経済ニュースでは、
「CPIは前年同月比で上昇した」
「コアCPIの伸び率は鈍化した」
「コアコアCPIは高止まりしている」
といった表現をよく目にします。
どれも消費者物価指数に関係する言葉ですが、対象にする商品・サービスが少しずつ異なります。
そのため、
「CPIとコアCPIは何が違う?」
「なぜ生鮮食品を除くの?」
「エネルギーまで除くコアコアCPIとは?」
「物価高を知るなら総合CPIとコアCPIのどちら?」
「日銀の2%目標はコアCPIのこと?」
と迷うことがあります。
結論からいうと、CPIの「総合」は家計が購入する幅広い財・サービスを対象とする指数です。一方、日本で一般に「コアCPI」と呼ばれるのは、そこから価格変動の大きい「生鮮食品」を除いた「生鮮食品を除く総合」です。
さらに、
「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」
も公表されており、日本のニュースではこれを「コアコアCPI」と呼ぶことがあります。
最も簡単に覚えるなら、
CPI(総合)=「家計が買うものを幅広く見る」
コアCPI=「総合から生鮮食品を除いて見る」
コアコアCPI=「さらにエネルギーも除いて見る」
です。
ただし、「コアコアCPI」という呼び方には注意が必要です。
海外では一般に「食料とエネルギーを除く指数」をコアCPIと呼ぶことが多く、日本でも「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」という別系列が公表されています。
つまり、
「コア」「コアコア」という言葉だけでは、何を除外しているのかが分からない場合がある
のです。
この記事では、「CPI」と「コアCPI」の違いから、生鮮食品及びエネルギーを除く総合、食料及びエネルギーを除く総合、日本銀行の物価目標、基調的インフレ率との違いまで詳しく解説します。
- 「CPI」と「コアCPI」の違い【結論】
- そもそも「CPI」とは?
- CPIには食品だけでなく幅広い品目が含まれる
- 「CPI総合」とは?
- 「コアCPI」とは?
- なぜ生鮮食品を除くの?
- 生鮮食品を除けば「基調的インフレ」が完全に分かる?
- 「コアコアCPI」とは?
- なぜエネルギーも除くの?
- 「総合」「コア」「コアコア」を比較
- 「コアコアCPI」には別の意味もあるので注意
- 海外の「コアCPI」は日本と意味が違うことがある
- どれが一番「基調的インフレ」を表す?
- 日本銀行が公表する「コア指標」はさらに広い
- 「刈込平均値」とは?
- 「加重中央値」とは?
- 「最頻値」とは?
- なぜ日銀は複数の指標を見るの?
- 日銀の「2%の物価安定の目標」はコアCPI?
- それなのになぜ日銀の見通しではコアCPIをよく見る?
- 総合CPIとコアCPIが大きく違うことはある?
- 具体例で「総合・コア・コアコア」を比較
- 生活実感を見るなら総合CPI?
- コアCPIが下がれば物価高は終わった?
- 前年比を見るときは「前年の数字」にも注意
- 政府の補助金でコアCPIが動くこともある?
