「特別養護老人ホーム」と「介護老人保健施設」の違いとは?入所条件・サービス内容・費用・入所期間を徹底比較

「特別養護老人ホームと介護老人保健施設は何が違う?」「要介護2でも入所できる?」「病院を退院した後、自宅に戻るまでリハビリを受けたい場合はどちら?」「入所した後、ずっと暮らし続けることはできる?」など、家族の介護施設を探す際には、さまざまな疑問が生じます。

特別養護老人ホームと介護老人保健施設は、どちらも介護保険を利用して入所できる施設ですが、主な目的や入所条件、医療・リハビリの体制、入所期間などが異なります。

結論からいうと、特別養護老人ホームは、常に介護が必要で自宅での生活が難しい人を受け入れ、日常生活上の介護を中心に提供する施設。介護老人保健施設は、医学的管理の下で必要な介護やリハビリを提供し、在宅復帰や在宅療養を支援する施設です。

例えば、日常生活全般に介護が必要で、家族だけでは自宅での介護を継続することが難しい場合は、特別養護老人ホームへの入所が関係します。

一方、骨折や脳卒中などで入院した後、すぐに自宅へ戻ることが難しく、リハビリを受けながら在宅復帰を目指す場合は、介護老人保健施設が関係します。

ただし、特別養護老人ホームでも機能訓練を行います。また、介護老人保健施設は、入所者全員が一定期間で必ず退所しなければならない施設ではありません。実際の入所期間や退所先は、本人の状態や施設の方針などによって異なります。

この記事では、二つの施設の違いを比較表で整理し、要介護度別の入所条件、特例入所、医療・リハビリの体制、入所期間、2026年時点の料金の目安、費用を軽減できる制度、施設選びのポイントまで詳しく解説します。

  1. 「特別養護老人ホーム」と「介護老人保健施設」の違い【結論】
  2. 【徹底比較】「特別養護老人ホーム」と「介護老人保健施設」の違い
  3. 「特別養護老人ホーム」とは?常に介護が必要な人の生活を支える施設
    1. 正式には介護老人福祉施設と呼ばれる
    2. 食事・入浴・排せつなどの介護を受けられる
    3. 長期的な生活の場として利用されることが多い
  4. 「介護老人保健施設」とは?在宅復帰や在宅療養を支援する施設
    1. 医師の医学的管理の下で介護とリハビリを提供する
    2. リハビリ専門職が在宅復帰を支援する
    3. 在宅復帰後の生活も見据えて支援する
  5. 【入所条件】要介護1・2でも入所できる?
    1. 特別養護老人ホームは原則として要介護3以上
    2. 介護老人保健施設は要介護1~5が対象
    3. 要支援1・2では原則として両方とも入所できない
  6. 【入所期間】特養は長期、老健は必ず3か月で退所?
    1. 特養は長期入所を前提とした生活の場
    2. 老健に法律上の一律3か月退所ルールはない
    3. 老健では定期的に退所の見通しを検討する
  7. 特養と老健の医療・看護体制はどう違う?
    1. 特養にも医師や看護職員が関わる
    2. 老健は医学的管理の下で介護・看護を提供する
    3. 必要な医療的ケアを施設へ具体的に伝える
  8. 【2026年版】特養と老健の料金はどれくらい違う?
    1. 特別養護老人ホームの基本料金
    2. 介護老人保健施設の基本料金
  9. 入所費用は介護サービス費だけではない
  10. 【計算例】要介護3の人が30日間入所した場合
  11. 食費・居住費を軽減できる「負担限度額認定」とは?
    1. 申請しなければ軽減されない
    2. 2026年8月から一部の基準が変更されている
    3. 軽減されても、すべての費用が無料になるわけではない
  12. 特養と老健は入所待ちの仕組みも違う?
    1. 特養では入所の必要性が考慮される
    2. 老健は空床だけでなく医学的な必要性なども確認する
  13. 【場面別】特養と老健のどちらを検討する?
    1. 場面1:常に介護が必要で、自宅での生活が難しくなった
    2. 場面2:骨折で入院し、自宅へ戻るまでリハビリを受けたい
    3. 場面3:要介護2だが、自宅での介護が極めて難しい
    4. 場面4:退院後も一定の医学的管理が必要
    5. 場面5:老健に入所中だが、自宅への復帰が難しくなった
  14. 施設選びでは「リハビリの目的」と「生活上の目標」を整理する
  15. 【実践】特養と老健を選ぶ際に確認したい7つのポイント
    1. 1. 本人の要介護度と入所条件
    2. 2. 必要な医療的ケアへの対応
    3. 3. リハビリの内容と実施頻度
    4. 4. 入所期間と退所後の支援
    5. 5. 居室の種類と生活環境
    6. 6. 看取りへの対応
    7. 7. 月額料金の総額
  16. 特養と老健への入所を相談するには?
    1. 特養への入所を希望する場合
    2. 老健への入所を希望する場合
  17. 「特養」「老健」と似た施設・サービスの違い
    1. 「介護医療院」との違い
    2. 「有料老人ホーム」との違い
    3. 「ショートステイ」との違い
    4. 「グループホーム」との違い
  18. 「特別養護老人ホーム」と「介護老人保健施設」の3秒判定
  19. よくある間違いと注意点
    1. 「要介護2なら特養には絶対に入所できない」は誤り
    2. 「老健は必ず3か月で退所しなければならない」は誤り
    3. 「特養にはリハビリがない」は誤り
    4. 「老健なら、どのような医療行為にも対応できる」は誤り
    5. 「特養と老健の費用は、基本報酬だけで比較できる」は誤り
  20. 「特別養護老人ホーム」と「介護老人保健施設」の例文12選
    1. 「特別養護老人ホーム」を使った例文
    2. 「介護老人保健施設」を使った例文
  21. FAQ|特別養護老人ホームと介護老人保健施設のよくある質問
    1. Q1. 特養と老健の最も大きな違いは何ですか?
    2. Q2. 要介護2でも特養に入所できますか?
    3. Q3. 要介護1でも老健へ入所できますか?
    4. Q4. 要支援1・2でも特養や老健に入所できますか?
    5. Q5. 老健は必ず3か月で退所する必要がありますか?
    6. Q6. 特養でもリハビリを受けられますか?
    7. Q7. 老健では医療的ケアにも対応できますか?
    8. Q8. 特養と老健ではどちらの料金が安いですか?
    9. Q9. 特養と老健の食費・居住費は軽減できますか?
    10. Q10. 老健から特養へ移ることはできますか?
    11. Q11. 特養や老健でもショートステイを利用できますか?
    12. Q12. 特養と老健のどちらを利用するか、誰に相談すればよいですか?
  22. まとめ|特養は長期的な生活支援、老健は在宅復帰・在宅療養支援
  23. 参考リンク

