住宅ローンの負担を減らす方法として、よく比較されるのが、
「繰上返済」
と、
「借り換え」
です。
どちらも最終的な利息負担を減らせる可能性がありますが、仕組みはまったく異なります。
そのため、
「繰上返済と借り換えは何が違う?」
「金利が下がっているなら借り換えたほうがいい?」
「貯金があるなら繰上返済のほうが簡単?」
「借り換えにも手数料がかかる?」
「住宅ローン控除は引き継げる?」
と迷うこともあるでしょう。
結論からいうと、繰上返済は「現在の住宅ローンをそのまま残しながら、元金の一部または全部を予定より早く返すこと」です。一方、借り換えは「現在の住宅ローンを新しい住宅ローンで完済し、新しいローンへ乗り換えること」です。
最も簡単に覚えるなら、
繰上返済=「今のローンを早く返す」
借り換え=「今のローンから別のローンへ乗り換える」
です。
繰上返済では手元の自己資金を使って元金を減らします。
借り換えでは、新しい金融機関などから借りた資金を使って現在の住宅ローンを完済し、その後は新しい住宅ローンを返済していきます。
この記事では、「繰上返済」と「借り換え」の違いから、利息、金利、諸費用、審査、固定・変動金利、住宅ローン控除まで詳しく解説します。
- 「繰上返済」と「借り換え」の違い【結論】
- そもそも「繰上返済」とは?
- 繰上返済には「一部」と「全額」がある
- 「借り換え」とは?
- 借り換えの目的は「金利を下げる」だけではない
- 繰上返済では金利は変わらない
- 借り換えでは金利そのものを変更できる
- ただし「金利が下がる=借り換えたほうが得」ではない
- 借り換えでは抵当権の手続きも必要
- 繰上返済と借り換えの「お金の流れ」の違い
- 繰上返済には自己資金が必要
- 借り換えなら自己資金は不要?
- 借り換えでは新たな審査がある
- 繰上返済なら審査は不要?
- 利息を減らす仕組みも違う
- 100万円ある場合、繰上返済と借り換えのどちら?
- 「金利差1%なら借り換え」のような絶対ルールはない
- 借り換えで返済期間を長くするとどうなる?
- 借り換えで固定金利へ変更できる?
- 同じ金融機関で金利タイプを変えるのは「借り換え」?
- 住宅ローン控除中に繰上返済するとどうなる?
- 住宅ローン控除中に借り換えると控除は終了する?
- 借り換えれば住宅ローン控除の期間も延長される?
- 借換額が現在の残高より多い場合は住宅ローン控除に注意
- 借り換えでは団体信用生命保険も確認
- 繰上返済では団信は基本的にそのまま
- 借り換えは「手間」も比較する
- 繰上返済と借り換えを両方行うこともできる?
- 繰上返済した後に借り換えることもできる?
- 残り期間が短いと借り換え効果は小さくなりやすい
- 残高が少ない場合も借り換え効果は小さくなりやすい
- 変動金利から固定金利へ借り換えると支払額が増えることもある
- 借り換えシミュレーションでは何を見る?
- 繰上返済で確認する数字は?
- 「繰上返済・借り換え」で迷ったときの3秒判定
- 「繰上返済」を使った例文
- 「借り換え」を使った例文
- よくある間違い1:「借り換え=繰上返済」と思う
- よくある間違い2:「金利が低いローンなら借り換えれば必ず得」と思う
- よくある間違い3:「繰上返済なら金利も下がる」と思う
- よくある間違い4:「借り換えには自己資金が一切不要」と思う
- よくある間違い5:「借り換えれば住宅ローン控除が最初から始まる」と思う
- よくある間違い6:「借換金額が増えても全額が住宅ローン控除対象」と思う
- よくある間違い7:「余裕資金はすべて繰上返済すればよい」と思う
- 「繰上返済」と「借り換え」に関するよくある質問
- まとめ
- 参考リンク・出典
「繰上返済」と「借り換え」の違い【結論】
| 比較項目 | 繰上返済 | 借り換え |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | 現在のローンの元金を予定より早く返す | 新しい住宅ローンで現在のローンを完済する |
| ローン契約 | 原則として現在の契約を継続 | 新しいローン契約へ変更 |
| 自己資金 | 必要 | 借換資金を新たに借りる |
| 金利 | 現在のローン金利を基本的に継続 | 新しいローンの金利になる |
| 審査 | 通常、新規借入れと同じ審査は不要 | 新たな審査が必要 |
| 諸費用 | 商品によって繰上返済手数料など | 融資手数料・登記費用などが発生 |
| 主な目的 | 元金を早く減らす・早期完済 | 金利・金利タイプ・返済条件などの見直し |
3秒で判断するなら、
「貯金などを使って今のローン残高を減らす?」 → 繰上返済
「別の住宅ローンを借りて今のローンを完済する?」 → 借り換え
です。
そもそも「繰上返済」とは?
