「起訴」と「告訴」の違いとは?被害届・告発・逮捕・送検との違いも刑事手続の流れで徹底解説

事件や裁判のニュースを見ていると、

  • 被害者が告訴した
  • 検察官が起訴した
  • 警察に被害届を出した
  • 容疑者が逮捕された
  • 事件が送検された

といった言葉が次々に出てきます。

中でも「起訴」と「告訴」は漢字も響きも似ているため、

  • 起訴と告訴は何が違うのか
  • 被害者が相手を起訴することはできるのか
  • 告訴すれば必ず起訴されるのか
  • 被害届と告訴はどう違うのか
  • 告発と告訴の違いは何か
  • 逮捕されたら必ず起訴されるのか
  • 送検されたら起訴されたという意味なのか

と混乱しやすい言葉です。

結論から言えば、「告訴」は、犯罪の被害者などの告訴権者が捜査機関に犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める行為です。

一方、「起訴」は、原則として検察官が、被疑者について刑事裁判を行うよう裁判所に求めることです。

簡単に言えば、

  • 告訴=被害者側などから「この犯罪について処罰してください」と捜査機関に求める
  • 起訴=検察官が「この事件を刑事裁判にかけます」と裁判所へ公訴を提起する

という違いです。

したがって、通常の刑事事件では、

被害者が相手を直接「起訴」するわけではありません。

被害者などは告訴をすることができ、その後、警察・検察による捜査などを経て、検察官が起訴するか不起訴にするかを判断します。

この記事では、「起訴」と「告訴」の違いを中心に、「被害届」「告発」「逮捕」「送検」「書類送検」「不起訴」「公訴」まで、刑事手続の流れに沿って詳しく解説します。

  1. 結論:「告訴」は捜査機関への申告、「起訴」は裁判所への公訴提起
  2. 「告訴」とは?
    1. 告訴のポイント
  3. 「起訴」とは?
    1. 起訴のポイント
  4. 最大の違いは「誰が・どこへ・何を求めるか」
    1. 1. 誰がするのか
    2. 2. どこへするのか
    3. 3. 何を求めるのか
  5. 刑事事件の流れで見ると分かりやすい
  6. 告訴したらすぐ裁判になる?
  7. 告訴すれば必ず起訴される?
  8. 起訴されたら有罪?
  9. 被害者が相手を「起訴する」は正しい?
  10. なぜ「原則として」検察官なの?
  11. 「公訴」と「起訴」の違い
  12. 「告訴」と「公訴」の違い
  13. 「被害届」と「告訴」の違い
  14. 被害届を出せば告訴したことになる?
  15. 「告訴」と「告発」の違い
  16. 告訴と告発はどちらも「起訴」ではない
  17. 「親告罪」とは?
  18. すべての犯罪で告訴が必要?
  19. 性犯罪はすべて親告罪?
  20. 告訴は取り消せる?
  21. 「逮捕」と「告訴」の違い
  22. 逮捕されたら起訴される?
  23. 起訴されずに釈放されることもある
  24. 「送検」と「起訴」の違い
  25. 送検されたら犯罪者確定?
  26. 「書類送検」とは?
  27. 「起訴」と「不起訴」の違い
  28. 「起訴猶予」とは?
  29. 「公判請求」と「起訴」の違い
  30. 「略式起訴」とは?
  31. 「告訴状」と「起訴状」の違い
    1. 告訴状
    2. 起訴状
  32. 被害者が「起訴状」を作る?
  33. 告訴状を提出すれば必ず受理される?
  34. 刑事告訴と民事訴訟は違う
  35. 「訴える」と「告訴する」は同じ?
  36. 「告訴された人」は何と呼ぶ?
  37. 「被疑者」と「被告人」の違い
  38. 告訴した人は「告訴人」
  39. 告訴人は起訴・不起訴の結果を知れる?
  40. 「起訴」と「立証」の違い
  41. 告訴すれば警察は必ず逮捕する?
  42. 告訴すれば必ず有罪になる?
  43. 告訴されたという報道を見るときの注意点
  44. ニュース用語を時系列で整理
  45. 「告訴→起訴→有罪」は自動ではない
  46. 「起訴」と「告訴」を漢字で覚える
    1. 告訴
    2. 起訴
  47. 「起訴」と「告訴」を3秒で見分ける方法
  48. 具体例で使い分けを確認
    1. 例1:被害者が警察へ処罰を求める
    2. 例2:検察官が刑事裁判へ進める
    3. 例3:警察へ被害を知らせる
    4. 例4:第三者が犯罪を申告する
    5. 例5:裁判へ進まなかった
  49. よくある間違い
    1. 間違い1:「被害者が犯人を起訴した」
    2. 間違い2:「告訴されたから有罪だ」
    3. 間違い3:「逮捕されたから起訴された」
    4. 間違い4:「送検されたから裁判になる」
    5. 間違い5:「不起訴だから必ず犯罪事実がなかった」
  50. 似た法律用語との比較一覧
  51. 「証明」と「立証」も刑事裁判では区別したい
  52. 告訴を考えるときは一般論だけで判断しない
  53. よくある質問
    1. Q1. 「告訴」とは簡単に言うと何ですか?
    2. Q2. 「起訴」とは簡単に言うと何ですか?
    3. Q3. 起訴と告訴は同じですか?
    4. Q4. 被害者が犯人を起訴できますか?
    5. Q5. 告訴したら必ず起訴されますか?
    6. Q6. 起訴されたら有罪ですか?
    7. Q7. 被害届と告訴の違いは何ですか?
    8. Q8. 告訴と告発の違いは?
    9. Q9. 逮捕されたら必ず起訴されますか?
    10. Q10. 書類送検されたら起訴されたという意味ですか?
    11. Q11. 告訴がなければ起訴できない犯罪はありますか?
    12. Q12. 一番簡単な見分け方は?
  54. まとめ
  55. 参考資料

