会社の人事資料や組織変更のお知らせで、「職制を見直す」「職制上の地位」「職制を通じて指示する」といった表現を見かけることがあります。
ところが、「職制」は「職位」「役職」「業務分掌」と似た場面で使われるため、「結局、何を指すのだろう?」と疑問に感じる方もいるでしょう。
「職制(しょくせい)」とは、職場における仕事の分担や指揮命令の仕組みを表す言葉です。また、部長・課長などの管理・監督的な立場にある人を指す場合もあります。
つまり、同じ「職制」でも、組織の仕組みを指すのか、管理・監督する立場の人を指すのかによって意味が変わります。
この記事では、職制の意味と読み方を確認したうえで、会社や工場での具体例、「職位・役職・職階・業務分掌・職務権限」との違い、職制側という表現、公務員の「職制上の段階」、よくある質問までわかりやすく解説します。
- 職制とは?意味と読み方をわかりやすく解説
- 職制の仕組みを具体例で理解しよう
- 職制が必要な理由|組織運営での役割
- 職制と職位の違い|「組織の仕組み」と「個人の地位」
- 職制と役職の違い|職制は役職そのものなのか
- 職制と業務分掌の違い|どこまでを決める仕組み?
- 職制と職階・等級の違い
- 職制と職務権限の違い|責任者は何でも決裁できる?
- 「職制側」「職制を通じて」とは?使われ方を例文で確認
- 職制と管理職の違い|労働基準法上の管理監督者とは別
- 公務員の「職制上の段階」とは?
- 職制はどのように決める?見直しの進め方と注意点
- 「職制」の正しい使い方とビジネス例文
- 「職制」に関するよくある質問(FAQ)
- Q1. 職制とは簡単にいうと何ですか?
- Q2. 職制の読み方は「しょくせい」で合っていますか?
- Q3. 職制と組織図は同じですか?
- Q4. 職制とは管理職のことですか?
- Q5. 職制と役職は何が違いますか?
- Q6. 職制と職位は何が違いますか?
- Q7. 職制と職務分掌はどちらが広い意味ですか?
- Q8. 「職制側」とは会社側という意味ですか?
- Q9. 「職制を通じて連絡」とはどういう意味ですか?
- Q10. 係長や主任は職制に含まれますか?
- Q11. 職制上の役職があれば残業代は出ませんか?
- Q12. 職制と職務権限規程は同じものですか?
- Q13. 職制を変えると給与も必ず変わりますか?
- Q14. 公務員の「職制上の段階」は役職のことですか?
- Q15. 職制の意味を見分ける方法はありますか?
- Q16. 小さな会社にも職制はありますか?
- まとめ|「職制」は組織の仕組みと管理する立場の人を表す言葉
- 参考リンク
職制とは?意味と読み方をわかりやすく解説
「職制」の読み方は「しょくせい」
「職制」は「しょくせい」と読みます。「職」は仕事や職務、「制」は制度や仕組みを表す漢字です。
「職制の整備」「職制の変更」「職制上の役職」など、人事・総務・経営管理の文章で使われます。日常会話ではあまり頻繁に登場しませんが、組織図や社内規程を読む際に知っておくと便利な言葉です。
辞書で確認できる2つの意味
小学館『デジタル大辞泉』では、「職制」について、職務の分担に関する制度と、会社・工場などで労働者を管理する役付きの職員という2つの意味が示されています。
| 意味 | 簡単にいうと | 使用例 |
|---|---|---|
| ① 職務分担の制度 | 誰が何を担当し、誰が誰に指示するかという組織の仕組み | 「事業拡大に合わせて職制を改める」 |
| ② 管理・監督的な地位や人 | 部長・課長・係長など、組織を管理する立場 | 「職制を通じて方針を周知する」 |
『日本大百科全書(ニッポニカ)』でも、広くは組織機構と指揮命令系統、狭くは職務の分掌範囲や責任・権限を定める仕組みを指すと説明されています。
ここで重要なのは、職制という言葉だけで、制度を指しているのか、人を指しているのかは決まらないことです。前後の動詞や、話題になっている業務から判断しましょう。
職制を一言で説明するなら?
