとえば、
- パスワードを入力する
- 秘密の質問に答える
という仕組みは、認証処理を2回行うため「2段階」とはいえます。
しかし、パスワードも秘密の質問も、どちらも、
「本人が知っていること」
という同じ種類の認証要素です。
したがって、技術的には「異なる2要素を使った認証」とはいえません。
一方、
- パスワードを入力する
- 登録済み端末の認証アプリで承認する
という場合は、
知識要素+所持要素
という異なる種類を組み合わせるため、2要素認証に該当する構成になります。
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)も、二段階認証は「認証のプロセスを二段階に分けること」、二要素認証は異なる認証要素を2種類用いることとして区別しています。
ただし、実際のサービス名称では「2段階認証」「2要素認証」「2ファクタ認証」が厳密に使い分けられていないケースもあります。
Googleは「2段階認証プロセス」を英語では「2-Step Verification」と呼びながら、公式ヘルプ内で「two-factor authentication」とも説明しています。
Microsoftも「two-step verification」を、多要素認証の一種として説明することがあります。
そのため、サービス名だけで仕組みを判断せず、
「実際にどの認証要素を組み合わせているか」
を見ることが重要です。
- 「2段階認証」と「2要素認証」の違い【結論】
- そもそも「認証要素」とは?
- 「知識要素」とは?
- 「所持要素」とは?
- 「生体要素」とは?
- 「2段階認証」とは?
- 「2要素認証」とは?
- 2段階認証なのに「1要素」ということもある
- 逆に「1段階でも2要素」ということはある?
- 「多要素認証」とは?
- 2要素認証と多要素認証の違い
- 「多段階認証」と「多要素認証」も違う
- なぜ2要素認証のほうが重要なの?
- パスワード+秘密の質問は2要素認証?
- パスワード+PINは2要素認証?
- パスワード+SMSコードは2要素認証?
- パスワード+認証アプリは?
- 「確認コードを2回入力」なら2要素?
- Appleの「2ファクタ認証」は?
- Googleの「2段階認証プロセス」は?
- Microsoftの「2段階認証」は?
- サービス名だけで判断しないことが重要
- 2要素認証ならフィッシングにも完全に安全?
- 「段階が多ければ多いほど安全」なの?
- 「2段階認証・2要素認証」で迷ったときの3秒判定
- 「2段階認証」を使った例文
- 「2要素認証」を使った例文
- 具体例で比較:パスワード+秘密の質問
- 具体例で比較:パスワード+認証アプリ
- 具体例で比較:複数要素を一度に確認
- よくある間違い1:「2段階認証=2要素認証」だと思う
- よくある間違い2:「2回パスワードを入力すれば2要素」と思う
- よくある間違い3:「パスワード+PINなら必ず2要素」と思う
- よくある間違い4:「2要素認証は必ず2画面必要」と思う
- よくある間違い5:「SMSなら絶対安全」と思う
- よくある間違い6:「2要素認証ならフィッシングに絶対引っかからない」と思う
- よくある間違い7:「サービス名に2段階と書いてあるから1要素しか使っていない」と思う
- 「2段階認証」と「2要素認証」に関するよくある質問
- まとめ
- 参考リンク・出典
「2段階認証」と「2要素認証」の違い【結論】
| 比較項目 | 2段階認証 | 2要素認証 |
|---|---|---|
| 注目するもの | 認証の「段階・回数」 | 認証に使う「要素の種類」 |
| 条件 | 2段階に分けて本人確認する | 異なる2種類の認証要素を使う |
| 同じ要素を2回使っても成立する? | 概念上はあり得る | 成立しない |
| 例 | パスワード→秘密の質問 | パスワード+認証アプリ等 |
| セキュリティ上重要なのは? | 段階数だけでは判断できない | 異なる要素を組み合わせることが重要 |
| 英語の代表表現 | Two-Step Verification | Two-Factor Authentication(2FA) |
3秒で判断するなら、
「認証を2回・2段階に分けている?」 → 2段階認証
「異なる種類の認証要素を2つ使っている?」 → 2要素認証
です。
そもそも「認証要素」とは?
