「営業の届出をする」
「営業許可を申請する」
行政手続では、「届出(とどけで)」と「申請(しんせい)」という言葉が頻繁に登場します。
どちらも役所などへ書類を提出するため、同じように見えますが、行政手続法上は明確に区別されています。
そのため、
「届出と申請は何が違う?」
「届出にも役所の許可が必要?」
「申請書を出せば手続は終わり?」
「届出は提出した瞬間に有効?」
「許可申請と営業届出はどう違う?」
「報告・届出・申請はどう使い分ける?」
と迷うことがあります。
簡単にいうと、行政手続法上の「申請」は、許可・認可・免許など、自分に一定の利益を与える行政処分を求め、行政庁から「認める・認めない」という判断を受ける手続です。一方、「届出」は、法令に基づいて一定の事項を行政機関へ通知する手続であり、原則として行政庁に許可・不許可の判断を求めるものではありません。
一言で覚えるなら、
申請=「行政に判断を求める」
届出=「行政に知らせる」
です。
たとえば、ある営業について行政庁の許可を受けなければ営業できない制度なら、
「営業許可を申請する」
ことになります。
一方、法令が、営業を始める際に一定事項を行政機関へ知らせることだけを義務付けている制度なら、
「営業の届出をする」
ことになります。
厚生労働省も、届出制について、行政庁の諾否の応答を求めるのではなく、行政機関に情報を提出する義務を課す仕組みと説明しています。
ただし、
「届出なら、書類を出せば何でも自由にできる」
という意味ではありません。
届出制度でも、法令上の要件を守る必要があり、制度によっては一定期間を置く仕組み、行政庁からの勧告・命令、書面交付などが設けられている場合があります。
この記事では、「届出」と「申請」の基本的な違いから、行政手続法上の定義、「許可」「報告」「届出書」「申請書」との違い、提出後の扱いまで詳しく解説します。
- 「届出」と「申請」の違い【結論】
- 「申請」とは?
- 「申請」のポイントは行政庁が回答すること
- 申請には「審査基準」がある
- 申請には「標準処理期間」が定められることもある
- 「届出」とは?
- 届出では原則として行政の「OK」を待たない
- 届出はいつ完了する?
- 「届出が到達すれば義務履行」の意味
- 届出は「出せば何でも自由」ではない
- 「届出」と「申請」の決定的な違い
- 「届出」と「申請」の流れを比較
- 具体例:食品営業の「許可申請」と「営業届出」
- 食品営業の「許可申請」
- 食品営業の「営業届出」
- 同じ事業者が「申請」と「届出」の両方をすることもある
- 「届出書」と「申請書」の違い
- 「変更届」と「変更申請」の違い
- 「届出」と「報告」の違い
- 「申請」と「請求」の違い
- 「申請」と「申告」の違い
- 届出にも行政から返信が来る場合がある
- 届出を出す時期は「前」とは限らない
- 申請もオンラインでできる?届出もできる?
- 「届出・申請」で迷ったときの3秒判定
- 「届出」を使った例文
- 「申請」を使った例文
- 具体例で比較:飲食店
- 具体例で比較:営業情報の届出
- 具体例で比較:事業内容の変更
- よくある間違い1:「届出」と「申請」は同じだと思う
- よくある間違い2:「届出も行政の許可が出るまで待つ」と思う
- よくある間違い3:「申請書を提出すれば許可された」と思う
- よくある間違い4:「届出なら審査も規制も一切ない」と思う
- よくある間違い5:「申請は事前、届出は事後」と思う
- よくある間違い6:「役所から受領書が来たから申請だ」と思う
- よくある間違い7:「届出」「申請」という名前だけで内容を決めつける
- 「届出」と「申請」に関するよくある質問
- まとめ
- 参考資料・出典
「届出」と「申請」の違い【結論】
| 比較項目 | 届出 | 申請 |
|---|---|---|
| 読み方 | とどけで | しんせい |
| 基本的な意味 | 一定事項を行政機関へ通知する | 行政機関に許可・認可・免許等の判断を求める |
| 行政庁の諾否 | 原則として求めない | 求める |
| 行政からの「OK」 | 原則として不要 | 制度上必要 |
| 行政手続法上 | 一定事項の通知 | 利益を付与する処分を求める行為 |
| 手続完了の基本 | 形式的要件を満たした届出が所定機関へ到達 | 行政庁の審査・応答を待つ |
| 代表例 | 営業届出、変更届、廃止届など | 営業許可申請、認可申請、免許申請など |
3秒で判断するなら、
「役所に知らせればよい?」 → 届出
「役所から許可・認可などの判断をもらう必要がある?」 → 申請
と考えると分かりやすいでしょう。
「申請」とは?
