「普通解雇」と「懲戒解雇」の違いとは?理由・退職金・解雇予告・転職への影響を解説

「勤務成績を理由に普通解雇された」「重大な規律違反によって懲戒解雇になった」など、「普通解雇」と「懲戒解雇」は、会社が従業員との労働契約を終了させる場面で使われる言葉です。

どちらも会社の判断によって雇用関係を終了させる点では共通していますが、解雇の理由や法律上の扱いには違いがあります。

結論からいうと、「普通解雇」は勤務能力や勤務状況などを理由とする一般的な解雇、「懲戒解雇」は重大な規律違反などに対する懲戒処分として行われる解雇です。

例えば、必要な指導や改善の機会を設けても、従業員が職務上求められる能力を著しく欠き、雇用を継続することが困難になった場合には、普通解雇が問題となることがあります。

一方、従業員が重大な不正行為を行い、就業規則に定められた懲戒事由に該当する場合には、懲戒解雇が検討されることがあります。

ただし、会社が解雇を通知すれば、必ずその解雇が有効になるわけではありません。普通解雇と懲戒解雇のどちらにも法律上の制限があります。

この記事では、両者の意味や違いを比較表で整理し、就業規則、解雇予告手当、退職金、雇用保険の失業給付、転職活動への影響、解雇通知を受けた場合の確認事項まで詳しく解説します。

  1. 「普通解雇」と「懲戒解雇」の違い【結論】
  2. 【徹底比較】「普通解雇」と「懲戒解雇」の違いを比較表で整理
  3. 「普通解雇」とは?意味と正しい使い方
    1. 普通解雇は、懲戒処分以外の一般的な解雇
    2. 普通解雇の理由として問題となる代表的な事情
    3. 普通解雇にも就業規則や法律上の制限がある
    4. 「普通解雇」の例文
  4. 「懲戒解雇」とは?意味と正しい使い方
    1. 懲戒解雇は、重大な規律違反などに対する懲戒処分
    2. 懲戒解雇には、懲戒処分としての根拠が必要
    3. 懲戒解雇は、懲戒処分としての相当性も問題になる
    4. 「懲戒解雇」の例文
  5. 「普通解雇」と「懲戒解雇」の決定的な違い
    1. 違い1:懲戒処分としての性質があるか
    2. 違い2:適用される法律上の判断が異なる
    3. 違い3:退職金や雇用保険の扱いが異なる場合がある
  6. 普通解雇と懲戒解雇では、解雇予告に違いがある?
    1. 解雇する場合は、原則として30日前の予告が必要
    2. 懲戒解雇でも、原則として解雇予告は必要
    3. 解雇予告除外認定を受けても、解雇自体が当然に有効になるわけではない
  7. 普通解雇と懲戒解雇では、退職金がどう変わる?
    1. 退職金の有無は、就業規則や退職金規程などによる
    2. 懲戒解雇でも、必ず退職金がゼロになるわけではない
    3. 解雇予告手当と退職金は別のもの
  8. 普通解雇と懲戒解雇では、失業給付に違いがある?
    1. 普通解雇では、特定受給資格者に該当する場合がある
    2. 重責解雇では、原則として3か月の給付制限がある
    3. 離職理由はハローワークが判断する
  9. 懲戒解雇されると、転職できなくなる?
    1. 懲戒解雇を受けても、再就職自体が法律で禁止されるわけではない
    2. 履歴書に解雇理由を必ず詳しく書くとは限らない
    3. 懲戒解雇の有効性が争われている場合は、事実関係を整理する
  10. 【実践】普通解雇・懲戒解雇を通知されたときの5つの確認ポイント
    1. 1. 解雇の種類と理由を確認する
    2. 2. 就業規則や懲戒規程を確認する
    3. 3. 解雇予告と解雇予告手当を確認する
    4. 4. 退職金や未払賃金を確認する
    5. 5. 疑問がある場合は、公的な相談窓口などに相談する
  11. 普通解雇・懲戒解雇を判断する際の注意点
    1. 勤務能力の不足があっても、普通解雇が当然に有効とは限らない
    2. 規律違反があっても、懲戒解雇が当然に有効とは限らない
    3. 解雇の理由や処分の内容を十分に確認する
  12. 「普通解雇」「懲戒解雇」と似た言葉の違い
    1. 「整理解雇」との違い
    2. 「諭旨解雇」との違い
    3. 「諭旨退職」との違い
    4. 「懲戒処分」との違い
    5. 「退職勧奨」との違い
    6. 「解雇の撤回」との違い
  13. 「普通解雇」と「懲戒解雇」の3秒判定
  14. よくある間違いと注意点
    1. 「懲戒解雇なら解雇予告手当は不要」は誤り
    2. 「懲戒解雇なら退職金は必ずゼロになる」は誤り
    3. 「普通解雇なら簡単に解雇できる」は誤り
    4. 「懲戒解雇されたら再就職できない」は誤り
    5. 「懲戒解雇なら必ず雇用保険の重責解雇になる」は誤り
  15. 「普通解雇」と「懲戒解雇」の例文12選
    1. 「普通解雇」を使った例文
    2. 「懲戒解雇」を使った例文
  16. FAQ|「普通解雇」と「懲戒解雇」のよくある質問
    1. Q1. 「普通解雇」と「懲戒解雇」は同じ意味ですか?
    2. Q2. 懲戒解雇でも30日前の解雇予告は必要ですか?
    3. Q3. 懲戒解雇された場合、退職金は必ず支払われませんか?
    4. Q4. 普通解雇は会社の判断だけで自由に行えますか?
    5. Q5. 懲戒解雇には就業規則の定めが必要ですか?
    6. Q6. 懲戒解雇された場合、失業給付は受け取れますか?
    7. Q7. 懲戒解雇された場合、別の会社に就職できますか?
    8. Q8. 普通解雇と整理解雇はどう違いますか?
    9. Q9. 解雇理由に納得できない場合、どこに相談できますか?
  17. まとめ|普通解雇は一般的な解雇、懲戒解雇は懲戒処分としての解雇
  18. 参考資料・出典

