「退職願を提出する」「退職届を会社に出す」など、「退職願」と「退職届」は、会社を辞める際によく使われる言葉です。
どちらも退職の意思を伝える書類ですが、意味や使う場面には違いがあります。特に、提出した後に撤回できるかどうかは、退職を検討している人にとって重要な問題です。
結論からいうと、「退職願」は会社に退職を願い出る書類、「退職届」は退職する意思を会社に届け出る書類です。
例えば、退職することについて会社と話し合い、退職日の合意を得たい場合には「退職願」が使われます。一方、退職する意思を明確に伝える場合には「退職届」が使われます。
ただし、「退職願なら必ず撤回できる」「退職届なら提出した瞬間に退職が確定する」という理解は正確ではありません。実際の法的な扱いは、書類の名称だけでなく、記載された内容や会社とのやり取りによって異なります。
この記事では、「退職願」と「退職届」の意味を比較表で整理し、提出する順番、提出時期、書き方、撤回の可否、会社が受け取らない場合の対応などを具体例とともに解説します。
- 「退職願」と「退職届」の違い【結論】
- 【徹底比較】「退職願」と「退職届」の違いを比較表で整理
- 「退職願」とは?意味と正しい使い方
- 「退職届」とは?意味と正しい使い方
- 「退職願」と「退職届」の決定的な違い
- 退職願と退職届は、いつ提出する?一般的な流れ
- 【実践】退職願と退職届の書き方
- 退職願は提出後に撤回できる?法律上の考え方
- 退職届を出しても会社が受け取らない場合は?
- 有期労働契約の場合は、退職届を出せば2週間で辞められる?
- 【実践】退職願・退職届を提出する際の5つのポイント
- 「退職願」「退職届」と似た言葉の違い
- 「退職願」と「退職届」の3秒判定
- よくある間違いと注意点
- 「退職願」と「退職届」の例文12選
- FAQ|「退職願」と「退職届」のよくある質問
- まとめ|退職願は退職の申し込み、退職届は退職意思の通知
- 参考資料・出典
「退職願」と「退職届」の違い【結論】
「退職願」と「退職届」は、退職に関する意思を会社に伝える書類ですが、一般的には次のように使い分けられます。
- 退職願:会社に対して、退職することを願い出る書類。
- 退職届:会社に対して、退職する意思を届け出る書類。
例えば、会社と退職日について話し合いたい場合、「一身上の都合により、〇月〇日をもって退職いたしたく、お願い申し上げます」と書いた退職願を提出することがあります。
一方、退職する意思を明確に伝える場合には、「一身上の都合により、〇月〇日をもって退職いたします」と書いた退職届が使われます。
このように、一般的な文面では、退職願は退職について会社に合意を求める表現、退職届は退職の意思を通知する表現になります。
ただし、書類の表題が「退職願」であっても、内容が明確な辞職の意思表示であれば、法律上は一方的な辞職の通知と判断される可能性があります。
逆に、「退職届」という名称でも、会社の承諾を前提とする内容であれば、合意退職の申し込みとして扱われる場合があります。
【徹底比較】「退職願」と「退職届」の違いを比較表で整理
| 比較項目 | 退職願 | 退職届 |
|---|---|---|
| 読み方 | たいしょくねがい | たいしょくとどけ |
| 一般的な意味 | 退職について会社の合意を求める書類 | 退職する意思を会社に通知する書類 |
| 目的 | 退職を申し出て、会社との合意を図る | 退職する意思を正式に伝える |
| 代表的な文末 | 「退職いたしたく、お願い申し上げます」 | 「退職いたします」 |
| よく使う場面 | 退職について会社と合意したいとき | 退職意思を通知するとき、または社内手続き上必要なとき |
| 会社の承諾 | 合意退職の申し込みなら承諾によって合意が成立 | 一方的な辞職通知なら原則として承諾は不要 |
| 撤回 | 合意退職の申し込みなら、原則として承諾前は可能 | 一方的な辞職通知なら、到達後は自由な撤回が難しい |
| 提出時期 | 会社との退職に関する協議を始める段階など | 退職意思を確定して通知する段階など |
| 法律上の位置づけ | 書類の名称だけでは決まらず、記載内容や提出時の事情などによって判断される | |
なお、退職願と退職届について、すべての企業に共通する正式な書式や提出順序が法律で定められているわけではありません。
企業によって、どちらか一方のみを使用する場合や、所定の退職申請書などを使用する場合もあります。
「退職願」とは?意味と正しい使い方
