「出勤停止」と「自宅待機」の違いとは?給与・休業手当・懲戒処分・待機期間中の注意点を解説

「規律違反によって出勤停止処分を受けた」「会社から調査が終わるまで自宅待機を命じられた」など、「出勤停止」と「自宅待機」は、どちらも会社へ出勤しない場面で使われる言葉です。

しかし、両者は必ずしも同じ意味ではありません。特に、出勤しない期間の給与や、会社からの連絡に応じる義務などについて、法律上の扱いが異なる場合があります。

結論からいうと、「出勤停止」は従業員の出勤を一定期間停止すること、「自宅待機」は会社の指示によって自宅で待機することです。

例えば、重大な規律違反があった従業員に対し、就業規則に基づいて5日間の出勤停止処分を行う場合があります。

一方、社内で問題が発生し、事実関係を調査する間、従業員に自宅で待機するよう指示する場合は、自宅待機と表現できます。

ただし、出勤停止という名称が使われていても、正式な懲戒処分とは限りません。また、自宅待機についても、実際には休業に当たる場合や、労働時間として賃金の支払いが必要になる場合があります。

この記事では、出勤停止と自宅待機の違いを比較表で整理し、懲戒処分、調査中の待機、給与、休業手当、待機中の連絡や外出、処分通知を受けた際の確認事項などを具体例とともに解説します。

  1. 「出勤停止」と「自宅待機」の違い【結論】
  2. 【徹底比較】「出勤停止」と「自宅待機」の違いを比較表で整理
  3. 「出勤停止」とは?意味と正しい使い方
    1. 出勤停止は、従業員の出勤を一定期間停止すること
    2. 懲戒処分としての出勤停止
    3. 調査を目的として出勤停止を命じる場合
    4. 「出勤停止」の例文
  4. 「自宅待機」とは?意味と正しい使い方
    1. 自宅待機は、会社の指示により自宅で待つこと
    2. 自宅待機中に連絡への対応を求められる場合がある
    3. 自宅待機でも無給になるとは限らない
    4. 「自宅待機」の例文
  5. 「出勤停止」と「自宅待機」の決定的な違い
    1. 違い1:懲戒処分か、業務上の必要による措置か
    2. 違い2:給与の扱いが異なる場合がある
    3. 違い3:自宅待機は出勤停止の方法として使われることもある
  6. 【重要】出勤停止・自宅待機中の給与はどうなる?
    1. 適法な懲戒処分としての出勤停止では、無給とする場合がある
    2. 会社都合の休業なら、原則として平均賃金の60%以上の休業手当が必要
    3. 会社の指揮命令下で自宅待機する場合は、通常の給与が必要になることがある
    4. 調査中の自宅待機は、具体的な事情によって判断する
  7. 休業手当は給与の60%?計算するときの注意点
    1. 休業手当は平均賃金を基に計算する
    2. 平均賃金が1万円の場合
    3. 休業手当の最低額と、実際に請求できる賃金額は異なる場合がある
  8. 自宅待機中は外出してもよい?
    1. 会社の指示と待機の実態によって異なる
    2. 会社からの連絡に応じる義務を確認する
    3. 自宅待機と在宅勤務は同じではない
  9. 調査のための自宅待機と懲戒処分の違い
    1. 調査中は、まだ懲戒処分が決まっていない場合がある
    2. 事実関係を確認することが重要
    3. 調査終了後に懲戒処分が行われる場合もある
  10. 【実践】場面別に「出勤停止」と「自宅待機」を使い分ける
    1. 場面1:規律違反によって5日間出勤できない場合
    2. 場面2:問題行動の調査が終わるまで出勤を控える場合
    3. 場面3:仕事が少ないため、一時的に会社を休む場合
    4. 場面4:会社からの連絡に応じて直ちに出勤する場合
    5. 場面5:出勤停止処分が終了して職場に戻る場合
  11. 出勤停止・自宅待機を命じられたときの5つの確認ポイント
    1. 1. 懲戒処分なのか、調査のための措置なのか確認する
    2. 2. 期間と終了条件を確認する
    3. 3. 給与や休業手当の扱いを確認する
    4. 4. 待機中の過ごし方や連絡方法を確認する
    5. 5. 疑問がある場合は相談する
  12. 企業が出勤停止や自宅待機を命じる際の注意点
    1. 懲戒処分には適切な根拠が必要
    2. 調査目的の自宅待機では、必要性や期間を確認する
    3. 給与の支払いについて適切に判断する
    4. 再発防止策も検討する
  13. 「出勤停止」「自宅待機」と似た言葉の違い
    1. 「停職」との違い
    2. 「休業」との違い
    3. 「欠勤」との違い
    4. 「休職」との違い
    5. 「在宅勤務」との違い
    6. 「待機時間」との違い
  14. 「出勤停止」と「自宅待機」の3秒判定
  15. よくある間違いと注意点
    1. 「出勤停止はすべて懲戒処分」は誤り
    2. 「自宅待機なら給与は支払われない」は誤り
    3. 「会社都合の休業なら給与の60%だけ払えばよい」は誤り
    4. 「調査中なら自由に無給の自宅待機を命じられる」は誤り
    5. 「自宅待機中は必ず自由に外出できる」は誤り
  16. 「出勤停止」と「自宅待機」の例文12選
    1. 「出勤停止」を使った例文
    2. 「自宅待機」を使った例文
  17. FAQ|「出勤停止」と「自宅待機」のよくある質問
    1. Q1. 「出勤停止」と「自宅待機」は同じ意味ですか?
    2. Q2. 出勤停止は必ず懲戒処分になりますか?
    3. Q3. 出勤停止期間中は給与が支払われますか?
    4. Q4. 自宅待機中は給与が支払われますか?
    5. Q5. 自宅待機中は外出してもよいですか?
    6. Q6. 調査中の自宅待機は、無給でも問題ありませんか?
    7. Q7. 出勤停止処分は何日まで認められますか?
    8. Q8. 自宅待機と在宅勤務はどう違いますか?
    9. Q9. 出勤停止や自宅待機に納得できない場合は、どこに相談できますか?
  18. まとめ|出勤停止は出勤を止める措置、自宅待機は自宅で待つ状態
  19. 参考資料・出典

