「任命」と「選任」の違いとは?意味・決定方法・使い分けを会社役員・人事・行政の例文で徹底解説

「新しい部長を任命する」「株主総会で取締役を選任する」。会社の人事や行政、各種団体の運営では、「任命」と「選任」という言葉が使われます。

どちらも、ある人を特定の役職に就けることを意味しますが、違いはどこにあるのでしょうか。

例えば、会社の社長が社員を新しい部署の責任者に任命する場合には、「任命」が自然です。一方、株式会社の株主総会で取締役を選ぶ場合には、会社法上の用語である「選任」を使用します。

しかし、任命する際にも候補者を選ぶことがあります。また、選任する人が必ず投票で決まるわけでもありません。

つまり、「任命は上司が決めること、選任は選挙で決めること」と覚えるだけでは、正確に使い分けられない場合があります。

「任命」は、ある人を官職や役目に就かせること。「選任」は、適任者を選び、特定の任務や役職に就かせることです。

この記事では、任命と選任の意味や違いを比較表で整理し、会社の取締役・監査役、職場の責任者、行政機関、学校、各種団体などの具体例を交えて解説します。さらに、「指名」「選出」「選考」「就任」「解任」との違いや、ビジネスメール・議事録・社内通知での自然な使い分けも紹介します。

  1. 結論|「任命」は役職に就けること、「選任」は人を選んで役職に就けること
  2. 【徹底比較】「任命」と「選任」の違いを一覧表で解説
  3. 「任命」とは?意味・特徴・正しい使い方
    1. 任命は、特定の官職や役目に就かせること
    2. 任命する人には、その権限が必要になる
    3. 任命の前に、複数の候補者から人を選ぶ場合もある
  4. 「選任」とは?意味・特徴・正しい使い方
    1. 選任は、人を選んで特定の任務や役職に就かせること
    2. 選任は、会社の役員についてよく使われる
    3. 選任は、必ず複数の候補者から一人を選ぶことではない
  5. 「任命」と「選任」は、誰が決めるかで区別できる?
    1. 任命は、決められた任命権者が行う
    2. 選任は、役職ごとに決定する機関が異なる
    3. 決定方法を確認せず、言葉だけで判断しない
  6. 会社の取締役は「任命」と「選任」のどちら?
    1. 取締役は、原則として株主総会で選任する
    2. 取締役候補者を決めることと、取締役を選任することは別
    3. 選任された後の「就任」も区別する
  7. 会社の監査役は「任命」と「選任」のどちら?
    1. 監査役も、株主総会で選任する
    2. 監査役の選任には、特別な手続きが関係する場合もある
    3. 取締役と監査役をまとめて「役員」と呼ぶ場合にも注意
  8. 「代表取締役の選任」と「代表取締役の選定」はどう違う?
    1. 取締役は、原則として株主総会で選任する
    2. 取締役会設置会社では、代表取締役を取締役会で選定する
    3. 取締役の選任と、代表取締役の選定は別の手続き
  9. 部長や課長などの管理職には「任命」と「選任」のどちらを使う?
    1. 管理職に役職を与える場合は「任命」
    2. 候補者を比較して選んだ場合でも「任命」を使える
    3. 管理職の任命と、業務の担当を決めることは別
  10. プロジェクトの責任者は「任命」と「選任」のどちら?
    1. 上司が責任者を決める場合は「任命」が使いやすい
    2. 規程に基づいて人を選ぶ場合は「選任」も使える
    3. 正式な通知では、社内規程に合わせる
  11. 行政機関では「任命」と「選任」をどう使い分ける?
    1. 公務員を特定の職に就ける場合には「任命」
    2. 委員などについては「選任」が使われる場合もある
    3. 同じ行政の役職でも、正式な用語は制度によって異なる
  12. 国務大臣の「任命」とは?
    1. 日本国憲法第68条では、国務大臣の任命が定められている
    2. 国務大臣の任命には、憲法上の権限が関係する
    3. 国務大臣の任命と、取締役の選任は別の制度
  13. 「任命」と「指名」の違いとは?
    1. 指名は、特定の人を名指しして指定すること
    2. 任命は、特定の役職に就けること
    3. 内閣総理大臣については、指名と任命が区別される
  14. 「選任」と「選考」の違いとは?
