「介護休業」と「休職」の違いとは?取得条件・期間・給与・社会保険・復職まで徹底比較

家族の介護が必要になり、しばらく仕事を休まなければならない場合、「介護休業」と「休職」のどちらを利用すればよいのでしょうか。

介護休業は法律で定められた制度ですが、休職は会社の就業規則などに基づいて設けられる制度です。どちらも長期間仕事を休む際に使われますが、取得条件や利用できる期間、収入面での保障などには違いがあります。

特に注意したいのが、介護休業の93日間を使い切っても、自動的に休職へ切り替えられるわけではないという点です。

この記事では、2026年9月時点の制度に基づき、介護休業と休職の違いを比較します。取得条件や給与、介護休業給付金、社会保険料、復職の条件に加え、長期化する介護と仕事を両立させるための具体的な方法も解説します。

  1. 結論|「介護休業」は法律上の制度、「休職」は会社の規程による制度
  2. 【徹底比較】「介護休業」と「休職」の違いを一覧表で解説
  3. 介護休業とは?法律で保障された休業制度
    1. 介護休業の基本的な仕組み
    2. 介護休業は自分で介護し続けるためだけの制度ではない
    3. 介護休業は会社の就業規則に書かれていなくても取得できる
  4. 休職とは?取得条件や期間は会社によって異なる
    1. 休職の基本的な意味
    2. 家族の介護を理由とする休職制度がない会社もある
    3. 休職期間も会社ごとに異なる
  5. 介護休業と休職では取得条件がどう違う?
    1. 介護休業には法律上の対象家族と要介護状態の基準がある
    2. 休職の対象となる家族や理由は会社の規程による
  6. 給与はどうなる?介護休業給付金と休職中の収入の違い
    1. 介護休業中の給与は会社の規程による
    2. 介護休業中は給付金を受け取れる場合がある
    3. 会社独自の休職では、原則として介護休業給付金の対象にならない
  7. 介護休業中・休職中の社会保険料は免除される?
    1. 介護休業には育児休業のような保険料免除制度がない
    2. 無給期間の社会保険料はどうやって支払う?
    3. 会社独自の休職中も社会保険料の負担が続く場合がある
  8. 介護休業の93日間を使い切ったら休職できる?
    1. 93日を使い切っても自動的に休職へ移行するわけではない
    2. 休職制度がある場合は利用条件を確認する
    3. 休職制度がない場合も、ほかの両立支援制度を検討する
  9. 介護休業と休職では復職の条件がどう違う?
    1. 介護休業は予定した期間の終了後に復職する
    2. 休職は会社が定める復職条件を確認する
  10. 介護休業と休職のほかに利用できる制度は?
    1. 介護休暇
    2. 短時間勤務等の措置
    3. 所定外労働の制限
    4. 介護サービスとの組み合わせ
  11. 2025年の法改正によって介護との両立支援はどう変わった?
    1. 介護に直面した社員への個別周知・意向確認が義務化された
    2. 介護休業を利用しやすい職場環境の整備が義務化された
  12. 【実践】介護休業と休職はどちらを選ぶ?4つのケースで比較
    1. ケース1:親が突然入院し、退院準備が必要になった
    2. ケース2:介護休業を使い切った後も介護が必要
    3. ケース3:月に数回、親の通院に付き添う
    4. ケース4:介護が数年間続く見込み
  13. 介護休業・休職を会社に相談するときのメール例文
    1. 介護休業を取得したい場合
    2. 会社独自の介護休職制度について確認したい場合
  14. FAQ|介護休業と休職に関するよくある質問
    1. Q1. 介護休業と休職は同じ意味ですか?
    2. Q2. 介護休業を93日間使い切ったら、自動的に休職できますか?
    3. Q3. 会社に介護休業の制度がなくても取得できますか?
    4. Q4. 家族の介護を理由に休職することはできますか?
    5. Q5. 介護休業中は給与が支払われますか?
    6. Q6. 会社独自の休職中でも介護休業給付金を受け取れますか?
    7. Q7. 介護休業中や休職中の社会保険料は免除されますか?
    8. Q8. 介護休業の取得には要介護認定が必要ですか?
    9. Q9. 介護休業が終了したら必ず元の部署へ戻れますか?
    10. Q10. 介護休業や休職を取得する前に確認すべきことは何ですか?
  15. まとめ|まず介護休業の利用条件を確認し、長期化する場合は会社の休職制度も検討する
  16. 参考リンク

