「第一志望の企業から内々定をもらった」「正式な内定通知が届いた」など、「内定」と「内々定」は就職活動でよく使われる言葉です。
どちらも企業が応募者を採用する意思を伝える場面で使われますが、具体的には何が違うのでしょうか。
結論からいうと、「内定」は採用することが正式に決まった状態を指す場合が多く、「内々定」は正式な内定に先立って、採用する予定であることを伝える場合によく使われます。
ただし、内定と内々定を単に通知の時期だけで区別することはできません。特に重要なのが、企業と応募者の間で労働契約が成立しているかどうかという点です。
一般的な採用内定では、入社日を将来の一定の日とし、特定の取消事由が生じた場合に契約を解約できる条件を付けた労働契約が成立していると判断されることがあります。一方、内々定では、まだ労働契約の成立に至っていない場合が多いとされています。
もっとも、企業が「内々定」と呼んでいても、実際の通知内容や採用手続きによっては、法的に採用内定と同じように扱われる可能性があります。
この記事では、内定と内々定の意味や違いを比較表で整理し、労働契約の成立、辞退、取り消し、内定式との関係、企業への返信方法などを具体例とともに解説します。
- 「内定」と「内々定」の違い【結論】
- 【徹底比較】「内定」と「内々定」の違いを比較表で整理
- 「内定」とは?意味と正しい使い方
- 「内々定」とは?意味と正しい使い方
- 「内定」と「内々定」の決定的な違い
- 【実践】内々定から入社までの一般的な流れ
- 内定・内々定の辞退はできる?
- 企業による内定・内々定の取り消しは認められる?
- 【実践】内定・内々定の連絡で使えるビジネス表現
- 「内定」「内々定」と似た言葉の違い
- 内定・内々定をめぐるトラブルを防ぐための5つのポイント
- 「内定」と「内々定」の3秒判定
- よくある間違いと注意点
- 「内定」と「内々定」の例文12選
- FAQ|「内定」と「内々定」のよくある質問
- まとめ|内定と内々定は、正式な意思表示と労働契約の成立状況が重要
- 参考資料・出典
「内定」と「内々定」の違い【結論】
就職活動で使われる「内定」と「内々定」は、どちらも企業が応募者に対して採用する意思を伝える言葉です。ただし、一般的には次のような違いがあります。
- 内定:企業が採用する意思を正式に通知した状態。個別の事情によっては、既に労働契約が成立していると認められる。
- 内々定:正式な内定に先立ち、採用する予定であることを応募者に伝えた状態。一般的には、まだ労働契約が成立していない場合が多い。
例えば、大学生が採用面接を終え、企業の採用担当者から次のように伝えられたとします。
「選考の結果、ぜひ当社に入社していただきたいと考えています。正式な内定通知は後日お送りします。」
このような通知は、企業の運用上、「内々定」と呼ばれることがあります。
その後、企業から正式な採用内定通知が届き、入社予定日や労働条件などが明らかになる場合があります。
ただし、「内々定だから契約は絶対に成立していない」「内定通知書が届いたら必ず契約成立」という一律の区別はできません。
法律上の扱いは、通知の名称だけでなく、当事者の意思表示やその後に予定されている手続きなどを踏まえて判断されます。
【徹底比較】「内定」と「内々定」の違いを比較表で整理
| 比較項目 | 内定 | 内々定 |
|---|---|---|
| 読み方 | ないてい | ないないてい |
| 就職活動での一般的な意味 | 企業が採用することを正式に決め、通知した状態 | 正式な内定に先立ち、採用する予定であると伝えた状態 |
| 企業からの意思表示 | 採用するという正式な意思表示である場合が多い | 正式な内定を出す予定であるという意思表示である場合が多い |
| 労働契約 | 既に成立していると認められる場合が多い | まだ成立していない場合が多い |
| 法的効力 | 労働契約の成立が認められれば、その契約に応じた法的効力が生じる | 契約の成立状況や採用への期待を生じさせた事情などによって異なる |
| 取り消し | 労働契約が成立していれば、解雇に関する法律上の制限が問題となる | 解雇に当たらない場合もあるが、不当な取り消しによって損害賠償責任が生じる可能性もある |
| 辞退 | 原則として可能。ただし、契約関係や辞退の経緯に応じた配慮が必要 | 原則として可能。個別の事情に応じた配慮が必要 |
| 通知方法 | 書面、メール、口頭など | 書面、メール、口頭など |
| 入社予定日 | 具体的に示される場合が多い | 予定として示される場合もある |
| 共通点 | 企業が応募者に採用の意思や予定を伝える場面で使われ、名称だけで法的な扱いは確定しない | |
この表は、厚生労働省が示す一般的な考え方を踏まえ、就職活動での代表的な違いを整理したものです。
内定と内々定は法律で統一的に定義された用語ではありません。具体的な法的効力については、それぞれの通知内容や採用の経緯を確認する必要があります。
「内定」とは?意味と正しい使い方
内定は、正式な採用の意思を伝える場合によく使われる
「内定」は、一般的には、最終的な決定や正式な発表に先立って、物事が内部的に決まっていることを意味します。