繰上返済とは、毎月決められている通常の返済とは別に、
住宅ローン元金の一部または全部を予定より早く返済すること
です。
住宅ローンの利息は、基本的に残っている元金に対して発生します。
そのため、元金を早く減らせば、その後に発生する利息を減らす効果があります。
たとえば住宅ローン残高が2,000万円あり、自己資金100万円を繰上返済すると、ローン残高を約1,900万円へ減らすことができます。
その100万円部分については、その後予定されていた利息を支払わなくて済むことになります。
繰上返済には「一部」と「全額」がある
繰上返済は大きく、
- 一部繰上返済
- 全額繰上返済
に分けられます。
一部繰上返済
住宅ローン残高の一部だけを予定より早く返します。
前の記事で解説したように、一部繰上返済には主に、
- 期間短縮型
- 返済額軽減型
があります。
全額繰上返済
住宅ローン残高をすべて返済し、住宅ローンそのものを完済します。
借り換えをするときにも、現在借りている住宅ローンは最終的に全額返済することになります。
ただし借り換えの場合、その資金源は自分の貯金ではなく、基本的に、
新しく借りる住宅ローン
です。
「借り換え」とは?
借り換えとは、
新しい住宅ローンを借り、その資金を使って現在返済中の住宅ローンを完済すること
です。
たとえば、
A銀行の住宅ローン残高2,000万円
があるとします。
そこでB銀行から2,000万円前後の新しい住宅ローンを借り、A銀行のローンを全額返済します。
その後は、
A銀行への返済終了
↓
B銀行への返済開始
となります。
つまり住宅そのものを買い直すわけではなく、
住宅ローンの契約先・条件を変更する
のが借り換えです。
借り換えの目的は「金利を下げる」だけではない
借り換えというと、
「高い金利から低い金利へ変更する」
というイメージが強いでしょう。
もちろん代表的な目的の一つです。
しかし、借り換えにはほかにも、
- 変動金利から固定金利へ変更する
- 固定金利から変動金利へ変更する
- 返済期間を見直す
- 団体信用生命保険の保障内容を見直す
- 金融機関を変更する
- 毎月返済額を見直す
などの目的があります。
つまり借り換えは、
住宅ローン全体を組み直す方法
と考えると分かりやすいでしょう。
繰上返済では金利は変わらない
通常の繰上返済では、現在契約している住宅ローンを継続します。
そのため基本的に、
「金利条件を変更するための手続き」ではありません。
たとえば現在、全期間固定金利2%の住宅ローンを利用している場合、100万円を一部繰上返済しても、残りのローンの金利が自動的に1%になるわけではありません。
変わるのは主に、
- ローン残高
- 返済期間
- 毎月返済額
- 将来支払う利息
です。
借り換えでは金利そのものを変更できる
借り換えでは新しいローン契約になるため、新しい金融機関・住宅ローン商品の、
新しい金利
が適用されます。
たとえば、
現在の住宅ローン:年2.0%
から、
新しい住宅ローン:年1.0%
へ借り換えれば、借換後の元金については新しい金利条件で返済していくことになります。
金利差が大きく、残高・残期間も十分にある場合には、大きな利息削減効果が生じる可能性があります。
ただし「金利が下がる=借り換えたほうが得」ではない
借り換えには諸費用がかかるからです。
住宅金融支援機構のフラット35借換融資では、借り換えに伴う費用の例として、
- 融資手数料
- 印紙税
- 現在の抵当権を抹消する費用
- 新しい抵当権を設定する費用
- 司法書士報酬
- 現在の住宅ローンを完済する際の手数料
- 経過利息
- 条件によって物件検査費用
などを挙げています。
したがって、
借換後に減る利息 > 借り換えの諸費用
となるかを確認することが重要です。
借り換えでは抵当権の手続きも必要
住宅ローンでは、一般に住宅や土地に抵当権が設定されています。
