「離職票」と「退職証明書」の違いとは?発行方法・必要な手続き・届かない場合の対処法を解説

「退職したのに離職票が届かない」「転職先から退職証明書を提出するように言われた」「離職票があれば退職証明書は必要ない?」など、会社を退職する際には、さまざまな書類について疑問が生じることがあります。

中でも混同しやすいのが、「離職票」と「退職証明書」です。

どちらも退職したことに関係する書類ですが、発行する機関や使用目的、交付の条件、記載内容などが異なります。

結論からいうと、「離職票」は主に失業給付の受給手続きに使用する書類、「退職証明書」は退職の事実や在職中の労働条件などを証明するために会社が発行する書類です。

例えば、退職後にハローワークで雇用保険の基本手当を申請する場合は、原則として離職票が必要です。

一方、転職先から前職の退職日や在職期間について証明を求められた場合は、退職証明書が役立ちます。

また、離職票と退職証明書は、どちらか一方を受け取れば、もう一方を請求できなくなるという関係ではありません。

この記事では、両者の違いを比較表で整理し、発行方法、必要な手続き、離職証明書との違い、離職票が届かない場合の対処法、退職証明書の請求方法、マイナポータルでの受け取りまで解説します。

  1. 「離職票」と「退職証明書」の違い【結論】
  2. 【徹底比較】「離職票」と「退職証明書」の違いを比較表で整理
  3. 「離職票」とは?意味と主な使用目的
    1. 離職票は失業給付の申請に必要な書類
    2. 離職票には「離職票-1」と「離職票-2」がある
    3. 離職票は会社が作成するのではなく、ハローワークが発行する
    4. 離職票は、すぐに再就職する人にも必ず必要?
  4. 「退職証明書」とは?意味と主な使用目的
    1. 退職証明書は、会社が退職に関する事項を証明する書類
    2. 退職証明書で請求できる5つの事項
    3. 請求していない事項を、会社が勝手に記載してはいけない
    4. 決まった全国共通の書式はない
  5. 「離職証明書」は、離職票や退職証明書とどう違う?
  6. 離職票は、退職後いつ届く?発行までの流れ
    1. 会社には原則として離職後10日以内の届出義務がある
    2. 離職票が届くまでの基本的な流れ
  7. 【2025年開始】離職票をマイナポータルで受け取る方法
    1. 2025年1月20日から直接交付サービスが開始
    2. マイナポータルで直接受け取るための主な条件
    3. マイナポータルに届かない場合は?
  8. 退職証明書の発行方法と請求の仕方
    1. 必要な事項を指定して会社へ請求する
    2. 退職証明書の請求メールの例文
    3. 会社は退職証明書の請求を拒否できる?
    4. 退職後、何年まで請求できる?
  9. 離職票が届かない場合はどうすればよい?
    1. まず会社へ手続きの状況を確認する
    2. 会社が対応しない場合はハローワークへ相談する
    3. 離職票がなくても仮手続きができる場合がある
  10. 離職票と退職証明書は、どちらか一方で代用できる?
    1. 失業給付の手続きでは、原則として離職票が必要
    2. 退職証明書の請求については、離職票で代用できない
    3. 転職先や市区町村への提出では、提出先の指定を確認する
  11. 【実践】場面別に「離職票」と「退職証明書」を使い分ける
    1. 場面1:退職後、失業保険を申請する
    2. 場面2:転職先から退職の証明を求められた
    3. 場面3:国民健康保険の加入手続きを行う
    4. 場面4:会社が離職票を発行してくれない
    5. 場面5:退職理由の記載内容が間違っている
  12. 「離職票」「退職証明書」と似た書類の違い
    1. 「雇用保険被保険者証」との違い
    2. 「健康保険資格喪失証明書」との違い
    3. 「解雇理由証明書」との違い
    4. 「源泉徴収票」との違い
  13. 退職時に確認したい5つのポイント
    1. 1. 失業給付を申請する予定があるか
    2. 2. 転職先などから必要な書類を指定されていないか
    3. 3. 退職証明書に記載してほしい事項を整理する
    4. 4. 離職票の受け取り方法を確認する
    5. 5. 書類が届かない場合は、早めに相談する
  14. 「離職票」と「退職証明書」の3秒判定
  15. よくある間違いと注意点
    1. 「離職票は会社が発行する」は厳密には誤り
    2. 「離職票があれば、退職証明書を請求できない」は誤り
    3. 「退職証明書には、会社がすべての情報を記載してよい」は誤り
    4. 「離職票は退職後10日以内に必ず本人へ届く」は誤り
    5. 「離職票がないと、ハローワークへ相談できない」は誤り
    6. 「マイナンバーカードがあれば、離職票は必ずマイナポータルへ届く」は誤り
  16. 「離職票」と「退職証明書」の例文12選
    1. 「離職票」を使った例文
    2. 「退職証明書」を使った例文
  17. FAQ|「離職票」と「退職証明書」のよくある質問
    1. Q1. 離職票と退職証明書は同じ書類ですか?
    2. Q2. 離職票と退職証明書は両方もらえますか?
    3. Q3. 退職証明書は会社に発行義務がありますか?
    4. Q4. 離職票は、退職後いつ届きますか?
    5. Q5. 離職票が届かない場合はどうすればよいですか?
    6. Q6. 離職票がなくても失業保険の手続きはできますか?
    7. Q7. 退職証明書には、どのような内容を記載できますか?
    8. Q8. 離職票と離職証明書の違いは何ですか?
    9. Q9. 離職票はマイナポータルで受け取れますか?
    10. Q10. 国民健康保険の加入に、退職証明書は使えますか?
    11. Q11. 退職証明書は退職後、何年まで請求できますか?
    12. Q12. 会社が退職証明書の発行を拒否した場合は?
  18. まとめ|離職票は失業給付の申請、退職証明書は退職・在職情報の証明
  19. 参考資料・出典

