「会社から解雇を通知された」「契約社員が雇止めになった」など、「解雇」と「雇止め」は、会社との雇用関係が終了する場面で使われる言葉です。
どちらも、労働者が勤務を続けられなくなるという点では似ていますが、法律上の意味は異なります。
結論からいうと、「解雇」は使用者が労働契約を一方的に終了させること、「雇止め」は有期労働契約について、期間の満了時に契約を更新せず終了させることです。
例えば、期間の定めのない労働契約で働く正社員に対して、会社が一方的に雇用を終了させる場合は、一般的に「解雇」と呼ばれます。
一方、1年間の契約で働く契約社員について、会社が契約期間の満了後は更新しないと決めた場合は、「雇止め」と呼ばれます。
ただし、有期労働契約の従業員であっても、契約期間の途中に会社が一方的に労働契約を終了させる場合は、原則として雇止めではなく解雇の問題になります。
また、契約期間が満了したという理由だけで、すべての雇止めが認められるわけではありません。契約更新を繰り返してきた実態などによっては、労働契約法に基づく保護を受けられる場合があります。
この記事では、解雇と雇止めの違いを比較表で整理し、法律上のルール、30日前の予告、契約更新への期待、失業給付、雇用契約書の確認方法まで、具体例を交えて解説します。
- 「解雇」と「雇止め」の違い【結論】
- 【徹底比較】「解雇」と「雇止め」の違いを比較表で整理
- 「解雇」とは?意味と正しい使い方
- 「雇止め」とは?意味と正しい使い方
- 「解雇」と「雇止め」の決定的な違い
- 解雇予告と雇止め予告は何が違う?
- 有期労働契約なら、必ず契約満了で終了する?
- 【実践】解雇と雇止めを場面別に使い分ける
- 失業給付では「解雇」と「雇止め」はどう扱われる?
- 会社から解雇・雇止めを通知されたときの確認ポイント
- 「解雇」「雇止め」と似た言葉の違い
- 「解雇」と「雇止め」の3秒判定
- よくある間違いと注意点
- 「解雇」と「雇止め」の例文12選
- FAQ|「解雇」と「雇止め」のよくある質問
- まとめ|解雇は一方的な契約終了、雇止めは有期契約の更新拒否
- 参考資料・出典
「解雇」と「雇止め」の違い【結論】
解雇と雇止めの違いを理解するうえで重要なのは、労働契約をどの時点で、どのような方法によって終了させるのかという点です。
- 解雇:使用者が、労働者との労働契約を一方的に終了させること。
- 雇止め:有期労働契約について、契約期間が満了するときに、使用者が更新しないことで雇用を終了させること。
例えば、期間の定めのない労働契約で働いている従業員に対して、会社が解雇を通知する場合は、解雇の問題となります。
一方、6か月ごとの有期労働契約を繰り返してきた従業員に対して、次回の契約更新を行わないと会社が通知する場合は、雇止めの問題となります。
ただし、雇止めは、契約期間が満了する場面で使用される言葉です。
有期労働契約で働く従業員を、契約期間の途中で一方的に辞めさせる場合は、原則として解雇に関する法律上のルールが適用されます。
【徹底比較】「解雇」と「雇止め」の違いを比較表で整理
| 比較項目 | 解雇 | 雇止め |
|---|---|---|
| 読み方 | かいこ | やといどめ |
| 基本的な意味 | 使用者が労働契約を一方的に終了させること | 有期労働契約の満了時に、使用者が契約を更新せず終了させること |
| 対象となる契約 | 無期労働契約・有期労働契約 | 有期労働契約 |
| 契約が終了する時点 | 契約期間中など、使用者が解雇する時点 | 原則として契約期間の満了時 |
| 代表的な法律上のルール | 労働契約法第16条・第17条など | 労働契約法第19条など |
| 予告に関する代表的なルール | 原則として30日前の解雇予告など | 一定の条件を満たす場合、契約満了の30日前までの予告 |
| 法律上の保護 | 合理的な理由などがない解雇は無効となる場合がある | 契約更新の実態や合理的な期待などによっては、雇止めが認められない場合がある |
| 代表的な例 | 会社が従業員を一方的に退職させる | 契約社員について、次回の契約更新を行わない |