「特別養護老人ホーム」と「介護老人保健施設」の違い【結論】

特別養護老人ホームと介護老人保健施設の最も大きな違いは、施設の主な目的と入所対象者です。

  • 特別養護老人ホーム:原則として要介護3以上で、常に介護が必要な人を受け入れ、食事・入浴・排せつなどの介護や日常生活上の支援を提供する施設。
  • 介護老人保健施設:要介護1~5の人を対象に、医師の医学的管理の下で必要な介護・看護・リハビリなどを提供し、在宅復帰や在宅療養を支援する施設。

特別養護老人ホームは「特養」、介護老人保健施設は「老健」と略されることがあります。

特養は、常に介護が必要な人の生活の場として利用されることが多い施設です。一方、老健は、病院から自宅へ戻るまでの支援や、自宅での生活を継続するためのリハビリなどを担います。

ただし、どちらの施設も、入所者の自立した日常生活を支援するという共通の役割を持っています。

【徹底比較】「特別養護老人ホーム」と「介護老人保健施設」の違い

比較項目 特別養護老人ホーム(特養) 介護老人保健施設(老健)
介護保険制度上の名称 介護老人福祉施設 介護老人保健施設
主な目的 常に介護が必要な人への日常生活上の介護や生活支援 在宅復帰・在宅療養支援のための介護、医学的管理、リハビリ
原則的な入所対象 要介護3~5 要介護1~5
要介護1・2 やむを得ない事情がある場合の特例入所 必要性などに応じて入所可能
要支援1・2 入所対象外 入所対象外
医師の配置 健康管理や療養上の指導に必要な体制 医学的管理を行う医師を配置
主なサービス 食事・入浴・排せつの介護、健康管理、機能訓練など 必要な医療・看護、介護、リハビリ、在宅復帰支援など
リハビリ 本人の状態に応じた機能訓練など 在宅復帰や生活機能の維持・回復を目指すリハビリ
入所期間 長期的な入所が可能 本人の状態や在宅復帰の見通しなどに応じて判断
退所後の生活 長期入所が多いが、在宅復帰する場合もある 自宅や施設など、本人の状態に応じた退所先を検討
介護保険の基本料金 要介護度、居室、施設の形態などで異なる 要介護度、居室、施設類型などで異なる
食費・居住費 原則として別途負担 原則として別途負担

