「介護認定の基本調査と特記事項は何が違う?」「認定調査で選択された項目だけで要介護度が決まる?」「普段の介護の大変さは、どこに記録してもらえばよい?」など、要介護認定の仕組みを調べていると、聞き慣れない言葉が登場します。
特に重要なのが、認定調査票に記載される「基本調査」と「特記事項」です。
結論からいうと、「基本調査」は全国共通の74項目について所定の選択肢で本人の状態を評価するもの、「特記事項」は選択した理由や具体的な介護の手間、その頻度などを文章で記録するものです。
例えば、食事について基本調査で「見守り等」が選択された場合でも、実際にどのような見守りが必要なのか、毎食必要なのか、一部の食事だけなのかといった状況は、その選択肢だけでは十分に伝わりません。
こうした情報を具体的に記録する役割を担うのが特記事項です。
基本調査は主にコンピュータによる一次判定の基礎となり、特記事項は介護認定審査会による基本調査の確認や、二次判定での介護の手間の評価に使用されます。
この記事では、基本調査と特記事項の違いを比較表で整理し、74項目の内容、評価方法、特記事項に記録する情報、認定結果への影響、家族が準備しておきたいこと、調査内容に疑問がある場合の対応まで詳しく解説します。
- 「基本調査」と「特記事項」の違い【結論】
- 【徹底比較】「基本調査」と「特記事項」の違い
- 「基本調査」とは?全国共通の74項目で状態を評価する
- 基本調査には3つの評価方法がある
- 「特記事項」とは?選択した根拠と具体的な介護の手間を記録する
- 【具体例】同じ基本調査の結果でも、特記事項によって伝わる情報が違う
- 基本調査と特記事項は、一次判定・二次判定にどう使われる?
- 「見守り等」と「一部介助」は、介護の手間の大小を示す?
- 認定調査当日に普段より動けた場合はどうなる?
- 実際に介助していない場合でも、必要な介助を考慮できる?
- 【実践】家族が認定調査前に準備したい5つのこと
- 基本調査と特記事項の内容に疑問がある場合は?
- 「基本調査」「特記事項」と似た言葉の違い
- 「基本調査」と「特記事項」の3秒判定
- よくある間違いと注意点
- 「基本調査」と「特記事項」の例文12選
- FAQ|「基本調査」と「特記事項」のよくある質問
- Q1. 基本調査と特記事項の最も大きな違いは何ですか?
- Q2. 基本調査は何項目ありますか?
- Q3. 基本調査だけで要介護度が決まりますか?
- Q4. 特記事項には、どのような内容が記録されますか?
- Q5. 特記事項は家族が記入できますか?
- Q6. 認定調査当日に普段より元気だった場合はどうなりますか?
- Q7. 見守り等と一部介助では、必ず一部介助のほうが介護の手間が多いですか?
- Q8. 基本調査に該当する項目がない介助は、評価されませんか?
- Q9. 特記事項の内容によって、一次判定が変わることはありますか?
- Q10. 特記事項は二次判定でどのように使われますか?
- Q11. 基本調査や特記事項の内容を本人や家族が確認できますか?
- Q12. 認定結果が普段の状態と合っていない場合はどうすればよいですか?