退職願は、会社に退職を願い出る書類
「退職願」は、会社に対して、退職することを願い出る書類です。
一般的には、会社との合意によって退職したい場合に使用されます。
例えば、従業員が家庭の事情などによって、3月31日で退職したいと考えている場合、上司に退職の希望を伝え、退職願を提出することがあります。
この場合、会社と従業員が退職について合意することによって、労働契約の終了が決まる場合があります。
退職願は「合意退職の申し込み」として使われることが多い
会社と従業員が話し合い、双方の合意によって労働契約を終了させることを「合意退職」または「合意解約」と呼びます。
退職願は、この合意退職を申し込むための書類として使われることがあります。
例えば、次のような文面です。
「このたび、一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、お願い申し上げます。」
この文章では、会社に対して退職を願い出ています。
ただし、合意退職を申し込んだことと、会社との合意が成立したことは別です。会社の権限ある人が退職の申し込みを承諾したかどうかが重要になります。
退職願は提出後でも撤回できる場合がある
厚生労働省の解説によると、合意退職の申し込みは、会社が承諾する前であれば、原則として撤回することができます。
例えば、従業員が退職願を提出した後、家庭の事情が変わって退職を考え直したとします。
会社がまだ退職の申し込みを承諾していなければ、退職願を撤回できる場合があります。
一方、会社の権限ある人が既に承諾している場合は、原則として会社の同意なく一方的に撤回することはできません。
なお、提出した書類が一方的な辞職の意思表示と判断される場合には、退職願という名称であっても、別の扱いになる可能性があります。
「退職願」の例文
- 家庭の事情により、上司に退職願を提出した。
- 退職願を提出する前に、退職希望日について相談した。
- 退職願の提出後、会社から今後の手続きについて案内を受けた。
- 退職願を撤回できるかどうか、会社の承諾状況を確認した。
- 就業規則に、退職願の提出方法が定められている。
「退職届」とは?意味と正しい使い方
退職届は、退職する意思を会社に届け出る書類
「退職届」は、会社に対して退職する意思を伝える書類です。
一般的には、退職する意思が明確に決まっている場合に使われます。
例えば、「一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたします」と記載して、会社に退職の意思を通知する場合です。
また、会社との間で既に退職について合意した後、社内手続きとして退職届の提出を求められる場合もあります。
このように、退職届は、必ずしも会社との話し合いを行わずに提出する書類というわけではありません。
退職届は一方的な辞職の意思表示として使われる場合がある
「辞職」は、労働者が一方的な意思表示によって労働契約を終了させることです。
例えば、期間の定めのない労働契約で働いている従業員が、会社に対して退職する意思を明確に伝える場合です。
民法第627条第1項では、期間の定めのない雇用契約について、各当事者はいつでも解約の申し入れをすることができ、原則として申し入れから2週間を経過することによって契約が終了すると定められています。
そのため、期間の定めのない労働契約では、会社の承諾が得られないという理由だけで、退職できなくなるわけではありません。
退職届の撤回は、退職願より難しい場合がある
退職届が一方的な辞職の意思表示に当たる場合、その意思表示が会社に到達した後は、原則として労働者の都合だけで自由に撤回することはできません。
例えば、退職届を提出した翌日に考えが変わり、「やはり退職を取りやめたい」と申し出ても、会社が必ず撤回に応じなければならないとは限りません。
ただし、会社が撤回に同意する場合や、退職の意思表示そのものに法律上の問題がある場合など、個別の事情によって結論が異なることがあります。
退職届を提出する際は、退職する意思と希望する退職日を十分に検討しておきましょう。
「退職届」の例文
- 退職する意思を固め、会社に退職届を提出した。
- 上司との面談後、所定の退職届を提出するよう案内された。
- 退職届に記載する退職日を確認した。
- 退職届を受け取った人事担当者が、退職手続きを進めた。
- 退職届の提出後、業務の引き継ぎを行った。
「退職願」と「退職届」の決定的な違い
違い1:会社に退職を願い出るか、退職意思を通知するか
退職願と退職届の基本的な違いは、退職の意思をどのように会社へ伝えるかという点です。