結論|「介護休業」は法律上の制度、「休職」は会社の規程による制度

介護休業と休職の最大の違いは、制度の根拠と取得できる条件にあります。

  • 介護休業:育児・介護休業法に基づく制度。要介護状態にある対象家族を介護する労働者が、一定の要件を満たすことで取得できる。対象家族1人につき通算93日まで、3回に分けて取得可能。
  • 休職:労働者が一定期間、労働義務を免除されること。一般的な休職制度は会社の就業規則や労働契約などによって定められ、取得理由や期間、復職条件は会社ごとに異なる。

例えば、父親が入院し、退院後の介護サービスや生活環境を整える必要がある場合には、介護休業の利用が考えられます。

一方、介護休業の93日間を使い切った後も、家族の事情によって長期間仕事を休む必要がある場合には、会社が独自に設けている介護目的の休職制度を利用できる可能性があります。

ただし、会社によっては、私傷病による休職制度はあっても、家族の介護を理由とする休職制度を設けていない場合があります。

そのため、最初に確認すべきことは、法律上の介護休業を利用できるかどうかと、勤務先に介護を理由とした休職制度があるかどうかです。

【徹底比較】「介護休業」と「休職」の違いを一覧表で解説

比較項目 介護休業 休職
制度の根拠 育児・介護休業法 就業規則・労働契約など
主な目的 家族の介護と仕事を両立する体制を整える 会社が定める理由によって、一定期間勤務を免除する
取得条件 法律上の要件による 会社の規程による
取得できる期間 対象家族1人につき通算93日まで 会社によって異なる
分割取得 対象家族1人につき3回まで 会社の規程による
会社に制度の規定がない場合 法律上の要件を満たせば取得できる 法律上、一般的な休職制度の設置義務はない
休業・休職中の給与 会社に一律の支払義務はない 会社の規程による
介護休業給付金 雇用保険の要件を満たせば対象 通常、会社独自の休職だけでは対象にならない
健康保険・厚生年金保険料 介護休業を理由とする法定の免除制度はない 休職を理由とする一般的な免除制度はない
復職 予定した休業期間の終了後に復職 会社の規程や休職事由の解消状況などによる
代表的な例 親の退院に合わせて介護体制を整えるために休む 会社独自の介護休職制度で、さらに一定期間休む

なお、休職には、本人の病気やけがを理由とする私傷病休職、海外留学のための休職、家族の介護を理由とする休職など、会社が定めたさまざまな種類があります。

本記事では、主に家族の介護を理由とする休職について、法律上の介護休業と比較します。

介護休業とは?法律で保障された休業制度

介護休業の基本的な仕組み

介護休業は、要介護状態にある対象家族を介護するために、労働者が一定期間仕事を休める制度です。

対象家族1人につき、通算93日まで、3回に分けて取得できます。

例えば、父親の介護について、次のように休業を分割することができます。

  • 1回目:入院中に退院後の生活を準備するため、14日間取得する。
  • 2回目:退院直後の介護体制を整えるため、30日間取得する。
  • 3回目:介護サービスを見直すため、49日間取得する。

