「企業物価指数」と「企業向けサービス価格指数」の違いは?商品・サービス・人件費との関係までわかりやすく解説

企業の物価に関するニュースでは、

「企業物価指数が上昇した」

「企業向けサービス価格指数の伸びが続いている」

といった表現を目にします。

名前がよく似ているため、

「企業物価指数と企業向けサービス価格指数は何が違う?」

「どちらも企業同士の価格ではないの?」

「物流費やソフトウェア料金はどちらに入る?」

「人件費が上がったときに見るのはどちら?」

「CPIとの違いは?」

と迷うこともあるでしょう。

結論からいうと、「企業物価指数」は企業間で取引される主に商品(財)の価格変動を測る指数です。一方、「企業向けサービス価格指数」は企業間で取引されるサービスの価格変動を測る指数です。

最も簡単に覚えるなら、

企業物価指数=「企業が売買するモノの価格」

企業向けサービス価格指数=「企業が利用するサービスの価格」

です。

たとえば、鉄鋼や化学製品、機械など企業間で取引される商品の価格を見るなら企業物価指数です。

一方、

  • 貨物輸送
  • ソフトウェア開発
  • 広告
  • 事務所賃貸
  • 警備
  • 労働者派遣

など、企業が購入するサービスの価格を見る場合には企業向けサービス価格指数が役立ちます。

この記事では、「企業物価指数」と「企業向けサービス価格指数」の違いから、商品とサービス、人件費、物流、IT、広告、CPIとの違い、インフレ分析での使い分けまで詳しく解説します。

  1. 「企業物価指数」と「企業向けサービス価格指数」の違い【結論】
  2. そもそも「企業物価指数」とは?
    1. 企業間で取引される「商品」の価格を測る指数
  3. 国内企業物価指数は何を見る?
  4. 「企業向けサービス価格指数」とは?
    1. 企業間で取引される「サービス」の価格を測る指数
  5. なぜ企業物価指数だけでは不十分?
  6. 企業向けサービス価格指数には何が含まれる?
  7. 具体例1:トラック運賃はどちら?
  8. 具体例2:トラック本体の価格はどちら?
  9. 具体例3:パソコンとソフトウェア開発
  10. 具体例4:広告料金はどちら?
  11. 「商品」と「サービス」の違いが判断の基本
  12. 人件費上昇の影響を見るなら企業向けサービス価格指数?
  13. 賃金が上がればサービス価格も必ず上がる?
  14. 「人件費投入比率に基づく分類指数」とは?
  15. 企業物価指数は原材料価格の影響を受けやすい?
  16. 企業向けサービス価格指数は国内要因を見やすい?
  17. 企業向けサービス価格指数はCPIとどう違う?
  18. 郵便や電話は両方に入ることがある?
  19. 個人向けサービスは企業向けサービス価格指数に入らない?
  20. 企業物価が上がると企業向けサービス価格も上がる?
  21. 逆にサービス価格上昇が商品の価格へ波及することもある?
  22. 企業向けサービス価格指数は景気の先行指標?
  23. 「商品インフレ」と「サービスインフレ」の違い
    1. 商品インフレ
    2. サービスインフレ
  24. サービス価格が上がるとインフレは長引きやすい?
  25. 企業向けサービス価格指数の価格調査段階は?
  26. 現在の企業向けサービス価格指数は2020年基準
  27. 指数が110なら「10%値上げされた」という意味?
  28. 「企業物価指数・企業向けサービス価格指数」で迷ったときの3秒判定
  29. 「企業物価指数」を使った例文
  30. 「企業向けサービス価格指数」を使った例文
  31. よくある間違い1:「企業物価指数にはサービスも含まれる」と思う
  32. よくある間違い2:「企業向けサービス価格指数は消費者向けサービスの指数」と思う
  33. よくある間違い3:「人件費が上がれば企業向けサービス価格も同じ割合で上がる」と思う
  34. よくある間違い4:「広告やITはモノではないので物価統計に入らない」と思う
  35. よくある間違い5:「企業向けサービス価格指数=CPIサービス」と思う
  36. よくある間違い6:「商品価格とサービス価格は無関係」と思う
  37. よくある間違い7:「サービス価格の上昇はすべて賃上げが原因」と思う
  38. 「企業物価指数」と「企業向けサービス価格指数」に関するよくある質問
    1. Q1. 一番簡単な違いは何ですか?
    2. Q2. 企業向けサービス価格指数は誰が公表していますか?
    3. Q3. 運送費はどちらですか?
    4. Q4. ガソリン価格はどちらですか?
    5. Q5. ソフトウェアはどちらですか?
    6. Q6. オフィス賃料はどちらですか?
    7. Q7. 賃上げの影響を見るなら企業向けサービス価格指数だけで十分ですか?
    8. Q8. 企業向けサービス価格指数が上がるとCPIも上がりますか?
    9. Q9. 日本の企業向けサービス価格指数は現在何年基準ですか?
    10. Q10. 経済ニュースでは両方見るべきですか?
  39. まとめ
  40. 参考リンク・出典