退職願は、一般的に退職について会社の合意を求める書類として使われます。
一方、退職届は、退職する意思を明確に通知する書類として使われます。
例えば、退職日や引き継ぎについて会社と相談したうえで退職したい場合は、退職願を提出することがあります。
既に退職する意思が確定しており、その意思を正式に知らせる場合は、退職届が使われます。
違い2:撤回できるかどうかは意思表示の性質による
退職願と退職届を区別する際に、特に注意したいのが撤回の可否です。
退職願が合意退職の申し込みに当たる場合は、会社が承諾する前であれば、原則として撤回できます。
一方、退職届が一方的な辞職の意思表示に当たる場合は、その意思表示が会社に到達した後、自由に撤回することは難しくなります。
ただし、退職願という名称でも、一方的な辞職の意思表示と判断される可能性があります。
そのため、書類の名称だけで撤回できるかどうかを判断することは避けましょう。
違い3:提出する順番は会社によって異なる
一般的には、退職願によって退職を申し出て、会社との合意が成立した後、社内手続きとして退職届を提出する場合があります。
ただし、すべての企業がこの順番を採用しているわけではありません。
例えば、上司への口頭での申し出だけで退職について合意し、その後に退職届を提出する企業もあります。
また、退職願を提出せず、退職届だけを提出する場合もあります。
まずは、就業規則や会社所定の手続きについて確認しましょう。
退職願と退職届は、いつ提出する?一般的な流れ
ステップ1:就業規則と労働契約を確認する
退職を検討する際には、まず就業規則や労働条件通知書、雇用契約書などを確認しましょう。
企業によっては、退職を希望する場合の申出方法や、提出する書類、社内手続きなどが定められています。
また、期間の定めのない労働契約なのか、有期労働契約なのかによって、法律上の退職のルールが異なります。
ステップ2:必要に応じて上司に退職希望を伝える
退職について会社と話し合いたい場合は、必要に応じて上司に退職希望を伝えます。
例えば、「一身上の都合により、退職を考えています。今後の手続きについてご相談させてください」と伝える方法があります。
ただし、一方的な辞職の意思表示を行う場合には、会社との合意が必ず必要になるわけではありません。
自分が合意退職を希望しているのか、辞職の意思を通知するのかを整理しておくことが重要です。
ステップ3:必要に応じて退職願を提出する
会社との合意によって退職する場合は、企業の定めた手続きに従い、退職願を提出することがあります。
退職願を提出する際には、退職希望日や提出先、必要な書式などを確認しましょう。
ただし、法律上、すべての退職について退職願の提出が義務づけられているわけではありません。
ステップ4:退職届を提出する
退職する意思を正式に通知する場合や、会社から社内手続きとして求められた場合には、退職届を提出します。
提出に当たっては、退職日や宛名などを確認しましょう。
なお、会社との合意が既に成立している場合と、一方的な辞職通知として提出する場合では、書類の法的な意味が異なる場合があります。
ステップ5:引き継ぎや退職手続きを進める
退職日が決まったら、必要に応じて業務の引き継ぎや会社から貸与された物品の返却などを行います。
また、健康保険や年金、雇用保険に関する退職後の手続きについても確認しておくとよいでしょう。
退職に伴う社内の手続きは、会社によって異なります。
【実践】退職願と退職届の書き方
退職願の基本的な書き方
退職願には、退職を希望する旨、退職希望日、提出日、所属、氏名、宛名などを記載する方法が一般的です。
会社で書式が指定されている場合は、その書式を使用しましょう。
特に指定がない場合は、例えば次のような文章が使えます。
「このたび、一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、お願い申し上げます。」
この文章は、退職について会社の合意を求める表現です。
退職届の基本的な書き方
退職届も、基本的には退職する旨、退職日、提出日、所属、氏名、宛名などを記載します。
例えば、次のような文章です。
「このたび、一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたします。」
ただし、法的に明確な辞職の通知を行う必要がある場合には、実際の事情に応じて、退職の意思や退職日が曖昧にならないようにすることが重要です。
縦書きと横書きのどちらがよい?