結論:「告訴」は捜査機関への申告、「起訴」は裁判所への公訴提起

まず違いを表で整理します。

項目 告訴 起訴
読み方 こくそ きそ
基本的な意味 犯罪事実を捜査機関に申告し、犯人の処罰を求める 刑事裁判を求めて公訴を提起する
行う人 被害者などの告訴権者 原則として検察官
相手先 検察官・司法警察員など 裁判所
段階 主に捜査の入口・捜査段階 捜査後、裁判へ進む段階
刑事裁判が始まるか 告訴だけでは始まらない 起訴によって刑事裁判手続へ進む

一言で覚えるなら、

告訴 → 捜査機関へ

起訴 → 裁判所へ

です。

「告訴」とは?

「告訴」は「こくそ」と読みます。

刑事手続における告訴は、犯罪の被害者など、法律上告訴する権利を持つ人が、検察官や司法警察員などの捜査機関に犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求めることです。

たとえば、犯罪被害に遭った人が、

「このような犯罪被害を受けました。犯人を処罰してほしいです。」

という意思を捜査機関に示すことが告訴です。

告訴のポイント

  • 犯罪事実を申告する
  • 犯人の処罰を求める意思を示す
  • 捜査機関に対して行う
  • 被害者など一定の告訴権者が行う

「起訴」とは?

「起訴」は「きそ」と読みます。

刑事事件における起訴とは、検察官が、被疑者について裁判所で刑事裁判を行うよう求めて公訴を提起することです。

検察官は捜査によって集められた証拠などを検討し、事件を起訴するか不起訴にするか判断します。

起訴する場合には、原則として起訴状を裁判所へ提出します。

そして、起訴された人は「被疑者」から「被告人」と呼ばれるようになります。

起訴のポイント

  • 原則として検察官が行う
  • 裁判所に公訴を提起する
  • 起訴後は刑事裁判手続へ進む
  • 起訴された被疑者は「被告人」となる

最大の違いは「誰が・どこへ・何を求めるか」

二つの違いは、次の3点を見ると簡単です。

1. 誰がするのか

告訴:

被害者などの告訴権者。

起訴:

原則として検察官。

2. どこへするのか

告訴:

警察・検察などの捜査機関。

起訴:

裁判所。

3. 何を求めるのか

告訴:

犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める。

起訴:

刑事裁判によって事件を審理するよう求める。

刑事事件の流れで見ると分かりやすい

一般的な刑事事件の流れを単純化すると、次のようになります。

犯罪が発生

↓

被害届・告訴など

↓

警察などによる捜査

↓

検察官へ事件が送られる

↓

検察官による捜査・処分判断

↓

起訴 または 不起訴

↓

起訴された場合は刑事裁判

この流れを見ると、「告訴」と「起訴」は同じ段階の手続ではないことが分かります。

告訴したらすぐ裁判になる?

