家庭用ルーターやネットワーク機器を見ていると、
- LAN
- WAN
- インターネット
- Wi-Fi
- WANポート
- LANポート
といった言葉が並んでいます。
特に「WAN」と「インターネット」は混同されやすく、
- WANはインターネットのことなのか
- WANとインターネットは何が違うのか
- ルーターのWANポートはインターネット端子なのか
- LANを大きくしたものがWANなのか
- 会社のWANはインターネットを使っているのか
と疑問に思うことがあります。
結論から言えば、WANは「広い範囲を結ぶネットワーク」という種類・概念を表す言葉で、インターネットは世界中の多数のネットワークが相互につながった具体的な世界規模のネットワークです。
つまり、
- WAN=広い地域をまたいで構築されたネットワークの総称
- インターネット=世界中のネットワーク同士を結んだ巨大なネットワーク
という違いがあります。
企業が東京本社と大阪支社だけを専用回線などで結んだネットワークもWANです。
しかし、そのWANが外部のインターネットへ接続されているとは限りません。
一方、世界中の企業・大学・家庭・データセンター・通信事業者などのネットワークが相互につながっているものが、私たちが普段「インターネット」と呼んでいるネットワークです。
この記事では、「WAN」と「インターネット」の違いを中心に、LAN・Wi-Fi・ルーター・WANポート・VPN・社内ネットワークとの関係まで詳しく解説します。
- 結論:WANはネットワークの種類、インターネットは世界規模の具体的なネットワーク
- WANとは?
- WANは一つではない
- インターネットとは?
- 最大の違いは「一般的な種類」か「具体的なネットワーク」か
- インターネットはWANなの?
- WANはインターネットに接続しなくても作れる
- LANとWANの違い
- LANをたくさんつなげるとWANになる?
- Wi-FiとWANは違う
- Wi-Fiとインターネットも同じではない
- 家庭のネットワークを図で考える
- ルーターの「WANポート」とは?
- なぜWANポートを「インターネットポート」と呼ぶことがある?
- WANポートとLANポートの違い
- WAN側IPアドレスとは?
- WAN=プロバイダーではない
- WAN=光回線でもない
- WANにはどんな接続方法がある?
- 企業WANとは?
- 企業WANはインターネットなの?
- VPNとWANの違い
- インターネットVPNとは?
- 閉域網とは?
- インターネットは誰が管理している?
- インターネットでネットワーク同士をつなぐ重要な仕組み
- ルーターはLANとWANをつなぐ機器?
- 「WANがつながらない」とはどういう意味?
- 「Wi-Fiはつながるのにインターネットにつながらない」理由
- 無線LANとWi-Fiの違いにも注意
- WAN・LAN・Wi-Fi・インターネットを一度に整理
- 「LANの外側=全部WAN」と考えていい?
- WANとインターネットの違いを会社で考える
- WANとインターネットの違いを家庭で考える
- WANは有線だけ?
- Wi-Fiを使えばWANになる?
- スマートフォンの4G・5GはWAN?
- WANとWWWの違い
- WANとイントラネットの違い
- WANとインターネットを混同しやすい理由
- よくある誤解1:「WANはインターネットの正式名称」
- よくある誤解2:「WANにつながれば必ずインターネットが使える」
- よくある誤解3:「WANポート=インターネットそのもの」
- よくある誤解4:「Wi-Fi=LAN=WAN=インターネット」
- 3秒で判断する方法
- 一瞬で判断できるフローチャート
- 場面別に見るWANとインターネット
- 例文で使い分けを確認
- WANとインターネットを理解するうえで大切なポイント
- よくある質問
- まとめ
- 参考資料
結論:WANはネットワークの種類、インターネットは世界規模の具体的なネットワーク
まず、違いを表で整理します。
| 項目 | WAN | インターネット |
|---|---|---|
| 正式名称 | Wide Area Network | Internet |
| 基本的な意味 | 広い地域にまたがるネットワーク | 世界中のネットワークを相互接続した巨大なネットワーク |
| 一つだけか | いいえ。多数存在する | 通常は世界規模の一つのインターネットを指す |
| 企業専用に作れるか | できる | 企業専用のものではない |
| インターネット接続は必須か | 必須ではない | それ自体が世界規模の接続網 |
| 代表例 | 本社と支社を結ぶ企業ネットワーク | Web・メールなどで利用する世界的ネットワーク |
したがって、最も簡単に覚えるなら、
WANは「ネットワークの分類」
インターネットは「具体的な世界規模のネットワーク」
と考えると分かりやすいでしょう。
WANとは?