「出勤停止」と「自宅待機」の違い【結論】

出勤停止と自宅待機の基本的な違いは、出勤を止めるという措置そのものに着目するか、自宅で待機するという状態に着目するかです。

  • 出勤停止:会社が従業員の出勤を一定期間停止すること。懲戒処分として行われる場合や、調査のため一時的に出勤を控えさせる場合などがある。
  • 自宅待機:会社の指示により、従業員が自宅で待機すること。調査中の待機や、会社都合による業務停止など、さまざまな理由で行われる。

例えば、就業規則に基づく懲戒処分として出勤停止を命じ、その間は給与を支払わないという制度を設けている企業があります。

一方、会社が従業員に対して、業務上の都合によってしばらく自宅で待機するよう命じる場合には、通常の賃金や休業手当などの支払いが必要になることがあります。

重要なのは、出勤停止や自宅待機という名称だけで、給与の支払いが必要かどうかを判断できないという点です。

【徹底比較】「出勤停止」と「自宅待機」の違いを比較表で整理

比較項目 出勤停止 自宅待機
読み方 しゅっきんていし じたくたいき
基本的な意味 一定期間、出勤を停止すること 会社の指示により、自宅で待機すること
主な目的 懲戒処分、事実調査など 事実調査、業務上の必要、会社都合による休業など
懲戒処分か 懲戒処分として行われる場合がある 通常は懲戒処分そのものとは限らない
勤務場所 通常の職場に出勤しない 自宅など会社が指定した場所
給与 懲戒処分としての適法な出勤停止では無給とする場合がある 待機の実態や休業の理由などによって異なる
休業手当 適法な懲戒処分として行われる場合は、通常、支給対象とはならない 使用者の責めに帰すべき事由による休業なら、原則として必要
会社からの連絡 処分通知や会社の指示による 直ちに出勤できるよう連絡への対応を求められる場合がある
期間 懲戒規程や措置の目的などによる 待機を命じた理由や会社の指示などによる

なお、調査目的で出勤を停止し、同時に自宅待機を命じる場合など、二つの言葉が同じ場面で使われることもあります。

そのため、実際の取り扱いを確認する際には、何のために、どのような条件で出勤しないよう命じられたのかを把握することが重要です。

「出勤停止」とは?意味と正しい使い方

出勤停止は、従業員の出勤を一定期間停止すること

「出勤停止」は、会社が従業員に対し、一定期間出勤しないよう命じることです。

例えば、従業員が会社の規律に違反した場合、就業規則に基づいて一定期間の出勤停止処分を行うことがあります。

また、不正行為の疑いがあり、事実関係を調査するため、一時的に従業員の出勤を止める場合もあります。

ただし、前者は懲戒処分としての出勤停止、後者は調査などを目的とした出勤停止であり、法律上の性質が同じとは限りません。

懲戒処分としての出勤停止

懲戒処分としての出勤停止は、従業員の規律違反などに対し、一定期間の就労を禁止する処分です。

厚生労働省のモデル就業規則では、出勤停止について、始末書の提出を求めるとともに、所定の日数を限度として出勤を停止し、その間の賃金を支給しないという規定例が示されています。

