「警察は男を窃盗容疑で逮捕しました。○○容疑者は……」
「被疑者を逮捕し、取調べを行った」
事件のニュースでは「容疑者」という言葉をよく聞きます。
一方、刑事訴訟法や裁判所・警察・検察などの公的資料を見ると、「被疑者」という言葉が使われています。
そのため、
「容疑者と被疑者は何が違う?」
「逮捕されたら容疑者、逮捕前は被疑者?」
「被疑者は法律用語?」
「起訴されたら何と呼ぶ?」
「被告と被告人は同じ?」
と迷うことがあります。
簡単にいうと、「被疑者」は、犯罪の疑いを受けて捜査の対象になっているものの、まだ起訴されていない人を表す法律上の正式な用語です。一方、「容疑者」は、犯罪の疑いを持たれている人を表す一般的・報道上の呼称で、刑事訴訟法上の正式な名称ではありません。
したがって、両者はまったく別の立場を表す言葉ではありません。
多くの場合、報道で「容疑者」と呼ばれている人は、法律上の立場では「被疑者」に当たります。
一言で覚えるなら、
被疑者=「法律上の正式な呼び方」
容疑者=「報道などで使われる分かりやすい呼び方」
です。
ただし、重要な注意点があります。
「被疑者」「容疑者」は、どちらも「犯罪をしたことが確定した人」を意味する言葉ではありません。
あくまで犯罪の疑いを受けている段階です。
逮捕された場合でも、起訴された場合でも、その時点で有罪が確定したわけではありません。
この記事では、「容疑者」と「被疑者」の基本的な違いから、「逮捕されていなくても被疑者なのか」「起訴後の被告人」「犯人」「重要参考人」「被告」との違い、ニュースを読むときの注意点まで詳しく解説します。
- 「容疑者」と「被疑者」の違い【結論】
- 「被疑者」とは?
- 「被疑者」は法律上の正式な呼び方
- 逮捕されていなくても「被疑者」になる
- 「被疑者」と「逮捕者」は同じではない
- 「容疑者」とは?
- なぜニュースでは「被疑者」ではなく「容疑者」なの?
- 警察は「容疑者」と呼ばないの?
- 「容疑者」と「被疑者」の決定的な違い
- 「容疑者=逮捕された人」なの?
- 逮捕前も逮捕後も法律上は「被疑者」
- 起訴されたら「被告人」になる
- 「被告人」と「被告」の違い
- 「容疑者」と「犯人」の違い
- 「被疑者」と「犯人」の違い
- 「容疑」と「嫌疑」の違い
- 「重要参考人」と「被疑者」の違い
- 被疑者にはどんな権利がある?
- 「容疑者」と呼ばれたら有罪なの?
- 「被疑者」と呼ばれたら有罪なの?
- 刑事事件の呼び方を時系列で整理
- 「容疑者・被疑者」で迷ったときの3秒判定
- 「容疑者」を使った例文
- 「被疑者」を使った例文
- 具体例で比較:逮捕された場合
- 具体例で比較:逮捕されていない場合
- 具体例で比較:起訴された場合
- よくある間違い1:「容疑者」と「被疑者」は別の段階だと思う
- よくある間違い2:「逮捕されたら被疑者から容疑者になる」と思う
- よくある間違い3:「被疑者になるには逮捕が必要」と思う
- よくある間違い4:「容疑者=犯人」だと思う
- よくある間違い5:「被疑者=犯人」だと思う
- よくある間違い6:「起訴された後も被疑者」と思う
- よくある間違い7:「被告」と「被告人」を同じだと思う
- 「容疑者」と「被疑者」に関するよくある質問
- まとめ
- 参考資料・出典
「容疑者」と「被疑者」の違い【結論】
| 比較項目 | 容疑者 | 被疑者 |
|---|---|---|
| 読み方 | ようぎしゃ | ひぎしゃ |
| 基本的な意味 | 犯罪の疑いを持たれている人 | 犯罪の嫌疑を受け、捜査対象となっているが、まだ起訴されていない人 |
| 法律上の正式用語 | 原則として使われない | 使われる |
| 主な使用場面 | 新聞・テレビ・ネットニュースなど | 法律、警察、検察、裁判所などの公的・専門的文脈 |
| 逮捕が必要か | 逮捕された人に多く使われるが、法定された条件ではない | 逮捕されている必要はない |
| 起訴後 | 通常は別の呼称へ移る | 「被告人」になる |
| 有罪確定を意味するか | 意味しない | 意味しない |
3秒で判断するなら、
「ニュースでの呼び方?」 → 容疑者
「法律・刑事手続上の正式な呼び方?」 → 被疑者
と考えると分かりやすいでしょう。
「被疑者」とは?
