会社で稟議書を提出するとき、「上司の承認を得る」「部長の決裁を受ける」といった表現を使うことがあります。
また、経費精算システムやワークフローシステムでは、「承認待ち」「決裁待ち」「最終承認済み」などの表示を目にすることもあるでしょう。
どちらも仕事を進めるために必要な判断を表していますが、「承認」と「決裁」には、どのような違いがあるのでしょうか。
例えば、担当者が作成した設備購入の稟議書について、課長が内容を確認して認める場合には「承認」、購入を正式に決定する権限を持つ部長が最終判断を下す場合には「決裁」という表現が適しています。
「承認」は申請や提案などの内容を妥当だと認めること、「決裁」は権限を持つ人が組織としての最終的な意思決定を行うことです。
ただし、すべての会社で承認と決裁が明確に区別されているわけではありません。組織の規模や社内規程によっては、同じ人が承認と決裁を行う場合もあります。
この記事では、「承認」と「決裁」の意味や違いを比較表で整理し、稟議書、経費精算、設備購入、契約、行政文書などの具体例を交えて解説します。さらに、「決定」「了承」「承諾」「決済」との違いや、ビジネスメールでの自然な使い分けについても紹介します。
- 結論|「承認」は内容を認めること、「決裁」は権限を持つ人による意思決定
- 【徹底比較】「承認」と「決裁」の違いを一覧表で解説
- 「承認」とは?意味・特徴・正しい使い方
- 「決裁」とは?意味・特徴・正しい使い方
- 稟議書では「承認」と「決裁」をどう使い分ける?
- 「承認」と「決裁」の例文を場面別に比較
- 「承認」と「決裁」は同じ人が行うこともある?
- 「決裁」と「決定」の違いとは?
- 「承認」と「了承」の違いとは?
- 「承認」と「決裁」と「稟議」の違い
- 「決裁」と「決済」の違いにも注意
- 行政機関では「承認」と「決裁」をどう使い分ける?
- 【実践】「承認」と「決裁」を間違えないための3つの判断基準
- ビジネスメールでの「承認」と「決裁」の使い分け
- よくある間違い|承認と決裁を混同すると何が起こる?
- FAQ|「承認」と「決裁」に関するよくある質問
- まとめ|「承認」は内容を認めること、「決裁」は正式な意思決定
- 参考リンク
結論|「承認」は内容を認めること、「決裁」は権限を持つ人による意思決定
「承認」と「決裁」は、どちらも会社や行政機関などの組織で使われる言葉ですが、基本的な意味と役割が異なります。
- 承認(しょうにん):申請や提案などの内容について、妥当であると認めること。稟議書の回覧や業務上の確認など、さまざまな場面で使われる。
- 決裁(けっさい):権限を持つ人が、申請や起案の内容について組織としての最終的な意思決定を行うこと。
例えば、社員が10万円の備品購入を申請した場合を考えてみましょう。
直属の課長が購入の必要性や予算を確認して認めた場合、その行為は「承認」と表現できます。
一方、社内規程によって部長が10万円以上の備品購入を決定する権限を持っている場合、部長が購入を正式に認める行為は「決裁」です。
この場合、課長の承認を得ていても、部長の決裁が必要なら、まだ購入が正式に決まったことにはなりません。
ただし、会社によっては課長自身に決裁権限が与えられている場合もあります。承認する人と決裁する人の役職が必ず決まっているわけではありません。
重要なのは、単に誰が認めたかではなく、その人に最終的な意思決定を行う権限があるかどうかです。
【徹底比較】「承認」と「決裁」の違いを一覧表で解説
まずは、両者の基本的な意味と使用場面を比較表で確認しましょう。
| 比較項目 | 承認 | 決裁 |
|---|---|---|
| 読み方 | しょうにん | けっさい |
| 基本的な意味 | 申請や提案などを妥当だと認めること | 権限を持つ人が組織としての意思決定を行うこと |
| 主な目的 | 内容を確認し、認めること | 組織としての判断を確定すること |
| 実施する人 | 上司、関係部署の責任者、承認権限を持つ人など | 決裁規程などで定められた決裁権者 |
| 稟議書での役割 | 内容を確認して認める | 最終的な実施可否を判断する |
| 最終判断か | 途中段階の場合もある | 原則として、その案件についての最終判断 |
| 複数人による実施 | 複数の承認者がいる場合がある | 規程に定められた決裁権者が行う |