「離職票」と「退職証明書」の違い【結論】

二つの書類を区別する際は、何のために使用する書類なのか、誰が発行するのかに注目しましょう。

  • 離職票:離職者が雇用保険の基本手当などを受給する際に、ハローワークへ提出する公的な書類。正式名称は「雇用保険被保険者離職票」。
  • 退職証明書:退職した労働者の請求に基づき、使用期間、業務の種類、事業における地位、賃金、退職の事由など、請求された事項について会社が証明する書類。

離職票は、原則として会社がハローワークへ雇用保険の資格喪失届や離職証明書を提出し、ハローワークが発行します。

一方、退職証明書は、労働基準法第22条に基づき、労働者から請求があった場合、会社が遅滞なく発行しなければなりません。

離職票の受け取りと退職証明書の請求は別の手続きであるため、必要に応じて両方を取得できます。

【徹底比較】「離職票」と「退職証明書」の違いを比較表で整理

比較項目 離職票 退職証明書
正式名称・法的位置づけ 雇用保険被保険者離職票 労働基準法第22条に基づく退職時等の証明書
主な目的 雇用保険の基本手当などの受給手続き 退職の事実や在職中の労働条件などの証明
発行者 ハローワーク 勤務していた会社
交付方法 原則として会社経由。所定の条件を満たせばマイナポータルへの直接交付も可能 労働者からの請求に応じて会社が交付
主な記載内容 被保険者情報、離職年月日、賃金額、離職理由など 本人が請求した使用期間、業務の種類、地位、賃金、退職の事由など
決まった書式 所定の様式がある 全国一律の必須様式はない
主な提出先 ハローワーク 転職先など、証明を必要とする提出先
交付の条件 原則として雇用保険の離職手続きに基づく。交付を希望しない場合などには例外がある 労働者から請求があれば、会社が遅滞なく交付する
退職後の請求 後日必要になった場合も、所定の手続きで交付を受けられる 退職後も請求できるが、請求権の時効に注意が必要
両方の取得 必要に応じて、両方を取得できる