WANは「Wide Area Network」の略です。
日本語では、一般に「広域ネットワーク」「広域通信網」などと説明されます。
建物や家庭など比較的狭い範囲のネットワークであるLANに対し、WANは地理的に離れた場所を結びます。
たとえば、
- 東京本社と大阪支社
- 全国の店舗
- 工場と本社
- 海外拠点と国内拠点
- 複数のデータセンター
などをネットワークでつなぐ場合です。
このような広域の接続網をWANと呼ぶことができます。
WANは一つではない
ここがインターネットとの重要な違いです。
WANという名前のネットワークが世界に一つだけ存在しているわけではありません。
A社にはA社のWAN、B社にはB社のWANが存在することがあります。
通信事業者が提供する広域ネットワークサービスを利用して、企業が独自のWANを構築することもできます。
つまり、「WAN」は特定のサービス名ではなく、ネットワークの規模・性格を表す一般的な概念です。
インターネットとは?
インターネットは、世界中に存在する多数のネットワーク同士が相互に接続された巨大なネットワークです。
家庭のネットワーク、企業ネットワーク、大学ネットワーク、通信事業者のネットワーク、データセンターなどが、さまざまな仕組みを通じて相互につながっています。
そのためインターネットは、よく、
「ネットワークのネットワーク」
と説明されます。
私たちは、この巨大なネットワークを通じて、
- Webサイトを見る
- メールを送る
- 動画を視聴する
- SNSを利用する
- クラウドサービスを利用する
- オンラインゲームをする
といったことができます。
最大の違いは「一般的な種類」か「具体的なネットワーク」か
WANとインターネットの最大の違いはここです。
WAN
広い範囲を結ぶネットワークという分類・種類です。
インターネット
世界中のネットワークがつながった具体的な世界規模のネットワークです。
たとえば「自動車」と「高速道路」を同じものだと言えないように、WANとインターネットも同じ観点の言葉ではありません。
WANという仕組み・分類の延長上でインターネットを説明することはできますが、「WAN=インターネット」と単純に置き換えることはできません。
インターネットはWANなの?
広い意味では、インターネットを世界最大規模のWANと説明することがあります。
実際、Ciscoも、WANを複数のLANやネットワークを相互接続するネットワークと説明し、インターネットを世界最大のWANとして説明しています。
ただし、学習するときは、
「インターネットはWANそのもの」とだけ覚えない
ほうがよいでしょう。
インターネットは、さまざまなLAN・WAN・通信事業者ネットワークなどが相互接続された非常に大きなネットワークだからです。
「巨大なWANとみなせる」と「WANという言葉がインターネットだけを意味する」は別の話です。
WANはインターネットに接続しなくても作れる
これも大切なポイントです。
企業が離れた拠点同士を結ぶためにWANを構築したとしても、そのネットワークをインターネットへ公開する必要はありません。
たとえば、
- 東京本社
- 大阪支社
- 名古屋工場
だけを企業内部の専用ネットワークとして接続することができます。
この場合もWANです。
つまり、
WANであることと、インターネットへ接続していることは別問題
です。
LANとWANの違い
WANを理解するには、LANとの違いを押さえると分かりやすくなります。
LANは「Local Area Network」の略で、比較的狭い範囲のネットワークです。
たとえば、
- 家庭
- オフィス
- 学校
- 工場
などの内部ネットワークが代表例です。
一方、WANは離れた複数の場所を結びます。
| 項目 | LAN | WAN |
|---|---|---|
| 正式名称 | Local Area Network | Wide Area Network |
| 範囲 | 比較的狭い | 広い |
| 例 | 家庭内・社内ネットワーク | 本社と支社を結ぶネットワーク |
LANとWANの基本的な違いについては、「LAN」と「WAN」の違いは?Wi-Fi・ルーター・LANポート・WANポートとの関係もわかりやすく解説も参考にしてください。
LANをたくさんつなげるとWANになる?
