会社や官公庁、学校などの文書で、
「具申書を提出する」
「人事について具申書を作成する」
といった表現を見ることがあります。
しかし、「申請書」「報告書」「上申書」などに比べると「具申書」は日常生活で目にする機会が少ないため、
- 具申書とは何をするための書類なのか
- 誰が誰に提出するものなのか
- 具申書には何を書けばよいのか
- 決まった書式やテンプレートはあるのか
- 「具申書」と「上申書」は何が違うのか
- 「進言書」「提案書」「報告書」とどう使い分けるのか
- 会社でも具申書という名称を使うのか
- 具申書を書くときは敬語を使うのか
など、さまざまな疑問が生じます。
結論からいうと、具申書とは、上司や上位機関などに対して、事情・事実・意見・理由などを詳しく申し述べるために作成される書面です。
ただし、非常に重要なのは、
「具申書」という全国共通の一つの書式があるわけではない
という点です。
実際には、官公庁や学校などで、
- 採用具申書
- 退職具申書
- 任用・雇用具申書
- 人事異動に関する具申書
- 研究中断具申書
など、制度・手続きごとに異なる具申書が使用されています。
したがって、実際に具申書を提出する必要がある場合は、一般的な書き方だけでなく、提出先が定めている様式・規程を確認することが最優先です。
この記事では、「具申書」の意味を基本から整理し、何を書く書類なのか、一般的な構成、書き方のポイント、例文、上申書・進言書・提案書・報告書との違いまで詳しく解説します。
- 結論|具申書とは上位者に事情・意見などを詳しく申し述べる書面
- そもそも「具申」とは?
- 具申書は誰から誰へ提出する?
- 具申書は何のために作る?
- 具申書には決まった書式がある?
- 具申書に一般的に書く内容
- 具申書の基本的な書き方
- 具申書の一般的な構成例
- 具申書の例文|人員増加を求める場合
- 具申書の例文|人事について申し述べる場合
- 具申書は「お願い文」ではない
- 「具申書」と「上申書」の違い
- 具申書と上申書は自分で選んでよい?
- 「具申書」と「進言書」の違い
- 「具申書」と「提案書」の違い
- 「具申書」と「報告書」の違い
- 「具申書」と「申請書」の違い
- 「具申書」と「意見書」の違い
- 具申書は会社でも使う?
- 具申書と稟議書は同じ?
- 具申書を書くときの敬語
- 「具申いたします」は二重敬語?
- 具申書を書くときに避けたい文章
- 具申書を書く前に確認すること
- 具申書に押印は必要?
- 具申書はメールで提出できる?
- 具申書に「お願い」を書いてよい?
- 具申書の件名はどう書く?
- 具申書の宛名は誰にする?
- 「具申書を上げる」は自然?
- 「具申書を作成する」と「具申する」の違い
- 具申書に関するよくある質問
- まとめ
- 参考リンク・出典
結論|具申書とは上位者に事情・意見などを詳しく申し述べる書面
「具申書」は、
具申(ぐしん)+書(しょ)
からできた言葉です。
「具申」とは、特に上役や上位の機関に対して、意見や事情などを詳しく申し述べることです。
したがって、具申書は簡単にいうと、
「上位の人・機関へ、事情や意見などを詳しく伝えるための書類」
と考えるとわかりやすいでしょう。
| 項目 | 具申書 |
|---|---|
| 読み方 | ぐしんしょ |
| 基本的な意味 | 上位者・上位機関へ事情や意見などを詳しく申し述べる書面 |
| 主な方向 | 下位側 → 上位側 |
| 書かれる内容 | 事実、事情、理由、意見、判断材料など |
| 使用場面 | 行政、人事、学校、組織内手続きなど |
| 全国共通の書式 | ない。制度・組織ごとに異なる |
そもそも「具申」とは?
「具申」は、
具申(ぐしん)
と読みます。
辞書では、詳しく申し述べること、特に上役や上位機関に対して意見や事情を詳しく述べることと説明されています。
「具」という漢字には、「つぶさに」「詳しく」といった意味があります。
そのため「具申」には、単に、
「こうしたいです」
と一言伝えるだけではなく、
- 現在どういう状況なのか
- どのような事情があるのか
- なぜその対応が必要なのか
- どのような意見を持っているのか
などを詳しく申し述べるニュアンスがあります。
「具申」という言葉自体の詳しい意味については、「具申」とは?意味・読み方・使い方をわかりやすく解説も参考にしてください。
具申書は誰から誰へ提出する?