退職願や退職届は、縦書きで作成するイメージがあるかもしれません。
しかし、法律上、退職願や退職届は必ず縦書きでなければならないという決まりがあるわけではありません。
会社によっては、横書きの所定書式を使用する場合や、電子申請によって退職手続きを行う場合もあります。
会社から指定がある場合は、その方法に従いましょう。
手書きでなければ無効になる?
退職願や退職届について、一般的に必ず手書きで作成しなければならないという法律上の決まりはありません。
パソコンで作成した書類や、メールなどによる意思表示であっても、内容や到達状況などによっては法律上の効果が認められる場合があります。
ただし、提出方法や社内手続きについては、会社の規程や個別の事情を確認する必要があります。
退職願は提出後に撤回できる?法律上の考え方
合意退職の申し込みは、会社の承諾前なら原則として撤回できる
退職願が合意退職の申し込みに当たる場合は、会社が承諾する前であれば、原則として撤回できます。
例えば、従業員が退職願を提出したものの、会社がまだ正式に承諾していない場合です。
ただし、撤回によって会社に不測の損害を与えるなど、信義則上の問題が生じる場合には、撤回が認められない可能性もあります。
会社が承諾した後は、一方的な撤回が難しい
会社の権限ある人が退職の申し込みを承諾すると、合意退職が成立します。
合意が成立した後は、労働者が自分の都合だけで退職の申し込みを撤回できるとは限りません。
そのため、撤回を希望する場合には、いつ、誰が、どのように承諾したのかが重要になります。
ここでいう承諾は、退職についての合意を成立させる意思表示です。日常的な「内容を理解した」という意味での了承とは区別する必要があります。
承認や了承の意味の違いについては、「承認」と「了承」の違いも参考になります。
退職願という名称でも、辞職の通知と判断される場合がある
書類の表題が「退職願」だったとしても、記載内容によっては、一方的な辞職の意思表示に当たる場合があります。
そのため、退職願なら必ず承諾前に撤回できると考えるのは適切ではありません。
退職の意思表示についてトラブルになった場合は、書類の内容や提出までの経緯、会社とのやり取りなどを確認する必要があります。
退職届を出しても会社が受け取らない場合は?
期間の定めのない労働契約では、原則として退職の自由が認められる
民法第627条第1項では、期間の定めのない雇用契約について、各当事者がいつでも解約の申し入れをすることができ、申し入れから原則として2週間が経過することによって契約が終了すると定められています。
そのため、期間の定めのない労働契約では、会社が退職に同意しなければ絶対に辞められないというわけではありません。
ただし、実際には、退職の意思表示が会社に到達したことや、その内容が明確であることなどが重要になります。
就業規則の申出期限も確認する
企業によっては、就業規則で退職の申し出を1か月前までに行うよう定めている場合があります。
退職時の引き継ぎや後任者の準備などを円滑に進めるためには、可能な範囲で余裕を持って連絡することが望ましいでしょう。
ただし、期間の定めのない労働契約について、就業規則によって民法上の辞職の自由を不当に制限できるとは限りません。
会社が退職の申し出を認めない場合などは、必要に応じて公的な相談窓口などに相談する方法があります。
提出した証拠を残しておく
退職の意思表示について争いが生じる可能性がある場合には、通知した内容や日時、相手先などの記録が重要になることがあります。
例えば、メールの送信記録や、会社に提出した文書の控えなどを保存しておく方法があります。
ただし、メールを送信したという事実だけで、必ず相手方への到達が認められるとは限りません。
具体的な提出方法について不安がある場合は、労働局や法律の専門家などに相談しましょう。
有期労働契約の場合は、退職届を出せば2週間で辞められる?