離職票は失業給付のための書類、退職証明書は本人が必要とする退職・在職情報を証明する書類と覚えると、区別しやすくなります。

「離職票」とは?意味と主な使用目的

離職票は失業給付の申請に必要な書類

離職票は、雇用保険の被保険者であった人が離職した際に、ハローワークが発行する書類です。

離職後、雇用保険の基本手当などの受給手続きを行う場合に使用します。

例えば、会社を退職して再就職先が決まっておらず、ハローワークで求職の申し込みと基本手当の受給手続きを行う場合です。

通常は、会社から届いた離職票を持参して、住所地を管轄するハローワークで手続きを行います。

離職票には「離職票-1」と「離職票-2」がある

離職票には、主に次の2種類があります。

書類 主な内容
離職票-1 被保険者番号、資格喪失年月日など、受給手続きに必要な情報
離職票-2 離職前の賃金支払状況、離職理由など

特に離職票-2には、離職前の賃金や離職理由など、基本手当の受給資格や支給額を判断する際に重要な情報が記載されています。

会社が記載した離職理由と、本人が認識している離職理由が異なる場合には、ハローワークでその旨を申し出ることができます。

離職票は会社が作成するのではなく、ハローワークが発行する

離職票の発行に当たっては、まず会社が雇用保険被保険者資格喪失届や離職証明書などをハローワークへ提出します。

ハローワークは提出された書類を確認し、離職票を発行します。

従来は、ハローワークから会社へ離職票が交付され、会社が退職者へ郵送するなどの方法が一般的でした。

現在は、所定の条件を満たせば、マイナポータルを通じて退職者本人へ直接交付する方法も利用できます。

離職票は、すぐに再就職する人にも必ず必要?

離職票は、雇用保険の基本手当などの受給手続きで使用する書類です。

そのため、退職後すぐに別の会社へ就職し、当面は失業給付の申請を予定していない場合などには、離職票の交付を希望しないことがあります。

ただし、59歳以上で離職した場合など、雇用保険の手続きに関して特別な取り扱いがあるケースもあります。

また、退職時には離職票が不要だと思っていても、後から必要になることがあります。必要になった場合は、前の勤務先やハローワークへ相談しましょう。

「退職証明書」とは?意味と主な使用目的

退職証明書は、会社が退職に関する事項を証明する書類

退職証明書は、会社を退職した労働者の請求に基づき、勤務していた会社が発行する書類です。

労働基準法第22条では、退職した労働者から所定の事項について証明書を請求された場合、会社は遅滞なく交付しなければならないと定めています。

例えば、転職先の会社から、以前の勤務先の退職日や在職期間を確認できる書類の提出を求められた場合などです。

また、国民健康保険などの手続きで、退職の事実や退職日を確認する書類として使用できる場合もあります。

ただし、実際に受け付けられる証明書の種類は、提出先や手続きによって異なります。

退職証明書で請求できる5つの事項

労働基準法第22条に基づき、労働者が退職証明書で請求できる主な事項は、次のとおりです。

  1. 使用期間
  2. 業務の種類
  3. その事業における地位
  4. 賃金
  5. 退職の事由(解雇の場合は、その理由を含む)

例えば、次の転職先へ提出するために、使用期間と退職日について証明してほしいと依頼できます。

また、解雇された場合に、その理由を記載した証明書を求めることもできます。

請求していない事項を、会社が勝手に記載してはいけない

退職証明書について特に重要なのが、労働者の請求していない事項を記入してはいけないという点です。

例えば、労働者が使用期間だけの証明を求めているにもかかわらず、会社が本人の希望しない退職理由まで記載することは認められません。

退職証明書を請求する場合は、何を証明してほしいのか、必要な項目を明確に伝えましょう。

決まった全国共通の書式はない

退職証明書には、全国すべての会社で必ず使用しなければならない統一様式があるわけではありません。

会社独自の書式で発行する場合や、厚生労働省などが示すモデル様式を参考にする場合があります。

ただし、書式が自由であっても、労働者が請求していない事項を記載してはいけないという法律上のルールは守る必要があります。

「離職証明書」は、離職票や退職証明書とどう違う?