具申の基本的な方向は、
下位の立場 → 上位の立場
です。
たとえば、
- 担当者 → 上司
- 所属部署 → 本部
- 学校 → 教育委員会などの上位機関
- 現場責任者 → 組織の長
- 病院長 → 総長などの上位決定者
といった流れが考えられます。
ただし、誰から誰へ提出するかは制度によって異なります。
「具申書なら必ず部下が社長に出す」といった決まりがあるわけではありません。
その制度で誰が具申権限を持っているか、誰が最終的に判断するかによって提出先が変わります。
具申書は何のために作る?
具申書の目的は一つではありません。
実際の行政文書を見ると、人事、採用、退職、任用などについて具申書という名称が使用されています。
また、医療・研究関係の制度では、研究を中断する必要性を上位者へ具申する書類が定められている例もあります。
つまり、具申書は、
「意見を述べるためだけの書類」ではなく、上位者が判断するために必要な事情・理由などを詳しく示す書面
として使われることがあります。
代表的な目的を整理すると、次のようになります。
- 人事上の措置を上位機関へ求める
- 採用・退職・配置換えなどについて事情を申し述べる
- 何らかの処置が必要であることを詳しく伝える
- 現場の意見を上位者へ正式に提出する
- 上位者に判断を求めるための材料を示す
具申書には決まった書式がある?
全国共通の一つの書式はありません。
ここは特に重要です。
「具申書」という名前だからといって、すべての会社・役所・学校で同じ項目を記載するわけではありません。
実際の公的文書でも、用途によって書かれている項目が大きく異なります。
たとえば千葉県の行政文書では、「任用・雇用具申書」に、
- 氏名
- 雇用期間
- 担当
- 勤務時間・日数
- 報酬・賃金
- 免許状
- 健康審査
- 職歴
- 備考
などの欄が設けられていた例があります。
一方、別の制度では必要な項目はまったく異なります。
したがって、実務では、
1.指定様式があるか確認する
↓
2.指定様式があれば必ずそれを使う
↓
3.指定がない場合だけ、組織内の慣例や一般的な文書構成を確認する
という順番が安全です。
具申書に一般的に書く内容
指定書式がない場合の一般論としては、次のような要素を整理すると内容が伝わりやすくなります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 件名 | 何についての具申なのか |
| 宛先 | 提出する上位者・機関 |
| 提出日 | 具申書を提出する日 |
| 提出者 | 所属・役職・氏名など |
| 具申事項 | 何を申し述べたいのか |
| 現状・事実 | 現在どのような状態なのか |
| 理由・背景 | なぜ具申する必要があるのか |
| 意見・要望 | どのような判断・対応を求めるのか |
| 添付資料 | 判断材料となる資料など |
ただし、これらはすべての具申書に必須という意味ではありません。
実際に必要な項目は、その組織の規程・様式・手続きに従ってください。
具申書の基本的な書き方
1.最初に結論となる具申事項を書く
読む側が最初に知りたいのは、
「結局、何について具申しているのか」
です。
そのため、長い経緯から書き始めるより、
「○○について、下記のとおり具申します。」
など、まず用件を明確にすると読みやすくなります。
2.事実と意見を分ける
具申では、現状・経緯などの「事実」と、自分の判断・意見が混ざりやすくなります。
たとえば、
「現在○名が不足しています。」
は事実です。
「そのため、○名を増員する必要があると考えます。」
は意見です。
両者を分けて書けば、上位者も判断しやすくなります。
3.理由を具体的にする
「必要だからです」だけでは、上位者が判断できません。
可能であれば、
- 現在の人数・件数
- 発生している問題
- 過去の経緯
- 既に行った対応
- 対応しない場合の影響
などを整理します。
4.感情ではなく判断材料を書く
具申書は、単なる不満・要望を書く文書ではありません。
