「今後の計画を策定する」
「今後の目標を設定する」
「方針を策定する」と「方針を設定する」は、どちらが正しいのでしょうか。
「策定」と「設定」は、ともに何かを「決める」「定める」という意味を持っているため、ビジネス文書や行政文書では特に迷いやすい言葉です。
たとえば、
- 計画は「策定」するのか「設定」するのか
- 目標は「策定」ではなく「設定」なのか
- 方針はどちらを使えばよいのか
- 数値目標や条件はどちらなのか
- 「制定」「立案」「決定」とは何が違うのか
と疑問に感じることもあるでしょう。
結論からいうと、「策定」は政策・計画・方針などについて内容を考え、全体を組み立てたうえで決めること、「設定」は数値・条件・日時・目標など、ある物事や条件を具体的に定めることを意味します。
簡単に整理すると、
- 策定=計画や方針を考えて作り上げる
- 設定=条件や数値、目標などを具体的に定める
と考えるとわかりやすくなります。
たとえば、「新しい事業計画を策定する」は自然ですが、「売上目標を年間1億円に策定する」とは通常いいません。
後者は「売上目標を年間1億円に設定する」と表現するのが自然です。
この記事では、「策定」と「設定」の違いを基本から整理し、計画・目標・方針・予算・数値・スケジュール・システムなど、具体的な場面ごとの使い分けを詳しく解説します。
- 結論:「策定」と「設定」の違い
- 「策定」と「設定」の違いを比較表で整理
- 「策定」とは?意味をわかりやすく解説
- 「策定」の「策」にはどんな意味がある?
- 「設定」とは?意味をわかりやすく解説
- 計画は「策定」と「設定」のどちら?
- 目標は「策定」と「設定」のどちら?
- 方針は「策定」と「設定」のどちら?
- 数値は「策定」と「設定」のどちら?
- 予算は「策定」と「設定」のどちら?
- スケジュールは「策定」と「設定」のどちら?
- 「計画を策定し、目標を設定する」は自然?
- 「策定」と「制定」の違い
- 「策定」と「立案」の違い
- 「策定」と「決定」の違い
- 「設定」と「決定」の違い
- 「設定」と「設置」の違い
- 「策定」「設定」「制定」「立案」「決定」の違い一覧
- ビジネスで「策定」がよく使われる場面
- ビジネスで「設定」がよく使われる場面
- 行政では「策定」がよく使われる
- 品質管理では「策定」と「設定」をどう使う?
- IT・パソコンでは基本的に「設定」
- 小説・映画では「設定」を使う
- 「目標を策定する」は間違い?
- 「方針を設定する」は間違い?
- 「策定する」と「作成する」の違い
- 「計画策定」と「計画作成」はどう違う?
- 実践:「策定」と「設定」を迷わず使い分ける4つのポイント
- 例文で確認:「策定」と「設定」の使い分け
- 「策定」と「設定」を同じ文章で使う例
- FAQ:「策定」と「設定」に関するよくある質問
- Q1.「策定」と「設定」は同じ意味ですか?
- Q2.計画は「策定」と「設定」のどちらですか?
- Q3.目標は「策定」と「設定」のどちらですか?
- Q4.方針は「策定」と「設定」のどちらですか?
- Q5.数値目標はどちらですか?
- Q6.予算はどちらですか?
- Q7.「目標を策定する」は間違いですか?
- Q8.「計画を設定する」は間違いですか?
- Q9.「策定」と「制定」の違いは何ですか?
- Q10.「策定」と「立案」の違いは何ですか?
- Q11.パスワードは「策定」と「設定」のどちらですか?
- Q12.スケジュールはどちらですか?
- Q13.「策定済み」と「設定済み」はどう違いますか?
- Q14.「策定する」を簡単な言葉に言い換えるなら?
- Q15.「設定する」を言い換えるなら?