- まとめ|基本調査は共通の選択肢、特記事項は具体的な介護の手間を伝える記録
- 参考リンク
「基本調査」と「特記事項」の違い【結論】
基本調査と特記事項は、どちらも認定調査票の一部ですが、記録する情報の性質が異なります。
- 基本調査:身体機能、生活機能、認知機能などについて、全国共通の74項目に設けられた選択肢を用いて評価するもの。
- 特記事項:基本調査で選択した理由や、選択肢だけでは伝わりにくい介護の具体的な内容・頻度などを文章で記録するもの。
基本調査は、本人の状態を共通の基準で評価するために必要です。
一方、特記事項は、基本調査の選択が適切かどうかを確認したり、日常生活で実際に発生している介護の手間を把握したりするために必要です。
つまり、基本調査と特記事項は、どちらか一方だけが重要なのではありません。両方の情報を組み合わせることで、本人の状態や介護の必要度をより適切に審査できる仕組みになっています。
【徹底比較】「基本調査」と「特記事項」の違い
| 比較項目 | 基本調査 | 特記事項 |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | 所定の選択肢による状態の評価 | 具体的な状況や介護の手間の文章による記録 |
| 記録方法 | 全国共通の項目について選択肢を選ぶ | 具体的な内容を文章で記載する |
| 項目数 | 74項目 | 基本調査の項目に対応して記載する |
| 主な内容 | 身体機能、生活機能、認知機能、行動、社会生活への適応など | 選択根拠、介護の手間、介助の頻度など |
| 一次判定での役割 | 主要な入力情報となる | 基本調査の選択の妥当性を確認する際などに使用する |
| 二次判定での役割 | 一次判定の基礎となる情報 | 選択肢だけでは表れない介護の手間を検討する資料 |
| 家族が伝えるとよい情報 | 普段の動作や介助の状況 | 具体的な介助内容、頻度、日による違いなど |
| 記録する人 | 原則として認定調査員 | |
| 最終的な要介護度を決めるか | どちらか一方だけでは決まらない。主治医意見書などとともに審査される | |
基本調査と特記事項は、同じ認定調査の中で、互いに補い合う役割を持っています。
「基本調査」とは?全国共通の74項目で状態を評価する
基本調査は一次判定の主要な情報になる
基本調査は、認定調査員が本人の心身の状態や日常生活の状況などを確認し、全国共通の74項目について所定の選択肢を選ぶものです。
その結果は、主治医意見書の一部の情報などとともに、コンピュータによる一次判定に使用されます。
一次判定では、基本調査などの結果を基に、要介護認定等基準時間が推計されます。
ただし、基本調査の選択肢を合計した点数だけで、単純に要介護度を決める仕組みではありません。
基本調査の74項目は6つの分野に分かれる
基本調査には、次の6つの分野があります。
| 分野 | 主な調査内容 |
|---|---|
| 第1群:身体機能・起居動作 | 麻痺、拘縮、寝返り、起き上がり、立ち上がり、歩行など |
| 第2群:生活機能 | 移乗、移動、食事、排尿、排便、着替えなど |
| 第3群:認知機能 | 意思の伝達、短期記憶、日常の意思決定など |
| 第4群:精神・行動障害 | 所定の行動が発生しているか、その頻度など |
| 第5群:社会生活への適応 | 薬の内服、金銭管理、買い物、簡単な調理など |
| その他 | 過去14日間に受けた特別な医療 |
このように、基本調査は歩行や食事などの身体的な動作だけを調べるものではありません。
認知機能や日常生活上の行動、服薬管理なども評価するため、身体機能が比較的保たれている人であっても、日常生活で必要な介護の状況を把握するための情報になります。
基本調査には3つの評価方法がある
基本調査の項目は、すべて同じ基準で評価されるわけではありません。
厚生労働省の認定調査票記入の手引きでは、主に「能力」「介助の方法」「有無」という評価方法が示されています。
1. 「能力」で評価する項目
能力で評価する項目では、本人が所定の動作を行えるかどうかを確認します。
例えば、寝返り、起き上がり、立ち上がりなどです。
危険がないと考えられる場合は、原則として本人に実際の動作を行ってもらい、状態を確認します。
ただし、調査時の体調や環境によって普段の状態と異なる場合などは、日頃の状況を聞き取り、所定の基準に従って選択します。
