「休業手当」と「休業補償」の違いとは?支給条件・計算方法・労災保険との関係を解説

「会社の都合で休みになったので休業手当を受け取る」「仕事中のけがで休業補償を受ける」など、「休業手当」と「休業補償」は、仕事を休んでいる期間のお金について使われる言葉です。

どちらも働けない期間の収入を補う仕組みですが、適用される条件や関係する法律は異なります。

結論からいうと、「休業手当」は使用者の責めに帰すべき事由によって労働者を休業させた場合に支払う手当、「休業補償」は業務上の負傷や疾病によって働けなくなった場合に使用者が行う補償です。

例えば、会社の設備が故障し、修理が終わるまで従業員を休ませる場合には、休業手当の支払いが必要になることがあります。

一方、従業員が仕事中の事故で骨折し、療養のために働けなくなった場合には、業務災害としての休業補償や労災保険の休業補償給付が関係します。

どちらも「平均賃金の60%」という数字が登場しますが、休業補償給付では、別途20%相当の休業特別支給金が支給される場合があるなど、仕組みが異なります。

この記事では、休業手当と休業補償の意味を比較表で整理し、支給条件、計算方法、最初の3日間の扱い、労災保険、通勤災害、自宅待機、傷病手当金との違いまで詳しく解説します。

  1. 「休業手当」と「休業補償」の違い【結論】
  2. 【徹底比較】「休業手当」と「休業補償」の違いを比較表で整理
  3. 「休業手当」とは?意味と正しい使い方
    1. 休業手当は、会社の責任によって休ませた場合に支払う手当
    2. 会社都合の休業として考えられる代表例
    3. 不可抗力による休業では、支払いが不要になる場合がある
    4. 「休業手当」の例文
  4. 「休業補償」とは?意味と正しい使い方
    1. 休業補償は、業務上のけがや病気で働けない場合の補償
    2. 業務災害と通勤災害は区別する
    3. 休業4日目以降は労災保険が関係する
    4. 「休業補償」の例文
  5. 「休業手当」と「休業補償」の決定的な3つの違い
    1. 違い1:休業する理由が異なる
    2. 違い2:適用される法律が異なる
    3. 違い3:支給対象となる日や計算方法が異なる
  6. 労災の最初の3日間と4日目以降はどう違う?
    1. 業務災害の最初の3日間は事業主が補償する
    2. 4日目以降は休業補償給付と休業特別支給金
    3. 通勤災害の最初の3日間は、会社に同じ補償義務があるわけではない
  7. 休業手当と休業補償はいくら?計算例で比較
    1. 休業手当の計算例
    2. 業務災害の最初の3日間の休業補償
    3. 労災保険の4日目以降の給付額
  8. 「休業手当」と「休業補償」は税金も違う?
    1. 休業手当は原則として給与所得になる
    2. 法令に基づく休業補償は原則として非課税
  9. 【実践】場面別に「休業手当」と「休業補償」を使い分ける
    1. 場面1:機械の故障で工場が休業した場合
    2. 場面2:仕事中にけがをして療養する場合
    3. 場面3:会社から自宅待機を命じられた場合
    4. 場面4:通勤中の事故で働けなくなった場合
    5. 場面5:会社の業績悪化で従業員を休ませる場合
  10. 休業手当・休業補償を確認する際の5つのポイント
    1. 1. 休業した理由を確認する
    2. 2. 支給する主体を確認する
    3. 3. 平均賃金や給付基礎日額を確認する
    4. 4. 休業日数と支給対象期間を確認する
    5. 5. 支給されない場合は制度と理由を確認する
  11. 「休業手当」「休業補償」と似た言葉の違い
    1. 「休業補償給付」との違い
    2. 「休業給付」との違い
    3. 「傷病手当金」との違い
    4. 「休業特別支給金」との違い
    5. 「有給休暇」との違い
    6. 「労災保険」との違い
  12. 「休業手当」と「休業補償」の3秒判定
  13. よくある間違いと注意点
    1. 「休業手当と休業補償は同じ制度」は誤り
    2. 「会社都合の休業なら給与の60%だけ払えばよい」は誤り
    3. 「労災保険は休業初日から支給される」は誤り
    4. 「労災の休業補償給付は60%しか支給されない」とは限らない
    5. 「通勤災害でも最初の3日間は会社が必ず補償する」は誤り
  14. 「休業手当」と「休業補償」の例文12選
    1. 「休業手当」を使った例文
    2. 「休業補償」を使った例文
  15. FAQ|「休業手当」と「休業補償」のよくある質問
    1. Q1. 「休業手当」と「休業補償」は同じ意味ですか?
    2. Q2. 休業手当はいくら支払われますか?
    3. Q3. 休業補償は何日目から受け取れますか?
    4. Q4. 労災の休業補償給付はいくらですか?
    5. Q5. 通勤災害でも休業補償を受けられますか?
    6. Q6. 会社から自宅待機を命じられた場合、休業手当は必要ですか?
    7. Q7. 休業手当と休業補償は、税金の扱いが異なりますか?
    8. Q8. 業務外の病気で休む場合は、休業補償を受けられますか?
    9. Q9. 休業手当や休業補償が支払われない場合は、どこに相談できますか?
  16. まとめ|休業手当は会社側の事情、休業補償は業務上のけがや病気
  17. 参考資料・出典

