「答申」と「上申」の違いとは?意味・使い分けを行政・審議会・会社・上申書の例文で徹底解説

行政や会社の文書を読んでいると、「答申」と「上申」という言葉を目にすることがあります。

たとえば、

  • 審議会が大臣に答申する
  • 担当者が上司に上申する
  • 答申書を提出する
  • 上申書を提出する

といった表現です。

どちらも「自分より上の立場に何かを申し述べる」というイメージがあるため、違いが分かりにくい言葉です。

しかし、使われる場面には重要な違いがあります。

「答申」は、上司や行政機関などから意見を求められ、それに答えて意見を述べることを表します。

一方、

「上申」は、部下や下位の立場から、上司・上級機関などに意見や事情を申し述べることを表します。

つまり、簡単に整理すると、

  • 問い・諮問を受けて答える → 答申
  • 下から上へ意見・事情を申し述べる → 上申

という違いです。

この記事では、「答申」と「上申」の意味や使い分けを、行政・審議会・会社・裁判所・上申書などの例を交えながら詳しく解説します。

  1. 結論:「答申」は求められた意見への回答、「上申」は下から上への申し出
  2. 「答申」とは?
    1. 「答申」の例文
  3. 「上申」とは?
    1. 「上申」の例文
  4. 「答申」と「上申」の最大の違いは「先に問いがあるか」
    1. 答申は「問いへの答え」
    2. 上申は必ずしも問いを必要としない
  5. 「答申」は「諮問」とセットで理解すると分かりやすい
  6. 「上申」は「上申書」という形でも使われる
  7. 「答申書」と「上申書」の違い
  8. 行政では「答申」のほうがよく見かける
  9. 会社では「上申」が使われる場合がある
  10. 「上申」と「進言」の違い
  11. 「答申」と「提言」の違い
  12. 「答申」と「具申」の違い
  13. 「上申」と「申請」の違い
  14. 「上申」と「報告」の違い
  15. 「答申」と「報告」の違い
  16. 「答申」は必ず審議会が行う?
  17. 「上申」は必ず部下から直属の上司へ行う?
  18. 上申書には何を書く?
  19. 会社で上申するときの文章例
  20. 「上申する」は日常会話では硬い
  21. 「答申する」は一般社員の日常業務ではあまり使わない
  22. 「答申」と「上申」の方向を図式化すると?
  23. 「答申」と「上申」を具体例で比較
    1. 例1:審議会
    2. 例2:会社の担当者
    3. 例3:大臣から意見を求められた委員会
    4. 例4:現場から本社への改善要望
    5. 例5:単なる業務結果
  24. 「答申を受ける」と「上申を受ける」の違い
  25. 「答申を提出する」は正しい?
  26. 「上申を提出する」は正しい?
  27. 「答申」と「上申」はどちらも決定ではない
  28. 「諮問」「審議」「答申」の違い
  29. 「答申」「上申」「進言」「提言」をまとめて比較
  30. 「答申」と「上申」を一瞬で見分ける覚え方
    1. 「答申」の「答」=問いに答える
    2. 「上申」の「上」=上へ申し述べる
  31. よくある質問
    1. Q1. 「答申」の読み方は?
    2. Q2. 「上申」の読み方は?
    3. Q3. 「答申」と「上申」は同じ意味ですか?
    4. Q4. 答申には必ず諮問が必要ですか?
    5. Q5. 上申には相手からの質問が必要ですか?
    6. Q6. 「答申書」と「上申書」の違いは?
    7. Q7. 会社で上司に提案する場合は「上申」ですか?
    8. Q8. 審議会が政府に意見を出す場合は必ず「答申」ですか?
    9. Q9. 「答申」は最終決定ですか?
    10. Q10. 「上申」したら必ず承認されますか?
    11. Q11. 「答申」と「回答」はどう違いますか?
    12. Q12. 「上申」と「報告」はどう違いますか?
  32. まとめ
  33. 参考資料

結論:「答申」は求められた意見への回答、「上申」は下から上への申し出

最初に、「答申」と「上申」の違いを表にまとめます。

項目 答申 上申
読み方 とうしん じょうしん
基本的な意味 問いを受けて意見を述べる 上位者に意見や事情を申し述べる
きっかけ 相手から質問・諮問などがある 自分側から申し述べることができる
方向 問いをした側へ回答する 下位者から上位者へ申し上げる
主な場面 行政、審議会、諮問機関 会社、行政、裁判・特許手続きなど
代表的な文書 答申書 上申書
よく使う表現 審議会が答申する 上司に上申する