| 代表的な表現 | 承認申請、上司の承認、承認待ち | 決裁権限、決裁規程、決裁済み |
| 主な使用場面 | 経費申請、休暇申請、稟議書の確認など | 予算執行、設備購入、契約締結の判断など |
| 例文 | 課長の承認を得て、稟議書を提出した。 | 部長の決裁を受けて、設備の購入を決定した。 |
このように、「承認」は内容を認める行為を幅広く表し、「決裁」は組織の意思決定における権限と責任を重視する言葉です。
ただし、決裁を「最終承認」と呼ぶ会社もあるため、社内での正式な使い分けについては、決裁規程や業務マニュアルなどを確認する必要があります。
「承認」とは?意味・特徴・正しい使い方
承認の基本的な意味
「承認」は、ある事柄について、その内容が正当である、または妥当であると認めることを意味します。
ビジネスでは、部下からの申請や提案について、上司などが内容を確認して認める場面でよく使用されます。
例えば、次のような表現があります。
- 上司の承認を得て、経費を申請する。
- 課長が出張申請を承認した。
- 関係部署の承認を得てから契約手続きを進める。
- 申請内容に問題がないことを確認し、承認する。
- 承認待ちの申請書を確認する。
これらに共通するのは、申請や提案などについて、一定の権限を持つ人が内容を認めるという点です。
ただし、承認を得たからといって、必ずしも案件全体について最終的な意思決定が完了したとは限りません。
承認は複数の段階で行われることがある
会社によっては、申請内容に応じて複数の上司や関係部署から承認を得る必要があります。
例えば、新しい業務システムを導入する場合、直属の上司だけでなく、情報システム部や経理部などの確認が必要になることがあります。
その場合、各部署の責任者がそれぞれの立場から内容を確認し、承認します。
ただし、承認する人が複数いても、全員が同じ権限や責任を持つとは限りません。
技術的な妥当性を確認する人、予算との整合性を確認する人、最終的な意思決定を行う人など、役割が分かれている場合があります。
承認は社内手続き以外でも使われる
「承認」は、稟議書や経費精算だけでなく、さまざまな場面で使用されます。
例えば、契約条件について社内の承認を得る場合や、取引先から提案された内容を正式に認める場合などです。
また、国際関係における国家の承認など、政治や法律に関係する場面でも使われます。
つまり、「承認」は組織内の意思決定に限らず、ある事柄を正式に認めることを幅広く表す言葉です。
「決裁」とは?意味・特徴・正しい使い方
決裁の基本的な意味
「決裁」は、権限を持つ人が、申請や起案などについて最終的な意思決定を行うことを意味します。
会社では、設備の購入、契約の締結、予算の執行、新規事業の実施などについて使用されることがあります。
例えば、次のような表現です。
- 社長の決裁を受けて、新規事業を開始する。
- 部長が設備購入の稟議書を決裁した。
- 決裁権限の範囲を社内規程で定める。
- 決裁が完了した後、契約手続きを進める。
- 予算を超える支出について、上位者の決裁を仰ぐ。
これらは、単に内容を確認して認めるだけでなく、組織として実施するかどうかを判断する場面で使用されています。
決裁できる人は社内規程などで決まっている
決裁は、誰でも自由に行えるものではありません。
一般的には、会社の決裁規程や職務権限規程などによって、案件の種類や金額ごとに決裁権者が定められています。
例えば、次のような決裁区分を設けることが考えられます。
| 案件の例 | 決裁権者の設定例 |
|---|---|
| 少額の備品購入 | 課長 |
| 一定額以上の設備購入 | 部長 |
| 高額な設備投資 | 本部長 |
| 重要な新規事業 | 社長など |
※上記は説明のための架空の例であり、法律で決められた共通の決裁区分ではありません。
実際の権限は、会社の組織や社内規程によって異なります。
決裁は承認の積み重ねとは限らない
一般的な稟議では、複数の承認を経て最終的な決裁が行われます。
ただし、すべての決裁について複数の承認が必要なわけではありません。
例えば、少額の支出であれば、担当者から提出された申請について、課長が直接決裁する仕組みを採用している会社もあります。
また、緊急性の高い案件では、通常とは異なる決裁手続きを定めている場合もあります。
そのため、承認が何段階あるかではなく、誰が最終的な意思決定を行うのかが重要です。
稟議書では「承認」と「決裁」をどう使い分ける?