制度を指す場合は「組織の仕事と指示の流れを定めた仕組み」、人を指す場合は「その仕組みの中で管理・監督を担当する立場の人」と理解するとわかりやすくなります。
たとえば、「職制を再編する」は制度や組織を組み替える意味、「職制から説明を受ける」は管理・監督する立場の人から説明を受ける意味と考えられます。
職制の仕組みを具体例で理解しよう
会社の職制は「誰が何を決め、誰に指示するか」を整理する
架空の製造会社に、営業部、製造部、品質保証部があるとします。それぞれの部には部長がおり、各部の下に課が置かれています。
たとえば品質保証部では、品質保証部長が部門の方針や全体管理を担い、検査課長が検査計画や人員配置を調整し、担当者が試験・記録作成を行う、という組織を考えられます。
このとき、部・課と役職をどのように置くか、何を誰が担当するか、指示や報告をどう流すかを整理したものが、職制の具体的な姿です。
| 職制上の立場の例 | 担当する役割の例 | 報告・指示の関係 |
|---|---|---|
| 部長 | 部門方針、部門間調整、重要事項の管理 | 課長へ方針を伝える |
| 課長 | 課内の業務計画、進捗・人員の管理 | 部長に報告し、担当者へ指示する |
| 主任・担当リーダー | 日々の作業調整、後輩への助言 | 制度に応じて課長を補佐する |
| 担当者 | 検査、記録作成、顧客対応などの実務 | 定められた経路で相談・報告する |
これはあくまで説明のための例です。主任が指揮命令権を持つかどうか、担当者が誰に報告するか、部長がどこまで決裁できるかは、実際の会社の規程によって異なります。
組織図と職制は同じなのか
組織図は、部署や役職の配置を図で表したものです。職制の全体像を理解する助けになりますが、組織図だけでは業務の分担や決裁権限の細部までわからないことがあります。
たとえば、営業部と品質保証部が並んでいることは組織図で示せても、「顧客から品質苦情が来たとき、最初の受付は誰が行い、原因調査の責任者は誰か」までは別の業務規程を見ないと分からない場合があります。
したがって、「職制を確認する」といわれたときは、組織図だけでなく、必要に応じて業務分掌規程や職務権限規程も参照すると正確です。
専門職がいる会社では職制はどうなる?
すべての社員が「担当者→主任→課長→部長」という一本道で昇進するわけではありません。
研究開発や情報システムなどでは、部下を持たない高度専門職を設け、管理職とは異なる職位体系を用意する会社もあります。そのような会社では、専門的な判断を行う人と、人員・予算を管理する人が別々の立場に置かれることがあります。
職制を理解するときは、肩書の上下だけでなく、管理の経路と専門判断の役割をどう組み合わせているかにも注目しましょう。
職制が必要な理由|組織運営での役割
担当範囲を明確にするため
部署や担当者が増えると、仕事の境界が曖昧になりやすくなります。たとえば、設備の故障を発見したとき、製造部が修理を手配するのか、設備管理部が窓口になるのかが不明確だと対応が遅れます。
職制の整備は、業務の担当と管理責任を整理し、仕事が抜け落ちたり、複数部署が同じ作業を重複したりする事態を減らすことに役立ちます。
指示・報告・相談の流れをはっきりさせるため
急いで判断すべき問題が起きても、誰に報告すればよいか分からなければ、確認を繰り返すうちに対応が遅れることがあります。
職制を通じて指示や報告の経路を定めておけば、担当者は相談先を把握しやすくなります。ただし、緊急時の安全通報、ハラスメント相談、内部通報などについては、通常の上司経由とは別の経路を設けることが必要な場合もあります。
責任と権限の不一致を防ぐため
「責任者」とされているのに必要な承認権限がない場合、業務が滞ることがあります。一方、広い権限を与えるだけで確認手続きがないと、判断の誤りや不正のリスクが生じます。
職制を考えるときは、担当する仕事だけでなく、どこまで判断できるか、どの場面で上位者の承認が必要かをセットで整理することが大切です。
職制と職位の違い|「組織の仕組み」と「個人の地位」
職制は組織全体の仕組みや管理・監督する立場を表す言葉、職位は個人に与えられた仕事上の地位を表す言葉です。
