仕事中に、次のような言い方を聞いたことはないでしょうか。
- 「本社に照会をかけてみます」
- 「担当部署へ照会をかけています」
- 「システムで照会をかけて確認してください」
意味はなんとなく分かるものの、
「そもそも『照会をかける』という日本語は正しいの?」
「『照会する』ではだめ?」
「メールや正式な文書でも『照会をかける』と書いてよい?」
と疑問に思う人もいるでしょう。
結論から言うと、「照会をかける」は意味の通じる表現ですが、正式な文章では「照会する」「照会を行う」「問い合わせる」などに言い換えるほうが自然です。
特に官公庁の文書や取引先へのメールなど、表現の正確さが求められる場面では「照会する」が使いやすいでしょう。
一方、職場での口頭のやり取りでは「照会をかける」が使われることもあり、必ずしも「間違った日本語」と断定する必要はありません。
この記事では、「照会をかける」の意味や使い方、「照会する」との違い、「かける」は漢字で書くのか、ビジネスで使える自然な言い換えまで詳しく解説します。
- 「照会をかける」とは?【結論】
- そもそも「照会」とはどんな意味?
- 「照会をかける」は正しい日本語?
- 「照会をかける」と「照会する」の違い
- 「照会をかける」と「問い合わせる」の違い
- 「照会をかける」と「確認をかける」の違い
- 「照会」と「照合」は間違えやすいので注意
- 「照会をかける」の「かける」は漢字で「掛ける」?
- 「照会をかける」の自然な言い換え
- ビジネスメールではどう書けばいい?
- 「照会する」の敬語表現
- 「照会を受ける」という言い方は自然
- 「照会を依頼する」と「照会する」の違い
- 「照会」と「諮問」の違い
- 場面別|「照会をかける」はどう直せば自然?
- 「照会をかける」の例文
- 「照会をかける」を避けたほうがよい場面
- よくある質問
- まとめ
- 参考リンク・出典
「照会をかける」とは?【結論】
「照会をかける」とは、ある事柄について相手や機関へ問い合わせ、事実・情報・内容などを確かめることを表す言い方です。
たとえば、取引先の登録状況について担当部署へ確認する場合、
「担当部署に照会をかける」
と言えば、
「担当部署に問い合わせて確認する」
という意味になります。
ただし、「照会」という言葉自体が「問い合わせて確かめること」を意味し、動詞として「照会する」と使うことができます。
そのため、あえて「かける」を加えなくても意味は成立します。
| 表現 | 意味 | 使いやすい場面 |
|---|---|---|
| 照会をかける | 相手に問い合わせて確認する | 職場での会話・口頭表現 |
| 照会する | 問い合わせて確認する | 会話・メール・正式な文書 |
| 照会を行う | 照会という手続きを実施する | 公的文書・報告書・業務文書 |
| 問い合わせる | 分からないことを相手に尋ねる | 一般的な会話・メール |
| 確認する | 事実や内容を確かめる | 幅広い場面 |
つまり、「照会をかける」がまったく通じないわけではありませんが、文章として簡潔で標準的なのは「照会する」と考えると分かりやすいでしょう。
そもそも「照会」とはどんな意味?
「照会(しょうかい)」とは、分からないことや確認したいことについて、相手に問い合わせて確かめることです。
たとえば、
- 登録内容を担当部署に照会する
- 本人の在籍状況を会社に照会する
- 契約内容について本社へ照会する
- 制度の取り扱いについて行政機関へ照会する
などと使います。
単に質問をするだけではなく、すでに存在する情報・記録・事実などを相手に問い合わせて確認するニュアンスがあります。
「照会」という言葉そのものの意味や、「問い合わせ・照合・確認・諮問」との違いを詳しく知りたい場合は、「照会」とは?意味・読み方・使い方をわかりやすく解説も参考にしてください。
「照会をかける」は正しい日本語?