両者の違いが分かりやすいのが、稟議書を使った社内手続きです。
稟議とは、ある案件について関係者や上司などに内容を示し、必要な承認や決裁を求める手続きです。
稟議書が決裁されるまでの一般的な流れ
例えば、営業部で新しい業務用パソコンを購入する場合を考えてみましょう。
- 担当者が購入目的、機種、必要台数、見積金額などを記載した稟議書を作成する。
- 直属の課長が購入の必要性を確認し、承認する。
- 必要に応じて、情報システム部や経理部などの承認を得る。
- 決裁権限を持つ部長などが、購入するかどうかを最終的に決定する。
- 決裁が完了した後、発注などの手続きを進める。
この例では、課長や関係部署が内容を認める行為が「承認」、部長が最終的に購入を決定する行為が「決裁」です。
ただし、承認の順序や決裁の方法は会社によって異なります。
途中の承認をすべて得ても決裁されるとは限らない
例えば、課長と経理部が設備購入の稟議書を承認したとしても、決裁権者である部長が購入を認めない場合があります。
予算の都合や経営方針、他の設備投資との優先順位など、最終的な判断にはさまざまな要素が関係するためです。
そのため、「承認済み」と「決裁済み」は、必ずしも同じ状態を意味しません。
特に、稟議書の提出後に発注や契約などの手続きを進める場合は、最終決裁まで完了しているかを確認することが重要です。
決裁後に内容を変更する場合はどうなる?
一度決裁された案件であっても、金額や契約条件などに重要な変更が生じた場合には、再度の承認や決裁が必要になることがあります。
例えば、100万円の設備購入について決裁を受けた後、見積金額が150万円に増加した場合を考えてみましょう。
当初の決裁で認められていた範囲を超えるため、新しい金額について改めて決裁が必要になる場合があります。
ただし、再決裁の必要性や手続きは、会社の決裁規程によって異なります。
「承認」と「決裁」の例文を場面別に比較
ここでは、社内でよくある場面を想定し、両者の使い分けを比較します。
| 場面 | 承認を使った例文 | 決裁を使った例文 |
|---|---|---|
| 備品購入 | 課長が備品購入の申請を承認した。 | 部長が備品購入の稟議書を決裁した。 |
| 設備投資 | 関係部署から設備投資計画の承認を得た。 | 社長の決裁を受けて設備投資を実施した。 |
| 出張申請 | 上司が出張申請を承認した。 | 規程に基づき、部門長が出張の実施を決裁した。 |
| 契約 | 法務部が契約内容を確認し、承認した。 | 決裁権者が契約締結について決裁した。 |
| 新規事業 | 事業計画について関係部署の承認を得た。 | 経営責任者が事業開始を決裁した。 |
| ワークフロー | 上司の承認待ちとなっている。 | 最終決裁が完了した。 |
ただし、これらは一般的な使用例です。実際の会社では、課長が最終的な決裁権者であったり、複数の部署にそれぞれ決裁権限が与えられていたりする場合があります。
「承認」と「決裁」は同じ人が行うこともある?
承認と決裁は、必ず別々の人が行うわけではありません。
組織の規模や案件の内容、社内規程などによっては、一人の管理職が両方の役割を担う場合もあります。
小規模な会社では承認と決裁が一体化する場合がある
例えば、社員数が少ない会社では、経費申請の承認と最終的な意思決定を社長が一人で行うことがあります。
この場合、社内では「社長の承認を得る」という表現が使われていても、実質的には社長による最終決裁を意味する場合があります。
会社によっては、承認という言葉だけを使用し、決裁という用語を特に設けていないこともあります。
大企業では複数の承認者と決裁権者を分けることがある
一方、組織規模が大きい会社では、承認者と決裁権者の役割を明確に分けている場合があります。
例えば、設備購入について、利用部門の責任者、情報システム部、経理部などがそれぞれ内容を確認し、最終的に決裁権者が購入の可否を判断する仕組みです。
このような仕組みでは、複数の立場から内容を確認できる一方、承認の段階が多くなることで意思決定に時間がかかる場合もあります。
そのため、組織によっては金額や案件の重要性などに応じて、必要な承認者や決裁権者を設定しています。
「決裁」と「決定」の違いとは?