ただし、すべての企業が同じ処分内容を採用しているわけではありません。

出勤停止の期間や始末書の要否などは、会社の就業規則や懲戒規程によって異なります。

調査を目的として出勤停止を命じる場合

社内で不正行為などの疑いが生じた場合、会社が事実関係を調査するため、関係する従業員に出勤を控えるよう求めることがあります。

例えば、調査対象者が職場にいることで証拠の保全や関係者への聞き取りに影響が生じる可能性がある場合です。

このような出勤停止は、直ちに懲戒処分を意味するものではありません。

また、調査中の出勤停止については、給与の支払いが必要になる場合があります。

「出勤停止」の例文

  • 会社は、規律違反を理由に5日間の出勤停止処分を行った。
  • 出勤停止処分の根拠となる就業規則を確認した。
  • 事実関係の調査が終わるまで、出勤停止を命じられた。
  • 出勤停止期間中の給与について、人事担当者に説明を求めた。
  • 会社は、出勤停止処分の期間と理由を書面で通知した。

「自宅待機」とは?意味と正しい使い方

自宅待機は、会社の指示により自宅で待つこと

「自宅待機」は、会社の指示に従い、自宅で待機することです。

例えば、社内でトラブルが発生し、調査結果が出るまで職場へ出勤せず、自宅で待つように指示される場合があります。

また、業務量の減少などによって、会社が従業員に自宅待機を命じる場合もあります。

自宅待機の理由はさまざまであり、それ自体が必ず懲戒処分になるわけではありません。

自宅待機中に連絡への対応を求められる場合がある

自宅待機では、会社からの連絡に応じて、直ちに職場へ出勤できる状態を保つよう命じられる場合があります。

例えば、勤務時間中は自宅で待機し、会社から連絡があれば、速やかに出勤する必要がある場合です。

このように、待機中も会社の指揮命令下に置かれている場合は、労働時間に当たり、通常の給与の支払いが必要になることがあります。

一方、業務上の都合で休業を命じられ、自宅で自由に過ごすことができる場合には、休業手当などの問題になります。

自宅待機でも無給になるとは限らない

自宅待機を命じられた場合、会社に出勤していないからといって、必ず無給になるわけではありません。

例えば、会社の都合で従業員を休業させた場合、原則として労働基準法第26条に基づく休業手当が必要です。

また、会社の連絡に応じて直ちに出勤するよう命じられ、自宅で自由に時間を使えない場合には、通常の給与を支払う必要があるとされています。

したがって、自宅待機を命じられた場合は、どのような条件で待機するのか確認することが重要です。

「自宅待機」の例文

  • 会社から、調査が終わるまで自宅待機を命じられた。
  • 自宅待機中の給与について、人事担当者に問い合わせた。
  • 会社から連絡があった場合は、直ちに出勤できる状態で待機する。
  • 業務量の減少に伴い、従業員が一時的に自宅待機となった。
  • 自宅待機が解除され、翌週から通常勤務に戻ることになった。

「出勤停止」と「自宅待機」の決定的な違い

違い1:懲戒処分か、業務上の必要による措置か

出勤停止は、懲戒処分として行われることがあります。

一方、自宅待機は、調査や業務上の都合など、さまざまな理由で命じられる措置です。

例えば、重大な規律違反に対する処分として、10日間の出勤停止を命じる場合があります。

一方、社内調査を行うため、結論が出るまで自宅待機を命じる場合は、必ずしも懲戒処分ではありません。

違い2:給与の扱いが異なる場合がある

就業規則に基づく適法な懲戒処分としての出勤停止では、出勤停止期間中を無給とする場合があります。

一方、会社の都合で自宅待機という形の休業を命じる場合には、原則として休業手当が必要です。

また、会社からの連絡に応じて直ちに出勤する義務があるなど、労働時間と評価される自宅待機では、通常の給与の支払いが必要になる場合があります。

違い3:自宅待機は出勤停止の方法として使われることもある

出勤停止と自宅待機は、完全に対立する言葉ではありません。

例えば、調査のために出勤停止を命じられた従業員が、その期間中、自宅待機を指示される場合があります。

この場合、出勤停止は会社へ出勤させない措置、自宅待機は出勤しない期間の過ごし方を表しています。

そのため、二つの言葉が同時に使われても、必ずしも矛盾するわけではありません。

【重要】出勤停止・自宅待機中の給与はどうなる?