概念的には、そのように考えると理解しやすいでしょう。
たとえば、
東京本社LAN
+
大阪支社LAN
+
福岡営業所LAN
を広域回線などでつなげれば、企業WANを構築できます。
ただし、ネットワークの分類は単純な距離だけで厳密に決まるわけではありません。
実際のネットワークでは運用主体・接続方式・通信サービスなども関係します。
Wi-FiとWANは違う
Wi-FiもWANと混同されやすい言葉です。
Wi-Fiは、主に端末を無線でLANへ接続する技術です。
WANは離れたネットワーク同士などを結ぶ広域ネットワークです。
つまり、
- Wi-Fi=無線による接続方式
- WAN=広域ネットワーク
であり、比較する観点が違います。
Wi-Fiとインターネットも同じではない
スマートフォンにWi-Fiマークが表示されていても、必ずインターネットへ接続できるとは限りません。
Wi-Fiは、スマートフォンやパソコンを無線LANへ接続する仕組みだからです。
ルーターからインターネット側への通信に問題があれば、
「Wi-Fiにはつながっているのにインターネットが使えない」
という状態になります。
この違いについては、「Wi-Fi」と「インターネット」の違いは?意味・仕組みをわかりやすく解説で詳しく解説しています。
家庭のネットワークを図で考える
一般的な家庭では、おおまかに次のような流れでインターネットへ接続します。
スマートフォン・PC
↓ Wi-FiまたはLANケーブル
家庭内LAN
↓
ルーター
↓ WAN側
通信事業者のネットワーク
↓
インターネット
この図を見ると、「LAN」「WAN側」「インターネット」がそれぞれ別の概念であることが分かります。
ルーターの「WANポート」とは?
家庭用ルーターを見ると、「WAN」「INTERNET」などと書かれた端子があります。
WANポートは、基本的にルーターの外側のネットワークへ接続するためのポートです。
一般家庭では、ONUやモデムなどインターネット側へつながる機器を接続するため、利用者から見ると、
「インターネットにつなぐ端子」
のように見えます。
しかし、厳密には、WANポートという名称そのものが「インターネット専用」という意味ではありません。
ルーターのLAN側に対し、外部ネットワーク側へ接続するインターフェースと考えると分かりやすいでしょう。
なぜWANポートを「インターネットポート」と呼ぶことがある?
家庭用ルーターの場合、WANポートの主な用途がインターネット回線への接続だからです。
そのためメーカーによっては、端子に、
- WAN
- Internet
- INTERNET
などと表示しています。
家庭利用ではほぼ同じ目的の端子として理解できますが、「WAN」というネットワーク用語全体と「インターネット」は同じ意味ではありません。
WANポートとLANポートの違い
家庭用ルーターでは、一般に、
- WANポート=外部ネットワーク側
- LANポート=家庭内・社内ネットワーク側
という役割に分かれます。
たとえば、
ONU → WANポート → ルーター → LANポート → パソコン
という形です。
Wi-Fiを使う端末は、LANケーブルの代わりに無線でルーターのLAN側ネットワークへ接続します。
WAN側IPアドレスとは?
ルーターの設定画面では「WAN側IPアドレス」という言葉も登場します。
これは、ルーターの外側ネットワークに面したインターフェースに設定されているIPアドレスです。
一般家庭では、通信事業者側から割り当てられたアドレスなどが表示されることがあります。
対してLAN側では、家庭内の端末に、
- 192.168.x.x
- 10.x.x.x
などのプライベートIPアドレスが使われることがあります。
WAN=プロバイダーではない
WANはネットワークの種類・概念です。
プロバイダー(ISP)は、利用者へインターネット接続サービスなどを提供する事業者です。
したがって、
WAN=プロバイダー
ではありません。
ただし、企業がWANを構築する際に通信事業者の回線サービスを利用したり、家庭からインターネットへ出る際にISPのネットワークを経由したりするため、実際の通信では密接に関係します。
WAN=光回線でもない
光回線は通信に利用する回線・媒体やサービスに関する言葉です。
WANはネットワークの構成・範囲に関する言葉です。
WANを構築するために光回線を利用することはありますが、WANそのものが光回線を意味するわけではありません。
WANにはどんな接続方法がある?