- 「CPI・コアCPI」で迷ったときの3秒判定
- 「CPI」を使った例文
- 「コアCPI」を使った例文
- よくある間違い1:「CPI=コアCPI」と思う
- よくある間違い2:「コアCPIは食料を全部除く」と思う
- よくある間違い3:「コアCPIはエネルギーも除く」と思う
- よくある間違い4:「日本と米国のコアCPIは同じ定義」と思う
- よくある間違い5:「コアコアCPIには一つの絶対的な定義がある」と思う
- よくある間違い6:「日銀の2%目標=コアCPI2%」と思う
- よくある間違い7:「除外項目が多いほど正確な物価指数」と思う
- 「CPI」と「コアCPI」に関するよくある質問
- まとめ
- 参考リンク・出典
「CPI」と「コアCPI」の違い【結論】
| 比較項目 | CPI(総合) | コアCPI |
|---|---|---|
| 正式な系列名 | 総合 | 生鮮食品を除く総合 |
| 対象 | 家計が購入する幅広い財・サービス | 総合から生鮮食品を除いた財・サービス |
| 生鮮食品 | 含む | 除く |
| 電気・ガス・ガソリンなど | 含む | 含む |
| 天候による食品価格変動 | 影響を受けやすい | 影響を受けにくい |
| 生活実感との近さ | 幅広い実際の家計支出を反映 | 一時的な生鮮食品変動を除いて見やすい |
| 主な用途 | 消費者物価全体の把握 | 物価の基調を見る代表的な参考系列 |
3秒で判断するなら、
「生鮮食品も含めて家計物価全体を見る?」 → CPI総合
「生鮮食品の一時的な価格変動を除いて見る?」 → コアCPI
と考えると分かりやすいでしょう。
そもそも「CPI」とは?
Consumer Price Index=消費者物価指数
CPIは、
Consumer Price Index
の略で、日本語では、
消費者物価指数
と呼ばれます。
総務省統計局はCPIについて、全国の世帯が購入する家計に係る財・サービスの価格等を総合し、その物価変動を時系列で測定する指数と説明しています。
簡単にいえば、
「同じような生活をするために必要な費用が、物価の変化によってどの程度増減したか」
を見るための指標です。
2025年基準では、2025年平均を100として指数が作成されています。
CPIには食品だけでなく幅広い品目が含まれる
CPIの対象には、たとえば、
- 米・パン・肉・魚・野菜
- 衣料品
- 家賃
- 電気代・ガス代
- 家具・家電
- 医療
- 交通
- 通信
- 教育
- 外食
- 宿泊
- 娯楽サービス
などがあります。
それぞれの値動きを単純平均するのではなく、家計がどの商品・サービスへどのくらい支出しているかを表す、
「ウエイト」
を使って計算します。
そのため、家計支出に占める割合が大きい品目ほど、指数への影響も大きくなります。
「CPI総合」とは?
CPIには複数の系列があります。
その中で最も広い範囲を対象とする代表的な指数が、
「総合」
です。
総合指数では、生鮮食品やエネルギーを含め、CPIの対象となる幅広い財・サービスをまとめて計算します。
したがって、
消費者が実際に直面する物価全体の動き
を見るうえでは重要な指標です。
「コアCPI」とは?
日本では一般に「生鮮食品を除く総合」
日本の経済ニュースで「コアCPI」と呼ばれる場合、通常は、
生鮮食品を除く総合
を指します。
総合CPIから、
- 生鮮魚介
- 生鮮野菜
- 生鮮果物
などの生鮮食品を除いて計算します。
2025年基準では、総合のウエイトを10,000とした場合、「生鮮食品を除く総合」のカバレッジは9,621です。
つまり、生鮮食品を除いても家計支出の大部分をカバーしています。
なぜ生鮮食品を除くの?
大きな理由は、
生鮮食品の価格が天候などによって短期間に大きく変動しやすい
からです。
たとえば、
- 猛暑
- 長雨
- 台風
- 寒波
- 不作
などによって、キャベツや白菜、果物、魚介類などの価格が一時的に大きく上昇することがあります。
しかし、その値上がりが経済全体の需要や賃金、企業の価格設定行動によるものとは限りません。
そこで生鮮食品を除くことで、
天候などによる短期的な価格変動の影響を小さくし、物価の傾向を見やすくする
わけです。
生鮮食品を除けば「基調的インフレ」が完全に分かる?
いいえ。
生鮮食品以外にも、一時的に大きく価格が動く品目があります。
たとえば、
- 原油
- ガソリン
- 電気代
- ガス代
- 宿泊料
- 政策によって料金が変わる品目
などです。
そのため、コアCPIだけで、
「物価の基調が完全に分かる」
わけではありません。
日本銀行も、基調的な物価上昇率を判断するときには、生鮮食品を除く指数だけでなく、さまざまなコア指標や賃金、需給ギャップ、予想物価上昇率などを組み合わせて分析しています。
「コアコアCPI」とは?
