役所の規程や会社の業務文書を見ていると、
- 課長専決
- 部長専決
- 課長決裁
- 専決事項
- 代決
といった言葉が出てくることがあります。
特に「課長専決」は、普段の生活ではあまり使わない言葉なので、
- 課長専決とは何なのか
- 課長が自分の判断だけで決めてよいという意味なのか
- 課長決裁と課長専決は同じなのか
- 部長や社長の決裁は必要ないのか
- 専決と代決は何が違うのか
- 専決事項は誰が決めるのか
と疑問に思う人も多いでしょう。
結論から言えば、「課長専決」とは、本来その組織の上位の決裁権者などが扱う事務のうち、規程などによって課長が継続的・常時処理できると定められた事項について、課長が自ら意思決定することを指します。
つまり、課長がその場の思いつきで自由に決めるという意味ではありません。
あらかじめ、
- どの案件を課長が専決できるのか
- どの金額まで課長専決なのか
- どのような案件は上司へ上げるのか
などが、決裁規程・職務権限規程・事務決裁規程などで定められているのが一般的です。
また、
課長専決=課長が不在の上司に代わって一時的に決めること
ではありません。
上司が不在のとき、一時的にその人に代わって決裁する仕組みは「代決」と呼ばれます。
この記事では、「課長専決」の意味を中心に、「課長決裁」「専決事項」「代決」「委任」「承認」「決裁」との違いまで、行政・自治体・会社の業務フローを使って詳しく解説します。
- 結論:「課長専決」は、あらかじめ課長に認められた範囲を課長が決めること
- 「専決」とは?
- 「課長専決」とは?
- 課長が何でも自由に決められるわけではない
- 「課長決裁」と「課長専決」の違い
- 「課長決裁」は広い言葉
- 具体例で考えてみよう
- なぜ「専決」という仕組みが必要?
- 実際の自治体でも「課長専決」は使われている
- 「専決事項」とは?
- 同じ「課長専決」でも組織によって内容は違う
- 金額だけで決まるわけではない
- 専決できる案件でも上司へ上げる場合がある
- 「重要・異例な案件」は上司決裁になりやすい
- 課長専決は「課長の権限」?
- 「専決」と「委任」の違い
- 「課長専決」と「部長専決」の違い
- 「係長専決」もある?
- 専決者とは?
- 「決裁権者」と「専決者」の違い
- 「課長専決」と「代決」の違い
- 「部長不在だから課長が決めた」は課長専決?
- 専決は上司がいても行う
- 代決は「不在」がポイント
- 代決後に本人へ報告することもある
- 「専決事項」と「代決できる事項」も違う
- 「承認」と「課長専決」の違い
- 「課長専決」と「回議」の関係
- 「課長専決事項」は誰が決める?
- 課長自身が勝手に専決事項を増やせる?
- ただし「類推専決」を定める規程もある
- 課長専決でも責任はある
- 「専断」と「専決」は違う
- 「課長専決でお願いします」の意味
- 「課長専決で処理する」とは?
- 「課長専決に上げる」は自然?
- 電子決裁でも課長専決はある?
- 電子化しても専決制度はなくならない
- 課長専決のメリット
- 課長専決の注意点
- 専決した内容を上司へ報告することもある
- 課長専決を簡単な例で理解する
- 「課長が決めた」だけでは専決かどうか分からない
- 「専決」と「決裁」を3秒で見分ける
- 課長専決・課長決裁・代決の早見表
- よくある誤解
- 例文で使い方を確認
- 規程を見るときに確認するポイント
- よくある質問
- まとめ
- 参考資料
結論:「課長専決」は、あらかじめ課長に認められた範囲を課長が決めること
まず、「課長専決」を簡単に整理します。
| 項目 | 課長専決 |
|---|---|
| 意味 | 規程などで課長が専決できると定められた事項を、課長が意思決定すること |
| 誰が決める? | 課長 |
| 何でも決められる? | いいえ。専決事項として定められた範囲に限られる |
| 上司が不在だから行う? | 原則として違う。それは「代決」の問題 |
| 重要案件も専決できる? | 規程上、重要・異例な事項などは上司決裁を求める場合が多い |
| 目的 | 意思決定の迅速化・事務処理の効率化 |
最も簡単に言えば、
「この種類の仕事なら、毎回部長まで上げなくても課長が決めてよい」
とあらかじめ決めておく仕組みが、課長専決です。
「専決」とは?
