「減給」と「降格」の違いとは?意味・給与への影響・懲戒処分・違法になるケースを解説

「規律違反によって減給処分を受けた」「勤務評価により管理職から降格した」など、「減給」と「降格」は、会社の人事制度や懲戒処分に関する場面で使われる言葉です。

どちらも給与が下がる可能性があるため、同じ意味だと思っている人もいるのではないでしょうか。

しかし、両者には明確な違いがあります。

「減給」は給与を減らすこと、「降格」は役職や職務上の等級などを下げることです。

例えば、規律違反に対する懲戒処分として給与の一部を差し引く場合は、減給です。一方、課長から一般社員へ役職が下がる場合は、降格と表現します。

降格によって役職手当などが減り、結果として給与が下がることもあります。ただし、給与が下がったという事実だけで、懲戒としての減給処分が行われたことにはなりません。

この記事では、減給と降格の意味や違い、給与への影響、労働基準法第91条の減給制限、人事上の降格と懲戒降格の違い、違法性が問題になるケースなどを詳しく解説します。

  1. 「減給」と「降格」の違い【結論】
  2. 【徹底比較】「減給」と「降格」の違いを比較表で整理
  3. 「減給」とは?意味と正しい使い方
    1. 減給は、給与や賃金を減らすこと
    2. 懲戒としての減給には法律上の上限がある
    3. 減給処分には就業規則上の根拠が必要
    4. 「減給」の例文
  4. 「降格」とは?意味と正しい使い方
    1. 降格は、役職や等級などを下げること
    2. 降格には人事上の降格と懲戒としての降格がある
    3. 降格によって給与が下がる場合がある
    4. 「降格」の例文
  5. 【重要】減給には上限があるのに、降格による給与減額には同じ上限がない?
    1. 懲戒として賃金を差し引く場合
    2. 職務変更に伴って賃金表が変わる場合
    3. 降格なら給与をいくらでも下げられるわけではない
  6. 【徹底比較】懲戒による減給・懲戒降格・人事上の降格
  7. 減給処分の上限はいくら?具体例で計算
    1. 1回の処分では平均賃金1日分の半額まで
    2. 同じ月に複数の違反があった場合
    3. 同じ違反で毎月繰り返し減給することはできる?
  8. 「減給」と「降格」が同時に行われることはある?
  9. 【実践】減給と降格を場面別に使い分ける
    1. 場面1:規律違反によって給与を一部差し引く場合
    2. 場面2:課長から一般社員へ役職が下がる場合
    3. 場面3:役職は変わらず、基本給だけが下がる場合
    4. 場面4:等級が下がり、賃金表も変更される場合
    5. 場面5:経営上の事情によって全社員の給与を引き下げる場合
  10. 降格によって給与が下がる場合の確認ポイント
    1. 1. 役職と等級のどちらが変更されたのか
    2. 2. 給与のどの部分が減るのか
    3. 3. 降格の理由を確認する
    4. 4. 就業規則や人事制度との関係を確認する
    5. 5. 昇格や給与回復の条件を確認する
  11. 減給・降格を通知された場合の5つの対処法
    1. 1. 正式な処分内容を確認する
    2. 2. 根拠となる規程を確認する
    3. 3. 処分理由となった事実を整理する
    4. 4. 給与明細と処分内容を照合する
    5. 5. 疑問がある場合は専門の相談窓口を利用する
  12. 「減給」「降格」と似た言葉の違い
    1. 「降給」との違い
    2. 「降職」との違い
    3. 「降任」との違い
    4. 「左遷」との違い
    5. 「減俸」との違い
    6. 「戒告」「けん責」との違い
  13. 降格後に必要な改善と改良の違い
  14. 「減給」と「降格」の3秒判定
  15. よくある間違いと注意点
    1. 「減給は月給の10%までなら自由にできる」は誤り
    2. 「降格すれば必ず給与が下がる」は誤り
    3. 「降格による給与減額にも必ず労働基準法第91条が適用される」は誤り
    4. 「会社は自由に降格できる」は誤り
    5. 「遅刻した時間の賃金を差し引くことは、必ず懲戒減給になる」は誤り
  16. 「減給」と「降格」の例文12選
    1. 「減給」を使った例文
    2. 「降格」を使った例文
  17. FAQ|「減給」と「降格」のよくある質問
    1. Q1. 「減給」と「降格」は同じ意味ですか?
    2. Q2. 減給処分では、給与を何%まで下げられますか?
    3. Q3. 降格されたら、必ず給与が下がりますか?
    4. Q4. 降格に伴う給与減額にも、減給制裁の上限が適用されますか?
    5. Q5. 人事上の降格と懲戒降格はどう違いますか?
    6. Q6. 減給と降格を同時に命じられることはありますか?
    7. Q7. 降格後に再び昇格することはできますか?
    8. Q8. 減給や降格に納得できない場合は、どこに相談できますか?
  18. まとめ|減給は給与を減らすこと、降格は役職や等級を下げること
  19. 参考資料・出典

