「保証人」と「連帯保証人」の違いとは?どちらが責任が重い?催告・検索の抗弁権と分別の利益をわかりやすく解説

「保証人になってほしい」と頼まれたとき、契約書に「保証人」と書かれているか、「連帯保証人」と書かれているかで、負う責任は大きく変わります。

「連帯保証人は借りた本人と同じ責任を負うの?」「保証人が2人いれば半分ずつ払えばいい?」「家賃の連帯保証人にも上限はある?」など、疑問を感じる方もいるでしょう。

結論からいうと、通常の保証人には、一定の条件の下で本人への請求や財産からの回収を先に求められる権利があります。一方、連帯保証人にはその2つの権利がなく、本人が支払わない場合、債権者から直接請求を受けやすい点が最大の違いです。

さらに、保証人が複数いる場合の負担の分け方にも違いがあります。ただし、通常の保証人なら「絶対に全額を払わなくてよい」という意味ではありません。

この記事では、民法の規定をもとに、3つの重要な違いを比較表と具体例で整理します。そのうえで、賃貸住宅・借金・事業用融資のケース、2020年施行の民法改正、契約前の確認事項、よくある質問までわかりやすく解説します。

  1. 【結論】保証人と連帯保証人は「先に誰へ請求できるか」が違う
  2. 保証人と連帯保証人の違いを比較表で確認
  3. 「保証人」とは?意味と責任の範囲
    1. 保証人は、本人が履行しないときに責任を負う
    2. 通常の保証人でも、全額負担することはある
  4. 「連帯保証人」とは?通常の保証人より責任が重い理由
    1. 「本人と連帯して責任を負う」とはどういう意味?
    2. 連帯保証人の責任は無制限なの?
  5. 違い①「催告の抗弁権」とは?まず本人に請求するよう求める権利
    1. 【例】100万円の返済が滞った場合
    2. 連帯保証人は「まず本人に請求して」と言えない
  6. 違い②「検索の抗弁権」とは?本人の財産から先に回収するよう求める権利
    1. 【例】本人に回収可能な預金がある場合
    2. 連帯保証人には検索の抗弁権がない
  7. 違い③「分別の利益」とは?保証人が2人以上いる場合の負担
    1. 【計算例】300万円の借金に通常の保証人が2人
    2. 連帯保証人が2人いれば、2人から合計600万円を取れる?
  8. 【実例】100万円を借りた本人が返済しなかったら、誰がどうなる?
    1. ケースA:Cさんが通常の保証人
    2. ケースB:Cさんが連帯保証人
  9. 賃貸住宅の「連帯保証人」は家賃以外も負担するの?
    1. 保証の対象は滞納家賃だけとは限らない
    2. 2020年4月1日以降の個人根保証契約には「極度額」が重要
    3. 「緊急連絡先」と「連帯保証人」は別の役割
  10. 借金や事業用融資では、どんなことに注意する?
    1. 友人・親族の借金でも保証契約は軽く考えない
    2. 事業用融資では、個人の保証意思を公正証書で確認する場合がある
  11. 保証人になった後に知っておきたい権利と注意点
    1. 保証人が支払ったら「求償権」が生じる場合がある
    2. 一定の場合には、債務の履行状況を債権者に確認できる
    3. 保証人を辞めたいと思っても、一方的に解除できるとは限らない
  12. 契約する前に確認したい7つのチェックポイント
  13. 契約書に「保証人」と書いてあれば、必ず通常の保証人?
  14. 「連帯保証人」と似た言葉の違い
    1. 「連帯債務者」と「連帯保証人」は同じ?
    2. 「保証」「保障」「補償」のどれを使う?
    3. 「支払義務」と「責任」はどう関係する?
  15. 保証人と連帯保証人に関するよくある質問(FAQ)
    1. Q1. 保証人と連帯保証人は、どちらが責任が重いですか?
    2. Q2. 連帯保証人は、借りた本人より先に請求されることがありますか?
    3. Q3. 保証人は「本人に先に請求して」と必ず言えますか?
    4. Q4. 「検索の抗弁権」の「検索」は何を意味しますか?
    5. Q5. 保証人が2人なら、支払いも必ず2分の1ずつですか?
    6. Q6. 連帯保証人が2人いる場合、2人とも全額請求されるのですか?
    7. Q7. 連帯保証人の家や預金は、請求されたらすぐ差し押さえられますか?
    8. Q8. 家族の借金なら、自動的に連帯保証人になりますか?
    9. Q9. 保証人と連帯保証人は口約束でも成立しますか?
    10. Q10. 賃貸住宅の連帯保証人には、支払額の上限がありますか?
    11. Q11. 連帯保証人になったら、後から辞められますか?
    12. Q12. 連帯保証人が代わりに支払ったら、本人から取り戻せますか?
    13. Q13. 会社の社長の借入れを社員が保証する場合、公正証書は必要ですか?
    14. Q14. 保証会社を使えば、親族の連帯保証人は不要ですか?
    15. Q15. 「身元保証人」と「連帯保証人」は同じですか?
    16. Q16. 連帯保証人がいるなら、借りた本人は返済しなくてよくなりますか?
  16. 参考リンク
  17. まとめ:通常の保証人には「請求の順序」を主張できる権利がある