    1. 選考は、条件や能力などを調べて適任者を選ぶこと
    2. 選任は、選んだ人を特定の任務や役職に就けること
    3. 選考と選任は、同じ手続きを意味しない
  15. 「選任」と「選出」の違いとは?
    1. 選出は、複数の人の中から特定の人を選び出すこと
    2. 選任は、選んで任務に就けること
    3. 規約で用語が指定されている場合は、正式な表現を使う
  16. 「選任」と「選定」の違いとは?
    1. 選定は、条件に合うものを選んで決めること
    2. 選任は、人を選んで任務や役職に就けること
    3. 会社法では、選任と選定が別の手続きになる場合がある
  17. 「任命」と「就任」の違いとは?
    1. 任命は、人を特定の職務や役職に就けること
    2. 就任は、本人が実際に役職に就くこと
    3. 任命される側と、任命する側の違いにも注目する
  18. 「任命」と「解任」の違いとは?
    1. 任命は、ある役職に就けること
    2. 解任は、任務や役職から外すこと
    3. 選任と解任も、会社法で使われる
  19. 人事通知では「任命」と「選任」をどう使い分ける?
    1. 管理職の人事通知では「任命」が自然
    2. 取締役の人事発表では「選任」を使う
    3. 会社の役職名と、正式な手続きを確認する
  20. 議事録では「選任」と「任命」のどちらを使う?
    1. 取締役の選任議案では「選任」を使う
    2. 社内の委員会では、規程によって異なる場合がある
    3. 議事録では、決定した内容と手続きを明確にする
  21. 「任命」と「選任」の例文を場面別に比較
  22. 【実践】「任命」と「選任」を迷わず使い分ける3つの判断基準
    1. 1. 特定の役職に就くよう命じる場合は「任命」
    2. 2. 人を選び、特定の任務に就ける場合は「選任」
    3. 3. 正式な制度や書類では、法令・規程の用語を優先する
  23. ビジネスメール・社内通知での「任命」と「選任」の使い分け
    1. 例文1:新しい部長を任命する場合
    2. 例文2:株主総会で取締役を選任した場合
    3. 例文3:委員会の委員を選任する場合
  24. 「任命」と「選任」を使う際によくある4つの間違い
    1. 1. 任命は、必ず一人の判断で決めることだと考える
    2. 2. 選任は、必ず複数の候補者から投票で決めることだと考える
    3. 3. 株式会社の取締役について、正式な議事録で「任命」と書く
    4. 4. 選任されたことと、就任したことを必ず同じと考える
  25. 参考リンク
  26. FAQ|「任命」と「選任」に関するよくある質問
    1. Q1. 「任命」と「選任」は同じ意味ですか?
    2. Q2. 「任命」と「選任」は、それぞれ何と読みますか?
    3. Q3. 会社の取締役は、任命と選任のどちらですか?
    4. Q4. 監査役も「選任」を使いますか?
    5. Q5. 部長や課長は、任命と選任のどちらですか?
    6. Q6. 選任は、必ず投票で決めることですか?
    7. Q7. 候補者が一人しかいなくても「選任」と言えますか?
    8. Q8. 「任命」と「指名」はどう違いますか?
    9. Q9. 「選任」と「選考」はどう違いますか?
    10. Q10. 「選任」と「選出」はどう違いますか?
    11. Q11. 「取締役の選任」と「代表取締役の選定」はどう違いますか?
    12. Q12. 選任されたら、すぐに役職へ就任したことになりますか?
  27. まとめ|「任命」は役職に就けること、「選任」は人を選んで役職に就けること

結論|「任命」は役職に就けること、「選任」は人を選んで役職に就けること

任命と選任は、どちらも人を特定の職務や役職に就けることを意味します。

両者の一般的な違いは、役職に就けるという行為に重点を置くか、適任者を選んで役職に就けることに重点を置くかという点です。

  • 任命(にんめい):ある人を官職や役目に就かせること。誰がその職務を担うのかを決定し、職務を与える場合に使う。
  • 選任(せんにん):候補となる人の中から選び、ある任務や役職に就かせること。適任者を選ぶことと、その職務に就けることを合わせて表す。