行政庁に許可・認可などの判断を求める行為
行政手続法第2条では、「申請」について、法令に基づき、行政庁の、
- 許可
- 認可
- 免許
- その他の利益を付与する処分
を求める行為であり、その行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきものと定義しています。
つまり、申請では、
「行政に書類を出すこと」
だけが目的ではありません。
申請者は、
「この許可をしてください」
「この免許を与えてください」
と、行政庁へ一定の処分を求めています。
「申請」のポイントは行政庁が回答すること
行政手続法上の申請の大きな特徴は、行政庁が、
許可するか
許可しないか
などについて応答することが予定されている点です。
したがって、
「申請書を提出した=許可された」
ではありません。
通常は、
- 申請書を提出する
- 行政庁が審査する
- 必要に応じて補正等を行う
- 許可・不許可等の判断が出る
という流れになります。
申請には「審査基準」がある
行政手続法では、行政庁は、申請によって求められた許認可等をするかどうか判断するために必要な、
「審査基準」
を定めることとされています。
審査基準は、できる限り具体的にすることが求められています。
つまり申請では、行政庁が何となく好き嫌いで判断するのではなく、法律・審査基準等に基づいて審査することが基本です。
申請には「標準処理期間」が定められることもある
行政手続法では、申請が行政機関に到達してから処分をするまでに通常必要となる標準的な期間について、
「標準処理期間」
という制度があります。
行政庁は、標準処理期間を定めるよう努め、定めた場合には公にしておくこととされています。
そのため、許可申請などでは、自治体や行政機関のウェブサイトに、
「標準処理期間○日」
などと掲載されている場合があります。
「届出」とは?
行政機関に一定の事項を通知する行為
行政手続法第2条では、「届出」について、
行政庁に対して一定の事項を通知する行為
であり、申請に該当しないもののうち、法令によって直接その通知が義務付けられているものなどと定義しています。
つまり届出では、基本的に、
「行政庁に許可してください」
と求めているのではありません。
「この事実・事項を届けます」
と行政へ知らせる行為です。
届出では原則として行政の「OK」を待たない
厚生労働省の公的資料でも、届出制は、
行政庁の諾否の応答を求めるものではなく、情報を提出する義務を課すもの
と整理されています。
したがって、典型的な届出では、
「届出をしたので、役所が許可してくれるまで待つ」
という構造にはなっていません。
ここが申請との大きな違いです。
届出はいつ完了する?