いいえ。

告訴しただけで直ちに刑事裁判が始まるわけではありません。

告訴は捜査の端緒となり、その後、警察・検察などが事実関係や証拠を調べます。

そのうえで検察官が、

  • 犯罪を立証できる証拠があるか
  • 起訴することが相当か
  • 不起訴とする事情があるか

などを検討します。

したがって、

告訴 → 自動的に起訴

ではありません。

告訴すれば必ず起訴される?

必ずではありません。

告訴された事件についても、捜査の結果、検察官が不起訴処分とすることがあります。

たとえば、

  • 犯罪を行ったとの嫌疑が十分でない
  • 犯罪の成立を認められない
  • さまざまな事情を考慮して起訴を猶予する

といった場合です。

したがって、

告訴された=有罪

でも、

告訴された=必ず起訴

でもありません。

起訴されたら有罪?

これも違います。

起訴は、検察官が刑事裁判を求めた段階です。

有罪・無罪を最終的に判断するのは裁判所です。

したがって、

起訴=有罪確定

ではありません。

裁判では検察官が証拠に基づいて犯罪事実を立証し、被告人・弁護人にも主張・立証の機会があります。

最終的に裁判所が判断します。

被害者が相手を「起訴する」は正しい?

通常の日本の刑事手続を表す場合は、注意が必要な表現です。

原則として、公訴を提起する権限を持つのは検察官です。

したがって被害者については、通常、

「相手を告訴した」

と表現します。

「被害者が相手を起訴した」とすると、刑事手続としては不正確になる場合があります。

なぜ「原則として」検察官なの?

日本の刑事手続では、公訴の提起は原則として検察官が行います。

これを一般に「起訴独占主義」と説明することがあります。

ただし、検察審査会で一定の手続きを経て「起訴議決」が行われた場合には、裁判所から指定された弁護士が検察官の職務を行い、公訴を提起する制度もあります。

そのため、厳密には「絶対に検察官だけ」と断定するより、

原則として検察官

とするのが適切です。

「公訴」と「起訴」の違い

「公訴」は、刑事事件について国が裁判所へ審判を求める訴えです。

「起訴」は、その公訴を提起することを意味します。

そのため、刑事事件では、

起訴=公訴を提起すること

と理解すると分かりやすいでしょう。

「告訴」と「公訴」の違い

漢字が似ていますが、まったく別の段階です。

言葉 意味
告訴 被害者などが捜査機関へ犯罪を申告し処罰を求める
公訴 検察官などが刑事裁判を求めて裁判所へ提起する

「告訴したから公訴になる」のではなく、その間に捜査・検察官の判断があります。

「被害届」と「告訴」の違い

非常に混同しやすい言葉です。

法務省は、犯罪被害者が捜査機関に被害届を提出して被害を申告できるほか、犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める告訴をすることができると説明しています。

簡単に整理すると、

  • 被害届=犯罪被害に遭った事実を申告する
  • 告訴=犯罪事実を申告し、犯人を処罰してほしいという意思も示す

という違いがあります。

被害届を出せば告訴したことになる?

同じではありません。

被害届は被害の申告です。

告訴には、犯罪事実の申告だけでなく、犯人を処罰してほしいという意思が含まれます。

したがって、単に被害届を提出しただけで、当然に告訴と同じ扱いになるとは限りません。

「告訴」と「告発」の違い

「告発」も告訴に非常によく似ています。

法務省は、被害者が捜査機関に犯罪事実を申告して犯人の処罰を求めることを「告訴」、被害者以外の人が犯罪事実を申告して犯人の処罰を求めることを「告発」と説明しています。

簡単に言えば、

  • 告訴=被害者などの告訴権者が行う
  • 告発=被害者ではない第三者などが行う

という違いです。

告訴と告発はどちらも「起訴」ではない

告訴・告発はいずれも、捜査機関へ犯罪事実を知らせ、処罰を求める段階です。

その後、捜査を経て検察官が起訴・不起訴を判断します。

つまり、

告訴・告発 → 捜査 → 起訴判断

という流れです。

「親告罪」とは?