「普通解雇」と「懲戒解雇」の違い【結論】

普通解雇と懲戒解雇の最も重要な違いは、懲戒処分として行われる解雇なのか、それ以外の理由によって行われる一般的な解雇なのかという点です。

  • 普通解雇:勤務能力や勤務状況など、労働契約を継続することが困難とされる事情を理由として行われる一般的な解雇。
  • 懲戒解雇:重大な規律違反などについて、会社が懲戒処分として行う解雇。

ただし、普通解雇の理由があるというだけで、会社が自由に解雇できるわけではありません。

労働契約法第16条では、解雇について、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない場合は無効になると定められています。

また、懲戒解雇は懲戒処分でもあるため、同法第15条に基づき、行為の性質や態様などに照らした懲戒処分としての合理性・相当性も問題になります。

そのため、重大な問題が発生した場合でも、会社が自由に懲戒解雇を選べるというわけではありません。

【徹底比較】「普通解雇」と「懲戒解雇」の違いを比較表で整理

比較項目 普通解雇 懲戒解雇
読み方 ふつうかいこ ちょうかいかいこ
基本的な意味 勤務能力や勤務状況などを理由とする一般的な解雇 重大な規律違反などに対する懲戒処分としての解雇
解雇の性質 労働契約を終了させる措置 懲戒処分であると同時に、労働契約を終了させる措置
代表的な理由 職務遂行能力の著しい不足、勤務状況など 重大な不正行為、重大な規律違反など
就業規則との関係 解雇事由などの定めが重要 懲戒の種類や事由などの定めが特に重要
法律上の制限 労働契約法第16条など 労働契約法第15条・第16条など
解雇予告 原則として必要 原則として必要。例外の適用には所定の条件がある
退職金 就業規則や退職金規程などによる 不支給・減額の規定がある場合でも、その有効性は個別に判断される
失業給付 離職理由などに応じて判断 自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇かどうかなどに応じて判断
共通点 会社が一方的に労働契約を終了させる行為であり、客観的に合理的な理由や社会通念上の相当性などが必要