- 参考リンク
- まとめ
結論:「策定」と「設定」の違い
まず、「策定」と「設定」の違いを簡単に整理しましょう。
策定とは、政策・計画・方針などについて、必要な内容を考えながら形にして決めることです。
設定とは、条件・数値・時間・場所・目標などを設けて決めることです。
両者の最大の違いは、「内容を考えて全体を作り上げること」に重点があるのか、「具体的な条件・値などを決めること」に重点があるのかという点です。
たとえば、会社が新しい3か年経営計画を作るとします。
事業環境を分析し、重点施策や投資方針、人員計画などを検討して全体の計画を作ることは、
「3か年経営計画を策定する」
と表現できます。
その計画の中で、
「3年後の売上目標を10億円に設定する」
のであれば、「設定」が自然です。
つまり、同じ計画づくりの中でも、
計画全体を作る=策定
具体的な目標値を決める=設定
という形で両方の言葉を使うことがあります。
「策定」と「設定」の違いを比較表で整理
| 比較項目 | 策定 | 設定 |
|---|---|---|
| 読み方 | さくてい | せってい |
| 基本的な意味 | 計画などを考えて決める | 条件・数値などを設けて定める |
| 重点 | 内容を検討し、全体を作る | 具体的な条件・値を決める |
| よく使う対象 | 計画、政策、方針、戦略 | 目標、条件、日時、価格、数値 |
| 計画 | ◎ | △ 文脈による |
| 目標 | △ | ◎ |
| 数値 | △ | ◎ |
| 政策 | ◎ | △ |
| パソコン・機器 | × | ◎ |
| 小説・映画の世界観 | × | ◎ |
迷った場合は、「計画を作っているのか」「具体的な条件を決めているのか」を考えると使い分けやすくなります。
「策定」とは?意味をわかりやすく解説
「策定(さくてい)」とは、政策や計画などについて、さまざまなことを考えながら内容を決めることを意味します。
単純に一つの項目を決定するというより、複数の要素を検討し、一定のまとまりを持つ計画や方針として作り上げるというニュアンスがあります。
そのため、「策定」は次のような言葉とよく組み合わせて使われます。
- 計画を策定する
- 方針を策定する
- 政策を策定する
- 戦略を策定する
- 基本計画を策定する
- 行動計画を策定する
- 経営計画を策定する
- 事業計画を策定する
共通しているのは、単純な数字や条件ではなく、複数の事項を含む計画的な内容だということです。
「策定」の例文
- 来年度の事業計画を策定する。
- 会社の中期経営計画を策定した。
- 自治体が新しい防災計画を策定する。
- 今後5年間の基本方針を策定した。
- 業務効率化に向けた改善計画を策定する。
- 政府が新しい政策を策定した。
これらはいずれも、内容を検討し、計画や方針としてまとめています。
「策定」の「策」にはどんな意味がある?
「策定」の「策」には、計画・方法・はかりごとといった意味があります。
そのため、「策定」は単に「決める」というよりも、どうすれば目的を達成できるかを考え、そのための計画をまとめて決定するという意味になりやすい言葉です。
たとえば、企業が売上を伸ばすために、
- 新商品を発売する
- 広告費を増やす
- 販売地域を広げる
- EC販売を強化する
- 営業担当者を増員する
といった複数の施策を検討して一つの計画にまとめれば、「販売戦略を策定する」と表現できます。
単に売上目標を「1億円」と決めただけでは、通常「戦略を策定した」とはいえません。
「設定」とは?意味をわかりやすく解説
「設定(せってい)」とは、ある物事・条件・基準などを作り、具体的に定めることです。
非常に使用範囲の広い言葉で、ビジネスだけでなく、日常生活・IT・機械・法律・小説・映画などさまざまな場面で使われます。
たとえば、
- 目標を設定する
- 期限を設定する
- 予算を設定する
- 条件を設定する
- 温度を設定する
- パスワードを設定する
- 会議日時を設定する
- 小説の舞台を設定する
などです。
「策定」と違い、必ずしも計画的な内容を作り上げる必要はありません。
単に、
「エアコンの温度を25度に設定する」
というだけでも「設定」が成立します。
「設定」の例文
- 今年度の売上目標を1億円に設定した。
- 提出期限を10月31日に設定する。
- 予算の上限を50万円に設定した。
- パソコンのパスワードを設定する。
- エアコンの温度を26度に設定した。
- 会議時間を午後2時から1時間に設定する。
- 物語の舞台を明治時代に設定する。
このように、「設定」は「この条件にする」「この値にする」「この状態にする」と具体的に決める場面で広く使えます。
計画は「策定」と「設定」のどちら?