本人確認に利用する情報・手段の種類を、
「認証要素」
といいます。
NIST(米国国立標準技術研究所)は、認証要素を大きく次の3種類に分類しています。
| 認証要素 | 意味 | 代表例 |
|---|---|---|
| 知識要素 | 本人が知っていること | パスワード、PINなど |
| 所持要素 | 本人が持っているもの | 認証デバイス、暗号鍵を保持する端末など |
| 生体要素 | 本人自身の身体的特徴 | 指紋、顔など |
英語では、
- Something you know
- Something you have
- Something you are
と説明されます。
この「種類」が2つあることが、2要素認証を理解するポイントです。
「知識要素」とは?
知識要素は、本人だけが知っている情報を使って本人確認する方法です。
代表例には、
- パスワード
- PIN
- 暗証番号
などがあります。
注意したいのは、パスワードとPINを両方使っても、どちらも「知っていること」であれば、認証要素の種類としては同じだということです。
NISTも、ユーザーが設定したPINとパスワードは、どちらも知識要素なので、2つ使っても2要素にはならないと説明しています。
「所持要素」とは?
所持要素は、利用者が持っているものを利用して本人確認する方法です。
たとえば、
- 暗号鍵を保持した端末
- ハードウェアセキュリティキー
- 認証用デバイス
- ワンタイムパスワードを生成する認証器
などがあります。
「正しいパスワードを知っている」ことに加えて「登録済みの認証器を持っている」ことを確認すれば、知識要素と所持要素を組み合わせた認証になります。
「生体要素」とは?
生体要素は、本人自身の身体的特徴を利用します。
代表的なのが、
- 指紋
- 顔
- 虹彩など
です。
ただし、実際の認証システムでは、生体情報を単独でサーバーへ送るのではなく、端末内の認証器を解除する目的などで利用されることもあります。
そのため、「指紋認証を使っているから必ず2要素認証」というわけではなく、認証システム全体の構成を確認する必要があります。
「2段階認証」とは?
認証プロセスを2つの段階に分けること
「2段階認証」は、本人確認のプロセスを2つの段階に分けて行う方式を指します。
重要なのは、
2回確認することと、2種類の要素を使うことは別
という点です。
たとえば、
- パスワードを入力
- 別の秘密の質問へ回答
という方法なら、処理としては2段階です。
しかし両方とも「知識要素」なので、厳密な意味での2要素認証ではありません。
「2要素認証」とは?
異なる2種類の認証要素を組み合わせること
「2要素認証」は、
異なる種類の認証要素を2つ組み合わせる認証方式
です。
英語では、
Two-Factor Authentication
と呼ばれ、
2FA
と略されます。
たとえば、
パスワード+認証器
であれば、
知識要素+所持要素
という異なる2種類を使用します。
これが典型的な2要素認証です。
2段階認証なのに「1要素」ということもある
あります。
たとえば、
- パスワード
- 別の暗証番号
を順番に入力するとします。
認証処理は2段階ですが、両方とも、
「知っていること」
です。
したがって、要素の分類では1種類です。
NISCも、二段階認証では認証処理を二段階に分けていても、使用する要素が異なるとは限らないと説明しています。
逆に「1段階でも2要素」ということはある?
あります。
一つの認証器の利用に、
「その認証器を持っていること」
と、
「指紋など本人自身の要素」
の両方が必要になる構成などです。
NISTは、一つの認証イベントの中で、異なる2種類の要素を要求する「マルチファクタ認証器」も認めています。
つまり、画面上で何回入力したかだけでは、2要素認証かどうかを判断できません。
「多要素認証」とは?
