「傷病手当金」と「傷病手当」の違いとは?健康保険と雇用保険の支給条件・金額・申請方法を解説

「病気で仕事を休んだので傷病手当金を申請した」「失業中にけがをした場合は傷病手当を受け取れる」など、「傷病手当金」と「傷病手当」は、病気やけがによって働けなくなった際に使われる言葉です。

最後に「金」が付くかどうかという違いしかないため、同じ制度だと思っている人もいるのではないでしょうか。

しかし、両者は別の制度です。

「傷病手当金」は健康保険から支給される給付、「傷病手当」は雇用保険から支給される給付です。

例えば、会社員が業務外の病気で療養し、給与を受け取れなくなった場合は、健康保険の傷病手当金が関係します。

一方、退職後にハローワークで求職の申し込みをした人が、その後、病気やけがによって15日以上続けて就職できなくなった場合は、雇用保険の傷病手当が関係します。

さらに、両者は支給額の計算方法や支給期間、申請先も異なります。退職後の生活に関わる制度なので、正しい違いを知っておくことが大切です。

この記事では、「傷病手当金」と「傷病手当」の違いを比較表で整理し、それぞれの支給条件や金額、失業給付との関係、受給期間の延長、申請手続きまで詳しく解説します。

  1. 「傷病手当金」と「傷病手当」の違い【結論】
  2. 【徹底比較】「傷病手当金」と「傷病手当」の違いを比較表で整理
  3. 「傷病手当金」とは?健康保険の制度を解説
    1. 業務外の病気やけがで仕事を休む人の生活を支える
    2. 傷病手当金の4つの支給条件
    3. 支給額は原則として標準報酬月額を基に計算する
    4. 支給期間は通算1年6か月
  4. 「傷病手当」とは?雇用保険の制度を解説
    1. 求職申し込み後に病気やけがで働けなくなった場合の給付
    2. 求職の申し込みをする前から働けない場合は対象とならない
    3. 支給額は基本手当日額と同額
    4. 支給日数は基本手当の支給残日数などによる
  5. 【重要】14日以内・15日以上・30日以上で何が変わる?
    1. 14日以内の場合:基本手当が支給される
    2. 15日以上の場合:傷病手当の対象となる
    3. 30日以上の場合:受給期間の延長も検討できる
    4. 30日以上の場合は、傷病手当と受給期間延長の違いも確認する
  6. 傷病手当金と傷病手当の金額を具体例で比較
    1. 傷病手当金の計算例
    2. 傷病手当の計算例
  7. 傷病手当金と傷病手当は同時にもらえる?
  8. 退職後の傷病手当金と雇用保険の傷病手当の違い
    1. 傷病手当金は、一定の条件を満たせば退職後も継続受給できる
    2. 雇用保険の傷病手当は、求職申し込み後の状態が重要
    3. 退職前から療養している場合は、制度の条件を確認する
  9. 【実践】場面別に二つの制度を使い分ける
    1. 場面1:会社員が業務外の病気で1か月休む
    2. 場面2:退職後、求職の申し込みをしてから病気になった
    3. 場面3:退職時点で既に療養中だった
    4. 場面4:失業給付を受けている途中で骨折した
    5. 場面5:失業中の病気が長引き、2か月以上働けない
  10. 傷病手当金・傷病手当の申請方法
    1. 傷病手当金は健康保険の保険者へ申請する
    2. 傷病手当はハローワークで認定を受ける
    3. 30日以上働けない場合は、受給期間延長の申請も確認する
  11. 申請する前に確認したい5つのポイント
    1. 1. 健康保険と雇用保険のどちらの制度か確認する
    2. 2. 病気やけがが発生した時期を確認する
    3. 3. 現在の就労可能な状態を確認する
    4. 4. ほかの給付との調整を確認する
    5. 5. 申請期間や必要書類を確認する
  12. 「傷病手当金」「傷病手当」と似た言葉の違い
    1. 「基本手当」との違い
    2. 「休業補償給付」との違い
    3. 「傷病補償年金」との違い
    4. 「休業手当」との違い
  13. 「傷病手当金」と「傷病手当」の3秒判定
  14. よくある間違いと注意点
    1. 「傷病手当金と傷病手当は同じ制度」は誤り
    2. 「退職すれば誰でも雇用保険の傷病手当をもらえる」は誤り
    3. 「失業中に病気になれば、基本手当と傷病手当を二重にもらえる」は誤り
    4. 「30日以上働けなければ、基本手当の日数が増える」は誤り
    5. 「退職後は健康保険の傷病手当金を一切受け取れない」は誤り
  15. 「傷病手当金」と「傷病手当」の例文12選
    1. 「傷病手当金」を使った例文
    2. 「傷病手当」を使った例文
  16. FAQ|「傷病手当金」と「傷病手当」のよくある質問
    1. Q1. 「傷病手当金」と「傷病手当」は同じ意味ですか?
    2. Q2. 傷病手当金はいくら支給されますか?
    3. Q3. 雇用保険の傷病手当はいくら支給されますか?
    4. Q4. 退職後に病気になった場合、傷病手当を受け取れますか?
    5. Q5. 傷病手当金と傷病手当は同時に受け取れますか?
    6. Q6. 傷病手当金は退職後も受け取れますか?
    7. Q7. 雇用保険の傷病手当は何日目から支給されますか?
    8. Q8. 病気で30日以上働けない場合はどうすればよいですか?
    9. Q9. 雇用保険の傷病手当は、健康保険の被扶養者でも受給できますか?
    10. Q10. 二つの制度の相談先はどこですか?
  17. まとめ|傷病手当金は健康保険、傷病手当は雇用保険の制度
  18. 参考資料・出典