「専決」は「せんけつ」と読みます。
厚生労働省の中央労働委員会文書決裁規程では、「専決」を、決裁権者の権限に属する特定の事務について、常時、決裁権者に代わって意思決定することと定義しています。
重要なのは、
「特定の事務」
と
「常時」
という点です。
つまり、たまたま一回だけ判断するのではありません。
あらかじめ決められた種類の案件について、継続的に判断できる仕組みです。
「課長専決」とは?
課長専決は、「専決」の権限を持つ者が課長である場合の表現です。
たとえば、ある自治体・会社の規程で、
「50万円未満の物品購入は課長専決」
と定められていたとします。
この場合、30万円の備品購入については、原則として部長・局長・社長などの決裁まで上げず、課長の判断で処理できます。
これが「課長専決」です。
課長が何でも自由に決められるわけではない
「専決」という漢字だけを見ると、
「専ら自分で決める」
ような印象を受けるかもしれません。
しかし、課長専決には通常、明確な範囲があります。
たとえば、
- 金額
- 契約の種類
- 人事に関する事項
- 文書の種類
- 軽微な変更
- 定例的な事務
などによって、専決できる範囲が決められます。
したがって、
課長専決=課長の自由裁量で何でも決める
という意味ではありません。
「課長決裁」と「課長専決」の違い
最も迷いやすいところです。
実務では「課長決裁」という言葉と「課長専決」が近い意味で使われる場合もありますが、考え方としては分けて理解できます。
| 項目 | 課長決裁 | 課長専決 |
|---|---|---|
| 中心的な意味 | 課長が決裁すること | 課長に専決権限が与えられた事項を課長が決裁すること |
| 注目点 | 「誰が決裁したか」 | 「なぜ課長がその案件を決められるか」 |
| 規程との関係 | 組織によって異なる | 専決事項・専決権限として定められる |
簡単に言えば、
課長決裁=課長が決めた
課長専決=課長が専決できると定められた事項だから課長が決めた
という違いです。
「課長決裁」は広い言葉
「課長決裁」は、文字どおり課長が決裁者となっていることを表せます。
たとえば電子ワークフローで、
「この申請は課長決裁です。」
と言えば、最終決裁者が課長であることを意味します。
一方、「課長専決」という場合は、組織の決裁権限配分という仕組みをより意識した言葉です。
具体例で考えてみよう
架空の会社で次のような規程があるとします。
| 購入金額 | 決裁区分 |
|---|---|
| 10万円未満 | 課長専決 |
| 10万円以上100万円未満 | 部長専決 |
| 100万円以上 | 役員決裁 |
8万円のプリンターを購入する場合、課長が決められます。
これが課長専決です。
しかし80万円なら、課長には専決権限がないため、部長まで決裁を上げる必要があります。
なぜ「専決」という仕組みが必要?
もしすべての案件を社長・市長・局長など最高責任者まで上げていたら、事務処理が非常に遅くなります。
たとえば、
- 数千円の消耗品購入
- 定型的な通知
- 軽微な文書修正
- 毎月繰り返す事務
まで最高責任者の決裁が必要なら、重要な案件に時間を使えません。
そこで、案件の重要度・金額・性質などに応じて、
- 係長
- 課長
- 部長
- 局長
などへ一定の決裁権限を配分します。
これが事務の効率化につながります。
実際の自治体でも「課長専決」は使われている
自治体や公営企業の事務決裁規程では、
「課長の専決するもの」
「課長が専決できる事項」
などの表現が実際に使われています。
たとえば光市水道局事務決裁規程では、決裁区分について、管理者決裁・局次長専決・課長専決という区分が示されています。
潟上市公営企業事務決裁規程でも、部長・課長が専決できる事項について別表で定める仕組みになっています。
「専決事項」とは?