告訴について調べると「親告罪」という言葉が出てきます。

親告罪とは、起訴するために原則として告訴を必要とする犯罪です。

法務省の犯罪白書では、名誉毀損や器物損壊などについて、親告罪では告訴が訴訟条件となることが説明されています。

つまり親告罪では、原則として告訴がなければ検察官が公訴を提起できません。

すべての犯罪で告訴が必要?

いいえ。

告訴がなければ起訴できないのは親告罪など一定の場合です。

多くの犯罪では、被害者が告訴していなくても、捜査によって犯罪事実が明らかになり、要件を満たせば起訴されることがあります。

したがって、

告訴がなければ犯罪者を起訴できない

という一般的な理解は正しくありません。

性犯罪はすべて親告罪?

現在はそのようには整理できません。

法務省は、かつて一部の性犯罪に告訴が必要とされていましたが、2017年の刑法改正によって非親告罪化されたことを説明しています。

そのため、性犯罪だから必ず告訴がなければ起訴できない、というわけではありません。

告訴は取り消せる?

刑事訴訟法上、一定の範囲で告訴の取消しが認められています。

ただし時期や再告訴の可否などについて法律上のルールがあります。

また、親告罪かどうかによって告訴の取消しが事件へ与える影響も異なります。

実際の事件について判断が必要な場合は、弁護士や警察・検察などの専門窓口へ確認することが重要です。

「逮捕」と「告訴」の違い

告訴は、被害者などが処罰を求める意思を捜査機関へ示す行為です。

逮捕は、一定の要件のもとで被疑者の身体を拘束する捜査上の手続です。

そのため、

告訴した=逮捕される

ではありません。

告訴されても逮捕されずに捜査される事件があります。

逮捕されたら起訴される?

必ずではありません。

逮捕は捜査段階の手続です。

その後、捜査結果を踏まえて検察官が起訴・不起訴を判断します。

したがって、

逮捕 → 必ず起訴

ではありません。

起訴されずに釈放されることもある

逮捕・勾留された後でも、不起訴処分になり釈放される場合があります。

逆に、逮捕されず在宅で捜査された事件でも、後に起訴される場合があります。

そのため、

逮捕の有無と起訴の有無は別の問題

です。

「送検」と「起訴」の違い

「送検」もニュースで頻繁に使われます。

一般に送検とは、警察が捜査した事件を検察官へ送ることを指す表現です。

一方、起訴は、その後、検察官が裁判所へ刑事裁判を求める手続です。

流れとしては、

警察の捜査

↓

送検

↓

検察官の処分判断

↓

起訴 または 不起訴

となります。

送検されたら犯罪者確定?

違います。

送検された時点では、検察官がこれから処分を判断する段階の事件もあります。

さらに起訴されたとしても、有罪が確定したわけではありません。

刑事裁判で有罪判決が確定するまでは、これらを区別する必要があります。

「書類送検」とは?

ニュースでは「書類送検」という言葉もよく使われます。

一般には、被疑者の身柄を拘束したまま送るのではなく、事件の書類や証拠などを検察官へ送る場合に使われる報道上・実務上の表現です。

「書類送検された=起訴された」ではありません。

書類送検後も検察官が起訴・不起訴を判断します。

「起訴」と「不起訴」の違い

起訴は刑事裁判を求める処分です。

不起訴は、検察官が公訴を提起しない処分です。

不起訴には事情に応じてさまざまな理由があります。

たとえば、

  • 嫌疑がない
  • 嫌疑が十分でない
  • 起訴猶予

などがあります。

「起訴猶予」とは?

起訴猶予は、犯罪の嫌疑が十分にある場合でも、

  • 犯人の性格
  • 年齢
  • 境遇
  • 犯罪の軽重
  • 情状
  • 犯罪後の状況

などを考慮し、あえて起訴しない処分です。

つまり、

不起訴=すべて「無実だった」という意味

ではありません。

「公判請求」と「起訴」の違い

起訴処分には、公判請求などがあります。

公判請求は、公開の法廷で通常の刑事裁判を行うことを求める起訴です。

一方、一定の比較的軽い事件では「略式命令請求」が行われる場合もあります。

つまり「起訴」という言葉は、公判請求だけを意味するとは限りません。

「略式起訴」とは?