ここがもっとも気になるところでしょう。
「照会をかける」は意味が通じるため、会話上ただちに誤用になる表現ではありません。
しかし、辞書で「照会」の基本的な使い方を見ると、一般には「照会する」とされています。
また、官公庁などの正式な文章でも、
- 照会する
- 照会を行う
- 照会願います
- 照会書を提出する
といった形が多く使われます。
そのため、文章の正確さを重視するなら、
「照会をかける」より「照会する」
と覚えておくと安心です。
「照会をかける」が使われる理由
では、なぜ職場では「照会をかける」という言い方が使われるのでしょうか。
日本語では、「ある働きかけや処理を開始する」という意味合いで「かける」が付く表現が数多くあります。
たとえば、
- 電話をかける
- 問い合わせをかける
- 確認をかける
- 検索をかける
- チェックをかける
- 処理をかける
などです。
こうした言い方の影響から、「照会」にも「かける」を付け、
「相手に照会という働きかけをする」
「システム上で照会処理を実行する」
という感覚で「照会をかける」が使われると考えられます。
特に口頭での業務連絡では、
「一度、本社に照会をかけます」
といった言い方でも意味は十分に伝わります。
「照会をかける」と「照会する」の違い
意味には大きな違いはありません。
どちらも、基本的には「問い合わせて確認する」という行為を表します。
ただし、表現の自然さ・文体・使用場面に違いがあります。
| 比較項目 | 照会をかける | 照会する |
|---|---|---|
| 意味 | 問い合わせて確認する | 問い合わせて確認する |
| ニュアンス | 照会という行為を相手に働きかける感じ | 照会という行為そのものを表す |
| 会話 | 使われることがある | 自然 |
| 社内メール | 意味は通じる | より簡潔で自然 |
| 取引先への文書 | 避けたほうが無難 | 適している |
| 公的・正式な文書 | 口語的に感じられることがある | 適している |
会話なら「照会をかける」でも意味は通じる
たとえば同じ職場の同僚に、
「この番号について本社に照会をかけておきます」
と言ったとしても、相手が意味を理解できない可能性は低いでしょう。
業務上の慣用的な言い回しとして使われる場面があります。
文章なら「照会する」がすっきりする
一方、メールに、
「現在、本社に照会をかけております。」
と書くより、
「現在、本社に照会しております。」
または、
「現在、本社へ照会し、確認を進めております。」
としたほうが簡潔です。
特に社外向け文書では、「かける」を省いたほうが意味が明確になります。
「照会をかける」と「問い合わせる」の違い
「照会」と「問い合わせ」は非常に近い意味を持っています。
ただし、使用範囲には違いがあります。
照会は「情報を確認する」というニュアンスが強い
「照会」は、すでに存在している記録や事実などについて相手に確認を求める場面で使われやすい言葉です。
たとえば、
- 顧客情報を照会する
- 登録状況を照会する
- 本人確認のため勤務先へ照会する
- 法令の適用について行政機関へ照会する
などです。
問い合わせはより幅広く使える
「問い合わせる」は、単に分からないことを質問する場合にも使えます。
たとえば、
- 営業時間を問い合わせる
- 商品の在庫を問い合わせる
- サービス内容を問い合わせる
- 予約できるか問い合わせる
などです。
そのため、
照会=情報・事実などを問い合わせて確認する
問い合わせ=分からないことを広く尋ねる
と考えると分かりやすいでしょう。
「照会をかける」と「確認をかける」の違い
職場では「確認をかける」という表現も耳にすることがあります。
「照会」と「確認」は似ていますが、同じではありません。
「確認」は、自分自身で確かめる場合にも使えます。
たとえば、
「書類の記載内容を確認する」
なら、自分で書類を見れば完結します。
一方、「照会」は基本的に、別の人・部署・組織・データなどに問い合わせて情報を得ることを意味します。
したがって、
- 自分で書類を見る → 確認する
- 担当部署に問い合わせる → 照会する
という違いがあります。
「照会」と「照合」は間違えやすいので注意
「照会」と非常によく似ている言葉に「照合(しょうごう)」があります。
読み方も似ていますが、意味は異なります。
| 言葉 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 照会 | 相手に問い合わせて確かめる | 本社へ照会する |
| 照合 | 複数のものを照らし合わせて確かめる | 名簿と申請書を照合する |
たとえば、顧客から提出された申請書について本社に問い合わせるなら「照会」です。
申請書に記載された名前と顧客名簿を見比べるなら「照合」です。
詳しい使い分けは、「照会」と「照合」の違いで解説しています。
「照会をかける」の「かける」は漢字で「掛ける」?