「多要素認証」は、
Multi-Factor Authentication
の日本語で、
MFA
と略されます。
NISTでは、異なる種類の認証要素を複数必要とする認証システムをMFAと定義しています。
したがって、
多要素認証=異なる2種類以上の認証要素を使用
と考えられます。
その中でも、ちょうど2種類を使うものが、
2要素認証
です。
関係を整理すると、
多要素認証(MFA)の中に2要素認証(2FA)が含まれる
と考えると分かりやすいでしょう。
2要素認証と多要素認証の違い
| 2要素認証 | 多要素認証 |
|---|---|
| 異なる2種類の要素 | 異なる2種類以上の要素 |
| 2FA | MFA |
| 多要素認証の一種 | より広い概念 |
つまり、すべての2要素認証は多要素認証ですが、「多要素」という言葉自体は2種類に限定されません。
「多段階認証」と「多要素認証」も違う
同じ考え方で、
多段階認証
と、
多要素認証
も区別できます。
多段階認証は、認証処理を複数の段階へ分けること。
多要素認証は、異なる種類の認証要素を複数利用することです。
大切なのは、
「段階数」と「要素数」を別々に考えること
です。
なぜ2要素認証のほうが重要なの?
同じ種類の認証情報を増やすより、異なる種類の要素を組み合わせることで、攻撃者が突破しなければならない条件を増やせるためです。
たとえば、パスワードだけなら、パスワードを盗まれると不正ログインされる可能性があります。
しかし、
パスワード+別の認証器
が必要なら、攻撃者はパスワードだけでなく、2つ目の要素まで突破する必要があります。
NISTの認証保証レベルAAL2でも、異なる2種類の認証要素の所持・制御を証明することが要求されています。
パスワード+秘密の質問は2要素認証?
通常は2要素とは考えません。
パスワードも秘密の質問への回答も、基本的には、
「本人が知っている情報」
だからです。
つまり、
知識要素+知識要素
です。
2回質問されているので二段階ではあり得ますが、異なる種類の2要素ではありません。
パスワード+PINは2要素認証?
認証システムの構成によりますが、単純に2つとも「利用者が知っている秘密」として使うのであれば、2要素にはなりません。
NISTも、パスワードとユーザー設定PINの両方を要求しても、どちらも知識要素であるため2要素ではないと説明しています。
パスワード+SMSコードは2要素認証?
サービスの設計によっては、パスワードによる知識要素と、登録電話番号・端末へのアクセスを確認する所持要素を組み合わせる仕組みとして利用されます。
ただし、SMSには、
- SIMスワップ
- 電話番号の乗っ取り
- メッセージの傍受
などのリスクが指摘されています。
NISCも、SMSを使ったワンタイムパスワードについて、SIMハイジャックなどの攻撃事例があるとして注意を促しています。
そのため、利用できる選択肢が複数ある場合には、認証アプリやセキュリティキーなど、より強い方法が選択肢になることがあります。
パスワード+認証アプリは?
典型的な2要素認証の構成の一つです。
たとえば、
パスワード=知識要素
認証アプリを利用できる端末・認証器=所持要素
という組み合わせです。
ただし認証アプリにも、
- ワンタイムコード方式
- プッシュ通知方式
- 暗号学的な認証方式
などさまざまな仕組みがあるため、安全性は一律ではありません。
「確認コードを2回入力」なら2要素?
必ずしもそうではありません。
同じ種類の要素を何回確認しても、認証要素の種類が増えるとは限りません。
重要なのは、
「何回確認したか」ではなく、「異なる種類の要素を使ったか」
です。
Appleの「2ファクタ認証」は?
Appleは、Apple Accountの保護機能を、
「2ファクタ認証」
と呼んでいます。
Appleの公式サポートでは、新しいデバイスやWeb上で初めてApple Accountへサインインする際、
- Apple Accountのパスワード
- 信頼済みデバイス等に表示される確認コード
などを利用して本人確認する仕組みが説明されています。
Appleは「2段階認証」ではなく、認証要素を意識した「2ファクタ認証」という名称を採用しています。
Googleの「2段階認証プロセス」は?