| 共通点 | 労働者の意思とは別に、使用者側の判断によって雇用が終了する場面で使われる | |
この表は、解雇と雇止めの代表的な違いを整理したものです。
具体的な法律上の扱いは、労働契約の内容や、更新の回数、雇用の実態などによって異なります。
「解雇」とは?意味と正しい使い方
解雇は、使用者が一方的に労働契約を終了させること
「解雇」は、使用者が労働者との労働契約を一方的に終了させることです。
例えば、会社が従業員に対して、「来月末をもって解雇します」と通知する場合があります。
この場合、従業員が退職を申し出たわけではなく、会社の判断によって労働契約を終了させようとしています。
ただし、会社が解雇すると通知すれば、その解雇が必ず法律上有効になるわけではありません。
労働契約法第16条では、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められない解雇は、権利の濫用として無効になると定められています。
正社員だけでなく、契約社員も解雇される場合がある
解雇は、期間の定めのない労働契約で働く正社員だけを対象とする言葉ではありません。
例えば、1年間の有期労働契約を結んでいる従業員に対し、会社が契約開始から6か月の時点で一方的に契約を終了させようとする場合も、解雇の問題になります。
この場合、労働契約法第17条により、契約期間の途中で有期労働契約の従業員を解雇することは、やむを得ない事由がなければ認められません。
期間の定めのない労働契約よりも、契約期間中の解雇の有効性が厳しく判断される場合があります。
解雇には複数の種類がある
一般的に、解雇は、その理由や性質によって、次のように分類されることがあります。
- 普通解雇:勤務状況や能力、業務上の事情などを理由とする解雇。
- 整理解雇:経営上の理由による人員削減として行われる解雇。
- 懲戒解雇:重大な規律違反などに対する懲戒処分として行われる解雇。
ただし、これらの名称が付いていれば、必ず解雇が有効になるわけではありません。
実際には、解雇の理由や手続き、個別の事情などを踏まえて判断されます。
「解雇」の例文
- 会社から解雇を通知された。
- 経営状況の悪化を理由に、従業員の解雇が検討された。
- 解雇理由について、会社に説明を求めた。
- 有期労働契約の期間中に解雇する場合は、法律上の制限がある。
- 解雇予告の内容について、労働条件を確認した。
「雇止め」とは?意味と正しい使い方
雇止めは、有期労働契約を更新せずに終了させること
「雇止め」は、期間の定めのある労働契約について、契約期間が満了するときに、使用者が契約を更新せず、雇用を終了させることです。
例えば、1年間の有期労働契約を結んでいる従業員について、会社が契約満了日である3月31日をもって契約を終了し、4月以降は更新しないと決めた場合です。
このような場合、「3月31日をもって雇止めとなった」と表現できます。
雇止めは、主に契約社員や有期契約のパートタイム労働者などについて使われます。
ただし、パートやアルバイトという名称だけで、雇止めの対象になるかどうかが決まるわけではありません。実際に期間の定めのある労働契約を結んでいるかどうかが重要です。
契約期間が満了しても、雇止めが認められない場合がある
有期労働契約は、一般的には契約期間の満了によって終了するものです。
しかし、労働契約法第19条では、一定の条件を満たす場合、使用者が自由に更新を拒否できないことが定められています。
例えば、契約が何度も更新されており、実質的に期間の定めのない労働契約と同じような状態になっている場合です。
また、会社から継続雇用を期待させる説明を受けていた場合など、労働者が契約の更新を期待することに合理的な理由があると認められる場合もあります。
このような場合、更新を拒否することに客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められなければ、雇止めが認められないことがあります。
雇止めには予告が必要な場合がある
厚生労働省の「有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準」では、一定の条件を満たす有期労働契約について、雇止めをする場合の予告を定めています。