「照会をかける」と書く場合、
「照会を掛ける」
と漢字にするべきか迷うことがあります。
このような補助的・慣用的な「かける」は、ひらがなで「かける」と書くほうが読みやすいでしょう。
「掛ける」は、
- 壁に絵を掛ける
- 眼鏡を掛ける
- 鍵を掛ける
など、具体的な動作を表す場合には分かりやすい表記です。
一方、「照会をかける」は物理的に何かを掛けるわけではありません。
ただし、そもそも正式な文章では「照会をかける」ではなく、「照会する」への言い換えを検討するのがおすすめです。
「照会をかける」の自然な言い換え
場面によって、次のように言い換えることができます。
| 言い換え | ニュアンス | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 照会する | 最も直接的 | ビジネス全般 |
| 照会を行う | やや硬い | 報告書・公的文書 |
| 問い合わせる | 一般的で分かりやすい | 顧客対応・日常的なメール |
| 確認する | 広い意味で使える | 社内連絡・一般業務 |
| 確認を依頼する | 相手に確認してもらう | 他部署・取引先 |
| 問い合わせて確認する | 行為を具体的に示す | 一般読者向けの説明 |
| 照会を依頼する | 第三者に照会してもらう | 業務依頼 |
ビジネスメールではどう書けばいい?
「照会をかける」をメールで使う場合は、少し言い換えるだけで文章がすっきりします。
社内の担当部署に確認している場合
△
「現在、担当部署に照会をかけております。」
○
「現在、担当部署に照会しております。」
さらに分かりやすくするなら、
「現在、担当部署へ確認しております。」
でも問題ありません。
相手に少し待ってもらう場合
「現在、関係部署へ照会しております。回答が確認でき次第、改めてご連絡いたします。」
とすると自然です。
取引先へ問い合わせたい場合
「下記の事項について照会いたします。」
「恐れ入りますが、下記の点についてご回答いただけますでしょうか。」
などが使えます。
行政機関などへ確認する場合
「制度の取り扱いについて担当機関へ照会しました。」
「関係機関に照会のうえ、対応を決定します。」
といった表現が自然です。
「照会する」の敬語表現
自分が照会する場合、一般には次のように書けます。
- 照会いたします
- 照会しております
- 照会させていただきます
- お問い合わせいたします
ただし、「照会させていただきます」を毎回使う必要はありません。
通常のビジネスメールなら、
「下記の件について照会いたします。」
で十分丁寧です。
相手に照会してもらう場合は、
- ご照会ください
- ご確認ください
- お問い合わせください
などが使えます。
「照会を受ける」という言い方は自然
「照会をかける」と似ていますが、「照会を受ける」は一般的な表現です。
たとえば、
- 顧客から照会を受けた
- 取引先から契約内容について照会を受けた
- 関係機関から事実確認の照会を受けた
などと使えます。
「照会する側」と「照会を受ける側」を整理すると、
A社がB社に照会する
→ B社はA社から照会を受ける
という関係になります。
「照会を依頼する」と「照会する」の違い
この2つも混同しないよう注意しましょう。
「照会する」は、自分が問い合わせます。
一方、
「照会を依頼する」
は、別の人に照会してもらうよう頼むことです。
たとえば、
「総務部に取引先への照会を依頼した。」
なら、実際に取引先へ問い合わせるのは総務部です。
これに対して、
「取引先に照会した。」
なら、自分または自分の部署が取引先へ問い合わせたことになります。
「照会」と「諮問」の違い
官公庁や会議関係の文章では、「諮問(しもん)」という言葉も出てきます。
「照会」は、事実や情報などについて問い合わせて確認することです。
一方、「諮問」は、専門家や審議会などに意見を求めることを意味します。
たとえば、
- 登録状況を担当部署に問い合わせる → 照会
- 重要な政策について審議会に意見を求める → 諮問
という違いがあります。
行政文書で両者を見かけて迷った場合は、「諮問」とは?意味・「答申・審議・相談・意見聴取」との違いも参考になります。
場面別|「照会をかける」はどう直せば自然?