Googleは日本語で、
「2段階認証プロセス」
という名称を使用しています。
Googleの公式案内では、パスワードでログインする場合に、追加の確認手段として、
- Googleからのメッセージ
- 認証アプリ
- 確認コード
- セキュリティキーなど
を利用できます。
またGoogleは英語版ヘルプで「2-Step Verification, or two-factor authentication」と表現するなど、サービス名称として両者を近い意味で扱っています。
このように、実際の製品名では用語が必ずしも学術的・技術的分類と完全一致するわけではありません。
Microsoftの「2段階認証」は?
MicrosoftもMicrosoftアカウントについて、
「two-step verification」
という名称を使用しています。
Microsoftは、パスワードに加えて連絡方法など別の本人確認情報を使うことで、パスワードが知られてもアカウントへ入りにくくなると説明しています。
またMicrosoftでは職場・学校向けサービスなどで、
MFA(多要素認証)
という用語も広く利用されています。
サービス名だけで判断しないことが重要
ここまでを見ると、
「Googleは2段階」
「Appleは2要素」
「Microsoftは2段階」
のように見えます。
しかし、それだけで、
「Appleのほうが安全」「Googleは2要素ではない」
などと判断するのは適切ではありません。
各社が採用するサービス名称と、認証方式を分類する技術用語は必ずしも一致しないためです。
実際には、
「どの認証要素を使用しているか」
を確認する必要があります。
2要素認証ならフィッシングにも完全に安全?
いいえ。
2要素認証であっても、認証方式によってフィッシングへの耐性は異なります。
たとえば、攻撃者の偽サイトへパスワードとワンタイムコードの両方を入力してしまい、その情報を即座に本物のサイトへ転送される攻撃も考えられます。
一方、FIDO2・WebAuthnを利用するセキュリティキーやパスキーなどは、正規のサイトとの関連付けを利用することでフィッシングへの耐性を高めるよう設計されています。
したがって、
「2要素なら方式に関係なくすべて同じ強さ」
ではありません。
「段階が多ければ多いほど安全」なの?
単純には判断できません。
たとえば知識要素を3回入力する仕組みと、異なる2種類の強い要素を適切に組み合わせた仕組みなら、後者のほうが強い場合があります。
NISCも、段階数ではなく異なる要素を組み合わせる多要素認証を重視しています。
重要なのは、
認証回数より認証方式の中身
です。
「2段階認証・2要素認証」で迷ったときの3秒判定
| こんな場合 | 答え |
|---|---|
| 本人確認を2回に分けて行う | 2段階認証 |
| 異なる2種類の認証要素を使う | 2要素認証 |
| パスワード+別の秘密の質問 | 2段階になり得るが、通常は2要素ではない |
| パスワード+別種類の認証器 | 2要素認証になり得る |
| 異なる2種類以上の要素を利用 | 多要素認証 |
| パスワード+PIN(両方を知識として利用) | 2要素ではない |
| 何回入力したかだけ分かる | 2要素かどうかは判断できない |
最も簡単に覚えるなら、
段階=「回数・プロセス」
要素=「認証情報の種類」
です。
「2段階認証」を使った例文
- アカウントの2段階認証を有効にした。
- Googleアカウントの2段階認証プロセスを設定する。
- 2段階認証の2回目の確認コードを入力した。
- サービスの2段階認証設定を確認する。
- 2段階認証の予備のログイン方法を登録した。
「2要素認証」を使った例文
- パスワードと認証器を組み合わせた2要素認証を利用する。
- 2要素認証では異なる認証要素を組み合わせる。
- 会社のシステムに2要素認証を導入した。
- 2要素認証によってアカウント保護を強化する。
- 認証方式が本当に2要素認証になっているか確認する。
具体例で比較:パスワード+秘密の質問
最初にパスワードを入力し、次の画面で、
「子どものころのニックネームは?」
などの質問へ答えるとします。
処理は2回なので、
2段階
です。
しかし、どちらも本人が「知っている情報」なので、
知識要素+知識要素
です。
したがって、厳密な2要素認証にはなりません。