借り換えでは現在の住宅ローンを完済するため、従来の抵当権を抹消し、新しい住宅ローンのための抵当権を設定します。
住宅金融支援機構のフラット35借換融資でも、
現在の抵当権の抹消
と、
新しい抵当権の設定
に関する費用が案内されています。
このため、単純な一部繰上返済より手続きは複雑になります。
繰上返済と借り換えの「お金の流れ」の違い
繰上返済
自分の預金など
↓
現在の住宅ローン元金を返済
↓
現在の住宅ローンを継続
借り換え
新しい金融機関から住宅ローンを借りる
↓
現在の住宅ローンを全額返済
↓
従来のローン契約終了
↓
新しい住宅ローンを返済
この違いを理解すると、両者を混同しにくくなります。
繰上返済には自己資金が必要
繰上返済を行うには、原則として、
手元に返済へ回せる資金
が必要です。
たとえば500万円の繰上返済をするなら、500万円前後の自己資金を用意します。
住宅ローン残高は確実に減りますが、その分、預金などの手元資金も減ります。
そのため、
住宅ローン残高を減らすこと
と、
緊急時に使える現金を残すこと
のバランスが重要です。
借り換えなら自己資金は不要?
必ずしも完全に不要とは限りません。
新しい住宅ローンで現在の残高を借りることはできますが、借り換えにはさまざまな諸費用が発生します。
商品によっては諸費用を借入額に含められる場合もあります。
たとえばフラット35借換融資では、一定の、
- 融資手数料
- 印紙代
- 抵当権設定・抹消費用
- 司法書士報酬
- 完済時の手数料・経過利息
などを借入対象に含められる場合があります。
ただし、借入可能額・金融機関・商品によって条件が違うため、実際の自己資金負担を確認する必要があります。
借り換えでは新たな審査がある
借り換えは新しい住宅ローンを契約することなので、
改めて審査を受ける必要があります。
一般に、
- 年収
- 年齢
- 勤務状況
- 現在の住宅ローン残高
- 返済状況
- 住宅の担保評価
- 健康状態と団信の条件
などが関係します。
そのため、
「今より金利の低い住宅ローンを見つけた=必ず借り換えられる」
わけではありません。
繰上返済なら審査は不要?
一部繰上返済は、新しい住宅ローンを借りるものではないため、通常、借り換えのような新規融資審査はありません。
ただし、
- 最低繰上返済額
- 手続可能日
- 手数料
- 期間短縮できる条件
などは商品によって異なります。
金融機関の契約条件を確認する必要があります。
利息を減らす仕組みも違う
繰上返済
繰上返済では、
元金そのものを減らす
ことで将来の利息を減らします。
借り換え
借り換えでは主に、
金利を低くする
ことで将来の利息負担を減らします。
もちろん借換時に返済期間を短くしたり、自己資金を入れて借入額を減らしたりすれば、元金・期間の効果も加わります。
100万円ある場合、繰上返済と借り換えのどちら?
これは単純に金額だけでは決められません。
たとえば現在の住宅ローンが、
- すでに非常に低い金利
- 残り期間も短い
- 借り換え費用が高い
のであれば、借り換えによる利息削減が小さい場合があります。
一方、
- 現在の金利が高い
- 残高が大きい
- 返済期間が長く残っている
- 大幅に低い金利へ変更できる
のであれば、借り換えの効果が大きくなる可能性があります。
判断するときは、
借り換えをしない場合の今後の総返済額
と、
借換後の総返済額+諸費用
を比較することが重要です。
「金利差1%なら借り換え」のような絶対ルールはない
住宅ローンの借り換えについて、
「金利差○%以上なら得」
「残高○千万円以上なら得」
といった目安を見かけることがあります。
しかし実際の効果は、
- 現在の残高
- 残り返済期間
- 現在の金利
- 借換後の金利
- 金利タイプ
- 融資手数料
- 登記費用
- 返済方法
によって変わります。
したがって、
特定の金利差だけで借り換えの有利・不利を判断することはできません。
借り換えで返済期間を長くするとどうなる?