【結論】保証人と連帯保証人は「先に誰へ請求できるか」が違う

まずは、両者の違いをひと言で整理しましょう。

  • 保証人(通常の保証人):借りた本人などが債務を履行しないときに、代わって支払うなどの責任を負う人。原則として、本人への請求や本人の財産からの回収を先に求められる権利があります。
  • 連帯保証人:本人と連帯して保証債務を負う人。通常の保証人にある「先に本人へ請求してほしい」「本人の財産から先に回収してほしい」という2つの権利はありません。

ここでいう「本人」は、法律上の主たる債務者(主債務者)のことです。お金を借りた人や、家賃を支払う契約をした借主などが当たります。また、お金を請求する側は債権者と呼びます。

連帯保証人の負担が重いとされるのは、金額の大小だけでなく、請求の順序について主張できる権利が少ないためです。

保証人と連帯保証人の違いを比較表で確認

比較項目 通常の保証人 連帯保証人
基本的な立場 主債務者が履行しない場合に保証債務を履行 主債務者と連帯して保証債務を負担
催告の抗弁権 原則あり(例外あり) なし
検索の抗弁権 条件を満たせば主張できる なし
分別の利益 複数の保証人がいる場合、原則あり 原則なし
本人に先に請求してほしいという主張 原則可能 催告の抗弁としては不可
本人の財産から先に回収してほしいという主張 資力・執行の容易さを証明すれば可能 検索の抗弁としては不可
保証人が1人のとき 保証の範囲によっては全額の負担が生じる 保証の範囲によっては全額の負担が生じる
本人に代わって支払った後 条件に応じて求償権が生じる 条件に応じて求償権が生じる

特に大切なのは、次の3つです。

  1. 催告の抗弁権:まず本人に請求するよう求められるか。
  2. 検索の抗弁権:先に本人の財産から回収するよう求められるか。
  3. 分別の利益:保証人が複数いるとき、負担が分かれるか。

いずれも、民法の保証債務に関する規定で説明される違いです。ただし、実際の支払義務は契約の範囲や債務の有無、例外規定などで変わります。

「保証人」とは?意味と責任の範囲

保証人は、本人が履行しないときに責任を負う

民法第446条は、保証人が、主たる債務者が債務を履行しないときに、その履行をする責任を負うことを定めています。

たとえば、AさんがBさんから100万円を借り、Cさんが通常の保証人になったとしましょう。返済期日が来てもAさんが支払わなかった場合、Cさんに保証債務の履行が求められる可能性があります。

ただし、Cさんには、後で説明する催告の抗弁権や検索の抗弁権が原則として認められます。これは「借金が消える」という権利ではなく、債権者の請求や回収の順序に関して主張できる権利です。

通常の保証人でも、全額負担することはある

「普通の保証人なら半分だけ支払えばよい」と思われることがありますが、これは正確ではありません。

保証人が1人で、保証の範囲に100万円の債務全額が含まれているなら、必要な条件を満たした場合、100万円を負担することがあります。催告・検索の抗弁権を持っていることと、最終的にいくら支払う責任があるかは、別の問題です。

また、民法第447条では、保証債務には主たる債務の利息、違約金、損害賠償などが含まれることが定められています。元金だけを見て判断しないことが重要です。

「連帯保証人」とは?通常の保証人より責任が重い理由

「本人と連帯して責任を負う」とはどういう意味?