入所条件では要介護度の違いが重要ですが、実際の施設選びでは、医療的な管理の必要性や、今後どこで生活したいのかという希望も関係します。

「特別養護老人ホーム」とは?常に介護が必要な人の生活を支える施設

正式には介護老人福祉施設と呼ばれる

特別養護老人ホームは、原則として常に介護が必要で、自宅での日常生活が難しい人を受け入れる施設です。

介護保険の施設サービスとして指定された特別養護老人ホームは、介護老人福祉施設と呼ばれます。

入所者の意思や人格を尊重し、可能な限り自立した日常生活を送れるように支援することが求められています。

食事・入浴・排せつなどの介護を受けられる

特別養護老人ホームでは、本人の状態に応じて、次のようなサービスを受けられます。

  • 食事の提供や食事介助
  • 入浴や洗身などの介助
  • 排せつや着替えの介助
  • 移乗や移動の介助
  • 日常生活上の相談や支援
  • 健康管理や療養上の世話
  • 心身機能の維持などを目的とした機能訓練

夜間の介護が必要な人についても、施設の職員が対応します。

ただし、夜間の看護職員の勤務体制や、対応できる医療的ケアなどは施設によって異なります。

長期的な生活の場として利用されることが多い

特別養護老人ホームは、長期的な入所を必要とする人が多く利用する施設です。

例えば、家族が高齢で自宅での介護を継続することが難しく、本人にも日常生活全般にわたる介助が必要な場合です。

入所後は、本人の状態や施設の提供体制などに応じて、必要な介護や生活支援を受けながら暮らします。

ただし、特養へ入所した人が必ず最期まで同じ施設で生活できるとは限りません。長期間の入院や、高度な医療的管理が必要になった場合などには、別の施設や医療機関への移動が必要になることがあります。

「介護老人保健施設」とは?在宅復帰や在宅療養を支援する施設

医師の医学的管理の下で介護とリハビリを提供する

介護老人保健施設は、要介護者に対して、必要な医療・看護、介護、リハビリテーションなどを提供する施設です。

本人が可能な限り自立した日常生活を送れるように支援し、在宅復帰や在宅療養を支える役割を持っています。

例えば、骨折で入院した人が、退院後すぐに自宅の階段を昇り降りすることが難しい場合です。

老健で必要な介護を受けながら、歩行や立ち上がり、日常生活動作などのリハビリを行い、自宅へ戻るための準備を進めることがあります。

リハビリ専門職が在宅復帰を支援する

介護老人保健施設では、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの専門職が、本人の状態に応じたリハビリを提供します。

主に、次のような支援が考えられます。

  • 立ち上がりや歩行の練習
  • ベッドから車椅子への移乗動作の練習
  • 食事や着替えなどの日常生活動作の練習
  • 必要に応じた言語や飲み込みに関する訓練
  • 自宅へ戻るための生活環境の確認
  • 家族への介助方法の助言

ただし、すべての老健で、同じ時間数・頻度のリハビリを受けられるわけではありません。

施設類型や職員配置、本人の病状、リハビリ計画などによって提供内容は異なります。

在宅復帰後の生活も見据えて支援する

老健は、施設内でのリハビリだけでなく、退所後の生活も見据えた支援を行います。

例えば、退所後に訪問介護やデイケア、福祉用具の利用などが必要になる場合です。

施設の職員やケアマネジャーなどが連携し、自宅での生活に必要なサービスや介護体制を検討します。

ただし、本人の状態や家族の事情などによって、自宅への復帰が難しい場合もあります。その場合は、ほかの施設への入所なども含めて、今後の生活を検討することになります。

【入所条件】要介護1・2でも入所できる?

特養と老健で、最も明確な違いの一つが入所条件です。

特別養護老人ホームは原則として要介護3以上

2015年4月以降、新たに特別養護老人ホームへ入所する人は、原則として要介護3以上とされています。

ただし、要介護1・2の人についても、やむを得ない事情によって自宅での日常生活が著しく困難な場合は、特例入所が認められることがあります。

例えば、認知症による症状や行動のために自宅での生活が難しい場合、知的障害や精神障害などを伴い自宅での日常生活が難しい場合、家族による虐待が疑われる場合、家族の支援が期待できず地域のサービスも十分でない場合などです。