「企業物価指数」と「企業向けサービス価格指数」の違い【結論】

比較項目 企業物価指数 企業向けサービス価格指数
主な対象 企業間で取引される商品(財) 企業間で取引されるサービス
英語 Corporate Goods Price Index(CGPI) Services Producer Price Index(SPPI)
代表例 鉄鋼、化学製品、機械、食品など 運輸、広告、情報通信、不動産、派遣など
原材料価格の影響 比較的表れやすい サービス内容による
人件費の影響 間接的に反映される場合がある 人手を多く使うサービスでは重要になりやすい
作成機関 日本銀行 日本銀行
現在の基準 2020年基準 2020年基準

3秒で判断するなら、

「モノの企業間価格?」 → 企業物価指数

「サービスの企業間価格?」 → 企業向けサービス価格指数

と覚えると分かりやすいでしょう。

そもそも「企業物価指数」とは?

企業間で取引される「商品」の価格を測る指数

企業物価指数は、

Corporate Goods Price Index(CGPI)

の略称で、日本銀行が作成しています。

日本銀行は、企業間で取引される商品(財)を対象とする物価指数として企業物価指数を公表しています。

基本分類指数には、

  • 国内企業物価指数
  • 輸出物価指数
  • 輸入物価指数

があります。

特にニュースで「企業物価が上昇した」と報じられる際には、国内企業物価指数が取り上げられることが多くあります。

国内企業物価指数は何を見る?

国内企業物価指数は、

国内で生産され、国内需要家向けに販売される商品の企業間取引価格

を測ります。

たとえば、

  • 鉄鋼
  • 化学製品
  • 機械
  • 電子部品
  • 食料品
  • 石油・石炭製品

などの価格変動です。

企業が仕入れる商品や原材料の価格が上昇しているかを見る際に重要な統計です。

「企業向けサービス価格指数」とは?

企業間で取引される「サービス」の価格を測る指数

企業向けサービス価格指数は、

Services Producer Price Index(SPPI)

と呼ばれます。

日本銀行によると、企業間で取引されるサービス価格の変動を測定する指数です。

日本経済のサービス化が進むなかで、企業の物価動向を正しく把握するには、

商品だけでなくサービスの値段も確認する必要がある

ため、日本銀行が作成しています。

データは1985年1月から存在し、公表は1991年1月に始まりました。

なぜ企業物価指数だけでは不十分?

現代の企業は、商品や原材料だけを購入しているわけではありません。

たとえば企業活動では、

  • トラック輸送
  • 倉庫
  • 広告
  • クラウド・情報処理
  • ソフトウェア開発
  • 事務所賃貸
  • 警備
  • 派遣サービス
  • リース

など、多くのサービスを購入しています。

鉄鋼価格が変わらなくても、物流費やソフトウェア開発費、人材派遣料金が大幅に上昇すれば、企業の経営コストは増えます。

そこで、

商品価格 → 企業物価指数

サービス価格 → 企業向けサービス価格指数

という2つの指数を見る必要があります。

企業向けサービス価格指数には何が含まれる?

2020年基準の企業向けサービス価格指数は、基本分類で7つの大類別に分かれています。

大類別 代表的なイメージ
金融・保険 金融手数料、損害保険など
不動産 事務所賃貸、不動産仲介・管理など
運輸・郵便 貨物輸送、旅客輸送、郵便など
情報通信 ソフトウェア開発、情報処理・通信など
リース・レンタル 機械・事務機器等のリース、レンタルなど
広告 テレビ、インターネット、新聞等の広告
諸サービス 派遣、警備、建物サービス、修理など

2020年基準では、基本分類指数が、

7大類別・26類別・59小類別・146品目

で構成されています。

このように、企業活動に必要となる幅広いサービス価格を調べています。

具体例1:トラック運賃はどちら?