「傷病手当金」と「傷病手当」の違い【結論】

二つの言葉を区別する際に、まず覚えておきたいのは、関係する保険制度の違いです。

  • 傷病手当金:健康保険の被保険者が、原則として業務外の病気やけがの療養によって働けず、十分な給与を受けられない場合に支給される給付。
  • 傷病手当:雇用保険の受給資格者が、ハローワークで求職の申し込みをした後、病気やけがによって15日以上続けて就職できなくなった場合に、基本手当に代えて支給される給付。

傷病手当金は、主に働いている人が病気やけがで休業した際の収入を保障する制度です。一定の条件を満たせば、退職後も継続して受給できる場合があります。

一方、傷病手当は、雇用保険の基本手当を受ける資格がある人が、求職活動中に病気やけがで働けなくなった場合の制度です。

つまり、健康保険による療養中の生活保障が「傷病手当金」、雇用保険による求職申込後の病気やけがへの対応が「傷病手当」です。

【徹底比較】「傷病手当金」と「傷病手当」の違いを比較表で整理

比較項目 傷病手当金 傷病手当
読み方 しょうびょうてあてきん しょうびょうてあて
保険制度 健康保険 雇用保険
主な対象者 健康保険の被保険者本人 雇用保険の基本手当の受給資格者
主な利用場面 業務外の病気やけがによる休業 求職申し込み後の病気やけがによる就労不能
主な支給条件 療養による労務不能、連続3日間の待期、給与の支払い状況など 求職申し込み後、15日以上続けて病気やけがのため就職できないことなど
支給開始 連続3日間の待期完成後、4日目以降 15日以上続けて就職できない場合に、所定の認定を受けた対象日について支給
支給額 原則として所定の計算額の3分の2 基本手当日額と同額
支給期間 支給開始日から通算1年6か月 基本手当の支給残日数や受給期間などによる
申請先 協会けんぽや健康保険組合など 住所地を管轄するハローワーク
退職後の利用 所定の条件を満たせば継続受給できる場合がある 求職申し込み後に所定の条件を満たす場合に支給
所得税 原則として非課税 非課税