連帯保証人も、あくまで保証人の一種です。「本人とは無関係に、新しく同額の借金を作る人」という意味ではありません。

本人が返済期日に支払わなかったとき、連帯保証人は「先に本人へ請求してください」「本人に財産があるので先に差し押さえてください」といった、通常の保証人に認められる特定の主張ができません。

そのため、債権者は、本人への催告や本人の財産への執行を先に済ませなくても、連帯保証人に保証債務の履行を請求できます。

ただし、支払期限が到来していない、債務が既に支払われている、保証契約が有効に成立していないなどの事情まで無視できるわけではありません。連帯保証人にも、主債務に関する抗弁を主張できる場合があります。

連帯保証人の責任は無制限なの?

連帯保証だからといって、法律上あらゆる金額を無条件で請求できるわけではありません。責任の範囲は、主債務と保証契約の内容、適用される法令によって決まります。

後述する個人根保証契約では、極度額という上限を定める必要がある場合があります。一方、金額の確定した一回限りの借入れに対する保証などでは、個人根保証と同じ仕組みをそのまま当てはめることはできません。

違い①「催告の抗弁権」とは?まず本人に請求するよう求める権利

催告(さいこく)の抗弁権とは、債権者から通常の保証人に請求が来た際、原則として「まず主債務者に請求してください」と求められる権利です。根拠は民法第452条です。

【例】100万円の返済が滞った場合

Aさんが100万円を借り、Cさんが通常の保証人になったとします。Aさんが返済できず、債権者が最初にCさんへ請求してきました。

このときCさんは、原則として「先にAさんへ請求してください」と主張できます。これが催告の抗弁です。

ただし、Aさんが破産手続開始の決定を受けている場合や行方不明の場合には、民法第452条ただし書によってこの主張は認められません。

連帯保証人は「まず本人に請求して」と言えない

同じ状況でCさんが連帯保証人なら、催告の抗弁権はありません。Aさんへの請求が先だったかどうかを理由に、保証債務の履行を拒むことはできません。

「連帯保証人=本人が返済不能だと証明されてから初めて請求される人」ではないことが、重要なポイントです。

違い②「検索の抗弁権」とは?本人の財産から先に回収するよう求める権利

検索(けんさく)の抗弁権とは、通常の保証人が、主債務者に弁済する資力があり、その財産への強制執行が容易であることを証明した場合に、債権者に対して先に本人の財産への執行を求められる権利です。根拠は民法第453条です。

ここでの「検索」は、インターネットで調べるという意味ではなく、債務者の財産に対して先に執行することに関する法律用語です。

【例】本人に回収可能な預金がある場合

Aさんに返済可能な財産があり、執行も容易だとCさんが証明できるとします。Cさんが通常の保証人なら、まずAさんの財産から回収するよう求められます。

反対に、「本人にはお金があるはずだと思う」という推測だけでは十分ではありません。本人の支払能力と執行の容易さを証明する必要があります。

連帯保証人には検索の抗弁権がない

連帯保証人は、たとえ本人に財産があると考えていても、「先に本人の財産を差し押さえてください」と検索の抗弁権を主張することはできません。

なお、債権者が実際に預金や給与を差し押さえるには、別途、法律で定められた手続が必要です。「直接請求できる」ことと「直ちに財産を差し押さえられる」ことは同じではありません。

違い③「分別の利益」とは?保証人が2人以上いる場合の負担

分別(ぶんべつ)の利益とは、通常の保証人が複数いる場合に、原則として保証債務を人数に応じて分けて負担する扱いをいいます。民法第456条などに基づきます。

【計算例】300万円の借金に通常の保証人が2人

Aさんの借金が300万円で、CさんとDさんが通常の保証人となっているとします。例外となる約束などがなく、分別の利益が認められる場合、2人の負担は原則として次のようになります。