ただし、これらに該当する事情があるからといって、自動的に入所が決まるわけではありません。

施設の入所指針などに従い、入所の必要性や緊急性などが検討されます。

介護老人保健施設は要介護1~5が対象

介護老人保健施設は、原則として要介護1~5の人を対象としています。

そのため、要介護1・2であっても、施設での医学的管理やリハビリ、介護などが必要な場合は、入所を検討できます。

ただし、要介護1~5であれば必ず入所できるわけではありません。

本人の病状、リハビリの必要性、施設の対応体制、空床状況などによって受け入れの可否が異なります。

要支援1・2では原則として両方とも入所できない

特養と老健の長期入所は、いずれも要支援1・2の人を対象としていません。

ただし、要支援の人が短期間の宿泊サービスを必要とする場合は、所定の条件の下で、介護予防短期入所生活介護や介護予防短期入所療養介護などを利用できることがあります。

【入所期間】特養は長期、老健は必ず3か月で退所?

特養と老健の違いについて、「特養はずっと住める」「老健は3か月で必ず退所しなければならない」と説明されることがあります。

しかし、実際の制度はそれほど単純ではありません。

特養は長期入所を前提とした生活の場

特養では、常に介護が必要な人が、長期にわたって生活することを想定しています。

ただし、本人の状態や必要な医療的ケア、施設の受け入れ体制などによって、継続入所が難しくなる場合もあります。

老健に法律上の一律3か月退所ルールはない

老健は在宅復帰を支援する施設ですが、すべての入所者について、入所から3か月で退所しなければならないという一律の法定期限があるわけではありません。

実際の入所期間は、本人の病状、リハビリの進み具合、在宅復帰の見通し、家族の介護体制などによって異なります。

厚生労働省の介護サービス情報公表システムでも、老健の施設ごとに平均的な入所日数が大きく異なる事例が示されています。

老健では定期的に退所の見通しを検討する

老健では、本人の状態や在宅復帰の可能性などについて、定期的に確認・検討します。

例えば、歩行や食事などの日常生活動作が改善し、自宅で必要な介護を受けられる体制が整った場合は、退所を検討することがあります。

一方、自宅への復帰が難しい場合は、ほかの施設への入所なども含めて相談することになります。

特養と老健の医療・看護体制はどう違う?

特養にも医師や看護職員が関わる

特養は、日常生活上の介護を中心とする施設ですが、医師や看護職員がまったく関与しないわけではありません。

入所者の健康管理や療養上の世話などを行うため、所定の職員配置基準が設けられています。

ただし、夜間の看護職員の勤務体制や、対応可能な医療的ケアの範囲は施設ごとに異なります。

老健は医学的管理の下で介護・看護を提供する

老健は、医師による医学的管理の下で、必要な介護や看護、リハビリなどを提供します。

退院後も継続的な状態の観察や一定の医学的管理を必要とする人などが、利用する場合があります。

ただし、老健であっても、急性期の入院治療や高度な医療行為など、すべての医療的な対応が可能なわけではありません。

必要な医療的ケアを施設へ具体的に伝える

例えば、在宅酸素、経管栄養、カテーテルの管理などが必要な場合です。

特養と老健のどちらについても、実際に必要な医療的ケアの内容を施設へ伝え、対応できるか確認しましょう。

夜間の看護体制、緊急時の連絡方法、協力医療機関との連携なども重要な確認事項です。

【2026年版】特養と老健の料金はどれくらい違う?

特養と老健の料金は、要介護度、施設類型、居室の種類、地域区分、各種加算などによって異なります。

以下は、厚生労働省の介護サービス情報公表システムに掲載されている基本報酬を基に、1単位10円、自己負担割合1割として示した目安です。

実際の請求では、2026年の介護報酬改定による各種加算や、施設ごとの料金などが関係するため、最新の重要事項説明書や見積書を確認してください。

特別養護老人ホームの基本料金

従来型の多床室を利用した場合の、1日当たりの基本報酬の目安は次のとおりです。

要介護度 基本報酬 1割負担の目安
要介護1 589単位 589円
要介護2 659単位 659円
要介護3 732単位 732円
要介護4 802単位 802円
要介護5 871単位 871円

なお、要介護1・2の人が新たに入所する場合は、原則として特例入所の要件が関係します。

また、ユニット型個室などを利用する場合は、異なる基本報酬と居住費が適用されます。

介護老人保健施設の基本料金

基本型の老健で、従来型個室を利用した場合の、1日当たりの基本報酬の目安は次のとおりです。

要介護度 基本報酬 1割負担の目安
要介護1 717単位 717円
要介護2 763単位 763円
要介護3 828単位 828円
要介護4 883単位 883円
要介護5 932単位 932円