「減給」と「降格」の違い【結論】

減給と降格を使い分ける際には、何が変更されたのかに注目しましょう。

  • 減給:給与や賃金を減らすこと。懲戒処分として、既に発生した賃金の一部を減額する場合にも使われる。
  • 降格:役職や職務上の等級、資格等級などを下げること。人事上の措置として行われる場合と、懲戒処分として行われる場合がある。

例えば、従業員の規律違反について、会社が就業規則に基づき、給与の一部を減額する場合は「減給処分」です。

一方、管理職としての職責を担うことが難しくなり、課長から一般社員に役職を変更する場合は「降格」です。

降格に伴って役職手当がなくなったとしても、それが直ちに懲戒としての減給処分に該当するとは限りません。

つまり、給与そのものの減額を表すのが減給、職位や等級を下げることを表すのが降格です。

【徹底比較】「減給」と「降格」の違いを比較表で整理

比較項目 減給 降格
読み方 げんきゅう こうかく
基本的な意味 給与や賃金を減らすこと 役職や職務上の等級などを下げること
直接変更されるもの 賃金額 役職・職位・等級など
主な場面 懲戒処分、賃金条件の変更など 人事評価、組織変更、懲戒処分など
懲戒処分としての利用 ある 就業規則などに定めがある場合はあり得る
労働基準法第91条 懲戒としての減給には上限がある 職務変更に伴う正当な賃金変更には、同条の上限が直接適用されない場合がある
役職が変わるか 通常、それ自体では変わらない 役職を下げる場合がある
給与が下がるか 下がる 下がる場合も、変わらない場合もある
法的な判断 減給の目的や根拠、労働基準法などを確認する 降格の目的や根拠、人事権・懲戒権の行使が適切か確認する

特に重要なのは、懲戒処分としての減給と、人事上の職務変更によって結果的に給与が下がる場合を区別することです。

「減給」とは?意味と正しい使い方

減給は、給与や賃金を減らすこと

「減給」は、給与や賃金の金額を減らすことです。

一般的な言葉としては、会社の経営状況などに伴う給与の引き下げについても使われます。

一方、懲戒処分の種類として「減給」と表現する場合は、従業員の規律違反などに対し、制裁として賃金の一部を減額することを意味します。

例えば、従業員が就業規則に違反する行為を行ったため、会社が正式な懲戒処分として減給を命じる場合です。

ただし、規律違反があったというだけで、会社が自由に減給できるわけではありません。

懲戒としての減給には法律上の上限がある

労働基準法第91条では、懲戒処分としての減給について、次の二つの上限を定めています。

  • 1回の事案に対する減給額は、平均賃金の1日分の半額を超えてはならない。
  • 1賃金支払期における減給総額は、その期間の賃金総額の10分の1を超えてはならない。

例えば、平均賃金の1日分が1万円だった場合、1回の懲戒事由について認められる減給額の上限は5,000円です。

また、同じ賃金支払期に複数の事案による減給がある場合でも、減給の総額には別の上限があります。

「給与を10%まで減らせる」という部分だけを見て、1回の違反で月給を10%減額できると考えるのは誤りです。

減給処分には就業規則上の根拠が必要

懲戒としての減給を行うには、就業規則などに懲戒の種類や事由を定めておくことが重要です。

また、労働契約法第15条では、懲戒処分について、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない場合には無効となることが定められています。