保証の形 Cさんへの請求可能額 Dさんへの請求可能額
通常の保証人2人(分別の利益あり) 原則150万円まで 原則150万円まで
連帯保証人2人(全額の連帯保証) 300万円まで請求され得る 300万円まで請求され得る

この表は元金300万円のみを想定した単純化した例です。利息等の有無、保証の範囲、特約などによって現実の金額は変わります。

連帯保証人が2人いれば、2人から合計600万円を取れる?

いいえ。債権者が、同じ300万円の債務について、CさんとDさんそれぞれから300万円ずつ受け取って合計600万円を取得できる、という意味ではありません。

一方の支払いによって対象となる債務が消滅すれば、その範囲で他方の支払義務も消滅します。連帯保証では、それぞれに全額を請求できることと、同じ債務を二重に回収できることは区別されます。

また、保証人が複数いる場合の負担や求償には例外や細かな条件があります。連帯保証の有無だけでなく、保証人同士の約束なども確認が必要です。

【実例】100万円を借りた本人が返済しなかったら、誰がどうなる?

ここまでの違いを一つの場面で比べてみましょう。

状況:AさんがBさんから100万円を借り、返済期日を過ぎても支払いません。Cさんが保証人になっています。

ケースA:Cさんが通常の保証人

BさんからCさんに請求が来た場合、Cさんは原則として、まずAさんへの催告を求められます。その後も、Aさんに弁済する資力があり執行が容易だと証明できるなら、Aさんの財産への執行を先に求められます。

ただし、これらの主張ができない状況や、本人から十分に回収できない状況では、Cさんが保証した範囲で支払う必要が生じます。

ケースB:Cさんが連帯保証人

Bさんは、Aさんへの催告やAさんの財産への執行を先に行わず、Cさんへ請求できます。Cさんは、通常の保証人に認められる2つの抗弁権を理由に支払いを先送りできません。

つまり、両者の違いは「通常の保証人は払わずに済む、連帯保証人だけ払う」という単純なものではありません。本人が支払わなかったとき、どの段階で、どの順序で請求を受け得るかに大きな違いがあるのです。

賃貸住宅の「連帯保証人」は家賃以外も負担するの?

保証の対象は滞納家賃だけとは限らない

アパートやマンションの契約では、借主が支払う家賃のほか、契約上負担する原状回復費用や損害賠償などが保証の対象になる場合があります。

ただし、貸主が請求するすべての費用が、必ず適法な請求になるわけではありません。借主が実際に負っている債務か、保証契約の範囲内か、金額の根拠があるかなどを確認する必要があります。

2020年4月1日以降の個人根保証契約には「極度額」が重要

賃貸住宅の家賃保証などは、将来発生する不特定の債務を保証する個人根保証契約に当たることがあります。

2020年4月1日に施行された民法改正により、個人根保証契約では、保証人が負担する上限である極度額(きょくどがく)を定めなければ契約の効力が生じません(民法第465条の2)。

例えば契約書に「極度額120万円」と明確に定められているなら、当該個人根保証契約について、保証人は原則としてその極度額を超える保証債務を負担しません。

ただし、すべての連帯保証契約に一律に極度額が必要というわけではありません。極度額が必須となるのは、法律上の個人根保証契約に当たる場合です。

また、改正法施行前の契約が、2020年4月1日に自動的にすべて無効になったわけではありません。契約の締結時期や更新の内容によって適用関係が変わるため、古い賃貸借契約では個別の確認が必要です。

国土交通省も、極度額の記載欄を設けた「連帯保証人型」の賃貸住宅標準契約書を公開しています。

「緊急連絡先」と「連帯保証人」は別の役割

入居申込書に書く緊急連絡先は、通常、本人と連絡が取れない場合の連絡先です。緊急連絡先として名前を書いたことだけで、当然に連帯保証人になるわけではありません。

逆に、連帯保証人であっても、本人に代わって荷物を処分したり賃貸借契約を解除したりする権限が、当然に与えられるわけではありません。連絡先・保証人・代理人は、それぞれ区別して確認しましょう。

借金や事業用融資では、どんなことに注意する?