具体例で比較:パスワード+認証アプリ
最初にパスワードを入力し、次に登録済みの認証器から確認コードを取得するとします。
この場合、システム設計が、
知識要素+所持要素
を確認する構成になっていれば、2要素認証になります。
さらに2回の認証処理に分かれているなら、
2段階かつ2要素
ともいえます。
具体例で比較:複数要素を一度に確認
ある暗号認証デバイスを利用するために、デバイスの所持に加えて生体認証が必須になっているとします。
NISTでは、このように1つの認証器の利用そのものに異なる複数要素を要求するものを、マルチファクタ認証器として扱います。
画面上で2回別々に質問されなくても、複数要素を使った認証になり得ます。
よくある間違い1:「2段階認証=2要素認証」だと思う
日常的なサービス名称では近い意味として使われることがありますが、技術的な概念は異なります。
2段階はプロセスの数、2要素は認証要素の種類です。
よくある間違い2:「2回パスワードを入力すれば2要素」と思う
同じ種類の知識要素を2回確認しても、2要素にはなりません。
よくある間違い3:「パスワード+PINなら必ず2要素」と思う
どちらも「知っていること」として使われるなら、異なる2要素ではありません。
よくある間違い4:「2要素認証は必ず2画面必要」と思う
必ずしもそうではありません。
一つの認証器の中で異なる複数要素を確認する方式もあります。
よくある間違い5:「SMSなら絶対安全」と思う
SMSを利用した確認はパスワードだけより保護を強化できる場合がありますが、SIMスワップなどのリスクがあります。
利用可能であれば、サービスが提供するより強力な認証方式も検討するとよいでしょう。
よくある間違い6:「2要素認証ならフィッシングに絶対引っかからない」と思う
認証コードを利用する方式などでは、リアルタイム型フィッシングの影響を受ける可能性があります。
2要素認証の中でも方式によってフィッシング耐性は異なります。
よくある間違い7:「サービス名に2段階と書いてあるから1要素しか使っていない」と思う
Googleなどのように、サービス名称として「2段階認証」を使いつつ、実際には異なる要素を組み合わせる選択肢を提供しているサービスがあります。
名称だけで判断せず、実際の認証方法を確認することが重要です。
「2段階認証」と「2要素認証」に関するよくある質問
Q1. 「2段階認証」と「2要素認証」の一番簡単な違いは?
2段階認証は認証の回数・段階、2要素認証は利用する認証要素の種類に注目した言葉です。
Q2. 2段階認証なら必ず2要素認証ですか?
いいえ。
同じ種類の要素を2段階で確認する方式もあるためです。
Q3. 2要素認証なら必ず2段階ですか?
必ずしもそうではありません。
一つの認証イベント・認証器の中で異なる2要素を要求する構成もあります。
Q4. パスワードと秘密の質問は2要素ですか?
通常は違います。
どちらも本人が知っている情報なので、同じ「知識要素」に分類されます。
Q5. パスワードとSMSコードは2要素ですか?
サービスの設計次第ですが、登録済み端末・電話番号へのアクセスを所持要素として確認する構成で利用されることがあります。
ただしSMSにはSIMスワップ等のリスクがあるため、認証方法ごとの安全性も考える必要があります。
Q6. 「2ファクタ認証」と「2要素認証」は同じですか?
はい。
「factor」は「要素」を意味するため、Two-Factor Authenticationを日本語で「2要素認証」「2ファクタ認証」と表現します。
Q7. 多要素認証と2要素認証の違いは?
多要素認証は異なる2種類以上の要素を利用する広い概念です。
そのうち2種類を利用するものが2要素認証です。
Q8. Googleの2段階認証は2要素認証ではないのですか?
名称だけで判断することはできません。
Googleはサービス名称として「2段階認証プロセス」を使用していますが、異なる認証要素を組み合わせる方式も提供しています。
Q9. 2要素認証を設定すればパスワードは弱くても大丈夫ですか?
おすすめできません。
2つ目の要素があるからといって、パスワード管理を軽視するのは適切ではありません。
パスワードを使う場合は、十分に強く、サービスごとに異なるものを使うことが基本です。
Q10. どの認証方式を選べばよいですか?