したがって、就業規則に減給処分が定められていても、どのような場合でも自由に適用できるわけではありません。

「減給」の例文

  • 規律違反を理由に減給処分を受けた。
  • 会社は、減給処分の金額について法律上の上限を確認した。
  • 就業規則には、減給の制裁について規定がある。
  • 減給の理由と計算方法について、人事担当者に説明を求めた。
  • 懲戒としての減給と、給与制度の変更による賃金の引き下げは区別される。

「降格」とは?意味と正しい使い方

降格は、役職や等級などを下げること

「降格」は、現在の役職や職位、職務上の等級などを下げることです。

例えば、課長として働いていた従業員が、役職のない一般社員になる場合は「降格」と表現できます。

また、役職は変わらなくても、会社の人事制度において職務等級や資格等級が下がる場合があります。

ただし、役職の変更と等級の変更は、企業によって別の制度として管理されている場合があります。

降格には人事上の降格と懲戒としての降格がある

降格には、大きく分けて二つの性質があります。

一つは、人事評価や組織変更などに基づいて行われる、人事上の降格です。

もう一つは、規律違反などを理由として行われる、懲戒処分としての降格です。

例えば、組織再編によって管理職の役職を廃止する場合と、重大な規律違反に対する処分として管理職の地位を下げる場合とでは、降格の目的が異なります。

そのため、降格という名称だけでは、どちらの性質なのか判断できません。

降格によって給与が下がる場合がある

会社の給与制度によっては、役職や等級に応じて基本給や役職手当が定められています。

例えば、課長から一般社員へ降格すると、課長職に対して支払われていた役職手当がなくなる場合があります。

また、職務等級に連動する給与制度では、降格によって適用される賃金表が変わり、基本給が下がることもあります。

一方、降格しても、一定の期間は従前の給与を維持する制度を設けている企業もあります。

したがって、降格したからといって、必ず給与が下がるとは限りません。

「降格」の例文

  • 組織変更に伴い、課長から一般社員へ降格した。
  • 人事評価の結果、職務等級が一段階下がった。
  • 重大な規律違反を理由に、懲戒降格の処分を受けた。
  • 降格後の給与と役職手当について説明を受けた。
  • 降格の理由や判断基準について、人事担当者に確認した。

【重要】減給には上限があるのに、降格による給与減額には同じ上限がない?

懲戒として賃金を差し引く場合

懲戒処分として、既に発生した賃金の一部を減額する場合には、労働基準法第91条の制限が適用されます。

例えば、平均賃金が1日1万円の従業員に対し、一つの規律違反について1万円を減給することは、同条の上限を超えるため認められません。

この場合の1回の減給上限は、平均賃金1日分の半額である5,000円です。

職務変更に伴って賃金表が変わる場合

一方、職務の変更に伴って適用される給与体系が変わり、結果として賃金が下がる場合があります。

例えば、運転手として勤務していた従業員が、職務に必要な適性を欠くことなどを理由に運転助手へ変更され、適用される賃金表も変更される場合です。

厚生労働省は、このような職務変更に伴う当然の結果としての賃金減額について、懲戒としての減給に該当しないと解される場合があると説明しています。

そのため、降格に伴う給与の減額については、労働基準法第91条の上限が直接適用されない場合があります。

降格なら給与をいくらでも下げられるわけではない

ここで注意したいのは、降格に伴う給与減額が労働基準法第91条の減給制裁に当たらない場合でも、無制限に認められるわけではないことです。

例えば、労働契約の内容や就業規則、人事権の行使が合理的かどうかなどが問題になる場合があります。

懲戒として降格を行う場合には、懲戒権の行使が労働契約法第15条に照らして適切かどうかも問題になります。

また、給与の減額後も、適用される最低賃金を守る必要があります。

【徹底比較】懲戒による減給・懲戒降格・人事上の降格

項目 懲戒による減給 懲戒降格 人事上の降格
目的 規律違反への制裁 規律違反への制裁 人事配置や職務適性などに基づく変更
直接の措置 賃金の一部を減額 役職や等級などを下げる 役職や等級などを下げる
給与への影響 減額される 下がる場合がある 下がる場合がある
主に確認する法律上の問題 労働基準法第91条、労働契約法第15条など 労働契約法第15条、労働契約や就業規則など 労働契約や就業規則、人事権の行使の合理性など