ニュースでは「略式起訴」という言葉も使われます。

一般には、検察官が簡易裁判所に略式命令を請求し、正式な公判を開かず書面審理によって罰金・科料を科す手続へ進むものを指します。

通常の公判請求とは手続が異なります。

「告訴状」と「起訴状」の違い

漢字が一文字違うだけですが、まったく違う書類です。

告訴状

告訴するため、犯罪事実や処罰を求める意思などを示す書面として作成されるもの。

起訴状

検察官が公訴を提起する際に裁判所へ提出する書面。

起訴状には、被告人を特定する事項や公訴事実などが記載されます。

被害者が「起訴状」を作る?

通常は作りません。

起訴状は検察官が公訴を提起する際に裁判所へ提出する書面です。

被害者側が告訴のために用いる書面とは役割が違います。

告訴状を提出すれば必ず受理される?

実際の告訴では、法律上の告訴に当たるか、必要事項が備わっているかなどが問題になる場合があります。

単に「告訴状」というタイトルを付ければすべて告訴になるわけではありません。

実際の事件について告訴を検討している場合は、警察・検察・弁護士などへ相談するのが適切です。

刑事告訴と民事訴訟は違う

「訴」という漢字が入っているため、告訴と民事訴訟も混同されることがあります。

刑事告訴は、犯罪について刑事責任を追及してほしいと捜査機関へ求めるものです。

民事訴訟は、損害賠償・契約・金銭などの民事上の権利義務について裁判所に判断を求める手続です。

たとえば詐欺被害について、

  • 犯罪として処罰してほしい → 刑事手続・告訴など
  • 被害金を返してほしい → 民事上の請求

というように、目的が異なります。

「訴える」と「告訴する」は同じ?

日常語の「訴える」は意味が広い言葉です。

「相手を訴える」と言った場合、

  • 民事訴訟を起こす
  • 刑事告訴する
  • 捜査機関へ相談する

など、何を指しているのか曖昧な場合があります。

法律上の手続を説明するときは、「告訴」「民事訴訟」など具体的な言葉を使うほうが正確です。

「告訴された人」は何と呼ぶ?

告訴されたからといって直ちに「被告人」になるわけではありません。

捜査の対象となっている段階では「被疑者」と呼ばれます。

そして検察官によって起訴されると、刑事裁判上は「被告人」となります。

「被疑者」と「被告人」の違い

この二つも重要です。

言葉 段階
被疑者 犯罪の疑いをかけられ、捜査対象となっている段階
被告人 起訴され、刑事裁判を受ける段階

起訴が、呼び方が変わる大きな境目です。

告訴した人は「告訴人」

告訴した人は「告訴人」と呼ばれます。

法務省の犯罪白書では、検察官が告訴等のあった事件について起訴・不起訴の処分をした場合、告訴人等へ通知する制度が説明されています。

告訴人は起訴・不起訴の結果を知れる?

告訴等があった事件について、検察官が起訴または不起訴の処分をした場合には、告訴人等への通知について刑事訴訟法上の仕組みがあります。

不起訴となった場合、告訴人等から請求があれば、その理由を告げる仕組みもあります。

「起訴」と「立証」の違い

起訴は刑事裁判を開始するために公訴を提起することです。

立証は、裁判の中で主張する事実が正しいことを証拠によって明らかにすることです。

検察官は起訴した後、裁判で被告人が犯罪を行ったことを証拠に基づいて立証する役割を負います。

「実証」と「立証」の違いについては、「実証」と「立証」の違いとは?意味・使い分けを研究・裁判・ビジネスの例文で徹底解説も参考になります。

告訴すれば警察は必ず逮捕する?

いいえ。

捜査の方法は事件の内容・証拠・逃亡や証拠隠滅のおそれなど、具体的な事情によって異なります。

身柄を拘束せずに捜査する「在宅事件」もあります。

告訴したからといって、直ちに逮捕されるという仕組みではありません。

告訴すれば必ず有罪になる?