「専決事項」とは、専決者が自分の判断で処理できると規程などで定められている事項です。
たとえば、
- 一定金額以下の支出
- 軽微な契約変更
- 定例的な照会・回答
- 職員の休暇承認
- 一定範囲の出張命令
- 定例的な報告
などが専決事項に設定されることがあります。
ただし、具体的な専決事項は組織ごとに異なります。
同じ「課長専決」でも組織によって内容は違う
ここは非常に重要です。
「課長専決」という全国共通の固定された権限があるわけではありません。
A市では課長専決できる案件でも、B市では部長決裁が必要な場合があります。
会社でも同様です。
したがって、実務では必ず、
- 事務決裁規程
- 職務権限規程
- 決裁規程
- 専決事項一覧
などを確認する必要があります。
金額だけで決まるわけではない
専決区分は、金額だけで決まるとは限りません。
たとえば少額の案件でも、
- 重要な政策に関係する
- 前例がない
- トラブルが予想される
- 法令解釈に疑義がある
- 社会的影響が大きい
場合には、課長専決ではなく上位者の決裁を求めることがあります。
専決できる案件でも上司へ上げる場合がある
和歌山県公営企業事務決裁規程では、部長・局長・課長などが専決できる事項であっても、
- 重要または異例な事項
- 疑義・紛争がある事項
- 上司の指示を受けた事項
などについては、上司の決裁を受ける仕組みが定められています。
光市病院局事務決裁規程でも、異例・先例となる案件などについて、上司の決裁を受ける仕組みがあります。
つまり、
専決事項に該当すれば何があっても課長だけで処理する
というものではありません。
「重要・異例な案件」は上司決裁になりやすい
専決制度には、日常的・定型的な案件を下位の職位で迅速に処理する役割があります。
反対に、組織として重要な判断が必要な案件は上位者へ上げます。
たとえば、
通常なら課長専決の契約でも、
「大きなトラブルになる可能性がある」
「今後の重要な先例になる」
といった場合には、部長などへ判断を求めることがあります。
課長専決は「課長の権限」?
実務上は「課長の専決権限」「課長専決事項」といった表現が使われます。
ただし、行政法上の正式な「権限の委任」と同じものとは限りません。
専決は、組織内部の意思決定・事務処理方法として設けられている場合があります。
そのため、
「専決」と「法律上の権限委任」は必ずしも同じではない
ことに注意が必要です。
「専決」と「委任」の違い
一般的に、行政組織における「委任」は、法令などに基づき権限そのものを別の行政機関・者へ移す意味で使われます。
一方、「専決」は、内部的な事務処理として一定の事項について下位の職員などに意思決定を行わせる仕組みとして用いられます。
裁判例でも、専決の場合には行政組織法上の権限の所在そのものが当然に変わるわけではない、という考え方が示されています。
したがって、両者を単純に同じものと考えないほうがよいでしょう。
「課長専決」と「部長専決」の違い
違いは、専決する職位です。
課長専決
課長が専決できる事項。
部長専決
部長が専決できる事項。
一般には、案件の重要度・金額などが大きくなるほど上位の職位が判断するよう設計されます。
ただし具体的な区分は組織の規程によります。
「係長専決」もある?
組織によってはあります。
軽微・定型的な案件について、係長・課長補佐などに専決権限を認める規程も存在します。
つまり「専決」は課長だけに使う言葉ではありません。
専決者とは?
「専決者」は、規程などに基づいて専決する権限を持つ人です。
たとえば、
- 係長専決事項 → 係長
- 課長専決事項 → 課長
- 部長専決事項 → 部長
が専決者となります。
「決裁権者」と「専決者」の違い
「決裁権者」は、案件について本来の決裁権限を持つ人を指す場合があります。
「専決者」は、規程に基づいて特定の事項を専決する人です。
厚生労働省の中央労働委員会文書決裁規程でも、専決について「決裁権者の権限に属する特定の事務」を別の者が常時意思決定する仕組みとして定義しています。
「課長専決」と「代決」の違い
非常に重要な違いです。
| 項目 | 専決 | 代決 |
|---|---|---|
| 行う時期 | 通常時 | 本来の決裁者が不在などのとき |
| 性質 | あらかじめ定められた事務を継続的に判断 | 一時的に本来の決裁者に代わって判断 |
| 例 | 50万円未満の支出は課長専決 | 部長不在のため課長が部長案件を代決 |
詳しくは、「専決」と「代決」の違いは?意味・使い分けを行政・社内決裁の例で解説も参考にしてください。
「部長不在だから課長が決めた」は課長専決?