この表は代表的な違いを整理したものです。解雇の有効性や退職金の支給、雇用保険の離職理由などについては、具体的な事実関係や会社の規程によって判断が異なります。

「普通解雇」とは?意味と正しい使い方

普通解雇は、懲戒処分以外の一般的な解雇

普通解雇とは、勤務能力や勤務状況などの事情によって、労働契約を継続することが困難であるとして行われる一般的な解雇です。

例えば、担当する仕事に必要な能力が著しく不足し、会社が適切な指導や改善の機会を設けても、職務を継続することが難しい場合などです。

ただし、勤務成績が一度悪かったことや、業務上のミスが発生したことだけで、普通解雇が当然に認められるわけではありません。

解雇理由の内容や程度、これまでの指導、ほかの業務への配置の可能性など、個別の事情が重要になります。

普通解雇の理由として問題となる代表的な事情

普通解雇が検討される場面としては、一般的に次のような事情が考えられます。

  • 職務に必要な能力の著しい不足
  • 勤務状況に関する重大な問題
  • 業務を継続することが困難となる事情
  • 雇用の継続が困難とされる、そのほかの合理的な事情

ただし、これらの事情があれば必ず普通解雇が有効になるわけではありません。

例えば、業務能力の不足が問題とされる場合でも、その能力が本来どの程度求められるものなのか、必要な教育や指導が行われていたかなどによって、判断が異なります。

普通解雇にも就業規則や法律上の制限がある

会社は、普通解雇を行う場合にも、労働契約や就業規則、法律上のルールを守る必要があります。

労働契約法第16条では、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない解雇は、権利の濫用として無効となると定められています。

また、労働基準法では、原則として30日前までの解雇予告などが必要です。

そのため、会社が普通解雇という名称を使用したとしても、解雇の理由や手続きなどによっては、その有効性が争われる場合があります。

「普通解雇」の例文

  • 会社から普通解雇の通知を受けた。
  • 普通解雇の理由について、会社に説明を求めた。
  • 勤務状況を理由とする普通解雇の有効性が争われた。
  • 普通解雇を検討する前に、必要な指導や改善の機会が設けられた。
  • 普通解雇に伴う退職金や解雇予告手当について確認した。