たとえば、大臣が審議会に、

「この制度を今後どのように見直すべきか」

と意見を求めたとします。

審議会が検討した結果を大臣に示すのが「答申」です。

一方、会社の担当者が、現場で発生している問題について、

「この制度はこのように変更したほうがよいと思います」

と上司や経営層に意見・事情を申し述べるのであれば「上申」と表現できます。

両者を区別するときは、「先に問いを受けているか」に注目すると分かりやすくなります。

「答申」とは?

「答申」は「とうしん」と読みます。

「答」という漢字が入っていることからも分かるように、基本的には何らかの問いに答えることが前提となっています。

一般には、上司などから質問された事項について意見を述べる意味があります。

特に行政では、審議会などの諮問機関が、行政機関から諮問を受け、その内容について審議した結果を行政機関に示すことを「答申」と呼びます。

典型的な流れは、

諮問 → 審議 → 答申

です。

「答申」という言葉を理解するうえでは、この三つの流れを覚えておくとよいでしょう。

「答申」の例文

  • 審議会は制度改正について大臣に答申した。
  • 委員会が半年間の審議を経て答申をまとめた。
  • 政府は審議会の答申を踏まえて制度を見直す。
  • 諮問を受けた委員会から答申が提出された。
  • 答申には今後の制度の方向性が盛り込まれた。
  • 専門家による審議を経て最終答申がまとめられた。

これらはいずれも、意見を求められた側が検討結果を返す場面です。

「上申」とは?

「上申」は「じょうしん」と読みます。

上司・上官・上級機関など、自分より上位の立場に対して意見や事情を申し述べることを意味します。

「上」という文字が入っているため、

下位の立場から上位の立場へ伝える

という方向性が重要です。

たとえば、

  • 担当者から部長へ
  • 部長から経営陣へ
  • 下級機関から上級機関へ
  • 申請人から行政機関へ

などの場面で使われることがあります。

「上申」の例文

  • 現場の事情を上司に上申した。
  • 制度の改善案を役員に上申する。
  • 担当部署から本部へ対応方針を上申した。
  • 事情をまとめた上申書を提出した。
  • 担当者は処遇の見直しについて上申した。
  • 必要な事情を上申書に記載した。