例えば、会社で社長がある社員を部長に就ける場合には、「新しい部長を任命する」という表現が自然です。

一方、株式会社の株主総会で取締役を選ぶ場合には、「取締役を選任する」という表現を使用します。

ただし、任命する場合でも、候補者の実績や適性などを比較して人選することがあります。また、選任の方法も、役職や制度によって異なります。

最も重要なのは、単語の一般的な意味だけでなく、対象となる役職について、法律や定款、社内規程などで定められた正式な用語を確認することです。

【徹底比較】「任命」と「選任」の違いを一覧表で解説

比較項目 任命 選任
読み方 にんめい せんにん
基本的な意味 ある官職や役目に就かせること 人を選んで任務や役職に就かせること
主な着眼点 特定の職務や役職を与えること 適任者を選び、職務や役職を与えること
代表的な場面 会社の人事、公務員の任命、国務大臣の任命など 取締役・監査役の選任、委員の選任など
決める人・機関 制度で定められた任命権者など 制度で定められた選任権限を持つ人や機関
投票の必要性 必ずしも投票によらない 必ずしも投票によるとは限らない
代表的な書類 任命通知書、辞令など 選任決議に関する議事録など
例文 新しいプロジェクトの責任者を任命する。 株主総会で取締役を選任する。

このように、任命と選任は一般的な意味が重なりますが、実際に使用される制度や書類が異なる場合があります。

例えば、株式会社では、取締役の選任を行う機関と、日常の業務執行に関する決定を行う機関が、会社法や会社の機関設計などによって定められています。

会社の役職名が同じように見えても、どの機関が、どのような方法で決定するのかを確認しましょう。

「任命」とは?意味・特徴・正しい使い方

任命は、特定の官職や役目に就かせること

「任命」は、ある人を特定の職務や役職に就かせることを意味します。

例えば、次のような表現があります。

  • 新しい部長を任命する。
  • プロジェクトの責任者に任命される。
  • 内閣総理大臣が国務大臣を任命する。
  • 任命権者が職員を任命する。
  • 新しい管理職の任命を社内に通知する。

これらに共通しているのは、ある人に特定の職務や役職を与えている点です。

任命する人には、その権限が必要になる

例えば、会社で部長を任命する場合には、会社の人事権限や社内規程などに従って決定することになります。

また、公務員の任命では、法令によって任命権者が定められている場合があります。

そのため、単に適任だと思う人がいれば、誰でも自由に任命できるわけではありません。

任命の前に、複数の候補者から人を選ぶ場合もある

例えば、会社の新しい部長を任命するに当たり、複数の社員について経験や実績、適性などを比較する場合があります。

その結果、適任だと判断された社員を部長に任命することが考えられます。

このように、人選が行われたからといって、必ず「選任」と表現するわけではありません。

「選任」とは?意味・特徴・正しい使い方

選任は、人を選んで特定の任務や役職に就かせること

「選任」は、適任者を選び、ある任務や役職に就かせることを意味します。

例えば、次のような表現があります。

  • 株主総会で新しい取締役を選任する。
  • 監査役の選任について決議する。
  • 委員会の規則に従って委員を選任する。
  • 選任された役員が就任する。
  • 選任の結果を関係者へ通知する。

これらに共通しているのは、決められた方法によって人を選び、特定の役割を担ってもらうことです。

選任は、会社の役員についてよく使われる

例えば、株式会社の取締役や監査役の選任については、会社法に規定があります。

会社法第329条では、役員などの選任に関する基本的な規定が設けられています。

そのため、株式会社の正式な議事録や決議事項では、「取締役の任命」ではなく、「取締役の選任」と記載します。

選任は、必ず複数の候補者から一人を選ぶことではない

例えば、取締役候補者が一人だけの場合でも、必要な手続きを経て、その人を取締役に選任することがあります。

候補者が一人しかいなければ選任という言葉を使えないわけではありません。

選任という言葉には、人を選んで役職に就ける意味がありますが、具体的な手続きは、対象となる制度によって異なります。

「任命」と「選任」は、誰が決めるかで区別できる?

任命と選任は、決定する人や機関が異なる場合があります。

しかし、「社長が決めるなら任命、複数人で決めるなら選任」という単純な区別はできません。

任命は、決められた任命権者が行う

例えば、日本国憲法第68条では、国務大臣を任命する権限が内閣総理大臣に与えられています。

会社でも、社内規程などに基づき、特定の役職について任命権限を持つ人が決める場合があります。

選任は、役職ごとに決定する機関が異なる

例えば、株式会社の取締役については、原則として株主総会で選任します。

一方、各種団体の委員などについては、規約や設置要領で定められた方法により選任する場合があります。

決定方法を確認せず、言葉だけで判断しない

例えば、ある委員会の委員長について、「委員の互選によって選任する」と規定されている場合があります。

また、別の組織では、責任者が委員長を指名する仕組みになっているかもしれません。

そのため、組織の正式な書類を作成する場合には、規約や法令に使用されている用語を確認することが重要です。

会社の取締役は「任命」と「選任」のどちら?

