「定年退職後に再雇用された」「退職して別の会社に再就職した」など、「再雇用」と「再就職」は、一度仕事を離れた人が再び働く場面でよく使われる言葉です。
どちらも新たに働き始めることを表していますが、同じ意味ではありません。特に、定年後も働き続けたい場合には、二つの言葉を正しく理解することが大切です。
結論からいうと、「再雇用」は以前雇っていた人を再び雇うこと、「再就職」は一度仕事を辞めた人が再び職に就くことです。
例えば、60歳で定年退職した人が、それまで勤務していた会社と新たな雇用契約を結んで働く場合は、「再雇用」が自然です。一方、退職後、別の会社に就職した場合は、「再就職」と表現できます。
ただし、再雇用と再就職は、必ずしも対立する言葉ではありません。一度退職した人が以前の会社に再雇用されることも、広い意味では再び職に就くことに当たります。
この記事では、両者の意味を比較表で整理し、定年後の再雇用制度、継続雇用制度との違い、給与・社会保険の扱い、再就職手当との関係まで解説します。さらに、「勤務延長」「再入社」「復職」との違いや、具体的な例文も紹介します。
- 「再雇用」と「再就職」の違い【結論】
- 【徹底比較】「再雇用」と「再就職」の違いを比較表で整理
- 「再雇用」とは?意味と正しい使い方
- 「再就職」とは?意味と正しい使い方
- 「再雇用」と「再就職」の3つの違い
- 【実践】定年後の再雇用制度とは?
- 「再雇用制度」と「勤務延長制度」の違い
- 再雇用後の給与は必ず下がる?
- 再雇用・再就職した後の社会保険はどうなる?
- 再就職手当は、再雇用でも受け取れる?
- 【実践】場面別に「再雇用」と「再就職」を使い分ける
- 再雇用・再就職を考える際の5つの確認ポイント
- 「再雇用」「再就職」と似た言葉の違い
- 「再雇用」と「再就職」の3秒判定
- よくある間違いと注意点
- 「再雇用」と「再就職」の例文12選
- FAQ|「再雇用」と「再就職」のよくある質問
- まとめ|再雇用は以前の従業員を再び雇うこと、再就職は再び職に就くこと
- 参考資料・出典
「再雇用」と「再就職」の違い【結論】
「再雇用」と「再就職」の違いは、以前の雇用関係に着目するか、再び職に就くこと全体に着目するかという点にあります。
- 再雇用:以前雇用していた従業員や退職者などを、再び雇用すること。
- 再就職:一度仕事を辞めた人が、再び職に就くこと。
例えば、定年を迎えた従業員がいったん退職し、同じ会社で新しい雇用契約を結んで働く場合は、再雇用です。
一方、定年退職した人が、これまで勤務していた会社とは異なる会社に就職する場合は、再就職です。
ここで注意したいのは、「再雇用は必ず定年退職者に限られる」というわけではないことです。以前の従業員を再び採用する場合にも、再雇用という言葉を使用できます。
ただし、企業の人事制度で「再雇用制度」と表現する場合は、定年退職者をいったん退職させた後、改めて雇用する制度を指すことが一般的です。
【徹底比較】「再雇用」と「再就職」の違いを比較表で整理
| 比較項目 | 再雇用 | 再就職 |
|---|---|---|
| 読み方 | さいこよう | さいしゅうしょく |
| 基本的な意味 | 以前雇っていた人を再び雇用すること | 仕事を辞めた後、もう一度職に就くこと |
| 着目する点 | 雇用する側と以前の従業員との関係 | 職を離れた人が再び働き始めること |
| 典型的な例 | 定年退職後に同じ会社で働く | 退職後に別の会社へ就職する |
| 以前の会社との関係 | 以前の従業員を再び雇うことが中心 | 同じ会社の場合も、別の会社の場合もあり得る |
| 年齢の条件 | 一般的な言葉としては年齢の限定はない | 年齢の限定はない |
| 関連する制度 | 定年後再雇用制度、継続雇用制度など | 再就職支援、雇用保険の再就職手当など |
| 新しい労働契約 | いったん退職して新たな契約を結ぶ制度では必要 | 就職先との間で新たな契約を結ぶのが一般的 |