友人・親族の借金でも保証契約は軽く考えない

「友人だから」「親戚だから」と保証人を引き受けても、契約が有効に成立すれば、支払義務が生じ得ます。本人が必ず返済すると約束していたとしても、それだけで保証責任がなくなるわけではありません。

また、家族であるという理由だけで、本人の借金を当然に保証することにもなりません。家族関係と保証契約による責任は別の問題です。

事業用融資では、個人の保証意思を公正証書で確認する場合がある

事業のために負担する貸金等債務を個人が保証する場合などには、一定の例外を除き、保証契約の締結に先立って保証意思宣明公正証書の作成が必要です(民法第465条の6など)。

これは、保証予定者が保証の内容とリスクを理解し、自分の意思で保証することを公証人が確認する制度です。原則として、保証契約締結日の前1か月以内に作成される必要があります。

ただし、法人の保証、主債務者である会社の一定の役員や議決権の過半数を持つ者による保証、個人事業主の一定の共同事業者や事業に現に従事する配偶者による保証など、例外があります。

「事業に関係する保証ならすべて公正証書が必要」というわけでも、「公正証書を作れば安全」というわけでもありません。対象となる債務や保証予定者の立場を確認する必要があります。

保証人になった後に知っておきたい権利と注意点

保証人が支払ったら「求償権」が生じる場合がある

保証人が本人の代わりに支払った場合、法律上の要件に応じて、その支払額などを本人へ返すよう求める権利が生じます。これを求償権(きゅうしょうけん)といいます。

ただし、求償権があるからといって、必ずお金を回収できるとは限りません。本人に資力がなければ、保証人が立て替えたお金を取り戻せない可能性があります。支払前後の通知や支払状況の確認も大切です。

一定の場合には、債務の履行状況を債権者に確認できる

民法第458条の2では、主債務者の委託を受けて保証した保証人が請求したとき、債権者は、債務の履行状況や残額などの情報を提供しなければならないと定めています。

「保証人だから何もわからないまま請求を受けるしかない」とは限りません。自分がどのような立場で保証したのかを確認し、適用される制度を利用しましょう。

保証人を辞めたいと思っても、一方的に解除できるとは限らない

「もう保証したくない」と思っても、保証契約が有効に成立している場合、原則として保証人が一方的にやめられるわけではありません。

主債務が完済された場合や、債権者が保証の終了に合意した場合など、具体的な事情によって結論は異なります。交代や解除を希望する場合は、債権者と契約内容を確認する必要があります。

契約する前に確認したい7つのチェックポイント

保証人・連帯保証人のどちらを引き受ける場合でも、少なくとも次の点を確認しましょう。

  1. 契約上の立場:「保証人」か「連帯保証人」か。単なる緊急連絡先などではないか。
  2. 保証する債務:借入金、家賃、損害賠償など、何について責任を負うのか。
  3. 責任の金額:元金だけでなく、利息・遅延損害金等が含まれるか。極度額が必要な契約か。
  4. 責任の期間:いつまでの債務を保証するか。更新や変更でどうなるか。
  5. 本人の返済能力:収入・資産・ほかの借入れなど、必要な情報を確認できるか。
  6. 他の保証人や担保:人数や保証の種類、特約、負担の分担がどう定められているか。
  7. 支払えなかった場合:自分の生活や資産にどの程度影響し得るか。保証の終了・交代条件は何か。

「名前だけ貸してほしい」「実際には支払うことはない」といった説明だけで署名しないことが大切です。わからない条項がある場合は、そのまま署名せず、書類を持って専門家に確認しましょう。

契約書に「保証人」と書いてあれば、必ず通常の保証人?