WANを構成する手段は一つではありません。
用途によって、
- 専用線
- 通信事業者の閉域網
- インターネットVPN
- IP-VPNなどの企業向けサービス
- モバイル回線
- 衛星通信
など、さまざまな方式が利用されます。
つまり「WAN」という言葉だけでは、どの通信回線を使っているのかまでは分かりません。
企業WANとは?
企業WANとは、企業の複数拠点などを広域に接続したネットワークです。
たとえば全国に店舗を持つ企業なら、
- 本社
- 支社
- 店舗
- 倉庫
- データセンター
などをWANで結ぶことがあります。
各店舗内にはLANがあり、そのLAN同士を広域ネットワークで結ぶイメージです。
企業WANはインターネットなの?
必ずしもそうではありません。
企業専用の閉じたWANを利用することもできます。
たとえば、企業の本社と支社だけを接続し、外部から直接アクセスできないように構成することが可能です。
一方、インターネット回線を利用して拠点間を安全に接続する「インターネットVPN」のような仕組みもあります。
つまり、
- インターネットを使わないWAN
- インターネットを通信経路として利用するWAN
の両方が考えられます。
VPNとWANの違い
VPNは「Virtual Private Network」の略で、離れた場所同士などを仮想的な専用ネットワークのように接続する技術・仕組みです。
WANは広域ネットワークという大きな概念です。
VPNはWANを構成するための方法の一つとして利用される場合があります。
したがって、
WAN=VPN
でもありません。
インターネットVPNとは?
インターネットVPNは、既存のインターネットを通信経路として利用しながら、暗号化などによって拠点間を安全につなぐ方式です。
たとえば、東京本社と大阪支社がそれぞれインターネットへ接続し、その間にVPNを設定します。
すると、インターネットという公共的な通信基盤を利用しながら、社内向けの通信を行うことができます。
このケースでは、
- 通信経路の基盤=インターネット
- 企業の広域ネットワーク=WAN
- 安全な仮想接続の仕組み=VPN
という関係になります。
閉域網とは?
閉域網は、一般のインターネットから論理的・物理的に分離されたネットワークサービスを指す場合があります。
企業が機密性の高い拠点間通信などに利用することがあります。
閉域網を利用して企業WANを作れば、拠点間通信のために一般のインターネットを直接利用しない構成も可能です。
インターネットは誰が管理している?
インターネット全体を一つの会社や政府が所有・管理しているわけではありません。
通信事業者、企業、大学、研究機関など、多くの組織がそれぞれのネットワークを管理し、それらを相互接続することでインターネットが成立しています。
JPNICも、インターネットについて特定の団体が一括して運営しているわけではないと説明しています。
この点でも、一つの企業が構築・管理する企業WANとは性格が異なります。
インターネットでネットワーク同士をつなぐ重要な仕組み
インターネットでは、異なるネットワーク同士が通信できるようにするため、IPなどの共通した技術が使われています。
さらに、
- IPアドレス
- ルーティング
- DNS
- TCP/IP
など、さまざまな仕組みによって通信が成立しています。
単に大量のLANケーブルを世界中につないでいるわけではありません。
ルーターはLANとWANをつなぐ機器?
家庭用ルーターでは、そのように考えると理解しやすいでしょう。
ルーターは異なるネットワークの間で通信を中継します。
家庭では、
家庭内LAN ↔ ルーター ↔ 外部ネットワーク
という構成になります。
家庭用ルーターにはWi-Fiアクセスポイント機能などが一体化している製品も多いため、一台で複数の役割を担っています。
「WANがつながらない」とはどういう意味?