「休業手当」と「休業補償」の違い【結論】

休業手当と休業補償の違いを理解するには、まず「なぜ仕事を休んでいるのか」を確認しましょう。

  • 休業手当:会社側の事情など、使用者の責めに帰すべき事由によって労働者を休業させた場合に、労働基準法第26条に基づいて支払う手当。
  • 休業補償:業務上の負傷や疾病によって療養が必要となり、働けず賃金を受けられない場合に、労働基準法第76条に基づいて使用者が行う補償。

例えば、会社の都合で工場の操業を停止し、従業員を休ませる場合は、休業手当が問題になります。

一方、工場内での作業中に従業員がけがをし、その療養のために働けなくなった場合は、休業補償が問題になります。

また、業務災害について労災保険が適用される場合は、原則として休業4日目から、労災保険の休業補償給付などが支給されます。

つまり、会社の都合による休業なら「休業手当」、仕事が原因のけがや病気による休業なら「休業補償」が基本的な使い分けです。

【徹底比較】「休業手当」と「休業補償」の違いを比較表で整理

比較項目 休業手当 休業補償
読み方 きゅうぎょうてあて きゅうぎょうほしょう
基本的な意味 会社側の事情による休業中の収入を保障する手当 業務上のけがや病気で働けない場合の補償
根拠となる法律 労働基準法第26条 労働基準法第76条
主な原因 使用者の責めに帰すべき事由による休業 業務上の負傷や疾病による療養
支払う主体 使用者 労働基準法上は使用者。労災保険が適用される場合は、4日目以降に保険給付が行われる
支払額の原則 平均賃金の60%以上 平均賃金の60%
支給対象となる日 原則として休業させた所定労働日 所定の要件を満たす療養による休業日
最初の3日間 3日間の待期期間という仕組みはない 業務災害では原則として使用者が補償する
労災保険との関係 通常、労災保険の給付とは別の制度 休業4日目から労災保険の休業補償給付などが関係する
所得税の扱い 原則として給与所得として課税対象 法令に基づく休業補償は原則として非課税

同じ「60%」でも、休業手当と休業補償では発生する理由や対象となる日などが異なります。給与明細を確認する際にも、どちらの制度に基づく支払いなのかを区別しましょう。

「休業手当」とは?意味と正しい使い方

休業手当は、会社の責任によって休ませた場合に支払う手当

休業手当は、使用者の責めに帰すべき事由によって労働者を休業させた場合に、会社が支払う手当です。

労働基準法第26条では、このような休業について、平均賃金の60%以上の休業手当を支払う必要があると定めています。

例えば、原材料が十分に調達できず、会社の判断で工場の操業を一時的に停止する場合です。

従業員は働く意思があっても、会社から出勤しないよう指示されているため、会社側の事情による休業として扱われる可能性があります。

会社都合の休業として考えられる代表例

休業手当の支払いが問題となる場面には、次のようなものがあります。

  • 機械の故障によって、会社が操業を停止した。
  • 原材料の調達ができず、工場を一時的に休業した。
  • 受注の減少によって、従業員の一部を休ませた。
  • 会社が独自の判断で、働くことができる従業員に自宅待機を命じた。