契約社員など、契約期間が定められた有期労働契約で働いている場合は、期間の定めのない労働契約とは異なるルールが適用されます。
民法第628条では、契約期間中であっても、やむを得ない事由がある場合には、各当事者が直ちに契約を解除できると定められています。
また、一定の条件を満たす、1年を超える有期労働契約については、労働基準法第137条による特例が適用される場合があります。
したがって、「退職届を提出すれば、すべての契約社員が必ず2週間後に辞められる」と考えるのは適切ではありません。
有期労働契約で退職を検討する場合は、契約期間や退職理由、契約内容などを確認し、必要に応じて公的な相談窓口を利用しましょう。
【実践】退職願・退職届を提出する際の5つのポイント
1. 退職の意思と希望日を整理する
まず、自分が退職について会社と合意したいのか、それとも退職する意思を明確に通知したいのかを整理しましょう。
また、退職希望日や、業務の引き継ぎに必要な期間なども考慮します。
ただし、退職する意思が固まっていない段階で、安易に退職届を提出することは避けたほうがよいでしょう。
2. 会社の提出手続きを確認する
退職願や退職届の提出先、書式、提出期限などについて、就業規則や会社からの案内を確認しましょう。
例えば、直属の上司に提出する場合や、人事部門に提出する場合があります。
また、電子申請によって退職手続きを行う企業もあります。
3. 書類の文面と退職日を確認する
退職願と退職届では、一般的に使用される文面が異なります。
退職願では「退職いたしたく、お願い申し上げます」、退職届では「退職いたします」という表現が使われます。
ただし、文面によって法的な意味が変わる場合があるため、記載内容が自分の意思と一致しているかを確認しましょう。
4. 上司や関係部署への連絡方法を整理する
退職が決まった後は、必要に応じて上司や人事部門などと連絡を取り、今後の手続きを確認します。
また、担当している業務について、後任者への引き継ぎや必要な情報の整理を行う場合があります。
退職について関係者に知らせる際には、必要な情報を簡潔に伝えることが大切です。
連絡と報告の使い分けについては、「連絡」と「報告」の違いも参考になります。
5. トラブルが生じた場合は、必要な資料を整理する
退職願や退職届を提出した後、撤回の可否や退職日などについて会社との間で問題が生じる場合があります。
そのような場合には、提出した書類やメール、会社からの回答などを整理しておくとよいでしょう。
また、会社からの説明が不明確な場合は、具体的な内容を確認することが大切です。
問題が生じたときの対応については、「対応」と「対処」の違いも参考になります。
「退職願」「退職届」と似た言葉の違い
「辞表」との違い
「辞表」は、役職などを辞める意思を示す際に使われる書類です。
一般的には、会社の役員や、公務員などが職を辞する場合に使われることがあります。
一方、一般の従業員が会社を退職する場合は、「退職願」「退職届」が使われる傾向があります。
ただし、企業や組織によって使用する正式な書類名が異なる場合があります。
「退職申請書」との違い
「退職申請書」は、企業が社内の退職手続きのために設けている書類の名称として使われることがあります。
例えば、退職希望日や理由、所属などを記入し、社内の承認を受ける形式です。
ただし、退職申請書という名称だけで、法律上、合意退職の申し込みなのか、辞職の通知なのかが決まるわけではありません。
記載内容や提出時の事情などによって判断されます。
「退職勧奨」との違い
「退職勧奨」は、会社が従業員に対して、自発的に退職するよう勧めることです。
従業員が退職勧奨に応じ、会社と合意して退職する場合は、合意退職になります。
一方、従業員が自由な意思で退職に同意していない場合には、退職の意思表示が有効かどうかなどが問題になることがあります。
「辞職」との違い
「辞職」は、労働者が一方的な意思表示によって労働契約を終了させることです。
退職届が、辞職の意思表示として使用される場合があります。
ただし、退職届という名称であっても、実際には合意退職の申し込みとして提出されることもあります。