老健では、基本型や在宅強化型などの施設類型、個室・多床室・ユニット型などの居室の種類によって、基本報酬が異なります。

なお、上の二つの表は、居室の条件が異なる代表例です。この金額だけで、特養と老健のどちらが安いかを判断することはできません。

入所費用は介護サービス費だけではない

特養と老健のどちらも、介護サービス費の利用者負担に加えて、原則として居住費や食費、日常生活費などが必要です。

費用項目 主な内容
施設サービス費 介護保険によるサービスの自己負担部分
居住費 居室の種類などに応じた室料・光熱費相当
食費 食材料費や調理費など
日常生活費 施設との契約内容に応じた日用品などの費用
理美容代など 本人が利用したサービスに応じた実費

特に個室と多床室では、居住費が大きく異なる場合があります。

施設を比較する際は、同じ要介護度だけでなく、居室の種類や利用者負担割合などもそろえて確認しましょう。

【計算例】要介護3の人が30日間入所した場合

ここでは、施設サービス費の基本部分と、仮定した居住費・食費によって、30日間の費用を計算します。

本人は要介護3、自己負担割合は1割とします。

特養は従来型多床室、老健は基本型の従来型個室を利用する想定です。比較する居室の条件が異なるため、施設間の料金優劣を示すものではありません。

費用項目 特養 老健
1日当たりの基本報酬 732単位 828単位
30日間の基本部分・1割負担 21,960円 24,840円
居住費の仮定 1日1,000円 1日1,800円
30日間の居住費 30,000円 54,000円
食費の仮定 1日1,600円 1日1,600円
30日間の食費 48,000円 48,000円
合計 99,960円 126,840円

この条件では、基本部分と仮定した居住費・食費の合計が、特養は99,960円、老健は126,840円となります。

ただし、居住費と食費は説明のための仮定です。実際の施設料金や各種加算、地域区分、日常生活費などは反映していません。

実際の月額を比較する際は、希望する施設から、居室の種類や各種加算を含めた見積もりを取りましょう。

食費・居住費を軽減できる「負担限度額認定」とは?

特養と老健に入所する際、所得や預貯金などの要件を満たす人については、負担限度額認定によって食費・居住費が軽減される場合があります。

この制度は、低所得の人などが介護保険施設を利用する際の、食費や居住費の負担を軽減する仕組みです。

申請しなければ軽減されない

負担限度額認定を受けるためには、原則として市区町村への申請が必要です。

本人の所得や資産、世帯の課税状況など、所定の条件が確認されます。

なお、住民票上の世帯が別であっても、配偶者の課税状況などが関係する場合があります。

2026年8月から一部の基準が変更されている

2026年8月から、負担限度額認定の一部の所得基準や食費・居住費の取り扱いが変更されています。

例えば、従来の所得区分の境界となる年間80万9,000円という基準について、2026年8月から82万6,500円へ変更された区分があります。

また、食費の基準費用額についても変更が行われています。

実際に適用される負担段階や負担限度額は、本人の所得や資産、居室の種類などによって異なるため、市区町村の最新の案内を確認しましょう。

軽減されても、すべての費用が無料になるわけではない

負担限度額認定によって軽減されるのは、対象となる食費や居住費です。

施設サービス費の利用者負担や、理美容代などの日常生活費については、別途負担が必要になる場合があります。

施設サービス費の自己負担が大きい場合は、高額介護サービス費などの制度が関係することもあります。

特養と老健は入所待ちの仕組みも違う?

特養では入所の必要性が考慮される

特養では、希望した順番だけで機械的に入所者が決まるわけではありません。

施設の入所指針などに従い、本人の要介護度、心身の状態、家族の介護体制などを踏まえ、入所の必要性や緊急性が考慮されます。

例えば、自宅での介護が極めて難しい人について、必要性を踏まえて検討する場合があります。

ただし、具体的な入所順位の決め方や申込方法は、自治体や施設によって異なります。

老健は空床だけでなく医学的な必要性なども確認する

老健についても、空室があれば無条件に入所できるわけではありません。

本人の病状や心身の状態、リハビリの必要性、施設の対応体制などを確認したうえで、受け入れの可否が判断されます。

退院予定が決まっている場合は、入院中の医療機関の相談員などと連携し、早めに入所先を検討しましょう。

【場面別】特養と老健のどちらを検討する?