| 給与や勤務条件 | 再雇用時の契約内容などによる | 再就職先との契約内容などによる |
| 意味の関係 | 再雇用された人が、広い意味では再就職したと表現できる場合もある | |
再雇用と再就職は、法律上のすべての手続きを二つに分類するための言葉ではありません。
特に定年後の再雇用制度については、高年齢者雇用安定法や企業の就業規則などに従って、具体的な制度内容を確認する必要があります。
「再雇用」とは?意味と正しい使い方
再雇用は、以前雇っていた人を再び雇用すること
「再雇用」とは、退職した人や、いったん雇用関係が終了した人を再び雇うことです。
例えば、以前勤務していた従業員が家庭の事情で退職し、数年後に同じ会社へ戻って働く場合、「元従業員を再雇用した」と表現できます。
また、定年退職した従業員を、引き続き同じ会社で雇用する場合にも使われます。
このように、再雇用という言葉では、会社と従業員の間に以前の雇用関係があったことが重要です。
定年後再雇用制度では、いったん退職してから新たに契約する
企業の「再雇用制度」は、一般的に、定年に達した従業員をいったん退職させた後、改めて雇用する制度です。
例えば、60歳の定年を迎えた従業員について、退職後に新たな雇用契約を結び、引き続き65歳まで働ける制度を設ける場合があります。
ただし、再雇用後の雇用形態や契約期間、給与、勤務時間などは、会社の制度や個別の労働契約によって異なります。
再雇用という言葉だけで、給与が下がることや、必ず有期労働契約になることが決まるわけではありません。
定年後だけでなく、退職者を再び採用する場合にも使える
再雇用という言葉は、定年退職した人だけを対象とするものではありません。
例えば、育児や介護などの事情で退職した元従業員が、事情の変化によって以前の会社で再び働き始める場合にも使用できます。
企業によっては、このような採用制度を「カムバック採用」「アルムナイ採用」などと呼ぶことがあります。
ただし、制度の名称や応募条件、以前の勤続年数の扱いなどは企業によって異なります。
「再雇用」の例文
- 定年退職後、同じ会社で再雇用された。
- 会社は、希望者を対象とする再雇用制度を設けている。
- 再雇用後の給与と勤務時間について説明を受けた。
- 家庭の事情で退職した元従業員を再雇用した。
- 再雇用に当たり、新たな労働条件通知書が交付された。
「再就職」とは?意味と正しい使い方
再就職は、一度職を離れた人が再び就職すること
「再就職」は、一度仕事を辞めた人が、再び職に就くことを意味します。
例えば、会社を退職して転職活動を行い、別の会社に採用された場合は、「再就職した」と表現できます。
また、定年退職後に、新しい勤務先を探して働き始める場合も再就職です。
再就職という言葉では、以前の会社に戻るかどうかよりも、職を離れていた人が新たに仕事に就いたことに重点があります。
再就職に年齢の制限はない
再就職という言葉は、定年退職後の高齢者だけを指すものではありません。
例えば、30代で以前の会社を退職し、しばらく求職活動を行った後、新しい会社で働き始める場合も再就職と表現できます。
また、育児や介護などのために離職していた人が、再び就職する場合にも使用できます。
再就職では、別の会社に就職する場合が多い
日常的な使用では、再就職は、退職後に別の会社で働き始める場面でよく使われます。
例えば、製造業の会社を退職した人が、経験を生かして別の製造業の会社に入社する場合です。
ただし、再就職という言葉自体は、以前と同じ会社で働き始める可能性を排除するものではありません。
元の会社に戻ったことを明確に伝えたい場合は、「再雇用された」「再入社した」などと表現すると、状況が伝わりやすくなります。
「再就職」の例文
- 退職後、経験を生かして別の会社に再就職した。
- 定年退職後の再就職先を探している。
- 育児のために離職していたが、今年から再就職した。
- ハローワークで再就職に向けた相談を行った。