なお、健康保険の傷病手当金は、扶養されている家族全員が受け取れる給付ではありません。原則として被保険者本人が対象です。

また、雇用保険の傷病手当についても、退職した人が無条件に受け取れるわけではありません。基本手当の受給資格があることや、求職の申し込みを行った後に病気やけがで働けなくなったことなどが重要です。

「傷病手当金」とは?健康保険の制度を解説

業務外の病気やけがで仕事を休む人の生活を支える

傷病手当金は、健康保険の被保険者が、業務外の病気やけがの療養によって働けず、十分な給与を受けられない場合に支給される制度です。

例えば、休日に自宅で転倒して骨折し、手術や療養のために1か月間仕事を休んだ場合です。

また、入院していなくても、療養のために仕事へ就くことができない状態であれば、所定の条件を満たすことで支給対象になる場合があります。

ただし、仕事中や通勤途中のけがなど、労災保険の給付対象となる病気やけがについては、原則として労災保険の制度を利用します。

傷病手当金の4つの支給条件

協会けんぽでは、傷病手当金の主な支給条件として、次の4つを案内しています。

  1. 業務外の病気やけがによる療養のための休業であること。
  2. 療養のため、仕事に就くことができないこと。
  3. 連続する3日間を含み、4日以上仕事に就けなかったこと。
  4. 休業期間について給与が支払われていない、または給与が傷病手当金の額より少ないこと。

仕事に就けないかどうかは、医師の意見や実際の仕事内容などを踏まえて判断されます。

支給額は原則として標準報酬月額を基に計算する

傷病手当金の1日当たりの支給額は、原則として、支給開始日以前12か月の各標準報酬月額の平均額を30で割り、その3分の2に相当する額です。

例えば、標準報酬月額の平均が30万円だった場合、単純計算では次のようになります。

計算項目 金額
標準報酬月額の平均額 300,000円
30で割った額 10,000円
1日当たりの支給額 約6,667円

実際の計算には所定の端数処理があり、支給開始日前の被保険者期間が12か月に満たない場合は、別の計算方法が適用されます。

支給期間は通算1年6か月

傷病手当金の支給期間は、支給開始日から通算して1年6か月です。

例えば、療養の途中で職場復帰し、その後再び同じ病気によって仕事を休む場合があります。

このような場合、支給要件を満たせば、残っている支給期間について受給できる可能性があります。

ただし、同じ傷病による休業かどうかや、実際の労務不能の状態などについて確認が必要です。

「傷病手当」とは?雇用保険の制度を解説

求職申し込み後に病気やけがで働けなくなった場合の給付

雇用保険の傷病手当は、基本手当の受給資格者が、ハローワークで求職の申し込みをした後、病気やけがによって15日以上続けて就職できなくなった場合に支給される制度です。