なりません。

告訴はあくまで刑事手続の入口の一つです。

その後、

  • 捜査
  • 証拠収集
  • 検察官による処分判断
  • 起訴された場合は刑事裁判

と進みます。

最終的な有罪・無罪は裁判所が判断します。

告訴されたという報道を見るときの注意点

ニュースで、

「○○氏が告訴された」

と報じられた場合、その時点で犯罪が確定したことを意味しません。

さらに、

「逮捕された」

「送検された」

「起訴された」

もそれぞれ異なる段階です。

刑事手続では、各段階を区別して読むことが重要です。

ニュース用語を時系列で整理

言葉 おおまかな意味
被害届 犯罪被害を捜査機関へ申告
告訴 犯罪事実を申告し、処罰を求める
告発 被害者以外などが犯罪を申告し、処罰を求める
逮捕 一定の要件の下で被疑者の身柄を拘束する
送検 警察から検察官へ事件を送る
起訴 刑事裁判を求めて公訴を提起する
不起訴 公訴を提起しない
判決 裁判所が事件について判断する

「告訴→起訴→有罪」は自動ではない

次のような一本道だと思わないことが重要です。

× 告訴

↓

× 必ず起訴

↓

× 必ず有罪

実際には、それぞれの間に捜査・判断・裁判があります。

より正確には、

告訴

↓

捜査

↓

起訴または不起訴

↓ 起訴された場合

刑事裁判

↓

有罪または無罪などの判断

という流れです。

「起訴」と「告訴」を漢字で覚える

告訴

「告」は、告げる。

「訴」は、訴える。

→ 犯罪について捜査機関へ訴え出る

起訴

「起」には、起こす・始めるという意味があります。

→ 公訴を起こして刑事裁判へ進める

というイメージで覚えると分かりやすいでしょう。

「起訴」と「告訴」を3秒で見分ける方法

Q1. 被害者などが警察・検察へ処罰を求めている?

→ 告訴

Q2. 検察官が裁判所へ刑事裁判を求めている?

→ 起訴

Q3. 犯罪被害を届け出ているだけ?

→ 被害届の可能性

Q4. 第三者が犯罪の処罰を求めている?

→ 告発の可能性

具体例で使い分けを確認

例1:被害者が警察へ処罰を求める

○「被害者は加害者を告訴した。」

被害者側から捜査機関へ処罰意思を示しています。

例2:検察官が刑事裁判へ進める

○「検察官は被疑者を起訴した。」

裁判所へ公訴を提起しています。

例3:警察へ被害を知らせる

○「盗難被害について警察へ被害届を提出した。」

被害の申告です。

例4:第三者が犯罪を申告する

○「関係者が捜査機関へ告発した。」

被害者以外からの犯罪申告・処罰要求の文脈です。

例5:裁判へ進まなかった

○「検察官は事件を不起訴処分とした。」

公訴を提起しなかったという意味です。

よくある間違い

間違い1:「被害者が犯人を起訴した」

一般的な刑事手続を説明するなら、通常は、

「被害者が犯人を告訴した」

とします。

間違い2:「告訴されたから有罪だ」

告訴は有罪判決ではありません。

間違い3:「逮捕されたから起訴された」

逮捕と起訴は別の手続です。

間違い4:「送検されたから裁判になる」

送検後、検察官が不起訴とすることもあります。

間違い5:「不起訴だから必ず犯罪事実がなかった」

不起訴には複数の理由があり、起訴猶予などもあります。

似た法律用語との比較一覧

言葉 誰が主に行うか 意味
被害届 被害者など 被害を捜査機関へ届け出る
告訴 被害者などの告訴権者 犯罪を申告して処罰を求める
告発 被害者以外の第三者など 犯罪を申告して処罰を求める
逮捕 警察・検察など 被疑者の身体を拘束する
送検 警察 事件を検察官へ送る
起訴 原則として検察官 公訴を提起する
判決 裁判所 有罪・無罪や刑などを判断する