- 再就職先の労働条件を確認したうえで、入社を決めた。
「再雇用」と「再就職」の3つの違い
違い1:以前の雇用関係に着目するか
再雇用は、以前雇っていた人を再び雇うことに重点があります。
一方、再就職は、一度職を離れた人が再び就職することに重点があります。
例えば、定年退職後に同じ会社で働き続ける場合は「再雇用」、別の会社へ就職する場合は「再就職」と表現すると、違いが明確です。
違い2:企業の制度名として使われるか
再雇用は、「定年後再雇用制度」のように、会社が定める雇用制度の名称として使われます。
一方、再就職は、特定の会社の制度というよりも、一度職を離れた人が新たに仕事に就くことを幅広く表します。
例えば、「再就職支援」という表現は、職業相談や求人紹介など、次の仕事を見つけるための支援についても使われます。
違い3:再雇用も広い意味では再就職に含まれる場合がある
再雇用と再就職は、完全に対立する言葉ではありません。
例えば、以前の会社をいったん退職した後、再び同じ会社と雇用契約を結ぶ場合、会社の立場からは再雇用であり、本人の立場からは広い意味で再就職と表現できる場合があります。
ただし、以前の会社との関係や、定年後の制度を説明する場合は、再雇用という言葉のほうが具体的です。
【実践】定年後の再雇用制度とは?
65歳までの雇用確保措置は企業の義務
高年齢者雇用安定法では、定年を65歳未満に定めている事業主に対し、65歳までの雇用を確保するため、次のいずれかの措置を講じることを義務づけています。
- 定年年齢を65歳まで引き上げる。
- 65歳までの継続雇用制度を導入する。
- 定年制を廃止する。
このうち継続雇用制度には、再雇用制度や勤務延長制度などがあります。
つまり、法律上、すべての企業に再雇用制度だけが義務づけられているわけではありません。
企業は、法律で認められた措置の中から、適切な制度を導入する必要があります。
継続雇用制度は原則として希望者全員が対象
65歳までの雇用確保措置として継続雇用制度を導入する場合、原則として継続雇用を希望する人全員を対象とする必要があります。
ただし、就業規則に定められた解雇事由や退職事由に該当する場合など、個別の事情によって継続雇用しないことが認められる場合があります。
会社が独自に厳しい選考基準を設け、希望者を自由に選別できるという意味ではありません。
継続雇用先はグループ会社になる場合もある
高年齢者雇用安定法に基づく継続雇用制度では、一定の条件の下で、継続雇用先を自社のグループ会社とすることも認められています。
そのため、法律上の継続雇用制度が、必ず以前と同じ会社で働き続けることだけを意味するわけではありません。
実際にどの会社で雇用されるのか、労働条件がどうなるのかなどを確認する必要があります。
70歳までの就業確保措置は努力義務
65歳までの雇用確保措置とは別に、高年齢者雇用安定法では、70歳までの就業機会を確保するための措置についても定めています。
対象となる事業主には、定年の引き上げ、継続雇用制度の導入、定年制の廃止など、法律で認められた措置を講じる努力義務があります。
また、一定の条件の下では、業務委託契約や社会貢献事業への従事など、雇用以外の就業機会を確保する措置も選択肢になります。
ただし、2026年9月時点では、65歳までの雇用確保措置と、70歳までの就業確保措置では、法律上の義務の性質が異なります。
「すべての企業が希望者全員を70歳まで再雇用する義務を負う」という理解は正しくありません。
「再雇用制度」と「勤務延長制度」の違い
定年後に同じ会社で働く方法には、再雇用制度のほかに、勤務延長制度があります。
再雇用制度は、いったん退職してから雇用する
再雇用制度では、従業員が定年に達した時点でいったん退職し、その後、改めて雇用契約を結びます。
例えば、60歳で定年退職した後、1年ごとの有期労働契約を結んで働く場合があります。
ただし、契約期間や雇用形態などは企業の制度によって異なります。