適法な懲戒処分としての出勤停止では、無給とする場合がある

会社が就業規則などに基づき、適法な懲戒処分として出勤停止を命じた場合は、処分期間中の給与を支払わない規定が設けられていることがあります。

ただし、懲戒処分としての出勤停止が有効であるためには、客観的に合理的な理由や社会通念上の相当性などが必要です。

例えば、軽微な規律違反を理由として、長期間の無給の出勤停止を命じた場合には、処分の相当性が問題になる可能性があります。

会社都合の休業なら、原則として平均賃金の60%以上の休業手当が必要

労働基準法第26条では、使用者の責めに帰すべき事由によって従業員を休業させる場合、平均賃金の60%以上の休業手当を支払う必要があると定めています。

例えば、注文が少ないという理由で、会社が従業員に自宅待機を命じ、仕事を休ませた場合です。

このような場合は、原則として休業手当の支払義務が生じます。

ただし、不可抗力などによって休業した場合には、労働基準法第26条の休業手当が必要とならないことがあります。

会社の指揮命令下で自宅待機する場合は、通常の給与が必要になることがある

自宅待機中でも、会社からの連絡があれば直ちに出勤することが求められ、自宅で自由に時間を使えない場合があります。

厚生労働省は、このような自宅での待機について、通常どおりの給与を支払う必要があると説明しています。

そのため、「自宅にいるから休業手当だけ支払えばよい」とは限りません。

調査中の自宅待機は、具体的な事情によって判断する

不正行為などの疑いについて調査するため、会社が自宅待機を命じる場合があります。

このような場合は、待機を命じる業務上の必要性や、従業員の就労を拒否することの合理性などを確認する必要があります。

単に「調査中」という理由だけで、すべての自宅待機を無給にできるわけではありません。

実際の賃金支払義務については、待機を命じた理由や具体的な事情などに応じて判断されます。

休業手当は給与の60%?計算するときの注意点

休業手当は平均賃金を基に計算する

労働基準法第26条に基づく休業手当は、平均賃金の60%以上です。

平均賃金は、原則として、算定すべき事由の発生した日以前3か月間の賃金総額を、その期間の暦日数で割って計算します。

したがって、月給の60%と、法律上の平均賃金の60%は、必ずしも同じ金額にはなりません。

平均賃金が1万円の場合

例えば、平均賃金の1日分が1万円だった場合、休業手当の法定最低額は、原則として1日当たり6,000円です。

項目 金額
平均賃金1日分 10,000円
休業手当の法定最低額 6,000円
休業日数 5日
5日分の休業手当の法定最低額 30,000円

ただし、実際の平均賃金の計算には、労働基準法上の計算方法や最低保障額などが関係する場合があります。

また、会社の就業規則や労働協約などで、平均賃金の60%を超える休業手当や通常の賃金の支払いが定められている場合には、その内容も確認する必要があります。

休業手当の最低額と、実際に請求できる賃金額は異なる場合がある

労働基準法第26条は、一定の休業について、平均賃金の60%以上という最低基準を定めたものです。

一方、民法第536条第2項などによって、労働者が通常の賃金を請求できる場合があります。

したがって、休業手当の最低額が60%だからといって、どのような会社都合の休業でも、会社が通常の給与を60%に減らしてよいわけではありません。

自宅待機中は外出してもよい?