企業が商品を工場から倉庫へ運ぶため、運送会社へトラック輸送を依頼したとします。

これは、

「モノそのもの」ではなく「運ぶサービス」

を購入しています。

したがって、こうした企業向け運輸サービスの価格は、

企業向けサービス価格指数

の対象になります。

具体例2:トラック本体の価格はどちら?

運送会社が新しいトラックを購入する場合は、

自動車という商品

を購入しています。

商品価格なので、企業物価指数側の対象です。

つまり、

トラック本体=商品

トラックで荷物を運ぶ=サービス

という違いです。

具体例3:パソコンとソフトウェア開発

企業が業務用パソコンを購入する場合、パソコンは商品です。

一方、その企業専用の業務システムをIT企業へ発注する場合は、ソフトウェア開発サービスです。

したがって、

パソコンの価格 → 企業物価指数

受託ソフトウェア開発料金 → 企業向けサービス価格指数

というように分かれます。

具体例4:広告料金はどちら?

企業がテレビCMやインターネット広告を出稿するために広告料金を支払う場合、購入しているのは広告サービスです。

そのため、

企業向けサービス価格指数

で扱われます。

広告媒体そのものを商品として購入しているわけではありません。

「商品」と「サービス」の違いが判断の基本

取引例 主に見る指数
鉄鋼を購入 企業物価指数
機械を購入 企業物価指数
貨物輸送を依頼 企業向けサービス価格指数
広告を出稿 企業向けサービス価格指数
事務所を借りる 企業向けサービス価格指数
システム開発を委託 企業向けサービス価格指数

迷ったら、

「企業がモノを買っているのか、サービスを受けているのか」

を考えると判断しやすくなります。

人件費上昇の影響を見るなら企業向けサービス価格指数?

重要な参考になります。

サービス業では、製造業などと比べてコストに占める人件費の割合が高い業種があります。

たとえば、

  • 労働者派遣
  • 警備
  • 建物管理
  • システム開発
  • 専門サービス

などでは、人件費がサービス提供コストの重要な部分を占めることがあります。

賃金が上昇し、その分を企業がサービス料金へ転嫁すれば、企業向けサービス価格指数を押し上げる可能性があります。

賃金が上がればサービス価格も必ず上がる?

必ずではありません。

人件費が上昇しても、企業が、

  • 利益を減らして吸収する
  • 業務を効率化する
  • デジタル化する
  • 価格を据え置く

場合があります。

したがって、

賃金上昇率=サービス価格上昇率

ではありません。

それでも、人件費比率の高いサービスで価格上昇が広がっているかを見ることは、国内の物価動向を分析するうえで重要です。

「人件費投入比率に基づく分類指数」とは?

日本銀行は2020年基準の企業向けサービス価格指数で、参考系列として、

人件費投入比率に基づく分類指数

も公表しています。

これは、サービスを提供する際の人件費投入比率によって品目を分類し、その価格動向を確認するためのものです。

たとえば、

人件費への依存度が高いサービスの価格が、その他のサービスと比べてどのように動いているか

を分析する材料になります。

賃金とサービス価格の関係を見る際に有用です。

企業物価指数は原材料価格の影響を受けやすい?

商品の種類によりますが、原油、金属、穀物など原材料価格の変化が企業間の商品価格へ影響することがあります。

たとえば、

原油価格上昇

↓

石油製品・化学製品などのコスト上昇

↓

企業間の商品価格上昇

という流れです。

そのため企業物価指数は、

原材料高や輸入コスト上昇による企業側の物価圧力

を見る際によく利用されます。

企業向けサービス価格指数は国内要因を見やすい?

商品価格に比べ、サービス価格では、

  • 賃金
  • 国内需要
  • 人手不足
  • 家賃
  • サービス提供企業の価格設定

などの国内要因が重要になる分野があります。

そのため、輸入原材料主導のインフレだけでなく、

賃金やサービス価格を伴う国内の物価上昇がどの程度広がっているか

を見る材料として、企業向けサービス価格指数が注目されることがあります。

ただし国際運輸など、為替や海外市況の影響を受けやすいサービスも含まれているため、「サービス価格=すべて国内要因」と考えるのは適切ではありません。

企業向けサービス価格指数はCPIとどう違う?