日本では「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」を指すことが多い
日本のニュースや経済解説では、
生鮮食品及びエネルギーを除く総合
を、
「コアコアCPI」
と呼ぶことがあります。
これはコアCPIから、さらに、
- 電気代
- 都市ガス代
- プロパンガス
- 灯油
- ガソリン
などのエネルギー価格を除いた指数です。
2025年基準では、総合を10,000とした場合のカバレッジは8,872です。
なぜエネルギーも除くの?
エネルギー価格は、
- 原油価格
- 天然ガス価格
- 為替レート
- 国際情勢
- 政府の補助制度
などの影響を強く受けます。
たとえば原油価格が急騰すれば、国内景気が変わらなくてもガソリン価格が大幅に上昇することがあります。
反対に、政府の負担軽減策によって電気・ガス料金が押し下げられることもあります。
そこでエネルギーを除くことによって、
輸入資源価格などの影響を弱め、国内の幅広い価格変化を分析しやすくする
狙いがあります。
「総合」「コア」「コアコア」を比較
| 系列 | 生鮮食品 | エネルギー | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 総合 | 含む | 含む | 家計物価を最も幅広く反映 |
| 生鮮食品を除く総合(コアCPI) | 除く | 含む | 天候による生鮮食品の変動を除外 |
| 生鮮食品及びエネルギーを除く総合 | 除く | 除く | エネルギーの大きな変動も除外 |
最も簡単に考えるなら、
総合 → コア → コアコア
と進むほど、一時的に大きく変動しやすい品目を除いていくイメージです。
「コアコアCPI」には別の意味もあるので注意
「コアコアCPI」という言葉には注意が必要です。
総務省統計局は、
「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」
とは別に、
「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」
も公表しています。
こちらは、生鮮食品だけでなく、米、パン、菓子類などを含む「酒類以外の食料」を広く除外します。
2025年基準で総合を10,000とした場合のカバレッジは6,609です。
海外の「コアCPI」は日本と意味が違うことがある
米国など海外で「core CPI」と呼ぶ場合、一般に、
food and energyを除くCPI
を意味します。
つまり、
食料とエネルギーを広く除外する
考え方です。
日本の「生鮮食品を除く総合」とは対象が異なります。
| 表現 | 主な意味 |
|---|---|
| 日本で一般にいうコアCPI | 生鮮食品を除く総合 |
| 日本でコアコアCPIと呼ばれることがある系列 | 生鮮食品及びエネルギーを除く総合 |
| 米国などで一般的なcore CPI | 食料及びエネルギーを除く指数 |
したがって、海外ニュースを読むときに、
「米国のコアCPIも日本と同じく生鮮食品だけを除いている」
と理解するのは正確ではありません。
どれが一番「基調的インフレ」を表す?
一つの指数だけで完全に判断することはできません。
生鮮食品やエネルギーを除けば、一時的な変動の影響を小さくできます。
しかし、除く品目を増やし過ぎれば、今度は、
消費者が実際に支払っている物価から離れていく
という問題があります。
日本銀行も2026年の分析で、変動の大きな品目や特殊要因を取り除く方法は分かりやすい一方、除外を増やすほど家計が実際に購入する財・サービス全体から離れてしまう可能性があると説明しています。
そのため、基調的な物価を見るには複数の指標を組み合わせることが重要です。
日本銀行が公表する「コア指標」はさらに広い
日本銀行がいう「消費者物価のコア指標」は、単に「生鮮食品を除く総合」だけを意味しません。
日本銀行は、物価変動から一時的・特殊な要因を取り除いて基調を把握するため、
- 特殊要因を除いたCPI
- 刈込平均値
- 加重中央値
- 最頻値
- 上昇・下落品目比率
などを分析しています。
つまり、
「コアCPI」と「日本銀行が分析するコア指標」は同じ意味ではありません。
「刈込平均値」とは?