場面1:常に介護が必要で、自宅での生活が難しくなった

本人が要介護4で、食事や排せつ、移動など、日常生活全般に介護が必要な場合です。

家族だけでは介護を継続することが難しく、長期的な施設生活を希望する場合は、特養への入所が関係します。

ただし、本人に必要な医療的ケアや施設の受け入れ条件についても確認しましょう。

場面2:骨折で入院し、自宅へ戻るまでリハビリを受けたい

骨折による入院後、歩行や立ち上がりが難しくなり、自宅へ戻るための準備が必要な場合です。

医学的管理の下で介護やリハビリを受けながら、在宅復帰を目指すため、老健への入所を検討することがあります。

場面3:要介護2だが、自宅での介護が極めて難しい

本人が要介護2で、認知症による症状や行動などによって、自宅での日常生活が著しく困難になっている場合です。

特養については、やむを得ない事情が認められる場合の特例入所が関係する可能性があります。

また、本人の病状やリハビリの必要性などによっては、老健などの利用を検討することも考えられます。

場面4:退院後も一定の医学的管理が必要

退院後も継続的な病状の観察や医学的管理を必要とし、自宅での生活に戻るための準備が必要な場合です。

このような場合は、老健への入所が関係することがあります。

ただし、必要な医療的ケアの内容によっては、老健で対応できない場合もあります。主治医や医療機関の相談員などへ確認しましょう。

場面5:老健に入所中だが、自宅への復帰が難しくなった

老健でリハビリを続けているものの、本人の状態や家族の介護体制などによって、自宅への復帰が難しい場合です。

特養などの施設への入所を含め、今後の生活を検討することがあります。

ただし、特養への入所条件や空き状況などによって、希望する時期に移れるとは限りません。

施設選びでは「リハビリの目的」と「生活上の目標」を整理する

老健への入所を検討するときは、「リハビリを受けたい」という希望だけでなく、リハビリを通じてどのような生活を送りたいのかを整理することが重要です。

例えば、本人が自宅へ戻ることを希望している場合です。

単に「歩行練習をする」と決めるだけでなく、「自宅のトイレまで安全に歩けるようになる」「家族の介助を受けながら浴室へ入れるようになる」といった、具体的な生活上の目標を考えます。

リハビリは、その目標を達成するための手段になります。

リハビリを行う目的と、具体的に達成したい生活上の目標を整理する際には、「目的」と「目標」の違いも参考になります。

【実践】特養と老健を選ぶ際に確認したい7つのポイント

1. 本人の要介護度と入所条件

特養は原則として要介護3以上、老健は原則として要介護1~5が対象です。

要介護1・2で特養への入所を希望する場合は、特例入所に該当する可能性があるか確認しましょう。

2. 必要な医療的ケアへの対応

医療的ケアが必要な場合は、本人の病状や必要な処置について、施設へ具体的に伝えましょう。

夜間の看護体制や、緊急時の医療機関との連携方法なども重要です。

3. リハビリの内容と実施頻度

老健への入所を検討する場合は、どのようなリハビリを、どの程度の頻度で受けられるか確認しましょう。

特養についても、機能訓練の内容や担当者、実施頻度などを確認することができます。

4. 入所期間と退所後の支援

老健では、入所後にどのような状態を目指すのか、在宅復帰が難しい場合にどのような支援を受けられるのかを確認しましょう。

特養については、長期入所に関する条件や、医療的な管理が必要になった場合の対応などが重要です。

5. 居室の種類と生活環境

個室か多床室か、ユニット型か従来型かによって、生活環境や居住費が異なります。

例えば、ほかの人と同じ部屋で過ごすことに不安がある場合は、個室を利用できるか確認しましょう。

トイレや浴室の設備、面会の方法なども確認しておくとよいでしょう。

6. 看取りへの対応

特養では、看取り介護を実施している施設があります。

老健でも、施設の提供体制や本人の状態などに応じて、看取りに対応している場合があります。

ただし、すべての施設が同じ体制を備えているわけではありません。

本人や家族の希望を踏まえて、看取りに関する方針や医療機関との連携について確認しましょう。

7. 月額料金の総額

基本報酬だけでなく、居住費、食費、各種加算、日常生活費などを含めて比較しましょう。

特に、居室の種類によって居住費が大きく変わる場合があります。

施設から見積もりを受け取ったら、利用日数や居室の種類、負担割合などを確かめ、契約内容と照らし合わせましょう。

書類の記載内容を確かめることと、その内容の正確性や妥当性を調べることについては、「確認」と「検証」の違いも参考になります。

特養と老健への入所を相談するには?