「証明」と「立証」も刑事裁判では区別したい

刑事裁判では、検察官が被告人の犯罪事実を証拠によって立証します。

日常語では「証明する」と表現することもありますが、「立証」は裁判などで主張する事実を証拠によって明らかにする場面と特に相性のよい言葉です。

関連する使い分けとして、「実証」と「証明」の違いとは?意味・使い分けを研究・ビジネスの例文で徹底解説も参考になります。

告訴を考えるときは一般論だけで判断しない

告訴は法律上の手続なので、実際の事件では、

  • どの犯罪に当たる可能性があるか
  • 誰に告訴権があるか
  • 証拠が何か
  • 告訴期間の制限があるか
  • どの捜査機関へ相談するか

など、具体的な事情によって対応が異なります。

この記事は言葉の違いを理解するための一般的な解説です。

実際の被害について告訴などを検討する場合には、警察・検察・弁護士などの専門窓口へ相談してください。

よくある質問

Q1. 「告訴」とは簡単に言うと何ですか?

被害者などの告訴権者が、犯罪事実を捜査機関へ申告し、犯人を処罰してほしいという意思を示すことです。

Q2. 「起訴」とは簡単に言うと何ですか?

原則として検察官が、刑事裁判を求めて裁判所へ公訴を提起することです。

Q3. 起訴と告訴は同じですか?

まったく同じではありません。

告訴は捜査機関への犯罪申告・処罰要求、起訴は裁判所へ刑事裁判を求める手続です。

Q4. 被害者が犯人を起訴できますか?

日本の刑事手続では、原則として公訴を提起するのは検察官です。

被害者などは告訴をすることができます。

Q5. 告訴したら必ず起訴されますか?

いいえ。

捜査の結果を踏まえて検察官が起訴・不起訴を判断します。

Q6. 起訴されたら有罪ですか?

いいえ。

起訴は刑事裁判が始まる段階であり、有罪・無罪は裁判所が判断します。

Q7. 被害届と告訴の違いは何ですか?

被害届は犯罪被害の申告です。

告訴は犯罪事実の申告に加え、犯人を処罰してほしいという意思を示す点が重要です。

Q8. 告訴と告発の違いは?

一般に、被害者などの告訴権者が行うのが告訴、被害者以外の第三者などが犯罪を申告して処罰を求めるのが告発です。

Q9. 逮捕されたら必ず起訴されますか?

いいえ。

逮捕後に不起訴処分となる場合もあります。

Q10. 書類送検されたら起訴されたという意味ですか?

違います。

書類送検は事件が検察官へ送られた段階であり、その後に起訴・不起訴の判断があります。

Q11. 告訴がなければ起訴できない犯罪はありますか?

あります。

親告罪では告訴が公訴提起のための条件になります。

ただし、すべての犯罪が親告罪ではありません。

Q12. 一番簡単な見分け方は?

警察・検察へ処罰を求める側の手続なら「告訴」、検察官が裁判所へ裁判を求める手続なら「起訴」と覚えると分かりやすいでしょう。

まとめ

「起訴」と「告訴」は見た目が似ていますが、刑事手続上の役割は大きく異なります。

言葉 意味 簡単な覚え方
告訴 被害者などが犯罪を申告し、処罰を求める 捜査機関へ訴える
起訴 原則として検察官が公訴を提起する 刑事裁判を起こす

刑事事件の流れを単純化すると、

犯罪発生

↓

被害届・告訴など

↓

捜査

↓

検察官へ事件が送られる

↓

起訴・不起訴の判断

↓

起訴された場合は刑事裁判

となります。

したがって、

告訴された=起訴された

ではありません。

また、

起訴された=有罪

でもありません。

さらに、

  • 被害届=被害の申告
  • 告訴=犯罪を申告して処罰を求める
  • 告発=第三者などが犯罪を申告して処罰を求める
  • 逮捕=被疑者の身体を拘束する捜査手続
  • 送検=事件を警察から検察官へ送る
  • 起訴=裁判所へ公訴を提起する

と整理すると、ニュースで出てくる刑事手続の言葉がかなり分かりやすくなります。

迷ったときは、

「誰が、誰に対して、何を求めているのか」

を確認してください。

被害者などが捜査機関へ処罰を求めるのであれば「告訴」、原則として検察官が裁判所へ刑事裁判を求めるのであれば「起訴」です。

参考資料

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