2. 「介助の方法」で評価する項目
介助の方法で評価する項目では、原則として、実際にどのような介助が行われているかを確認します。
例えば、移動、食事摂取、排尿、排便、薬の内服などです。
項目に応じて、「介助されていない」「見守り等」「一部介助」「全介助」などの選択肢が設けられています。
ただし、これらの選択肢は介助の方法を示すものであり、介助にかかる時間や負担の大きさを直接表すものではありません。
3. 「有無」で評価する項目
有無で評価する項目には、麻痺や拘縮に関するものと、精神・行動障害に関するものなどがあります。
例えば、精神・行動障害に関する項目では、所定の行動が発生しているか、その頻度などを確認します。
こうした行動については、原則として調査日からおおむね過去1か月間の状況を踏まえ、項目の定義に従って選択します。
ただし、その行動があるかどうかだけで、実際にどれほど介護の手間が発生しているかまで判断できるとは限りません。
そこで重要になるのが特記事項です。
「特記事項」とは?選択した根拠と具体的な介護の手間を記録する
基本調査の選択肢だけでは伝わらない情報を補う
特記事項は、基本調査で選択した理由や、本人の日常生活で実際に発生している介護の手間などを、文章で具体的に記録する部分です。
例えば、基本調査で移動について「見守り等」が選択された場合です。
この選択肢だけでは、どのような場面で、どの程度の頻度で見守りが必要なのかは十分に伝わりません。
特記事項では、移動の際に必要な見守りの内容や頻度、普段の状態などを具体的に記録します。
特記事項で重要なのは「選択根拠」「手間」「頻度」
厚生労働省の認定調査票記入の手引きでは、特記事項の記載に当たって、次の3点が重要とされています。
| 重要な情報 | 内容 |
|---|---|
| 選択根拠 | 基本調査でその選択肢を選んだ理由 |
| 手間 | 実際にどのような介助や対応が行われているか |
| 頻度 | その介助や対応が、どの程度の頻度で必要になるか |
例えば、「夜間に介助が必要」とだけ記録しても、どのような介助が、何回ほど必要になるのかはわかりません。
一方、「夜間にトイレへ移動する際、家族が付き添っている。通常は一晩に2回程度」というように具体的に記録すれば、介護認定審査会が介護の手間を把握するための情報になります。
なお、これは記載内容を理解するための例であり、本人や家族が特記事項を直接作成するという意味ではありません。
調査項目にない介護の手間も記録できる場合がある
日常生活で必要な介助の中には、基本調査の選択肢だけでは十分に表現できないものがあります。
厚生労働省の手引きでは、基本調査に直接対応する項目がない場合でも、関連する項目の特記事項に、具体的な介護の手間や頻度を記載できるとされています。
ただし、介護認定審査会で評価されるのは、認定調査の目的や判定基準に関係する情報です。
本人や家族が希望する認定区分に合わせて、無関係な情報を追加するものではありません。
【具体例】同じ基本調査の結果でも、特記事項によって伝わる情報が違う
ここでは、基本調査の選択肢と特記事項の役割を、架空の事例で比較します。
| 基本調査の項目 | 選択肢だけでは伝わりにくいこと | 特記事項で記録する内容の例 |
|---|---|---|
| 移動 | どのような見守りが必要か | 室内の移動時に転倒を防ぐための付き添いが必要。毎回、家族が見守っている |
| 食事摂取 | 介助の具体的な内容 | 食事を口に運ぶ動作はできるが、食事中に所定の介助や見守りが必要となる |
| 排尿 | 時間帯による介助の違い | 昼間は所定の介助で対応しているが、夜間は移動や衣服の操作などに追加の介助が必要 |
| 薬の内服 | 本人がどの部分を行えるか | 家族が薬を準備し、服薬時に確認を行っている |
| 精神・行動障害 | 行動が起きた後の対応 | 所定の行動が発生する頻度と、その際に家族が行っている具体的な対応 |
これらは特記事項の考え方を説明するための例です。実際には、調査項目ごとの定義や選択基準に従って評価する必要があります。
重要なのは、基本調査の選択肢そのものよりも、特記事項を詳しく書けば必ず要介護度が上がる、ということではありません。
選択肢だけでは伝わらない実際の介護の状況を正確に記録することに意味があります。
基本調査と特記事項は、一次判定・二次判定にどう使われる?