CPIにもサービス価格があります。

しかし、誰がサービスを購入しているかが違います。

企業向けサービス価格指数 CPIのサービス
企業が購入するサービス 家計が購入するサービス
企業間取引 消費者向け取引
主にサービス提供者段階の価格 家計が支払う価格
日銀が作成 総務省統計局が作成

たとえば、

企業が利用する業務用ソフトウェア開発

は企業向けサービス価格指数です。

一方、

家庭が利用する理美容・外食・家賃など

はCPIのサービス価格に含まれます。

郵便や電話は両方に入ることがある?

あります。

日本銀行は、主として個人向けのサービスであっても、

郵便や電話など、企業も家計と同様に利用するサービス

は企業向けサービス価格指数の対象になり得ると説明しています。

一方、CPIでは家計が利用する郵便・通信サービスが対象になります。

同じ名称のサービスでも、

企業向け取引を見るのか、家計向け取引を見るのか

によって統計が異なります。

個人向けサービスは企業向けサービス価格指数に入らない?

原則として、個人向けだけに提供されるサービスは対象外です。

たとえば家計だけが利用するサービスについては、企業間取引ではないため、企業向けサービス価格指数の基本的な対象にはなりません。

こうした消費者向けサービス価格は、主としてCPIで確認します。

企業物価が上がると企業向けサービス価格も上がる?

影響する場合はありますが、必ず連動するわけではありません。

たとえば燃料価格が上昇すると、

商品としての燃料価格

が上昇するだけでなく、燃料を多く使用する、

貨物輸送サービス

のコストも増える可能性があります。

運送会社が燃料費上昇を運賃へ転嫁すれば、企業向けサービス価格指数も上昇します。

このように、

モノの価格上昇がサービス価格へ波及する

場合があります。

逆にサービス価格上昇が商品の価格へ波及することもある?

あります。

企業は商品の製造・販売にあたり、

  • 物流
  • 倉庫
  • 広告
  • システム
  • 警備

などのサービスを利用します。

これらの料金が上昇すれば企業の販売コストが増えます。

企業がコスト増を商品価格へ転嫁すれば、最終的には企業物価やCPIへ影響する可能性があります。

現実の経済では、

商品価格とサービス価格が互いに影響し合う

ことがあります。

企業向けサービス価格指数は景気の先行指標?

単純な先行指標ではありません。

ただし、企業が購入するサービス価格の変化を把握できるため、

企業コストや国内物価圧力を分析する重要な材料

になります。

特に人件費の上昇がサービス価格へ波及しているかを見ることで、物価上昇の持続性を考える参考になる場合があります。

「商品インフレ」と「サービスインフレ」の違い

物価上昇を考える際には、

商品価格の上昇

と、

サービス価格の上昇

を分けると理解しやすくなります。

商品インフレ

原油、原材料、輸入品などの値上がりが大きく影響する場合があります。

為替・国際商品価格など海外要因によって急激に上昇することもあります。

サービスインフレ

人件費、家賃、国内需要、人手不足などが価格へ影響する場合があります。

サービスはモノに比べて労働集約的な分野が多いため、賃金との関係が注目されることがあります。

サービス価格が上がるとインフレは長引きやすい?

一概にはいえませんが、金融・経済分析ではサービス価格が注目されます。

原油など国際商品価格は大きく上下することがあります。

一方、賃金や家賃などを背景としたサービス料金は、一度改定されると短期間では元に戻らないケースもあります。

そのため、

商品中心の値上がりから、サービスへ物価上昇が広がっているか

はインフレの持続性を見る一つの材料になります。

企業向けサービス価格指数の価格調査段階は?

日本銀行は原則として、

サービス提供者(生産者)段階の価格

を調査しています。

ただしサービスは、商品とは異なり、提供者から利用企業へ直接提供されるケースも多くあります。

そのため「生産者価格」と「需要者が支払う価格」の距離は、商品の製造・卸売・小売ほど大きくない場合があります。

現在の企業向けサービス価格指数は2020年基準

2026年9月時点で公表されている企業向けサービス価格指数は、

2020年基準

です。

2020年の価格水準を100として指数化しています。

2024年6月から2020年基準指数へ移行しました。

企業物価指数も2026年9月時点では2020年基準で公表されています。

指数が110なら「10%値上げされた」という意味?