契約書の見出しや呼び方だけで、保証の内容を判断するのは危険です。

例えば、表題に「保証人」とあっても、本文に「主債務者と連帯して保証する」などの定めがある場合は、連帯保証の内容になっている可能性があります。反対に「連帯保証人」とだけ印字されていても、適法な契約の成立に必要な要件まで確認せずに、当然に有効と決めつけることはできません。

民法第446条は、保証契約について原則として書面を必要とし、契約内容を記録した電磁的記録による場合も書面とみなすと定めています。

契約書の表題・保証条項・対象となる債務・署名や電子記録の内容を合わせて確認することが重要です。条項の有効性に疑問がある場合は、個別に法律相談を利用してください。

「連帯保証人」と似た言葉の違い

「連帯債務者」と「連帯保証人」は同じ?

同じではありません。連帯債務者は、複数の人がそれぞれ債務そのものを負う立場です。一方、連帯保証人は、主たる債務者が負う債務を保証する立場です。

どちらも債権者から全額について請求され得る場面がありますが、債務の成立原因や本人との法律関係が異なります。「連帯」という言葉があるだけで同じ契約だと考えないようにしましょう。

なお、学校や職場で使う「連帯責任」は、必ずしも法律上の連帯保証や連帯債務を意味しません。日常的な連帯責任との違いは、1923.html「連帯責任とは?」で詳しく説明しています。

「保証」「保障」「補償」のどれを使う?

お金を借りた人などが支払わないとき、他の人が代わりに履行することを約束するのは「保証」です。「生活を保障する」の保障や、「損害を補償する」の補償とは区別します。

同じ「ほしょう」でも意味が異なるため、契約書を読む際には漢字にも注意しましょう。詳しくは126.html「保証・保障・補償の違い」をご覧ください。

「支払義務」と「責任」はどう関係する?

保証人には、保証契約に基づく一定の支払義務が生じ得ます。ただし、日常会話でいう「責任を感じる」ことと、法律上の「債務を履行する義務」は区別すべきです。

「責任」と「義務」という言葉の一般的な使い分けは、881.html「責任と義務の違い」も参考になります。

保証人と連帯保証人に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 保証人と連帯保証人は、どちらが責任が重いですか?

一般に連帯保証人の方が負担が重いといわれます。通常の保証人にある催告の抗弁権と検索の抗弁権がなく、複数の保証人がいるときも分別の利益が原則として認められないためです。ただし、通常の保証人でも保証範囲の全額を負担する場合があります。

Q2. 連帯保証人は、借りた本人より先に請求されることがありますか?

あります。本人が支払うべき時期に履行していない場合、債権者は、本人への催告などを先にせず、連帯保証人に保証債務を請求できます。ただし、まだ期限が来ていない債務や、すでに消滅した債務まで無条件で請求できるわけではありません。

Q3. 保証人は「本人に先に請求して」と必ず言えますか?

通常の保証人には原則として催告の抗弁権がありますが、主債務者が破産手続開始の決定を受けた場合や行方不明の場合には認められません。また、契約内容や保証の種類によっても確認が必要です。

Q4. 「検索の抗弁権」の「検索」は何を意味しますか?

この場合は、本人に弁済する資力があり、その財産への執行が容易なことを証明して、先に本人の財産に執行するよう求めることです。単に「本人にはお金がありそう」と伝えるだけでは足りません。

Q5. 保証人が2人なら、支払いも必ず2分の1ずつですか?

必ずしもそうではありません。通常の共同保証では原則として分別の利益がありますが、連帯保証である場合や例外となる特約・法的な事情がある場合は異なります。

Q6. 連帯保証人が2人いる場合、2人とも全額請求されるのですか?

それぞれに全額を請求され得ます。ただし、同じ債務を二重に回収できるわけではありません。実際の負担や保証人間の求償については、契約と法律上の要件を確認する必要があります。

Q7. 連帯保証人の家や預金は、請求されたらすぐ差し押さえられますか?

請求されたというだけで、債権者が自由に財産を差し押さえられるわけではありません。差押えには法律上の手続が必要です。ただし、支払義務を履行しなければ、適法な手続を経て強制執行の対象となる可能性があります。

Q8. 家族の借金なら、自動的に連帯保証人になりますか?