「決裁」と混同しやすい言葉に「決定」があります。
どちらも物事を決めることに関係していますが、意味の広さが異なります。
決定は物事をはっきりと決めること
「決定」は、ある事柄について、どうするかをはっきりと決めることです。
例えば、次のような文章です。
- 会議の日程を決定する。
- 新商品の販売価格を決定する。
- 旅行先を決定する。
- 今後の方針を決定する。
このように、「決定」は日常生活から仕事まで、幅広い場面で使用できます。
決裁は組織内の権限に基づく意思決定
一方、「決裁」は、組織の中で権限を持つ人が、申請や起案などについて正式に意思決定を行うことです。
例えば、「新しい設備を購入することを決定した」という文章では、購入を決めたという事実が中心です。
それに対して、「設備購入の稟議書を決裁した」という文章では、決裁権限を持つ人が正式に意思決定を行ったことが伝わります。
詳しくは、「決定」と「決裁」の違いと会議・稟議での使い分けで解説しています。
「承認」と「了承」の違いとは?
「承認」と関連する言葉には、「了承」もあります。
どちらも相手の申し出や提案などを認める場面で使われますが、意味合いは異なります。
了承は事情を理解して受け入れること
「了承」は、相手の事情や説明などを理解したうえで、受け入れることを意味します。
例えば、次のような文章です。
- 納期が変更になることを了承した。
- 会議の日程変更について了承を得た。
- 取引先から提示された条件を了承した。
これらは、相手から伝えられた事情や内容を理解し、受け入れるという意味合いがあります。
承認は内容を妥当だと認めること
一方、「承認」は、申請や提案などの内容を妥当だと認めることです。
例えば、部下から提出された出張申請を上司が正式に認める場合には、「承認」が自然です。
ただし、「了承」と「承認」は同じ状況について使える場合もあり、組織によって用語の使い方が異なることがあります。
詳しくは、「承認」と「了承」の違いとビジネスでの使い分けも参考になります。
「承認」と「決裁」と「稟議」の違い
稟議書を扱う際には、「承認」「決裁」「稟議」の3つの言葉が登場します。
それぞれの関係を理解しておくと、社内手続きの流れが分かりやすくなります。
| 言葉 | 中心となる意味 | 一般的な役割 |
|---|---|---|
| 稟議 | 関係者や上司などに案件を示し、必要な承認や決裁を求める手続き | 組織内で案件を検討するための手続き |
| 承認 | 申請や提案などの内容を認めること | 上司や関係部署などによる確認・承認 |
| 決裁 | 権限を持つ人が組織として意思決定すること | 案件についての最終判断 |
例えば、担当者が稟議書を作成して関係部署へ回覧し、必要な承認を得たうえで、決裁権者の最終判断を受けるという流れが考えられます。
ただし、稟議書を使わずに決裁を行う場合や、承認と決裁を一体的に行う場合もあります。
また、稟議書を作成するための原案を考え、文書にまとめる作業は「起案」と呼ばれます。
起案については、「起案」と「立案」の違いと企画・稟議での使い分けでも詳しく解説しています。
「決裁」と「決済」の違いにも注意
「決裁」と「決済」は、どちらも「けっさい」と読みますが、意味は大きく異なります。
ビジネスメールや社内文書では、変換ミスにも注意が必要です。
決裁は組織としての意思決定
「決裁」は、権限を持つ人が申請や起案などについて正式に意思決定することです。
例えば、「部長の決裁を受ける」「稟議書を決裁する」といった表現です。
決済は代金の支払いなどを完了すること
一方、「決済」は、商品やサービスの購入などに伴う代金の支払いを完了することを意味します。
例えば、次のような表現があります。
- クレジットカードで決済する。
- 電子マネーによる決済に対応する。
- 銀行振込で代金を決済する。
- 決済サービスを導入する。
例えば、会社で業務用パソコンを購入する場合、購入の可否を正式に決めるのが「決裁」、購入代金を支払うのが「決済」です。
「社長の決済を受ける」と書くと、通常は不自然です。購入について社長の判断を仰ぐ場合には、「社長の決裁を受ける」と表現しましょう。
行政機関では「承認」と「決裁」をどう使い分ける?