この場合、合計93日、取得回数は3回となります。

ただし、取得できる93日は対象家族1人についての通算日数です。毎年新たに93日間が付与されるわけではありません。

介護休業は自分で介護し続けるためだけの制度ではない

介護休業は、まとまった期間、自分一人で介護を行うためだけの制度ではありません。

厚生労働省は、仕事と介護を両立できる体制を整えるための準備期間として活用することを案内しています。

例えば、介護休業中に、地域包括支援センターやケアマネジャーへ相談し、必要な介護サービスを手配する方法があります。

また、家族間で役割分担を決めたり、介護に適した住環境を整えたりすることも、休業期間の重要な使い方です。

介護休業終了後に仕事へ復帰することを見据えて、できる限り長期的な両立体制を整えることが重要です。

介護休業は会社の就業規則に書かれていなくても取得できる

介護休業は法律で定められた制度であるため、勤務先の就業規則に介護休業の規定がない場合でも、法律上の要件を満たせば取得できます。

ただし、日々雇用される労働者は対象外です。

また、労使協定が締結されている場合には、継続雇用期間が1年未満の労働者や、週の所定労働日数が2日以下の労働者などが、取得対象から除外される場合があります。

有期雇用の労働者についても、契約期間に関する所定の要件があります。

自分が取得対象になるか分からない場合には、人事部や都道府県労働局などに確認しましょう。

休職とは?取得条件や期間は会社によって異なる

休職の基本的な意味

休職とは、労働者が一定の理由によって仕事を続けることが難しくなった場合などに、雇用関係を維持したまま、一定期間の勤務を免除されることです。

ただし、一般的な休職制度について、すべての会社が同じ内容の制度を設けなければならないという法律上の義務はありません。

例えば、会社によっては、次のような休職制度を設けています。

  • 本人の病気やけがによる私傷病休職
  • 家族の介護を理由とする休職
  • 海外留学などを目的とする休職
  • 会社が特別に認めた事情による休職

どのような理由で取得できるかは、勤務先の就業規則などによって異なります。

家族の介護を理由とする休職制度がない会社もある

休職制度がある会社でも、家族の介護を理由とした休職を認めているとは限りません。

例えば、就業規則に「私傷病により一定期間就業できない場合」と定められている休職制度は、原則として本人の病気やけがを想定しています。

家族の介護を理由に利用できるかどうかは、別途規程を確認する必要があります。

ただし、会社が法定の介護休業よりも長い独自の休業制度を設けたり、特別な事情に応じて休職を認めたりする場合もあります。

休職期間も会社ごとに異なる

休職には、介護休業の93日のような全国共通の期間があるわけではありません。

例えば、会社独自の介護休職制度について、3か月や6か月などの上限を定める場合があります。

また、勤続年数によって休職できる期間が変わる会社もあります。

ただし、これらは一般的な制度設計の例であり、どの会社にも当てはまるものではありません。

具体的な期間や延長の可否については、勤務先の就業規則などを確認する必要があります。

介護休業と休職では取得条件がどう違う?