例えば、退職後にハローワークで求職の申し込みを行い、再就職を目指していた人が、突然の病気で入院し、しばらく就職できなくなった場合です。

通常、雇用保険の基本手当は、働く意思と能力があるものの、仕事に就けない「失業の状態」にある人に支給されます。

しかし、病気やけがによってすぐに働くことができない状態になると、通常の基本手当を受けられなくなる場合があります。

傷病手当は、そのような期間について、一定の条件の下で基本手当に代えて支給されるものです。

求職の申し込みをする前から働けない場合は対象とならない

雇用保険の傷病手当では、ハローワークで求職の申し込みを行った後に、病気やけがによって就職できなくなったことが重要です。

例えば、病気で長期間働けない状態のまま退職し、まだハローワークで求職の申し込みをしていない場合です。

このような場合は、求職申し込み後に発生した病気やけがに対する傷病手当と同じ扱いにはなりません。

30日以上続けて働けない場合などには、基本手当の受給期間延長の手続きが関係することがあります。

支給額は基本手当日額と同額

雇用保険の傷病手当は、基本手当日額と同額です。

例えば、基本手当日額が6,000円の人が、傷病手当の支給要件を満たした場合、傷病手当の日額も6,000円になります。

一方、基本手当日額は、原則として離職前6か月間の賃金などを基に計算します。

健康保険の傷病手当金のように、標準報酬月額の平均額の3分の2として計算するわけではありません。

支給日数は基本手当の支給残日数などによる

雇用保険の傷病手当は、基本手当に代わって支給される給付です。

そのため、既に受給した基本手当の日数などによって、傷病手当として受けられる日数が異なります。

例えば、基本手当の所定給付日数が90日で、そのうち30日分を受給した後に傷病手当の対象となった場合は、原則として残りの60日分が関係します。

ただし、実際の支給については、受給期間やほかの給付との調整なども確認する必要があります。

【重要】14日以内・15日以上・30日以上で何が変わる?

雇用保険の傷病手当について理解するうえで、特に重要なのが、病気やけがによって働けない期間です。

14日以内の場合:基本手当が支給される

ハローワークの案内では、求職の申し込み後、病気やけがによって就職できない期間が14日以内の場合、基本手当の支給対象となります。

ただし、実際の給付には、受給資格や失業認定などの条件があります。

15日以上の場合:傷病手当の対象となる

求職の申し込み後、病気やけがによって15日以上続けて就職できない場合には、傷病手当が関係します。

これは、就職できない期間について、基本手当に代えて支給する制度です。

例えば、求職活動中に骨折して手術を受け、20日間続けて就職できなくなった場合などです。

30日以上の場合:受給期間の延長も検討できる

30日以上続けて病気やけがのために働くことができない場合は、基本手当の受給期間を延長できる場合があります。

基本手当の受給期間は、原則として離職日の翌日から1年間ですが、所定の条件を満たせば、働けない期間に応じて延長できます。

延長できる期間は原則として最長3年間で、当初の1年間と合わせて最長4年間となります。

ただし、受給期間を延長すると、基本手当の所定給付日数そのものが増えるわけではありません。

30日以上の場合は、傷病手当と受給期間延長の違いも確認する

30日以上働けない場合には、傷病手当を受ける方法と、基本手当の受給期間を延長する方法が関係することがあります。

ただし、二つの制度を利用すれば、基本手当の日数が二重に増えるというわけではありません。

特に、受給期間を延長した後、同じ病気やけがを理由として傷病手当を申請する場合は、支給日数に関する制限があります。

療養が長期化しそうな場合は、住所地を管轄するハローワークで、どのような手続きが関係するのか確認しましょう。

傷病手当金と傷病手当の金額を具体例で比較

二つの制度は、どちらも生活を支える給付ですが、計算方法が異なるため、同じ給与水準の人でも必ず同じ支給額になるわけではありません。

傷病手当金の計算例

支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均額が30万円の場合、1日当たりの支給額は、おおむね6,667円です。

実際の支給額は、所定の計算方法や端数処理によって決まります。

傷病手当の計算例

一方、雇用保険の基本手当日額が6,000円の場合、傷病手当の日額も6,000円です。

仮に10日分が支給対象となった場合、単純計算では6万円となります。

項目 傷病手当金 傷病手当
計算の基礎 標準報酬月額の平均額など 基本手当日額
例として用いる金額 標準報酬月額の平均30万円 基本手当日額6,000円
1日当たりの概算 約6,667円 6,000円

この比較は計算方法を示すための例です。異なる前提に基づく試算であり、傷病手当金のほうが必ず高額になるという意味ではありません。

傷病手当金と傷病手当は同時にもらえる?