辞職か合意退職かは、書類の名称だけでなく、記載内容などによって判断されます。
「解雇」との違い
「解雇」は、使用者が労働契約を一方的に終了させることです。
一方、退職願や退職届は、一般的に労働者側から退職の意思を伝えるために使用されます。
そのため、従業員が退職願を提出した場合でも、実際には会社から強く退職を迫られていたなどの事情があれば、退職の意思表示が有効かどうかが問題になる可能性があります。
「退職願」と「退職届」の3秒判定
| 伝えたい内容 | 使いやすい言葉 |
|---|---|
| 会社に退職を願い出る | 退職願 |
| 退職について会社との合意を求める | 退職願 |
| 退職する意思を正式に通知する | 退職届 |
| 会社との合意後、社内手続きとして提出する | 退職届など、会社指定の書類 |
| 会社に自発的な退職を勧められる | 退職勧奨 |
| 労働者が一方的に労働契約を終了させる | 辞職 |
| 使用者が一方的に労働契約を終了させる | 解雇 |
| 役職などを辞する意思を示す | 辞表 |
ただし、法律上の意味は書類の名称だけでは決まりません。自分がどのような意思表示を行うのかを理解したうえで、文面を作成することが重要です。
よくある間違いと注意点
「退職願なら必ず撤回できる」は誤り
退職願が合意退職の申し込みに当たる場合は、原則として会社の承諾前に撤回できます。
しかし、既に会社が承諾している場合や、退職願が一方的な辞職の通知と判断される場合には、自由な撤回が難しくなる可能性があります。
「退職届を出せば、その日のうちに必ず辞められる」は誤り
期間の定めのない労働契約については、民法第627条第1項により、原則として解約の申し入れから2週間で契約が終了します。
そのため、退職届を出したという事実だけで、提出した当日に必ず退職できるわけではありません。
ただし、会社と合意して、より早い退職日を定めることは可能です。
「会社が受理しなければ退職できない」は誤り
期間の定めのない労働契約では、法律上の要件を満たす一方的な辞職の意思表示を行った場合、会社の承諾がなくても、原則として一定期間の経過によって労働契約が終了します。
ただし、実際の退職日や意思表示の到達について争いがある場合には、個別の事情を確認する必要があります。
「退職届は必ず手書きでなければならない」は誤り
退職届について、法律上、すべての場合に手書きが必要と定められているわけではありません。
ただし、会社指定の書式や社内手続きがある場合には、その内容を確認しましょう。
「退職願と退職届を必ず両方提出する」は誤り
すべての企業で、退職願と退職届の両方を提出する必要があるわけではありません。
例えば、退職届だけを提出する企業や、電子的な退職申請を行う企業もあります。
法律上の意思表示として何が必要なのかと、会社内部の事務手続きとして何を求められているのかを区別することが大切です。
「退職願」と「退職届」の例文12選
「退職願」を使った例文
- 家庭の事情により、上司に退職願を提出した。
- 退職願の提出前に、希望する退職日について相談した。
- 退職願の書式について、人事担当者に確認した。
- 退職願を提出した後、会社から面談の案内を受けた。
- 退職願の撤回を希望し、会社の承諾状況を確認した。
- 就業規則に定められた手続きに従い、退職願を提出した。
「退職届」を使った例文
- 退職する意思を固め、会社に退職届を提出した。
- 上司との面談後、所定の退職届を提出するよう案内された。
- 退職届に記載する退職日を確認した。
- 退職届を受け取った人事担当者が、退職手続きを進めた。
- 退職届の提出後、業務の引き継ぎを行った。
- 退職届の控えを保管し、提出した日時を記録した。
FAQ|「退職願」と「退職届」のよくある質問
Q1. 「退職願」と「退職届」は同じ意味ですか?
一般的には異なります。退職願は会社に退職を願い出る書類、退職届は退職する意思を届け出る書類です。ただし、法律上の扱いは書類の名称だけでなく、記載内容や提出時の事情などによって判断されます。
Q2. 退職願と退職届は、どちらを先に提出しますか?