計画については、一般的には「策定」が自然です。
たとえば、
○ 事業計画を策定する。
○ 防災計画を策定する。
○ 経営計画を策定する。
などです。
計画とは、目的を達成するために何をいつどのように行うかなど、複数の内容を検討してまとめるものだからです。
「計画を設定する」という表現が常に間違いというわけではありませんが、正式な事業計画・行政計画などを作る意味では「策定」のほうが適しています。
目標は「策定」と「設定」のどちら?
目標については、基本的に「設定」を使います。
たとえば、
○ 売上目標を設定する。
○ 品質目標を設定する。
○ 個人目標を設定する。
○ 数値目標を設定する。
といった表現です。
「目標を策定する」と表現して意味がまったく通じないわけではありませんが、一般的には「目標を設定する」のほうが自然です。
目標は、計画全体というより、達成したい状態や数値を具体的に定めるものだからです。
なお、「目的」と「目標」は混同しやすい言葉です。詳しくは、「目的」と「目標」の違いは?意味・使い分けを例文でわかりやすく解説も参考にしてください。
方針は「策定」と「設定」のどちら?
「方針」については、一般的に「策定」が使いやすい言葉です。
「会社の基本方針を策定する」
「今後の事業方針を策定する」
などと表現します。
方針とは、物事を進めるうえでの基本的な方向性です。
その方向性を複数の事情を考慮しながら決めるので、「策定」と相性がよくなります。
一方、「方針を設定する」と表現することも文脈によっては可能ですが、行政・企業などの正式な文章では「策定」「決定」「定める」などが使われることが多いでしょう。
数値は「策定」と「設定」のどちら?
数値については「設定」が基本です。
たとえば、
- 基準値を設定する
- 上限値を設定する
- 温度を設定する
- 価格を設定する
- 目標値を設定する
などです。
「温度を25度に策定する」
とは通常いいません。
「策定」は計画・政策などを考えてまとめる意味であり、一つの数値を指定する言葉ではないからです。
予算は「策定」と「設定」のどちら?
予算については、何を意味するかによって表現が変わります。
たとえば、プロジェクト全体について収入・支出・項目別配分などを検討し、予算案としてまとめる場合は、
「予算案を策定する」
と表現できます。
一方、
「広告費の上限を100万円に設定する」
という場合は「設定」です。
つまり、
- 予算全体を作る=策定
- 特定の金額を決める=設定
と考えることができます。
スケジュールは「策定」と「設定」のどちら?
スケジュールについても、意味によって使い分けられます。
プロジェクト全体の日程や工程を検討してまとめる場合は、
「実施スケジュールを策定する」
と表現することができます。
一方、個別の日時を決める場合は、
「会議日時を10月10日午後2時に設定する」
が自然です。
ここでも、
全体の計画=策定
個別の条件=設定
という違いが表れています。
「計画を策定し、目標を設定する」は自然?