同じ病気やけがを理由として、健康保険の傷病手当金と雇用保険の傷病手当を重複して受け取れると考えるのは適切ではありません。

ハローワークでは、雇用保険の傷病手当を受けられる人が、同一の事由について健康保険の傷病手当金などを受けられる場合、傷病手当は支給されないと案内しています。

また、労災保険の休業補償給付や休業給付などについても、同一の事由による類似の給付との調整があります。

例えば、退職後も健康保険の傷病手当金を継続して受給している人が、同じ病気を理由として雇用保険の傷病手当を申請しても、二重に給付を受けられるわけではありません。

複数の制度が関係する場合は、健康保険の保険者とハローワークの双方へ、現在の受給状況などを正確に伝えましょう。

退職後の傷病手当金と雇用保険の傷病手当の違い

傷病手当金は、一定の条件を満たせば退職後も継続受給できる

健康保険の傷病手当金は、一定の条件を満たした場合、退職後も継続して受給できます。

協会けんぽでは、主に次のような条件が案内されています。

  • 資格喪失日の前日までに、継続して1年以上の所定の被保険者期間があること。
  • 退職日に傷病手当金を受けている、または受けられる状態であること。
  • 退職後も引き続き、同一の傷病によって労務不能の状態であること。

ただし、実際の支給については、退職日当日の勤務状況や、その後の療養状況なども関係します。

雇用保険の傷病手当は、求職申し込み後の状態が重要

雇用保険の傷病手当は、ハローワークで求職の申し込みをした後に、病気やけがで15日以上続けて就職できなくなった場合に関係します。

そのため、退職時点で既に長期間働けない状態で、まだ求職の申し込みをしていない場合は、まず受給期間延長などの手続きが必要になることがあります。

退職前から療養している場合は、制度の条件を確認する

退職前から業務外の病気やけがで療養している場合は、健康保険の傷病手当金の継続給付に該当するか確認しましょう。

また、雇用保険の基本手当については、原則として、働く意思と能力があり、求職活動を行える状態であることが必要です。

療養中ですぐには就職できない場合は、受給期間延長の手続きが関係することがあります。

【実践】場面別に二つの制度を使い分ける

場面1:会社員が業務外の病気で1か月休む

健康保険に加入している会社員が、業務外の病気によって療養が必要となり、1か月間働けず、十分な給与を受けられない場合は、傷病手当金が関係します。

連続する3日間の待期が完成しているか、労務不能の状態か、給与が支払われているかなどを確認します。

場面2:退職後、求職の申し込みをしてから病気になった

雇用保険の基本手当の受給資格者が、ハローワークで求職の申し込みをした後、病気によって15日以上続けて就職できなくなった場合は、傷病手当が関係します。

基本手当の支給残日数や、ほかの給付との調整などを確認する必要があります。

場面3:退職時点で既に療養中だった

退職時点で既に病気やけがによって働けず、すぐに求職活動を始められない場合です。

このような場合は、健康保険の傷病手当金を継続受給できるかどうかや、雇用保険の受給期間延長の対象になるかどうかを確認することが重要です。

制度の違いを理解しないまま申請すると、必要な手続きを見落とす可能性があります。

場面4:失業給付を受けている途中で骨折した

ハローワークで求職活動を行い、基本手当を受けている途中に骨折し、20日間続けて就職できなくなった場合です。

このような場合は、雇用保険の傷病手当が関係する可能性があります。

ただし、傷病手当の支給については、基本手当の受給資格や支給残日数などを確認する必要があります。

場面5:失業中の病気が長引き、2か月以上働けない

求職の申し込み後、病気によって長期間働けなくなった場合は、傷病手当のほか、基本手当の受給期間延長が関係することがあります。

例えば、療養の見通しが立たず、2か月以上求職活動を行えない場合です。

療養期間や支給残日数などによって、必要な手続きが異なるため、ハローワークで具体的な状況を説明しましょう。

傷病手当金・傷病手当の申請方法

傷病手当金は健康保険の保険者へ申請する

傷病手当金を申請する場合は、加入している健康保険の保険者へ必要な書類を提出します。