二つの書類と似た名称に「離職証明書」があります。

離職証明書の正式名称は「雇用保険被保険者離職証明書」で、会社が離職票の交付を受けるために、原則としてハローワークへ提出する書類です。

会社は、必要な賃金情報や離職理由などを記載して、ハローワークへ提出します。

書類 作成・発行する主体 主な使用目的
離職証明書 会社が作成する ハローワークに提出し、離職票の発行につなげる
離職票 ハローワークが発行する 退職者が基本手当などを申請する
退職証明書 会社が発行する 本人が求めた退職や在職中の事項を証明する

離職証明書と退職証明書は、どちらも会社が作成する書類ですが、提出先や目的が異なります。

失業給付の手続きでは、会社が作成した離職証明書を基に、ハローワークが発行する離職票を使用します。

離職票は、退職後いつ届く?発行までの流れ

会社には原則として離職後10日以内の届出義務がある

雇用保険の資格喪失手続きでは、会社は原則として、被保険者でなくなった日の翌日から10日以内に、資格喪失届などをハローワークへ提出する必要があります。

通常、退職によって資格を喪失する日は退職日の翌日なので、退職日の翌々日から10日以内が届出期間になります。

ただし、これは会社がハローワークへ提出する書類の届出期限です。

退職者本人の手元に、退職後10日以内に離職票が必ず到着するという意味ではありません。

離職票が届くまでの基本的な流れ

  1. 労働者が会社を退職する。
  2. 会社が必要な資格喪失届や離職証明書を作成する。
  3. 会社がハローワークへ書類を提出する。
  4. ハローワークが内容を確認し、離職票を発行する。
  5. 会社経由、または所定の条件を満たす場合はマイナポータルを通じて、本人へ離職票が交付される。
  6. 本人がハローワークで求職の申し込みと受給手続きを行う。

郵送にかかる時間や、会社側の処理状況などによって、離職票が手元に届くまでの日数は異なります。

【2025年開始】離職票をマイナポータルで受け取る方法

2025年1月20日から直接交付サービスが開始

2025年1月20日から、所定の条件を満たす場合、離職票をマイナポータルで直接受け取れるサービスが始まりました。

この仕組みを利用すると、従来のようにハローワークから会社へ離職票を送付し、さらに会社が本人へ郵送する手順を省略できる場合があります。

ただし、すべての退職者が自動的にマイナポータルで受け取れるわけではありません。

マイナポータルで直接受け取るための主な条件

マイナポータルへの直接交付には、主に次の条件があります。

  • 本人のマイナンバーが、雇用保険の被保険者番号と適切に紐付いていること。
  • 本人がマイナポータルと雇用保険WEBサービスの連携設定を行っていること。
  • 会社が電子申請によって雇用保険の離職手続きを行うこと。

例えば、本人がマイナポータルの連携設定を済ませていても、会社が紙の書類で離職手続きを行った場合は、原則として従来の会社経由での交付になります。

また、会社が離職票の交付を希望しない内容で届出を行った場合も、基本手当などを受けるための離職票は発行されません。

マイナポータルに届かない場合は?

マイナポータルへの直接交付を希望していたにもかかわらず離職票が届かない場合は、必要な連携設定や、会社の電子申請の状況などを確認しましょう。

例えば、マイナンバーと雇用保険の被保険者番号が正しく紐付いていない場合は、登録内容の確認や訂正が必要になることがあります。

また、会社が紙の書類で申請していた場合は、会社経由で交付される可能性があります。

手続きや交付方法が新しくなった際には、従来の方法との違いを整理することが重要です。関連する言葉の使い分けについては、「変更」と「修正」の違いも参考になります。

退職証明書の発行方法と請求の仕方

必要な事項を指定して会社へ請求する

退職証明書を取得したい場合は、前の勤務先の人事・総務担当者などへ、交付を希望する旨を伝えましょう。

その際には、提出先に必要とされている記載内容も確認しておくことが大切です。

例えば、転職先から前職の在職期間について証明を求められている場合は、使用期間の記載を依頼します。

退職理由の証明が不要であれば、退職理由の記載を求める必要はありません。

退職証明書の請求メールの例文

退職証明書を会社へ依頼する場合は、次のような文章を使用できます。

件名:退職証明書の発行のお願い

人事部 ご担当者様

お世話になっております。以前、貴社に勤務しておりました〇〇です。

転職先への提出に必要なため、退職証明書の発行をお願いしたく、ご連絡いたしました。

証明書には、使用期間と退職年月日を記載していただけますと幸いです。

お忙しいところ恐れ入りますが、発行方法と受け取りまでの流れをご案内いただけますでしょうか。

何卒よろしくお願いいたします。

〇〇 〇〇

請求する際には、提出先が求める事項だけを記載してもらうようにしましょう。

会社は退職証明書の請求を拒否できる?