ただし、実際に休業手当が必要となるかどうかは、休業に至った経緯や会社が取り得た措置などによって異なります。

自然災害が原因で休業した場合も、災害が発生したという事実だけで、当然に休業手当が不要になるわけではありません。

不可抗力による休業では、支払いが不要になる場合がある

地震や台風などの自然災害によって休業した場合には、使用者の責めに帰すべき事由に当たらないことがあります。

ただし、休業手当が不要となる不可抗力については、一般に、原因が事業の外部で発生したことと、通常の経営者として最大の注意を尽くしても避けられなかったことが重要になります。

例えば、ほかの業務への振り替えや、設備の復旧などによって休業を避けられたかどうかも、個別の事情として問題になる場合があります。

単に「災害の影響があった」という説明だけで、休業手当を支払わなくてよいとは限りません。

「休業手当」の例文

  • 会社の都合で工場が休業となり、休業手当が支払われた。
  • 休業手当の計算方法について、給与担当者に確認した。
  • 受注の減少による休業について、会社が休業手当を支給した。
  • 自宅待機を命じられたため、休業手当の対象になるか確認した。
  • 休業手当の金額が正しいか、給与明細を確認した。

「休業補償」とは?意味と正しい使い方

休業補償は、業務上のけがや病気で働けない場合の補償

休業補償は、労働者が業務上の負傷や疾病によって療養を必要とし、そのために働けず、賃金を受けられない場合に使用者が行う補償です。

労働基準法第76条では、所定の条件を満たす場合に、使用者が平均賃金の60%の休業補償を行うことを定めています。

例えば、工場で作業中に転倒して骨折し、医師の指示により一定期間働けなくなった場合です。

そのけがが業務災害に当たり、療養のために働けず賃金を受けられない場合は、休業補償や労災保険の休業補償給付が関係します。

業務災害と通勤災害は区別する

労災保険では、仕事が原因となったけがや病気を業務災害、通勤によって発生した災害を通勤災害と呼びます。

業務災害では、労働基準法に基づく使用者の休業補償責任が関係します。

一方、通勤災害については、業務災害と同じ労働基準法上の休業補償責任が使用者に課されているわけではありません。

ただし、通勤災害でも、所定の条件を満たせば、労災保険から休業給付などを受けられる場合があります。

休業4日目以降は労災保険が関係する

労災保険の休業補償給付は、原則として休業4日目から支給されます。

業務災害によって休業した最初の3日間は、労災保険から休業補償給付が支給されません。

そのため、労働基準法に基づき、原則として使用者が平均賃金の60%の休業補償を行います。

一方、休業4日目以降については、労災保険から休業補償給付などが支給される場合があります。

「休業補償」の例文

  • 仕事中の事故で骨折し、会社から休業補償を受けた。
  • 業務災害による休業について、最初の3日間の休業補償を確認した。
  • 労災保険の休業補償給付を申請した。
  • 休業補償の支給条件について、労働基準監督署に問い合わせた。
  • 休業補償と休業手当は、関係する法律上の制度が異なる。

「休業手当」と「休業補償」の決定的な3つの違い

違い1:休業する理由が異なる

休業手当は、使用者の責めに帰すべき事由によって労働者を休業させた場合に支払われます。

一方、休業補償は、業務上のけがや病気によって働けなくなり、賃金を受けられない場合の補償です。

例えば、会社の機械が故障して操業を停止した場合と、従業員が機械の操作中にけがをして療養する場合とでは、休業する原因が異なります。

違い2:適用される法律が異なる

休業手当は、労働基準法第26条に基づく制度です。

一方、休業補償は、同法第76条に基づく制度です。

また、業務災害や通勤災害に関する休業4日目以降の給付については、労働者災害補償保険法に基づく労災保険制度が関係します。

したがって、「休業補償」と「労災保険の休業補償給付」についても、厳密には支払う主体や根拠法令を区別する必要があります。

違い3:支給対象となる日や計算方法が異なる

休業手当は、原則として会社の責任によって休業させた所定労働日が対象です。

一方、労災保険の休業補償給付は、所定の支給要件を満たす休業について、4日目以降に支給されます。

例えば、療養のために働けない状態が休日にも続いている場合、労災保険の休業補償給付では、その休日も支給対象となることがあります。

また、休業補償給付には、休業特別支給金が追加される場合があります。

労災の最初の3日間と4日目以降はどう違う?