| 比較項目 | 職制 | 職位 |
|---|---|---|
| 中心となる意味 | 職務分担・指揮命令の制度、管理監督的な立場の人 | 組織内での仕事上のポスト・地位 |
| 注目する対象 | 組織の構造や管理の経路 | 一人ひとりの位置づけ |
| 使い方 | 「職制を整備する」 | 「職位を変更する」 |
| 例 | 部長・課長を置き、報告経路を定める仕組み | 「営業課長」「品質保証部長」などの地位 |
たとえば、会社が新しい課を作って課長職を置けば、職制を変更したと説明できます。その課長のポストに佐藤さんが就くことは、佐藤さんの職位に関する話です。
職位には、管理職だけでなく、担当者や専門職の地位を含める制度もあります。職位の種類や人事等級との関係を詳しく知りたい方は、1983.html「職位とは?役職・職階・等級との違い」も参考にしてください。
職制と役職の違い|職制は役職そのものなのか
「役職」は、組織で担当する役割に応じた地位やその名称を表します。「部長」「課長」「係長」などが代表例です。
これに対して「職制」には、役職をどのように配置するかという制度全体の意味があります。また、職制が「管理職などの役付きの人」を指す用法では、役職者という意味と近くなります。
「役職を置く」と「職制を整える」は視点が違う
「新しく統括部長の役職を置く」は、特定のポストを設ける話です。「部門の統廃合に合わせて職制を整える」は、ポストだけでなく、指揮命令系統や業務分担を含む仕組みの話です。
このように、職制と役職は対立する言葉ではありません。役職の配置は、職制を構成する要素の一つと考えると理解しやすくなります。
役職名が同じなら権限も同じ?
同じ「課長」という役職名でも、予算を管理できる範囲や決裁できる金額は、会社や部署ごとに違うことがあります。役職名だけでは具体的な権限まで確定しません。
とくに小規模企業では、部長が実務も兼ねることがあります。一方、大きな組織では課長に広い範囲の判断を委ねる場合もあります。実際の権限は社内規程や正式な委任内容を確認しましょう。
職制と業務分掌の違い|どこまでを決める仕組み?
「業務分掌(ぎょうむぶんしょう)」は、組織内で業務をどの部署や担当者に割り振るか、担当範囲を整理することです。
職制が組織全体の体系や管理の経路も含むのに対し、業務分掌は特に仕事の受け持ちに注目する用語です。
| 項目 | 職制 | 業務分掌 |
|---|---|---|
| 中心となる問い | どんな組織・役職・指揮系統にするか | どの部署・担当者がどの業務を持つか |
| 記載内容の例 | 部署構成、管理階層、指揮命令経路 | 受発注、支払、品質検査などの担当範囲 |
| 変更する例 | 新しい部を設け、指揮系統を変更する | 請求書処理を営業部から経理部に移す |
ただし、両者は切り離された別制度とは限りません。「職制規程」の中に業務分掌を盛り込む会社もあれば、組織規程と業務分掌規程を分けて定める会社もあります。
総務・人事・経理・製造・品質保証などの担当範囲を具体的に知りたい場合は、1985.html「業務分掌とは?職務分掌との違い・規程と具体例」で詳しく解説しています。
職制と職階・等級の違い
職階は仕事を一定の基準で分類・段階化する考え方
「職階」は、職務の内容や難度、責任の程度などを基準として仕事上の段階を定める仕組みを指します。人事制度によっては、職務ごとの階層を職階と呼びます。
これに対して職制は、組織の構成、役職、職務分担、指揮命令の経路などを含み得る広い概念です。職階制を職制の一部として扱う説明もありますが、すべての職制が同一の職階制度を採用しているわけではありません。
職制と人事等級は一致するとは限らない
「等級」は、能力・職務・期待される役割などに応じて、社員や仕事を一定のランクに分ける制度です。会社によって職能資格等級、職務等級、役割等級などの考え方があります。
同じ課長の職位でも等級が異なる場合や、高度専門職が課長に相当する処遇を受ける場合があります。したがって、職制上の上下関係だけで給与等級や待遇まで決まるとは限りません。
「職制上の上司」と「人事評価者」は同じ?