非常に自然な表現です。
むしろ、「策定」と「設定」の違いを理解するうえで代表的な文章といえます。
たとえば、
「会社は新たな中期経営計画を策定し、3年間の売上目標を設定した。」
という文章があります。
この場合、
- 経営計画全体を考えて作った=策定
- 売上をいくらにするか具体的に決めた=設定
という違いがあります。
「策定」と「制定」の違い
「策定」と非常に混同されやすい言葉が「制定」です。
「制定」は、法律・規則・制度などを新しく定めることを意味します。
たとえば、
- 法律を制定する
- 条例を制定する
- 社内規程を制定する
- ルールを制定する
などです。
一方、「策定」は計画や方針を作るときに使われます。
そのため、
法律を制定する
法律に基づく基本計画を策定する
という使い分けが可能です。
「制定」と「策定」の違いについては、「制定」と「策定」の違いは?意味・使い分けを法律・規則・計画の例文で解説で詳しく解説しています。
「策定」と「立案」の違い
「立案」は、計画・案などを考えて作ることです。
「策定」と意味がよく似ていますが、重点が少し異なります。
「立案」は、案を作る段階を表すことがあります。
一方、「策定」は検討した計画や方針を一定の形として定めるところまで含む場合があります。
たとえば、
「担当部署が新しい事業計画を立案する。」
その案について関係部署が検討し、正式な計画としてまとめれば、
「新しい事業計画を策定する。」
と表現することができます。
ただし、実際には両者の使用範囲が重なることもあります。
「企画」と「立案」の違いについては、「企画」と「立案」の違いとは?意味・使い分けを仕事・事業・イベント・行政の例文で徹底解説も参考になります。
「策定」と「決定」の違い
「決定」は、物事をはっきりと決めることを広く表す言葉です。
「策定」より意味の範囲が広く、さまざまな対象に使えます。
たとえば、
- 開催日を決定する
- 担当者を決定する
- 価格を決定する
- 計画を決定する
などです。
「策定」は計画や方針などを考えて作る過程を含みます。
「決定」は、その内容が最終的に確定することに重点があります。
そのため、
「担当部署が計画案を策定し、取締役会が最終的に内容を決定した。」
という文章も成立します。
「設定」と「決定」の違い
「設定」と「決定」にも違いがあります。
「決定」は「これにする」と最終的に決める行為全般に使えます。
一方、「設定」は何らかの条件・基準・値・状態などを新しく設ける意味が強くなります。
たとえば、
「会議の日程を決定した。」
でも、
「会議の日程を10月10日に設定した。」
でも自然です。
ただし、「設定」には具体的な条件を置いたという印象があります。
「設定」と「設置」の違い
「設定」と「設置」は読み方も似ていますが、意味は大きく異なります。
設定は、条件・数値・状態などを定めることです。
設置は、設備・施設・機械などを新しく設けたり、物を備え付けたりすることです。
たとえば、
「エアコンの温度を25度に設定する。」
は温度という条件を定めています。
「会議室にエアコンを設置する。」
は機械そのものを備え付けています。
「設定」と「設置」を混同しないよう注意しましょう。
「策定」「設定」「制定」「立案」「決定」の違い一覧
| 言葉 | 中心的な意味 | よく使う対象 | 代表例 |
|---|---|---|---|
| 策定 | 内容を考えて計画・方針を決める | 計画、政策、方針、戦略 | 経営計画を策定する |
| 設定 | 条件・数値・状態などを定める | 目標、温度、日時、条件、価格 | 目標を設定する |
| 制定 | 法律・規則などを新しく定める | 法律、条例、規則、制度 | 条例を制定する |
| 立案 | 計画や案を考えて作る | 企画、計画、政策案 | 事業計画を立案する |
| 決定 | 物事を最終的に決める | ほぼあらゆる事項 | 開催日を決定する |
ビジネスで「策定」がよく使われる場面
ビジネスでは「策定」という言葉が頻繁に使われます。
特に、経営や組織運営に関する文書との相性がよい言葉です。
経営計画
「2027年度からの中期経営計画を策定する。」
売上・利益だけでなく、人材、設備投資、事業戦略など複数の内容を検討するため「策定」が適しています。
事業計画
「新規事業の事業計画を策定した。」
事業内容・市場・収益・人員・スケジュールなどをまとめるので「策定」が自然です。
BCP・防災計画
「災害に備えて事業継続計画を策定する。」
緊急時の対応を体系的にまとめる場合にも「策定」が使われます。
改善計画
「不適合の再発を防止するため、改善計画を策定した。」
単に改善目標を決めるだけでなく、実施内容や期限、担当者などを含めて計画を作る場合に適しています。
ビジネスで「設定」がよく使われる場面
一方、「設定」は、より具体的な値や条件を決めるときに頻繁に使われます。
売上目標
「今年度の売上目標を前年比110%に設定した。」
KPI
「問い合わせ件数を月100件というKPIに設定する。」
納期
「最終納期を11月30日に設定した。」
予算上限
「設備投資の上限を500万円に設定する。」
品質基準
「合格基準を95点以上に設定した。」
いずれも、具体的な数値・条件を定めています。
行政では「策定」がよく使われる
行政文書では「策定」が非常によく登場します。
たとえば、
- 基本計画を策定する
- 地域防災計画を策定する
- 都市計画を策定する
- 推進計画を策定する
- 基本方針を策定する
などです。
これは、行政の計画が多数の施策・目標・期間・役割などから構成されるためです。
一方、その計画の中で、
「2030年度までに達成率80%という目標値を設定する」
といった形で「設定」も使われます。
品質管理では「策定」と「設定」をどう使う?