犯罪の嫌疑を受け、捜査対象になっている人
「被疑者(ひぎしゃ)」とは、捜査機関から一定の犯罪を行ったという嫌疑を受け、捜査の対象になっているものの、まだ公訴を提起、つまり起訴されていない人を表します。
刑事訴訟法では、
- 被疑者の逮捕
- 被疑者の取調べ
- 弁護人の選任
- 被疑者の勾留
などについて「被疑者」という言葉が使われます。
裁判所・法務省・警察庁などの公的資料でも、基本的にこの表現が用いられています。
「被疑者」は法律上の正式な呼び方
事件報道に慣れていると、「被疑者」より「容疑者」のほうが自然に感じられるかもしれません。
しかし、刑事手続を正確に説明するときは「被疑者」が基本です。
たとえば、
「被疑者を逮捕する。」
「被疑者を取り調べる。」
「被疑者が弁護人を選任する。」
などと表現します。
警察庁の指名手配ページでも、
「重要指名手配被疑者」
という表現が使用されています。
逮捕されていなくても「被疑者」になる
ここは特に誤解されやすいポイントです。
「被疑者=逮捕された人」ではありません。
被疑者かどうかは、逮捕されているかではなく、犯罪の嫌疑を受け、捜査対象になっているかによって考えます。
したがって、
逮捕せず在宅で捜査されている人
も被疑者になり得ます。
たとえば、警察が本人から任意で事情を聴き、逮捕せず事件を書類で検察官へ送致する場合でも、その人は刑事手続上「被疑者」と呼ばれます。
「被疑者」と「逮捕者」は同じではない
被疑者の中には、
- 逮捕された被疑者
- 逮捕されていない被疑者
の両方が存在します。
つまり、
被疑者=犯罪の疑いを受けている人
逮捕=その被疑者の身柄を拘束する強制処分
です。
前回の記事で解説した「逮捕」と「検挙」の違いと同じように、犯罪捜査に関する言葉は、それぞれ違う段階・意味を持っています。
「容疑者」とは?
犯罪の疑いを持たれている人を表す一般的な呼称
「容疑者(ようぎしゃ)」は、犯罪の容疑、つまり犯罪を行ったのではないかという疑いを持たれている人を表します。
辞書では、
「犯罪の疑いをかけられた者」
と説明され、法律では「被疑者」というとされています。
つまり、意味としては「被疑者」とかなり近い言葉です。
ただし、
「容疑者」は刑事訴訟法上の正式名称ではありません。
新聞・テレビ・ネットニュースなどで広く定着した呼び方です。
なぜニュースでは「被疑者」ではなく「容疑者」なの?
現在の犯罪報道では、逮捕された人などについて、
「○○容疑者」
という呼称が一般的です。
報道史を扱った資料によると、1980年代以降、報道機関が逮捕された人などを実名だけで呼び捨てにする方式から、「容疑者」という呼称を付ける方式へ移行していきました。
背景には、捜査段階の人を犯人と決めつけないことや、人権に配慮する考え方がありました。
つまり「容疑者」は、
「犯罪者と確定した人ではなく、あくまで容疑を受けている段階の人」
であることを示すための報道上の呼称として定着した言葉です。
警察は「容疑者」と呼ばないの?