会社と合意して退職する場合は、退職願を提出した後、合意が成立してから退職届を提出することがあります。ただし、すべての企業でこの順番が決まっているわけではありません。就業規則や会社の手続きを確認しましょう。
Q3. 退職願は提出した後に撤回できますか?
合意退職の申し込みに当たる場合は、原則として会社の承諾前であれば撤回できます。ただし、既に会社が承諾している場合や、実際には一方的な辞職の意思表示と判断される場合などには、結論が異なる可能性があります。
Q4. 退職届は提出した後に撤回できますか?
退職届が一方的な辞職の意思表示に当たる場合は、その意思表示が会社に到達した後、原則として自由に撤回することは難しくなります。ただし、会社が撤回に同意する場合や、退職の意思表示自体に法律上の問題がある場合など、個別の事情によって異なります。
Q5. 退職届は退職日の何日前に提出すればよいですか?
期間の定めのない労働契約では、民法第627条第1項により、原則として退職の申し入れから2週間で労働契約が終了します。ただし、円滑な引き継ぎのため、可能な範囲で就業規則に定められた申出期限なども確認しておくとよいでしょう。
Q6. 会社が退職届を受け取ってくれない場合はどうすればよいですか?
期間の定めのない労働契約では、法律上の要件を満たす辞職の意思表示を行えば、会社の承諾がなくても退職できる場合があります。ただし、意思表示が会社に到達したことを確認できるようにすることが重要です。トラブルになった場合は、労働局などに相談しましょう。
Q7. 退職願や退職届は、パソコンで作成してもよいですか?
法律上、一般的に必ず手書きで作成しなければならないという決まりはありません。ただし、会社指定の書式や提出方法がある場合は、その内容を確認しましょう。
Q8. 有期労働契約でも、退職届を提出すれば2週間で辞められますか?
必ずしもそうではありません。有期労働契約では、期間の定めのない労働契約とは異なるルールが適用されます。やむを得ない事由がある場合や、一定の条件を満たす契約については途中退職が認められる場合がありますが、具体的な契約内容や事情を確認する必要があります。
Q9. 退職願や退職届を提出した後、会社から引き留められたらどうすればよいですか?
会社との合意によって退職する場合は、退職日などについて話し合うことがあります。一方、期間の定めのない労働契約で、法律上の要件を満たす辞職の意思表示を行った場合には、会社の承諾がなければ絶対に退職できないというわけではありません。具体的な事情によって問題が生じた場合は、公的な相談窓口などに相談しましょう。
まとめ|退職願は退職の申し込み、退職届は退職意思の通知
「退職願」と「退職届」は、どちらも会社を辞める際に使われる書類ですが、一般的には次のような違いがあります。
- 退職願:会社に退職を願い出る書類。合意退職の申し込みとして使用されることが多い。
- 退職届:会社に退職する意思を届け出る書類。一方的な辞職の意思表示や、合意後の社内手続きとして使用される。
- 共通点:書類の名称だけでは法的な扱いが決まらず、実際の記載内容や提出時の事情などが重要になる。
特に、提出後に撤回できるかどうかは、合意退職の申し込みなのか、一方的な辞職の意思表示なのかによって異なります。
退職を検討する際には、労働契約の種類や就業規則、退職希望日などを確認し、自分がどのような意思表示を行うのかを十分に考えることが大切です。
また、会社との間で退職日や撤回などについて問題が生じた場合には、必要な資料を整理し、公的な相談窓口や専門家に相談する方法もあります。
参考資料・出典
-
厚生労働省|退職、解雇、雇止めなど
退職の申し出、合意退職と辞職、退職願の撤回など、退職に関する基本的な法律上の考え方を確認できます。
-
厚生労働省|解雇と合意退職・辞職の違い
合意退職と一方的な辞職の違い、期間の定めのない労働契約における退職の申し入れ、承諾の必要性などを確認できます。
-
厚生労働省|辞職に関する裁判例
退職の意思表示の撤回や、合意退職、辞職についての裁判例と基本的な考え方を確認できます。