勤務延長制度は、定年時に退職せず雇用を継続する
勤務延長制度では、定年に達した際に退職させず、そのまま雇用を継続します。
この場合、定年時にいったん退職して新しい雇用契約を結ぶ再雇用制度とは、制度の仕組みが異なります。
ただし、勤務延長制度でも、給与や担当業務などの労働条件が変更される場合があります。
比較表で確認する
| 比較項目 | 再雇用制度 | 勤務延長制度 |
|---|---|---|
| 定年時の退職 | いったん退職する | 退職せずに勤務を継続する |
| 雇用契約 | 新たな雇用契約を結ぶ | 従前の雇用関係を継続する |
| 労働条件 | 新たな契約で定める | 従前の条件が維持される場合も、変更される場合もある |
| 継続雇用制度との関係 | 継続雇用制度の一つ | 継続雇用制度の一つ |
「定年後も同じ会社で働く」という点は共通していますが、定年時に雇用契約がいったん終了するかどうかが、大きな違いです。
再雇用後の給与は必ず下がる?
再雇用後の給与は、契約内容などによって異なる
再雇用後の給与が、必ず定年前より低くなるという法律上の決まりはありません。
再雇用後の給与は、担当する仕事や勤務時間、職責、会社の賃金制度などによって異なります。
例えば、定年前とほぼ同じ業務を担当する場合もあれば、勤務日数や勤務時間を減らし、異なる業務を担当する場合もあります。
給与については、新たな雇用契約の内容や会社の賃金規程などを確認することが重要です。
労働条件の変更は、具体的な内容を確認する
再雇用に当たって、給与だけでなく、勤務場所や担当業務、勤務時間などが変更される場合があります。
例えば、定年前は週5日勤務だった人が、再雇用後は週3日勤務になる場合です。
そのような場合は、新たな労働条件通知書や雇用契約書などを確認しましょう。
変更される事項を整理する際には、「変更」と「修正」の違いも参考になります。
定年前と定年後の待遇差は、何でも認められるわけではない
再雇用後に有期労働契約で働く場合などには、短時間・有期雇用労働法に基づく不合理な待遇差の禁止などが関係することがあります。
ただし、定年前と再雇用後で給与額が違うという事実だけで、その待遇差が必ず違法になるわけではありません。
それぞれの待遇の性質や目的、職務内容、配置変更の範囲など、個別の事情を踏まえた判断が必要です。
再雇用・再就職した後の社会保険はどうなる?
再雇用後も加入要件を満たせば社会保険の対象となる
再雇用後も、健康保険や厚生年金保険の加入要件を満たしている場合は、原則として社会保険に加入する必要があります。
例えば、定年退職した人が引き続き同じ会社に再雇用され、所定の加入要件を満たして働く場合です。
ただし、年齢や勤務時間、雇用形態などによって、対象となる保険や手続きが異なります。
60歳以上の継続再雇用には、同日得喪の手続きが利用できる場合がある
日本年金機構では、60歳以上の従業員が退職後、1日の間もなく同じ事業所で継続して再雇用される場合、一定の条件の下で健康保険・厚生年金保険の資格喪失届と資格取得届を同時に提出できる取り扱いを認めています。
これは一般に「同日得喪」と呼ばれる手続きです。
再雇用後に給与が変更された場合などに、保険料の計算の基礎となる標準報酬月額へ、実際の給与を速やかに反映できる場合があります。
ただし、手続きを利用するには、再雇用されたことを確認できる書類など、所定の要件を満たす必要があります。
別の会社へ再就職した場合は、新しい勤務先で加入手続きを行う
退職後に別の会社へ再就職した場合は、以前の会社での社会保険の資格を喪失し、新しい勤務先で必要な加入手続きを行うのが一般的です。
ただし、社会保険の加入対象になるかどうかは、年齢や労働時間、事業所の状況などによって異なります。
また、退職から再就職までに空白期間がある場合は、その間の健康保険や年金の手続きについても確認する必要があります。
再就職手当は、再雇用でも受け取れる?