基準時点との比較では、おおむね価格水準が10%高いという意味になります。

ただしニュースでは、

前年同月比

がよく使われます。

指数110だから前年より10%上昇したとは限りません。

前年同月の指数が108なら、前年同月比の上昇率は約1.9%です。

指数水準と前年比を混同しないよう注意しましょう。

「企業物価指数・企業向けサービス価格指数」で迷ったときの3秒判定

知りたいこと 見る指数
企業間で取引する商品の価格 企業物価指数
国内で生産する商品の企業間価格 国内企業物価指数
海外から輸入する商品の価格 輸入物価指数
企業が購入するサービスの価格 企業向けサービス価格指数
貨物輸送・広告・IT・派遣などの価格 企業向けサービス価格指数
家庭が購入する財・サービスの価格 CPI
賃金上昇と企業向けサービス価格の関係 SPPI+賃金統計などを確認

「企業物価指数」を使った例文

  • 原材料価格の上昇で企業物価指数が上昇した。
  • 企業間で取引される商品の値動きを企業物価指数で確認する。
  • 円安による輸入コスト上昇が企業物価指数へ波及した。
  • 企業物価指数には国内・輸出・輸入の各指数がある。
  • 商品価格のインフレ圧力を見るため企業物価指数を確認した。

「企業向けサービス価格指数」を使った例文

  • 人件費の上昇を背景に企業向けサービス価格指数が上昇した。
  • 物流費の動向を確認するため企業向けサービス価格指数を見る。
  • ソフトウェア開発料金は企業向けサービス価格指数の対象になる。
  • 広告料金や事務所賃料も企業向けサービス価格指数に含まれる。
  • サービス価格上昇の広がりを企業向けサービス価格指数から確認する。

よくある間違い1:「企業物価指数にはサービスも含まれる」と思う

企業物価指数の基本的な対象は商品(財)です。

企業間で取引されるサービスは、企業向けサービス価格指数で測ります。

よくある間違い2:「企業向けサービス価格指数は消費者向けサービスの指数」と思う

対象は原則として企業間で取引されるサービスです。

家計が購入するサービスはCPIで見るのが基本です。

よくある間違い3:「人件費が上がれば企業向けサービス価格も同じ割合で上がる」と思う

企業が人件費上昇を利益や効率化で吸収することもあります。

賃金上昇率とサービス価格上昇率は一対一ではありません。

よくある間違い4:「広告やITはモノではないので物価統計に入らない」と思う

企業向けサービス価格指数には広告、情報通信、ソフトウェア開発など幅広いサービス価格が含まれます。

よくある間違い5:「企業向けサービス価格指数=CPIサービス」と思う

前者は企業が利用するサービス、後者は家計が利用するサービスです。

需要者が異なります。

よくある間違い6:「商品価格とサービス価格は無関係」と思う

燃料高が運送費を押し上げたり、物流費上昇が商品価格へ転嫁されたりするなど、相互に影響することがあります。

よくある間違い7:「サービス価格の上昇はすべて賃上げが原因」と思う

人件費だけでなく、燃料費、家賃、為替、需要、設備費などさまざまな要因がサービス価格に影響します。

「企業物価指数」と「企業向けサービス価格指数」に関するよくある質問

Q1. 一番簡単な違いは何ですか?

企業物価指数は「企業間のモノの価格」、企業向けサービス価格指数は「企業間のサービスの価格」です。

Q2. 企業向けサービス価格指数は誰が公表していますか?

企業物価指数と同じく、日本銀行が作成・公表しています。

Q3. 運送費はどちらですか?

企業が利用する貨物輸送などの運送サービス料金は、企業向けサービス価格指数の対象です。

Q4. ガソリン価格はどちらですか?

ガソリンという商品そのものの企業間取引価格を見る場合は企業物価指数側です。

燃料高によって運送会社が運賃を引き上げれば、その運賃は企業向けサービス価格指数に影響します。

Q5. ソフトウェアはどちらですか?