「上申」は日常会話で頻繁に使う言葉ではありません。

会社・行政・法律上の手続きなど、比較的正式な場面で使われることが多い言葉です。

「答申」と「上申」の最大の違いは「先に問いがあるか」

両者の最大の違いは、意見を述べる前に相手から問いを受けているかどうかです。

答申は「問いへの答え」

「答申」は、文字どおり「答える」ことが重要です。

たとえば、行政機関が審議会に、

「今後、この制度をどのようにすべきか」

と諮問します。

それに対して審議会が、

「制度をこのように変更することが望ましい」

と意見をまとめて返します。

これが答申です。

上申は必ずしも問いを必要としない

「上申」は、必ずしも相手から質問されている必要はありません。

たとえば、現場の担当者が問題を発見し、

「このままでは業務に支障が出るため、システムの変更が必要です」

と上司に伝えることができます。

これは、上位者から質問されていなくても成立します。

つまり、

  • 質問・諮問 → 回答する=答申
  • 下位者 → 上位者へ申し述べる=上申

という違いがあります。

「答申」は「諮問」とセットで理解すると分かりやすい

行政関係の文章では、「答申」と「諮問」がセットで登場することがよくあります。

「諮問」とは、一定の機関や専門家などに意見を求めることです。

そして、その問いに対する回答が「答申」です。

たとえば、

  1. 大臣が審議会に諮問する
  2. 審議会が内容を審議する
  3. 審議会が大臣に答申する
  4. 行政機関が答申を参考に政策を検討する

という流れになります。

「諮問」と「答申」の違いについて詳しく知りたい場合は、「諮問」と「答申」の違いとは?意味・使い分け・審議会での流れを例文で解説も参考にしてください。

「上申」は「上申書」という形でも使われる

「上申」は「上申書」という文書名でも使われます。

上申書とは、上位者・行政機関・裁判所などに対して、事情・意見・希望などを申し述べるために提出する文書です。

ただし、「上申書」と呼ばれる文書の具体的な役割や書式は、提出先や手続きによって異なります。

たとえば特許庁の電子出願手続きでは、実際に「上申書」という書類が用意されており、書類名・宛先・上申する者・上申の内容などを記録する形式になっています。

したがって、単に「上司への社内文書」だけを上申書と呼ぶわけではありません。

「答申書」と「上申書」の違い

「答申」と「上申」は、それぞれ「答申書」「上申書」という形でも使われます。

文書 中心となる役割
答申書 求められた事項について検討した意見・結論を示す
上申書 上位者・上級機関へ事情・意見などを申し述べる

たとえば審議会が行政機関から諮問された事項について意見をまとめるのであれば、答申書です。

一方、当事者が上位の機関などに事情を説明するために提出するのであれば、上申書となる場合があります。

つまり、どちらも「上の立場に文書を提出する」という形になる場合がありますが、提出する理由が異なります。

行政では「答申」のほうがよく見かける

行政分野では、各種の審議会が設置されています。

審議会は専門家などで構成され、行政上の重要なテーマについて調査・審議することがあります。

その中で、行政機関から諮問を受け、意見をまとめて返す場合に「答申」が使われます。

たとえば、

  • 教育制度について答申する
  • 文化政策について答申する
  • 税制について答申する
  • 社会保障制度について答申する

といった形です。

ニュースで「○○審議会が答申をまとめた」と報じられている場合は、単なる自由な意見発表ではなく、一定の諮問や検討を経て意見が示されている可能性があります。

会社では「上申」が使われる場合がある

一般企業では「答申」よりも「上申」のほうがイメージしやすい場面があります。

たとえば、部下や担当者が上司・経営層に対して、

  • 人事上の処遇
  • 設備投資
  • 制度変更
  • 予算増額
  • 業務改善
  • 特別な事情への対応

などを正式に申し述べる場合です。

例:

「現場責任者から本部長へ設備更新の必要性を上申した。」

「部長は社員の昇格について役員に上申した。」

ただし、すべての会社で「上申」という言葉を日常的に使うわけではありません。

企業文化によっては、

  • 申請
  • 提案
  • 報告
  • 稟議
  • 起案

などの言葉が使われる場合もあります。

「上申」と「進言」の違い

「上申」に非常に近い言葉として「進言」があります。

どちらも目上の人に意見を述べる意味があります。

ただし、「上申」は、事情・意見などを上位者へ正式に申し述べる場面で使いやすい言葉です。

一方、「進言」は、目上の人に対して自分の意見や助言を申し述べることを表します。

たとえば、

「社長に新規事業への参入を進言する」

とすれば、社長に「こうしたほうがよい」と意見を述べるニュアンスになります。

一方、

「事情を整理して上申書を提出する」

なら、より正式な手続きの印象があります。

「上申」と「進言」の違いについては、「上申」と「進言」の違いとは?意味・使い分けを上司・会社・行政の例文で徹底解説もあわせてご覧ください。

「答申」と「提言」の違い

「答申」に似た言葉として「提言」もあります。

「提言」は、ある問題について意見や考えを示すことです。

「答申」と異なり、必ずしも事前に意見を求められている必要はありません。

たとえば研究者が自発的に、

「政府はこのような政策を取るべきだ」

と意見をまとめて発表すれば、「政府への提言」と表現できます。

一方、政府から正式に諮問された審議会が、その問いへの回答として意見をまとめる場合には「答申」が使われます。

言葉 ポイント
答申 求められた問い・諮問への回答
提言 問題について意見・方向性を示す
上申 下位者から上位者へ意見・事情を述べる

「答申」と「具申」の違い

「具申(ぐしん)」も、答申・上申に近い言葉です。

「具申」は、事情や意見を詳しく申し述べることを意味し、特に上役・上位機関に対して詳しく述べる場合に使われます。

そのため、「上申」と非常に近い言葉です。

一方、「答申」は何らかの問いへの回答という性格が明確です。

整理すると、

  • 答申=問いに答えて意見を述べる
  • 上申=上位者へ意見・事情を申し述べる
  • 具申=意見・事情を詳しく申し述べる

となります。

「上申」と「申請」の違い

「上申」と「申請」も混同しないようにしましょう。

「申請」は、許可・認定・給付などを求めて、一定の手続きを行うことです。

たとえば、

  • 補助金を申請する
  • 休暇を申請する
  • 許可を申請する
  • 資格認定を申請する

などです。

一方、「上申」は上位者に事情や意見を申し述べることです。

つまり、

何かの承認・許可などを求めて正式に手続きする → 申請

上位者に事情・意見などを申し述べる → 上申

という違いがあります。

「上申」と「報告」の違い

「報告」も上司に対して行われるため、「上申」と似ているように見えます。

しかし、「報告」は事実・経過・結果などを知らせることが中心です。

たとえば、

「昨日発生した設備トラブルについて部長に報告した。」

なら、発生した事実を伝えています。

一方、

「設備の全面更新が必要だと部長に上申した。」

なら、上位者に対して一定の意見や事情を正式に申し述べています。

したがって、

  • 事実や結果を知らせる → 報告
  • 上位者に意見・事情を申し述べる → 上申

という違いがあります。

「答申」と「報告」の違い

審議会などでは、「答申」だけでなく「報告書」がまとめられる場合もあります。

「報告」は調査・検討した内容を知らせるという広い意味の言葉です。

「答申」は、特に問いや諮問に対する意見という性格があります。

したがって、ある委員会が自主的に調査結果をまとめれば「報告書」となることがあります。

行政機関から正式に諮問を受け、その問いへの意見を示すのであれば「答申」と呼ばれる場合があります。

「答申」は必ず審議会が行う?

「答申」と聞くと行政の審議会を連想しやすいですが、言葉の一般的な意味はそれだけではありません。

上司からの問いに対して意見を述べる意味もあります。

ただし、現在の行政ニュース・行政文書では、審議会などの諮問機関が意見を示す意味で「答申」が特によく使われます。

そのため、実際の文章を読む際には、

  • 誰が諮問したのか
  • 誰が答申したのか
  • 何について答申したのか

を確認すると意味を理解しやすくなります。

「上申」は必ず部下から直属の上司へ行う?

必ずしも直属の上司に限られるわけではありません。

上位の機関や立場に対して意見・事情を申し述べる場合にも使われます。

そのため、「上申」は単純に、

「社員から課長へ伝えること」

だけを意味する言葉ではありません。

実際の制度によっては、行政機関・裁判所などに「上申書」という名称の書類を提出する場合があります。

上申書には何を書く?

上申書の内容は提出先と目的によって大きく異なります。

一般的なイメージとしては、

  • 上申する人
  • 宛先
  • 対象となる案件
  • 事情
  • 意見
  • 希望する対応
  • 必要な補足説明

などを記載します。

ただし、公的な手続きで上申書を提出する場合には、必ずその手続きで指定されている様式や案内を確認してください。

「上申書」という名称が同じでも、特許庁・裁判所・行政機関などによって目的や必要項目は異なります。

会社で上申するときの文章例

社内で正式に事情を伝える文書を作る場合は、必要事項を簡潔に整理することが重要です。

たとえば設備更新についてなら、次のような情報をまとめます。

  • 現在の設備の状況
  • 発生している問題
  • 業務への影響
  • 更新が必要な理由
  • 必要となる費用
  • 更新した場合の効果

単に、

「設備を新しくしてください」

とするより、上位者が判断できる根拠を示すことが重要です。

「上申する」は日常会話では硬い

「上申する」はかなり硬い言葉です。

普通の会社の日常会話で、

「この件を課長に上申しておきます」

と言う企業もありますが、組織によっては非常に古風・形式的に感じられる可能性があります。

日常的な場面なら、

  • 上司に相談する
  • 上司に報告する
  • 上司に提案する
  • 上司に申請する

などのほうが内容を正確に表せる場合があります。

「上申」という言葉を使うときは、組織内で一般的に使われている用語かどうかも確認しましょう。

「答申する」は一般社員の日常業務ではあまり使わない

「答申」は、一般的な会社員同士の日常会話ではそれほど頻繁に使われません。

たとえば上司から、

「来月の売上見込みを教えて」

と聞かれて回答する場合、通常は、

「売上見込みを回答する」

「上司に報告する」

などと表現します。

これを「答申する」とすると、必要以上に硬い印象になります。

「答申」は、審議会・諮問機関など、正式な検討体制の中で意見を示す場合に特に適した言葉です。

「答申」と「上申」の方向を図式化すると?