協会けんぽの場合は、傷病手当金支給申請書を使用します。

申請書には、本人が記入する部分のほか、事業主や療養担当者が記入する部分があります。

療養のために働けない状態であることや、休業期間中の給与の支払い状況などについて証明が必要です。

傷病手当はハローワークで認定を受ける

雇用保険の傷病手当を申請する場合は、住所地を管轄するハローワークで、傷病の認定を受ける必要があります。

ハローワークの案内では、原則として、就職できない理由がなくなった後の最初の認定日までに、必要な手続きを行うこととされています。

また、傷病手当支給申請書は、代理人による提出や郵送も認められています。

病気やけがによって本人が窓口へ行けない場合は、利用できる申請方法についてハローワークへ確認しましょう。

30日以上働けない場合は、受給期間延長の申請も確認する

雇用保険の受給資格者が、病気やけがなどによって30日以上続けて働けなくなった場合は、受給期間延長の手続きが関係することがあります。

受給期間延長の申請は、働けなくなった日から30日を経過した後、早期に行うことが原則とされています。

ただし、延長後の受給期間の最後の日まで申請は可能です。申請が遅れると、所定給付日数の全部を受給できなくなる可能性があるため、早めに確認しましょう。

申請する前に確認したい5つのポイント

1. 健康保険と雇用保険のどちらの制度か確認する

まず、申請しようとしているのが、健康保険の傷病手当金なのか、雇用保険の傷病手当なのかを確認しましょう。

名前は似ていますが、支給条件や申請先が異なります。

2. 病気やけがが発生した時期を確認する

在職中から療養していたのか、退職後に求職の申し込みをしてから病気やけがになったのかなど、発生した時期が重要です。

特に、雇用保険の傷病手当では、求職の申し込みをした後に15日以上続けて就職できなくなったことが関係します。

3. 現在の就労可能な状態を確認する

健康保険の傷病手当金では、これまで従事していた仕事に就けない状態かどうかが重要です。

一方、雇用保険では、基本手当を受けるためには原則として働く意思と能力が必要であり、病気やけがで就職できない期間について傷病手当などが関係します。

医師の意見や実際の療養状況などを踏まえて、現在の状態を整理しましょう。

4. ほかの給付との調整を確認する

傷病手当金や傷病手当については、ほかの給付を受けている場合に、支給額が調整されたり、支給対象とならなかったりする場合があります。

例えば、同じ病気について健康保険の傷病手当金を受けている場合は、雇用保険の傷病手当との関係を確認する必要があります。

5. 申請期間や必要書類を確認する

健康保険の傷病手当金と、雇用保険の傷病手当では、提出先や必要書類が異なります。

例えば、健康保険では事業主や療養担当者の証明が必要となり、雇用保険ではハローワークによる傷病の認定が必要です。

手続きを始める前に、提出先の公式案内や申請書の記載事項を確認しましょう。

申請書類の内容を確かめることと、提出された情報の正確性を詳しく調べることの違いについては、「確認」と「検証」の違いも参考になります。

「傷病手当金」「傷病手当」と似た言葉の違い

「基本手当」との違い

基本手当は、雇用保険の受給資格者が、働く意思と能力があるにもかかわらず就職できない状態にある場合などに支給される給付です。

一方、雇用保険の傷病手当は、求職の申し込み後に病気やけがで15日以上続けて就職できなくなった場合に、基本手当に代えて支給されます。

そのため、通常の失業の状態と、療養のために就職できない状態を区別する必要があります。

「休業補償給付」との違い

休業補償給付は、業務上のけがや病気によって療養が必要となり、働けず、賃金を受けられない場合に、労災保険から支給される給付です。

一方、傷病手当金は原則として業務外の病気やけが、雇用保険の傷病手当は求職申し込み後に病気やけがで就職できなくなった場合に関係します。

「傷病補償年金」との違い

傷病補償年金は、業務災害によるけがや病気について、療養開始から1年6か月を経過した後も治っておらず、所定の重い障害状態に該当する場合などに支給される労災保険の給付です。