借り換え時には、商品条件の範囲内で返済期間を設定し直せる場合があります。
返済期間を長くすれば、毎月返済額を減らせる可能性があります。
ただし、
低金利になっても返済期間を大幅に延ばすと、利息を支払う期間が長くなる
ため、総返済額が想定ほど減らなかったり、条件によっては増えたりする可能性があります。
借り換えでは、金利だけでなく、
新しい返済期間
も確認しましょう。
借り換えで固定金利へ変更できる?
できます。
借換先の商品に全期間固定型があれば、変動金利から固定金利へ変更することができます。
住宅金融支援機構のフラット35借換融資も、
全期間固定金利の住宅ローンへの借り換え
に利用できる商品です。
そのため借り換えは、単なる金利引下げだけではなく、
将来の金利上昇リスクを見直す方法
として使われることもあります。
同じ金融機関で金利タイプを変えるのは「借り換え」?
必ずしもそうではありません。
現在の住宅ローン契約の範囲内で、
変動金利から固定期間選択型へ変更する
などの手続きができる商品があります。
この場合、既存ローンを完済して新しいローン契約へ切り替えるわけではないため、一般的な意味での「借り換え」とは区別されます。
借り換えとは基本的に、
従来のローンを完済し、新しい住宅ローン契約へ変更すること
です。
住宅ローン控除中に繰上返済するとどうなる?
繰上返済すると住宅ローン残高が減ります。
住宅ローン控除は一定の要件のもと、年末時点の住宅ローン残高等を基に計算されるため、繰上返済の時期・金額によって控除額へ影響する場合があります。
また期間短縮型で返済期間を大幅に短くした場合には、
償還期間10年以上
という要件にも注意が必要です。
したがって住宅ローン控除期間中は、
利息軽減額
だけでなく、
控除額への影響
も確認する必要があります。
住宅ローン控除中に借り換えると控除は終了する?
一定の要件を満たせば、借り換え後も住宅ローン控除を引き続き受けられる場合があります。
国税庁によると、借換後の新しい住宅ローンについて、
- 当初の住宅ローンを返済するための借入れであることが明らかである
- 償還期間10年以上など、住宅ローン控除の対象となる借入金の要件を満たす
といった条件を満たせば、控除を継続できる場合があります。
借り換えれば住宅ローン控除の期間も延長される?
されません。
国税庁は、住宅ローンを借り換えても住宅ローン控除を受けられる年数が延長されるわけではないと説明しています。
たとえば当初の住宅取得による控除期間が残り5年なら、借り換えをしたことで新たに最初から控除期間が始まるわけではありません。
借換額が現在の残高より多い場合は住宅ローン控除に注意
借り換えの際、諸費用などを含めて、
借換後の借入額が借換直前の住宅ローン残高を上回る
ことがあります。
この場合、国税庁では、借換後の年末残高の全額ではなく、
当初の住宅ローン残高に対応する部分
を住宅ローン控除の対象額として計算する取り扱いを示しています。
つまり、住宅取得とは無関係な追加借入部分まで、そのまま住宅ローン控除の対象になるわけではありません。
借り換えでは団体信用生命保険も確認
住宅ローンを借り換えると、新しい住宅ローンの団体信用生命保険へ加入することになる場合があります。
そのため、金利だけでなく、
- 死亡・高度障害保障
- がん保障
- 三大疾病保障
- その他の疾病保障
なども比較ポイントになります。
一方で、健康状態や年齢によっては希望する団信に加入できず、借り換えの選択肢が限定される場合もあります。
繰上返済では団信は基本的にそのまま
繰上返済は現在の住宅ローン契約を継続するため、通常は現在加入中の団信も契約に沿って継続します。
ただし、全額繰上返済して住宅ローンそのものを完済すれば、そのローンに付随する団信も終了します。
借り換えは「手間」も比較する
繰上返済は、現在の金融機関でインターネットなどから比較的簡単に手続きできる商品もあります。
一方、借り換えでは、
- 借換先を探す
- 事前審査・本審査
- 必要書類を提出する
- 新しいローン契約を締結する
- 現在のローンを完済する
- 抵当権を抹消する
- 新しい抵当権を設定する
などの手続きが必要になります。
そのため、利息削減額だけでなく、
費用と手続き負担に見合う効果があるか
も考える必要があります。
繰上返済と借り換えを両方行うこともできる?