必ずしもそうではありません。
本来は部長が決裁すべき案件について、部長が出張・休暇などで不在なので課長が一時的に決裁した場合は、一般には「代決」に当たる可能性があります。
一方、そもそも規程で、
「この案件は課長専決」
となっているなら、部長が在席していても課長が決めます。
これが大きな違いです。
専決は上司がいても行う
「専決」は、上司が休みだから行う制度ではありません。
専決事項であれば、本来の上位者が出勤している日でも課長が判断します。
つまり、
上司がいるかどうかではなく、案件の区分によって決まる
のが専決です。
代決は「不在」がポイント
代決では、
- 出張
- 休暇
- 病気
- その他の事情
などにより、本来の決裁者が決裁できないことが前提となる規程が多くあります。
国土交通省の文書管理規則でも、決裁者などが出張・休暇その他の理由で決裁できず、至急処理すべき場合の代決が定められています。
代決後に本人へ報告することもある
代決はあくまで本来の決裁者に代わって一時的に行うため、規程によっては、後から本来の決裁者へ報告・後閲を求めることがあります。
専決とはこの点でも性格が違います。
「専決事項」と「代決できる事項」も違う
専決事項は、あらかじめ専決者が通常時に処理できる案件です。
代決は、本来の決裁者が不在の場合に限って代わりに処理する仕組みです。
同じ課長が決裁していても、
- 自分の専決事項として決裁
- 部長不在のため部長案件を代決
では意味が違います。
「承認」と「課長専決」の違い
承認は、内容を認めることです。
課長専決は、課長が専決権限に基づいて最終的な意思決定を行うことです。
たとえば、
担当者
↓
係長確認
↓
課長専決
というワークフローなら、係長は内容を確認・承認し、課長が最終的に決めます。
承認と決裁の詳しい違いについては、「承認」と「決裁」の違いとは?意味・権限・稟議書での使い分けをビジネスの例文付きで徹底解説も参考になります。
「課長専決」と「回議」の関係
課長専決の案件でも、起案文書が担当者から係長などを経て課長まで回議されることがあります。
イメージすると、
担当者が起案
↓
係長が確認
↓
課長へ回議
↓
課長専決
という流れです。
「回議」は文書を所定のルートに回す手続であり、「専決」は最後に誰が意思決定するのかという問題です。
「課長専決事項」は誰が決める?
組織ごとに異なります。
一般には、
- 事務決裁規程
- 決裁規程
- 職務権限規程
- 内部規程
などで定められます。
公的機関では別表として細かく専決区分を定めているケースもあります。
課長自身が勝手に専決事項を増やせる?
通常、そのようには考えません。
課長が専決できる範囲は、組織の規程・上位者の定めなどに基づきます。
規程にない案件について「自分は課長だから決めてよい」と判断するのは適切ではありません。
ただし「類推専決」を定める規程もある
一部の事務決裁規程では、専決事項として明示されていなくても、内容が既存の専決事項に準じる場合に、類推して専決できる仕組みを置いている場合があります。
ただし、これも規程に基づく仕組みです。
課長個人の自由判断で際限なく専決範囲を広げるものではありません。
課長専決でも責任はある
「専決だから軽い判断」というわけではありません。
専決者は、自分に与えられた範囲で正式な意思決定を行います。
そのため、
- 内容を確認する
- 法令・規程に適合しているか確認する
- 予算・契約条件を確認する
- 必要なら上司へ相談する
など、適切な判断が必要です。
「専断」と「専決」は違う
似た漢字ですが、意味は大きく異なります。
専決
規程などで認められた範囲について、自分の権限として意思決定する。
専断
他者の意見などを聞かず、独断で決める。
光市水道局の事務決裁規程でも、専決者について「専断に陥ることのないよう適切な判断を下さなければならない」という趣旨の規定があります。
つまり、
専決=勝手に決めること
ではありません。
「課長専決でお願いします」の意味
職場で、
「これは課長専決でお願いします。」
と言われた場合、通常は、
「この案件は課長が最終的に決裁するルートで処理してください」
という意味です。
担当者は必要な文書を作成し、決められたルートで課長まで回します。
「課長専決で処理する」とは?
課長の専決権限の範囲内で、その案件を処理するという意味です。
たとえば、
「この契約変更は軽微なため、課長専決で処理する。」
といった使い方です。
「課長専決に上げる」は自然?
職場内の口語としては意味が通じます。
正式な文章なら、
- 課長の専決を受ける
- 課長専決として処理する
- 課長まで決裁を受ける
などのほうが明確です。
電子決裁でも課長専決はある?