基本調査はコンピュータによる一次判定の基礎になる
一次判定では、基本調査の結果や主治医意見書の一部の情報などを基に、コンピュータが介護の必要度を推計します。
その結果、要介護認定等基準時間などが算出され、認定区分の原案が示されます。
ただし、基本調査で選ばれた項目の数や、家族が介護している時間を単純に合計して、要介護度を決めるものではありません。
特記事項は基本調査の選択を確認する際に使われる
介護認定審査会では、一次判定の結果を基に審査する前に、基本調査の選択が適切かどうかを確認します。
例えば、基本調査で「介助されていない」と選択されているものの、特記事項には、実際に介助が必要な状況が具体的に記載されている場合です。
基本調査の選択基準に照らして不整合が確認された場合は、所定の手順に従って選択を修正し、一次判定をやり直すことがあります。
ただし、特記事項に介護の手間が多く記載されているという理由だけで、基本調査の選択を自由に変更できるわけではありません。
二次判定では、基本調査に表れない介護の手間を検討する
二次判定では、介護認定審査会が一次判定を原案として、特記事項や主治医意見書などを踏まえ、介護に必要な手間を審査します。
例えば、基本調査の選択肢だけでは十分に表現できない、特別な介助や対応が発生している場合です。
その内容と頻度が具体的に記録されていれば、二次判定で検討するための資料になります。
ただし、特記事項の記載によって、必ず一次判定より高い区分になるわけではありません。
「見守り等」と「一部介助」は、介護の手間の大小を示す?
基本調査のうち、介助の方法で評価する項目には、「見守り等」「一部介助」「全介助」などの選択肢があります。
しかし、これらは介助の方法を示すものであり、介護にかかる時間や負担の大きさを直接比較するものではありません。
例えば、短時間の一部介助で済む場合と、長時間にわたって見守りが必要な場合では、実際の介護の手間が異なることがあります。
そのため、「見守り等だから一部介助より介護の手間が少ない」と単純には判断できません。
こうした具体的な介護の手間や頻度を伝える役割を担うのが、特記事項です。
認定調査当日に普段より動けた場合はどうなる?
認定調査では、本人が普段より調子のよい状態で動作を行える場合があります。
例えば、普段は立ち上がる際に支えが必要なのに、調査当日は自力で立ち上がれた場合です。
こうしたときは、調査当日の状態と普段の状態の違いを、認定調査員へ具体的に伝えましょう。
能力で評価する項目は、普段の状態も確認する
厚生労働省の手引きでは、能力で評価する項目について、調査当日の環境や緊張、体調などによって普段の状態と異なる場合、一定期間の状況を聞き取り、より頻回に見られる状態などを基に選択する方法が示されています。
この場合、選択した根拠や調査当日の状態との違いなどは、特記事項に記録します。
すべての項目で同じ期間を見るわけではない
評価に使用する期間は、基本調査の項目によって異なります。
例えば、能力や介助の方法などに関する項目では、原則として調査日からおおむね過去1週間の状況が関係します。
一方、精神・行動障害に関する項目では、原則として過去1か月間の行動の発生頻度などが関係します。
そのため、家族は、本人の状態を一日の出来事だけで説明するのではなく、普段の生活状況や行動の頻度などを整理しておくことが重要です。
実際に介助していない場合でも、必要な介助を考慮できる?