「懲戒解雇」とは?意味と正しい使い方

懲戒解雇は、重大な規律違反などに対する懲戒処分

懲戒解雇とは、従業員の重大な規律違反などを理由として、会社が懲戒処分として行う解雇です。

例えば、会社の財産に対する重大な不正行為や、職場の秩序を著しく害する行為などについて、懲戒解雇が問題となる場合があります。

ただし、不正行為や規律違反があれば、必ず懲戒解雇を行えるというわけではありません。

行為の性質や態様、会社の規程、処分の重さなどを踏まえ、懲戒処分として合理的かつ相当である必要があります。

懲戒解雇には、懲戒処分としての根拠が必要

会社が従業員を懲戒する場合は、どのような行為が懲戒事由になるのか、どのような懲戒処分があるのかについて、就業規則などで明らかにしておくことが重要です。

厚生労働省のモデル就業規則でも、懲戒の種類や事由に関する規定例が示されています。

ただし、就業規則に懲戒解雇の事由が記載されていれば、会社が自由に懲戒解雇できるわけではありません。

労働契約法第15条では、懲戒処分について、客観的に合理的な理由や社会通念上の相当性などが求められています。

懲戒解雇は、懲戒処分としての相当性も問題になる

懲戒解雇は、一般的に、懲戒処分の中でも重い処分に位置づけられます。

そのため、問題となった行為の内容や程度などに照らし、懲戒解雇という処分が相当かどうかが重要になります。

例えば、軽微な規律違反について、事情を十分に確認せず直ちに懲戒解雇とした場合は、処分の相当性が問題となる可能性があります。

また、同じような行為に対する過去の処分や、会社が定めている懲戒制度なども、具体的な判断に関係することがあります。

「懲戒解雇」の例文

  • 重大な規律違反を理由に、会社が懲戒解雇を検討した。
  • 懲戒解雇の根拠となる就業規則の規定を確認した。
  • 懲戒解雇という処分が重すぎないかどうかが争われた。
  • 懲戒解雇に伴う退職金の取り扱いについて説明を求めた。
  • 会社は、懲戒解雇を行う前に事実関係を調査した。

「普通解雇」と「懲戒解雇」の決定的な違い

違い1:懲戒処分としての性質があるか

普通解雇と懲戒解雇の基本的な違いは、懲戒処分として行われるかどうかです。

普通解雇では、労働契約を継続することが困難であるとされる事情が問題になります。

一方、懲戒解雇では、重大な規律違反などに対する処分として、労働契約を終了させます。

そのため、懲戒解雇では、解雇そのものの有効性だけでなく、懲戒処分としての合理性や相当性も問題となります。

違い2:適用される法律上の判断が異なる

普通解雇と懲戒解雇には、いずれも労働契約法第16条による解雇権濫用法理が関係します。

一方、懲戒解雇は懲戒処分であるため、同法第15条による懲戒権濫用法理も関係します。

つまり、懲戒解雇では、問題となった行為に対する処分として合理性や相当性があるかどうかについても判断する必要があります。

違い3:退職金や雇用保険の扱いが異なる場合がある

懲戒解雇では、会社の退職金規程などによって、退職金の不支給や減額が定められている場合があります。

また、雇用保険では、自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇かどうかによって、失業給付の取り扱いが異なることがあります。

ただし、懲戒解雇という名称だけで、退職金が必ず支払われなくなったり、雇用保険上の区分が自動的に確定したりするわけではありません。

普通解雇と懲戒解雇では、解雇予告に違いがある?

解雇する場合は、原則として30日前の予告が必要

労働基準法第20条では、会社が労働者を解雇する場合、原則として少なくとも30日前に予告する必要があると定められています。

30日前に予告しない場合は、原則として30日分以上の平均賃金に相当する解雇予告手当を支払う必要があります。

また、予告日数に不足がある場合は、不足する日数に応じて解雇予告手当を支払う方法も認められています。

懲戒解雇でも、原則として解雇予告は必要

懲戒解雇の場合、「懲戒」という名称が付いているため、解雇予告が不要だと思われることがあります。

しかし、懲戒解雇であっても、原則として労働基準法の解雇予告の規定が適用されます。

労働者の責めに帰すべき事由によって解雇する場合、解雇予告の例外が認められることがありますが、そのためには所轄労働基準監督署長の認定を受ける必要があります。

そのため、会社が「懲戒解雇だから解雇予告手当は支払わない」と独自に決めれば、それだけで法律上の支払義務がなくなるわけではありません。

解雇予告除外認定を受けても、解雇自体が当然に有効になるわけではない

労働基準監督署長による解雇予告除外認定は、解雇予告や解雇予告手当についての例外を認める手続きです。

一方、解雇そのものが法律上有効かどうかは、別の問題です。

そのため、解雇予告除外認定を受けたという事実だけで、懲戒解雇の有効性が当然に認められるわけではありません。

普通解雇と懲戒解雇では、退職金がどう変わる?