雇用保険には、一定の条件を満たして早期に安定した職業に就いた人を対象とする「再就職手当」という制度があります。
ただし、「再雇用された」「再就職した」という言葉だけで、手当の支給対象になるかどうかが決まるわけではありません。
再就職手当には所定の支給条件がある
再就職手当を受給するには、雇用保険の基本手当の受給資格があり、支給残日数が一定以上残っていることなど、所定の条件を満たす必要があります。
また、就職先の雇用の見込みや、離職前の事業主との関係なども確認されます。
例えば、離職前の事業主に再び雇用された場合は、再就職手当の支給対象とならないことがあります。
したがって、定年退職後に同じ会社へ再雇用されたからといって、自動的に再就職手当を受け取れるわけではありません。
再就職手当と高年齢雇用継続給付は別の制度
再就職手当と、雇用保険の高年齢雇用継続給付は、異なる制度です。
高年齢雇用継続給付は、60歳以降も一定の条件の下で働き、賃金が低下した場合などを対象とする制度です。
一方、再就職手当は、雇用保険の基本手当の受給資格者が、所定の条件を満たして早期に就職した場合などに支給される制度です。
支給要件や併給の可否などについては、具体的な状況に応じてハローワークで確認しましょう。
【実践】場面別に「再雇用」と「再就職」を使い分ける
場面1:60歳で定年退職し、同じ会社で働き続ける
60歳でいったん定年退職し、同じ会社で新しい雇用契約を結んで働く場合は、「再雇用」が自然です。
例えば、次のような表現です。
「60歳で定年退職した後、同じ会社に再雇用され、引き続き勤務している。」
ただし、定年時に退職せず、従前の雇用関係を継続している場合は、勤務延長制度などの可能性があります。
場面2:定年退職後、別の会社へ就職する
定年退職後、それまで勤務していた会社とは異なる会社へ就職した場合は、「再就職」が自然です。
例えば、次のような文章です。
「定年退職後、これまでの経験を生かして別の会社に再就職した。」
この場合、新しい勤務先との間で雇用契約を結びます。
場面3:出産や育児で退職した後、元の会社に戻る
出産や育児などの事情で退職していた元従業員が、以前の会社へ戻る場合は、「再雇用」「再入社」などと表現できます。
例えば、次のような文章です。
「育児のために退職した元従業員を、会社が再雇用した。」
ただし、育児休業を取得しており、雇用関係が継続したまま職場に戻る場合は、再雇用ではなく職場復帰と表現するのが自然です。
場面4:会社を退職し、数か月後に別の会社へ就職する
以前の会社を退職し、求職活動を経て新しい会社へ入社する場合は、一般的に「再就職」が使われます。
例えば、次のような文章です。
「退職後、ハローワークで求職活動を行い、3か月後に再就職した。」
この場合、以前の会社が再び雇用したわけではないため、再雇用よりも再就職が自然です。
場面5:定年後に働き方を変えて働く
定年後、勤務日数や勤務時間を減らして、以前の会社で働く場合があります。
この場合、いったん定年退職した後に新たな契約を結んでいれば、再雇用と表現できます。
一方、別の会社で短時間勤務を始めた場合は、再就職と表現できます。
いずれの場合も、具体的な労働条件を確認することが大切です。
再雇用・再就職を考える際の5つの確認ポイント
1. 今後の働き方の目的を明確にする
定年後などに働き続ける場合は、収入を得ること、これまでの経験を生かすこと、勤務日数を減らして生活との両立を図ることなど、人によって目的が異なります。
例えば、一定の収入を確保したい場合と、週に数日だけ働きたい場合では、希望する労働条件が異なることがあります。
仕事を選ぶ際に何を重視するのか整理する方法については、「目的」と「目標」の違いも参考になります。