介助の方法で評価する項目は、原則として、実際に行われている介助の状況を基に選択します。
ただし、実際に行われている介助が本人にとって不適切な場合もあります。
例えば、一人暮らしで十分な介助を受けられていない場合や、本人の状態に合わない方法で介助が行われている場合です。
このような場合は、認定調査員が所定の基準に従って、適切と考えられる介助の方法を選択し、特記事項にその理由や実際の状況などを記録して、介護認定審査会の判断を仰ぐことがあります。
ただし、実際に介助が行われていないからといって、本人や家族の希望だけで、すべての項目を全介助と評価できるわけではありません。
本人の状態や生活環境、選択基準などに基づいて判断する必要があります。
【実践】家族が認定調査前に準備したい5つのこと
1. 日常生活で必要な介助を整理する
歩行、立ち上がり、入浴、食事、排せつ、着替え、服薬管理などについて、本人が自分でできることと、実際に介助が必要なことを整理しましょう。
単に「入浴が難しい」と記録するのではなく、浴槽への出入り、洗身、着替えなど、どの部分で介助が必要なのかを分けておくと説明しやすくなります。
2. 介助の内容と頻度を記録する
例えば、夜間のトイレへの付き添いや、服薬時の声かけなどについて、具体的な内容と頻度を整理しましょう。
毎日必要なのか、週に数回なのか、日によって違いがあるのかといった情報も役立ちます。
3. 調子のよい日と悪い日の違いを整理する
身体機能や認知機能などが日によって変わる場合は、その違いを整理しましょう。
調査当日だけでなく、普段の状態を正確に伝えるための情報になります。
4. 福祉用具を利用している場合は使用状況を伝える
杖や歩行器、車椅子などを普段から使用している場合は、その使用状況を伝えましょう。
認定調査では、日常的に補装具や福祉用具などを使用して機能を補っている場合、その使用状況を踏まえて評価する項目があります。
そのため、福祉用具を使用しない場合だけを基準にして、本人の能力を説明するのは適切とは限りません。
5. 調査時に伝えたい内容をメモしておく
認定調査では、多くの項目について聞き取りや動作の確認が行われます。
その場で説明し忘れないように、特に重要な介助の内容や頻度などをメモしておくとよいでしょう。
ただし、家族が記入したメモが、そのまま認定調査票の特記事項として採用されるわけではありません。
認定調査員が所定の調査基準に従って確認し、必要な情報を記録します。
基本調査と特記事項の内容に疑問がある場合は?
まず市区町村の介護保険担当窓口へ相談する
認定結果が本人の普段の状態と合っていないと感じる場合は、まず市区町村の介護保険担当窓口へ相談しましょう。
例えば、日常的に必要な介助が、認定調査で十分に伝わっていなかったと考えられる場合です。
自治体によっては、所定の手続きによって認定調査票などの情報提供を受けられる場合があります。
基本調査の選択と特記事項の内容を区別して確認する
認定調査票の内容を確認できる場合は、基本調査でどの選択肢が選ばれているかと、特記事項にどのような状況が記録されているかを分けて確認しましょう。
ただし、基本調査の選択肢と特記事項の文章が異なるように見えても、調査項目の定義や選択基準によって、矛盾しない場合があります。
記載内容に疑問があるときは、調査項目の定義や具体的な選択根拠について、市区町村に確認しましょう。
書類に記載された内容を確かめることと、ほかの記録などを照らし合わせて妥当性を調べることについては、「確認」と「検証」の違いも参考になります。
認定後に状態が変わった場合は区分変更申請を検討する
認定を受けた後に本人の心身の状態が大きく変わり、現在の認定区分が実際の状態に合わなくなった場合は、区分変更申請を検討できます。
一方、認定時点の状態について、認定処分そのものに不服がある場合は、介護保険審査会への審査請求などが関係します。
申請の目的や手続きが異なるため、現在の状況を市区町村へ説明し、必要な方法を確認しましょう。
「基本調査」「特記事項」と似た言葉の違い
「認定調査」との違い
認定調査は、本人の心身の状態や日常生活の状況などを調べる手続き全体を指します。
一方、基本調査と特記事項は、認定調査票を構成する情報の一部です。
認定調査には、基本調査や特記事項のほか、概況調査なども含まれます。
「主治医意見書」との違い
主治医意見書は、本人の主治医が疾病の状況や心身の状態、介護に関する医学的な留意事項などを記載する書類です。