株式会社の取締役については、正式な制度上の用語である「選任」を使用します。

取締役は、原則として株主総会で選任する

会社法第329条では、株式会社の取締役などについて、株主総会の決議によって選任することを定めています。

例えば、次のような文章です。

「定時株主総会において、新しい取締役を選任しました。」

これは、株主総会で取締役を選んだことを表す自然な文章です。

取締役候補者を決めることと、取締役を選任することは別

例えば、取締役の候補者について、会社の内部で事前に検討する場合があります。

しかし、候補者として決まったというだけで、正式な選任手続きが完了したことにはなりません。

候補者の決定と、会社法上の選任を区別しましょう。

選任された後の「就任」も区別する

例えば、株主総会で取締役の選任決議が行われた場合でも、本人の就任承諾など、必要な手続きを確認することが重要です。

特に登記や議事録などの正式な書類では、決議日や就任日など、確認すべき事項があります。

「選任されたこと」と「実際に就任したこと」を、すべての場面で同じ意味として扱わないようにしましょう。

会社の監査役は「任命」と「選任」のどちら?

株式会社の監査役についても、会社法上は「選任」という言葉が使用されます。

監査役も、株主総会で選任する

例えば、監査役を新しく選ぶ場合には、「監査役選任の件」という議案名が使われます。

「監査役を任命する」と言っても、一般的な意味は伝わる場合がありますが、株主総会の正式な議事録では、会社法上の用語に従う必要があります。

監査役の選任には、特別な手続きが関係する場合もある

例えば、すでに監査役を設置している会社で、監査役の選任議案を株主総会へ提出する場合には、会社法上、監査役の同意などが必要になる場合があります。

具体的な手続きは、会社の機関設計や状況などによって異なります。

取締役と監査役をまとめて「役員」と呼ぶ場合にも注意

例えば、会社の人事発表では、「新役員を選任しました」という表現が使用できます。

ただし、会社法上の役員の範囲と、社内で一般的に使用される「役員」という言葉の範囲が異なる場合があります。

正式な手続きについて説明する場合には、取締役、監査役など、具体的な役職名を示しましょう。

「代表取締役の選任」と「代表取締役の選定」はどう違う?

会社の役員については、「選任」「選定」という言葉も区別する必要があります。

取締役は、原則として株主総会で選任する

例えば、株主総会で新しい取締役を選ぶ場合には、「取締役の選任」という表現を使用します。

取締役会設置会社では、代表取締役を取締役会で選定する

一方、取締役会を設置している株式会社では、取締役会が取締役の中から代表取締役を選定します。

そのため、取締役会の議事録では、「代表取締役選定の件」という表現が使用されます。

取締役の選任と、代表取締役の選定は別の手続き

例えば、新たに取締役へ選任された人が、その後、取締役会で代表取締役に選定される場合があります。

この場合、株主総会での取締役の選任と、取締役会での代表取締役の選定は、それぞれ別の手続きです。

なお、取締役会を設置していない株式会社については、代表取締役を定める方法が異なる場合があります。会社の機関設計に応じて、適用される規定を確認しましょう。

部長や課長などの管理職には「任命」と「選任」のどちらを使う?

会社の管理職については、一般的に「任命」が使いやすいでしょう。

管理職に役職を与える場合は「任命」

例えば、次のような文章です。

「10月1日付で、〇〇氏を営業部長に任命します。」

この場合、会社の人事上の決定によって、社員を部長職に就けることを表しています。

候補者を比較して選んだ場合でも「任命」を使える

例えば、複数の社員について、人事評価や業務経験などを確認したうえで部長を決定する場合があります。

このような場合でも、会社の人事制度で「任命」という用語を使用しているのであれば、「部長に任命する」が自然です。

管理職の任命と、業務の担当を決めることは別

例えば、部長へ任命された人が、複数の業務を管理する場合があります。

一方、一般社員へ特定の顧客や業務を割り当てる場合には、「担当者に指定する」「担当を決める」などの方が自然な場合もあります。

すべての業務分担について、「任命する」と表現する必要はありません。

プロジェクトの責任者は「任命」と「選任」のどちら?