できます。
たとえば、現在の住宅ローン残高が2,000万円あり、借り換え時に自己資金200万円を入れるとします。
新しい住宅ローンを、
1,800万円
程度に減らして借り換えるという考え方です。
この場合、
元金を減らす効果
と、
新しい金利へ変更する効果
の両方を得られる可能性があります。
ただし手元資金が減る点や、諸費用、住宅ローン控除への影響は確認が必要です。
繰上返済した後に借り換えることもできる?
可能ですが、繰上返済によって残高が小さくなるほど、借り換えによって削減できる将来利息も小さくなる傾向があります。
そのため、
先に大きく繰上返済してから借り換える
より、
借り換え・繰上返済をまとめてシミュレーションする
ほうが比較しやすいでしょう。
残り期間が短いと借り換え効果は小さくなりやすい
借り換えの主なメリットは、将来支払う利息を減らすことです。
ところが完済まで残り数年しかなければ、そもそもこれから支払う利息の総額が少なくなっています。
そこから金利を引き下げても、諸費用を上回る削減効果が出にくくなる場合があります。
このため借り換えでは、
金利差だけでなく「残り期間」と「残高」
が重要です。
残高が少ない場合も借り換え効果は小さくなりやすい
同じ1%の金利差でも、
残高3,000万円
と、
残高300万円
では削減できる利息額が大きく違います。
借換費用には一定額の固定的な費用もあるため、残高が少なくなるほど費用を回収しにくくなる場合があります。
変動金利から固定金利へ借り換えると支払額が増えることもある
借り換えは必ず「金利を下げるため」に行うものではありません。
たとえば低い変動金利から、より高い全期間固定金利へ借り換えるケースがあります。
この場合、借換直後の金利や毎月返済額は上昇する可能性があります。
しかし目的が、
将来の利上げリスクをなくすこと
なら、必ずしも失敗という意味ではありません。
つまり借り換えは、
「総返済額を下げる」
だけでなく、
「将来の金利リスクを変更する」
ためにも使われます。
借り換えシミュレーションでは何を見る?
借り換えを比較するときは、少なくとも、
- 現在の住宅ローン残高
- 現在の金利
- 残り返済期間
- 借換後の金利
- 借換後の返済期間
- 融資手数料
- 登記・司法書士等の費用
- 借換前後の総返済額
を確認しましょう。
住宅金融支援機構もフラット35借換融資について、借換前後の返済額等を比較できるシミュレーションを用意しています。
繰上返済で確認する数字は?
繰上返済の場合は、
- 繰上返済する金額
- 利息軽減額
- 期間短縮月数
- 毎月返済額の軽減額
- 繰上返済後の残高
- 手元に残る預金
- 住宅ローン控除への影響
を確認すると分かりやすくなります。
「繰上返済・借り換え」で迷ったときの3秒判定
| 実現したいこと | 主に検討する方法 |
|---|---|
| 自己資金でローン残高を減らしたい | 繰上返済 |
| 早く完済したい | 期間短縮型の繰上返済 |
| 毎月返済額を減らしたい | 返済額軽減型または借り換え |
| 住宅ローン金利そのものを下げたい | 借り換え |
| 変動金利から固定金利へ変更したい | 借り換えなどを検討 |
| ローン契約先を変更したい | 借り換え |
| 新しい借入審査を避けたい | 繰上返済 |
「繰上返済」を使った例文
- 余裕資金100万円を住宅ローンの繰上返済に使った。
- 繰上返済によって元金を減らし、将来の利息負担を抑えた。
- 期間短縮型の繰上返済で完済時期を早めた。
- 住宅ローン控除への影響を確認してから繰上返済を行った。
- 繰上返済後も生活防衛資金を十分に残した。
「借り換え」を使った例文
- より低い金利の住宅ローンへ借り換えを検討する。