警察庁などの公式資料では、基本的に、
「被疑者」
という法律上の用語が使われます。
たとえば警察庁の指名手配情報では、
「警察庁指定重要指名手配被疑者」
と表記されています。
一方、その情報を報道機関がニュースとして伝える際には、
「○○容疑者」
と表現する場合があります。
つまり、同じ人物について、
警察・法律上 → 被疑者
報道上 → 容疑者
と呼び方が変わることがあるのです。
「容疑者」と「被疑者」の決定的な違い
違い1:法律用語かどうか
最大の違いです。
被疑者=法律上の正式な用語
容疑者=一般・報道で使われる呼称
です。
法律・裁判・警察実務について正確に説明する文章では、「被疑者」を使うのが基本です。
違い2:使われる場面が違う
「被疑者」は、
- 刑事訴訟法
- 警察
- 検察
- 裁判所
- 法律実務
などで使われます。
「容疑者」は主に、
- 新聞
- テレビ
- ニュースサイト
- 一般向けの記事
などで使われます。
違い3:「容疑者」には法律上の厳密な切替条件がない
「被疑者」は、起訴前の捜査対象者という刑事手続上の位置づけがあります。
一方、「容疑者」は報道上の呼称であり、
「この瞬間から必ず容疑者と呼ばなければならない」
という刑事訴訟法上の条件があるわけではありません。
報道機関によって、逮捕されていない書類送致事件などで「容疑者」を使うか、肩書き・「氏」「さん」など別の呼称を使うかが異なる場合もあります。
「容疑者=逮捕された人」なの?
ニュースでは逮捕報道と同時に、
「○○容疑者」
という呼称が登場することが多いため、
「逮捕された瞬間に容疑者になる」
と思われることがあります。
しかし、「容疑者」は法律上の身分ではないため、そのような厳密な規則はありません。
逮捕されていない人についても、報道内容や各報道機関の基準によって「容疑者」という呼称が使われる可能性があります。
したがって、
「逮捕前=被疑者、逮捕後=容疑者」
という区別は誤りです。
逮捕前も逮捕後も法律上は「被疑者」
刑事手続上は、起訴される前であれば、
逮捕前
でも、
逮捕後
でも、
犯罪の嫌疑を受け捜査対象になっている人は「被疑者」です。
たとえば、
「被疑者を逮捕する。」
という法律上の表現が成立します。
逮捕によって「被疑者から容疑者へ身分が変わる」わけではありません。
起訴されたら「被告人」になる
被疑者について検察官が起訴すると、刑事手続上の呼び方は、
「被告人」
に変わります。
法務省も、
被疑者=犯罪をしたと疑われ、捜査対象となっている人
被告人=犯罪をしたと疑われ、検察官によって起訴された人
と説明しています。
つまり、刑事事件の基本的な流れでは、
| 段階 | 法律上の呼び方 |
|---|---|
| 捜査対象になり、まだ起訴されていない | 被疑者 |
| 検察官によって起訴された | 被告人 |
| 有罪判決が確定し、刑に服する | 受刑者など、その状態に応じた呼称 |
「被告人」と「被告」の違い
「被告人」と「被告」も混同されやすい言葉です。
被告人
刑事裁判で、検察官から起訴された人を表します。
被告
民事裁判で訴えを起こされた側の当事者を表します。
たとえば、貸したお金の返還を求める民事訴訟なら、
訴えた側=原告
訴えられた側=被告
です。
一方、刑事裁判なら、
起訴された人=被告人
です。
「被告」と「被告人」は似ていますが、法律上の場面が異なります。
「容疑者」と「犯人」の違い
この違いは非常に重要です。
容疑者は、犯罪を行った疑いを持たれている人です。
一方、一般に「犯人」といえば、その犯罪を実際に行った人を意味します。
捜査段階では、警察が疑っているからといって、その人が本当に犯人であると確定したわけではありません。
そのため、
「逮捕された容疑者=犯人」
と決めつけるのは不正確です。
「被疑者」と「犯人」の違い
同様に、
被疑者=犯人
でもありません。
「被疑者」はあくまで、捜査機関が犯罪の嫌疑を持って捜査対象としている人です。
捜査した結果、嫌疑が晴れることもあれば、検察官が不起訴とすることもあります。
また、起訴された場合でも裁判で無罪になる可能性があります。
したがって、「被疑者」という言葉そのものに「犯罪をしたことが確定した」という意味はありません。
「容疑」と「嫌疑」の違い
「容疑者」と「被疑者」を理解するうえで、「容疑」と「嫌疑」も確認しておきましょう。
どちらも、
「犯罪をしたのではないかという疑い」
という意味で使われます。
ただし、法律・捜査実務では、
「犯罪の嫌疑」
「嫌疑がある」
といった表現が多く使われます。
一方、報道では、
「窃盗の容疑」
「殺人容疑」
など「容疑」が広く使われます。
この違いも、
被疑者=法律・実務
容疑者=報道・一般
という使われ方と対応しています。
「重要参考人」と「被疑者」の違い
事件報道では、
「重要参考人」
という言葉を聞くこともあります。
「参考人」は、事件について事情を知っている可能性があり、捜査機関から事情を聴かれる人を表す一般的な呼び方です。
その人自身が犯罪をした疑いを持たれているとは限りません。
一方、「被疑者」は、特定の犯罪について本人に嫌疑があり、捜査対象となっている人です。
したがって、
参考人=事件について情報を持っている可能性がある人
被疑者=犯罪をした疑いを受けている人
という違いがあります。
なお、「重要参考人」も「被疑者」のような刑事訴訟法上の身分名称として定義された言葉ではありません。
被疑者にはどんな権利がある?