業務災害の最初の3日間は事業主が補償する

業務災害で休業した場合、最初の3日間は労災保険から休業補償給付が支給されません。

この3日間は待期期間と呼ばれ、原則として使用者が労働基準法第76条に基づく休業補償を行います。

例えば、仕事中のけがによって月曜日から働けなくなった場合、月曜日から水曜日までの3日間が待期期間となることがあります。

4日目以降は休業補償給付と休業特別支給金

労災保険では、所定の条件を満たす場合、原則として休業4日目から次の給付が支給されます。

  • 休業補償給付:原則として給付基礎日額の60%相当額。
  • 休業特別支給金:原則として給付基礎日額の20%相当額。

つまり、両方を合わせると、原則として給付基礎日額の80%相当額です。

ただし、実際の給付額は給付基礎日額の計算や、休業した日の状況などによって異なります。

通勤災害の最初の3日間は、会社に同じ補償義務があるわけではない

通勤災害についても、所定の条件を満たせば、休業4日目から労災保険の休業給付などを受けられます。

ただし、通勤災害の最初の3日間について、業務災害と同じ労働基準法第76条の休業補償義務が使用者に課されているわけではありません。

会社の就業規則などに、通勤災害による休業中の給与や補償について定めがある場合は、その内容を確認しましょう。

休業手当と休業補償はいくら?計算例で比較

休業手当と休業補償は、どちらも60%という数字が登場しますが、計算の対象や支給される期間などに違いがあります。

ここでは、計算の仕組みを理解するため、平均賃金と給付基礎日額がいずれも1万円となる単純な例で比較します。

休業手当の計算例

平均賃金が1日1万円の従業員について、会社の都合で所定労働日を1日休業させたとします。

この場合、労働基準法第26条に基づく休業手当の法定最低額は、次のとおりです。

10,000円 × 60% = 6,000円

ただし、会社の規程などで、通常の給与を支払うと定められている場合があります。

また、労働契約上の賃金請求権などとの関係によって、実際に請求できる金額が異なる場合もあります。

業務災害の最初の3日間の休業補償

同じく平均賃金が1日1万円で、業務上のけがによって働けなくなったとします。

所定の条件を満たす場合、原則として最初の3日間は、使用者が平均賃金の60%の休業補償を行います。

10,000円 × 60% × 3日 = 18,000円

ただし、実際の補償については、療養の状況や賃金の支払状況などを確認する必要があります。

労災保険の4日目以降の給付額

給付基礎日額が1万円の場合、休業4日目以降の1日当たりの給付額は、原則として次のようになります。

給付の種類 計算方法 金額
休業補償給付 10,000円 × 60% 6,000円
休業特別支給金 10,000円 × 20% 2,000円
合計 10,000円 × 80% 8,000円

この例では、所定の条件を満たせば、原則として1日当たり合計8,000円が支給されます。

ただし、実際には給付基礎日額の端数処理などが関係するため、個別の支給額は異なる場合があります。

「休業手当」と「休業補償」は税金も違う?