就職活動では、企業が応募者を採用する意思を正式に伝えた状態を「採用内定」と呼ぶのが一般的です。
例えば、企業の最終面接を通過し、採用担当者から採用内定通知書が送られてきた場合、「企業から内定をもらった」と表現できます。
ただし、内定という言葉は、採用以外の場面でも使われます。
例えば、役員人事について、正式な決定や発表に先立って候補者が内定したと表現する場合があります。
この記事では、主に就職活動における採用内定について解説します。
採用内定によって労働契約が成立する場合がある
採用内定の法的な性格は、採用手続きの内容などによって異なります。
厚生労働省は、採用内定について、入社日を将来の一定の日とし、特定の取消事由が生じた場合に解約できる条件を付けた労働契約が成立した状態を指すことが多いと説明しています。
このような契約は、「始期付解約権留保付労働契約」と呼ばれます。
難しい言葉ですが、簡単に整理すると、次のような契約です。
- 実際に働き始める日が、将来の一定の日に定められている。
- 採用内定の段階で、労働契約が成立している。
- あらかじめ想定された一定の事情について、解約する権利が留保されている。
ただし、取消事由が記載されていれば、企業が自由に内定を取り消せるという意味ではありません。
労働契約が成立していると認められる場合、内定取消しには解雇に関する法律上の制限が問題となります。
内定通知書は重要だが、書面の有無だけで判断できない
採用内定を受けると、企業から内定通知書などの文書が送られてくる場合があります。
通知書には、入社予定日や今後の手続きなどが記載されることがあります。
しかし、内定通知書がなければ、労働契約が絶対に成立しないというわけではありません。
企業からの口頭での通知や、メールでのやり取りなども含め、採用に関する当事者の意思表示や、その後に予定されている手続きなどを踏まえて判断されます。
重要な連絡については、通知内容や日時を確認し、メールなどの記録を保存しておくとよいでしょう。
「内定」の例文
- 第一志望の企業から採用内定の通知が届いた。
- 内定後の手続きについて、人事担当者から案内を受けた。
- 複数の企業から内定を受け、入社先を検討している。
- 内定通知書に記載された入社予定日を確認した。
- 家庭の事情が変わったため、内定の辞退について企業に相談した。
「内々定」とは?意味と正しい使い方
内々定は、正式な内定に先立って採用予定を伝える場合に使う
「内々定」は、正式な採用内定に先立って、企業が応募者に採用する予定であることを伝える場合に使われる言葉です。
例えば、企業の採用担当者から、「選考を通過しました。正式な内定通知は後日お送りしますが、ぜひ入社していただきたいと考えています」と伝えられた場合です。
企業によっては、このような段階を内々定と呼びます。
ただし、内々定の通知方法や、その後に予定されている手続きは企業によって異なります。
すべての企業が内々定という段階を設けているわけでもありません。
内々定では、一般的に労働契約が成立していない場合が多い
厚生労働省は、採用の内々定について、内定の段階に比べ、労働契約を締結したという認識にはまだ至っていない場合が多いと説明しています。
そのため、一般的な内々定では、正式な採用内定を通知する前の段階として扱われることがあります。
しかし、「内々定」と呼ばれているからといって、労働契約が絶対に成立していないとはいえません。
例えば、企業と応募者の間で採用についての意思表示が完了しており、正式な内定通知が単なる確認の手続きにとどまるような場合には、個別の事情によって労働契約の成立が認められる可能性があります。
内々定にも法的な問題が生じることがある
労働契約が成立していない場合でも、企業が採用を強く期待させ、その期待に基づいて応募者が行動していた場合には、企業が一方的に内々定を取り消すことで法的な問題が生じる可能性があります。
厚生労働省も、内々定の段階であっても、個別の事情によっては、採用への期待を不当に侵害したとして損害賠償責任が認められる場合があると説明しています。
つまり、「まだ内々定だから、企業は理由を問わず自由に取り消せる」という理解は正確ではありません。
「内々定」の例文
- 最終面接の翌日に、採用担当者から内々定の連絡を受けた。
- 正式な内定通知に先立ち、内々定をいただいた。
- 内々定後の手続きについて、企業に確認した。
- 別の企業からも内々定を受けたため、入社先を検討している。
- 内々定を辞退することになり、採用担当者に連絡した。
「内定」と「内々定」の決定的な違い
違い1:正式な採用の意思表示か、採用予定の通知か
就職活動での一般的な使い方では、内定は、企業が採用する意思を正式に伝える段階で使用されます。
一方、内々定は、正式な内定に先立って、採用する予定であることを伝える段階で使用されることが多い言葉です。
例えば、面接後の電話で採用予定を伝え、その後に正式な内定通知を送るという運用を行う企業もあります。
ただし、これは一般的な運用例であり、すべての企業に共通する手続きではありません。
違い2:労働契約の成立状況が異なる場合が多い