あります。
紙の決裁書であっても電子ワークフローであっても、「誰が最終的に決めるか」という権限区分は必要です。
電子システムでは、
担当者
↓
係長
↓
課長
で終了するルートを、「課長決裁」「課長専決」などと設定することがあります。
電子化しても専決制度はなくならない
紙のハンコが電子承認に変わっても、
- 誰が決めるのか
- どこまで決められるのか
- どの案件は上司まで上げるのか
という組織上のルールは必要です。
そのため、電子決裁になっても「専決」という考え方は残ります。
課長専決のメリット
主なメリットは、意思決定の迅速化です。
- 上位者の決裁件数を減らせる
- 日常業務を早く処理できる
- 現場に近い管理職が判断できる
- 重要案件に上位者が集中できる
という利点があります。
課長専決の注意点
一方で、
- 課長ごとに判断がばらつく
- 専決範囲の解釈を誤る
- 重要案件まで専決してしまう
- 上司への情報共有が不足する
といったリスクもあります。
そのため規程では、専決できない例外事項や報告義務を設けることがあります。
専決した内容を上司へ報告することもある
課長が専決できる案件だからといって、上司が一切知らなくてもよいとは限りません。
組織によっては、重要性などに応じて専決後の報告を求める規程があります。
つまり、
決裁権限を下位へ配分すること
と
情報共有・監督をしないこと
は別問題です。
課長専決を簡単な例で理解する
学校の備品購入を例にしてみましょう。
規程が、
- 5万円未満 → 課長専決
- 5万円以上30万円未満 → 部長専決
- 30万円以上 → 局長決裁
となっているとします。
3万円のプリンターなら課長専決。
20万円の大型機器なら部長。
50万円の設備なら局長。
というように、案件の大きさに応じて決裁者が変わります。
「課長が決めた」だけでは専決かどうか分からない
結果として課長が判断していたとしても、その案件が「課長専決」だったとは限りません。
たとえば、
- もともと課長が本来の決裁者だった
- 上司不在のため課長が代決した
- 規程に基づき課長が専決した
という複数のケースがあります。
「なぜ課長が決裁したのか」が重要です。
「専決」と「決裁」を3秒で見分ける
Q1. 単に誰が案件を決めたかを言っている?
→ 決裁
Q2. 上位者の権限に属する一定の案件を、規程に基づいて普段から課長が決める?
→ 課長専決
Q3. 上司が不在なので、一時的に課長が代わって決める?
→ 代決
Q4. 内容を認めるだけで最終判断者ではない?
→ 承認の可能性
課長専決・課長決裁・代決の早見表
| 言葉 | 簡単な意味 |
|---|---|
| 課長専決 | 課長が専決できると定められた案件を課長が判断する |
| 課長決裁 | 課長が決裁者として判断することを広く表す |
| 代決 | 本来の決裁者が不在のとき、一時的に別の人が代わって判断する |
| 承認 | 内容を認める |
よくある誤解
誤解1:課長専決=課長の独断
違います。
組織の規程で認められた範囲内で行う正式な意思決定です。
誤解2:課長専決=部長が休みだから課長が決める
それは「代決」の可能性があります。
専決は通常時から行う仕組みです。
誤解3:専決事項なら絶対に上司へ上げなくてよい
規程によっては、重要・異例・紛争のおそれがある案件などは上司決裁が必要です。
誤解4:すべての組織で課長専決の範囲は同じ
違います。
各組織の決裁規程によって異なります。
誤解5:専決と委任はまったく同じ
行政実務では区別して考える必要があります。
専決は内部的な事務処理上の仕組みとして用いられ、法令上の権限委任とは性質が異なる場合があります。
例文で使い方を確認
例1:自治体
○「本件は課長専決事項のため、課長決裁後に通知する。」
規程上、課長が処理できる案件です。
例2:会社
○「10万円未満の備品購入は課長専決とする。」
金額によって権限を分けています。
例3:上位決裁へ変更
○「課長専決事項ではあるが、異例の案件であるため部長決裁を受ける。」
専決の例外です。
例4:代決
○「部長不在のため、規程に基づき課長が代決した。」
課長専決とは違います。
例5:電子決裁
○「この申請は課長専決なので、電子決裁ルートは課長で終了する。」
最終決裁者が課長です。
規程を見るときに確認するポイント
「課長専決」と書かれていたら、次の点を確認すると理解しやすくなります。
- 何が課長専決事項なのか
- 金額などの上限があるか
- 重要・異例案件の例外規定があるか
- 代決者は誰か
- 専決後の報告が必要か
「課長専決」という一語だけでは、具体的な権限範囲までは分かりません。
よくある質問
Q1. 課長専決とは簡単に言うと何ですか?
あらかじめ「この案件は課長が決めてよい」と規程などで定められた事項について、課長が意思決定することです。
Q2. 課長専決と課長決裁は同じですか?