行政手続法第37条は、届出について重要なルールを定めています。
届出書の記載事項に不備がなく、必要書類が添付されるなど、法令上の形式的要件を満たしている場合、
届出が所定の提出先機関の事務所へ到達したとき
に、届出をすべき手続上の義務が履行されたものとされています。
つまり、行政手続法上の典型的な届出では、
「役所が受理すると決定した瞬間」
ではなく、形式上適法な届出が所定機関に到達したことが重要です。
「届出が到達すれば義務履行」の意味
たとえば法令上、
「営業開始前に○○を届け出なければならない」
と定められている場合を考えます。
必要事項を正しく記載し、必要書類も添付した届出が所定の行政機関に到達すれば、行政手続法第37条上は、
「届出をする」という手続上の義務
を果たしたことになります。
行政庁が後日、
「届出を許可します」
と決定することを待つ制度とは異なります。
届出は「出せば何でも自由」ではない
ここには注意が必要です。
行政手続法第37条が定めているのは、
届出をするという手続上の義務がいつ履行されたことになるか
です。
届出をしたからといって、他の法律上の義務・基準まで免除されるわけではありません。
たとえば事業者には、届出後も、
- 衛生基準
- 設備基準
- 表示義務
- 報告義務
- 安全管理義務
などが課される場合があります。
したがって、
「届出=行政規制がなく、完全に自由」
と理解するのは誤りです。
「届出」と「申請」の決定的な違い
違い1:行政に「判断」を求めるか
最も重要な違いです。
申請=行政庁に許可・認可などの判断を求める
届出=行政庁へ一定事項を知らせる
です。
違い2:行政庁からの諾否があるか
申請では、行政庁が、
「認める」
または、
「認めない」
という判断をすることが予定されています。
届出では原則として、そのような諾否の判断を求めません。
違い3:書類を出した後の扱いが違う
申請は書類を出した後、行政庁による審査・処分を待つ必要があります。
一方、行政手続法上の届出は、形式上の要件を満たした届出が所定機関へ到達した時点で、届出をするという手続上の義務が履行されます。
違い4:規制の強さも異なる
厚生労働省は、届出制と許認可制を比較し、許可・認可では行政庁の諾否が必要であることから、届出制より規制の度合いが強いと説明しています。
つまり一般的には、
届出制=情報提出を求める比較的軽い規制
許認可制=行政庁による事前審査を伴うより強い規制
という違いがあります。
「届出」と「申請」の流れを比較
| 届出 | 申請 |
|---|---|
| 届出書を作成 | 申請書を作成 |
| 行政機関へ提出 | 行政庁へ提出 |
| 形式的要件を満たして到達 | 行政庁が内容を審査 |
| 手続上の届出義務を履行 | 許可・不許可等の判断 |
| 原則、諾否の応答を求めない | 諾否の応答が必要 |
具体例:食品営業の「許可申請」と「営業届出」
食品衛生法は、「申請」と「届出」の違いを理解するうえで分かりやすい制度です。
現在の食品衛生法では、営業の種類に応じて、
営業許可が必要な業種
と、
営業届出が必要な業種
があります。
厚生労働省も、
「営業許可制度」
と、
「営業届出制度」
を明確に分けて案内しています。
食品営業の「許可申請」
食品衛生法上、飲食店営業など一定の営業では、行政庁から営業許可を受ける必要があります。
その場合、営業者は、
営業許可を「申請」
します。
行政庁が施設基準などを確認し、許可するかを判断します。
したがって、申請書を提出しただけでは、営業許可を受けたことにはなりません。
食品営業の「営業届出」
一方、食品衛生法第57条では、許可営業などを除く一定の営業について、営業所の名称・所在地などを都道府県知事へ、
「届け出なければならない」
と定めています。
厚生労働省は、食品等事業者を行政が把握できるよう、食品衛生法改正によって営業届出制度を創設したと説明しています。
こちらは、営業許可を申請して行政庁の許可を受ける制度とは異なります。
同じ事業者が「申請」と「届出」の両方をすることもある
一つの事業者が、申請と届出のどちらか一方だけを行うとは限りません。
厚生労働省の営業届出に関する案内では、許可営業を営む営業者が、別に届出対象となる営業も営む場合、
営業許可の申請とは別に、営業届出も必要になる場合がある
と説明されています。
つまり、
申請と届出は「どちらかを選ぶ手続」ではなく、法令がそれぞれ必要と定めれば両方行う
こともあります。
「届出書」と「申請書」の違い
書類名を見ると、手続の性格をある程度判断できます。
届出書
行政機関へ一定の事実・事項を通知するための書類です。
たとえば、
- 営業届出書