「忙しくて大変です」
だけでなく、
「前年同期比で業務件数が○%増加している」
「現行体制では処理期限内の完了が困難になっている」
など、判断材料を示すほうが説得力があります。
5.求める対応を明確にする
最後まで読んでも「結局どうしてほしいのかわからない」という文書は避けたいところです。
たとえば、
- 増員を検討してほしい
- 配置換えを認めてほしい
- 採用について承認してほしい
- 当該業務の中止を検討してほしい
など、必要に応じて具申の目的を明確にします。
具申書の一般的な構成例
指定様式がないことを前提とした、非常に簡単な構成例を示します。
○○に関する具申書
令和○年○月○日
○○部長 ○○○○ 様
○○課
課長 ○○○○○○について、下記のとおり具申いたします。
1.具申事項
○○について、△△の措置を実施すること。2.現状
現在、○○の件数が増加しており、現行の体制では対応が困難な状態となっています。3.理由
前年と比較して業務量が増加している一方、担当者数は変わっておらず、処理の遅延が発生しています。4.意見
以上の事情から、△△の措置を講じる必要があると考えます。5.添付資料
業務件数推移表 1部
これはあくまで一般的なイメージです。
正式な具申書としてそのまま使用できる全国共通テンプレートではありません。
所属組織に指定書式がある場合は、必ずそちらを使用してください。
具申書の例文|人員増加を求める場合
現在、当課では新規業務の開始に伴い、月間処理件数が前年同期と比較して大幅に増加しております。
現行の人員体制では通常業務との両立が困難であり、処理期限への影響も生じております。
つきましては、業務の安定的な遂行を図るため、担当職員1名の増員についてご検討いただきたく、ここに具申いたします。
ポイントは、
現状 → 問題 → 必要性 → 求める対応
の流れが明確になっていることです。
具申書の例文|人事について申し述べる場合
○○職員の配置について、現状および業務上の必要性を踏まえ、下記のとおり具申いたします。
当該職員は○○業務について十分な経験を有しており、現在進行中の△△業務においてその経験を活用することが適当であると考えます。
以上の理由から、次回の人事異動において△△部門への配置をご検討くださいますよう具申いたします。
人事に関する正式な具申では、個人情報・評価情報などを扱う可能性があります。
実務では、組織の人事規程や情報管理ルールに従うことが重要です。
具申書は「お願い文」ではない
具申書には上位者へ何らかの判断を求める内容が含まれることがあります。
しかし、単なる「お願いの手紙」と考えるのは適切ではありません。
具申では、
- 事情
- 事実
- 理由
- 意見
- 判断材料
などを詳しく申し述べる点が重要です。
そのため、
「ぜひお願いします。」
だけではなく、
なぜその判断が必要なのか
まで示すことが具申書らしい内容につながります。
「具申書」と「上申書」の違い
具申書と最も混同しやすいのが「上申書」です。
「上申」は、上役・上官などに意見や事情を申し述べることを意味します。
辞書でも「上申」の説明に「具申」が示されるほど、二つは非常に近い言葉です。
違いを整理するなら、
具申書=事情・意見などを詳しく申し述べる点を意識しやすい
上申書=上位者・上位機関へ申し上げる方向性を意識しやすい
と考えると理解しやすいでしょう。
| 比較 | 具申書 | 上申書 |
|---|---|---|
| 中心 | 事情・意見を詳しく申し述べる | 上位者へ申し述べる |
| 方向 | 基本的に上位へ | 明確に上位へ |
| 公的手続き | 使用例がある | 使用例がある |
| 書式 | 制度ごとに異なる | 制度ごとに異なる |
| 完全に区別できるか | 意味が重なるため、名称は提出先の規程・様式に従う | |
「具申」と「上申」の詳しい違いについては、「具申」と「上申」の違いとは?意味・使い分けを上司・行政・ビジネスの例文で徹底解説で解説しています。
具申書と上申書は自分で選んでよい?