休業手当は原則として給与所得になる

会社都合の休業によって支払われる労働基準法第26条の休業手当は、原則として給与所得として扱われます。

そのため、通常の給与と同じように、所得税の課税対象となります。

また、給与計算や社会保険の取り扱いについても、関係する制度に従って処理する必要があります。

法令に基づく休業補償は原則として非課税

労働基準法第76条に基づく休業補償や、労災保険法に基づく休業補償給付などは、原則として所得税が課されません。

ただし、会社独自の制度によって支給される金銭については、名称が「休業補償」であっても、実際の性質によって税務上の扱いが異なる場合があります。

給与明細や支給通知書などで、何の制度に基づく支払いなのかを確認することが重要です。

【実践】場面別に「休業手当」と「休業補償」を使い分ける

場面1:機械の故障で工場が休業した場合

会社の機械が故障し、従業員が働ける状態であるにもかかわらず、会社が工場を休業した場合は、休業手当が問題になります。

例えば、「設備の故障によって工場が休業し、従業員に休業手当が支払われた」という表現です。

ただし、休業手当の支払義務については、故障の原因や会社が取り得た措置なども含め、具体的な事情によって判断されます。

場面2:仕事中にけがをして療養する場合

業務上の事故によって従業員がけがをし、療養のために働けなくなった場合は、休業補償や労災保険の休業補償給付が関係します。

例えば、「作業中の事故によるけがのため、労災保険の休業補償給付を申請した」という表現が自然です。

場面3:会社から自宅待機を命じられた場合

会社の都合によって従業員が自宅待機となり、仕事を休まされている場合には、休業手当の支払いが必要になることがあります。

ただし、会社の指揮命令下で待機し、連絡があれば直ちに出勤する義務があるなどの場合には、通常の賃金の支払いが必要になる可能性があります。

自宅待機という名称だけで、休業手当を支払えば十分だと決めることはできません。

場面4:通勤中の事故で働けなくなった場合

通勤災害によるけがで療養が必要となり、働けなくなった場合には、労災保険の休業給付などが関係します。

ただし、業務災害とは異なり、最初の3日間について、労働基準法第76条に基づく使用者の休業補償義務があるわけではありません。

場面5:会社の業績悪化で従業員を休ませる場合

受注の減少など、会社の経営上の事情によって従業員を休ませる場合には、休業手当の支払義務が生じることがあります。

ただし、具体的な事情によっては、不可抗力に該当するかどうかなどの判断が必要になります。

経営上の問題と、解決に向けて取り組むべき課題を整理したい場合は、「問題」と「課題」の違いも参考になります。

休業手当・休業補償を確認する際の5つのポイント

1. 休業した理由を確認する

まず、なぜ仕事を休んでいるのかを確認しましょう。

会社側の事情で休まされているのか、業務上のけがや病気によって働けなくなったのかによって、関係する制度が異なります。

例えば、会社の設備故障による休業と、従業員が作業中にけがをしたことによる休業では、適用される法律が異なります。

2. 支給する主体を確認する

休業手当は、原則として使用者が支払います。

一方、業務災害による休業では、最初の3日間について使用者が休業補償を行い、所定の条件を満たす4日目以降について、労災保険から休業補償給付などが支給される場合があります。