違いを方向で考えると、さらに分かりやすくなります。

答申の場合

上位機関 → 諮問・問い → 審議会など

上位機関 ← 答申・回答 ← 審議会など

つまり、一度上位側から問いが来て、それに対する答えが戻ります。

上申の場合

下位者 → 意見・事情 → 上位者

基本的には「下から上へ」という方向が中心です。

「答申」と「上申」を具体例で比較

例1:審議会

○「審議会は大臣からの諮問について答申した。」

諮問への回答なので「答申」が自然です。

例2:会社の担当者

○「担当者は制度の問題点を部長に上申した。」

下位者から上位者に意見・事情を述べているため「上申」が合います。

例3:大臣から意見を求められた委員会

○「委員会は検討結果を答申した。」

意見を求められていることが前提なので「答申」です。

例4:現場から本社への改善要望

○「工場長は設備更新の必要性を本社に上申した。」

現場側から上位組織に意見を述べているため「上申」が自然です。

例5:単なる業務結果

○「担当者は調査結果を上司に報告した。」

通常は「答申」「上申」ではなく「報告」のほうが自然です。

「答申を受ける」と「上申を受ける」の違い

どちらの表現も可能ですが、意味は異なります。

「答申を受ける」は、意見を求めていた側が、その回答を受け取ることです。

例:

「政府は審議会の答申を受け、制度改正を検討した。」

一方、「上申を受ける」は、上位者が下位者から意見・事情などを申し述べられることです。

ただし日常的には「上申を受ける」よりも、文脈に応じて「上申書を受理する」「上申を受け付ける」などの表現が使われることもあります。

「答申を提出する」は正しい?

はい。

答申を書面としてまとめ、相手に提出する場合には、

  • 答申を提出する
  • 答申書を提出する
  • 答申を取りまとめる

などと表現できます。

また、

「審議会が大臣に答申した」

という形でも使えます。

「上申を提出する」は正しい?

意味は伝わりますが、文書そのものを提出することを明確にするなら、

「上申書を提出する」

とするほうが分かりやすいでしょう。

行為については、

「上司に上申する」

「本部へ上申する」

などと表現します。

「答申」と「上申」はどちらも決定ではない

重要なポイントとして、「答申」も「上申」も、それ自体が必ず最終決定を意味するわけではありません。

たとえば審議会が答申しても、その内容がそのまま法律や制度として確定するとは限りません。

答申を受けた行政機関などが、その後の政策判断を行います。

上申についても同様です。

担当者が「設備を更新すべきです」と上申しても、それだけで更新が決定するわけではありません。

上位者が内容を確認し、承認・決定などを行う場合があります。

したがって、

  • 答申=決定
  • 上申=承認

ではないことに注意しましょう。

「諮問」「審議」「答申」の違い

行政ニュースでは、この三つの言葉が続けて登場することがあります。

言葉 意味
諮問 専門機関などに意見を求める
審議 内容について詳しく検討・議論する
答申 検討した意見を回答として示す

つまり、

諮問 → 審議 → 答申

という一連の流れです。

この関係をさらに詳しく知りたい場合は、「諮問」と「審議」の違いとは?意味・使い分けと「諮問→審議→答申」の流れを徹底解説も参考になります。

「答申」「上申」「進言」「提言」をまとめて比較

最後に、混同しやすい4語を整理してみましょう。

言葉 中心的な意味 ポイント
答申 求められた意見に答える 問い・諮問が先にある
上申 上位者へ意見・事情を申し述べる 下から上への方向を重視
進言 目上の人に意見を述べる 助言・意見という性格が強い
提言 問題について意見・考えを示す 必ずしも上下関係や問いを必要としない

使い分けで迷ったら、

  • 「誰から誰へ伝えるのか」
  • 「先に問いを受けているのか」
  • 「事情を説明するのか、意見を示すのか」

を確認すると判断しやすくなります。

「答申」と「上申」を一瞬で見分ける覚え方

最後の仕上げとして、漢字そのものから覚えてみましょう。

「答申」の「答」=問いに答える

「答申」には「答える」の「答」が入っています。

したがって、

「問いを受けて答える」→答申

と覚えます。

「上申」の「上」=上へ申し述べる

「上申」には「上」が入っています。

したがって、

「上の立場へ申し述べる」→上申

と覚えます。

この覚え方なら、二つを混同しにくくなります。

よくある質問

Q1. 「答申」の読み方は?