近い場面で使われますが、課長決裁は「課長が決裁する」という広い表現、課長専決は「専決権限に基づいて課長が決裁する」ことに重点があります。
Q3. 課長専決なら部長の承認はいりませんか?
通常は課長で最終決裁となることが考えられますが、具体的なルールは組織の規程によります。
重要・異例な案件などでは上位者の決裁が必要になることもあります。
Q4. 課長専決は課長が自由に決められるという意味ですか?
いいえ。
専決事項として認められた範囲内で決裁します。
Q5. 専決事項とは何ですか?
専決者が、自分の判断で処理できるものとして規程などに定められた事項です。
Q6. 課長専決と代決の違いは?
課長専決は通常時から課長が決めると定められた事項です。
代決は、本来の決裁者が不在のとき、一時的に別の人が代わって決裁することです。
Q7. 部長が出勤していても課長専決できますか?
はい。
課長専決事項であれば、上司の不在とは関係なく課長が処理します。
Q8. 課長専決事項でも部長に上げることはありますか?
あります。
重要・異例・紛争のおそれがある案件などについては、上司決裁を求める規程が設けられていることがあります。
Q9. 会社にも課長専決はありますか?
あります。
会社では「職務権限規程」「決裁規程」などで、課長・部長・役員の決裁権限を定めることがあります。
Q10. 課長専決の金額はいくらですか?
全国共通の金額はありません。
組織・業務・契約の種類などによって異なります。
Q11. 専決と委任は同じですか?
必ずしも同じではありません。
特に行政では、専決は内部的な意思決定・事務処理の仕組みとして用いられ、法令上の権限委任とは区別して扱われる場合があります。
Q12. 「課長専決」を一番簡単に覚える方法は?
「毎回上司まで上げなくても、この範囲なら課長が決めてよい」
と覚えると分かりやすいでしょう。
まとめ
「課長専決」とは、課長が好きなように案件を決めることではありません。
組織の規程などによって、
「この種類の案件については、課長が意思決定してよい」
とあらかじめ定められている場合に、課長がその案件を決裁する仕組みです。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 課長専決 | 課長の専決事項として定められた案件を課長が決める |
| 課長決裁 | 課長が決裁することを広く表す |
| 部長専決 | 部長が専決できる事項を部長が決める |
| 代決 | 本来の決裁者が不在のとき、一時的に代わって決める |
最も重要なのは、
専決=不在者の代わりに一時的に決めることではない
という点です。
専決は、あらかじめ定められた範囲について、通常時から継続的に判断できる仕組みです。
反対に、
「部長が休みなので、急ぎの案件を課長が代わりに決裁した」
のであれば、「代決」の問題になります。
また、課長専決事項であっても、
- 重要な案件
- 異例な案件
- 前例となる案件
- 紛争のおそれがある案件
- 上司が判断すべき案件
などについては、上位者へ決裁を求める仕組みが設けられていることがあります。
そのため、実務で「課長専決」と表示されていたら、
「課長だから何でも決められる」
と考えるのではなく、
「この組織の決裁規程で、どの範囲まで課長に専決権限が与えられているのか」
を確認することが重要です。
一言で覚えるなら、
課長専決=決められた範囲なら課長で決裁を完了できる仕組み
です。
参考資料
- 厚生労働省「中央労働委員会文書決裁規程」 ― 「専決」を、決裁権者の権限に属する特定の事務を常時決裁権者に代わって意思決定すること、「代決」を決裁権者不在時に一時的に代わって意思決定することとして定義している資料
- 厚生労働省「厚生労働省文書決裁規程」 ― 大臣決裁事項と専決処理、重要・異例な事項は上司の決裁を受ける仕組みを確認
- 和歌山県「公営企業事務決裁規程」 ― 課長等の専決と、重要・異例・紛争のおそれがある事項などを上司決裁とする「専決の制限」の実例を確認
- 光市「水道局事務決裁規程」 ― 「管理者決裁・局次長専決・課長専決」という決裁区分、専決・代決・報告・合議の具体的な規定を確認
- 光市「病院局事務決裁規程」 ― 専決事項、専決の除外、類推による専決、課長から課長補佐等への決裁権限に関する規定を確認
- 潟上市「公営企業事務決裁規程」 ― 部長・課長が専決できる事項と、専決できない重要・異例案件の実例を確認
- 国土交通省「航空交通管制部文書管理規則」 ― 「専決」と「代決」を別の手続として定めている公的な規程例を確認