両者を比較するうえで、特に重要なのが取得条件です。

介護休業には法律上の対象家族と要介護状態の基準がある

介護休業の対象家族には、配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母が含まれます。

配偶者には、事実婚の関係にある人も含まれます。

また、要介護状態とは、負傷、疾病、身体上または精神上の障害により、2週間以上にわたって常時介護を必要とする状態を指します。

ここで注意したいのは、介護保険制度における要介護認定を受けていることが、必ずしも介護休業の取得条件ではないという点です。

一方で、要介護認定を受けているからといって、勤務先への申出や法律上の確認がすべて不要になるわけでもありません。

介護保険の認定区分との違いについては、「要支援」と「要介護」の違いと受けられるサービス・認定基準も参考になります。

休職の対象となる家族や理由は会社の規程による

会社独自の介護休職制度では、対象となる家族の範囲や、どの程度の介護が必要な場合に認められるかを会社が定めていることがあります。

例えば、法定の介護休業と同じ家族の範囲を採用している会社もあれば、独自の条件を設けている会社も考えられます。

また、介護休業の93日間を取得済みであることを条件として、追加の休職を認める制度を設ける場合もあります。

ただし、法定の介護休業については、会社独自の制度によって労働者の法律上の権利を下回る条件を設けることはできません。

給与はどうなる?介護休業給付金と休職中の収入の違い

長期間仕事を休む場合、特に重要になるのが収入面です。

介護休業と休職では、利用できる給付制度が異なります。

介護休業中の給与は会社の規程による

育児・介護休業法では、介護休業中の給与について、会社に一律の支払義務を定めているわけではありません。

そのため、介護休業中は無給としている会社もあります。

一方、会社独自の制度として、介護休業中に一定の給与を支給する場合もあります。

実際に給与が支払われるかどうかは、勤務先の就業規則や給与規程を確認しましょう。

介護休業中は給付金を受け取れる場合がある

雇用保険の受給要件を満たす場合には、介護休業給付金の支給対象になります。

給付額は、原則として次の計算式で求められます。

休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%

例えば、休業開始前の賃金が平均月額30万円程度で、給付額の上限に該当せず、休業中に賃金が支払われない場合には、1か月当たり約20万1,000円が目安です。

ただし、実際の支給額は休業開始前の賃金、支給日数、休業中の賃金の支払い状況などによって異なります。

また、介護休業給付金には支給額の上限があり、その額は定期的に改定されます。

給付を受けるには、原則として、介護休業開始前の2年間に雇用保険の被保険者期間が12か月以上あることなどの条件を満たす必要があります。

会社独自の休職では、原則として介護休業給付金の対象にならない

会社独自の休職制度を利用した場合、その期間が法律上の介護休業ではないのであれば、通常、介護休業給付金の支給対象にはなりません。

例えば、介護休業の93日間を使い切った後、会社独自の介護休職制度を利用してさらに2か月休む場合を考えてみましょう。

その2か月間については、法定の介護休業の上限を超えているため、通常は介護休業給付金を受け取れません。

ただし、会社が独自の休職手当を支給する場合や、一定期間の給与を保障する場合があります。

休職中の収入を見積もる際には、会社から支払われる金額と、公的な給付の対象になる期間を分けて確認しましょう。

介護休業中・休職中の社会保険料は免除される?

介護休業と休職について、給与と同じくらい重要なのが社会保険料の取り扱いです。

特に、育児休業では社会保険料が免除される場合があるため、介護休業でも同じだと考えている人は注意が必要です。

介護休業には育児休業のような保険料免除制度がない

健康保険と厚生年金保険には、一定の産前産後休業や育児休業について、所定の要件を満たせば保険料が免除される制度があります。

しかし、介護休業については、介護休業を取得したことだけを理由とする同様の法定免除制度はありません。

そのため、介護休業中に給与が支払われなくても、原則として健康保険料や厚生年金保険料の負担が続きます。

介護休業給付金を受け取れる場合でも、それとは別に社会保険料の支払いを考慮する必要があります。

無給期間の社会保険料はどうやって支払う?

通常、会社員の健康保険料や厚生年金保険料は、給与から天引きされます。

しかし、介護休業中や休職中に給与が支払われない場合には、給与から天引きできないことがあります。

そのような場合、会社によっては、労働者負担分の保険料を別途振り込んでもらう方法や、復職後の給与から精算する方法などを採用しています。

実際の支払方法については、休業や休職を始める前に人事部などへ確認しておきましょう。

会社独自の休職中も社会保険料の負担が続く場合がある

雇用関係と健康保険・厚生年金保険の被保険者資格が継続している場合、会社独自の休職期間中であっても、原則として保険料負担は続きます。

ただし、雇用形態や資格の状況などによって取り扱いが異なる場合があります。

特に長期間の無給休職では、給与がなくても社会保険料の支払いが必要になる可能性があるため、事前の資金計画が重要です。

介護休業の93日間を使い切ったら休職できる?