正式な手続きでは、原則として自分の感覚だけで選ばないほうがよいでしょう。
たとえば、提出先が、
「採用具申書を提出してください」
と指定しているなら、「内容は上申に近い気がするから上申書にしよう」と勝手に名称を変更するべきではありません。
反対に、特許庁の手続きでは正式に「上申書」という書類名が使われています。
したがって、
一般的な言葉の意味より、制度上の正式名称を優先する
ことが重要です。
「具申書」と「進言書」の違い
「進言」は、目上の者に対して意見を申し述べることです。
そのため、「具申」と非常に近い場面で使われます。
ただし、一般的には、
進言=目上の人へ意見・助言を申し出る
具申=事情や意見などを詳しく申し述べる
という違いがあります。
また、「進言」は言葉そのものが必ず書面を意味するわけではありません。
口頭で上司へ、
「この方法へ変更したほうがよいと思います」
と意見を伝えることも進言になり得ます。
一方、具申書は「書」という文字が付いているため、書面として提出するものです。
「具申」と「進言」の違いは、「進言」と「具申」の違いとは?意味・使い分けを上司・組織・ビジネスの例文で解説も参考にしてください。
「具申書」と「提案書」の違い
「提案書」は、アイデア・計画・改善策などを相手に提示するための書類です。
具申書との大きな違いは、相手が必ず上位者である必要がないことです。
たとえば、
- 顧客へ新システムを提案する
- 取引先へ新商品の販売方法を提案する
- 社内会議で新企画を提案する
といった場合は「提案書」が自然です。
一方、具申書は、組織内や上位機関に対し、事情・意見などを詳しく申し述べる文脈と相性があります。
「具申書」と「報告書」の違い
「報告書」は、事実・結果・経過などを報告するための文書です。
たとえば、
- 調査結果を報告する
- 事故の経緯を報告する
- 出張内容を報告する
場合です。
一方、具申では、事実を知らせるだけでなく、上位者へ意見・事情などを申し述べる意味があります。
たとえば、
「現在の人員は5名です」
だけなら報告です。
そこから、
「業務量を考えると2名の増員が必要と考えます」
と意見を示し、上位者へ詳しく申し述べるなら、具申的な性格が強くなります。
「具申書」と「申請書」の違い
「申請書」は、行政機関・会社などに対し、許可・承認・給付などを求めて正式に申し出る書類です。
具申書とは目的が異なります。
申請書=自分に必要な許可・承認などを求める
具申書=上位者へ事情・意見などを詳しく申し述べる
と整理できます。
たとえば、
「休暇を取得したいので休暇申請書を提出する」
のは申請です。
「現行制度には問題があるため改善が必要だと上層部へ詳しく申し述べる」
なら具申の意味に近づきます。
「具申書」と「意見書」の違い
「意見書」は、自分・組織などの意見を文章にした書類です。
相手が上位者である必要はありません。
一方、具申には基本的に、上役・上位機関へ申し述べる方向性があります。
したがって、
意見を文書化すること自体が中心 → 意見書
上位者へ事情・意見を詳しく申し述べる → 具申書
という違いがあります。
具申書は会社でも使う?
使うことはできます。
ただし、どの会社でも一般的に「具申書」という名称を使っているわけではありません。
会社によっては、同じような内容でも、
- 上申書
- 稟議書
- 提案書
- 意見書
- 人事申請書
- 報告書
など、別の名称を使用します。
「具申」は比較的硬い言葉なので、組織の規程にないのに日常的な改善提案をわざわざ「具申書」と呼ぶと、大げさに感じられる場合があります。
会社で書類を作る際は、社内規程や既存様式を確認してください。
具申書と稟議書は同じ?
同じではありません。
稟議書は、案件について複数の関係者・上司などへ回覧し、承認・決裁を得るための文書として使われます。
たとえば、
- 設備購入
- 契約締結
- 採用
- 出張
などの承認を得る場面です。
一方、具申書は、上位者へ事情・意見などを詳しく申し述べる書面です。
その結果として上位者の判断を求める場合はありますが、具申書=決裁を回すための稟議書とは限りません。
具申書を書くときの敬語
具申書は正式な業務文書として使用されることが多いため、丁寧な文章が基本です。
ただし、敬語を多用しすぎると内容がわかりにくくなります。
たとえば、
「誠に恐れ入りますが、何卒格別の御配慮を賜りますよう……」
と長く書くより、
「以上の理由から、○○の実施が必要と考えます。」
のように、事実と意見を明確にすることが大切です。
文末は、
- 具申いたします
- ご検討くださいますよう具申いたします
- 以上のとおり具申します
などとまとめられます。
「具申いたします」は二重敬語?