プロジェクトの責任者については、会社の制度や決定方法によって、適切な用語が異なる場合があります。

上司が責任者を決める場合は「任命」が使いやすい

例えば、社長が新しいプロジェクトを開始するに当たり、特定の社員を責任者へ任命する場合があります。

この場合、「プロジェクト責任者に任命する」という表現が自然です。

規程に基づいて人を選ぶ場合は「選任」も使える

一方、ある委員会の責任者について、規程に従って委員の中から選ぶ場合には、「責任者を選任する」という表現も可能です。

正式な通知では、社内規程に合わせる

例えば、会社の規程で「管理責任者を選任する」と定めている場合には、社内通知でも同じ用語を使用すると、混乱を避けやすくなります。

任命と選任の一般的な意味よりも、正式な役職名や決定手続きに合わせた表記が重要になる場面です。

行政機関では「任命」と「選任」をどう使い分ける?

行政機関では、任命という言葉が広く使われます。

公務員を特定の職に就ける場合には「任命」

例えば、法令に基づき任命権者が公務員を特定の職に就ける場合には、「任命」という表現が使用されます。

ただし、採用、昇任、転任などの取り扱いや正式な用語は、適用される法令や人事制度によって異なります。

委員などについては「選任」が使われる場合もある

一方、委員会や団体の構成員などについては、根拠となる法律や規則に「選任」という用語が使用されている場合があります。

また、別の制度では、「委嘱」や「任命」という言葉が使われることもあります。

同じ行政の役職でも、正式な用語は制度によって異なる

例えば、ある行政機関の委員について、「委員を任命する」と定められている場合があります。

一方、別の機関では、構成員を選ぶ方法について「選任」という言葉を使用している場合もあります。

そのため、行政に関する正式な文書では、対象の役職について、根拠となる法律や規則を確認することが重要です。

国務大臣の「任命」とは?

任命の代表的な使用例の一つが、国務大臣の任命です。

日本国憲法第68条では、国務大臣の任命が定められている

日本国憲法第68条第1項では、内閣総理大臣が国務大臣を任命することを定めています。

また、国務大臣の過半数は、国会議員の中から選ばれる必要があります。

国務大臣の任命には、憲法上の権限が関係する

例えば、内閣総理大臣が国務大臣を任命する場合には、憲法に定められた権限に基づいて行います。

そのため、この制度について説明する場合には、「国務大臣を選任する」ではなく、「国務大臣を任命する」という正式な用語を使用します。

国務大臣の任命と、取締役の選任は別の制度

例えば、国務大臣については、日本国憲法に任命に関する規定があります。

一方、株式会社の取締役については、会社法に選任に関する規定があります。

このように、どちらも人を重要な役職に就ける制度ですが、根拠となる法律や決定方法は異なります。

「任命」と「指名」の違いとは?

任命と混同しやすい言葉に「指名」があります。

指名は、特定の人を名指しして指定すること

例えば、会議の進行役として、特定の社員を名指しする場合には、「進行役に指名する」という表現が自然です。

任命は、特定の役職に就けること

一方、指名された人に正式な役職を与える場合には、必要な手続きを経て任命することがあります。

内閣総理大臣については、指名と任命が区別される

例えば、日本国憲法第67条では、内閣総理大臣が国会の議決によって指名されることを定めています。

さらに、憲法第6条では、天皇が国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命することを定めています。

このように、一つの役職について、指名と任命がそれぞれ異なる手続きとして設けられている場合があります。

詳しくは、「任命」と「指名」の違い|人事・役職・行政での正しい使い分けをご覧ください。

「選任」と「選考」の違いとは?

選任と似た言葉に「選考」があります。

選考は、条件や能力などを調べて適任者を選ぶこと

例えば、新しい社員を採用するため、応募者の書類や面接結果などを比較する場合には、「選考」という表現が自然です。

選任は、選んだ人を特定の任務や役職に就けること

一方、会社の取締役などについて、正式な決定手続きにより人を選び、その役職に就ける場合には、「選任」という言葉が使われます。

選考と選任は、同じ手続きを意味しない

例えば、取締役候補者の経歴や適性などについて検討することは、人選のための作業です。

その後、株主総会で取締役を選任する場合には、候補者の検討と正式な選任を区別する必要があります。

詳しくは、「審査」と「選考」の違い|採用・入試・コンテストでの使い分けも参考になります。

「選任」と「選出」の違いとは?