いいえ。家族であるというだけでは、当然に連帯保証人になりません。ただし、保証契約や相続など別の法律関係が問題となることはあるため、個別の事情によって確認が必要です。

Q9. 保証人と連帯保証人は口約束でも成立しますか?

民法第446条では、保証契約は原則として書面によらなければ効力を生じず、内容を記録した電磁的記録の場合も書面とみなされます。口頭で「保証する」と述べただけで有効な保証契約が成立すると考えるのは正確ではありません。

Q10. 賃貸住宅の連帯保証人には、支払額の上限がありますか?

個人が保証する賃貸借契約などで、2020年4月1日施行の改正民法が適用される個人根保証契約に当たる場合、極度額の定めが必要です。ただし、古い契約などでは適用関係を個別に確認します。

Q11. 連帯保証人になったら、後から辞められますか?

有効な保証契約を一方的な意思だけで終了させられるとは限りません。本人の完済、債権者との合意による保証の終了など、事情によって異なります。辞めたい場合は契約書を確認し、債権者に相談することが必要です。

Q12. 連帯保証人が代わりに支払ったら、本人から取り戻せますか?

一定の条件の下で求償権が生じる場合があります。ただし、本人に資力がないと回収できない可能性があります。また、保証を依頼されたかどうか、通知をしたかなどによって法律上の扱いが変わることがあります。

Q13. 会社の社長の借入れを社員が保証する場合、公正証書は必要ですか?

事業用融資など法律で定められた保証契約について、個人が保証人になる場合には、一定の例外を除き保証意思宣明公正証書が必要です。ただし、その社員の立場や債務の性質などにより結論が変わるため、「社員だから必ず必要」「経営者の知人だから不要」と一律には判断できません。

Q14. 保証会社を使えば、親族の連帯保証人は不要ですか?

保証会社の利用を認める賃貸借契約などでは、個人の連帯保証人を求めない場合があります。ただし、保証会社を利用したら必ず個人の保証人が不要になるという全国一律のルールではなく、契約条件によって異なります。

Q15. 「身元保証人」と「連帯保証人」は同じですか?

同じとは限りません。就職時などの身元保証には、金銭債務の通常の保証・連帯保証とは異なる制度や規律が関係することがあります。名称だけで責任を判断せず、何を保証する契約なのか確認しましょう。

Q16. 連帯保証人がいるなら、借りた本人は返済しなくてよくなりますか?

いいえ。本人の返済義務が消えるわけではありません。連帯保証人が弁済したときは、その弁済によって債権者に対する債務が消滅する範囲が生じますが、本人は保証人から求償を受ける可能性があります。

参考リンク

以下は、保証に関する法律上の説明を確認するための公的機関・関係団体の資料です。具体的な契約の有効性や請求の可否は、契約書と個別事情に基づいて判断する必要があります。

まとめ:通常の保証人には「請求の順序」を主張できる権利がある

「保証人」と「連帯保証人」は、どちらも本人が債務を履行しない場合に責任を負う立場ですが、主張できる権利に違いがあります。

  • 通常の保証人:原則として催告の抗弁権があり、条件を満たせば検索の抗弁権も使えます。複数の保証人がいる場合は、原則として分別の利益があります。
  • 連帯保証人:催告・検索の抗弁権がなく、分別の利益も原則としてありません。そのため、本人が履行しないときに、債権者から直接、全額の請求を受ける可能性があります。

ただし、通常の保証人でも全額を負担する場合があり、連帯保証人でも無条件に無制限の責任を負うわけではありません。具体的な責任の範囲は、主債務、保証契約、適用される法律の規定によって決まります。

とくに契約書へ署名する前には、「連帯」の有無だけでなく、保証する債務の内容、金額、期間、極度額の要否、本人の返済能力を必ず確認しましょう。負担が生活に大きく影響し得る契約だからこそ、わからないまま引き受けないことが大切です。

※本記事は日本法に基づく一般的な解説です。個別の契約の効力や支払義務については、契約締結日・保証条項・当事者の事情等によって結論が異なります。具体的な紛争では弁護士や法テラス等にご相談ください。

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