ルーターなどで「WAN未接続」「WAN切断」と表示された場合、一般にはルーターの外部ネットワーク側で通信できていないことを示します。
考えられる原因には、
- ONUやモデムとのケーブルが抜けている
- WANポートへ正しく接続されていない
- 回線側に障害がある
- 通信設定に問題がある
などがあります。
家庭内のWi-Fi自体は正常でも、WAN側に問題があればインターネットは利用できないことがあります。
「Wi-Fiはつながるのにインターネットにつながらない」理由
この現象をWAN・LANの違いから理解できます。
スマートフォンがWi-Fiへ接続できているということは、
スマートフォン ↔ 家庭内LAN
の通信はできています。
しかし、
ルーター ↔ WAN側 ↔ インターネット
に問題があれば、その先のWebサイトなどにはアクセスできません。
つまり、
Wi-Fi接続成功=インターネット接続成功
ではありません。
無線LANとWi-Fiの違いにも注意
Wi-Fiは無線LANに関係する代表的な技術・認証ブランドですが、厳密には「無線LAN」という言葉と完全に同義ではありません。
WANとインターネットの違いを理解するときには、
- LAN
- 無線LAN
- Wi-Fi
- WAN
- インターネット
を別々に整理すると混乱しにくくなります。
Wi-Fiと無線LANについては、「Wi-Fi」と「無線LAN」の違いは?WLAN・IEEE 802.11・SSIDとの関係もわかりやすく解説も参考にしてください。
WAN・LAN・Wi-Fi・インターネットを一度に整理
| 言葉 | 意味 | 簡単なイメージ |
|---|---|---|
| LAN | 比較的狭い範囲のネットワーク | 家庭・オフィス内 |
| WAN | 広い範囲を結ぶネットワーク | 本社と支社 |
| Wi-Fi | 端末を無線でLANへ接続する技術 | スマホの無線接続 |
| インターネット | 世界中のネットワークを相互接続したネットワーク | 世界規模の通信網 |
「LANの外側=全部WAN」と考えていい?
家庭用ルーターの設定を理解するだけなら、「LAN側」と「WAN側」に分けて考えると便利です。
しかし、ネットワーク用語としては、LANの外側にあるものがすべて必ずWANと分類されるわけではありません。
ネットワークには、用途・規模・技術によってさまざまな分類があります。
家庭用ルーターに書かれている「WAN」は、外部側インターフェースを分かりやすく表した名称と理解するとよいでしょう。
WANとインターネットの違いを会社で考える
たとえば、A社に次の3拠点があるとします。
- 東京本社
- 大阪支社
- 福岡営業所
各拠点には、それぞれLANがあります。
この3つのLANを広域ネットワークで接続すれば、A社のWANになります。
さらにA社のWANから外部のインターネットへ接続すれば、社員はWebサイトやクラウドサービスなどを利用できます。
つまり、
A社LAN → A社WAN → インターネット
という階層で考えることができます。
WANとインターネットの違いを家庭で考える
家庭では企業WANのような大規模ネットワークを意識することは少ないでしょう。
ただしルーターでは、
- 家庭内ネットワーク側=LAN側
- 回線事業者・外部側=WAN側
として扱われます。
そのため、家庭用ルーターを見ると「WAN」という言葉に触れることになります。
WANは有線だけ?
いいえ。
WANを構成する通信手段は有線だけとは限りません。
モバイル通信や衛星通信などを利用して広域ネットワークを構築することもできます。
「WAN」は接続ケーブルの種類を表しているわけではなく、ネットワークの広がり・構成を示す概念だからです。
Wi-Fiを使えばWANになる?
通常、家庭やオフィス内でWi-Fiを利用しただけでは、そのネットワークは無線LANです。
Wi-FiはLAN内の無線通信に利用されることが一般的です。
離れた複数拠点を接続する広域ネットワークという意味のWANとは異なります。
スマートフォンの4G・5GはWAN?