「選任」と「選出」は、どちらも人を選ぶことに関係しています。

選出は、複数の人の中から特定の人を選び出すこと

例えば、「委員の中から代表者を選出する」という文章です。

この場合、誰を代表者として選び出したのかという点が中心になります。

選任は、選んで任務に就けること

一方、「代表者を選任する」という文章では、代表者としての任務や役職に就けることまで含めて説明しています。

規約で用語が指定されている場合は、正式な表現を使う

例えば、団体の規約で「会長を選出する」と定めている場合には、その表現を使用します。

一方、「会長を選任する」と定められている場合には、規約に合わせて選任という言葉を使用しましょう。

「選任」と「選定」の違いとは?

選任と意味が近い言葉に「選定」があります。

選定は、条件に合うものを選んで決めること

例えば、「新しい取引先を選定する」「導入する設備を選定する」などの表現です。

人だけでなく、製品やサービス、方法など、幅広い対象に使用できます。

選任は、人を選んで任務や役職に就けること

一方、選任は、ある人に特定の任務や役職を担ってもらうために、人を選ぶことを表します。

会社法では、選任と選定が別の手続きになる場合がある

例えば、取締役会設置会社では、原則として取締役は株主総会で選任し、代表取締役は取締役会で選定します。

このように、一般的な意味が近くても、法律上は別の手続きを指す場合があります。

「任命」と「就任」の違いとは?

任命とよく似た場面で使用される言葉に「就任」があります。

任命は、人を特定の職務や役職に就けること

例えば、社長が社員を部長に任命する場合には、「任命する」という表現が自然です。

就任は、本人が実際に役職に就くこと

一方、任命された人が新しい役職に就くことについては、「就任する」と表現します。

例えば、「10月1日付で営業部長に就任しました」という文章です。

任命される側と、任命する側の違いにも注目する

例えば、「社長が〇〇氏を部長に任命した」という文章では、役職を与える側の行為を説明しています。

一方、「〇〇氏が部長に就任した」という文章では、役職に就く本人の立場から説明しています。

このように、同じ人事異動について、任命と就任の両方を使う場合があります。

「任命」と「解任」の違いとは?

任命と対比して考えられる言葉に「解任」があります。

任命は、ある役職に就けること

例えば、プロジェクトの責任者を任命する場合には、特定の社員に責任者の役割を与えています。

解任は、任務や役職から外すこと

一方、責任者の役職を解く場合には、「解任する」という表現が使用されることがあります。

ただし、会社の取締役などについては、会社法上の解任手続きが関係します。

選任と解任も、会社法で使われる

例えば、株式会社の取締役については、選任と解任が、それぞれ会社法に規定されています。

したがって、正式な会社の議事録では、「取締役の選任」「取締役の解任」という用語を使用します。

罷免と解任の詳しい違いについては、「罷免」と「解任」の違い|意味と具体的な使い分けをご覧ください。

人事通知では「任命」と「選任」をどう使い分ける?

会社の人事通知では、対象となる役職や決定手続きに応じて、言葉を選ぶ必要があります。

管理職の人事通知では「任命」が自然

例えば、次のような文章です。

「10月1日付で、〇〇氏を営業部長に任命します。」

この文章では、人事上の決定によって、特定の社員を営業部長に就けることを説明しています。

取締役の人事発表では「選任」を使う

一方、株主総会で取締役を選んだことを発表する場合には、次のような文章が自然です。

「本日開催した定時株主総会において、新しい取締役を選任しました。」

この場合、会社法上の正式な手続きに従った表現です。

会社の役職名と、正式な手続きを確認する

例えば、「執行役員」と「取締役」は、名称が似ていても、法律上の位置づけや選び方が異なる場合があります。

また、会社によって、特定の役職への就任方法が社内規程で定められている場合があります。

そのため、役職名だけで判断せず、実際の制度や規程を確認しましょう。

議事録では「選任」と「任命」のどちらを使う?