同じように給与が下がった場合でも、どのような理由や制度に基づいて変更されたのかによって、法律上の扱いが異なります。

減給処分の上限はいくら?具体例で計算

1回の処分では平均賃金1日分の半額まで

懲戒としての減給の上限を考える場合、まず平均賃金の1日分を確認します。

例えば、次のような場合です。

項目 金額
平均賃金1日分 10,000円
1回の懲戒事由による減給上限 5,000円

この場合、一つの事案について、5,000円を超える減給を行うことはできません。

なお、平均賃金は、原則として算定すべき事由の発生した日以前3か月間に支払われた賃金総額を、その期間の暦日数で割って計算します。

給与明細に記載された基本給を30日で割れば、必ず平均賃金になるというわけではありません。

同じ月に複数の違反があった場合

同じ賃金支払期に複数の懲戒事由があった場合でも、減給の総額には上限があります。

例えば、その賃金支払期の賃金総額が30万円の場合、減給総額の上限は3万円です。

ただし、それぞれの違反について、1回当たり平均賃金1日分の半額までという上限も守る必要があります。

したがって、月給30万円だから1回の違反で3万円を減給してよいという意味ではありません。

同じ違反で毎月繰り返し減給することはできる?

一つの懲戒事由について、平均賃金1日分の半額という上限を、毎月新たに適用できるわけではありません。

例えば、一つの違反について、平均賃金1日分の半額を3か月連続で差し引くといった方法は、減給制裁の上限との関係で問題になります。

「1回の事案についての減給総額」と、「1賃金支払期における複数事案の減給総額」は、別々の制限として理解する必要があります。

「減給」と「降格」が同時に行われることはある?