刈込平均値は、品目別の価格上昇率のうち、極端に上昇・下落した品目を一定割合取り除き、残った品目から物価上昇率を計算する方法です。
特定の品目をあらかじめ固定して除く方法とは異なり、
その時々で極端に動いた品目の影響を機械的に小さくする
という特徴があります。
そのため、生鮮食品やエネルギー以外の特殊な値動きも除外しやすくなります。
「加重中央値」とは?
品目を価格変化率の低い順から並べ、それぞれのウエイトを考慮したとき、ちょうど中央付近に位置する価格変化率を表す指標です。
一部の品目だけが非常に大きく値上がりしているのか、幅広い品目が値上がりしているのかを判断する材料になります。
「最頻値」とは?
品目別の価格変化率の分布について、最も密度の高い部分を推計する指標です。
簡単にいえば、
「多くの商品・サービスに共通して見られる値動きはどの程度か」
を探るために使われます。
なぜ日銀は複数の指標を見るの?
物価はさまざまな理由で動くからです。
たとえば、
- 天候による野菜価格上昇
- 原油高によるガソリン価格上昇
- 政府補助による電気料金低下
- 円安による輸入価格上昇
- 人件費上昇によるサービス価格上昇
では、物価上昇の意味が異なります。
中央銀行が金融政策を考える際には、単月の食品価格だけではなく、
賃金や需要を伴って物価上昇が持続する可能性があるか
を見る必要があります。
そのため、コアCPIだけでなく複数の指標を確認します。
日銀の「2%の物価安定の目標」はコアCPI?
厳密には「コアCPIだけを2%にする」という目標ではありません。
日本銀行は2013年1月に、
消費者物価の前年比上昇率2%
を「物価安定の目標」としました。
日本銀行は物価情勢を点検する際、家計が消費する財・サービスを包括的にカバーし、速報性もある、
消費者物価指数の「総合」
を重要な指標と説明しています。
したがって、
「日銀の2%目標=コアCPIだけの2%」
と覚えるのは正確ではありません。
それなのになぜ日銀の見通しではコアCPIをよく見る?
日本銀行の「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」では、
消費者物価指数(除く生鮮食品)
の見通しが主要な数値として公表されています。
生鮮食品は天候等による振れが大きいため、中期的な物価見通しを示すときには、生鮮食品を除いた指数が扱いやすいからです。
つまり、
物価目標の概念
と、
物価見通しを分析する際の代表系列
を区別する必要があります。
総合CPIとコアCPIが大きく違うことはある?
あります。
たとえば生鮮野菜が不作で大幅に値上がりしたとします。
総合CPIは生鮮食品の値上がりを反映して上昇します。
しかしコアCPIでは生鮮食品を除くため、影響しません。
反対に、電気料金やガソリン価格が大幅に上がった場合は、
総合CPI
にも、
コアCPI
にも影響します。
しかし、
生鮮食品及びエネルギーを除く総合
には、その直接的なエネルギー価格変化は入りません。
具体例で「総合・コア・コアコア」を比較
仮に次のような状況があったとします。
- 野菜価格:+30%
- ガソリン価格:+20%
- 外食価格:+4%
- 家賃:+1%
この場合、
総合CPIには、野菜・ガソリン・外食・家賃のすべてが反映されます。
コアCPIでは、生鮮野菜の大幅上昇は除外されますが、ガソリン価格上昇は反映されます。
生鮮食品及びエネルギーを除く総合では、野菜とガソリンを除き、外食や家賃などの値動きが残ります。
このように、何を除くかによって数字は変わります。
生活実感を見るなら総合CPI?