「具申いたします」は、一般的に使用できる丁寧な表現です。
「具申する」という自分側の行為を「いたします」でへりくだって述べています。
ただし、書類名がすでに「具申書」で、本文冒頭でも、
「下記のとおり具申いたします」
と書いている場合、文末まで何度も「具申いたします」を繰り返す必要はありません。
読みやすさを優先しましょう。
具申書を書くときに避けたい文章
感情だけを書く
×「この体制はとても大変なので、何とかしてください。」
これでは判断材料が不足します。
○「過去6か月で業務件数が増加し、現行人員では期限内処理が困難になっています。」
のように具体化します。
結論がわからない
長い経緯を書いた後も、何を求めているのかわからない文章は避けます。
冒頭または最後に具申事項を明確にしましょう。
事実と推測を混ぜる
「○○だと思います」という推測と、実際に確認できている事実は区別して書きます。
指定様式を無視する
最も注意したい点です。
提出先が様式を指定しているのに、自作の具申書を提出すると、手続き上受け付けてもらえない可能性があります。
具申書を書く前に確認すること
実際に具申書を書く必要が生じたら、次の順番で確認するとよいでしょう。
- 本当に書類名は「具申書」なのか
- 指定様式があるか
- 提出者は誰か
- 提出先は誰・どの機関か
- 決裁・承認が必要か
- 添付資料は何か
- 個人情報・機密情報を含むか
- 提出期限があるか
この確認をせず、インターネット上の一般的なテンプレートだけを使うのは避けたほうが安全です。
具申書に押印は必要?
一律には決められません。
押印が必要かどうかは、制度・組織・提出方法によって異なります。
電子申請や電子決裁に対応している手続きでは、紙への押印を必要としない場合もあります。
反対に、組織内部の規程で署名・押印などが定められている場合もあります。
したがって、
「具申書だから必ず印鑑が必要」
という決まりはありません。
具申書はメールで提出できる?
これも制度次第です。
会社内部の簡易な意見具申なら電子メールや社内システムで対応することも考えられます。
一方、正式な人事・行政手続きで指定様式があるなら、その提出方法に従わなければなりません。
書面の名称が「具申書」であっても、
紙なのか、PDFなのか、電子申請なのか
は別の問題です。
具申書に「お願い」を書いてよい?
必要な措置を求めること自体は問題ありません。
ただし、単なる個人的なお願いではなく、
上位者が判断できるだけの事情・理由・根拠を示す
ことが重要です。
たとえば、
「人を増やしてください。」
だけでなく、
「業務量が○%増加し、現行体制では処理期限を維持できないため、1名の増員をご検討いただきたい。」
とすれば、判断材料が明確になります。
具申書の件名はどう書く?
件名だけで内容をある程度把握できるようにするとよいでしょう。
たとえば、
- ○○業務の人員増加に関する具申書
- ○○職員の配置に関する具申書
- ○○制度の見直しに関する具申書
- ○○事業の中止に関する具申書
などです。
ただし、公的な手続きでは「採用具申書」など正式名称が指定されている場合があるため、その場合は正式名称を変更しないようにしてください。
具申書の宛名は誰にする?
基本的には、その案件について判断・処理する上位者または上位機関です。
しかし、
「最終決裁者へ直接提出する」
とは限りません。
たとえば、
担当課 → 部長 → 本部
のような所定の提出経路が設定されていることがあります。
そのため、宛名も所属組織の規程や様式に従う必要があります。
「具申書を上げる」は自然?
職場では、書類を上位者へ提出することについて、
「具申書を上げる」
という言い方をする場合があります。
意味は通じますが、やや口語的な社内表現です。
正式な文章では、
- 具申書を提出する
- ○○について具申する
- 具申書を上位機関へ送付する
などのほうが明確です。
「具申書を作成する」と「具申する」の違い
「具申書を作成する」は、書類を作る行為です。
「具申する」は、上位者に事情・意見を申し述べる行為です。
そのため、
具申書を作成しただけでは、まだ具申が完了していない
場合があります。
作成した具申書を正式な経路で提出することで、実際の具申手続きが進みます。
具申書に関するよくある質問
Q1.具申書とは簡単にいうと何ですか?
上司・上位機関などに対して、事情・意見・理由などを詳しく申し述べるための書面です。
Q2.具申書の読み方は?
「ぐしんしょ」と読みます。
Q3.具申書には何を書きますか?
制度によって異なりますが、一般には具申事項、現状、事情、理由、意見などが含まれます。
指定様式がある場合は、その記載項目に従います。
Q4.具申書に決まったテンプレートはありますか?
全国共通の一つのテンプレートはありません。
手続き・組織ごとに指定様式が設けられていることがあります。
Q5.具申書は会社でも使いますか?
使うことはできますが、すべての会社で一般的な名称とは限りません。
会社によっては上申書、稟議書、提案書などの名称を使います。
Q6.具申書と上申書は同じですか?
意味が非常に近く、重なる場合があります。
一般には「具申」は詳しく申し述べる点、「上申」は上位者へ申し述べる方向を意識すると違いがわかりやすくなります。
Q7.具申書と進言書の違いは?