退職金の有無は、就業規則や退職金規程などによる

退職金について、すべての企業に一律の支給が法律で義務づけられているわけではありません。

企業が退職金制度を設けている場合は、就業規則や退職金規程、労働契約などに基づいて支給の有無や金額が判断されます。

普通解雇された場合の退職金についても、会社の制度や退職金規程などを確認する必要があります。

懲戒解雇でも、必ず退職金がゼロになるわけではない

企業によっては、懲戒解雇された従業員について、退職金を支給しない、または減額すると定めている場合があります。

しかし、そのような規定があるからといって、すべての場合に退職金の全額不支給が認められるわけではありません。

裁判では、従業員の非違行為の内容や程度、長年の勤務による功労、退職金の性質などを踏まえ、不支給や減額の有効性が判断されることがあります。

したがって、懲戒解雇を受けた場合も、退職金規程や具体的な事情を確認することが重要です。

解雇予告手当と退職金は別のもの

解雇予告手当と退職金は、名前が似た場面で登場しますが、異なる制度です。

解雇予告手当は、労働基準法に基づいて、所定の解雇予告を行わない場合などに支払う必要があるものです。

一方、退職金は、会社の退職金制度などに基づいて支払われるものです。

そのため、退職金を支払うからといって、必要な解雇予告手当を支払わなくてよいとは限りません。

普通解雇と懲戒解雇では、失業給付に違いがある?

普通解雇では、特定受給資格者に該当する場合がある

雇用保険では、倒産や解雇などによって離職した人について、一定の条件の下で「特定受給資格者」として扱う制度があります。

一般的な解雇によって離職した人は、特定受給資格者に該当する場合があります。

ただし、自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇の場合は、この取り扱いから除かれます。

重責解雇では、原則として3か月の給付制限がある

雇用保険では、自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された場合を「重責解雇」と呼ぶことがあります。

厚生労働省によると、重責解雇の場合は、原則として3か月の給付制限が設けられています。

ただし、懲戒解雇という名称が付いているだけで、必ず雇用保険上の重責解雇に該当するわけではありません。

実際の解雇理由や事情などを踏まえて判断されます。

離職理由はハローワークが判断する

会社が離職票に記載した解雇理由だけで、雇用保険上の最終的な離職理由が確定するわけではありません。

ハローワークでは、会社からの資料や本人の説明などを踏まえて、離職理由を判断します。

そのため、会社から説明された解雇理由や離職票の記載について疑問がある場合は、必要に応じてハローワークで相談することができます。

懲戒解雇されると、転職できなくなる?