会社からの支払いなのか、労災保険からの給付なのかを区別して確認しましょう。

3. 平均賃金や給付基礎日額を確認する

休業手当や休業補償の金額を確認する際には、計算の基礎となる平均賃金などが重要です。

労災保険では、原則として平均賃金に相当する給付基礎日額を基に給付額を計算します。

ただし、実際の計算には端数処理や個別の条件などが関係するため、給与明細や支給通知書などを確認しましょう。

4. 休業日数と支給対象期間を確認する

休業手当と休業補償では、支給対象となる日が異なります。

例えば、会社都合の休業では、原則として休業させた所定労働日が休業手当の対象となります。

一方、労災保険の休業補償給付では、所定の条件を満たせば、休業4日目以降の休日が支給対象となる場合もあります。

実際の休業日数と、給付の対象となる日数を区別して確認しましょう。

5. 支給されない場合は制度と理由を確認する

休業手当や休業補償が支給されない場合には、どのような理由で支給対象外と判断されたのか確認しましょう。

例えば、会社都合の休業ではないと判断された場合や、労災保険の支給要件を満たしていないと判断された場合などです。

その際には、会社の説明や給与明細、申請書類などを確認し、必要に応じて公的な相談窓口を利用する方法があります。

確認と検証の意味の違いについては、「確認」と「検証」の違いも参考になります。

「休業手当」「休業補償」と似た言葉の違い

「休業補償給付」との違い

休業補償給付は、業務災害によるけがや病気の療養のために働けず、賃金を受けられない場合に、労災保険から支給される給付です。

一方、労働基準法第76条の休業補償は、使用者が行う補償です。

労災保険が適用される場合、原則として最初の3日間は使用者が休業補償を行い、4日目以降は休業補償給付などが支給されます。

「休業給付」との違い

休業給付は、労災保険において、通勤災害によるけがや病気で働けなくなった場合などに支給される給付です。

一方、休業補償給付は、業務災害による休業について支給されます。

給付の仕組みには共通点がありますが、災害の原因によって名称が異なります。

「傷病手当金」との違い

傷病手当金は、健康保険の被保険者が、原則として業務外の病気やけがの療養のために働けず、十分な給与を受けられない場合に支給される制度です。

一方、労災保険の休業補償給付は、業務災害によるけがや病気についての制度です。

また、傷病手当金と休業補償給付では、支給条件や計算方法、支給期間などが異なります。

「休業特別支給金」との違い

休業特別支給金は、労災保険の休業補償給付などと合わせて支給される場合がある特別支給金です。

原則として、休業4日目以降について、給付基礎日額の20%相当額が支給されます。

一方、休業補償給付は、給付基礎日額の60%相当額です。

両方を合わせると、原則として80%相当額となります。

「有給休暇」との違い

年次有給休暇は、一定の条件を満たした労働者が、賃金を受け取りながら仕事を休むことができる法律上の休暇です。

一方、休業手当は、会社側の事情によって労働者を休業させた場合に支払われる手当です。

また、休業補償は、業務上のけがや病気によって働けない場合の補償です。

それぞれ目的や支給条件が異なるため、混同しないようにしましょう。

「労災保険」との違い

労災保険は、業務上または通勤によるけがや病気などに対して、必要な保険給付を行う制度です。

休業補償給付や休業給付は、労災保険による給付の一つです。

一方、休業手当は、会社側の事情による休業について、労働基準法第26条に基づき使用者が支払う手当です。

「休業手当」と「休業補償」の3秒判定

伝えたい内容 使いやすい言葉
会社の都合で工場が休業したため、従業員へ手当を支払う 休業手当
機械の故障によって、会社が従業員を休ませる 休業手当
業務上のけがによって働けない最初の3日間を、会社が補償する 休業補償
業務災害による休業4日目以降について、労災保険から給付を受ける 休業補償給付
通勤災害による休業4日目以降について、労災保険から給付を受ける 休業給付
労災保険の休業補償給付などに加えて、20%相当額を受け取る 休業特別支給金
業務外の病気やけがによって働けず、健康保険から給付を受ける 傷病手当金
法律上の条件を満たし、賃金を受けながら休暇を取得する 年次有給休暇

会社側の事情で休まされたなら「休業手当」、業務上のけがや病気で働けなくなった場合は「休業補償」が基本的な使い分けです。

よくある間違いと注意点

「休業手当と休業補償は同じ制度」は誤り

休業手当は、使用者の責めに帰すべき事由による休業について、労働基準法第26条に基づいて支払う手当です。

一方、休業補償は、業務上のけがや病気によって働けない場合に、同法第76条に基づいて使用者が行う補償です。

どちらも60%という数字が使われますが、制度の目的や支給条件が異なります。

「会社都合の休業なら給与の60%だけ払えばよい」は誤り

労働基準法第26条では、平均賃金の60%以上という休業手当の最低基準が定められています。

ただし、労働契約や民法第536条第2項などに基づき、通常の賃金を請求できる場合もあります。

そのため、すべての会社都合の休業について、給与を一律に60%へ減らしてよいわけではありません。

「労災保険は休業初日から支給される」は誤り

労災保険の休業補償給付や休業給付は、原則として休業4日目から支給されます。

業務災害による最初の3日間については、原則として使用者が労働基準法に基づく休業補償を行います。

「労災の休業補償給付は60%しか支給されない」とは限らない

労災保険の休業補償給付は、原則として給付基礎日額の60%相当額です。

ただし、別途、給付基礎日額の20%相当額の休業特別支給金が支給される場合があります。

そのため、両方を合わせると、原則として80%相当額となります。

「通勤災害でも最初の3日間は会社が必ず補償する」は誤り

通勤災害の最初の3日間について、業務災害と同じ労働基準法第76条の休業補償義務が使用者に課されているわけではありません。

ただし、会社独自の制度などによって、給与や補償が支払われる場合があります。

「休業手当」と「休業補償」の例文12選

「休業手当」を使った例文

  1. 会社の都合で工場が休業となり、休業手当が支払われた。
  2. 休業手当の計算方法について、給与担当者に確認した。
  3. 受注の減少による休業について、会社が休業手当を支給した。
  4. 自宅待機を命じられたため、休業手当の対象になるか確認した。
  5. 休業手当の金額が正しいか、給与明細を確認した。
  6. 労働基準法第26条に基づく休業手当の支払義務について調べた。

「休業補償」を使った例文

  1. 仕事中の事故で骨折し、会社から休業補償を受けた。
  2. 業務災害による休業について、最初の3日間の休業補償を確認した。
  3. 労災保険の休業補償給付を申請した。
  4. 休業補償の支給条件について、労働基準監督署に問い合わせた。
  5. 休業補償給付と休業特別支給金の金額を確認した。
  6. 休業補償と休業手当は、関係する法律上の制度が異なる。

FAQ|「休業手当」と「休業補償」のよくある質問

Q1. 「休業手当」と「休業補償」は同じ意味ですか?