進言は目上の人へ意見・助言を述べることです。
具申は事情・意見などを詳しく申し述べる意味があります。
また、実際の書類名称は組織の規程によって異なります。
Q8.具申書と報告書の違いは?
報告書は事実・経過・結果などを知らせることが中心です。
具申書は、それらの事情を踏まえて上位者へ意見などを申し述べる性格があります。
Q9.具申書と提案書の違いは?
提案書はアイデアや計画を提示する書類で、相手が上位者とは限りません。
具申書は基本的に上位者・上位機関へ申し述べる文書です。
Q10.具申書と申請書の違いは?
申請書は許可・承認・給付などを求めて申し出る書類です。
具申書は、上位者へ事情・意見などを詳しく申し述べるための書面です。
Q11.具申書には敬語が必要?
正式な文書として丁寧な書き方が適していますが、敬語を多用するより、事実・理由・意見を簡潔に明確に書くことが重要です。
Q12.「具申いたします」は正しい?
正しい丁寧な表現です。
「下記のとおり具申いたします」などと使えます。
Q13.具申書には押印が必要?
一律には決まっていません。
提出先の規程・様式を確認してください。
Q14.具申書は部下から上司に出すもの?
基本的には下位側から上位側へ申し述べる性格がありますが、具体的な提出者・提出先は制度によって決まります。
Q15.具申書は自分で自由に書いてよい?
指定様式がない場合は組織内の慣例などに沿って作成できますが、まず指定様式・規程の有無を確認することが重要です。
Q16.具申書は必ず意見を書かなければならない?
用途によります。
制度上の具申書では、人事情報など所定事項を記載する様式になっているケースもあります。
「具申=必ず自由作文で意見を書く」と考えないようにしましょう。
まとめ
「具申書」とは、上役・上位機関などに対して、事情・事実・意見・理由などを詳しく申し述べるために作成される書面です。
簡単にいえば、
具申書=上位者に事情や意見を詳しく伝える書類
と考えるとわかりやすいでしょう。
ただし、最も重要なのは、
「具申書」という全国共通の書式があるわけではない
ということです。
実際には、
- 採用具申書
- 退職具申書
- 任用・雇用具申書
- 人事関係の具申書
- 研究中断具申書
など、さまざまな制度上の具申書があります。
そのため、実務では、
「具申書とは一般的にどう書くか」よりも、「自分が提出する制度ではどの様式を使うことになっているか」
を確認することが最優先です。
また、似た書類との違いを整理すると、
- 具申書:上位者へ事情・意見などを詳しく申し述べる
- 上申書:上位者・上位機関へ事情や意見などを申し述べる
- 進言:目上の人へ意見・助言を述べる
- 提案書:アイデア・計画・改善策などを提示する
- 報告書:事実・結果・経過などを報告する
- 申請書:許可・承認などを求めて正式に申し出る
- 稟議書:案件を回覧し、承認・決裁を得る
となります。
具申書を書く必要が生じたら、まず、
指定様式 → 提出先 → 必要項目 → 添付資料 → 提出経路
の順番で確認してください。
指定様式がない場合には、
具申事項 → 現状・事実 → 理由・背景 → 意見・求める対応
という順序を意識すると、上位者が判断しやすい具申書を作成できます。
参考リンク・出典
-
コトバンク「具申」
具申(グシン)とは? 意味や使い方 - コトバンクデジタル大辞泉 - 具申の用語解説 - [名](スル)詳しく申し述べること。特に、上役や上位の機関に対して意見や事情を詳しく述べること。「改革案を具申する」建議・献策・上申・献言・進言・答申・建白・建言・申し立てる・物申す -
コトバンク「上申」
上申(ジョウシン)とは? 意味や使い方 - コトバンクデジタル大辞泉 - 上申の用語解説 - [名](スル)意見を上の者に申し述べること。具申。「改革案を上申する」「上申書」建議・献策・具申・献言・進言・答申・建白・建言・申し立てる・物申す -
千葉県「具申書(採用・配置換・退職)」
具申書(採用・配置換・退職) -
千葉県「答申第534号」
https://www.pref.chiba.lg.jp/shinjo/jouhoukoukai/shingikai/jouhou-shinsa/toushin/documents/tousin534.pdf -
厚生労働省「高度医療評価会議 資料」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001phux-att/2r9852000001pi18.pdf -
特許庁「上申書:特許」
上申書:特許