懲戒解雇を受けても、再就職自体が法律で禁止されるわけではない

懲戒解雇を受けた人が、その後、別の会社で働くこと自体が、一般的に法律で禁止されるわけではありません。

ただし、採用選考では、応募者の経歴や職務経験などについて確認される場合があります。

そのため、前職を退職した経緯について、応募先から質問されることがあります。

履歴書に解雇理由を必ず詳しく書くとは限らない

履歴書には、一般的に、入社と退職の年月、勤務先などを記載します。

ただし、応募先が退職理由について記載を求めている場合などには、適切に対応する必要があります。

また、応募先から具体的な質問を受けた場合は、事実と異なる説明をしないことが重要です。

履歴書や面接での説明方法について不安がある場合は、ハローワークなどで就職活動に関する相談をする方法があります。

懲戒解雇の有効性が争われている場合は、事実関係を整理する

会社による懲戒解雇の理由に納得できず、その有効性を争っている場合には、解雇通知書や就業規則、会社とのやり取りなどを整理しておくことが重要です。

転職活動で必要な説明を考える際にも、会社から通知された内容と、自分が認識している事実を区別して整理するとよいでしょう。

【実践】普通解雇・懲戒解雇を通知されたときの5つの確認ポイント

1. 解雇の種類と理由を確認する

まず、会社が普通解雇と懲戒解雇のどちらを行おうとしているのか確認しましょう。

例えば、解雇通知書に記載された理由や、根拠となる就業規則の規定などです。

また、会社から口頭で説明を受けた場合は、実際にどのような理由が示されたのかを記録しておくとよいでしょう。

2. 就業規則や懲戒規程を確認する

懲戒解雇の場合は、懲戒の種類や懲戒事由が、就業規則などでどのように定められているかが重要です。

普通解雇の場合も、会社が定める解雇事由や、実際に示された解雇理由などを確認しましょう。

ただし、就業規則の規定に形式的に該当するからといって、解雇が必ず有効になるわけではありません。

3. 解雇予告と解雇予告手当を確認する

解雇を通知された場合は、解雇日と通知日を確認しましょう。

また、30日前までの予告が行われているか、解雇予告手当が必要になるかなども確認します。

懲戒解雇について、会社が解雇予告の例外を主張している場合は、解雇予告除外認定の有無なども確認することが考えられます。

4. 退職金や未払賃金を確認する

退職金制度がある会社では、普通解雇や懲戒解雇について、退職金がどのように扱われるのか確認しましょう。

また、解雇されるまでに働いた分の賃金や、未払いとなっている残業代などがないかについても確認することが重要です。

会社が懲戒解雇を理由に退職金を支給しない場合も、その取り扱いが当然に有効となるわけではありません。

5. 疑問がある場合は、公的な相談窓口などに相談する

普通解雇や懲戒解雇について疑問がある場合は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーなどで相談する方法があります。

また、解雇の有効性や退職金の不支給などについて、法律の専門家に相談することも考えられます。

職場で問題が起きた場合に必要な行動を整理する際には、「対応」と「対処」の違いも参考になります。

普通解雇・懲戒解雇を判断する際の注意点

勤務能力の不足があっても、普通解雇が当然に有効とは限らない

従業員の勤務能力が不足している場合でも、会社が直ちに普通解雇できるわけではありません。

例えば、仕事内容や求められる能力、これまでの指導内容、改善の可能性などによって、判断が異なる場合があります。

会社が問題としている事実と、解決に向けて取り組むべき課題を分けて考えることも重要です。

関連する言葉の使い分けについては、「問題」と「課題」の違いも参考になります。

規律違反があっても、懲戒解雇が当然に有効とは限らない

従業員に規律違反が認められる場合でも、その内容や程度などによって、適切な処分は異なります。

例えば、軽微な規律違反について、必要な事実確認を行わず、直ちに懲戒解雇とした場合は、処分の相当性が問題になる可能性があります。

懲戒解雇は重い処分であるため、行為の性質や態様などに照らして、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要です。