例えば、契約が3回以上更新されている場合や、1年を超えて継続勤務している場合などです。
これらに該当し、あらかじめ更新しない旨が明示されているなどの除外条件に当たらない場合は、原則として契約満了日の少なくとも30日前までに雇止めを予告する必要があります。
ただし、予告の対象となるかどうかは、契約更新の回数や継続勤務期間、契約内容などによって異なります。
「雇止め」の例文
- 契約期間の満了に伴い、会社から雇止めを通知された。
- 契約を繰り返し更新してきた従業員が、雇止めについて相談した。
- 雇止めの理由について、会社に説明を求めた。
- 雇止めの予告は、対象となる契約の条件に応じて行う必要がある。
- 契約更新への合理的な期待がある場合、雇止めが認められないことがある。
「解雇」と「雇止め」の決定的な違い
違い1:契約を途中で終了させるか、満了時に更新しないか
解雇と雇止めの大きな違いは、労働契約を終了させる方法です。
解雇は、使用者が労働契約を一方的に終了させることを意味します。
一方、雇止めは、有期労働契約の契約期間が満了するときに、会社が契約を更新しないことによって雇用を終了させることです。
例えば、12月31日までの契約で働いている従業員を、会社が10月末で辞めさせようとする場合は、原則として契約期間中の解雇の問題になります。
一方、会社が12月31日の契約満了をもって更新しない場合は、雇止めの問題になります。
違い2:対象となる労働契約が異なる
解雇は、無期労働契約と有期労働契約のどちらについても行われる可能性があります。
一方、雇止めは、契約期間の満了時に更新しないことを意味するため、有期労働契約について使用されます。
期間の定めのない労働契約には契約満了日がないため、通常、雇止めという表現は使いません。
違い3:法律上の保護の仕組みが異なる
解雇については、労働契約法第16条などによる制限があります。
また、有期労働契約の期間途中の解雇については、同法第17条の制限があります。
一方、雇止めについては、一定の条件の下で、同法第19条により契約更新が認められる場合があります。
それぞれ適用される法律上のルールが異なるため、契約が終了する経緯を正確に確認することが重要です。
解雇予告と雇止め予告は何が違う?
解雇は原則として30日前の予告が必要
労働基準法第20条では、使用者が労働者を解雇する場合、原則として少なくとも30日前に予告しなければならないと定められています。
30日前に予告しない場合は、原則として30日分以上の平均賃金に相当する解雇予告手当を支払う必要があります。
予告日数が30日に足りない場合は、不足する日数に応じた解雇予告手当を支払う方法もあります。
ただし、法令で定められた例外もあります。
また、解雇予告の手続きを守っていることと、解雇そのものが法律上有効であることは別の問題です。
雇止めも一定の場合は30日前までの予告が必要
雇止めの場合は、解雇とは異なる基準によって予告が求められます。
厚生労働省の告示では、契約が3回以上更新されている場合や、1年を超えて継続勤務している場合など、一定の条件を満たす有期労働契約について、原則として契約満了日の30日前までに雇止めを予告する必要があります。
ただし、契約締結時から更新しない旨が明示されている場合など、対象から除かれる場合もあります。
また、予告の要件を満たしているからといって、労働契約法第19条との関係で雇止めが必ず有効になるわけではありません。
雇止めの予告と解雇予告手当は同じ制度ではない
解雇予告と雇止め予告は、どちらも30日前という期間が登場するため、同じ制度だと誤解されることがあります。
しかし、解雇予告は労働基準法第20条に基づく制度です。
一方、雇止め予告は、有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準によって定められています。
そのため、雇止めの予告をしなかった場合に、解雇予告手当と同じ仕組みが当然に適用されるわけではありません。
有期労働契約なら、必ず契約満了で終了する?