同じ意味ではありません。休業手当は、使用者の責めに帰すべき事由によって労働者を休業させた場合に支払う手当です。一方、休業補償は、業務上のけがや病気によって働けず、賃金を受けられない場合に使用者が行う補償です。

Q2. 休業手当はいくら支払われますか?

労働基準法第26条に基づき、原則として平均賃金の60%以上です。ただし、労働契約や就業規則などに基づき、より多くの金額が支払われる場合もあります。

Q3. 休業補償は何日目から受け取れますか?

業務災害による休業については、原則として最初の3日間は使用者が労働基準法に基づく休業補償を行います。所定の条件を満たす場合、休業4日目からは労災保険の休業補償給付などが支給されます。

Q4. 労災の休業補償給付はいくらですか?

原則として、休業1日につき給付基礎日額の60%相当額です。これに加えて、給付基礎日額の20%相当額の休業特別支給金が支給される場合があり、両方を合わせると原則として80%相当額となります。

Q5. 通勤災害でも休業補償を受けられますか?

通勤災害については、所定の条件を満たせば、休業4日目から労災保険の休業給付などを受けられます。ただし、業務災害とは異なり、最初の3日間について、労働基準法第76条に基づく使用者の休業補償義務があるわけではありません。

Q6. 会社から自宅待機を命じられた場合、休業手当は必要ですか?

会社側の事情による休業に該当する場合は、原則として平均賃金の60%以上の休業手当が必要です。また、会社からの連絡に応じて直ちに出勤する義務があるなど、待機中の時間が労働時間に当たる場合には、通常の賃金の支払いが必要になることがあります。

Q7. 休業手当と休業補償は、税金の扱いが異なりますか?

異なります。労働基準法第26条に基づく休業手当は、原則として給与所得として課税対象になります。一方、労働基準法第76条に基づく休業補償や労災保険法に基づく休業補償給付などは、原則として非課税です。

Q8. 業務外の病気で休む場合は、休業補償を受けられますか?

労働基準法第76条の休業補償は、業務上の負傷や疾病による療養についての制度です。一方、業務外の病気やけがで働けない場合には、所定の条件を満たせば、健康保険の傷病手当金を受けられることがあります。

Q9. 休業手当や休業補償が支払われない場合は、どこに相談できますか?

労働基準監督署や、都道府県労働局の総合労働相談コーナーなどに相談する方法があります。労災保険の給付については、管轄の労働基準監督署に問い合わせましょう。

まとめ|休業手当は会社側の事情、休業補償は業務上のけがや病気

「休業手当」と「休業補償」は、どちらも働けない期間の収入を補う制度ですが、支給される理由や関係する法律が異なります。

  • 休業手当:使用者の責めに帰すべき事由によって休業させた場合に、原則として平均賃金の60%以上を支払う手当。
  • 休業補償:業務上のけがや病気によって働けず、賃金を受けられない場合に、労働基準法に基づいて使用者が行う補償。
  • 労災保険の休業補償給付:業務災害による休業について、原則として4日目以降に支給される給付。

特に重要なのは、同じ平均賃金の60%という数字が使われていても、休業手当と休業補償では対象となる理由や日が異なるという点です。

また、業務災害については、原則として最初の3日間は使用者が休業補償を行い、4日目以降は労災保険の休業補償給付などが支給されます。

仕事を休むことになった場合は、まず休業の理由を確認し、休業手当・休業補償・傷病手当金など、どの制度が関係するのかを整理しましょう。

会社や保険制度への問い合わせが必要な場合は、休業の経緯や勤務記録、給与明細などを整理しておくことが大切です。具体的な問題への対応方法については、「対応」と「対処」の違いも参考になります。

参考資料・出典

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