- 変更届出書
- 廃止届
などがあります。
申請書
行政庁へ許可・認可・免許などの行政処分を求めるための書類です。
たとえば、
- 営業許可申請書
- 認可申請書
- 免許申請書
などがあります。
ただし、制度の法的性質は書類タイトルだけでなく、根拠法令を確認することが重要です。
「変更届」と「変更申請」の違い
同じ「変更」でも、制度によって届出の場合と申請の場合があります。
たとえば、住所・代表者など一定事項が変わったことを行政へ知らせるだけなら、
「変更届」
とする制度があります。
一方、事業内容など重要な事項を変更する前に行政庁の許可・認可を受ける必要がある制度では、
「変更認可申請」
「変更許可申請」
などになります。
つまり、
変更した事実を知らせる → 届出
変更してよいか行政の判断を求める → 申請
と考えると分かりやすいでしょう。
「届出」と「報告」の違い
「報告」も行政へ情報を伝えるため、「届出」と似ています。
一般的には、
届出=法令に基づいて一定事項を正式に通知する手続
報告=行政機関等に事実・状況・結果などを知らせること
と整理できます。
ただし、法令には「報告義務」「報告徴収」など独自の制度があります。
そのため、正式な行政手続では、法律が「届出」「報告」のどちらを要求しているのか確認することが重要です。
「申請」と「請求」の違い
「申請」と似た言葉に「請求」があります。
行政分野でも、
情報公開請求
給付の申請
など、制度によって異なる言葉が使われます。
一般語としては、
申請=一定の許可・認定・給付などを正式に求める
請求=自分の権利として相手に一定の行為・給付を求める
という違いがあります。
ただし、法制度では正式名称が優先されます。
「申請」と「申告」の違い
「申告」は、自分から一定の事実・金額などを申し出ることです。
たとえば、
確定申告
という言葉があります。
「申請」が行政へ許可・給付等の判断を求める意味を持つのに対し、「申告」は事実・所得・税額などを自ら申し出る意味が中心です。
ただし、これも制度ごとの正式名称を確認する必要があります。
届出にも行政から返信が来る場合がある
「届出は行政から何も返ってこない」と考えるのも正確ではありません。
厚生労働省の届出制に関する資料では、届出制度は本来、行政庁の諾否を求めるものではないとしたうえで、
行政庁が届出に対して書面を交付する制度
や、
届出後に勧告などを行う制度
が存在することも紹介されています。
つまり、
「行政から何か反応がある=申請」
とは限りません。
ポイントは、その行政の反応が、
行為を認めるかどうかという「諾否の判断」なのか
です。
届出を出す時期は「前」とは限らない
届出は、行為をする前に必要なものだけではありません。
制度によって、
- 事前届出
- 事後届出
- 変更後の届出
- 廃止時の届出
などがあります。
厚生労働省も、届出制について、一定の行動をとる前または後に行政機関への届出を義務付ける仕組みと説明しています。
したがって、
「申請は事前、届出は事後」
という区別ではありません。
申請もオンラインでできる?届出もできる?
現在は、制度によって申請・届出のオンライン化が進んでいます。
厚生労働省の「食品衛生申請等システム」でも、
- 営業許可申請
- 営業届出
- 食品等の自主回収報告
などをオンラインで行える仕組みが提供されています。
つまり、
「オンラインだから申請」
「紙だから届出」
という違いではありません。
違うのは手続の法的な性質です。
「届出・申請」で迷ったときの3秒判定
| こんな場合 | 選びやすい言葉 |
|---|---|
| 役所に一定の事実を知らせる | 届出 |
| 役所に許可してもらう | 申請 |
| 免許を取得したい | 申請 |
| 認可を受けたい | 申請 |
| 代表者変更を知らせる | 届出となる制度が多い |
| 廃止したことを知らせる | 届出となる制度が多い |
| 営業許可を求める | 許可申請 |
| 営業情報を行政へ通知する | 営業届出 |
最も簡単に覚えるなら、
届出=「知らせる」
申請=「認めてもらう」
です。
「届出」を使った例文
- 営業を開始する前に必要な届出を行った。
- 代表者が変更されたため変更届出を提出した。
- 事業を廃止したため、行政機関へ廃止の届出を行った。
- 食品衛生法に基づく営業届出を行う。
- 必要事項を記載した届出書を提出した。
「申請」を使った例文
- 飲食店の営業許可を申請した。
- 行政庁へ認可を申請する。
- 免許取得のため申請書を提出した。
- 必要書類をそろえて許可申請を行った。
- 申請内容について行政庁の審査を受ける。
具体例で比較:飲食店