繰り返し更新されている場合は注意が必要
有期労働契約では、契約期間が満了した場合、原則として契約が終了します。
しかし、契約が何度も更新され、長期間にわたって同じ仕事を続けている場合などには、単に契約期間が満了したという理由だけで雇止めが認められるとは限りません。
例えば、6か月ごとの契約を長年にわたって繰り返してきた従業員が、次回も契約が更新されると合理的に期待できる状況にあった場合です。
このような場合には、労働契約法第19条による保護が問題となることがあります。
更新についての説明や契約内容も重要
契約更新への期待が合理的かどうかを判断する際には、契約書の記載や、会社からの説明、過去の更新実績など、さまざまな事情が関係します。
例えば、契約書に「更新する場合がある」と記載されていた場合と、「更新しない」と明示されていた場合では、判断に関係する事情が異なります。
ただし、契約書に特定の文言が書かれていることだけで、すべての雇止めについて結論が決まるわけではありません。
実際の更新状況や労使間のやり取りなども踏まえて判断されます。
無期転換制度との関係
同じ使用者との間で有期労働契約が繰り返し更新され、通算の契約期間が5年を超えた場合には、一定の条件の下で、労働者が無期労働契約への転換を申し込むことができる制度があります。
これを「無期転換ルール」と呼びます。
無期転換の申込権が発生する時期や対象となる契約などについては、個別の条件があります。
また、無期転換を申し込んだからといって、必ず正社員になるという意味ではありません。
無期転換後の労働条件は、別段の定めがない限り、契約期間を除いて従前の有期労働契約と同一となります。
【実践】解雇と雇止めを場面別に使い分ける
場面1:正社員が会社から退職を命じられた場合
期間の定めのない労働契約で働いている正社員に対し、会社が一方的に雇用を終了させる場合は、一般的に解雇と呼ばれます。
例えば、「会社から来月末で解雇すると通知された」という表現です。
この場合、解雇の理由や予告手続きなどについて、法律上のルールが適用されます。
場面2:契約社員の契約が更新されなかった場合
1年ごとの有期労働契約で働く契約社員について、契約満了時に会社が更新しないと決めた場合は、雇止めと表現します。
例えば、「会社から契約を更新しないと通知され、3月末で雇止めになった」という文章です。
ただし、契約更新の回数や継続勤務期間などによっては、雇止めの予告や、労働契約法第19条との関係を確認する必要があります。
場面3:契約期間の途中で契約社員を辞めさせる場合
1年間の有期労働契約で働く従業員について、会社が契約開始から4か月の時点で一方的に雇用を終了させる場合は、原則として解雇の問題になります。
有期労働契約の契約期間途中の解雇は、やむを得ない事由がなければ認められません。
単に「契約社員だから」という理由で、契約期間の途中に自由に解雇できるわけではありません。
場面4:短時間勤務のパート従業員の場合
パートタイム労働者でも、期間の定めのある労働契約で働いている場合には、契約満了時の更新拒否が雇止めの問題になることがあります。
一方、期間の定めのない労働契約で働いている場合には、通常、雇止めという表現は使いません。
つまり、「パートだから雇止め」「正社員だから解雇」という区別ではなく、実際の労働契約の内容が重要です。
場面5:会社から退職を勧められた場合
会社から退職を勧められ、労働者本人がそれに応じて退職する場合は、「退職勧奨による退職」などと表現されます。
退職勧奨は、会社が労働者に退職を勧める行為であり、会社が一方的に労働契約を終了させる解雇とは区別されます。
ただし、実際の経緯によっては、労働者が自由な意思で退職に同意したかどうかなどが問題になる場合があります。
失業給付では「解雇」と「雇止め」はどう扱われる?