通常、職制上の上司が評価に関わる会社はありますが、評価者や最終承認者を別に定めることもあります。特に複数部署にまたがるプロジェクトや兼務では、日々の指示者と評価者が異なる場合があります。
誰が評価・承認するかは、職制だけでなく、人事評価規程や職務権限規程も確認する必要があります。
職制と職務権限の違い|責任者は何でも決裁できる?
「職務権限」は、担当する職務に応じて認められる判断・承認・決裁などの権限を指す表現です。
職制が、組織の中の立場や指示の流れを定めるのに対し、職務権限は、その立場で具体的に何ができるかを問題にします。
課長でも決裁できない案件がある
たとえば、ある会社が「10万円未満の物品購入は課長決裁、10万円以上は部長決裁」と決めたとします。この金額はあくまで架空の例です。
この場合、課長は職制上の管理者であっても、すべての購入を独断で決定できるわけではありません。役職ごとに設けた決裁の範囲を守る必要があります。
「担当していること」と「最終決定できること」を混同しないことが、組織運営では大切です。
「職権」との違い
「職権」は、その職務を行うために、立場や資格に基づいて認められる権限を意味します。とくに行政・法律の説明でもよく使われる言葉です。
職制は組織の仕組みや管理上の立場、職権は職務に伴う権限を指す点が異なります。詳しくは、1981.html「職権とは?職権行使・職権発動の意味」も参考になります。
「職制側」「職制を通じて」とは?使われ方を例文で確認
「職制側」は管理・監督を行う立場の人々を指すことが多い
労使の話し合いや工場の職場運営では、「職制側」という表現が使われることがあります。文脈上、現場を管理・監督する役職者や会社側の管理組織を指すことが多い言い方です。
例文:「安全対策について、現場の従業員と職制側で意見を交換した。」
ただし、「職制側」が法律で一律に定義された特定の当事者を意味するとは限りません。文書によっては工場長・課長・係長のうち誰を含めるのかが異なるため、労使交渉など重要な場面では対象者を明示する方が確実です。
「職制を通じて」は正式な指示経路を使うこと
例文:「業務変更の内容は、各職場の職制を通じて従業員に説明する。」
この文では、各部署の管理者や指揮命令系統を経由して説明する意味です。全社員に一斉メールを送ることとは異なり、現場の上司が補足説明を行うことも想定されます。
もっとも、あらゆる情報を上司だけに経由させるべきという意味ではありません。個別の通報・相談や守秘義務が関わる案件では、専用窓口を使う必要がある場合もあります。
「職制上の地位」「職制上の役付者」は何を指す?