新しく飲食店を開くため、食品衛生法に基づく営業許可が必要だとします。
この場合、行政庁へ、
「営業許可を申請する」
ことになります。
行政庁が施設等を審査し、許可が出て初めて許可営業者として営業できます。
単に、
「飲食店を始めます」
と届け出るだけでは、許可に代えることはできません。
具体例で比較:営業情報の届出
一方、食品衛生法上、許可営業等を除く一定の営業については、営業者が営業所の名称・所在地などを行政機関へ届け出る制度があります。
この場合は、
「営業の届出」
です。
行政庁から営業許可を得るための「申請」とは法的な仕組みが異なります。
具体例で比較:事業内容の変更
ある事業制度で、単なる住所変更については、
「変更届」
でよいとします。
一方、事業の重要な内容を変更する場合に事前の行政許可が必要なら、
「変更許可申請」
が必要になります。
同じ「変更」でも、
知らせるだけなのか
行政の判断を受けなければ変更できないのか
によって「届出」と「申請」が変わります。
よくある間違い1:「届出」と「申請」は同じだと思う
行政手続法上は異なります。
申請は許認可等を求め、行政庁が諾否を判断します。
届出は一定事項を通知する行為であり、原則として行政庁に諾否を求めません。
よくある間違い2:「届出も行政の許可が出るまで待つ」と思う
典型的な届出制度では、許可・不許可の判断を求めません。
行政手続法第37条では、形式的要件を満たす届出が所定の機関へ到達すれば、届出をする手続上の義務を履行したものとしています。
よくある間違い3:「申請書を提出すれば許可された」と思う
申請書を提出しただけでは、通常、許可・認可等を受けたことにはなりません。
行政庁の審査と処分を待つ必要があります。
よくある間違い4:「届出なら審査も規制も一切ない」と思う
届出でも形式的要件があります。
また、届出後の営業・行為について別の法令上の基準・義務が課されることがあります。
制度によっては行政庁の勧告等もあります。
よくある間違い5:「申請は事前、届出は事後」と思う
届出には事前届出も事後届出もあります。
「提出する時期」ではなく、行政庁の諾否を求める手続かどうかを見ることが重要です。
よくある間違い6:「役所から受領書が来たから申請だ」と思う
届出制度でも、行政機関が届出書の受領を示す書面などを交付する場合があります。
書面が返ってくることと、行政庁が許可・不許可を判断することは別です。
よくある間違い7:「届出」「申請」という名前だけで内容を決めつける
行政手続では、根拠となる法律・条例・規則によって具体的な手続が決まります。
実際に何を提出するのか、いつから行為できるのか、行政庁の判断が必要なのかは、個別制度を確認する必要があります。
「届出」と「申請」に関するよくある質問
Q1. 「届出」と「申請」の一番簡単な違いは?
届出は「知らせる」、申請は「行政に判断を求める」と覚えると分かりやすいでしょう。
Q2. 届出には行政の許可が必要ですか?
典型的な届出制度では、届出について行政庁の許可・不許可を求めるものではありません。
ただし、届出以外に別の許可が必要な場合もあります。
Q3. 申請すれば必ず許可されますか?
いいえ。
行政庁が法令・審査基準に基づいて審査し、要件を満たさなければ不許可等になる場合があります。
Q4. 届出はいつ完了しますか?
行政手続法第37条では、形式的要件を満たした届出が、法令で定められた提出先機関の事務所に到達したとき、届出をする手続上の義務が履行されたものとされています。
Q5. 届出に不備があった場合はどうなりますか?
第37条の到達による義務履行は、届出書に不備がないこと、必要書類が添付されていることなど、法令上の形式的要件を満たしている場合が前提です。
Q6. 「営業届出」と「営業許可申請」は同じですか?
違います。
営業届出は行政へ営業情報を通知する制度、営業許可申請は行政から営業許可を受けるための申請です。
Q7. 届出後に行政から連絡が来ることはありますか?
あります。
届出制度でも、書面の交付、内容確認、行政指導、勧告などが行われる制度があります。
行政から連絡が来ることだけで申請になるわけではありません。
Q8. 「変更届」と「変更申請」の違いは?
変更した事実を行政へ知らせるだけなら「変更届」、変更について行政の許可・認可等が必要なら「変更申請」となるのが基本的な考え方です。
Q9. 届出をしなかった場合はどうなりますか?
根拠法令によって異なります。
届出義務違反について罰則・行政処分等が定められている場合もあるため、「届出は軽い手続だから出さなくてもよい」というものではありません。
Q10. 迷ったときの簡単な見分け方は?