傷病手当金や雇用保険の傷病手当とは、対象者や支給条件などが異なります。

「休業手当」との違い

休業手当は、使用者の責めに帰すべき事由によって労働者を休業させた場合に、労働基準法第26条に基づき、使用者が支払う手当です。

例えば、会社の設備故障などによって、働ける状態の従業員を休ませた場合などです。

病気やけがによる療養を対象とする傷病手当金や、求職申し込み後の就労不能を対象とする傷病手当とは異なる制度です。

「傷病手当金」と「傷病手当」の3秒判定

伝えたい内容 使いやすい言葉
健康保険に加入する会社員が、業務外の病気で会社を休む 傷病手当金
退職後も所定の条件を満たし、健康保険の給付を継続する 傷病手当金
求職の申し込み後、15日以上続けて病気で就職できなくなる 雇用保険の傷病手当
求職活動中、30日以上続けて働けないため、基本手当の受給できる期間を延ばす 受給期間延長
働く意思と能力があるものの、就職できない 雇用保険の基本手当
仕事中のけがで療養し、働けなくなる 労災保険の休業補償給付
会社の都合で従業員を休ませる 休業手当

健康保険の給付なら「傷病手当金」、ハローワークでの求職申し込み後の病気やけがに対する雇用保険の給付なら「傷病手当」と覚えると、区別しやすくなります。

よくある間違いと注意点

「傷病手当金と傷病手当は同じ制度」は誤り

傷病手当金は健康保険、傷病手当は雇用保険の制度です。

対象となる人や支給条件、計算方法、申請先などが異なります。

「退職すれば誰でも雇用保険の傷病手当をもらえる」は誤り

傷病手当を受けるには、基本手当の受給資格があり、原則として求職の申し込み後に病気やけがによって15日以上続けて就職できなくなったことなどが必要です。

退職したという事実だけで、自動的に支給されるわけではありません。

「失業中に病気になれば、基本手当と傷病手当を二重にもらえる」は誤り

雇用保険の傷病手当は、基本手当に代えて支給されるものです。

そのため、同じ対象日について、基本手当と傷病手当を二重に受給できるわけではありません。

「30日以上働けなければ、基本手当の日数が増える」は誤り

30日以上続けて働けない場合は、基本手当の受給期間を延長できることがあります。

ただし、受給期間延長は、基本手当を受けられる期間を延ばす制度であり、所定給付日数そのものを増やす制度ではありません。

「退職後は健康保険の傷病手当金を一切受け取れない」は誤り

一定の条件を満たせば、退職後も健康保険の傷病手当金を継続して受給できる場合があります。

ただし、継続して1年以上の所定の被保険者期間や、退職時点での受給資格など、具体的な条件があります。

「傷病手当金」と「傷病手当」の例文12選

「傷病手当金」を使った例文

  1. 業務外の病気で会社を休んだため、傷病手当金を申請した。
  2. 傷病手当金の待期期間について、協会けんぽに確認した。
  3. 傷病手当金の支給額を計算した。
  4. 退職後も傷病手当金を継続受給できるか調べた。
  5. 医師に傷病手当金の申請書を記入してもらった。
  6. 傷病手当金の支給期間は、原則として通算1年6か月である。

「傷病手当」を使った例文

  1. 求職の申し込み後に入院したため、雇用保険の傷病手当について相談した。
  2. 傷病手当の支給条件をハローワークで確認した。
  3. 基本手当日額が6,000円なので、傷病手当の日額も6,000円となる。
  4. 病気によって20日間就職できなくなったため、傷病手当を申請した。
  5. 療養が長期化したため、傷病手当と受給期間延長の違いを確認した。
  6. 傷病が治った後、最初の認定日までに傷病手当の手続きを行った。

FAQ|「傷病手当金」と「傷病手当」のよくある質問

Q1. 「傷病手当金」と「傷病手当」は同じ意味ですか?