「承認」と「決裁」は、民間企業だけでなく、国や地方自治体などの行政機関でも使用されます。
ただし、行政機関では、文書管理規則や決裁規程などによって、それぞれの用語や手続きが定められている場合があります。
行政文書の決裁
行政機関では、起案した文書について、意思決定の権限を持つ人が決裁を行う仕組みがあります。
例えば、独立行政法人国際協力機構の文書決裁に関する規程では、起案文書の内容を機構の意思として決定することが「決裁」と定義されています。
また、誰が決裁権者となるのかについても、規程などによって定められています。
つまり、決裁は単に上司が書類を確認することではなく、組織の意思として正式に決定することを意味します。
行政文書の承認
行政機関では、決裁に至るまでに、関係する職員や部署による承認が必要となる場合があります。
例えば、国土交通省の地方運輸局等文書管理規則では、起案文書について決裁者と承認者を表示することなどが定められています。
また、電子的な方式で決裁や承認を行う方法についても規定されています。
ただし、承認と決裁の順序や、関係部署との合議の方法などは、行政機関ごとの規則によって異なります。
【実践】「承認」と「決裁」を間違えないための3つの判断基準
1. 内容を確認して認める段階なら「承認」
申請や提案などについて、上司や関係部署が内容を確認し、妥当であると認める場合には、「承認」が自然です。
例えば、次のような文章です。
- 課長の承認を得てから申請書を提出する。
- 経理部が予算との整合性を確認し、承認した。
- 申請内容に不備があったため、承認が保留された。
ただし、その承認が最終的な意思決定も兼ねている場合があります。
2. 最終的な意思決定なら「決裁」
組織の規程などによって決裁権限を与えられた人が、案件を実施するかどうか判断する場合には、「決裁」が適しています。
例えば、次のような文章です。
- 社長の決裁を受けて新規事業を開始する。
- 設備購入の稟議書が決裁された。
- 決裁権者の判断を待ってから発注する。
ただし、決裁権者が誰になるのかは、案件の内容や金額、組織の規程によって異なります。
3. 正式な手続きでは社内規程を確認する
会社によっては、「最終承認」「部長承認」「社長承認」などの名称で決裁を行っている場合があります。
そのため、一般的な意味だけで判断せず、社内の決裁規程や業務マニュアルなどを確認することが重要です。
また、経費申請や契約などでは、承認が完了しただけで次の業務へ進めるのか、最終決裁が必要なのかを把握しておきましょう。
ビジネスメールでの「承認」と「決裁」の使い分け
ビジネスメールでは、「承認をお願いします」「決裁をお願いいたします」という表現がよく使われます。
ただし、相手の役割や、何を依頼するのかによって適切な表現を選ぶことが大切です。
上司に申請内容の確認を依頼する場合
直属の上司に経費申請などの内容を確認してもらう場合には、「承認」が自然です。
例えば、次のようなメールが考えられます。
件名:備品購入申請のご承認のお願い
〇〇課長
お疲れさまです。
業務用備品の購入について申請書を作成いたしました。
お忙しいところ恐れ入りますが、内容をご確認のうえ、ご承認いただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします。
決裁権者に最終判断を依頼する場合
決裁権限を持つ上司に、稟議書について最終的な判断を求める場合には、「決裁」が適しています。
件名:設備購入に関する稟議書のご決裁のお願い
〇〇部長
お疲れさまです。
新しい業務用設備の購入について、関係部署からの承認が完了いたしました。
つきましては、添付の稟議書をご確認いただき、ご決裁くださいますようお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
承認と決裁が完了したことを報告する場合
手続きが完了したことを関係者に伝える場合には、現在どの段階まで進んでいるのかを明確にしましょう。
例えば、「課長の承認が完了しました。現在、部長の決裁待ちです」と記載すれば、最終決裁がまだ完了していないことが伝わります。
一方、「設備購入に関する決裁が完了しましたので、発注手続きを進めます」と記載すれば、正式な意思決定が完了したことを明確にできます。
よくある間違い|承認と決裁を混同すると何が起こる?
承認と決裁を混同すると、社内手続きの進行状況や責任の所在が分かりにくくなる場合があります。
承認済みなのに正式決定したと思い込む
例えば、設備購入の稟議書について課長の承認を得た段階で、担当者が正式に購入できると考えて発注してしまうケースです。
しかし、社内規程によって部長の決裁が必要な場合には、まだ正式な意思決定が完了していません。
このような誤解を防ぐためにも、承認と決裁の段階を明確に区別する必要があります。
決裁権限のない人に最終判断を求める
決裁権限を持たない人に最終的な判断を求めても、その人の承認だけでは正式に案件を実施できない場合があります。
例えば、課長には30万円までの支出について決裁権限があるものの、50万円の設備購入には部長の決裁が必要というケースです。
この場合、課長が内容を承認しても、部長による最終決裁が必要になります。
なお、これは説明のための架空の例であり、実際の決裁金額は会社によって異なります。
ワークフローシステム上の表示だけで判断する
電子申請システムでは、「承認済み」「最終承認済み」「決裁済み」など、さまざまな表示が使用されます。
しかし、システム上の名称と社内規程上の権限が完全に一致しているとは限りません。
そのため、特に高額な支出や重要な契約については、システム上の表示だけでなく、必要な決裁が完了しているかを確認することが重要です。
FAQ|「承認」と「決裁」に関するよくある質問
Q1. 「承認」と「決裁」は同じ意味ですか?