基本的には総合CPIが最も幅広い家計物価を反映します。
生鮮野菜やガソリンが大幅に上がれば、実際の家計はその金額を支払わなければなりません。
「一時的だから除外する」といっても、生活費への影響がなくなるわけではありません。
そのため、
実際の生活コストを見る → 総合CPI
一時的な変動を除いて物価の傾向を見る → コア系列
という使い分けが重要です。
コアCPIが下がれば物価高は終わった?
そうとは限りません。
コアCPIの「前年比上昇率」が低下したとしても、価格水準そのものが下がったとは限らないからです。
たとえば、物価指数が、
100 → 104 → 106
と推移した場合、上昇率は4%から約1.9%へ低下します。
しかし物価水準は、
104 → 106
へさらに上がっています。
つまり、
コアCPI上昇率の低下=値下がり
ではありません。
前年比を見るときは「前年の数字」にも注意
CPIでは、前年同月比がよく使われます。
そのため前年の価格が特殊な要因で高かったり低かったりすると、今年の前年比にも影響します。
これを、
ベース効果
と呼ぶことがあります。
たとえば前年にエネルギー価格が急騰していれば、今年の価格が高止まりしていても前年比上昇率は低くなることがあります。
CPIを見るときには、上昇率だけでなく指数水準や過去の動きも確認すると理解しやすくなります。
政府の補助金でコアCPIが動くこともある?
あります。
コアCPIには電気代やガス代、ガソリンなどエネルギーが含まれるためです。
政府による負担軽減策によって消費者が実際に支払う料金が下がれば、コアCPIの上昇率を押し下げる場合があります。
逆に支援策が終了すると、価格そのものが大きく上がっていなくても、前年比のCPIを押し上げることがあります。
このため日本銀行は2026年から、消費税率変更、教育無償化、旅行支援、ガソリン・電気・ガス料金の負担緩和策などの、
「特殊要因」を除いたCPI上昇率
の試算値も公表しています。
「CPI・コアCPI」で迷ったときの3秒判定
| 知りたいこと | 見る指標 |
|---|---|
| 家計物価全体 | CPI総合 |
| 生鮮食品の一時変動を除きたい | 生鮮食品を除く総合(コアCPI) |
| 生鮮食品とエネルギーを除きたい | 生鮮食品及びエネルギーを除く総合 |
| 食料全般とエネルギーを除きたい | 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合 |
| 物価の基調を多角的に分析したい | 日銀の各種コア指標 |
| 生活費への影響を幅広く見たい | 総合CPI |
「CPI」を使った例文
- 食品価格の上昇によってCPIが上昇した。
- CPIは家計が購入する財・サービスの物価変動を表す。
- 物価高の状況を把握するためCPI総合を確認する。
- 前年同月比だけでなくCPIの指数水準も確認した。
- 家計によって支出構成が異なるため、CPIと体感物価は一致しないことがある。
「コアCPI」を使った例文
- 生鮮食品の値上がりを除くと、コアCPIの上昇率は比較的安定していた。
- コアCPIにはガソリンや電気代の変化が含まれる。
- 物価の基調を考える材料としてコアCPIを確認する。
- エネルギー価格の下落によってコアCPIの伸び率が鈍化した。
- コアCPIだけで基調的インフレを完全に判断することはできない。
よくある間違い1:「CPI=コアCPI」と思う
コアCPIはCPIの一系列です。
総合CPIには生鮮食品が含まれますが、コアCPIでは除外されます。
よくある間違い2:「コアCPIは食料を全部除く」と思う
日本の「生鮮食品を除く総合」では、パン、米、菓子、外食など、生鮮食品以外の食料は含まれます。