「とうしん」と読みます。

上司の問いに対して意見を述べること、特に行政では諮問機関が諮問された事項について意見を示すことを表します。

Q2. 「上申」の読み方は?

「じょうしん」と読みます。

上司・上級者・上位機関などに意見や事情を申し述べることです。

Q3. 「答申」と「上申」は同じ意味ですか?

同じではありません。

「答申」は問いや諮問を受けて意見を返すこと、「上申」は下位者から上位者へ意見・事情などを申し述べることです。

Q4. 答申には必ず諮問が必要ですか?

行政上の審議会などで使う「答申」は、基本的に諮問を受けた事項について意見を示すものです。

一般的な辞書上の意味でも、上司の問いに対して意見を述べる意味があります。

Q5. 上申には相手からの質問が必要ですか?

必ずしも必要ではありません。

部下や下位の機関などが自ら必要と判断し、上位者へ意見や事情を申し述べることができます。

Q6. 「答申書」と「上申書」の違いは?

答申書は、求められた事項について検討した意見を回答として示す文書です。

上申書は、上位の立場に事情・意見などを申し述べる文書です。

Q7. 会社で上司に提案する場合は「上申」ですか?

正式に上位者へ意見を申し述べる場合には「上申」と表現できることがあります。

ただし、会社によって「提案」「稟議」「申請」「報告」などの言葉を使う場合もあるため、社内用語に従うのが適切です。

Q8. 審議会が政府に意見を出す場合は必ず「答申」ですか?

必ずとは限りません。

正式な諮問への回答なら「答申」が使われますが、自主的な提言や報告として意見をまとめる場合もあります。

文書の位置付けや手続きを確認することが重要です。

Q9. 「答申」は最終決定ですか?

答申そのものが、必ず最終決定を意味するわけではありません。

答申を受けた行政機関などが、その内容を参考に政策や制度について判断する場合があります。

Q10. 「上申」したら必ず承認されますか?

いいえ。

上申は上位者へ意見・事情を申し述べる行為であり、その内容が承認・採用されるかどうかは別の問題です。

Q11. 「答申」と「回答」はどう違いますか?

「回答」は質問・問い合わせなどに答えることを幅広く表します。

「答申」はより限定的で、上司からの問い、特に行政分野では諮問に対する意見を示す場合によく使われます。

Q12. 「上申」と「報告」はどう違いますか?

報告は事実・経過・結果などを知らせることです。

上申は上位者に意見や事情などを申し述べることです。

単に業務結果を知らせるだけなら「報告」のほうが自然です。

まとめ

「答申」と「上申」は、どちらも比較的硬い言葉で、上位の立場に意見などを伝える場面で使われます。

しかし、意味の中心は異なります。

言葉 意味 覚え方
答申 問い・諮問を受け、それに答えて意見を述べる 「答」=問いに答える
上申 上司・上級機関などへ意見や事情を申し述べる 「上」=上へ申し述べる

具体的には、

  • 審議会が大臣から諮問を受けて意見を示す → 答申
  • 担当者が上司へ事情や意見を申し述べる → 上申

と考えると分かりやすいでしょう。

特に「答申」では、

諮問 → 審議 → 答申

という流れを覚えておくことが重要です。

一方、「上申」は、相手から事前に質問を受けていなくても行うことができます。

下位の立場から上位の立場へ意見・事情などを申し述べること自体に重点があります。

迷ったときは、

「相手から先に意見を求められているのか」

を確認してみてください。

意見を求められ、その回答として示すのであれば「答申」。

自分側から上位者へ事情や意見を申し述べるのであれば「上申」です。

この違いを押さえておけば、行政ニュース・審議会資料・会社文書などで二つの言葉が出てきても、意味を正確に理解しやすくなるでしょう。

参考資料

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