会社の指示と待機の実態によって異なる

自宅待機中に外出してよいかどうかは、会社がどのような待機を命じているかによって異なります。

例えば、勤務時間中は会社からの連絡に応じ、直ちに出勤できる状態で自宅にいるよう命じられている場合です。

このような場合は、会社の指示に従って待機する必要があります。

一方、会社都合によって休業となり、出勤する義務や自宅で待機する義務がない場合は、過ごし方が異なります。

会社からの連絡に応じる義務を確認する

自宅待機を命じられた場合は、会社からの連絡への対応について確認しましょう。

例えば、勤務時間中に電話へ出る必要があるのか、連絡を受けてからどの程度の時間で出勤する必要があるのかなどです。

こうした条件は、待機中の時間が労働時間に当たるかどうかを判断するうえでも重要になる場合があります。

自宅待機と在宅勤務は同じではない

自宅待機と在宅勤務は、どちらも自宅で過ごすことがありますが、基本的な意味は異なります。

自宅待機は、会社の指示に従って自宅で待つことです。

一方、在宅勤務は、自宅を勤務場所として、実際に仕事を行うことです。

例えば、自宅で会社の業務システムを使用し、通常の仕事を行っている場合は、在宅勤務と表現するのが自然です。

調査のための自宅待機と懲戒処分の違い

調査中は、まだ懲戒処分が決まっていない場合がある

社内で不正行為などの疑いが生じた場合、会社が調査を行うことがあります。

その際に自宅待機を命じられたとしても、その時点で懲戒処分が正式に決まっているとは限りません。

例えば、関係者への聞き取りや記録の調査が終わるまで、自宅待機を命じる場合です。

このような措置は、調査の必要性に基づいて行われるものであり、懲戒処分としての出勤停止とは区別する必要があります。

事実関係を確認することが重要

会社が懲戒処分を検討する場合には、問題となる行為の内容や経緯など、事実関係を確認することが重要です。

例えば、問題が発生した日時や場所、関係者の説明、記録などを調査する場合があります。

調査の目的は、問題となる行為が実際にあったのか、どのような事情があったのかを明らかにすることです。

関連する言葉の使い分けについては、「確認」と「検証」の違いも参考になります。

調査終了後に懲戒処分が行われる場合もある

会社が事実関係を調査した結果、懲戒処分が必要だと判断する場合があります。

例えば、調査中は自宅待機を命じ、調査終了後に就業規則に基づく出勤停止処分を通知する場合です。

ただし、懲戒処分としての出勤停止が有効かどうかは、問題となった行為の内容や処分の重さなどによって判断されます。

また、調査中の自宅待機期間と懲戒としての出勤停止期間では、賃金の扱いが異なる可能性があります。

【実践】場面別に「出勤停止」と「自宅待機」を使い分ける

場面1:規律違反によって5日間出勤できない場合

就業規則に基づく正式な懲戒処分として、5日間の出勤停止を命じられた場合は、「出勤停止処分」が自然です。

例えば、「規律違反を理由に、5日間の出勤停止処分を受けた」という表現です。

ただし、実際の処分の有効性については、懲戒の根拠や合理性・相当性などを確認する必要があります。

場面2:問題行動の調査が終わるまで出勤を控える場合

社内で問題が発生し、調査が終わるまで自宅で待機するよう命じられた場合は、「自宅待機」が自然です。

例えば、「会社の調査が終わるまで、自宅待機を命じられた」という表現です。

この場合、まだ正式な懲戒処分が決まっていない可能性があります。

場面3:仕事が少ないため、一時的に会社を休む場合

受注の減少などによって、会社が従業員を一時的に休ませる場合は、「会社都合による休業」や「自宅待機」などと表現できます。

例えば、「受注の減少に伴い、従業員が一時的に自宅待機となった」という文章です。

この場合、使用者の責めに帰すべき事由による休業であれば、原則として休業手当が必要になります。

場面4:会社からの連絡に応じて直ちに出勤する場合

勤務時間中に自宅で待機し、会社からの連絡があれば、直ちに出勤するよう命じられる場合があります。

このような場合は、自宅待機という言葉が使われます。

また、待機中の時間が会社の指揮命令下にあると評価される場合には、通常の給与の支払いが必要になることがあります。

場面5:出勤停止処分が終了して職場に戻る場合

懲戒としての出勤停止期間が終了し、再び通常の勤務に戻る場合は、「出勤停止処分が終了し、出勤を再開した」と表現できます。

ただし、出勤停止期間中に別の措置が命じられている場合など、実際の復帰手続きは会社の指示や規程などによって異なります。

出勤停止・自宅待機を命じられたときの5つの確認ポイント

1. 懲戒処分なのか、調査のための措置なのか確認する

まず、会社から命じられた出勤停止や自宅待機が、正式な懲戒処分なのか、調査や業務上の必要による措置なのかを確認しましょう。

例えば、就業規則に基づく懲戒処分である場合と、調査期間中の一時的な措置である場合とでは、法律上の扱いが異なります。

2. 期間と終了条件を確認する

出勤停止や自宅待機の期間について、いつからいつまでなのかを確認しましょう。

例えば、5日間の出勤停止なのか、調査が終わるまでの自宅待機なのかなどです。

期間が明確に決まっていない場合は、いつ頃次の連絡があるのか、どのような条件で措置が終了するのかなどを確認することが考えられます。

3. 給与や休業手当の扱いを確認する

出勤停止や自宅待機を命じられた場合、給与がどうなるのかを確認することが重要です。

例えば、適法な懲戒処分としての出勤停止で無給となるのか、会社都合の休業として休業手当が支払われるのかなどです。

また、自宅待機中も会社からの連絡に応じる義務がある場合には、待機の実態などによって、通常の給与が必要となる場合があります。

4. 待機中の過ごし方や連絡方法を確認する

自宅待機を命じられた場合は、勤務時間中に自宅から外出してよいのか、会社からの連絡にいつでも応じる必要があるのかなどを確認しましょう。

また、会社から出勤を求められた場合、どのように対応すればよいのかを把握しておくことが重要です。

会社の指示にどう対応するかを整理する際には、「対応」と「対処」の違いも参考になります。

5. 疑問がある場合は相談する

出勤停止や自宅待機の理由、給与の扱いなどについて疑問がある場合は、会社に説明を求める方法があります。

また、問題が解決しない場合は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーや労働基準監督署などに相談することも考えられます。