製造業や品質管理でも両方の言葉が使われます。
たとえば、工場で品質改善を進める場合、
「品質改善計画を策定する。」
と表現できます。
改善内容、担当者、期限、確認方法などを計画としてまとめるからです。
一方、
「製品の管理基準値を設定する。」
「不良率の目標を0.5%以下に設定する。」
などは具体的な数値を決めているので「設定」です。
つまり、品質管理でも、
改善の進め方=策定
基準値・目標値=設定
と考えると区別しやすくなります。
IT・パソコンでは基本的に「設定」
ITやパソコンでは「設定」という言葉が非常によく使われます。
- Wi-Fiを設定する
- パスワードを設定する
- IPアドレスを設定する
- 画面の明るさを設定する
- 通知を設定する
- バックアップを設定する
これらを「策定する」とはいえません。
「策定」は計画や方針を作る言葉だからです。
たとえば、会社全体の情報セキュリティ対策についてなら、
「情報セキュリティ基本計画を策定する」
と表現できます。
その計画に基づいて各パソコンのパスワード要件を決めるなら、
「パスワードの最低文字数を12文字に設定する」
と表現します。
小説・映画では「設定」を使う
「設定」は小説・漫画・映画・ゲームなどでもよく使われます。
たとえば、
- 時代設定
- 舞台設定
- 人物設定
- 世界観の設定
- キャラクター設定
などです。
「物語の舞台を江戸時代に設定する。」
という表現は自然です。
この場合も、一定の条件や前提を決めているため「設定」が使われます。
「物語の舞台を江戸時代に策定する」とはいわないので注意しましょう。
「目標を策定する」は間違い?
「目標を策定する」という表現を見かけることがあります。
意味がまったく通じないわけではありません。
特に、多数の目標を体系的に整理し、全体としてまとめ上げる文脈なら、「目標を策定する」と表現される場合もあります。
しかし、一つの具体的な目標値を決める場合には、通常、
「目標を設定する」
のほうが自然です。
たとえば、
「売上目標を1億円に設定する」
とします。
「1億円に策定する」とは通常いいません。
「方針を設定する」は間違い?
こちらも必ず間違いというわけではありません。
「設定」には、条件や物事を新たに定めるという広い意味があります。
そのため、文脈によって「方針を設定する」と表現することは可能です。
ただし、経営方針・行政方針など、複数の事情を検討して正式な方向性をまとめる場合には、
「方針を策定する」
のほうが自然な場合が多いでしょう。
「策定する」と「作成する」の違い
「作成」は、書類・文章・データなどを実際に作ることです。
そのため、計画についても、
「事業計画書を作成する」
と表現できます。
一方、「策定」は計画そのものの内容を考えて決めることです。
たとえば、
「経営会議で事業計画を策定し、担当者が計画書を作成した。」
という文章が成立します。
この場合、
- 計画内容を決める=策定
- 文書にする=作成
という違いがあります。
「計画策定」と「計画作成」はどう違う?