法律上の扱いについて考える場合には、内定と内々定という名称だけではなく、労働契約が成立しているかどうかが重要です。
採用内定では、既に労働契約が成立していると認められる場合が多い一方、内々定では、まだ契約成立に至っていない場合が多いとされています。
ただし、内々定という名称であっても、実際には労働契約が成立していると判断される可能性があります。
そのため、具体的な法的効力を判断するには、企業の通知内容や応募者の承諾、採用手続きの進み具合などを確認する必要があります。
違い3:取り消しの法的な扱いが異なる場合がある
採用内定によって労働契約が成立している場合、企業が内定を取り消す行為は、解雇として扱われることがあります。
そのため、労働契約法第16条に基づき、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められない取消しは、無効となる場合があります。
一方、一般的な内々定の段階では、労働契約が成立していなければ、取消しが解雇に当たらない場合があります。
しかし、内々定でも、採用への期待を不当に侵害する取消しが行われた場合には、損害賠償責任が問題となることがあります。
したがって、どちらの段階であっても、取消しの可否を名称だけで判断することはできません。
【実践】内々定から入社までの一般的な流れ
企業によって採用手続きは異なりますが、新卒採用では、内々定から正式な内定、入社へと進む場合があります。
ステップ1:採用選考を受ける
応募者は、エントリーシートの提出や筆記試験、面接など、企業が定めた採用選考を受けます。
選考方法や回数は、企業や採用区分によって異なります。
ステップ2:企業から内々定の連絡を受ける
企業が応募者を採用したいと考え、正式な内定に先立って、その予定を連絡する場合があります。
この段階を「内々定」と呼ぶ企業があります。
通知は電話やメール、書面など、さまざまな方法で行われます。
連絡を受けた際には、正式な内定通知がいつ頃行われる予定なのか、今後必要な手続きがあるのかなどを確認しておくとよいでしょう。
ステップ3:正式な内定通知を受ける
企業が正式な採用内定を通知する段階です。
企業によっては、内定通知書を送付したり、内定式を開催したりする場合があります。
ただし、内定式に出席したかどうかだけで、労働契約の成立が判断されるわけではありません。
また、正式な内定通知より前に、既に労働契約が成立していると判断される場合もあります。
ステップ4:入社前の手続きを行う
内定後は、入社に必要な書類の提出や、労働条件の確認などが行われる場合があります。
入社予定日や勤務場所、賃金などの重要な事項について、企業から示された内容を確認しましょう。
説明された条件が当初の案内と異なる場合や、不明な点がある場合には、採用担当者に確認することが大切です。
ステップ5:予定された日に入社する
企業と応募者の間で予定された入社日を迎え、実際に働き始めます。
ただし、入社日が将来に定められているからといって、その日まで労働契約が一切成立しないわけではありません。
採用内定の法的な扱いを考える際には、契約が成立した時点と、実際に働き始める時点を区別しましょう。
内定・内々定の辞退はできる?
内定辞退は原則として可能
内定を受けた後に、ほかの企業へ入社することを決めたり、家庭の事情などで就職を見送ったりする場合があります。
このような場合、内定辞退を申し出ることは原則として可能です。
ただし、既に労働契約が成立している場合には、契約の終了に関する法律上のルールが関係します。
また、辞退までの経緯や企業とのやり取りによっては、信義則上の問題が生じる可能性もあります。
厚生労働省も、内定辞退は基本的に可能である一方、極端に信義に反するような場合には、損害賠償が問題となる可能性があると説明しています。
辞退することが決まった場合は、相手企業の採用活動への影響も考慮し、できるだけ早く連絡することが望ましいでしょう。
内々定の辞退も原則として可能
一般的な内々定では、正式な労働契約がまだ成立していない場合が多いため、内々定を辞退することも原則として可能です。
ただし、内々定という名称でも、個別の事情によって既に労働契約が成立していると判断される場合があります。
また、契約が成立していない場合でも、連絡の仕方や経緯によってトラブルが生じる可能性があります。
内々定を辞退する場合も、正式な内定の辞退と同様に、早めに採用担当者へ連絡することが大切です。
企業への辞退連絡は、簡潔かつ丁寧に行う
辞退を伝える場合には、辞退する意思を明確にし、これまで選考に時間を割いてもらったことへの感謝を伝えるとよいでしょう。
例えば、メールでは次のように表現できます。
「このたびは、採用内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。慎重に検討を重ねた結果、誠に勝手ながら、今回の内定を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。」
辞退する理由については、状況に応じて簡潔に説明します。
ただし、具体的な連絡方法や必要な手続きについては、企業から案内されている内容も確認しましょう。
企業による内定・内々定の取り消しは認められる?