- 変動金利から全期間固定金利へ借り換えた。
- 借り換えでは金利だけでなく諸費用も確認する必要がある。
- 住宅ローンの借り換えに伴い新たな審査を受けた。
- 借り換え後も一定の要件を満たせば住宅ローン控除を継続できる場合がある。
よくある間違い1:「借り換え=繰上返済」と思う
借り換えでは現在のローンを完済しますが、資金源は基本的に新しい住宅ローンです。
自己資金で元金を予定より早く返す繰上返済とは異なります。
よくある間違い2:「金利が低いローンなら借り換えれば必ず得」と思う
借り換えには融資手数料、登記費用、司法書士報酬などがかかります。
金利差だけでなく総支払額で比較する必要があります。
よくある間違い3:「繰上返済なら金利も下がる」と思う
繰上返済は元金を減らす手続きであり、現在の契約金利そのものを引き下げる仕組みではありません。
よくある間違い4:「借り換えには自己資金が一切不要」と思う
諸費用をすべて新しい借入れに含められるとは限りません。
金融機関・商品によって自己資金が必要になる場合があります。
よくある間違い5:「借り換えれば住宅ローン控除が最初から始まる」と思う
借り換えによって住宅ローン控除の適用期間が延長されることはありません。
一定の要件を満たせば、残っている控除期間について引き続き適用を受けられる場合があります。
よくある間違い6:「借換金額が増えても全額が住宅ローン控除対象」と思う
借換額が借換直前の住宅ローン残高より大きい場合、控除対象となる年末残高は一定の方法で調整されます。
追加借入部分すべてが控除対象になるとは限りません。
よくある間違い7:「余裕資金はすべて繰上返済すればよい」と思う
住宅ローン残高は減りますが、手元の現金も減ります。
病気、失業、住宅修繕などに備える生活防衛資金とのバランスが重要です。
「繰上返済」と「借り換え」に関するよくある質問
Q1. 一番簡単な違いは何ですか?
繰上返済は現在の住宅ローンの元金を早く返すこと、借り換えは新しい住宅ローンで現在の住宅ローンを完済して乗り換えることです。
Q2. 利息を減らせるのはどちらですか?
どちらも減らせる可能性があります。
繰上返済は元金を減らすことで、借り換えは主に金利や返済条件を変更することで利息負担を減らします。
Q3. 貯金を使うのはどちらですか?
基本的には繰上返済です。
借り換えは新しい住宅ローンで現在のローンを返済しますが、諸費用などに自己資金が必要になる場合があります。
Q4. 借り換えでは審査がありますか?
はい。
新しい住宅ローンを契約するため、新たな審査を受ける必要があります。
Q5. 繰上返済にも手数料がありますか?
商品によって異なります。
インターネットでの一部繰上返済を無料としている商品もありますが、金融機関・手続方法によって条件が違います。
Q6. 借り換えではどんな費用がかかりますか?
商品によりますが、融資手数料、印紙税、抵当権の抹消・設定費用、司法書士報酬、完済時の手数料・経過利息などが発生する場合があります。
Q7. 住宅ローン控除中でも借り換えできますか?
できます。
当初ローン返済のための借入れであることが明らかで、借換後のローンも償還期間10年以上など一定の要件を満たせば、引き続き控除を受けられる場合があります。
Q8. 借り換えれば住宅ローン控除期間は延びますか?
延びません。
住宅ローン控除を受けられる年数は、借り換えによって新たに最初から計算されるわけではありません。
Q9. 変動金利から固定金利へ変更したい場合は?
現在の金融機関の商品内で金利タイプを変更できる場合もあります。
それができない場合や別の条件へ変更したい場合には、固定金利型住宅ローンへの借り換えも選択肢になります。
Q10. どちらを検討するときも最も重要なことは?