「職制上の地位」は、組織の管理体系におけるポストや位置づけを示す表現です。
「職制上の役付者」は、会社の職制の中で役職を与えられた人を指します。ただし、役付きであるという事実だけで、その人の法的な労働時間の取扱いが決まるわけではありません。
職制と管理職の違い|労働基準法上の管理監督者とは別
「職制」が管理・監督的な立場の人を意味する場合、日常語としての「管理職」に近い使われ方があります。
しかし、社内で管理職と呼ばれることと、労働基準法上の「管理監督者」に当たることは別問題です。
役職名だけでは管理監督者か判断できない
厚生労働省は、管理監督者について、単に部長・店長などの肩書があるかどうかではなく、実際の職務内容、責任と権限、勤務態様、待遇などから判断する必要があると説明しています。
たとえば「課長」の肩書があっても、出退勤についてほとんど裁量がなく、労務管理に関する重要な決定権限もないなど、実態によっては法律上の管理監督者には当たらないことがあります。
管理監督者なら残業代がすべて不要になる?
労働基準法上の管理監督者に該当する場合、労働時間・休憩・休日に関する一部の規定は適用除外になります。ただし、深夜労働の割増賃金や年次有給休暇の規定まで一律に適用されなくなるわけではありません。
逆に、会社が「職制上の役職者だから残業代は支払わない」と決めても、そのことだけでは法律上の管理監督者にはなりません。労働条件や残業代が問題になった場合は、肩書ではなく勤務実態と関係法令を確認する必要があります。
この点については、記事末尾に掲載する厚生労働省の公式解説が参考になります。
公務員の「職制上の段階」とは?
公務員制度では、「職制」という言葉が少し専門的な形で登場します。その一つが「職制上の段階」です。
国家公務員の官職を段階ごとに整理する言葉
「標準的な官職を定める政令」では、職務の種類や所属する部局・機関に応じて、職制上の段階と標準的な官職が整理されています。
たとえば国の行政機関には、局長・部長・課長などの官職があり、制度上の段階を考える際に使われます。すべての行政機関に同一の部署名や職名があるわけではないため、実際の規定では機関の種類ごとに扱いを分けています。
「職制上の段階」と「職務の級」は同じではない
「職制上の段階」は官職の位置づけに関する概念です。一方「職務の級」は、給与制度などにおける職務の分類・格付けに関わる概念です。
両者は関係しますが、あらゆる官職で機械的に一対一対応するものと考えるのは正確ではありません。公務員の職位や給与について確認する際は、職制に関する規定と給与に関する規定を分けて見る必要があります。
地方自治体の職制は全国共通?
地方自治体には、課長・主幹・主査・主事などの職名を使う例があります。ただし、名称、担当職務、職の配置、管理監督の範囲は自治体の規則や組織構成によって異なります。
そのため、「主幹は必ず課長補佐級」「主査は必ず係長級」と全国一律に断言することはできません。公務員の職制を詳しく調べるときは、対象の自治体の職員職名規則や組織規則を確認しましょう。
職制はどのように決める?見直しの進め方と注意点
職制の設計や見直しに、すべての会社へ共通する唯一の手順があるわけではありません。ただし、実務では次のような順序で整理すると、役割の重複や責任の曖昧さを見つけやすくなります。
- 仕事を洗い出す:営業、検査、製造、請求、顧客対応など、継続的に発生する業務を整理します。
- 部署の役割を明確にする:各部署が何を主担当とするのかを定めます。共同で扱う仕事の連携方法も検討します。
- 管理する立場を置く:部長・課長などのポストと、担当範囲を検討します。必ずしも階層を増やすことが正解ではありません。
- 指示・報告の経路を整理する:通常業務と緊急時、それぞれの報告先を明確にします。
- 決裁・承認の権限を定める:予算、契約、品質判定など、判断を要する事項ごとに責任者と権限の範囲を確認します。
- 規程と実態を照合する:組織図や業務分掌表を更新し、現場で運用できるかを確認します。
部門を増やしすぎることにも注意
職制を細かく定めれば、必ず業務が効率的になるわけではありません。管理階層が増えすぎると、承認に時間がかかったり、部署間の連絡が複雑になったりすることがあります。
たとえば顧客対応で毎回3人の上司を経由しなければならないなら、判断が遅れていないか検証する価値があります。職制の見直しでは、管理の確実さと意思決定の速さのバランスが大切です。
兼務・プロジェクト体制では誰が指示する?