会社の懲戒制度によっては、規律違反について複数の措置が検討される場合があります。

例えば、管理職の重大な規律違反により役職を下げるとともに、別途、懲戒としての減給を行うケースです。

ただし、降格と減給を同時に行えば、必ず有効になるわけではありません。

問題となった行為の内容や程度、会社の懲戒規程、両方の措置を行うことの合理性や相当性などが問題になります。

また、同じ行為について不合理に重い処分を重ねる場合には、その有効性が争われる可能性があります。

実際に複数の処分を通知された場合は、それぞれの根拠と具体的な内容を確認することが重要です。

【実践】減給と降格を場面別に使い分ける

場面1:規律違反によって給与を一部差し引く場合

従業員が規律違反を行い、会社が就業規則に基づいて賃金の一部を減額する場合は、「減給処分」が適切です。

例えば、「就業規則に違反したため、減給処分を受けた」という文章です。

ただし、実際の処分では、減給制裁の上限や処分の合理性・相当性などを確認する必要があります。

場面2:課長から一般社員へ役職が下がる場合

課長として勤務していた従業員が、役職のない一般社員となった場合は、「降格」と表現できます。

例えば、「組織変更に伴い、課長から一般社員へ降格した」という文章です。

この場合、役職手当が支給されなくなるなど、給与にも影響する可能性があります。

場面3:役職は変わらず、基本給だけが下がる場合

役職を維持したまま、給与額だけが下がる場合は、「減給」または「給与の引き下げ」などと表現できます。

ただし、給与が下がる理由によって、法律上の扱いは異なります。

例えば、懲戒としての減給なのか、適法な労働条件の変更なのかを確認する必要があります。

場面4:等級が下がり、賃金表も変更される場合

人事制度上の等級が下がり、それに伴って適用される賃金表が変更される場合は、「降格に伴う降給」などと表現できます。

ただし、その変更が適法かどうかについては、労働契約や就業規則などを確認する必要があります。

また、懲戒としての減給に該当するかどうかについても、実際の処分内容や変更の理由などによって判断されます。

場面5:経営上の事情によって全社員の給与を引き下げる場合

企業が経営上の事情などによって給与水準を見直す場合、「給与の引き下げ」「賃金の減額」などと表現できます。

この場合、従業員の規律違反に対する懲戒としての減給とは、法律上の性質が異なります。

労働条件の変更については、労働者の合意や就業規則の変更に関する法律上のルールなどが問題になります。

既存の給与条件を別の条件に変える場合の言葉の使い分けについては、「変更」と「修正」の違いも参考になります。

降格によって給与が下がる場合の確認ポイント

1. 役職と等級のどちらが変更されたのか

会社によっては、役職と等級を別々に管理している場合があります。

例えば、課長という役職を外れたものの、職務等級は従前のまま維持される場合です。

一方、役職と等級が同時に下がる場合もあります。

何が変更されたのかによって、給与への影響も異なるため、会社から示された内容を確認しましょう。

2. 給与のどの部分が減るのか

降格によって給与が下がる場合は、基本給、役職手当、職務手当など、どの項目が変更されるのか確認しましょう。

例えば、基本給は変わらず役職手当だけがなくなる場合と、等級変更によって基本給自体が下がる場合があります。

それぞれ給与制度上の扱いが異なるため、賃金規程などを確認することが重要です。

3. 降格の理由を確認する

降格が行われる場合は、会社がどのような理由に基づいて判断したのか確認しましょう。

人事上の降格なのか、懲戒としての降格なのかによって、必要な確認事項が異なります。

例えば、職務適性に基づく人事上の判断なのか、具体的な規律違反に対する処分なのかを区別します。

4. 就業規則や人事制度との関係を確認する

降格によって給与や役職が変わる場合は、就業規則や賃金規程、人事評価制度などを確認しましょう。

懲戒として降格が行われる場合には、懲戒規程に定められた処分の種類や事由についても確認する必要があります。

ただし、会社の規程に記載されていれば、どのような降格でも必ず有効になるわけではありません。

5. 昇格や給与回復の条件を確認する

降格後、将来的に元の役職や等級へ戻ることが可能なのか、会社の人事制度を確認しましょう。

例えば、一定期間の勤務評価に基づいて、再び昇格を検討する制度が設けられている場合があります。

ただし、降格後の昇格や給与回復について、すべての企業に共通する法律上の仕組みがあるわけではありません。

減給・降格を通知された場合の5つの対処法

1. 正式な処分内容を確認する

まず、会社から通知された内容が、減給処分なのか、降格なのか、両方なのかを確認しましょう。

例えば、給与が下がる理由が、懲戒による減給なのか、役職手当の終了なのかによって、法律上の考え方が異なります。

2. 根拠となる規程を確認する

懲戒処分の場合は、就業規則や懲戒規程などに、どのような処分が定められているか確認しましょう。

人事上の降格の場合は、人事制度や賃金規程、労働契約の内容なども重要です。

3. 処分理由となった事実を整理する

会社がどのような事実に基づいて処分を行ったのか確認しましょう。

例えば、規律違反が理由とされている場合は、発生日時や具体的な行為、会社による調査内容などを確認します。

また、問題とされた事実と、今後改善すべき事項を区別して考えることも重要です。

関連する表現については、「問題」と「課題」の違いも参考になります。

4. 給与明細と処分内容を照合する

減給や降格によって給与が変わった場合は、給与明細を確認しましょう。

例えば、基本給や役職手当など、実際にどの項目が減額されているかを確認します。

懲戒としての減給の場合は、労働基準法第91条の上限などについても確認する必要があります。

5. 疑問がある場合は専門の相談窓口を利用する

減給や降格について疑問がある場合は、まず会社に処分の理由や根拠について説明を求める方法があります。