被疑者は、まだ有罪と決まっていない人です。
刑事手続では、人権を保障するため、被疑者にもさまざまな権利が認められています。
代表的なものに、
- 黙秘権
- 弁護人を選任する権利
- 一定の場合に国選弁護人を付けてもらう制度
- 弁護人と接見する権利
などがあります。
「被疑者」という言葉は、単に「怪しい人」を示すレッテルではなく、刑事手続上一定の権利を保障された立場を表す法律用語でもあります。
「容疑者」と呼ばれたら有罪なの?
いいえ。
「容疑者」は犯罪の疑いを持たれている段階を表す呼称です。
その後、
- 不起訴
- 起訴
- 刑事裁判
- 無罪判決
- 有罪判決
など、さまざまな結果があり得ます。
したがって、ニュースを読む際には、
「逮捕された」「容疑者と報じられた」ことと「有罪が確定した」ことを分けて考える
必要があります。
「被疑者」と呼ばれたら有罪なの?
こちらも同じです。
「被疑者」という法律上の立場は、犯罪の嫌疑を受けて捜査対象となっていることを示すだけです。
有罪・無罪は、この呼称によって決まるものではありません。
刑事事件の呼び方を時系列で整理
| 場面 | 代表的な言葉 | 意味 |
|---|---|---|
| 事件について事情を知る人 | 参考人 | 事情聴取等の対象になるが、本人が疑われているとは限らない |
| 犯罪の疑いを受けて捜査対象 | 被疑者 | 法律上の正式用語 |
| 同じ段階を報道する場合 | 容疑者 | 報道などで用いられる呼称 |
| 検察官が起訴 | 被告人 | 刑事裁判で起訴された人 |
| 有罪判決が確定し刑に服する | 受刑者 | 刑事施設で刑に服する人など |
「容疑者・被疑者」で迷ったときの3秒判定
| こんな場合 | 選びやすい言葉 |
|---|---|
| 新聞・テレビニュースで事件を伝える | 容疑者 |
| 刑事訴訟法について説明する | 被疑者 |
| 警察・検察・裁判所の正式文書 | 被疑者 |
| 逮捕前だが捜査対象になっている | 被疑者 |
| 逮捕されたがまだ起訴されていない | 被疑者 |
| 報道で逮捕された人物を呼ぶ | 容疑者が一般的 |
| すでに起訴された | 被告人 |
| 民事裁判で訴えられた側 | 被告 |
| 犯罪をしたことが確定した人物を指す一般語 | 犯人 |
最も簡単に覚えるなら、
容疑者=「ニュースでよく使う呼び方」
被疑者=「法律で使う正式な呼び方」
です。
「容疑者」を使った例文
- 警察は○○容疑者を窃盗の疑いで逮捕した。
- 容疑者は取調べに対して容疑を否認していると報じられた。
- ニュースでは逮捕された男性を容疑者と呼んでいた。
- 事件の容疑者として名前が報道された。
- 報道機関によって容疑者の呼称の扱いが異なる場合がある。
「被疑者」を使った例文
- 警察は被疑者を逮捕した。
- 被疑者に黙秘権を告知した。
- 被疑者は弁護人を選任することができる。
- 逮捕せず被疑者を在宅で捜査した。
- 被疑者が起訴されると「被告人」と呼ばれる。
具体例で比較:逮捕された場合
Aさんが窃盗の疑いで警察に逮捕されたとします。
法律上の説明では、
「警察は被疑者Aを逮捕した。」
となります。
一方、テレビニュースでは、
「警察はA容疑者を逮捕しました。」
と報じられることがあります。
同じ人物について、立場が違うのではなく、
使用する場面によって呼び方が違っている
のです。
具体例で比較:逮捕されていない場合