解雇の理由や処分の内容を十分に確認する

解雇について問題が生じた場合には、会社が具体的にどのような事実を理由としているのかを確認しましょう。

例えば、勤務成績が問題とされているのか、規律違反が問題とされているのかによって、確認する内容が異なります。

また、会社がどのような調査を行い、どのような規定に基づいて判断したのかについても、必要に応じて確認することが考えられます。

「普通解雇」「懲戒解雇」と似た言葉の違い

「整理解雇」との違い

整理解雇は、企業の経営上の理由による人員削減として行われる解雇です。

例えば、事業の縮小や経営状況の悪化などを理由として、従業員の雇用を終了させる場合です。

一方、普通解雇は、一般的に勤務能力や勤務状況などを理由とする解雇を指す場合が多くあります。

なお、整理解雇は普通解雇の一類型として整理される場合もありますが、実務上は、経営上の人員削減という性質に着目して区別されます。

「諭旨解雇」との違い

諭旨解雇は、会社が懲戒処分に関連して、従業員に退職を促すなどしたうえで行う処分の名称として使われることがあります。

ただし、諭旨解雇という名称の制度や具体的な手続きは、会社の就業規則などによって異なります。

懲戒解雇より軽い処分として設けられる場合もありますが、すべての企業に共通する法律上の定義があるわけではありません。

「諭旨退職」との違い

諭旨退職は、会社が懲戒処分の一つとして、従業員に退職を求める制度の名称として使われる場合があります。

例えば、一定の期間内に退職届を提出するよう求め、提出がない場合には懲戒解雇を検討する制度を設けている企業があります。

ただし、諭旨退職という名称だけで、退職の法的な性質や退職金の取り扱いが決まるわけではありません。

具体的な内容は就業規則や個別の事情を確認する必要があります。

「懲戒処分」との違い

懲戒処分は、従業員の規律違反などに対して、会社が制裁として行う処分の総称です。

例えば、戒告、けん責、減給、出勤停止、懲戒解雇など、会社の就業規則によって複数の処分が設けられる場合があります。

そのため、懲戒解雇は懲戒処分の一つですが、懲戒処分がすべて解雇を意味するわけではありません。

「退職勧奨」との違い

退職勧奨は、会社が従業員に対し、自発的な退職を勧めることです。

一方、普通解雇や懲戒解雇は、会社が一方的に労働契約を終了させる行為です。

退職勧奨を受けた従業員は、原則として退職するかどうかを自分の意思で判断できます。

そのため、退職勧奨と解雇は、労働契約を終了させる方法が異なります。

「解雇の撤回」との違い

会社がいったん通知した解雇について、後から取り下げる場合に、「解雇を撤回する」という表現が使われることがあります。

ただし、解雇の意思表示が既に労働者へ到達している場合は、会社が一方的に撤回できるかどうかなどについて、法律上の問題が生じる場合があります。

また、解雇が無効と判断されることと、会社が自ら解雇を撤回することは、異なる事柄です。

一般的な言葉の違いについては、「取消し」と「撤回」の違いも参考になります。

「普通解雇」と「懲戒解雇」の3秒判定

伝えたい内容 使いやすい言葉
勤務能力や勤務状況などを理由として会社が雇用を終了させる 普通解雇
重大な規律違反について、懲戒処分として会社が解雇する 懲戒解雇
経営上の理由による人員削減として解雇する 整理解雇
会社が自発的な退職を勧める 退職勧奨
会社と従業員が合意して労働契約を終了させる 合意退職
規律違反に対して戒告や減給などの処分を行う 懲戒処分
いったん行った解雇の意思表示を取り下げる 解雇の撤回

勤務能力や勤務状況などを理由とする一般的な解雇なら「普通解雇」、重大な規律違反などに対する懲戒処分としての解雇なら「懲戒解雇」が基本的な使い分けです。

よくある間違いと注意点

「懲戒解雇なら解雇予告手当は不要」は誤り

懲戒解雇であっても、原則として解雇予告が必要です。

解雇予告の例外が認められるためには、労働者の責めに帰すべき事由などの条件を満たし、所轄労働基準監督署長の認定を受ける必要があります。

「懲戒解雇なら退職金は必ずゼロになる」は誤り

懲戒解雇の場合の退職金は、会社の退職金規程や具体的な事情などによって判断されます。

不支給や減額の規定がある場合でも、必ず全額不支給が認められるわけではありません。

「普通解雇なら簡単に解雇できる」は誤り

普通解雇についても、労働契約法第16条による法律上の制限があります。

解雇に客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない場合は、無効となります。

「懲戒解雇されたら再就職できない」は誤り

懲戒解雇を受けた人が、別の会社へ再就職すること自体が、一般的に法律で禁止されるわけではありません。

ただし、採用選考では前職の退職理由などについて質問される場合があります。

「懲戒解雇なら必ず雇用保険の重責解雇になる」は誤り

雇用保険上の重責解雇に該当するかどうかは、実際の解雇理由や個別の事情などを踏まえて判断されます。

会社が懲戒解雇という名称を使ったことだけで、雇用保険上の離職理由が必ず確定するわけではありません。

「普通解雇」と「懲戒解雇」の例文12選

「普通解雇」を使った例文

  1. 会社から普通解雇の通知を受けた。
  2. 普通解雇の理由について、会社に説明を求めた。
  3. 勤務能力を理由とする普通解雇の有効性が争われた。
  4. 普通解雇に当たり、解雇予告の手続きが行われた。
  5. 普通解雇に伴う退職金の取り扱いを確認した。
  6. 普通解雇を通知されたため、総合労働相談コーナーに相談した。

「懲戒解雇」を使った例文

  1. 重大な規律違反を理由に、会社が懲戒解雇を検討した。
  2. 懲戒解雇の根拠となる就業規則の規定を確認した。
  3. 懲戒解雇という処分が重すぎないかどうかが争われた。
  4. 懲戒解雇に伴う退職金の取り扱いについて説明を求めた。
  5. 会社は、懲戒解雇を行う前に事実関係を調査した。
  6. 懲戒解雇の通知を受けたため、必要な資料を整理した。

FAQ|「普通解雇」と「懲戒解雇」のよくある質問

Q1. 「普通解雇」と「懲戒解雇」は同じ意味ですか?