一方、基本調査と特記事項は、認定調査員が本人の状態や介助の状況などを調べ、認定調査票に記録するものです。
いずれも要介護認定の審査に使用する重要な資料ですが、情報を収集する立場や方法が異なります。
「一次判定」との違い
一次判定は、基本調査の結果などを基に、コンピュータが介護の必要度を推計する段階です。
一方、基本調査は、一次判定に使用する主要な情報を収集するためのものです。
「二次判定」との違い
二次判定は、介護認定審査会が、一次判定を原案として、特記事項や主治医意見書などを踏まえて審査する段階です。
一方、特記事項は、その審査に必要となる具体的な介護の手間などを記録するものです。
「基本調査」と「特記事項」の3秒判定
| 確認したい内容 | 主に関係するもの |
|---|---|
| 全国共通の74項目について選択肢を選ぶ | 基本調査 |
| 歩行や食事などの状態を所定の基準で評価する | 基本調査 |
| コンピュータによる一次判定の主要な情報となる | 基本調査 |
| 基本調査でその選択肢を選んだ理由を記録する | 特記事項 |
| 具体的な介助内容や頻度を文章で記録する | 特記事項 |
| 基本調査の選択の妥当性を確認する | 特記事項などを使用した介護認定審査会での確認 |
| 選択肢だけでは伝わらない介護の手間を検討する | 特記事項などを使用した二次判定 |
選択肢による共通の評価が基本調査、具体的な状況や介護の手間を伝える記録が特記事項と覚えましょう。
よくある間違いと注意点
「基本調査の選択肢だけで、要介護度が確定する」は誤り
基本調査の結果などは一次判定の基礎となりますが、それだけで最終的な認定区分が決まるわけではありません。
特記事項や主治医意見書などを踏まえた審査を経て、市区町村が認定します。
「特記事項を詳しく書けば、必ず要介護度が上がる」は誤り
特記事項は、介護の具体的な内容や頻度などを審査に伝えるためのものです。
記載量が多ければ要介護度が上がるという仕組みではありません。
「認定調査では、調査当日の状態しか評価されない」は誤り
項目によっては、普段の状態や所定の期間における介助の状況などを踏まえて評価します。
調査当日と普段の状態が異なる場合は、その違いを具体的に伝えましょう。
「見守り等は、一部介助より必ず介護の手間が少ない」は誤り
見守り等や一部介助は、介助の方法を示す選択肢です。
実際に発生する介護の時間や手間の大小を、これらの選択肢だけで判断することはできません。
「実際に介助を受けていなければ、必要な介助は一切評価されない」は誤り
実際の介助方法が本人にとって不適切だと認定調査員が判断する場合は、所定の基準に従い、適切と考えられる介助の方法を選択し、その理由を特記事項に記録して審査会の判断を仰ぐことがあります。
「基本調査」と「特記事項」の例文12選
「基本調査」を使った例文
- 要介護認定の基本調査では、全国共通の74項目について評価する。
- 基本調査では、歩行や立ち上がりなどの身体機能を確認する。
- 認定調査員が、基本調査の選択肢を所定の基準に従って選んだ。
- 基本調査の結果などを基に、コンピュータによる一次判定が行われる。
- 基本調査の選択が適切か、介護認定審査会で確認された。
- 基本調査の内容について、市区町村の介護保険担当窓口へ問い合わせた。
「特記事項」を使った例文
- 認定調査票の特記事項には、基本調査で選択した理由が記録される。
- 夜間の介助の内容と頻度について、特記事項に記載された。
- 調査当日と普段の状態の違いが、特記事項に記録された。
- 介護認定審査会では、特記事項の内容も踏まえて審査する。
- 基本調査の選択肢だけでは伝わらない介護の手間を、特記事項に記載する。
- 特記事項の記載内容について、認定調査票の情報提供を受けて確認した。
FAQ|「基本調査」と「特記事項」のよくある質問
Q1. 基本調査と特記事項の最も大きな違いは何ですか?
基本調査は、全国共通の74項目について所定の選択肢で本人の状態を評価するものです。一方、特記事項は、選択した理由や、具体的な介護の手間、その頻度などを文章で記録するものです。
Q2. 基本調査は何項目ありますか?
全国共通の74項目です。身体機能・起居動作、生活機能、認知機能、精神・行動障害、社会生活への適応、過去14日間に受けた特別な医療などについて調査します。
Q3. 基本調査だけで要介護度が決まりますか?