相談する際には、会社からの通知書やメール、就業規則、給与明細などを整理しておくとよいでしょう。

企業が出勤停止や自宅待機を命じる際の注意点

懲戒処分には適切な根拠が必要

懲戒処分として出勤停止を行う場合は、就業規則や懲戒規程などに、その種類や事由を定めておくことが重要です。

また、労働契約法第15条では、懲戒処分について、客観的に合理的な理由や社会通念上の相当性などが必要とされています。

したがって、就業規則に出勤停止の規定があるという理由だけで、どのような期間や内容の処分でも自由に行えるわけではありません。

調査目的の自宅待機では、必要性や期間を確認する

不正行為などの疑いについて調査するため、自宅待機を命じる場合は、その必要性や期間などを確認する必要があります。

例えば、調査対象者が職場にいることで証拠の保全に支障が生じる可能性がある場合などです。

ただし、業務上の必要性が認められないまま、長期間にわたって自宅待機を命じる場合は、その合理性が問題となる可能性があります。

給与の支払いについて適切に判断する

会社都合による休業であれば、労働基準法第26条に基づく休業手当が必要になる場合があります。

また、実際には会社の指揮命令下で待機している場合には、通常の給与が必要になることがあります。

一方、適法な懲戒処分としての出勤停止では、就業規則などに基づいて無給とする場合があります。

措置の名称だけで給与を決定せず、実際の性質や条件などを踏まえて判断することが重要です。

再発防止策も検討する

規律違反などを理由に出勤停止処分を行う場合は、問題となった行為の内容に応じて、再発防止策を検討することも重要です。

例えば、作業手順や教育体制に問題があった場合には、会社の側でも必要な見直しを行うことが考えられます。

問題のある状態を改善することと、仕組みなどを改良することを区別したい場合には、「改善」と「改良」の違いも参考になります。

「出勤停止」「自宅待機」と似た言葉の違い

「停職」との違い

停職は、一定期間、職務に従事させない懲戒処分として使われる言葉です。

特に公務員制度では、法律で定められた懲戒処分の一つです。

一方、出勤停止は、民間企業の就業規則などで、懲戒処分の一つとして定められる場合があります。

ただし、民間企業でも停職という名称を使用する場合があるため、所属する組織の規程を確認しましょう。

「休業」との違い

休業は、仕事や営業などを一定期間休むことです。

例えば、会社の都合によって従業員を休ませる場合などに使われます。

一方、自宅待機は、会社の指示に従って自宅で待機することです。

会社の都合による休業の結果として、自宅待機を命じられる場合もあります。

「欠勤」との違い

欠勤は、本来出勤する予定の日に仕事を休むことです。

例えば、体調不良や家庭の事情によって、出勤予定日に会社を休む場合に使われます。

一方、出勤停止や自宅待機は、会社が出勤しないよう命じる場合に使われます。

会社から出勤停止や自宅待機を命じられた日を、本人の都合による欠勤と同じように扱ってよいとは限りません。

「休職」との違い

休職は、雇用関係を維持したまま、一定期間の就労義務を免除する制度です。

例えば、業務外の病気やけがによって長期間の療養が必要な場合などに利用されます。

一方、出勤停止は懲戒処分や調査のための措置として、自宅待機は業務上の必要などによって命じられる場合があります。

そのため、休職・出勤停止・自宅待機は、理由や制度上の扱いを区別する必要があります。

「在宅勤務」との違い

在宅勤務は、自宅を勤務場所として仕事を行うことです。

一方、自宅待機は、会社の指示に従って自宅で待つことです。

自宅待機中でも、実際に会社の業務を行っている場合は、その業務時間について賃金の支払いが必要になります。

在宅勤務と自宅待機は、自宅にいるという点では共通していますが、仕事を行っているかどうかに違いがあります。

「待機時間」との違い

待機時間は、仕事の指示や次の作業などを待っている時間です。