食料全体を除く指数ではありません。
よくある間違い3:「コアCPIはエネルギーも除く」と思う
日本で一般にコアCPIと呼ばれる「生鮮食品を除く総合」には、電気代、ガス代、灯油、ガソリンなどのエネルギーが含まれます。
よくある間違い4:「日本と米国のコアCPIは同じ定義」と思う
日本では生鮮食品を除く総合をコアCPIと呼ぶことが多い一方、米国などでは食料とエネルギーを除く指数がcore CPIとして一般的です。
国際比較では定義を確認する必要があります。
よくある間違い5:「コアコアCPIには一つの絶対的な定義がある」と思う
「コアコアCPI」は公式系列名ではなく、使う資料によって指す系列が異なる場合があります。
「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」なのか、「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」なのかを確認しましょう。
よくある間違い6:「日銀の2%目標=コアCPI2%」と思う
日本銀行の「物価安定の目標」は、消費者物価の前年比上昇率2%です。
生鮮食品を除く総合は展望レポートなどで重要な分析・見通し系列として使われますが、目標そのものを「コアCPIだけ」と理解するのは正確ではありません。
よくある間違い7:「除外項目が多いほど正確な物価指数」と思う
除外を増やせば一時的な変動は小さくなりますが、実際の家計支出から離れていきます。
総合CPIと複数のコア指標を目的に応じて使い分けることが重要です。
「CPI」と「コアCPI」に関するよくある質問
Q1. CPIとコアCPIの一番簡単な違いは?
CPI総合は生鮮食品を含む幅広い物価、コアCPIはそこから生鮮食品を除いた物価です。
Q2. なぜ野菜や果物を除くのですか?
天候などによって短期間に価格が大きく変動しやすいためです。
一時的な価格変動を除き、物価の傾向を見やすくする目的があります。
Q3. コアCPIに米やパンは入りますか?
入ります。
日本のコアCPIで除くのは「生鮮食品」であり、米、パン、加工食品などは基本的に含まれます。
Q4. コアCPIにガソリンは入りますか?
入ります。
生鮮食品を除く総合にはガソリン、電気代、ガス代、灯油などのエネルギーも含まれます。
Q5. エネルギーも除いた指数はありますか?
あります。
総務省統計局は「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」を公表しています。
Q6. コアコアCPIとは何ですか?
日本では「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」を指すことが多くあります。
ただし「コアコアCPI」は厳密な公式系列名ではなく、別の資料では食料とエネルギーを広く除く系列を指す場合もあるため注意が必要です。
Q7. 生活費を見るなら総合とコアのどちらですか?
生活費全体を見るなら、生鮮食品やエネルギーも含む総合CPIが分かりやすいでしょう。
物価の基調を分析する場合にはコア系列も併せて確認します。
Q8. コアCPIが2%なら日銀の目標達成ですか?
コアCPIが2%になったという数字だけで判断するものではありません。
日本銀行は物価上昇の持続性や基調、賃金、需給ギャップ、予想物価上昇率など幅広い情報を確認します。
Q9. 生鮮食品及びエネルギーを除くCPIのほうが必ず基調を正確に表しますか?
必ずではありません。
一時的な振れを除くメリットがある一方、実際に家計が支払う重要な品目を除外するため、総合CPIから離れるというデメリットもあります。
Q10. 経済ニュースではどのCPIを確認すればよいですか?