「計画策定」は、計画の内容そのものを検討して決めることです。
「計画作成」は、計画書という文書を作る意味でも使えます。
実務では両者が同じように使われる場合もありますが、厳密に分けるなら、
計画の中身を決める=策定
その内容を資料としてまとめる=作成
と整理できます。
実践:「策定」と「設定」を迷わず使い分ける4つのポイント
1.計画・政策ならまず「策定」を考える
対象が、
- 計画
- 政策
- 戦略
- 基本方針
などであれば、「策定」が自然かどうかを考えます。
複数の内容を検討し、一つのまとまりとして作るものだからです。
2.数値・条件なら「設定」を考える
対象が、
- 数値
- 温度
- 日時
- 期限
- 価格
- 目標値
- 基準値
などであれば、「設定」が自然です。
3.「全体」か「一項目」かを見る
同じプロジェクトの中でも、計画全体は「策定」、具体的な条件は「設定」と使い分けることができます。
たとえば、
「新製品の販売計画を策定し、発売日を10月1日に設定する。」
という文章です。
4.迷ったら「考えて作る」か「値を決める」かを見る
非常に簡単に覚えるなら、
- 考えて作る → 策定
- 具体的に決める → 設定
と考えると、多くの場面で判断できます。
例文で確認:「策定」と「設定」の使い分け
会社
策定:来年度の事業計画を策定する。
設定:来年度の売上目標を5億円に設定する。
行政
策定:自治体が地域防災計画を策定する。
設定:避難所までの目標到達時間を30分以内に設定する。
品質管理
策定:品質改善計画を策定する。
設定:不良率の目標を0.5%以下に設定する。
IT
策定:情報セキュリティ計画を策定する。
設定:パスワードの有効期限を90日に設定する。
プロジェクト
策定:プロジェクトの実施計画を策定する。
設定:最終納期を12月20日に設定する。
営業
策定:新規顧客獲得の営業戦略を策定する。
設定:月間訪問件数を50件に設定する。
「策定」と「設定」を同じ文章で使う例
両者の違いは、一つの文章で使うとさらにわかりやすくなります。
「会社は新たな経営計画を策定し、売上目標を前年比120%に設定した。」
「自治体は防災計画を策定し、避難所の開設基準を設定した。」
「プロジェクトチームは実施計画を策定し、各工程の期限を設定した。」
「工場では品質改善計画を策定し、不良率の目標値を0.3%に設定した。」
これらを見ると、
策定=全体の計画
設定=計画の中にある具体的条件
という違いがはっきりします。
FAQ:「策定」と「設定」に関するよくある質問
Q1.「策定」と「設定」は同じ意味ですか?
同じではありません。
「策定」は政策・計画・方針などを考えて作り決めること、「設定」は条件・数値・日時などを具体的に定めることです。
Q2.計画は「策定」と「設定」のどちらですか?
一般的には「策定」が自然です。
「事業計画を策定する」「防災計画を策定する」などと表現します。
Q3.目標は「策定」と「設定」のどちらですか?
通常は「設定」です。
「売上目標を設定する」「目標値を設定する」などと表現します。
Q4.方針は「策定」と「設定」のどちらですか?
会社・行政などの基本方針を複数の事情を検討しながらまとめる場合は、「策定」が使いやすいでしょう。
ただし、「設定」が必ず誤りというわけではなく、文脈によって使われる場合もあります。
Q5.数値目標はどちらですか?
「設定」です。
「売上目標を1億円に設定する」「合格率の目標を95%に設定する」などと使います。
Q6.予算はどちらですか?
予算全体の案を組み立てるなら「予算案を策定する」と表現できます。
特定項目の予算上限を決めるなら「上限を100万円に設定する」が自然です。
Q7.「目標を策定する」は間違いですか?
必ず間違いとはいえませんが、個別の目標や数値目標を決める場合は「目標を設定する」のほうが一般的です。
Q8.「計画を設定する」は間違いですか?