労働基準法第22条では、退職した労働者から所定の事項について証明書を請求された場合、会社は遅滞なく交付しなければならないと定めています。

そのため、退職者が所定の事項について請求しているにもかかわらず、正当な理由なく発行を拒むことはできません。

また、離職票を交付したという理由だけで、退職証明書の交付義務がなくなるわけではありません。

退職後、何年まで請求できる?

退職証明書の請求権については、原則として退職時から2年間の時効があります。

退職後2年を経過した場合は、法律上の交付請求権の時効との関係で、会社から証明書の交付を受けられないことがあります。

退職証明書が必要だとわかっている場合は、早めに会社へ請求するとよいでしょう。

離職票が届かない場合はどうすればよい?

まず会社へ手続きの状況を確認する

退職後、離職票の交付を希望しているにもかかわらず、なかなか届かない場合は、まず会社に手続きの状況を確認しましょう。

会社が資格喪失届や離職証明書を提出していない可能性や、書類の確認に時間がかかっている可能性があります。

また、会社が離職票を発送したものの、郵送上の問題によって届いていない場合もあります。

会社が対応しない場合はハローワークへ相談する

会社に何度問い合わせても離職票が交付されない場合や、会社が離職手続きを行わない場合は、住所地を管轄するハローワークへ相談しましょう。

厚生労働省は、会社に交付を希望したにもかかわらず、退職日の翌々日から10日を経過しても届かない場合は、会社へ処理状況を確認するよう案内しています。

会社が手続きを行わない場合などは、本人確認書類や退職したことを示す書類を持参し、ハローワークへ早めに相談することが重要です。

離職票がなくても仮手続きができる場合がある

離職票が届かない場合でも、一定の条件を満たせば、ハローワークで基本手当の受給資格について仮手続きを行える場合があります。

例えば、退職日の翌日から12日以上経過しているにもかかわらず、離職票が届いていない場合などです。

ただし、仮手続きを行えば、離職票がなくても無条件に基本手当が支給されるわけではありません。正式な受給資格の確認など、必要な手続きがあります。

実際の取り扱いについては、住所地を管轄するハローワークへ確認しましょう。

離職票と退職証明書は、どちらか一方で代用できる?