そのうえで、解決が難しい場合には、労働基準監督署や都道府県労働局の総合労働相談コーナーなどに相談することが考えられます。

相談する際には、処分通知書や就業規則、給与明細などを整理しておくとよいでしょう。

「減給」「降格」と似た言葉の違い

「降給」との違い

「降給」は、給与の水準を下げることです。特に、人事制度や給与制度において、基本給や給与等級などが下がる場合に使われます。

一方、減給は、給与を減らすことを広く表す言葉であり、懲戒としての減給処分を指す場合もあります。

降格に伴って給与が下がった場合には、「降格による降給」という表現も使用できます。

「降職」との違い

「降職」は、現在より低い職に就けることを意味します。

一方、降格は、役職だけでなく、人事制度上の等級などを下げる意味でも使われます。

ただし、具体的な意味や制度上の扱いは、会社や組織によって異なります。

「降任」との違い

「降任」は、現在より低い官職や職務などに任命することです。

特に公務員制度などで使用される場合があります。

一方、降格は、民間企業の役職や等級を下げる場合にも幅広く使われます。

正式な人事処分について説明する際には、所属する組織で定められている名称を使用しましょう。

「左遷」との違い

「左遷」は、それまでより低い地位や、本人にとって望ましくない職務・部署などへ異動させることを意味します。

一方、降格は、役職や等級が下がることを具体的に表します。

例えば、部署を異動しただけで役職や等級が下がっていない場合でも、本人がその異動を左遷と感じることがあります。

ただし、左遷は評価的なニュアンスを含むため、正式な人事文書では、異動や降格など、実際の措置を具体的に表現するとよいでしょう。

「減俸」との違い

「減俸」は、俸給を減らすことです。

公務員の給与や、俸給という言葉が使われる制度について説明する際によく使用されます。

一方、減給は、給与や賃金を減らすことを幅広く表します。

所属する組織や給与制度で正式に使われている名称に合わせて使い分けましょう。

「戒告」「けん責」との違い

戒告やけん責は、過失や規律違反などについて注意し、将来を戒める処分として使われます。

一方、減給は賃金を減額する処分、懲戒としての降格は役職や等級などを下げる処分です。

会社によっては、戒告、けん責、減給、降格などを懲戒処分の種類として定めている場合があります。

ただし、すべての企業で同じ種類や順位が定められているわけではありません。

降格後に必要な改善と改良の違い

人事上の降格が行われた場合などには、今後の職務遂行能力や勤務状況について、会社と従業員の間で課題を整理することがあります。

例えば、管理職として必要な知識や技能が不足している場合は、研修や指導などによって能力の向上を目指すことが考えられます。

一方、仕事の仕組みや評価制度そのものに問題がある場合には、会社の側で制度や業務手順を見直す必要が生じることがあります。

問題のある状態をよくすることと、仕組みや方法をよりよく作り直すことを区別したい場合には、「改善」と「改良」の違いも参考になります。

「減給」と「降格」の3秒判定

伝えたい内容 使いやすい言葉
給与の金額を減らす 減給
規律違反に対する懲戒処分として賃金を一部差し引く 減給処分
課長から一般社員へ役職を下げる 降格
人事制度上の職務等級を下げる 降格
降格に伴って給与水準が下がる 降給・給与の減額
経営上の理由などによって全社員の給与水準を引き下げる 賃金の引き下げ・労働条件の変更
現在より低い職に就ける 降職
公務員制度などで現在より低い官職に任命する 降任
規律違反について注意し、将来を戒める 戒告・けん責

給与そのものを減らすなら「減給」、役職や等級などを下げるなら「降格」と覚えましょう。

よくある間違いと注意点

「減給は月給の10%までなら自由にできる」は誤り

懲戒としての減給には、1回の事案について平均賃金1日分の半額までという上限があります。

また、同じ賃金支払期に複数の減給がある場合の総額についても、賃金総額の10分の1までという制限があります。

月給の10%以内なら、1回の違反について自由に減給できるという意味ではありません。

「降格すれば必ず給与が下がる」は誤り

降格は、役職や等級などを下げることです。

そのため、降格に伴って役職手当や基本給が下がる場合があります。

しかし、会社の給与制度によっては、降格しても給与が維持される場合があります。

「降格による給与減額にも必ず労働基準法第91条が適用される」は誤り

職務変更に伴う正当な賃金表の変更などは、懲戒としての減給に該当しない場合があります。

そのため、労働基準法第91条の減給制裁の上限が、あらゆる降格に伴う賃金減額に適用されるわけではありません。

ただし、そのことだけで、すべての降格や給与減額が有効になるわけではありません。

「会社は自由に降格できる」は誤り

人事上の降格や懲戒としての降格については、その根拠や目的、具体的な事情などが重要です。

例えば、懲戒処分として降格する場合は、労働契約法第15条に基づく合理性や相当性などが問題になります。

「遅刻した時間の賃金を差し引くことは、必ず懲戒減給になる」は誤り

遅刻や欠勤によって働かなかった時間について、その時間に対応する賃金を支払わないことと、懲戒としての減給は異なります。

例えば、10分の遅刻について10分相当の賃金を控除する場合と、遅刻への制裁として追加で賃金を差し引く場合では、法律上の扱いが異なります。

働かなかった時間を超える賃金の控除については、賃金の全額払いの原則や減給制裁の制限との関係で問題となる場合があります。

「減給」と「降格」の例文12選

「減給」を使った例文

  1. 規律違反を理由に、減給処分を受けた。
  2. 減給処分の金額について、法律上の上限を確認した。
  3. 就業規則には、減給の制裁について規定がある。
  4. 減給の理由と計算方法について、人事担当者に説明を求めた。
  5. 懲戒としての減給と、給与制度の変更による賃金の引き下げは区別される。
  6. 会社は、労働基準法第91条に従って減給処分の金額を算定した。