意味が通じる場合もありますが、正式な事業計画・行政計画などについては「計画を策定する」のほうが自然です。
Q9.「策定」と「制定」の違いは何ですか?
「策定」は計画・方針などを作って決めることです。
「制定」は法律・条例・規則などを新しく定めることです。
Q10.「策定」と「立案」の違いは何ですか?
「立案」は案を考えて作ることに重点があります。
「策定」は計画や方針について検討し、一定の内容として定める意味が強くなります。
Q11.パスワードは「策定」と「設定」のどちらですか?
「設定」です。
「パスワードを設定する」といいます。
パスワードの運用方針そのものを会社で作る場合なら、「パスワード管理方針を策定する」と表現できます。
Q12.スケジュールはどちらですか?
全体の実施日程を計画として作る場合は「策定」と表現でき、個別の日付・時間を決める場合は「設定」が自然です。
Q13.「策定済み」と「設定済み」はどう違いますか?
「策定済み」は、計画・方針などがすでに作られ、内容が決まっている状態です。
「設定済み」は、条件・数値・機器などについて必要な設定がすでに行われている状態です。
たとえば、
「BCPは策定済みです。」
「パソコンのネットワークは設定済みです。」
と使い分けます。
Q14.「策定する」を簡単な言葉に言い換えるなら?
文脈によって、「計画を作る」「計画を決める」「方針を決める」「計画をまとめる」などと言い換えられます。
「策定」はビジネス・行政でよく使われるやや硬い表現なので、一般向けの文章では「作る」「決める」に置き換えると読みやすくなることがあります。
Q15.「設定する」を言い換えるなら?
文脈によって、「定める」「決める」「指定する」「設ける」などと言い換えられます。
たとえば、
「締切日を設定する」
は、
「締切日を決める」
と言い換えられます。
参考リンク
「策定」「設定」などの辞書上の意味を確認したい場合は、以下の外部資料も参考になります。
-
コトバンク「策定」
策定(サクテイ)とは? 意味や使い方 - コトバンクデジタル大辞泉 - 策定の用語解説 - [名](スル)政策や計画をいろいろ考えて決めること。「都市計画を策定する」 -
コトバンク「設定」
設定(セッテイ)とは? 意味や使い方 - コトバンクデジタル大辞泉 - 設定の用語解説 - [名](スル)1 ある物事や条件をつくり定めること。「討論の場を設定する」「舞台を江戸時代に設定する」2 法律で、新たに権利を発生させること。「抵当権を設定する」仮定・想定・仮説 -
コトバンク「設置」
設置(セッチ)とは? 意味や使い方 - コトバンクデジタル大辞泉 - 設置の用語解説 - [名](スル)1 施設や機関などを設けること。「災害対策本部を設置する」2 機械などを備えつけること。「消火器を設置する」設立・設営・常設・併設・私設・備える・備え付ける・しつらえる・設ける・設備・装...
まとめ
「策定」と「設定」は、どちらも何かを決める場面で使われますが、対象と意味の重点が異なります。
- 策定:政策・計画・方針・戦略などを考え、内容をまとめて決める
- 設定:目標・条件・日時・数値・価格・状態などを具体的に定める
- 制定:法律・条例・規則などを新しく定める
- 立案:計画や案を考えて作る
- 決定:物事を最終的に決める
最も簡単に覚えるなら、「全体の計画を考えて作るなら策定、具体的な条件や数値を決めるなら設定」と考えるとよいでしょう。
たとえば、会社が今後3年間の事業内容をまとめるなら、「中期経営計画を策定する」と表現します。
その計画の中で3年後の売上を10億円にすると決めるなら、「売上目標を10億円に設定する」と表現します。
「策定」と「設定」はどちらか一方だけを使う言葉ではなく、一つの計画やプロジェクトの中で両方使われることも少なくありません。
計画を策定し、その計画を実現するための目標・期限・数値などを設定する。
この関係を覚えておけば、ビジネス文書や行政文書でも迷いにくくなります。