Bさんについて警察が犯罪の嫌疑を持ち、在宅のまま捜査しているとします。
Bさんは逮捕されていなくても、法律上は、
「被疑者」
になり得ます。
その後、事件が書類送致された際に報道機関がBさんをどう呼ぶかは、各社の報道基準や事件の状況によって異なる場合があります。
ここからも、
「容疑者=逮捕された人」ではない
ことが分かります。
具体例で比較:起訴された場合
Cさんが逮捕され、ニュースで「C容疑者」と報道されていたとします。
その後、検察官がCさんを起訴しました。
法律上は、この時点で、
「被疑者」から「被告人」
へ呼称が変わります。
つまり、
捜査段階=被疑者
裁判段階=被告人
と覚えると分かりやすいでしょう。
よくある間違い1:「容疑者」と「被疑者」は別の段階だと思う
基本的には、そうではありません。
法律上「被疑者」と呼ばれる人物を、報道では「容疑者」と呼ぶことがあります。
両者の最大の違いは、立場そのものより用語が使われる場面です。
よくある間違い2:「逮捕されたら被疑者から容疑者になる」と思う
誤りです。
逮捕前でも逮捕後でも、起訴される前の捜査対象者は法律上「被疑者」です。
「容疑者」は法律上の新しい身分を表す言葉ではありません。
よくある間違い3:「被疑者になるには逮捕が必要」と思う
逮捕は必要ありません。
逮捕されず在宅で捜査される被疑者もいます。
犯罪の嫌疑を受け、捜査対象になっているかが重要です。
よくある間違い4:「容疑者=犯人」だと思う
容疑者は犯罪の疑いを受けている段階です。
犯罪をしたことが確定したという意味ではありません。
報道を読む際には、疑いと確定事実を区別する必要があります。
よくある間違い5:「被疑者=犯人」だと思う
こちらも同じです。
被疑者は捜査対象であって、有罪が確定した人物を意味しません。
不起訴や無罪となる可能性もあります。
よくある間違い6:「起訴された後も被疑者」と思う
起訴されると、法律上の呼称は、
「被告人」
になります。
「被疑者」は起訴前の段階の用語です。
よくある間違い7:「被告」と「被告人」を同じだと思う
法律上は区別されます。
被告人=刑事事件で起訴された人
被告=民事事件で訴えられた側
です。
似た言葉ですが、使われる裁判の種類が異なります。
「容疑者」と「被疑者」に関するよくある質問
Q1. 「容疑者」と「被疑者」は同じ人を指すことがありますか?
はい。
法律上「被疑者」である人を、新聞・テレビなどでは「容疑者」と呼ぶことがあります。
Q2. 正式な法律用語はどちらですか?
「被疑者」です。
刑事訴訟法、裁判所、法務省、警察庁などの公的資料で使われています。
Q3. 「容疑者」は法律用語ではないのですか?
一般に、刑事訴訟法上の正式な身分名称ではありません。
犯罪の疑いを受けている人を示す一般・報道上の呼称として広く使われています。
Q4. 逮捕される前でも被疑者ですか?
なり得ます。
犯罪の嫌疑を受け捜査対象となっていれば、逮捕されていなくても被疑者です。
Q5. 逮捕されたら必ず「容疑者」ですか?
法律上そのような規定はありません。
報道では逮捕された人物に「容疑者」を付けることが一般的ですが、報道機関・事件の状況によって呼称が異なる場合があります。
Q6. 被疑者はいつまで被疑者ですか?
基本的には、犯罪の嫌疑を受けて捜査対象になってから、起訴されるまでの段階です。
起訴されると「被告人」になります。
Q7. 容疑者・被疑者は犯罪者という意味ですか?