解雇による離職は、特定受給資格者に該当する場合がある
雇用保険の基本手当では、離職の理由によって、受給資格や所定給付日数などの扱いが異なる場合があります。
ハローワークでは、一般的な解雇によって離職した人は、一定の条件の下で「特定受給資格者」に該当するとされています。
ただし、本人の責めに帰すべき重大な理由による解雇などは、同じ扱いにはなりません。
また、実際に基本手当を受けるためには、雇用保険の加入期間や求職の意思など、所定の要件を満たす必要があります。
雇止めによる離職は、契約内容や更新の経緯によって異なる
雇止めによって離職した人については、「特定受給資格者」や「特定理由離職者」に該当する場合があります。
例えば、有期労働契約が繰り返し更新され、3年以上継続して雇用されていた場合に、契約が更新されなかったことで離職した人は、所定の条件の下で特定受給資格者に該当する場合があります。
また、契約更新を希望していたものの更新について合意が成立せず離職した場合は、特定理由離職者に該当することがあります。
ただし、該当する区分は、契約の更新状況や契約書に記載された内容などによって異なります。
離職理由は、会社が記載した内容だけで決まるわけではない
ハローワークでは、離職票に記載された内容や、労働者本人と会社の双方から確認した事情などを踏まえ、離職理由を判断します。
そのため、会社が離職理由を「自己都合」と記載したとしても、それだけで最終的な判断が確定するわけではありません。
実際の退職理由と離職票の記載が異なる場合は、ハローワークで必要な事情を説明し、関係する資料を示す方法があります。
会社から解雇・雇止めを通知されたときの確認ポイント
1. 労働契約の種類を確認する
まず、期間の定めのない労働契約なのか、有期労働契約なのかを確認しましょう。
有期労働契約の場合は、契約期間の開始日と満了日、更新に関する条件なども確認します。
特に、契約期間の途中に雇用を終了させようとしているのか、契約満了時に更新しないという通知なのかが重要です。
2. 通知された理由と終了日を確認する
次に、会社がどのような理由で労働契約を終了させようとしているのか確認します。
解雇の場合は、解雇理由や解雇日、解雇予告の有無などが重要です。
雇止めの場合は、契約満了日、更新しない理由、過去の更新実績などを確認しましょう。
会社からの説明が不明確な場合は、必要に応じて書面による説明を求める方法があります。
3. 解雇・雇止めの理由について証明書を請求できるか確認する
労働者は、一定の場合、解雇の理由を記載した証明書を会社に請求できます。
また、雇止めについても、予告の対象となる有期労働契約では、労働者から請求があった場合、使用者は雇止めの理由について証明書を交付する必要があります。
具体的な請求方法や必要な記載事項は、適用される制度や状況によって異なります。
4. 会社とのやり取りを保存する
解雇や雇止めについて連絡を受けた場合は、通知書、メール、労働契約書、雇用条件通知書などを保存しておくとよいでしょう。
また、口頭で説明を受けた場合には、日時や担当者、説明の内容などを記録しておく方法があります。
重要な連絡について、単に知らせる行為と、正式な経過や結果を伝える行為との違いを理解したい場合は、「連絡」と「報告」の違いも参考になります。
5. 必要に応じて公的な相談窓口を利用する
解雇や雇止めについて疑問がある場合は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーなどに相談する方法があります。
また、失業給付の具体的な受給資格や離職理由については、ハローワークで確認できます。
会社からの通知内容や契約書など、状況を説明できる資料を整理しておくと、相談しやすくなります。
「解雇」「雇止め」と似た言葉の違い
「退職」との違い
「退職」は、勤めていた職を辞めることです。
自分の意思で会社を辞める場合だけでなく、定年や解雇などによって職を離れる場合にも、広い意味で退職という言葉が使われることがあります。
一方、解雇は会社が一方的に労働契約を終了させること、雇止めは有期労働契約を満了時に更新せず終了させることです。
退職という言葉だけでは、誰の判断によって、どのような理由で雇用が終了したのかまでは明確ではありません。
「退職勧奨」との違い
退職勧奨は、会社が労働者に対して、自発的な退職を勧めることです。
一方、解雇は、使用者が一方的に労働契約を終了させることです。
退職勧奨を受けたからといって、必ず退職しなければならないわけではありません。
ただし、実際の状況によっては、退職の合意が本人の自由な意思に基づいていたかどうかなどが問題になる場合があります。
「契約満了」との違い
「契約満了」は、契約で定められた期間が終了することです。
一方、「雇止め」は、有期労働契約の期間満了時に、使用者が契約を更新せずに雇用を終了させることです。