取引内容によります。

企業がIT企業へ受託開発を依頼するソフトウェア開発サービスなどは、企業向けサービス価格指数の対象となります。

Q6. オフィス賃料はどちらですか?

企業が利用する事務所賃貸などはサービス取引なので、企業向けサービス価格指数に含まれます。

Q7. 賃上げの影響を見るなら企業向けサービス価格指数だけで十分ですか?

十分ではありません。

賃金統計、CPIサービス価格、企業収益なども併せて確認する必要があります。

ただし人件費比率の高い企業向けサービスの値動きは、賃金から価格への波及を見る重要な材料の一つです。

Q8. 企業向けサービス価格指数が上がるとCPIも上がりますか?

企業コストを通じて影響する可能性はありますが、直接的な一対一の関係ではありません。

CPIには家計向けの商品・サービスが含まれ、対象やウエイトが異なります。

Q9. 日本の企業向けサービス価格指数は現在何年基準ですか?

2026年9月時点では2020年基準です。

2020年の価格水準を100として指数が作成されています。

Q10. 経済ニュースでは両方見るべきですか?

はい。

企業物価指数だけではサービス価格の変化を把握できず、企業向けサービス価格指数だけでは商品の価格変化が分かりません。

両方を確認することで、企業が直面する物価上昇が「モノ中心なのか、サービスにも広がっているのか」を理解しやすくなります。

まとめ

「企業物価指数」と「企業向けサービス価格指数」は、どちらも企業間取引の物価を測る重要な統計ですが、対象が異なります。

企業物価指数 企業向けサービス価格指数
商品(財)の価格 サービスの価格
鉄鋼・機械・化学製品など 物流・広告・IT・賃貸・派遣など
原材料・為替の影響が重要な場合がある 人件費・国内需要の影響が重要な場合がある
日本銀行が作成 日本銀行が作成

最も簡単な覚え方は、

企業物価指数=「企業のモノ」

企業向けサービス価格指数=「企業のサービス」

です。

たとえば、

トラックを買う → 商品

トラックで輸送してもらう → サービス

です。

同じように、

パソコンを買う → 商品

業務システムを開発してもらう → サービス

と考えると両者を区別しやすくなります。

さらに現在のインフレを考える場合には、

海外価格・原材料・為替

↓

企業物価

↓

物流・ITなど企業向けサービスコスト

↓

企業の販売価格

↓

CPI

という複数の経路を考える必要があります。

さらに賃金が上昇し、人件費比率の高いサービスの価格へ広がれば、輸入原材料だけでは説明できない国内のサービス価格上昇が強まる可能性もあります。

関連用語まで整理すると、

企業物価指数=企業間で取引される商品の価格

国内企業物価指数=国内生産商品の企業間価格

輸入物価指数=海外から輸入する商品の価格

企業向けサービス価格指数=企業間で取引されるサービスの価格

CPI=家計が購入する財・サービスの価格

人件費投入比率に基づく分類指数=人件費への依存度別に企業向けサービス価格を分析する参考系列

となります。

経済ニュースで企業の物価を確認するときは、単に、

「企業物価が上がった」

だけを見るのではなく、

「商品が上がっているのか、サービスが上がっているのか」

まで確認してみましょう。

両者を分けて見ることで、現在の物価上昇が原材料高・輸入コスト中心なのか、それとも人件費や国内サービス価格にも広がっているのかを、より立体的に理解できるようになります。

参考リンク・出典

※企業物価指数は主として企業間で取引される商品(財)、企業向けサービス価格指数は企業間で取引されるサービスを対象とします。ただし個別取引の分類は統計上の定義によるため、日常語の「モノ」「サービス」と完全に一致しない場合があります。

※企業向けサービス価格指数の価格上昇が、そのまま賃金上昇を意味するわけではありません。人件費のほか、燃料費、設備費、家賃、為替、需要など複数の要因がサービス料金へ影響します。

※2026年9月時点では、企業物価指数、企業向けサービス価格指数ともに2020年基準で公表されています。基準改定により品目、ウエイト、分類などが変更される場合があります。

※企業のインフレ圧力を分析する場合、一つの指数だけでなく、企業物価指数、企業向けサービス価格指数、輸入物価指数、CPI、賃金などを組み合わせて確認することが重要です。

タイトルとURLをコピーしました