一人が複数部署を兼務したり、部署横断のプロジェクトに参加したりすると、通常の職制上の上司とプロジェクト責任者が異なることがあります。
その際は、業務の優先順位を誰が決めるか、勤怠や人事評価を誰が担当するか、重要な判断を誰が承認するかを明示しておくと、指示の食い違いを減らせます。
「職制」の正しい使い方とビジネス例文
制度や組織の仕組みを表す例文
- 「新規事業の開始に合わせて、職制の一部を改めることになった。」
- 「組織図と業務分掌規程を照合し、職制上の責任範囲を整理した。」
- 「職制の変更に伴い、承認ルートも見直す必要がある。」
- 「専門職の活躍を促すため、従来の管理職中心の職制を再検討する。」
管理・監督的な立場の人を表す例文
- 「安全衛生に関する方針を各職場の職制に説明した。」
- 「現場の職制と担当者が協力し、作業手順を改善した。」
- 「職制を通じて連絡したうえで、必要な部署には別途資料を配布する。」
- 「従業員から寄せられた意見を職制側に伝えた。」
メール例文① 職制変更のお知らせ
件名:組織変更に伴う職制見直しのお知らせ
関係各位
お疲れ様です。総務部です。
来月からの組織変更に伴い、一部部署の職制と報告経路を見直すことになりました。
変更後の組織図、担当業務、承認ルートについては、添付資料をご確認ください。
不明点がある場合は、所属部門の責任者または総務部までお問い合わせください。
よろしくお願いいたします。
メール例文② 職制上の指示・承認経路を確認する
件名:新体制における承認経路の確認
品質保証部 ご担当者様
お疲れ様です。製造部の田中です。
新しい職制への移行に伴い、検査不適合発生時の報告先と最終承認者について確認したく、ご連絡しました。
現行の規程に変更がある場合は、改訂後の担当一覧と併せてご教示いただけますと幸いです。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
「職制を敷く」「職制を設ける」は自然な表現?
「職制を設ける」「職制を整える」「職制を改める」「職制を見直す」は、制度や仕組みを指す場合に自然な言い方です。「職制を敷く」も組織の仕組みを整備する意味で使えますが、文章によっては「組織体制を整える」とした方が読みやすいことがあります。
反対に、特定の役職者を指すのであれば「職制に相談する」「職制を通じて伝える」のような表現が考えられます。ただし、一般読者向けの文章では「上司」「管理職」「所属長」と書き換えた方が具体的な場合もあります。
「職制」に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 職制とは簡単にいうと何ですか?
職場の仕事の分担や指示・監督の仕組みのことです。文脈によっては、部長・課長など管理・監督する立場の人を指します。
Q2. 職制の読み方は「しょくせい」で合っていますか?
はい。「しょくせい」と読みます。「職位(しょくい)」「職階(しょっかい)」「職権(しょっけん)」とは別の言葉です。
Q3. 職制と組織図は同じですか?
同じではありません。組織図は部署や役職の配置を図で示したものです。職制には、仕事の分担や指揮命令・責任の関係まで含む場合があります。
Q4. 職制とは管理職のことですか?
管理・監督的な立場の人を指す使い方では、管理職に近い意味になります。一方、職務分担の制度という意味もあるため、常に管理職だけを指すわけではありません。
Q5. 職制と役職は何が違いますか?
役職は部長や課長などのポストや名称です。職制は、そうした役職の配置を含む組織の仕組みを意味する場合があります。
Q6. 職制と職位は何が違いますか?
職位は個人に与えられた仕事上の地位です。職制は組織全体の仕組みを指すことがあり、管理・監督的な地位にある人を指すこともあります。
Q7. 職制と職務分掌はどちらが広い意味ですか?