モバイル通信網は広い地域をカバーするため、広域ネットワークとしてWANの一種として説明されることがあります。
ただし日常的には、「4G」「5G」「モバイルネットワーク」などと呼ぶことが多く、利用者がわざわざ「WAN」と呼ぶ場面は多くありません。
重要なのは、「WAN」が特定の通信方式一つを指すわけではないことです。
WANとWWWの違い
インターネットと混同されやすいものに「WWW」があります。
WWWは「World Wide Web」の略です。
Webサイトを閲覧するための仕組みの一つであり、インターネット上で利用されるサービスです。
したがって、
- WAN=広域ネットワーク
- インターネット=世界規模のネットワーク
- WWW=インターネット上で使われるWebの仕組み
となります。
インターネットとWebも完全な同義語ではありません。
WANとイントラネットの違い
イントラネットは、インターネットで利用される技術などを活用して構築する組織内部向けのネットワークです。
企業のイントラネットが複数拠点へ広がっている場合、その通信基盤としてWANが使われることがあります。
そのため、
WAN=ネットワークの範囲・構成
イントラネット=組織内部向けのネットワーク利用形態
と考えると分かりやすいでしょう。
WANとインターネットを混同しやすい理由
主な理由は、家庭用ルーターのWANポートが実質的にインターネット接続用として使われることが多いからです。
ルーターの背面を見ると、
「WAN」
と書かれた端子に回線側の機器を接続します。
そのため、利用者から見ると、
「WAN=インターネット側」
と感じやすくなります。
家庭用ルーターの操作という文脈ならその理解で困らない場面もありますが、ネットワーク用語としては両者を区別しておく必要があります。
よくある誤解1:「WANはインターネットの正式名称」
これは誤りです。
WANはWide Area Networkの略で、広域ネットワークの一般名称です。
インターネットの正式名称がWANなのではありません。
よくある誤解2:「WANにつながれば必ずインターネットが使える」
必ずしもそうではありません。
閉じた企業WANなどでは、インターネットへ自由に出られない構成も可能です。
WANへの接続とインターネット接続は区別する必要があります。
よくある誤解3:「WANポート=インターネットそのもの」
WANポートは外部ネットワーク側へつなぐ物理的・論理的なインターフェースです。
インターネット自体ではありません。
よくある誤解4:「Wi-Fi=LAN=WAN=インターネット」
すべて別の概念です。
家庭では、
スマホ
↓ Wi-Fi
LAN
↓ ルーター
WAN側
↓
インターネット
と整理すると理解しやすくなります。
3秒で判断する方法
「WAN」と「インターネット」のどちらなのか迷ったら、次のように考えてください。
Q1. 離れた拠点同士を結ぶネットワークの種類について話している?
→ WAN
Q2. 世界中のWebサイトやサービスへつながるネットワークについて話している?
→ インターネット
Q3. 家庭用ルーターの外部回線側の端子について話している?
→ WANポート
Q4. スマートフォンを無線でルーターにつなぐ話?
→ Wi-Fi/無線LAN
一瞬で判断できるフローチャート
- 世界中の公開ネットワークへ接続する話か?
- はい → インターネット
- いいえ → 次へ
- 離れた地域・拠点をネットワークで結ぶ話か?
- はい → WAN
- いいえ → 次へ
- 家庭・オフィスなど狭い範囲のネットワークか?
- はい → LAN
- いいえ → 次へ
- 端末を無線でLANへ接続する話か?
- はい → Wi-Fi/無線LAN
場面別に見るWANとインターネット
| 場面 | 適切な言葉 |
|---|---|
| 東京本社と大阪支社を接続 | WAN |
| GoogleやWebサイトを見る | インターネット |
| 家庭のPC同士を接続 | LAN |
| スマホを無線でルーターへ接続 | Wi-Fi |
| ルーターの回線側端子 | WANポート |
| 企業の全国拠点を接続 | 企業WAN |
| 世界中のネットワークを接続 | インターネット |
例文で使い分けを確認
例1:会社
○「全国の支店をWANで接続する。」
離れた拠点間のネットワークなのでWANです。
例2:Webサイト
○「インターネットに接続してWebサイトを見る。」
世界規模のネットワークを利用しています。
例3:家庭用ルーター
○「ONUからのケーブルをルーターのWANポートへ接続する。」
外部ネットワーク側のポートを指します。
例4:社内専用網
○「このWANは社内専用で、一般のインターネットからは直接アクセスできない。」
WANとインターネットが別であることがよく分かる例です。
例5:Wi-Fi障害
○「Wi-Fiには接続できているが、WAN側の障害でインターネットが利用できない。」
家庭内無線LANと外部ネットワークを区別しています。
WANとインターネットを理解するうえで大切なポイント
IT用語では、似ている言葉でも「何を分類している言葉なのか」が違う場合があります。
WANは、ネットワークが地理的にどのように広がっているかという観点の言葉です。
インターネットは、実際に世界規模で存在する相互接続ネットワークを指します。
Wi-Fiは無線通信の仕組みに関する言葉です。
この「分類軸の違い」を意識すると、複数の用語を混同しにくくなります。
よくある質問
Q1. WANとは何の略ですか?