例えば、会社からの指示があるまで、指定された場所で待つよう命じられている場合です。

待機中であっても、会社の指揮命令下にあり、自由に時間を利用できない場合には、労働時間に該当することがあります。

そのため、自宅待機という名称であっても、実態によっては待機時間として賃金の支払いが必要になる場合があります。

「出勤停止」と「自宅待機」の3秒判定

伝えたい内容 使いやすい言葉
規律違反に対する懲戒処分として出勤を止める 出勤停止処分
社内調査のため、一時的に出勤を控えさせる 調査のための出勤停止・自宅待機
会社の指示によって自宅で待つ 自宅待機
会社からの連絡に応じて直ちに出勤できるよう待つ 自宅待機・待機時間
受注が少ないため、会社が従業員を休ませる 会社都合による休業
自宅で通常の業務を行う 在宅勤務
病気の療養のため、会社の制度に基づいて長期間仕事を休む 休職
体調不良などで本来の出勤日に仕事を休む 欠勤

出勤しないよう命じられた措置を表すなら「出勤停止」、自宅で待つよう指示された状態を表すなら「自宅待機」が基本です。

ただし、実際には両方の言葉が同じ場面で使われる場合もあります。

よくある間違いと注意点

「出勤停止はすべて懲戒処分」は誤り

出勤停止は、正式な懲戒処分として行われる場合があります。

一方、事実関係の調査など、懲戒処分とは異なる目的で命じられる場合もあります。

どちらに当たるかは、会社の通知内容や実際の目的などを確認する必要があります。

「自宅待機なら給与は支払われない」は誤り

会社の都合によって自宅待機という形で休業させる場合は、原則として平均賃金の60%以上の休業手当が必要です。

また、会社の連絡に応じて直ちに出勤する義務があるなど、待機中の時間が労働時間に当たる場合には、通常の給与が必要になることがあります。

「会社都合の休業なら給与の60%だけ払えばよい」は誤り

労働基準法第26条は、一定の休業について、平均賃金の60%以上という最低基準を定めています。

しかし、民法第536条第2項などにより、通常の賃金を請求できる場合もあります。

そのため、会社都合によるすべての休業について、必ず給与を60%に減らしてよいというわけではありません。

「調査中なら自由に無給の自宅待機を命じられる」は誤り

会社が不正行為などの疑いについて調査する場合、自宅待機を命じることがあります。

しかし、調査中という理由だけで、すべての自宅待機を無給にできるわけではありません。

待機の必要性や実際の指示内容、就労を拒否する理由などによって、賃金の支払義務が問題となる場合があります。

「自宅待機中は必ず自由に外出できる」は誤り

会社からの連絡に応じ、直ちに出勤できる状態を保つよう命じられている場合などは、待機中の行動が制限されることがあります。

一方、会社都合の休業として自宅で過ごす場合には、過ごし方が異なります。

会社がどのような待機を命じているのか確認しましょう。

「出勤停止」と「自宅待機」の例文12選

「出勤停止」を使った例文

  1. 会社は、規律違反を理由に5日間の出勤停止処分を行った。
  2. 出勤停止処分の根拠となる就業規則を確認した。
  3. 事実関係の調査が終わるまで、出勤停止を命じられた。
  4. 出勤停止期間中の給与について、人事担当者に説明を求めた。
  5. 会社は、出勤停止処分の期間と理由を書面で通知した。
  6. 出勤停止処分が終了し、翌週から通常勤務に戻った。

「自宅待機」を使った例文

  1. 会社から、調査が終わるまで自宅待機を命じられた。
  2. 自宅待機中の給与について、人事担当者に問い合わせた。
  3. 会社から連絡があった場合は、直ちに出勤できる状態で待機する。
  4. 業務量の減少に伴い、従業員が一時的に自宅待機となった。
  5. 自宅待機が解除され、翌週から通常勤務に戻ることになった。
  6. 自宅待機中の連絡方法や外出の可否について、会社に確認した。

FAQ|「出勤停止」と「自宅待機」のよくある質問

Q1. 「出勤停止」と「自宅待機」は同じ意味ですか?