利用できる方式の中では、異なる認証要素を組み合わせた多要素認証を利用することが基本です。
さらにフィッシングへの耐性が必要な場合は、FIDO2・WebAuthnに基づくパスキーやセキュリティキーなど、フィッシング耐性を持つ方式を利用できるか確認するとよいでしょう。
まとめ
「2段階認証」と「2要素認証」は、似た意味で使われることがありますが、厳密には注目しているポイントが異なります。
| 2段階認証 | 2要素認証 |
|---|---|
| 認証プロセスの段階に注目 | 認証要素の種類に注目 |
| 2段階に分けて確認する | 異なる2種類の要素を使う |
| 同じ要素を2回使う場合もあり得る | 同じ要素だけでは成立しない |
| Two-Step Verification | Two-Factor Authentication(2FA) |
| 安全性は認証方法の中身による | 多要素認証の一種 |
最も簡単な覚え方は、
2段階認証=「2回・2段階で確認する」
2要素認証=「異なる2種類の要素で確認する」
です。
認証要素には、大きく、
- 知識要素=知っていること
- 所持要素=持っているもの
- 生体要素=本人自身の特徴
があります。
パスワードとPINのように同じ種類の要素を複数使っても、厳密な意味で2要素にはなりません。
一方、異なる種類の要素を組み合わせることで、一つの認証情報が漏えいした場合でも、不正ログインを防ぎやすくなります。
また、
2要素認証=2FA
多要素認証=MFA
であり、2要素認証は多要素認証の一種です。
ただし実際のWebサービスでは、「2段階認証」「2ファクタ認証」などの名称が、厳密な技術分類とは少し異なる使い方をされる場合があります。
そのためセキュリティを判断するときは、名称ではなく、
「異なる種類の認証要素が本当に使われているか」
「どのような認証方式なのか」
を確認することが大切です。
参考リンク・出典
-
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)「インターネットの安全・安心ハンドブック」
― 二段階認証と二要素認証、多要素認証の違いを説明。二段階認証では同一種類の要素を使用する場合があり、二要素認証では異なる要素を組み合わせることを解説 -
IPA「不正ログイン対策特集ページ」
― 各種サービスの多要素認証・2段階認証等の設定方法と、不正ログイン対策を案内 -
NIST SP 800-63-4「Digital Identity Model」
― 認証要素を「知っていること」「持っているもの」「本人自身の特徴」の3種類に分類し、同じ種類の要素を複数使っても多要素認証にはならないことを説明 -
NIST SP 800-63B「Authentication Assurance Levels」
― AAL2では異なる2種類の認証要素、または複数要素を要求する認証器を利用することを規定 -
Google アカウント ヘルプ「2段階認証プロセスを有効にする」
― Googleアカウントの2段階認証、パスワードと追加の認証方法、パスキー等について説明 -
Microsoft Support「How to use two-step verification with your Microsoft account」
― Microsoftアカウントの2段階認証について、パスワードと別の本人確認情報を組み合わせる仕組みを説明 -
Apple Support「Apple Accountの2ファクタ認証」
― Apple Accountでパスワードと信頼済みデバイス等を利用して本人確認する2ファクタ認証を説明
※本記事では、NISC・NIST等の定義をもとに、「段階」は認証プロセスの数、「要素」は認証に使用する情報・手段の種類として整理しています。
※Google・Microsoftなどのサービスでは「2段階認証」という名称で、実際には異なる複数の認証要素を利用できる場合があります。製品・サービス上の名称と技術的な分類が必ずしも完全に一致するわけではありません。
※SMS、認証アプリ、セキュリティキー、パスキーなどは、それぞれ仕組みやフィッシング耐性が異なります。「2要素認証である」という事実だけで、すべて同じ安全性を持つわけではありません。
※認証方式や各サービスの仕様は変更される場合があります。実際に設定するときは利用サービスの最新の公式情報を確認してください。
※本記事は一般的なIT・情報セキュリティ用語の違いを解説するものであり、特定の認証方式による安全性を保証するものではありません。