介護が長期化した場合、介護休業の93日間だけでは対応しきれないことがあります。

このような場合に、会社独自の休職制度を利用できるかどうかは、就業規則などによって異なります。

93日を使い切っても自動的に休職へ移行するわけではない

介護休業と休職は、それぞれ異なる制度です。

そのため、介護休業の93日間が終了した後、労働者の希望だけで当然に会社独自の休職制度を利用できるとは限りません。

例えば、会社が介護を理由とする休職制度を設けていない場合には、別の制度を利用できないか検討する必要があります。

また、介護目的の休職制度があっても、取得期間や対象となる家族、申請期限などの条件が定められている場合があります。

休職制度がある場合は利用条件を確認する

例えば、勤務先に「介護休業終了後、会社が認めた場合には一定期間の介護休職を利用できる」という制度がある場合を考えてみましょう。

このような制度があれば、法律上の介護休業を使い切った後も、雇用関係を維持しながら介護に対応できる可能性があります。

ただし、休職中の給与や社会保険料、復職に必要な手続きなどは、会社の規程に従う必要があります。

休職期間の終了後も勤務を再開できない場合について、どのような取り扱いになるのかも事前に確認しておくことが大切です。

休職制度がない場合も、ほかの両立支援制度を検討する

会社独自の介護休職制度がない場合でも、介護休暇や短時間勤務等の措置、所定外労働の制限など、ほかの制度を利用できる可能性があります。

例えば、家族の介護が長期化しても、訪問介護やデイサービスなどを利用し、勤務時間を調整することで、仕事を継続できる場合があります。

仕事を休むことだけでなく、勤務時間や介護サービスを調整する方法も検討しましょう。

介護休業と休職では復職の条件がどう違う?

休業や休職を取得する際には、仕事を休む期間だけでなく、復職するときの条件も確認しておく必要があります。

介護休業は予定した期間の終了後に復職する

介護休業では、申出時に休業開始予定日と終了予定日を明らかにします。

そのため、通常は予定した休業期間が終了した後に、勤務を再開します。

ただし、休業期間を延長したい場合には、法律や会社の規程に従って所定の手続きを行う必要があります。

介護休業については、1回の申出ごとに、原則として1回に限り、休業終了予定日の繰下げ変更が認められています。希望する場合は、所定の期限までに申し出る必要があります。

休職は会社が定める復職条件を確認する

会社独自の休職制度では、復職に必要な条件や手続きが就業規則などに定められている場合があります。

例えば、休職期間の終了前に復職の意思を申し出ることや、勤務を再開できる状況について会社と面談することなどが考えられます。

ただし、これらは会社によって異なり、すべての休職に共通する条件ではありません。

また、介護を理由とする休職と、本人の病気を理由とする私傷病休職では、復職の判断方法が異なる場合があります。

本人の病気による休職については、「欠勤」と「休職」の違いと給与・社会保険・復職の条件も参考になります。

介護休業と休職のほかに利用できる制度は?

仕事と介護を両立するためには、長期間の休みを取得する方法だけでなく、勤務時間や働き方を調整する制度も重要です。

介護休暇

介護休暇は、対象家族の介護や世話を行うために取得できる制度です。

対象家族が1人の場合は年間5日、2人以上の場合は年間10日まで取得できます。

また、原則として時間単位でも取得できるため、通院への付き添いやケアマネジャーとの面談などに利用できます。

ただし、介護休暇については、会社に給与の支払義務があるわけではありません。有給か無給かは勤務先の規程によって異なります。

短時間勤務等の措置

育児・介護休業法では、事業主に対し、対象家族1人につき、利用開始から連続する3年以上の期間において、2回以上利用できる短時間勤務等の措置を講じることが求められています。

例えば、会社が短時間勤務制度を導入している場合、介護のために所定労働時間を短縮できる可能性があります。

ただし、具体的な制度の内容は、会社が法定の選択肢から導入する措置によって異なります。

所定外労働の制限

要介護状態にある対象家族を介護する労働者は、一定の要件を満たす場合、所定労働時間を超える労働を免除してもらうことができます。

例えば、毎日の残業が介護サービスの利用時間と重なってしまう場合には、所定外労働の制限を利用する方法が考えられます。

ただし、法律上の対象者や申出期限、例外などについては、所定の要件があります。

介護サービスとの組み合わせ

介護が長期化する場合には、公的な介護サービスを活用することも重要です。

例えば、日中はデイサービスを利用し、必要に応じて訪問介護や訪問看護などを組み合わせることで、仕事を続けられる場合があります。

訪問介護と訪問看護では、利用できるサービスや担当する専門職が異なります。詳しくは、「訪問介護」と「訪問看護」の違いとサービス内容・利用条件をご覧ください。

2025年の法改正によって介護との両立支援はどう変わった?