2. 給与や勤務時間などの労働条件を確認する
再雇用や再就職をする際には、賃金、勤務時間、勤務日数、担当業務、勤務地などを確認しましょう。
再雇用の場合も、新たな労働契約の内容によっては、定年前と条件が異なる場合があります。
再就職の場合は、新しい勤務先から示される労働条件を確認することが重要です。
3. 契約期間と更新条件を確認する
再雇用後に有期労働契約を結ぶ場合は、契約期間や更新条件などを確認しましょう。
例えば、1年ごとの契約なのか、更新の上限があるのかなどです。
また、定年後の再雇用制度については、会社の就業規則や再雇用規程などに定められた条件を確認しておくとよいでしょう。
4. 社会保険と雇用保険の扱いを確認する
再雇用や再就職後の社会保険については、勤務時間や年齢などの条件によって、必要な手続きが異なります。
また、定年退職後に同じ会社で再雇用される場合は、一定の条件の下で、社会保険の同日得喪の手続きが可能な場合があります。
必要な手続きについては、会社の人事担当者などに確認しましょう。
5. 企業の正式な手続きを確認する
定年後の再雇用については、希望者がどのような手続きを行う必要があるのか、会社の制度に従って確認しましょう。
また、再就職の場合は、応募、選考、採用内定、雇用契約の締結など、採用までの手続きを確認することが大切です。
社内の手続きで使われる「承認」や「了承」の意味については、「承認」と「了承」の違いも参考になります。
「再雇用」「再就職」と似た言葉の違い
「継続雇用」との違い
「継続雇用」は、定年後などに引き続き雇用を継続することです。
高年齢者雇用安定法における継続雇用制度には、再雇用制度や勤務延長制度などがあります。
そのため、再雇用制度は継続雇用制度の一つですが、継続雇用制度がすべて再雇用制度になるわけではありません。
「勤務延長」との違い
勤務延長は、定年時にいったん退職せず、従前の雇用関係を継続する仕組みです。
一方、定年後の再雇用制度では、いったん退職した後、新たな雇用契約を結びます。
定年後も同じ会社で働き続けるという点は共通していますが、定年時の雇用契約の扱いが異なります。
「再入社」との違い
「再入社」は、以前勤めていた会社に再び入社することです。
再雇用と意味が重なる場合がありますが、再入社は、同じ会社に戻ったことを具体的に表す言葉です。
一方、再雇用は、以前の従業員を再び雇うという、雇用する側の行為に重点があります。
「復職」との違い
「復職」は、一度離れた職に再び戻ることです。
特に企業では、病気などによる休職を終え、仕事に戻る場合によく使われます。
一方、再雇用は、以前雇っていた人を再び雇用することです。
例えば、会社の休職制度を利用していた人が仕事に戻る場合は、通常、復職が自然です。いったん会社を退職し、新たな契約を結んで戻る場合は、再雇用や再入社と表現すると違いが明確になります。
「転職」との違い
「転職」は、職業や勤務先を変えることです。
例えば、現在の会社を退職し、別の会社で新たに働き始める場合です。
一方、再就職は、一度職を離れた人が再び職に就くことです。
転職の場合も、前職を辞めて新しい会社に入るという意味で、再就職に当たることがあります。ただし、再就職は、育児や介護、定年退職などによって離職期間があった人についても広く使われます。
「再任用」との違い
「再任用」は、以前の職や役職などに再び任用することです。
特に公務員制度などでは、法律や制度で定められた意味を持つ場合があります。
一方、再雇用は、一般の企業などで、以前雇っていた人を再び雇用することを表します。
正式な制度について説明する際は、対象となる組織で使用されている用語を確認しましょう。
「再雇用」と「再就職」の3秒判定