例えば、最初から更新しないことが予定されていた有期労働契約が期間満了によって終了した場合、通常の契約満了という表現が適切なことがあります。
一方、更新の可能性がある有期労働契約について、会社が次回の更新を行わずに終了させる場合は、雇止めという表現が使われます。
「解除」と「解約」との違い
「解除」と「解約」は、一般的に契約を終了させる場面で使われる言葉ですが、法律上の意味や効果は、契約の種類などによって異なります。
一方、「解雇」は、労働契約について、使用者が一方的に契約を終了させることを表す専門的な言葉です。
雇止めは、有期労働契約を期間満了時に更新しないことを意味します。
契約を終了させる一般的な表現については、「解除」と「解約」の違いも参考になります。
「取消し」と「撤回」との違い
「取消し」と「撤回」は、いったん行った行為や意思表示などを取り消す場面で使われる言葉です。
一方、解雇や雇止めは、労働契約を終了させる場面で使用されます。
例えば、会社が既に出した解雇通知を取り下げる場合には、「解雇を撤回する」という表現が使われることがあります。
ただし、法律上の取消しや撤回の効果は、対象となる行為や具体的な事情によって異なります。
関連する表現については、「取消し」と「撤回」の違いも参考になります。
「無期転換」との違い
無期転換は、一定の条件を満たした有期労働契約の労働者が、期間の定めのない労働契約への転換を申し込むことができる制度です。
一方、雇止めは、有期労働契約の期間満了時に、使用者が契約を更新せずに雇用を終了させることです。
無期転換申込権が発生している場合など、契約更新や雇止めを考えるうえで、無期転換制度が重要になることがあります。
「解雇」と「雇止め」の3秒判定
| 伝えたい内容 | 使いやすい言葉 |
|---|---|
| 会社が正社員との労働契約を一方的に終了させる | 解雇 |
| 有期労働契約の期間途中で、会社が一方的に雇用を終了させる | 解雇 |
| 契約社員について、満了時に次回の契約更新を行わない | 雇止め |
| 有期契約のパート従業員について、満了時に更新を行わない | 雇止め |
| 従業員が自分から会社を辞める | 自己都合退職 |
| 会社が従業員に、自発的な退職を勧める | 退職勧奨 |
| 有期労働契約が、予定された期間の終了を迎える | 契約満了 |
| 一定の条件を満たす有期契約労働者が、無期契約への転換を申し込む | 無期転換 |
会社が労働契約を一方的に終了させるなら「解雇」、有期労働契約を満了時に更新せず終了させるなら「雇止め」が基本的な使い分けです。
よくある間違いと注意点
「契約社員だから自由に解雇できる」は誤り
有期労働契約の従業員について、契約期間の途中で解雇する場合は、やむを得ない事由がなければ認められません。
正社員ではないという理由だけで、会社が自由に解雇できるわけではありません。
「契約満了なら必ず雇止めが有効」は誤り
有期労働契約は、原則として期間満了によって終了します。
しかし、契約を繰り返し更新してきた場合や、更新への合理的な期待がある場合には、労働契約法第19条によって、雇止めが認められないことがあります。
「30日前に予告すれば必ず解雇できる」は誤り
解雇予告の手続きを守っていることと、解雇そのものが法律上有効であることは、別の問題です。
解雇が有効かどうかについては、客観的に合理的な理由や社会通念上の相当性などが問題になります。
「雇止めは必ず30日前に予告する」とは限らない
雇止めの予告が必要になるかどうかは、契約更新の回数や継続勤務期間、契約締結時の明示内容などによって異なります。
すべての有期労働契約について、同じ予告ルールが適用されるわけではありません。
離職票に記載された理由だけで失業給付の区分は確定しない
雇用保険では、実際の離職理由に応じて、基本手当の受給資格や所定給付日数などが判断されます。
会社からの説明と実際の離職理由が異なる場合は、ハローワークで事情を説明し、必要な資料を示すことができます。
「解雇」と「雇止め」の例文12選
「解雇」を使った例文
- 会社から解雇の通知を受けた。
- 解雇理由について、会社に説明を求めた。
- 有期労働契約の期間中に解雇する場合は、厳しい法律上の制限がある。
- 解雇予告の手続きについて確認した。
- 労働者は、解雇の有効性について相談した。
- 会社が解雇を撤回したため、引き続き勤務することになった。
「雇止め」を使った例文
- 契約期間の満了に伴い、会社から雇止めを通知された。
- 契約を繰り返し更新してきた従業員が、雇止めについて相談した。
- 雇止めの理由について、会社に説明を求めた。
- 雇止めの予告が必要かどうか、契約更新の回数を確認した。
- 契約更新への合理的な期待がある場合、雇止めが認められないことがある。
- 雇止めによる離職について、ハローワークで失業給付の手続きを確認した。
FAQ|「解雇」と「雇止め」のよくある質問
Q1. 「解雇」と「雇止め」は同じ意味ですか?