職制を組織の仕組みとして捉える場合、職務の割り振りも含めた広い概念になります。ただし、社内規程の名称や範囲は会社ごとに異なります。
Q8. 「職制側」とは会社側という意味ですか?
労使の文脈では、会社の管理・監督を担う側を指すことがあります。ただし、正式な当事者の範囲が一律に決まる用語ではないため、文書ごとの使われ方を確認してください。
Q9. 「職制を通じて連絡」とはどういう意味ですか?
部署の上司や管理者など、組織で定められた指示・報告の経路を使って連絡することです。情報の種類によっては別の窓口が適切な場合もあります。
Q10. 係長や主任は職制に含まれますか?
係長などが管理・監督的な職制の一部とされる例はあります。主任の扱いも含め、具体的な役割や指揮権限は組織によって違うため、名称だけで決めることはできません。
Q11. 職制上の役職があれば残業代は出ませんか?
いいえ。職制上の役職があることだけで、労働基準法上の管理監督者になるわけではありません。職務内容、権限、勤務態様、待遇などの実態に基づく判断が必要です。
Q12. 職制と職務権限規程は同じものですか?
同じとは限りません。職制は組織の仕組みを表す言葉です。職務権限規程は通常、どの役職が何を決裁・承認できるかなどを定める社内規程を指します。
Q13. 職制を変えると給与も必ず変わりますか?
必ずしも変わりません。職制変更と、給与等級・手当の変更は別の事項です。実際の労働条件は会社の賃金規程や人事制度を確認する必要があります。
Q14. 公務員の「職制上の段階」は役職のことですか?
官職の制度上の位置づけや段階に関する言葉です。個々の役職名と関係しますが、給与上の「職務の級」と単純に同一視することはできません。
Q15. 職制の意味を見分ける方法はありますか?
「整備する」「見直す」なら組織の制度、「相談する」「通じて伝える」なら管理・監督する立場の人を指すことが多いと考えられます。ただし、最終的には文脈で判断しましょう。
Q16. 小さな会社にも職制はありますか?
あります。役職の数が少なくても、誰が仕事を担当し、誰が判断や指示を行うかという仕組みは必要です。ただし、すべての会社が「職制」という名称の独立した規程を設けているわけではありません。
まとめ|「職制」は組織の仕組みと管理する立場の人を表す言葉
「職制(しょくせい)」には、職務の分担や指揮命令系統を定める制度という意味と、管理・監督的な地位にある人という意味があります。
- 「職制を見直す」=組織の仕組みや指揮命令の関係を見直すこと。
- 「職制を通じて説明する」=上司など管理・監督的な立場を経由して説明すること。
- 「職位」=個人の仕事上の地位。「役職」=部長や課長などのポスト。
- 「業務分掌」=担当業務の割り振り。「職務権限」=具体的に判断・承認できる範囲。
- 「職制上の役職者」=労働基準法上の管理監督者、と自動的に決まるわけではない。
職制という言葉に出会ったら、まず「組織のルールの話なのか、管理する立場の人の話なのか」を確認してみましょう。それだけでも文章の意味を読み取りやすくなります。
参考リンク
- コトバンク「職制」
『デジタル大辞泉』『日本国語大辞典』『日本大百科全書』などの定義を確認できます。職制の2つの意味を整理する際に参考になる資料です。
- 厚生労働省「管理監督者」(裁判例)
肩書だけで管理監督者を判断できない理由や、職務内容・権限・勤務態様などの判断要素が説明されています。
- 厚生労働省「働くときの基礎知識」
管理監督者の考え方や、労働時間・深夜割増賃金・年次有給休暇などとの関係を確認できます。
- e-Gov法令検索「標準的な官職を定める政令」
国家公務員の職制上の段階と標準的な官職の関係を定めた政令を閲覧できます。