特養への入所を希望する場合

入所を希望する施設へ、申込方法や必要書類、入所指針などを確認しましょう。

担当ケアマネジャーや市区町村の介護保険担当窓口、地域包括支援センターなどに相談する方法もあります。

要介護1・2で特例入所を希望する場合は、入所の必要性や自宅での生活が難しい事情などを具体的に伝えることが重要です。

老健への入所を希望する場合

主治医や担当ケアマネジャー、入院中の場合は医療機関の相談員などへ相談しましょう。

本人の病状やリハビリの必要性、在宅復帰の見通しなどを踏まえて、利用できる施設を検討します。

施設によっては、入所前に診療情報や必要な書類の提出、本人や家族との面談などを行います。

「特養」「老健」と似た施設・サービスの違い

「介護医療院」との違い

介護医療院は、長期的な療養が必要な要介護者に対して、医療と日常生活上の介護を一体的に提供する施設です。

特養は日常生活上の介護を中心とする施設、老健は在宅復帰・在宅療養支援を担う施設、介護医療院は長期療養のための医療と生活の場という違いがあります。

「有料老人ホーム」との違い

有料老人ホームには、介護付き有料老人ホームや住宅型有料老人ホームなどがあります。

介護保険サービスの利用方法や料金、入居条件などは、施設の種類や契約内容によって異なります。

特養や老健のような介護保険施設とは、制度上の位置づけが異なります。

「ショートステイ」との違い

ショートステイは、短期間施設へ宿泊して介護や看護などを受けるサービスです。

特養では短期入所生活介護、老健では短期入所療養介護を提供している場合があります。

同じ建物を利用する場合でも、長期入所とショートステイでは、契約や介護保険の報酬などが異なります。

「グループホーム」との違い

認知症高齢者グループホームは、原則として認知症のある要支援2または要介護1~5の人が、少人数で共同生活を送る地域密着型サービスです。

特養や老健とは、対象者やサービスの目的、入所条件などが異なります。

なお、住民票のある市区町村などによって、利用できる施設が制限される場合があります。

「特別養護老人ホーム」と「介護老人保健施設」の3秒判定

本人の状態・希望 主に関係する施設
常に介護が必要で、自宅での生活が難しい 特養など
長期的な施設生活を希望している 特養など
骨折や脳卒中の退院後、自宅へ戻るためのリハビリが必要 老健など
医学的管理の下で介護とリハビリを受けたい 老健など
要介護1・2で施設への入所を検討している 老健など。特養は特例入所の要件も確認
長期的な医療と介護の両方が必要 介護医療院なども検討
数日間だけ施設に宿泊したい ショートステイなど

実際の入所先は、本人の状態や希望、必要な医療的ケア、施設の受け入れ体制などによって異なります。

よくある間違いと注意点

「要介護2なら特養には絶対に入所できない」は誤り

特養への新規入所は原則として要介護3以上ですが、要介護1・2でも、やむを得ない事情によって自宅での日常生活が著しく困難な場合は、特例入所が認められることがあります。

「老健は必ず3か月で退所しなければならない」は誤り

老健に、一律の3か月という法定退所期限があるわけではありません。本人の状態や在宅復帰の見通しなどを踏まえ、退所時期が検討されます。

「特養にはリハビリがない」は誤り

特養でも、本人の状態に応じた機能訓練などを提供します。ただし、老健とは施設の目的や専門職の配置などが異なります。

「老健なら、どのような医療行為にも対応できる」は誤り

老健は医学的管理の下で介護・看護などを提供しますが、対応できる医療的ケアの範囲は施設によって異なります。

「特養と老健の費用は、基本報酬だけで比較できる」は誤り

実際の利用料金には、居住費や食費、各種加算、日常生活費などが関係します。居室の種類をそろえ、実際の月額負担を比較することが重要です。

「特別養護老人ホーム」と「介護老人保健施設」の例文12選

「特別養護老人ホーム」を使った例文

  1. 父の要介護度が3となり、特別養護老人ホームへの入所を検討している。
  2. 特別養護老人ホームでは、食事や入浴などの日常生活上の介護を受けられる。
  3. 特別養護老人ホームの入所申込書を取り寄せた。
  4. 要介護2の母について、特別養護老人ホームの特例入所が関係するか相談した。
  5. 特別養護老人ホームの居室の種類と月額費用を確認した。
  6. 特別養護老人ホームでの看取り介護の方針について問い合わせた。

「介護老人保健施設」を使った例文

  1. 骨折で入院した母が自宅へ戻るため、介護老人保健施設への入所を検討している。
  2. 介護老人保健施設では、医師の医学的管理の下で介護やリハビリを受けられる。
  3. 介護老人保健施設のリハビリの内容と実施頻度について確認した。
  4. 介護老人保健施設への入所について、病院の相談員へ相談した。
  5. 介護老人保健施設を退所した後の介護サービスについて検討した。
  6. 介護老人保健施設の料金と居住費・食費の内訳を確認した。

FAQ|特別養護老人ホームと介護老人保健施設のよくある質問

Q1. 特養と老健の最も大きな違いは何ですか?