「行政へ一定事項を知らせる義務?」 → 届出
「行政に許可・認可・免許などを求める?」 → 申請
と考えてください。
まとめ
「届出」と「申請」は、どちらも行政へ書類等を提出する手続ですが、行政手続法上の性質は大きく異なります。
| 届出 | 申請 |
|---|---|
| 一定事項を行政へ通知する | 許可・認可・免許等を行政に求める |
| 原則として行政庁の諾否を求めない | 行政庁が諾否を判断する |
| 「知らせる」が中心 | 「認めてもらう」が中心 |
| 形式的要件を満たして所定機関に到達すれば手続上の届出義務を履行 | 提出後に審査・処分が行われる |
| 営業届出、変更届、廃止届など | 営業許可申請、認可申請、免許申請など |
最も簡単な覚え方は、
届出=「行政に知らせる」
申請=「行政に判断を求める」
です。
行政手続法第2条では、「申請」を、許可・認可・免許などの利益を付与する処分を求め、行政庁が諾否の応答をすべき行為と定義しています。
一方、「届出」は、行政庁に一定事項を通知する行為で、申請に該当せず、法令に基づいて通知が義務付けられているものなどを指します。
さらに行政手続法第37条では、届出書に不備がなく必要書類もそろっているなど形式上の要件を満たせば、所定の行政機関に届出が到達した時点で、
届出をする手続上の義務を履行した
ものとしています。
ただし、届出だからといって、
「行政の規制を受けない」
「提出後は何をしてもよい」
という意味ではありません。
届出制度でも、別の法律上の要件、事業上の基準、行政指導・命令などが存在する場合があります。
文章や行政手続で迷ったときは、
「行政に情報を知らせる手続なのか」
それとも、
「行政から許可・認可などの判断を受けなければならない手続なのか」
を確認すると、「届出」と「申請」を見分けやすくなります。
参考資料・出典
本記事は、以下の法令・厚生労働省等の公的資料を参照し、内容を整理したうえで作成しています。
-
e-Gov法令検索「行政手続法」第2条
― 「申請」を許可・認可・免許その他の利益を付与する処分を求め、行政庁が諾否の応答をすべき行為と定義。また「届出」を行政庁に一定事項を通知する行為として定義 -
e-Gov法令検索「行政手続法」第5条
― 許認可等について、行政庁が審査基準を定めることなどを規定 -
e-Gov法令検索「行政手続法」第6条
― 申請に対する処分について標準処理期間を定める努力義務等を規定 -
e-Gov法令検索「行政手続法」第37条
― 形式的要件を満たした届出が所定の提出先機関に到達したとき、届出をする手続上の義務が履行されたものとする規定 -
厚生労働省「届出制と許認可制の比較」
― 届出制を行政庁の諾否の応答を求めず、情報提出義務を課す仕組みと説明。許可・認可との違いも整理 -
厚生労働省「営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報」
― 食品衛生法改正による営業許可制度の見直しと営業届出制度の創設について説明 -
厚生労働省「食品衛生法」第57条
― 一定の営業を営もうとする者に、営業所の名称・所在地その他の事項を都道府県知事へ届け出ることを義務付ける規定 -
厚生労働省「食品衛生申請等システム」
― 営業許可申請と営業届出を、それぞれ別の行政手続としてオンラインで行えることを示す公的資料
※本記事の「届出=知らせる/申請=判断を求める」という区別は、行政手続法上の定義を一般向けに整理したものです。
※行政手続法第37条が定める「到達時に義務履行」は、届出書の記載事項・添付書類など、法令上の形式的要件を満たしている場合が前提です。
※届出制度には、行政庁から書面が交付されるもの、届出後に勧告等が行われるもの、一定期間を経なければ行為できないものなど、個別法上の仕組みが設けられている場合があります。
※「届出」「申請」「報告」「申告」「請求」などの正式名称・法的効果は個別の法律・条例によって異なります。具体的な手続では、その制度の根拠法令・行政機関の案内を確認してください。
※本記事は日本の行政手続用語について一般的な違いを解説するものであり、個別の申請・届出について法的判断を行うものではありません。