いいえ。
どちらも犯罪をしたことが確定した人という意味ではありません。
Q8. 「被疑者」と「被告人」の違いは?
「被疑者」は起訴前、「被告人」は起訴後です。
Q9. 「被告人」と「被告」の違いは?
「被告人」は刑事裁判、「被告」は民事裁判で使う法律用語です。
Q10. 迷ったときの簡単な見分け方は?
「ニュース記事で一般読者に伝える呼び方?」 → 容疑者
「法律・刑事手続を正確に説明する?」 → 被疑者
と考えるとよいでしょう。
まとめ
「容疑者」と「被疑者」は、犯罪の疑いを受けている人について使われるため、意味は非常に近い言葉です。
しかし、最大の違いは使用される場面にあります。
| 容疑者 | 被疑者 |
|---|---|
| 犯罪の疑いを持たれている人 | 犯罪の嫌疑を受け捜査対象となっている起訴前の人 |
| 主に報道・一般用語 | 法律上の正式用語 |
| 新聞・テレビなどで多い | 刑事訴訟法・警察・検察・裁判所で使う |
| 逮捕と同時に使われることが多い | 逮捕されていなくても該当する |
| 有罪確定を意味しない | 有罪確定を意味しない |
最も簡単な覚え方は、
容疑者=「ニュースでの呼び方」
被疑者=「法律での正式な呼び方」
です。
たとえば、警察庁の正式な資料では、
「指名手配被疑者」
という言葉が使われます。
一方、その人物についてニュースで報道する場合には、
「○○容疑者」
という呼称が使われることがあります。
また、
「逮捕前=被疑者、逮捕後=容疑者」
という区別ではありません。
法律上は、逮捕されているかどうかにかかわらず、犯罪の嫌疑を受けて捜査対象になっており、まだ起訴されていなければ「被疑者」です。
そして、検察官によって起訴されると、
「被告人」
と呼ばれます。
事件報道を正確に理解するには、
被疑者 → 起訴 → 被告人 → 判決
という刑事手続上の段階と、
「容疑者」という報道上の呼称
を分けて考えることが大切です。
参考資料・出典
本記事は、以下の辞書・法務省・裁判所・警察庁等の資料を参照し、内容を整理したうえで作成しています。
-
法務省「法務省だより あかれんが」
― 「被疑者」を、ある犯罪をしたと疑われ、捜査機関によって捜査対象とされている人と説明し、起訴後の「被告人」と区別 -
法務省「刑事手続の仕組み」
― 犯罪をしたと疑われる人を「被疑者」とし、起訴後は「被告人」と呼ぶことを示した公的資料 -
裁判所「刑事裁判の流れ」
― 警察・検察による捜査段階の「被疑者」と、起訴後の「被告人」を区別した資料 -
警察庁「指名手配」
― 「警察庁指定重要指名手配被疑者」という法律・警察実務上の表現を使用する公的資料 -
コトバンク「容疑者」
― 犯罪の疑いをかけられた者で、法律では「被疑者」ということを示す辞書資料 -
コトバンク「被疑者」
― 犯罪の嫌疑を受けて捜査対象となっているが、まだ起訴されていない者という意味を示す辞書資料 -
弁護士ドットコムニュース「報道機関が『被疑者』ではなく『容疑者』を使う理由」
― 1980年代以降に報道機関で「容疑者」呼称が普及した背景を、ジャーナリズム研究者への取材をもとに解説した資料
※「容疑者」は法律上の正式な身分名称ではなく、主として報道・一般社会で使われている呼称です。
※「被疑者」は「逮捕された人」という意味ではありません。逮捕されず任意・在宅で捜査されている場合でも、犯罪の嫌疑を受け捜査対象となっていれば被疑者に当たり得ます。
※「容疑者」「被疑者」は、いずれも有罪が確定した人物を意味する言葉ではありません。
※報道機関が誰をいつから「容疑者」と呼ぶかについては、各社の編集方針や事件の状況によって扱いが異なる場合があります。
※本記事は日本の刑事手続・報道用語について一般的な違いを解説したものであり、個別事件について犯罪成立や有罪・無罪を判断するものではありません。