同じ意味ではありません。傷病手当金は健康保険の制度で、原則として業務外の病気やけがによる休業を対象とします。一方、傷病手当は雇用保険の制度で、求職の申し込み後に病気やけがで15日以上続けて就職できなくなった場合に関係します。

Q2. 傷病手当金はいくら支給されますか?

原則として、支給開始日以前12か月の各標準報酬月額の平均額を30で割り、その3分の2に相当する額です。ただし、被保険者期間が12か月に満たない場合などは、別の計算方法が適用されます。

Q3. 雇用保険の傷病手当はいくら支給されますか?

基本手当日額と同額です。例えば、基本手当日額が6,000円の場合は、傷病手当の日額も6,000円です。ただし、実際の支給日数は基本手当の支給残日数などによって異なります。

Q4. 退職後に病気になった場合、傷病手当を受け取れますか?

ハローワークで求職の申し込みを行い、基本手当の受給資格がある人が、その後、病気やけがで15日以上続けて就職できなくなった場合は、傷病手当の対象となる可能性があります。求職の申し込みをする前から働けない場合は、受給期間延長などについて確認する必要があります。

Q5. 傷病手当金と傷病手当は同時に受け取れますか?

同じ病気やけがを理由として、二つの制度から重複して給付を受けることはできません。雇用保険の傷病手当では、同一の事由について健康保険の傷病手当金などを受けられる場合、支給対象外となる取り扱いがあります。

Q6. 傷病手当金は退職後も受け取れますか?

一定の条件を満たせば、退職後も継続して受給できる場合があります。例えば、退職日までに継続して1年以上の所定の被保険者期間があり、退職時点で傷病手当金を受けている、または受けられる状態であることなどが必要です。

Q7. 雇用保険の傷病手当は何日目から支給されますか?

求職の申し込み後、病気やけがで15日以上続けて就職できなくなった場合に、所定の認定を受けた対象日について支給されます。傷病手当金のように、4日目から支給される制度ではありません。

Q8. 病気で30日以上働けない場合はどうすればよいですか?

雇用保険の傷病手当に加え、基本手当の受給期間延長が関係する場合があります。働けない期間や基本手当の支給残日数などによって、必要な手続きが異なるため、ハローワークへ相談しましょう。

Q9. 雇用保険の傷病手当は、健康保険の被扶養者でも受給できますか?

健康保険の被扶養者であるかどうかだけで、雇用保険の傷病手当の受給資格が決まるわけではありません。雇用保険の基本手当の受給資格や、求職申し込み後の傷病による就労不能など、所定の条件を満たす必要があります。

Q10. 二つの制度の相談先はどこですか?

健康保険の傷病手当金は、協会けんぽや健康保険組合など、加入している健康保険の保険者へ相談します。雇用保険の傷病手当は、住所地を管轄するハローワークが相談先です。

まとめ|傷病手当金は健康保険、傷病手当は雇用保険の制度

「傷病手当金」と「傷病手当」は、名前がよく似ていますが、関係する保険制度や支給条件が異なります。

  • 傷病手当金:健康保険の制度。原則として業務外の病気やけがによって仕事を休み、十分な給与を受けられない場合に支給される。
  • 傷病手当:雇用保険の制度。求職の申し込み後に病気やけがで15日以上続けて就職できなくなった場合に、基本手当に代えて支給される。
  • 共通点:病気やけがによって働けない期間の生活を支える制度だが、支給額や支給期間、申請先が異なる。

特に重要なのは、雇用保険の傷病手当について、求職の申し込みをした後に病気やけがで働けなくなったことが支給条件に関係する点です。

また、30日以上働けない場合は、基本手当の受給期間延長についても確認する必要があります。

在職中から療養している場合や、退職後すぐに求職活動ができない場合は、健康保険の傷病手当金の継続給付や、雇用保険の受給期間延長など、関係する制度を整理しましょう。

手続きで問題が生じた際に、どのような行動が必要かを整理する場合は、「対応」と「対処」の違いも参考になります。

参考資料・出典

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