2025年4月1日から、育児・介護休業法の改正によって、介護離職を防ぐための新しい措置が施行されました。

2026年9月時点では、会社による介護休業制度などの周知や、働きやすい環境の整備に関する義務が強化されています。

介護に直面した社員への個別周知・意向確認が義務化された

労働者が家族の介護に直面したことを勤務先に申し出た場合、事業主は介護休業や介護両立支援制度などについて、個別に周知し、利用する意向を確認する必要があります。

周知する事項には、介護休業や両立支援制度の内容、申出先、介護休業給付金などが含まれます。

また、制度の利用を控えさせるような個別周知や意向確認は認められません。

介護休業を利用しやすい職場環境の整備が義務化された

事業主は、介護休業や両立支援制度を利用しやすくするため、研修の実施、相談窓口の設置、制度の利用事例の提供、利用促進方針の周知など、法定の措置から少なくとも1つを講じる必要があります。

そのため、親の介護が必要になった場合には、まず勤務先の人事部や相談窓口などで利用できる制度について確認することが重要です。

【実践】介護休業と休職はどちらを選ぶ?4つのケースで比較

ケース1:親が突然入院し、退院準備が必要になった

親が突然入院し、退院後の自宅介護を準備するために、数週間のまとまった休みが必要な場合を考えてみましょう。

このような場合には、まず介護休業の取得を検討できます。

休業中に介護保険の申請を行い、ケアマネジャーと相談して必要な介護サービスを手配することで、仕事への復帰を見据えた体制を整えられる可能性があります。

ケース2:介護休業を使い切った後も介護が必要

介護休業の93日間を使い切ったものの、引き続き仕事を休む必要がある場合には、会社独自の介護休職制度の有無を確認しましょう。

制度がある場合は、取得条件や期間、給与、社会保険料、復職条件などを確認する必要があります。

制度がない場合には、短時間勤務等の措置や介護休暇、介護サービスなどを組み合わせる方法も検討しましょう。

ケース3:月に数回、親の通院に付き添う

親の介護体制がすでに整っており、月に数回の通院付き添いなどで仕事を休む必要がある場合には、介護休暇を利用する方法があります。

介護休暇は、原則として時間単位でも取得できるため、長期間の介護休業や休職を利用する必要がない場合もあります。

ケース4:介護が数年間続く見込み

長期にわたって介護が必要な場合には、介護休業や会社独自の休職制度だけで対応し続けることは難しい可能性があります。

そのため、地域包括支援センターやケアマネジャーと相談し、訪問介護やデイサービスなどの利用を検討しましょう。

また、勤務先の短時間勤務制度や残業の免除などを組み合わせ、できるだけ仕事を続けながら介護に対応できる体制を整えることも重要です。

介護休業・休職を会社に相談するときのメール例文

介護休業を取得したい場合

件名:家族の介護に伴う介護休業取得のご相談

〇〇部長

お疲れさまです。

このたび、父の介護が必要となり、退院後の生活環境や介護サービスの利用体制を整えることになりました。

つきましては、介護休業の取得についてご相談したく、ご連絡いたしました。

現時点では、〇月〇日から〇月〇日までの取得を希望しております。

業務の引き継ぎや必要な申出手続きについて、ご相談のお時間をいただけますでしょうか。

よろしくお願いいたします。

会社独自の介護休職制度について確認したい場合

件名:家族の介護に伴う休職制度についてのお問い合わせ

人事部 ご担当者様

お疲れさまです。

現在、家族の介護に対応しており、今後の勤務について検討しております。

介護休業の利用に加え、弊社に家族の介護を理由とした休職制度が設けられているか確認したく、ご連絡いたしました。

制度がある場合は、取得条件、利用できる期間、休職中の給与や社会保険料、復職時の手続きなどについて、ご教示いただけますでしょうか。

お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

FAQ|介護休業と休職に関するよくある質問

Q1. 介護休業と休職は同じ意味ですか?

同じではありません。介護休業は育児・介護休業法に基づく制度であり、法律上の要件を満たす労働者が取得できます。一方、一般的な休職は会社の就業規則や労働契約などに基づく制度であり、取得条件や期間は会社によって異なります。

Q2. 介護休業を93日間使い切ったら、自動的に休職できますか?