決まりません。基本調査の結果などを使用して一次判定を行い、その後、特記事項や主治医意見書などを踏まえた二次判定を経て、市区町村が認定します。
Q4. 特記事項には、どのような内容が記録されますか?
基本調査で選択した理由や、実際に必要な介助の内容、頻度などが記録されます。選択肢だけでは伝わりにくい介護の手間なども、所定の基準に従って記載されます。
Q5. 特記事項は家族が記入できますか?
原則として、認定調査員が認定調査票に記載します。家族は、普段の介助内容や頻度などを具体的に説明し、必要な情報を伝えることが重要です。
Q6. 認定調査当日に普段より元気だった場合はどうなりますか?
調査項目によっては、普段の状態や一定期間における状況などを踏まえて評価します。調査当日と普段の状態が異なる場合は、その違いを認定調査員へ具体的に伝えましょう。
Q7. 見守り等と一部介助では、必ず一部介助のほうが介護の手間が多いですか?
必ずしもそうではありません。これらは介助の方法を示す選択肢です。実際の介護の手間については、具体的な介助内容や頻度などを踏まえて評価します。
Q8. 基本調査に該当する項目がない介助は、評価されませんか?
基本調査の選択肢に直接該当しない場合でも、介護の手間に関係する内容については、関連する項目の特記事項に記載できる場合があります。
Q9. 特記事項の内容によって、一次判定が変わることはありますか?
基本調査の選択に誤りや不整合が確認された場合は、特記事項などを踏まえて所定の手順で選択を修正し、一次判定をやり直すことがあります。ただし、特記事項の記載だけで無条件に一次判定を変更するものではありません。
Q10. 特記事項は二次判定でどのように使われますか?
介護認定審査会が、基本調査の選択肢だけでは十分に表れない具体的な介護の手間や頻度などを検討するための資料として使用します。
Q11. 基本調査や特記事項の内容を本人や家族が確認できますか?
市区町村が定める手続きに従って、認定調査票などの開示や情報提供を受けられる場合があります。ただし、本人確認や同意、利用目的などについて所定の条件が設けられていることがあります。
Q12. 認定結果が普段の状態と合っていない場合はどうすればよいですか?
まず、市区町村の介護保険担当窓口へ相談しましょう。認定後に状態が変わった場合は区分変更申請、認定処分そのものに不服がある場合は審査請求など、状況に応じた手続きが関係します。
まとめ|基本調査は共通の選択肢、特記事項は具体的な介護の手間を伝える記録
「基本調査」と「特記事項」は、どちらも要介護認定の認定調査票に記載される重要な情報ですが、その役割は異なります。
- 基本調査:全国共通の74項目について、所定の選択肢で本人の心身の状態などを評価するもの。主に一次判定の基礎となる。
- 特記事項:基本調査の選択理由や、選択肢だけでは十分に伝わらない介護の具体的な内容・頻度などを文章で記録するもの。
- 認定への影響:特記事項は、基本調査の選択の確認や、二次判定での介護の手間の評価などに使用される。
特に重要なのは、基本調査の選択肢が同じでも、実際に必要な介護の内容や頻度が同じとは限らないことです。
そのため、認定調査を受ける際は、本人ができることと、普段どのような介助を必要としているのかを分けて整理し、具体的に伝えましょう。
また、認定結果が本人の普段の状態と合っていないと感じる場合は、市区町村の介護保険担当窓口へ相談し、必要に応じて認定調査票の確認や、状況に合った手続きを検討しましょう。
参考リンク
-
厚生労働省|要介護認定における認定調査票記入の手引き
基本調査と特記事項の役割、選択基準、介護の手間や頻度の記載方法などを確認できます。
-
厚生労働省|認定調査票の特記事項の記入方法
特記事項に記載する選択根拠、介護の手間、頻度などの考え方を確認できます。
-
厚生労働省|認定調査員向け資料
基本調査の評価方法や、特記事項に記載する際の留意点などを確認できます。
-
厚生労働省|要介護認定に係る制度の概要
認定調査、一次判定、二次判定、主治医意見書など、要介護認定全体の仕組みを確認できます。