| 伝えたい内容 | 使いやすい言葉 |
|---|---|
| 定年退職後、以前の会社と新たな契約を結んで働く | 再雇用 |
| 以前勤務していた元従業員を会社が再び採用する | 再雇用 |
| 退職後、別の会社に就職する | 再就職 |
| 育児などによる離職を経て、新たに仕事を始める | 再就職 |
| 定年時に退職せず、雇用関係を継続する | 勤務延長 |
| 再雇用制度や勤務延長制度などをまとめて表す | 継続雇用 |
| 以前の会社に再び入社する | 再入社 |
| 休職を終えて仕事に戻る | 復職・職場復帰 |
| 別の職業や勤務先に変わる | 転職 |
以前の従業員を再び雇うことを表すなら「再雇用」、一度職を離れた人が再び仕事に就くことを表すなら「再就職」を基本的な目安にしましょう。
よくある間違いと注意点
「再雇用は定年退職した人だけに使う」は誤り
再雇用は、退職者などを再び雇用することです。
定年退職者に対する再雇用制度でよく使われますが、一般的な日本語としては、定年以外の理由で退職した元従業員を再び雇う場合にも使えます。
「定年後の再雇用では必ず給与が下がる」とは限らない
再雇用後の給与は、新たな雇用契約や担当業務、勤務時間などによって異なります。
定年前より給与が下がる場合もありますが、再雇用という名称だけで、必ず給与を下げなければならないという決まりはありません。
「65歳まで雇用する方法は再雇用制度だけ」は誤り
高年齢者雇用安定法では、定年を65歳未満に定めている事業主に対し、65歳までの雇用確保措置を講じることを義務づけています。
ただし、その方法には、定年の引き上げ、継続雇用制度、定年制の廃止という選択肢があります。
再雇用制度は、そのうち継続雇用制度の一つです。
「70歳までの再雇用はすべての企業の義務」は誤り
2026年9月時点では、70歳までの就業確保措置は、対象となる事業主に課された努力義務です。
65歳までの雇用確保措置とは、法律上の義務の性質が異なります。
また、70歳までの就業確保措置には、一定の条件の下で、雇用以外の就業機会を確保する方法も含まれます。
「再雇用されたら必ず再就職手当を受けられる」は誤り
再就職手当は、雇用保険の基本手当の受給資格や支給残日数、就職先との関係など、所定の条件を満たす場合に支給される制度です。
特に、離職前の事業主に再び雇用された場合は、再就職手当の支給対象とならないことがあります。
「再雇用」と「再就職」の例文12選
「再雇用」を使った例文
- 定年退職後、同じ会社で再雇用された。
- 会社は、希望者を対象とする再雇用制度を設けている。
- 再雇用後の給与と勤務時間について説明を受けた。
- 家庭の事情で退職した元従業員を再雇用した。
- 再雇用に当たり、新たな雇用契約を締結した。
- 再雇用後の社会保険の手続きについて、人事担当者に確認した。
「再就職」を使った例文
- 退職後、これまでの経験を生かして別の会社に再就職した。
- 定年退職後の再就職先を探している。
- 育児のために離職していたが、今年から再就職した。
- ハローワークで再就職に向けた相談を行った。
- 再就職先の労働条件を確認したうえで、入社を決めた。
- 再就職手当の支給条件について、ハローワークに問い合わせた。
FAQ|「再雇用」と「再就職」のよくある質問
Q1. 「再雇用」と「再就職」は同じ意味ですか?
完全に同じ意味ではありません。再雇用は、以前雇っていた人を再び雇うことです。一方、再就職は、一度仕事を辞めた人が再び職に就くことです。再雇用された人について、広い意味で再就職したと表現できる場合もあります。
Q2. 定年退職後に同じ会社で働く場合は、再雇用と再就職のどちらですか?