失業給付の手続きでは、原則として離職票が必要

ハローワークで基本手当を受給する場合は、原則として離職票-1と離職票-2が必要です。

退職証明書があるという理由だけで、正式な受給手続きに必要な離職票が不要になるわけではありません。

ただし、離職票がまだ交付されていない場合に、退職証明書などを使って仮手続きを進められることがあります。

退職証明書の請求については、離職票で代用できない

労働者が労働基準法第22条に基づいて退職証明書を請求した場合、会社は離職票を交付済みであるという理由で、その請求を拒むことはできません。

退職証明書には、労働者が証明を求めた事項を記載する必要があります。

一方、離職票は、雇用保険の給付手続きのために、法令で定められた情報などが記載される書類です。

目的や記載内容が異なるため、両者は法律上、同じ書類として扱われるわけではありません。

転職先や市区町村への提出では、提出先の指定を確認する

転職先や市区町村などから退職の証明を求められた場合は、どの書類が必要なのか、提出先へ確認しましょう。

例えば、提出先によっては、退職証明書だけでなく、健康保険資格喪失証明書など、別の書類を求められる場合があります。

必要な書類を勘違いすると、会社へ再度発行を依頼しなければならなくなることがあります。

【実践】場面別に「離職票」と「退職証明書」を使い分ける

場面1:退職後、失業保険を申請する

会社を退職し、ハローワークで基本手当の受給手続きを行う場合は、原則として離職票が必要です。

離職票-1と離職票-2を準備し、必要な本人確認書類などとともに、ハローワークで手続きを行いましょう。

場面2:転職先から退職の証明を求められた

新しい勤務先から、前の会社を退職していることや在職期間の証明を求められた場合です。

このような場合は、退職証明書を使用できることがあります。

ただし、転職先によって必要な記載事項が異なるため、事前に確認しておくことが大切です。

場面3:国民健康保険の加入手続きを行う

会社の健康保険を脱退し、市区町村の国民健康保険へ加入する場合です。

この場合、健康保険の資格喪失日を確認できる書類などが必要になることがあります。

退職証明書を利用できるかどうかは、市区町村の取り扱いによって異なります。

退職証明書があれば、必ずすべての市区町村で国民健康保険の加入手続きができるとは限りません。

場面4:会社が離職票を発行してくれない

退職後、失業給付を申請したいのに、会社から離職票が届かない場合です。

まずは会社に交付を希望している旨を伝え、手続き状況を確認しましょう。

会社が対応しない場合は、本人確認書類や退職証明書など、退職したことを示す資料を用意して、ハローワークへ相談する方法があります。

場面5:退職理由の記載内容が間違っている

離職票に自己都合退職と記載されているものの、本人は会社から退職勧奨を受けたと認識している場合です。

このような場合は、離職票の記載内容を確認し、実際の離職理由と異なる旨をハローワークへ申し出ましょう。

必要に応じて、雇用契約書や退職勧奨に関するメール、面談記録などを整理します。

書類に記載された内容を確かめることと、実際の経緯を資料に基づいて調べることの違いについては、「確認」と「検証」の違いも参考になります。

「離職票」「退職証明書」と似た書類の違い

「雇用保険被保険者証」との違い

雇用保険被保険者証は、雇用保険の被保険者であることや、被保険者番号などを確認するための書類です。

新しい会社へ入社する際に提出を求められることがあります。

一方、離職票は失業給付の受給手続きに使用する書類、退職証明書は退職の事実や在職中の労働条件などを証明する書類です。

「健康保険資格喪失証明書」との違い

健康保険資格喪失証明書は、以前加入していた健康保険の資格を喪失したことを証明する書類です。

例えば、退職後に国民健康保険へ加入する際などに必要になる場合があります。

一方、退職証明書は、退職の事実や使用期間など、本人が求めた事項について会社が証明する書類です。

退職証明書と健康保険資格喪失証明書は、名称も証明する内容も異なります。

「解雇理由証明書」との違い

解雇理由証明書は、会社から解雇の予告を受けた労働者が、その解雇理由について証明を求める場合の書類です。

労働基準法第22条では、解雇の予告を受けた日から退職日までの間、労働者が解雇理由の証明書を請求した場合、会社は遅滞なく交付しなければならないと定めています。

一方、退職後に発行を求める退職証明書でも、退職の事由として解雇の理由を請求できます。

ただし、請求する時期や状況によって、使用する証明書の位置づけが異なります。

「源泉徴収票」との違い

源泉徴収票は、給与の支払額や所得税の源泉徴収額などを記載した税務上の書類です。

退職後、新しい勤務先で年末調整を受ける場合や、確定申告を行う場合などに使用します。

一方、離職票は雇用保険の受給手続き、退職証明書は退職や在職中の事項の証明に使用します。

退職後に受け取る書類であっても、使用目的はそれぞれ異なります。

退職時に確認したい5つのポイント

1. 失業給付を申請する予定があるか