完全に同じ意味ではありません。出勤停止は従業員の出勤を一定期間停止すること、自宅待機は会社の指示により自宅で待機することです。ただし、調査のために出勤停止を命じ、同時に自宅待機を指示する場合など、意味が重なることもあります。

Q2. 出勤停止は必ず懲戒処分になりますか?

必ずしもそうではありません。就業規則に基づく懲戒処分として行われる場合もあれば、事実関係を調査するために一時的に出勤を控えさせる場合もあります。会社の通知内容や実際の目的などによって判断する必要があります。

Q3. 出勤停止期間中は給与が支払われますか?

措置の性質によって異なります。適法な懲戒処分としての出勤停止では、就業規則などに基づいて無給とする場合があります。一方、調査を目的とした出勤停止などでは、賃金の支払いが必要になる場合があります。

Q4. 自宅待機中は給与が支払われますか?

自宅待機の理由や実態によって異なります。会社都合の休業であれば、原則として平均賃金の60%以上の休業手当が必要です。また、会社の連絡に応じて直ちに出勤する義務があるなど、待機中の時間が労働時間に当たる場合には、通常の給与が必要になることがあります。

Q5. 自宅待機中は外出してもよいですか?

会社がどのような待機を命じているかによって異なります。例えば、勤務時間中は自宅で待機し、会社から連絡があれば直ちに出勤するよう命じられている場合は、その指示に従う必要があります。一方、会社都合による休業として自由に過ごせる場合もあります。

Q6. 調査中の自宅待機は、無給でも問題ありませんか?

調査中という理由だけで、すべての自宅待機を無給にできるわけではありません。待機を命じる業務上の必要性や、従業員の就労を拒否することの合理性など、具体的な事情によって賃金支払義務が問題となります。

Q7. 出勤停止処分は何日まで認められますか?

民間企業の懲戒としての出勤停止について、すべての企業に共通する日数の上限が法律で一律に定められているわけではありません。ただし、就業規則などに基づき、処分の合理性・相当性などを確認する必要があります。問題行動の内容に比べて著しく長期間の出勤停止を命じた場合には、その有効性が争われる可能性があります。

Q8. 自宅待機と在宅勤務はどう違いますか?

自宅待機は会社の指示によって自宅で待機すること、在宅勤務は自宅で実際に仕事を行うことです。自宅待機中でも、会社の指揮命令下で待機している場合は、待機時間が労働時間に当たることがあります。

Q9. 出勤停止や自宅待機に納得できない場合は、どこに相談できますか?

会社に理由や給与の扱いについて説明を求めるほか、都道府県労働局の総合労働相談コーナーや労働基準監督署などに相談する方法があります。相談する際には、会社からの通知書、メール、就業規則、給与明細などを整理しておくとよいでしょう。

まとめ|出勤停止は出勤を止める措置、自宅待機は自宅で待つ状態

「出勤停止」と「自宅待機」は、どちらも会社へ出勤しない場面で使われますが、基本的な意味が異なります。

  • 出勤停止:従業員の出勤を一定期間停止すること。懲戒処分として行われる場合や、調査のための一時的な措置として行われる場合がある。
  • 自宅待機:会社の指示により自宅で待機すること。調査や業務上の必要など、さまざまな理由で行われる。
  • 共通点:出勤しない期間の給与や休業手当については、措置の名称だけでなく、目的や待機の実態などによって判断する必要がある。

適法な懲戒処分としての出勤停止では、処分期間中を無給とする場合があります。一方、会社都合の休業として自宅待機を命じる場合は、原則として平均賃金の60%以上の休業手当が必要です。

また、会社からの連絡に応じて直ちに出勤する義務があるなど、待機中の時間が労働時間に当たる場合は、通常の給与が必要になることがあります。

出勤停止や自宅待機を命じられた場合は、懲戒処分なのか、調査や業務上の必要による措置なのかを確認し、期間や給与、待機中の行動について、会社から具体的な説明を受けましょう。

参考資料・出典

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