施設の主な目的です。特養は、常に介護が必要な人を受け入れ、日常生活上の介護を中心に提供する施設です。一方、老健は、医学的管理の下で介護やリハビリを提供し、在宅復帰や在宅療養を支援する施設です。

Q2. 要介護2でも特養に入所できますか?

原則として特養への新規入所は要介護3以上ですが、要介護1・2でも、やむを得ない事情によって自宅での生活が著しく困難な場合は、特例入所が認められることがあります。

Q3. 要介護1でも老健へ入所できますか?

要介護1~5の人が対象です。ただし、医学的管理やリハビリなどの必要性、施設の受け入れ体制などによって、実際の入所可否が異なります。

Q4. 要支援1・2でも特養や老健に入所できますか?

通常の長期入所は、どちらも要支援1・2の人を対象としていません。ただし、短期間の宿泊については、所定の条件の下で介護予防短期入所サービスを利用できる場合があります。

Q5. 老健は必ず3か月で退所する必要がありますか?

一律の3か月という法定退所期限はありません。本人の状態や在宅復帰の見通し、家族の介護体制などによって入所期間が異なります。

Q6. 特養でもリハビリを受けられますか?

本人の状態に応じた機能訓練などを受けられます。ただし、実施内容や専門職の配置、実施頻度などは施設によって異なります。

Q7. 老健では医療的ケアにも対応できますか?

医学的管理の下で必要な医療や看護を提供しますが、すべての医療的ケアに対応できるわけではありません。必要な処置や医療機器への対応について、施設へ個別に確認しましょう。

Q8. 特養と老健ではどちらの料金が安いですか?

要介護度や施設類型、居室の種類、各種加算などによって異なります。実際の負担額は、施設サービス費だけでなく、居住費や食費などを含めた総額で比較する必要があります。

Q9. 特養と老健の食費・居住費は軽減できますか?

所得や預貯金などの要件を満たし、負担限度額認定を受けることで、食費や居住費の負担が軽減される場合があります。市区町村への申請が必要です。

Q10. 老健から特養へ移ることはできますか?

特養の入所条件を満たし、施設への入所が認められた場合は、老健から特養へ移ることがあります。ただし、希望する時期に入所できるとは限りません。

Q11. 特養や老健でもショートステイを利用できますか?

対応している施設では利用できます。特養では短期入所生活介護、老健では短期入所療養介護などが関係します。長期入所とは契約や料金の取り扱いが異なります。

Q12. 特養と老健のどちらを利用するか、誰に相談すればよいですか?

担当ケアマネジャーや主治医、地域包括支援センターなどへ相談しましょう。入院中の場合は、医療機関の相談員へ相談する方法もあります。本人の状態や必要な介護・医療、今後の生活の希望などを踏まえて検討します。

まとめ|特養は長期的な生活支援、老健は在宅復帰・在宅療養支援

「特別養護老人ホーム」と「介護老人保健施設」は、どちらも介護保険を利用して入所できる施設ですが、主な目的や入所対象者、医療・リハビリの体制などが異なります。

  • 特別養護老人ホーム:原則として要介護3以上で、常に介護が必要な人を受け入れ、日常生活上の介護や生活支援などを提供する施設。
  • 介護老人保健施設:要介護1~5の人を対象に、医学的管理の下で介護や看護、リハビリなどを提供し、在宅復帰や在宅療養を支援する施設。
  • 費用の共通点:いずれも施設サービス費のほか、原則として食費・居住費などが必要。所得や資産などの要件を満たせば、負担限度額認定による軽減を受けられる場合がある。

特に重要なのは、特養を単なる終身入所施設、老健を必ず3か月で退所する施設と考えないことです。

特養でも本人の状態に応じた機能訓練や在宅復帰の支援を行い、老健でも本人の状態や事情に応じて、入所期間や退所後の生活を検討します。

施設選びでは、本人の要介護度、必要な医療的ケア、リハビリの必要性、家族の介護体制、今後どこで生活したいのかという希望を整理しましょう。

また、利用料金は施設や居室の種類によって異なるため、実際の見積もりを確認したうえで、本人と家族が納得できる入所先を検討することが重要です。

参考リンク

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