退職後に雇用保険の基本手当を申請する予定がある場合は、会社へ離職票の交付を希望する旨を伝えましょう。

退職後すぐに再就職する予定がある場合も、後から必要になる可能性を踏まえ、交付の希望について確認しておくとよいでしょう。

2. 転職先などから必要な書類を指定されていないか

転職先が求めているのは、退職証明書なのか、源泉徴収票なのか、雇用保険被保険者証なのかを確認しましょう。

提出先が必要としている書類と異なるものを準備すると、追加の手続きが必要になることがあります。

3. 退職証明書に記載してほしい事項を整理する

退職証明書を請求する場合は、使用期間、業務の種類、地位、賃金、退職の事由などのうち、必要な事項を明確にしましょう。

会社は、労働者が請求していない事項を退職証明書に記載してはいけません。

4. 離職票の受け取り方法を確認する

離職票は、従来の会社経由による交付だけでなく、所定の条件を満たす場合は、マイナポータルへの直接交付も利用できます。

マイナポータルで受け取りたい場合は、本人の連携設定と会社の電子申請など、必要な条件を確認しましょう。

5. 書類が届かない場合は、早めに相談する

離職票が届かない場合は、まず会社へ問い合わせ、手続き状況を確認しましょう。

会社が対応しない場合や、離職票が届くまでに時間がかかっている場合は、ハローワークで仮手続きなどについて相談できることがあります。

また、退職証明書を請求したにもかかわらず会社が交付しない場合は、労働基準監督署などへ相談する方法があります。

問題が起きた際の具体的な行動を整理したい場合は、「対応」と「対処」の違いも参考になります。

「離職票」と「退職証明書」の3秒判定

目的・状況 主に必要な書類
ハローワークで失業給付を申請する 離職票
失業給付の計算に使う離職前の賃金や離職理由を確認する 離職票-2
転職先へ前職の在職期間を証明する 退職証明書
退職の事実や退職日を証明する 退職証明書
ハローワークが離職票を発行するため、会社が提出する 離職証明書
新しい勤務先で雇用保険の被保険者番号を確認する 雇用保険被保険者証
国民健康保険への加入に際し、以前の健康保険の資格喪失を証明する 健康保険資格喪失証明書など、提出先が指定する書類
転職先の年末調整や確定申告を行う 源泉徴収票

失業給付なら離職票、退職や在職期間の証明なら退職証明書と覚えましょう。

よくある間違いと注意点

「離職票は会社が発行する」は厳密には誤り

会社は必要な資格喪失届や離職証明書を提出し、それに基づいてハローワークが離職票を発行します。

会社を経由して本人へ交付されることが多いため、会社が発行する書類と混同されがちです。

「離職票があれば、退職証明書を請求できない」は誤り

退職証明書は、労働基準法第22条に基づいて、労働者が所定の事項について会社へ請求できる書類です。

会社が離職票を交付済みであっても、退職証明書を別途請求できます。

「退職証明書には、会社がすべての情報を記載してよい」は誤り

退職証明書に記載できるのは、原則として労働者が証明を求めた事項です。

本人が請求していない退職理由などを、会社が勝手に記載してはいけません。

「離職票は退職後10日以内に必ず本人へ届く」は誤り

会社には、原則として資格喪失に関する所定の届出期限があります。

しかし、これは本人の手元に離職票が届く期限そのものではありません。

ハローワークの処理や郵送などによって、交付までの日数が異なります。

「離職票がないと、ハローワークへ相談できない」は誤り

離職票が届かない場合でも、ハローワークで相談できます。

一定の条件を満たせば、離職票が届く前に仮手続きを進められることもあります。

「マイナンバーカードがあれば、離職票は必ずマイナポータルへ届く」は誤り

マイナポータルで離職票を直接受け取るには、本人の連携設定や、会社による電子申請などの条件があります。

マイナンバーカードを持っているという理由だけで、必ず直接交付を利用できるわけではありません。

「離職票」と「退職証明書」の例文12選

「離職票」を使った例文

  1. 会社を退職したため、離職票の交付を依頼した。
  2. 離職票が届いたので、ハローワークで基本手当の受給手続きを行った。
  3. 離職票-2に記載された離職理由を確認した。
  4. 離職票が届かないため、前の勤務先へ問い合わせた。
  5. マイナポータルで離職票を受け取るための設定を確認した。
  6. 離職票の記載内容に疑問があったため、ハローワークに相談した。

「退職証明書」を使った例文

  1. 転職先へ提出するため、前の勤務先に退職証明書を請求した。
  2. 退職証明書には、使用期間と退職年月日の記載をお願いした。
  3. 退職証明書の発行について、人事部へ問い合わせた。
  4. 労働基準法第22条に基づき、退職証明書の交付を請求した。
  5. 会社から退職証明書が届いたので、記載内容を確認した。
  6. 退職証明書に請求していない事項が記載されていたため、会社に確認した。

FAQ|「離職票」と「退職証明書」のよくある質問

Q1. 離職票と退職証明書は同じ書類ですか?