いいえ。介護休業と休職は別の制度です。介護休業の終了後に会社独自の介護休職制度を利用できるかどうかは、就業規則などによって異なります。休職制度がない場合でも、介護休暇や短時間勤務等の措置などを利用できる可能性があります。

Q3. 会社に介護休業の制度がなくても取得できますか?

法律上の要件を満たしていれば取得できます。介護休業は育児・介護休業法で定められた制度であり、就業規則に規定がないという理由だけで取得できなくなるわけではありません。

Q4. 家族の介護を理由に休職することはできますか?

会社が家族の介護を理由とする休職制度を設けている場合や、個別に休職を認める場合には利用できる可能性があります。ただし、すべての会社に介護目的の休職制度を設ける義務があるわけではありません。勤務先の就業規則などを確認しましょう。

Q5. 介護休業中は給与が支払われますか?

会社の規程によって異なります。法律上、会社に介護休業中の給与を一律に支払う義務はありません。ただし、無給の場合でも、雇用保険の受給要件を満たせば介護休業給付金を受け取れる可能性があります。

Q6. 会社独自の休職中でも介護休業給付金を受け取れますか?

通常、会社独自の休職だけでは介護休業給付金の対象になりません。給付金は、所定の要件を満たす介護休業について、対象家族1人につき通算93日、3回までを限度に支給されます。

Q7. 介護休業中や休職中の社会保険料は免除されますか?

介護休業については、育児休業のような法定の社会保険料免除制度はありません。また、会社独自の休職についても、休職したことだけを理由とする一般的な免除制度はありません。健康保険や厚生年金保険の被保険者資格が継続している場合、原則として保険料の負担が続きます。

Q8. 介護休業の取得には要介護認定が必要ですか?

必ずしも必要ではありません。介護休業でいう要介護状態は、介護保険制度の要介護認定と同じ意味ではありません。ただし、法律上の要介護状態に該当することなど、取得のための要件を満たす必要があります。

Q9. 介護休業が終了したら必ず元の部署へ戻れますか?

介護休業の取得を理由とする不利益な取り扱いは禁止されています。ただし、復職後の具体的な業務や配置について、あらゆる場合に完全に同一の部署・職務が保障されるという意味ではありません。復職に際して不利益な取り扱いが疑われる場合には、都道府県労働局などへ相談できます。

Q10. 介護休業や休職を取得する前に確認すべきことは何ですか?

法律上の介護休業の取得条件、勤務先の独自制度の有無、取得できる期間、給与や給付金の見込み、社会保険料の支払方法、業務の引き継ぎ、復職時の条件などを確認しましょう。特に無給期間が長くなる場合には、生活費と社会保険料を含めた資金計画を立てることが重要です。

まとめ|まず介護休業の利用条件を確認し、長期化する場合は会社の休職制度も検討する

「介護休業」と「休職」は、どちらも一定期間仕事を休む際に使用されますが、制度の根拠や取得条件が異なります。

  • 介護休業:育児・介護休業法に基づく制度。対象家族1人につき通算93日まで、3回に分けて取得できる。雇用保険の要件を満たせば、介護休業給付金の対象となる。
  • 休職:一般的には会社の就業規則などに基づく制度。家族の介護を理由として利用できるか、何日間休めるか、給与が支払われるかなどは、会社の規程によって異なる。

親の退院後に介護サービスを手配したり、家族間の役割分担を決めたりするためにまとまった休みが必要な場合には、まず介護休業の利用条件を確認しましょう。

介護が長期化し、93日間を超えて仕事を休む必要がある場合には、会社独自の介護休職制度があるかどうかを確認することが重要です。

また、介護休業や休職を取得した後も仕事を続けられるように、介護休暇、短時間勤務等の措置、残業の免除、介護保険サービスなどを組み合わせる方法も検討しましょう。

仕事と介護を両立するためには、どれだけ長く休めるかだけでなく、仕事に復帰した後も無理なく介護を続けられる体制を整えることが大切です。

参考リンク

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