意味が重なる部分はありますが、一般的な使い分けでは異なります。「承認」は申請や提案などの内容を妥当だと認めること、「決裁」は権限を持つ人が組織として最終的な意思決定を行うことです。ただし、会社によっては決裁を「最終承認」と呼ぶ場合もあります。
Q2. 「承認」と「決裁」はどちらが先ですか?
一般的な稟議では、上司や関係部署による承認を経て、最後に決裁権者が決裁する流れが多く見られます。ただし、承認と決裁の順序や手続きは、組織の規程によって異なります。
Q3. 課長が決裁することもありますか?
あります。決裁権限は、案件の種類や金額、会社の規程などによって定められます。そのため、少額の備品購入などについては課長が決裁し、高額な設備投資については部長や社長が決裁する仕組みも考えられます。
Q4. 「最終承認」と「決裁」は同じですか?
会社やシステムによっては、最終承認が決裁に相当する場合があります。ただし、すべての組織で同じ意味とは限りません。正式な意思決定が完了したかどうかは、決裁規程や業務手続きに基づいて判断する必要があります。
Q5. 稟議書が承認されれば発注してもよいですか?
必ずしもそうではありません。承認が完了していても、別途決裁権者による最終決裁が必要な場合があります。また、決裁後にも発注書の作成や契約手続きなどが必要な場合があります。実際の発注は、社内規程で定められた手続きに従って行いましょう。
Q6. 「承認」と「了承」の違いは何ですか?
「承認」は申請や提案などの内容を妥当だと認めることです。一方、「了承」は相手の事情や説明などを理解し、受け入れることを意味します。ただし、両方が使える場合もあるため、文章の目的や組織内での正式な使い方に合わせて選びましょう。
Q7. 「決裁」と「決済」の違いは何ですか?
「決裁」は、権限を持つ人が組織として正式に意思決定することです。一方、「決済」は、代金の支払いなどを完了することです。例えば、設備購入の実施を認めるのが「決裁」、購入代金を支払うのが「決済」です。
Q8. 決裁者と承認者は同じ人でもよいですか?
組織の規程によっては、同じ人が承認と決裁の両方を行う場合があります。ただし、一定の案件については、内部統制などの観点から、承認者と決裁者を分ける仕組みが採用されている場合もあります。
Q9. 電子決裁と電子承認は何が違いますか?
一般的には、電子承認は申請内容などをシステム上で認めること、電子決裁は決裁権者がシステム上で正式な意思決定を行うことです。ただし、システムによって用語や機能の名称が異なるため、実際の運用ルールを確認する必要があります。
Q10. 決裁後に内容を変更する場合、再承認が必要ですか?
変更内容や社内規程によって異なります。例えば、購入金額や契約条件などに重要な変更が生じた場合には、再度の承認や決裁が必要になることがあります。変更の範囲や必要な手続きについて、社内規程を確認しましょう。
まとめ|「承認」は内容を認めること、「決裁」は正式な意思決定
「承認」と「決裁」は、どちらも会社や行政機関などの組織で使われる言葉ですが、それぞれの役割が異なります。
- 承認:申請や提案などの内容を妥当だと認めること。上司や関係部署による確認など、稟議の途中段階でも使用される。
- 決裁:権限を持つ人が、申請や起案などについて組織として最終的な意思決定を行うこと。
例えば、担当者が作成した稟議書を課長が確認して認める場合には「承認」、決裁権限を持つ部長が最終的に実施を決める場合には「決裁」が自然です。
ただし、会社によっては承認と決裁を同じ人が行う場合や、最終決裁を「最終承認」と呼ぶ場合もあります。
また、「決裁」と同じ読み方の「決済」は、代金の支払いなどを完了することを意味するため、漢字の変換ミスにも注意が必要です。
ビジネスで両者を正しく使い分けるには、単に書類が認められたかどうかだけでなく、誰にどのような権限があり、どの段階で組織としての意思決定が完了するのかを理解することが重要です。