「Wide Area Network」の略です。
地理的に離れた拠点などを結ぶ広域ネットワークを意味します。
Q2. WANとインターネットは同じですか?
同じではありません。
WANは広域ネットワークの一般的な分類で、インターネットは世界中の多数のネットワークを相互接続した具体的なネットワークです。
Q3. インターネットはWANですか?
世界最大規模のWANと説明されることがあります。
ただし、「WAN」という言葉はインターネットだけを意味するものではなく、企業独自のWANなども存在します。
Q4. WANはインターネットなしでも使えますか?
はい。
企業の拠点間だけを閉じたネットワークで結ぶこともできます。
Q5. WANポートはインターネットポートですか?
家庭用ルーターではインターネット回線側へ接続する用途で使われることが多いため、メーカーが「Internet」と表示することもあります。
ただし、WANポートという言葉自体は外部ネットワーク側のポートという意味です。
Q6. LANとWANはどう違いますか?
LANは家庭・オフィスなど比較的狭い範囲のネットワーク、WANは離れた拠点・地域などを結ぶ広域ネットワークです。
Q7. Wi-FiとWANは同じですか?
違います。
Wi-Fiは主に無線でLANへ接続する技術で、WANは広域ネットワークです。
Q8. Wi-Fiがつながればインターネットも使えますか?
必ずしも使えるとは限りません。
Wi-Fiで家庭内LANへ接続できていても、ルーターのWAN側・回線・ISPなどに問題があればインターネットへ接続できません。
Q9. 企業WANとは何ですか?
本社・支社・店舗・工場など、地理的に離れた企業拠点を接続する広域ネットワークです。
Q10. VPNとWANは同じですか?
同じではありません。
VPNは離れた場所などを安全に仮想接続するための仕組みで、WANを構築する方法として利用されることがあります。
Q11. インターネットVPNはWANですか?
企業がインターネットVPNを利用して複数拠点を接続すれば、その仕組みを企業WANとして利用できます。
インターネットは通信経路、VPNは安全な接続方法、WANは出来上がった広域ネットワークという観点で整理できます。
Q12. WANとインターネットを最も簡単に見分ける方法は?
「広い地域を結ぶネットワークの種類」を言っているならWAN、「世界中につながったネットワークそのもの」を言っているならインターネットと考えてください。
まとめ
「WAN」と「インターネット」は密接に関係していますが、同じ意味ではありません。
| 言葉 | 意味 | 覚え方 |
|---|---|---|
| WAN | 地理的に広い範囲を結ぶネットワーク | 広域ネットワークの種類 |
| インターネット | 世界中の多数のネットワークを相互接続した巨大なネットワーク | 世界規模の具体的ネットワーク |
特に重要なのは、
WANはインターネットに接続していなくても成立する
という点です。
たとえば企業が本社と支社を専用ネットワークで接続すれば、それはWANです。
さらにそのWANから外部の世界的ネットワークへ接続すると、インターネットを利用できます。
家庭では、
スマートフォン・PC
↓ Wi-Fi・LAN
家庭内LAN
↓
ルーター
↓ WAN側
通信事業者のネットワーク
↓
インターネット
という流れをイメージすると理解しやすくなります。
そのため、ルーターに「WAN」と書かれているからといって、WANとインターネットが完全な同義語というわけではありません。
迷ったときは、
「ネットワークの広さ・種類について話しているのか、それとも世界中につながった具体的なネットワークについて話しているのか」
を考えてください。
前者ならWAN、後者ならインターネットです。
参考資料
- JPNIC「インターネットとは」 ― インターネットの語源、ネットワーク同士を結ぶ仕組み、世界規模のInternetの基本的な定義を確認
- JPNIC「インターネットのしくみ」 ― インターネット、IP、DNS、ドメイン名などの基礎的な仕組みを確認
- Cisco「What is a WAN? – Wide-Area Network」 ― WANがLANなど複数のネットワークを広域で接続するネットワークであること、インターネットとの関係を確認
- Cisco「What Is Computer Networking?」 ― LAN・WAN・企業ネットワークなどネットワーク分類の基本を確認
- IETF RFC 1594「Answers to Commonly asked New Internet User Questions」 ― インターネットを多数のネットワークが共通の技術によって相互接続されたネットワークとして説明する基礎資料