職場で上司に報告するとき
「本社に照会をかけています。」
でも意味は通じます。
ただし、簡潔にするなら、
「本社に照会しています。」
で十分です。
社内メール
「人事部に照会をかけたところ、対象外との回答でした。」
よりも、
「人事部に照会したところ、対象外との回答でした。」
のほうがすっきりします。
取引先へのメール
「弊社担当部署に照会をかけます。」
よりも、
「弊社担当部署に確認いたします。」
または、
「弊社担当部署へ照会いたします。」
のほうが自然です。
報告書
「関係部署へ照会をかけた。」
ではなく、
「関係部署へ照会を行った。」
とすると文書調になります。
システム操作
システムの画面上でデータを検索する場合は、
「照会をかける」
と社内で表現されることがあります。
ただしマニュアルなどでは、
- 照会する
- 照会を実行する
- 検索する
- 照会ボタンを押す
など、具体的な操作を書いたほうが利用者には分かりやすいでしょう。
「照会をかける」の例文
会話での例文
- 念のため、本社に照会をかけておきます。
- その件について担当部署へ照会をかけています。
- 登録状況を確認するため、システムで照会をかけました。
これらは職場での会話として意味は通じます。
文章としてより自然に直した例
- 念のため、本社へ照会しておきます。
- その件について担当部署へ照会しています。
- 登録状況を確認するため、システムで照会しました。
- 現在、関係部署へ照会しております。
- 詳細については担当機関へお問い合わせください。
「照会をかける」を避けたほうがよい場面
次のような場面では、「照会をかける」より「照会する」「照会を行う」などを選ぶほうが無難です。
- 契約書
- 規程・規則
- 官公庁向け文書
- 取引先への正式な通知
- 報告書
- 業務マニュアル
- 公表資料
これらでは、「かける」という口語的で幅の広い言葉を使うより、何をするのかが明確な動詞を使うほうが文章の精度が上がります。
よくある質問
「照会をかける」は間違いですか?
意味が通じるため、会話で使われること自体を完全な誤りとする必要はありません。
ただし、「照会」は「照会する」と動詞化できるため、正式な文章では「照会する」のほうが簡潔で自然です。
「照会を掛ける」と漢字で書きますか?
この場合の「かける」は、ひらがなで書くほうが読みやすいでしょう。
ただし、正式な文書なら「照会をかける」そのものを「照会する」に変更することも検討してください。
「照会をかけています」はビジネスメールで使えますか?
意味は伝わりますが、「照会しております」「確認しております」のほうが簡潔です。
たとえば、
「現在、担当部署へ照会しております。確認でき次第ご連絡いたします。」
とすると自然です。
「照会」と「問い合わせ」は同じですか?
非常に近い言葉ですが、完全に同じとは限りません。
「問い合わせ」は幅広い質問に使えるのに対し、「照会」は既存の情報や事実を問い合わせて確認する場合に使われやすい言葉です。
「照会」と「照合」の違いは何ですか?
「照会」は相手に問い合わせて確認することです。
「照合」は二つ以上の情報や資料を照らし合わせて一致しているか確かめることです。
「会社に在籍状況を照会する」「名簿と申請書を照合する」のように使い分けます。
「照会を行う」は自然ですか?
はい。「照会を行う」は、報告書や行政文書などで使いやすい表現です。
ただし日常的なビジネスメールでは、より簡潔に「照会する」としても問題ありません。
「問い合わせをかける」は自然ですか?
職場の会話では使われることがありますが、「問い合わせる」だけで意味が成立します。
正式な文章なら「問い合わせる」「問い合わせを行う」などのほうが明確です。
「照会中です」は使えますか?
使えます。
「現在、本社に照会中です」のように、相手からの回答を待っている状況を簡潔に表せます。
より丁寧にするなら、
「現在、本社へ照会しております。」
とするとよいでしょう。
まとめ
「照会をかける」とは、相手・部署・機関などへ問い合わせ、事実や情報を確認することを表す言い方です。
職場の会話などでは使われることがありますが、「照会」は「照会する」とそのまま動詞として使えるため、「照会をかける」にする必要はありません。
特にビジネスメールや正式な文書では、次のように言い換えると自然です。
- 照会をかける → 照会する
- 照会をかけています → 照会しております
- 照会をかけました → 照会しました
- 担当部署に照会をかける → 担当部署へ確認する
- 正式な手続きを強調する → 照会を行う
迷った場合は、会話では「照会をかける」でも意味は通じるものの、文章では「照会する」を基本にすると覚えておけばよいでしょう。
また、「照会」と「照合」は似ていますが、「照会=相手に問い合わせる」「照合=資料などを照らし合わせる」という違いがあります。
文章を書く際は、「誰かに問い合わせているのか」「自分で情報を照らし合わせているのか」を確認すると、適切な言葉を選びやすくなります。