株主総会や委員会の議事録では、正式な用語を使用することが重要です。

取締役の選任議案では「選任」を使う

例えば、株式会社の株主総会の議事録では、「取締役選任の件」という議案名が使用されます。

この場合、会社法上の手続きと一致するため、「選任」が適切です。

社内の委員会では、規程によって異なる場合がある

例えば、安全委員会などの構成員について、会社が規程に基づいて任命する場合があります。

一方、特定の委員を委員会の構成員の中から選ぶ場合には、「選任」という用語が使用されることもあります。

議事録では、決定した内容と手続きを明確にする

例えば、候補者について検討しただけの場合と、正式に選任が決議された場合とでは、記載すべき内容が異なります。

「候補者を決定した」「選任を決議した」「就任を承諾した」など、それぞれの段階を区別して記録しましょう。

「任命」と「選任」の例文を場面別に比較

場面 任命を使った例文 選任を使った例文
会社の管理職 社長が〇〇氏を新しい営業部長に任命した。 役職や規程によっては選任を使用する場合もある。
プロジェクト 新規プロジェクトの責任者に任命された。 規程に基づき、委員の中から責任者を選任した。
取締役 会社法上の正式な手続きでは「選任」を使用する。 株主総会で新しい取締役を選任した。
監査役 会社法上の正式な手続きでは「選任」を使用する。 監査役の選任について決議した。
国務大臣 内閣総理大臣が国務大臣を任命した。 憲法上の正式な用語は「任命」。
各種団体 規約に従って委員を任命した。 構成員の中から新しい委員長を選任した。
人事通知 10月1日付で、〇〇氏を部長に任命する。 株主総会において、新役員を選任した。

このように、任命と選任は、同じように人を役職に就けることを表していても、法律上の制度や社内規程によって使い分けられます。

【実践】「任命」と「選任」を迷わず使い分ける3つの判断基準

1. 特定の役職に就くよう命じる場合は「任命」

例えば、会社の部長やプロジェクト責任者などについて、決められた権限を持つ人が役職を与える場合には、「任命」が自然です。

  • 新しい部長を任命する。
  • プロジェクト責任者に任命する。
  • 国務大臣を任命する。

2. 人を選び、特定の任務に就ける場合は「選任」

例えば、株主総会で取締役や監査役を選ぶ場合には、「選任」が適しています。

  • 取締役を選任する。
  • 監査役を選任する。
  • 規約に従って委員を選任する。

3. 正式な制度や書類では、法令・規程の用語を優先する

例えば、取締役の選任については、会社法で正式な用語が定められています。

また、公務員の任命や、各種委員の選任についても、根拠となる法令や規則によって用語が異なる場合があります。

そのため、正式な通知や議事録では、一般的な使い分けに加えて、根拠となる制度の用語を確認することが重要です。

ビジネスメール・社内通知での「任命」と「選任」の使い分け

例文1:新しい部長を任命する場合

件名:営業部長の任命について

関係者各位

お疲れさまです。

このたび、組織体制の見直しに伴い、10月1日付で〇〇氏を営業部長に任命することとなりました。

新しい組織体制および担当業務の詳細につきましては、添付資料をご確認ください。

関係部署の皆さまにおかれましては、必要な引き継ぎなどにご協力いただきますようお願いいたします。

よろしくお願いいたします。

この例文では、会社の人事上の決定によって、社員を部長職に就けることを説明しているため、「任命」が自然です。

例文2:株主総会で取締役を選任した場合

件名:新役員選任のお知らせ

関係者各位

お疲れさまです。

本日開催した定時株主総会において、新しい取締役を選任しましたので、お知らせいたします。

新役員の氏名および担当事項などにつきましては、添付資料をご確認ください。

今後とも、皆さまのご協力をお願いいたします。

この例文では、株主総会の決議によって取締役を選んだことを説明しているため、「選任」が適しています。

例文3:委員会の委員を選任する場合

件名:委員会委員の選任について

関係者各位

お疲れさまです。

委員会の構成見直しに伴い、規程に従って新しい委員を選任いたしました。

新しい委員の氏名および任期につきましては、添付資料をご確認ください。

なお、今後の活動内容や会議日程などについては、改めてご案内いたします。

よろしくお願いいたします。

この例文は、委員会の規程で「選任」という用語が定められている場合を想定しています。

「任命」と「選任」を使う際によくある4つの間違い

1. 任命は、必ず一人の判断で決めることだと考える

任命の前に、複数の人や部署によって候補者が検討される場合もあります。

また、法律によって、指名などの別の手続きが必要になる場合もあります。

そのため、任命という言葉だけで、決定過程のすべてが分かるわけではありません。

2. 選任は、必ず複数の候補者から投票で決めることだと考える

選任は、人を選んで役職に就けることを意味します。

ただし、候補者が一人の場合にも選任は行われます。また、具体的な決定方法は、役職や制度によって異なります。

3. 株式会社の取締役について、正式な議事録で「任命」と書く

株式会社の取締役については、会社法上、「選任」という用語が使用されます。

そのため、株主総会の議事録や決議事項では、「取締役選任の件」という表記が適切です。

4. 選任されたことと、就任したことを必ず同じと考える

選任の決議が行われたことと、本人がその役職に就任したことは、必要に応じて区別する必要があります。

例えば、正式な書類では、選任の決議日や、本人の就任承諾などを確認する場合があります。

参考リンク

FAQ|「任命」と「選任」に関するよくある質問

Q1. 「任命」と「選任」は同じ意味ですか?