同じ書類ではありません。離職票は、主に雇用保険の基本手当などの受給手続きで使用する書類で、ハローワークが発行します。一方、退職証明書は、退職の事実や在職中の労働条件などについて、労働者の請求に応じて会社が発行する書類です。

Q2. 離職票と退職証明書は両方もらえますか?

必要に応じて両方取得できます。離職票を受け取っている場合でも、会社に退職証明書の交付を請求できます。

Q3. 退職証明書は会社に発行義務がありますか?

あります。労働基準法第22条に基づき、退職した労働者から所定の事項について証明書を請求された場合、会社は遅滞なく交付しなければなりません。

Q4. 離職票は、退職後いつ届きますか?

会社の手続きやハローワークの処理、郵送などにかかる時間によって異なります。会社には原則として退職日の翌々日から10日以内に所定の届出を行う義務がありますが、本人への到着を保証する期限ではありません。

Q5. 離職票が届かない場合はどうすればよいですか?

まずは会社へ手続きの状況を確認しましょう。会社が対応しない場合や、退職後一定期間が経過しても届かない場合は、本人確認書類や退職したことを示す資料を用意し、ハローワークへ相談してください。

Q6. 離職票がなくても失業保険の手続きはできますか?

一定の条件を満たせば、離職票が届く前に仮手続きを行える場合があります。ただし、正式な受給資格の確認などの手続きが必要になるため、管轄のハローワークへ確認しましょう。

Q7. 退職証明書には、どのような内容を記載できますか?

使用期間、業務の種類、事業における地位、賃金、退職の事由など、労働基準法第22条で定められた事項のうち、労働者が請求した内容を記載できます。会社は、請求されていない事項を勝手に記載してはいけません。

Q8. 離職票と離職証明書の違いは何ですか?

離職証明書は、会社がハローワークに提出する書類です。一方、離職票は、提出された離職証明書などに基づいてハローワークが発行し、退職者が基本手当などの受給手続きに使用する書類です。

Q9. 離職票はマイナポータルで受け取れますか?

2025年1月20日から、所定の条件を満たす場合に、マイナポータルを通じて直接受け取れるようになりました。本人の連携設定や、会社による電子申請などの条件があります。

Q10. 国民健康保険の加入に、退職証明書は使えますか?

市区町村によっては、退職日などを確認する書類として使用できる場合があります。ただし、健康保険資格喪失証明書など、別の書類を求められる場合もあります。実際に必要な書類は、加入手続きを行う市区町村へ確認しましょう。

Q11. 退職証明書は退職後、何年まで請求できますか?

退職証明書の請求権については、原則として退職時から2年間の時効があります。退職後2年を経過すると、交付を受けられない場合があるため、必要な場合は早めに請求しましょう。

Q12. 会社が退職証明書の発行を拒否した場合は?

労働基準法第22条に基づく所定の証明書を請求したにもかかわらず、会社が交付しない場合は、労働基準監督署などへ相談することができます。

まとめ|離職票は失業給付の申請、退職証明書は退職・在職情報の証明

「離職票」と「退職証明書」は、どちらも退職時に使用する書類ですが、発行元や用途が異なります。

  • 離職票:ハローワークが発行し、主に雇用保険の基本手当などの受給手続きに使用する。
  • 退職証明書:会社が発行し、労働者が請求した退職・在職中の事項を証明する。
  • 離職証明書:会社がハローワークへ提出し、離職票の発行につなげる書類。

特に重要なのは、離職票を受け取った場合でも、必要に応じて退職証明書を別途請求できることです。

また、2025年1月からは、所定の条件を満たす場合、離職票をマイナポータルで直接受け取ることも可能になりました。

退職後に失業給付を申請する場合は離職票、転職先などへ退職や在職期間を証明する場合は退職証明書というように、使用目的に応じて必要な書類を確認しましょう。

参考資料・出典

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