同じ意味ではありません。普通解雇は、勤務能力や勤務状況などを理由とする一般的な解雇です。一方、懲戒解雇は、重大な規律違反などに対する懲戒処分として行われる解雇です。

Q2. 懲戒解雇でも30日前の解雇予告は必要ですか?

原則として必要です。ただし、労働者の責めに帰すべき事由があり、所轄労働基準監督署長の認定を受けた場合などには、解雇予告の例外が認められることがあります。

Q3. 懲戒解雇された場合、退職金は必ず支払われませんか?

必ずしもそうではありません。退職金の扱いは、就業規則や退職金規程、実際の非違行為の内容などによって異なります。懲戒解雇時の不支給規定がある場合でも、その有効性が問題になることがあります。

Q4. 普通解雇は会社の判断だけで自由に行えますか?

自由に行えるわけではありません。普通解雇についても、労働契約法第16条に基づき、客観的に合理的な理由や社会通念上の相当性などが必要になります。

Q5. 懲戒解雇には就業規則の定めが必要ですか?

懲戒解雇を行う場合には、懲戒の種類や事由などについて、就業規則などに根拠があることが重要です。ただし、規定があるだけで、すべての懲戒解雇が有効になるわけではありません。

Q6. 懲戒解雇された場合、失業給付は受け取れますか?

所定の受給資格を満たせば、受け取れる場合があります。ただし、自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇、いわゆる重責解雇に該当する場合は、原則として3か月の給付制限があります。具体的な扱いについては、ハローワークで確認しましょう。

Q7. 懲戒解雇された場合、別の会社に就職できますか?

懲戒解雇されたことだけを理由に、再就職が一般的に法律で禁止されるわけではありません。ただし、採用選考では前職の退職理由などを確認される場合があります。

Q8. 普通解雇と整理解雇はどう違いますか?

普通解雇は、一般的には勤務能力や勤務状況などを理由とする解雇を指します。一方、整理解雇は、企業の経営上の理由による人員削減として行われる解雇です。整理解雇は普通解雇の一類型として整理される場合もあります。

Q9. 解雇理由に納得できない場合、どこに相談できますか?

都道府県労働局の総合労働相談コーナーなどに相談する方法があります。また、解雇の有効性や退職金などの問題について、労働問題に詳しい弁護士に相談することも考えられます。

まとめ|普通解雇は一般的な解雇、懲戒解雇は懲戒処分としての解雇

「普通解雇」と「懲戒解雇」は、どちらも会社が一方的に労働契約を終了させる行為ですが、解雇の性質が異なります。

  • 普通解雇:勤務能力や勤務状況などを理由とする一般的な解雇。
  • 懲戒解雇:重大な規律違反などに対する懲戒処分として行われる解雇。
  • 共通点:どちらも法律上の制限があり、会社が自由に解雇できるわけではない。

特に、懲戒解雇は懲戒処分でもあるため、問題となった行為の内容や程度などに照らし、処分としての合理性や相当性が重要になります。

また、懲戒解雇という名称だけで、解雇予告手当が不要になったり、退職金が全額不支給になったりするわけではありません。

普通解雇や懲戒解雇を通知された場合は、解雇理由、根拠となる就業規則、解雇日、解雇予告手当、退職金などを確認しましょう。疑問がある場合は、公的な相談窓口や法律の専門家に相談することも大切です。

参考資料・出典

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