可能であれば、
- 総合
- 生鮮食品を除く総合
- 生鮮食品及びエネルギーを除く総合
の3つを比較すると、物価上昇が食品・エネルギー中心なのか、それ以外の幅広い品目にも広がっているのかを理解しやすくなります。
まとめ
「CPI」と「コアCPI」は、どちらも消費者物価を測る指標ですが、対象範囲が異なります。
| CPI総合 | コアCPI | 生鮮食品・エネルギー除く |
|---|---|---|
| 生鮮食品を含む | 生鮮食品を除く | 生鮮食品を除く |
| エネルギーを含む | エネルギーを含む | エネルギーも除く |
| 家計物価を幅広く反映 | 生鮮食品の一時変動を除外 | エネルギーの変動も除外 |
最も簡単な覚え方は、
CPI総合=「全部に近い物価」
コアCPI=「生鮮食品抜き」
コアコアCPI=「生鮮食品+エネルギー抜き」と呼ばれることが多い
です。
ただし、
「除けば除くほど優れた指数になる」
わけではありません。
生鮮食品やエネルギーを除けば、一時的な値動きの影響を小さくできます。
一方で、家計が実際に購入している食品やガソリン、電気などを除くため、生活実感から離れる可能性があります。
そのため、
生活コストを見る → 総合CPI
生鮮食品の振れを除く → コアCPI
エネルギーの振れも除く → 生鮮食品及びエネルギーを除く総合
という使い分けが大切です。
また、日本銀行は基調的な物価上昇率を見る際、特定品目を除く指数だけでなく、
- 刈込平均値
- 加重中央値
- 最頻値
- 特殊要因を除いたCPI
- 賃金動向
- 需給ギャップ
- 予想物価上昇率
などを総合的に分析しています。
関連用語まで整理すると、
CPI総合=家計が購入する幅広い財・サービスの物価
コアCPI=日本では一般に「生鮮食品を除く総合」
生鮮食品及びエネルギーを除く総合=日本でコアコアCPIと呼ばれることがある系列
食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合=食料を広く除いた系列
基調的インフレ率=一時的要因を取り除き、持続的な物価上昇の強さを捉える考え方
となります。
経済ニュースで「CPIが○%」「コアCPIが○%」という数字を見たら、
「何を含み、何を除いている指数なのか」
を確認しましょう。
それだけでも、物価上昇が生鮮食品やエネルギーなど一部の品目によるものなのか、それとも幅広い財・サービスへ広がっているのかを、より正確に理解できるようになります。
参考リンク・出典
-
総務省統計局「消費者物価指数(CPI)」
― 全国の世帯が購入する財・サービスの価格変動を時系列的に測定するCPIの公式ページ -
総務省統計局「消費者物価指数に関するQ&A」
― 「生鮮食品を除く総合」「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」の違いと対象品目を解説 -
総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数の解説」
― CPIの品目、ウエイト、価格調査、指数算式、2025年基準改定などを詳しく解説 -
日本銀行「2%の『物価安定の目標』」
― 日本銀行が消費者物価の前年比上昇率2%を物価安定の目標としていることを説明 -
日本銀行「物価をみるときに、何を判断材料にしていますか?」
― 総合除く生鮮食品、総合除く生鮮食品・エネルギーに加え、刈込平均値、加重中央値、最頻値など複数のコア指標を用いる考え方を解説 -
日本銀行「消費者物価のコア指標」
― 特殊要因を除いた消費者物価や、刈込平均値・加重中央値・最頻値・上昇下落品目比率などを公表 -
日本銀行「分析データ『消費者物価のコア指標』の公表について」
― 2026年から制度変更や料金負担軽減策などの「特殊要因」を除いたCPI上昇率の試算値を公表することを説明
※「コアCPI」は総務省統計局の正式な系列名ではなく、日本では一般に「生鮮食品を除く総合」を指す通称として広く使われています。資料を読む際には正式な系列名も確認してください。
※「コアコアCPI」という表現も厳密な公式系列名ではなく、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」を指す場合と、食料をより広く除いた系列を指す場合があります。特に海外のcore CPIと比較するときは、除外対象を確認する必要があります。
※日本銀行の2%の「物価安定の目標」を「生鮮食品を除く総合だけを2%にする目標」と理解するのは正確ではありません。日本銀行は総合CPIを重要な物価指標と位置付けつつ、生鮮食品を除く総合など複数の系列や基調的な物価指標も分析しています。
※生鮮食品やエネルギーを除いた指数は、一時的な価格変動の影響を小さくするために有用ですが、消費者が実際に負担する生活費そのものから一部の品目を除外しています。物価を判断するときは総合CPIと併せて確認することが重要です。