「降格」を使った例文

  1. 組織変更に伴い、課長から一般社員へ降格した。
  2. 人事評価の結果、職務等級が一段階下がった。
  3. 重大な規律違反を理由に、懲戒降格の処分を受けた。
  4. 降格後の給与と役職手当について説明を受けた。
  5. 降格の理由や判断基準について、人事担当者に確認した。
  6. 降格に伴う賃金の変更について、労働契約と就業規則を確認した。

FAQ|「減給」と「降格」のよくある質問

Q1. 「減給」と「降格」は同じ意味ですか?

同じ意味ではありません。減給は給与を減らすこと、降格は役職や等級などを下げることです。降格によって給与が下がる場合もありますが、二つは異なる措置です。

Q2. 減給処分では、給与を何%まで下げられますか?

懲戒としての減給には、労働基準法第91条に基づく上限があります。1回の事案については平均賃金1日分の半額まで、1賃金支払期における減給総額は賃金総額の10分の1までです。

Q3. 降格されたら、必ず給与が下がりますか?

必ずしもそうではありません。会社の賃金制度によっては、降格に伴って役職手当や基本給が下がる場合があります。一方、降格しても一定期間は給与を維持する制度を設けている企業もあります。

Q4. 降格に伴う給与減額にも、減給制裁の上限が適用されますか?

必ずしも適用されません。正当な職務変更に伴って適用される賃金表が変わる場合などは、懲戒としての減給に該当しないと解されることがあります。ただし、実際の降格や給与減額が適法かどうかは、労働契約や就業規則などに照らして判断する必要があります。

Q5. 人事上の降格と懲戒降格はどう違いますか?

人事上の降格は、人事評価や組織変更などに基づいて役職や等級を下げることです。一方、懲戒降格は、規律違反などに対する懲戒処分として役職や等級を下げることです。懲戒降格では、懲戒処分としての合理性や相当性などが問題になります。

Q6. 減給と降格を同時に命じられることはありますか?

会社の制度や具体的な事情によっては、両方の措置が検討される場合があります。ただし、同時に行うことが必ず有効になるわけではありません。それぞれの根拠や処分内容、全体としての合理性や相当性などを確認する必要があります。

Q7. 降格後に再び昇格することはできますか?

会社の人事制度などによって異なります。例えば、一定期間の勤務評価などに基づいて、再び昇格を検討する制度を設けている場合があります。ただし、すべての企業に共通する昇格の条件や時期が法律で定められているわけではありません。

Q8. 減給や降格に納得できない場合は、どこに相談できますか?

まず、会社に処分の理由や根拠となる規程について説明を求める方法があります。また、労働基準監督署や都道府県労働局の総合労働相談コーナー、労働問題に詳しい弁護士などに相談することも考えられます。

まとめ|減給は給与を減らすこと、降格は役職や等級を下げること

「減給」と「降格」は、どちらも従業員の給与に影響する場合がありますが、基本的な意味は異なります。

  • 減給:給与や賃金を減らすこと。懲戒処分として行う場合には、労働基準法第91条の上限が適用される。
  • 降格:役職や職務上の等級などを下げること。人事上の措置として行われる場合と、懲戒処分として行われる場合がある。
  • 共通点:給与が下がる場合があるが、法律上の扱いは措置の理由や内容などによって異なる。

特に重要なのは、懲戒としての減給と、正当な職務変更に伴って給与体系が変わる場合を区別することです。

懲戒としての減給には法律上の上限がありますが、降格による給与の減額については、その上限が直接適用されない場合があります。

ただし、降格という名称を使用すれば、自由に給与を引き下げられるわけではありません。

減給や降格について確認する際には、給与のどの部分が変わったのか、どのような理由や規程に基づいているのかを整理し、具体的な内容に応じて判断しましょう。

参考資料・出典

タイトルとURLをコピーしました