いったん定年退職した後、同じ会社と新たな雇用契約を結んで働く場合は、「再雇用」が自然です。ただし、定年時に退職せず、従前の雇用関係を継続する勤務延長制度が適用されている場合は、再雇用とは仕組みが異なります。
Q3. 再雇用と継続雇用はどう違いますか?
継続雇用は、定年後などに引き続き雇用を継続することを表します。高年齢者雇用安定法における継続雇用制度には、再雇用制度と勤務延長制度などがあります。そのため、再雇用制度は継続雇用制度の一つです。
Q4. 再雇用後の給与は必ず下がりますか?
必ずしもそうではありません。再雇用後の給与は、新たな雇用契約や担当業務、勤務時間、会社の賃金制度などによって異なります。再雇用に当たっては、賃金や勤務条件などを具体的に確認することが重要です。
Q5. 再雇用後も社会保険に加入できますか?
健康保険や厚生年金保険の加入要件を満たしている場合は、原則として社会保険に加入する必要があります。また、60歳以上の従業員が退職後、1日の間もなく継続して再雇用される場合は、一定の条件の下で同日得喪の手続きが可能です。
Q6. 65歳までの再雇用は、企業の義務ですか?
定年を65歳未満に定めている事業主には、65歳までの雇用確保措置を講じる義務があります。ただし、再雇用制度だけが義務づけられているわけではなく、定年の引き上げや定年制の廃止なども選択肢になります。
Q7. 70歳まで働けるようにすることも義務ですか?
2026年9月時点では、70歳までの就業確保措置は、対象となる事業主の努力義務です。65歳までの雇用確保措置とは、法律上の義務の性質が異なります。また、70歳までの就業確保措置には、雇用以外の就業機会を確保する方法も含まれます。
Q8. 再雇用された場合、再就職手当を受け取れますか?
再就職手当の支給には、雇用保険の基本手当の受給資格や支給残日数、就職先との関係など、所定の条件があります。特に、離職前の事業主に再び雇用された場合は、支給対象とならないことがあります。具体的な受給の可否については、ハローワークで確認しましょう。
Q9. 一度退職した会社に数年後戻る場合は、再雇用と再入社のどちらですか?
どちらも使用できます。再雇用は、会社が以前の従業員を再び雇うことに重点があります。一方、再入社は、本人が以前勤務していた会社へ再び入社することを明確に表す言葉です。
まとめ|再雇用は以前の従業員を再び雇うこと、再就職は再び職に就くこと
「再雇用」と「再就職」は、どちらも一度仕事を離れた人が再び働き始める場面で使われますが、意味の中心が異なります。
- 再雇用:以前雇っていた人を再び雇用すること。定年退職者を再び雇う制度についても使われる。
- 再就職:一度仕事を辞めた人が、再び職に就くこと。
- 共通点:一度離れた職に再び就くという意味で、両方の表現が使える場合もある。
定年退職後に以前の会社と新たな雇用契約を結ぶ場合は再雇用、退職後に別の会社へ就職する場合は再就職が自然です。
また、定年後の再雇用制度は、企業が実施する継続雇用制度の一つです。65歳までの雇用確保措置と70歳までの就業確保措置では、法律上の義務の性質が異なります。
再雇用や再就職を考える際には、給与、勤務時間、契約期間、社会保険などの労働条件を確認し、自分が希望する働き方に合っているかを検討しましょう。
参考資料・出典
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コトバンク|再雇用の意味・読み方
小学館『デジタル大辞泉』などによる「再雇用」の基本的な意味を確認できます。
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コトバンク|再就職の意味・読み方
小学館『デジタル大辞泉』による「再就職」の基本的な意味を確認できます。
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厚生労働省|高年齢者の雇用
65歳までの雇用確保措置と、70歳までの就業確保措置について確認できます。
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日本年金機構|60歳以上の方を退職後1日の間もなく再雇用したとき
継続再雇用時の社会保険の同日得喪の手続きについて確認できます。