意味が重なる部分はありますが、中心となる意味が異なります。任命は、ある人を官職や役目に就かせることです。一方、選任は、人を選んで特定の任務や役職に就けることを意味します。

Q2. 「任命」と「選任」は、それぞれ何と読みますか?

「任命」は「にんめい」、「選任」は「せんにん」と読みます。

Q3. 会社の取締役は、任命と選任のどちらですか?

会社法上は「選任」です。株式会社の取締役は、原則として株主総会の決議によって選任します。正式な議事録では、「取締役選任の件」などの表現を使用します。

Q4. 監査役も「選任」を使いますか?

はい。株式会社の監査役についても、会社法上は「選任」という言葉が使用されます。ただし、実際の手続きでは、会社の機関設計などに応じて確認すべき事項があります。

Q5. 部長や課長は、任命と選任のどちらですか?

一般的には「任命」が使いやすいでしょう。例えば、「10月1日付で〇〇氏を営業部長に任命する」という表現です。ただし、会社の正式な規程で別の用語が定められている場合には、その用語を使用しましょう。

Q6. 選任は、必ず投票で決めることですか?

いいえ。選任は、人を選んで任務や役職に就けることを意味します。具体的な決定方法は、対象となる制度や規則によって異なります。

Q7. 候補者が一人しかいなくても「選任」と言えますか?

はい。例えば、取締役候補者が一人の場合でも、必要な手続きを経て選任することがあります。候補者が一人であることを理由に、「選任」という言葉が使えなくなるわけではありません。

Q8. 「任命」と「指名」はどう違いますか?

任命は、ある人を官職や役目に就かせることです。一方、指名は、特定の人を名指しして指定することを意味します。例えば、内閣総理大臣は国会の指名に基づき、天皇によって任命されます。

Q9. 「選任」と「選考」はどう違いますか?

選考は、条件や能力などを調べて適任者を選ぶことです。一方、選任は、選んだ人を特定の任務や役職に就けることを意味します。例えば、候補者を検討することと、正式に取締役を選任することは、別の段階として区別できます。

Q10. 「選任」と「選出」はどう違いますか?

選出は、複数の人の中から特定の人を選び出すことです。一方、選任は、選んだ人を任務や役職に就けることを意味します。ただし、各種団体や委員会では、規約に定められた正式な用語を使用する必要があります。

Q11. 「取締役の選任」と「代表取締役の選定」はどう違いますか?

取締役の選任は、原則として株主総会で行います。一方、取締役会設置会社では、代表取締役を取締役会が取締役の中から選定します。対象となる役職と、決定する機関が異なります。

Q12. 選任されたら、すぐに役職へ就任したことになりますか?

必ずしも同じ意味ではありません。例えば、会社の正式な書類では、選任の決議日や本人の就任承諾などを区別して確認する場合があります。具体的な取り扱いは、役職や制度によって異なります。

まとめ|「任命」は役職に就けること、「選任」は人を選んで役職に就けること

「任命」と「選任」は、どちらも特定の人を職務や役職に就けることを意味しますが、中心となる意味や、法律・規程上の使い方には違いがあります。

  • 任命:ある人を官職や役目に就かせること。会社の管理職や公務員、国務大臣などについて使用される。
  • 選任:人を選んで特定の任務や役職に就けること。株式会社の取締役や監査役、各種団体の委員などについて使用される。

例えば、社長が社員を新しい営業部長に就ける場合には、「営業部長に任命する」という表現が自然です。

一方、株主総会で取締役を選ぶ場合には、「取締役を選任する」という表現を使用します。

ただし、任命する前にも人選が行われる場合があり、選任も必ず投票によって決まるわけではありません。

また、会社法では、取締役の選任と、取締役会設置会社における代表取締役の選定が別の手続きになるなど、似た言葉でも正式な意味が異なる場合があります。

一般的には、特定の役職に就けることを表すなら「任命」、人を選んで任務や役職に就けることを表すなら「選任」。正式な人事通知や議事録では、対象となる制度の用語を優先すると理解すると、会社の人事、役員の決定、行政、各種団体などの文章でも正確に使い分けられるでしょう。

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