繰上返済なら、
- 利息軽減額
- 手元資金
- 住宅ローン控除への影響
を確認します。
借り換えなら、
- 借換前後の金利
- 残高・残期間
- 諸費用
- 借換後の総返済額
を比較することが重要です。
まとめ
「繰上返済」と「借り換え」は、どちらも住宅ローン負担を見直す方法ですが、仕組みは大きく異なります。
| 繰上返済 | 借り換え |
|---|---|
| 現在のローン元金を早く返す | 新しいローンへ乗り換える |
| 自己資金を使う | 新しい住宅ローンを借りる |
| 現在の契約を基本的に継続 | 現在のローンを完済し新契約へ変更 |
| 元金減少によって利息を減らす | 金利・条件変更によって負担を見直す |
| 新規融資審査は通常不要 | 新たな審査が必要 |
最も簡単な覚え方は、
繰上返済=「今の住宅ローンを小さくする」
借り換え=「住宅ローンそのものを入れ替える」
です。
繰上返済では、
自己資金
↓
住宅ローン元金を減らす
↓
将来の利息を減らす
という仕組みです。
借り換えでは、
新しい住宅ローンを契約
↓
現在の住宅ローンを完済
↓
新しい金利・条件で返済
となります。
どちらが適しているかは、目的によって変わります。
完済を早めたい・自己資金で元金を減らしたい → 繰上返済
高い金利を見直したい・金利タイプを変更したい → 借り換え
という整理が分かりやすいでしょう。
ただし借り換えでは、
金利が低くなること
だけを見るのではなく、
融資手数料・登記費用などを含めても総支払額が減るか
を確認することが重要です。
一方、繰上返済では、
利息を減らせること
だけを見るのではなく、
繰上返済後に十分な現金を手元へ残せるか
も確認する必要があります。
また住宅ローン控除中なら、
繰上返済 → 償還期間・年末残高への影響
借り換え → 控除継続要件・控除対象残高への影響
を確認しましょう。
関連用語まで整理すると、
一部繰上返済=元金の一部を予定より早く返済する
全額繰上返済=残っているローンをすべて返済して完済する
期間短縮型=毎月返済額を維持して完済時期を早める
返済額軽減型=返済期間を維持して毎月返済額を減らす
借り換え=新しい住宅ローンで現在のローンを完済し、新しい契約へ変更する
となります。
住宅ローンを見直すときは、単に、
「今より金利が低いか」
だけではなく、
「残高・残期間・諸費用・総返済額・手元資金まで含めるとどうなるか」
を比較しましょう。
繰上返済と借り換えの違いを理解しておけば、自分が住宅ローンで何を改善したいのかを明確にしやすくなります。
参考リンク・出典
-
住宅金融支援機構「繰上返済」
― 住宅ローンの全部または一部を繰り上げて返済する仕組み、一部繰上返済の期間短縮型・返済額軽減型などを案内 -
フラット35「借換えをご検討の方」
― 現在の住宅ローンから全期間固定金利のフラット35借換融資へ借り換える仕組み、資金使途・利用条件などを掲載 -
フラット35「借換融資のご利用条件」
― 借換対象となる住宅ローン、借入額、融資手数料、抵当権設定・抹消費用、司法書士報酬など借り換えに伴う諸費用を解説 -
フラット35「借換融資の手続」
― 借換申込み、契約、現在の住宅ローンの完済、抵当権抹消・新たな抵当権設定などの手続きを案内 -
フラット35「借換融資 ケーススタディ・試算例」
― 借換前後の返済額・総返済額の比較例と、借り換え時に必要となる諸費用について説明 -
国税庁「No.1233 住宅ローン等の借換えをしたとき」
― 借換後の住宅ローンでも一定の要件を満たせば住宅ローン控除を継続できること、借り換えによって控除期間は延長されないこと、借換額が従前残高を上回る場合の控除対象残高の計算方法を解説
※借り換えによる効果は、現在の金利と借換後の金利の差だけでは決まりません。ローン残高、残り返済期間、借換後の返済期間、融資手数料、登記費用などを含めた総支払額で比較してください。
※借り換え時に必要となる融資手数料・抵当権設定費用・司法書士報酬などは金融機関や商品によって異なります。本記事で挙げた項目は代表例です。
※住宅ローン控除を受けている場合、繰上返済・借り換えのいずれでも税額控除へ影響する可能性があります。借り換えでは一定の要件を満たすことで控除を継続できる場合がありますが、借り換えによって当初の控除期間が延長されることはありません。
※繰上返済や借り換えを行う際は、利息削減額だけでなく、生活防衛資金、将来支出、団体信用生命保険、手数料なども含めて検討してください。