同じ意味ではありません。解雇は使用者が労働契約を一方的に終了させること、雇止めは有期労働契約の満了時に、使用者が契約を更新せずに終了させることです。
Q2. 契約社員でも解雇されることはありますか?
あります。ただし、有期労働契約の契約期間中の解雇は、やむを得ない事由がなければ認められません。契約社員だからという理由で、自由に解雇できるわけではありません。
Q3. 雇止めは何日前に通知する必要がありますか?
一定の条件を満たす有期労働契約については、原則として契約満了日の30日前までに雇止めを予告する必要があります。ただし、対象となるかどうかは、契約更新の回数や継続勤務期間、契約内容などによって異なります。
Q4. 解雇は30日前に予告すれば必ず認められますか?
必ずしもそうではありません。解雇予告の手続きを守っていても、解雇に客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない場合は、解雇が無効となることがあります。
Q5. 契約を何度も更新してきた場合でも、雇止めされますか?
契約期間の満了時に、会社が次回の更新を行わないとする場合があります。ただし、契約を繰り返し更新してきた実態や、更新への合理的な期待がある場合には、労働契約法第19条によって雇止めが認められないことがあります。
Q6. 解雇と雇止めでは、失業給付に違いがありますか?
離職理由や契約の更新状況などによって異なります。一般的な解雇では特定受給資格者に該当する場合があり、雇止めでも、更新の経緯などによって特定受給資格者や特定理由離職者に該当する場合があります。具体的な区分はハローワークで確認する必要があります。
Q7. 雇止めの理由を会社に聞くことはできますか?
一定の条件を満たす雇止めについては、労働者が理由の証明書を請求した場合、会社は遅滞なく交付しなければならないとされています。適用される条件や請求方法については、労働契約の内容などを確認しましょう。
Q8. 無期転換を申し込めば、雇止めを防げますか?
無期転換申込権が発生しており、適切に申し込んだ場合は、原則として期間の定めのない労働契約へ転換することができます。ただし、申込権が発生する条件や時期などについては、個別の労働契約の内容を確認する必要があります。
Q9. 解雇や雇止めについて困った場合は、どこに相談できますか?
都道府県労働局の総合労働相談コーナーなどに相談する方法があります。また、失業給付の受給資格や離職理由については、ハローワークで確認できます。
まとめ|解雇は一方的な契約終了、雇止めは有期契約の更新拒否
「解雇」と「雇止め」は、どちらも会社の判断によって雇用が終了する場面で使われますが、法律上の意味は異なります。
- 解雇:使用者が労働契約を一方的に終了させること。
- 雇止め:有期労働契約の期間満了時に、使用者が契約を更新せずに終了させること。
- 共通点:どちらも法律上の制限や手続きが関係し、使用者が自由に雇用を終了できるわけではない。
有期労働契約で働いている人でも、契約期間の途中に一方的に雇用を終了させられる場合は、原則として解雇の問題になります。
また、契約期間が満了する場合でも、契約更新の実態や合理的な期待などによっては、雇止めが認められないことがあります。
会社から解雇や雇止めを通知された場合は、労働契約の種類、契約終了日、予告の内容、更新の実績などを確認しましょう。
そのうえで、法律上の扱いに疑問がある場合は、公的な相談窓口や専門家に相談することが大切です。
参考資料・出典
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厚生労働省|労働契約(契約の締結、労働条件の変更、解雇等)
解雇の有効性、有期労働契約の期間途中の解雇、雇止めに関する労働契約法上のルール、解雇予告などを確認できます。
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厚生労働省|労働契約の終了に関するルール
解雇と雇止めの違い、雇止めの予告、契約更新への期待などに関する基本的な考え方を確認できます。
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ハローワーク|特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
解雇や雇止めによって離職した場合の、雇用保険の離職理由に関する区分を確認できます。