労働契約が成立している内定の取り消しには制限がある
採用内定によって労働契約が成立している場合、企業による内定取消しは、解雇として扱われることがあります。
この場合、企業が自由に取り消せるわけではありません。
厚生労働省は、内定取消しが有効とされるのは、原則として、内定当時に知ることができず、知ることも期待できなかった事実などを理由とし、取消しが客観的に合理的で、社会通念上相当と認められる場合に限られると説明しています。
例えば、企業の経営状況が悪化したからといって、その理由だけで、すべての内定取消しが正当化されるわけではありません。
具体的な事情によって判断が異なるため、内定取消しを受けた場合には、通知内容や理由などを確認することが重要です。
内々定の取り消しでも法的な責任が生じる場合がある
一般的な内々定の段階では、労働契約がまだ成立していない場合が多いため、取消しが解雇に当たらないことがあります。
しかし、内々定であっても、採用の意思表示や応募者とのやり取りなどによって、法的に採用内定と判断される場合があります。
また、労働契約が成立していない場合でも、企業が採用への強い期待を生じさせ、その期待を不当に侵害するような取消しを行ったときには、損害賠償責任が問題となることがあります。
そのため、「内々定なら自由に取り消せる」という説明は適切ではありません。
取り消しを受けた場合は、通知内容と理由を確認する
企業から内定や内々定を取り消すという連絡を受けた場合には、まず通知の内容や理由を確認しましょう。
可能であれば、採用に関するメールや通知書、労働条件についての資料などを整理しておくことが重要です。
また、企業から説明された理由と、実際に示されていた採用条件との関係などについて、不明な点がある場合は確認が必要です。
連絡内容を正確に確かめる際には、「確認」と「検証」の違いも参考になります。
法的な問題が疑われる場合には、都道府県労働局の総合労働相談コーナーなど、公的な相談窓口を利用する方法もあります。
【実践】内定・内々定の連絡で使えるビジネス表現
内々定の連絡を受けた場合
企業から内々定の連絡を受けた場合は、感謝を伝えるとともに、必要に応じて今後の手続きを確認します。
例えば、次のように表現できます。
「このたびは、内々定のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。今後の手続きについて、引き続きよろしくお願いいたします。」
なお、企業から回答期限が示されている場合は、期限や回答方法を確認しましょう。
内定通知を受けた場合
正式な内定通知を受けた場合も、まず感謝を伝えるのが自然です。
例えば、次のように表現できます。
「このたびは、採用内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。入社に向けて準備を進めてまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。」
ただし、まだ労働条件などについて検討したい事項がある場合には、入社を確約するような文章を書く前に、必要な情報を確認することが大切です。
内定通知を受けた後、条件を確認したい場合
入社予定日や勤務場所、賃金などについて確認したい場合は、採用担当者に問い合わせることができます。
例えば、次のような文章です。
「採用内定のご連絡をいただき、ありがとうございます。入社に向けた準備のため、勤務開始日と勤務地について確認させていただけますでしょうか。」
相手からの連絡を理解したことを伝えるだけなのか、その内容を正式に認めることまで意味するのかによって、適切な表現は異なります。
関連する表現については、「承認」と「了承」の違いも参考になります。
内定を辞退する場合
辞退を決めた場合は、意思を曖昧にせず、丁寧に伝えましょう。
例えば、次のように表現できます。
「このたびは採用内定をいただき、誠にありがとうございました。大変恐縮ですが、慎重に検討した結果、今回の内定を辞退させていただきたく存じます。」
企業からの案内に従い、電話やメールなどで連絡します。
ただし、企業から不適切な働きかけを受けている場合や、辞退に伴う法的な問題が生じている場合には、必要に応じて公的な相談窓口などに相談しましょう。
「内定」「内々定」と似た言葉の違い
「採用」との違い
「採用」は、人を雇い入れることや、必要な人材として選ぶことを意味します。
一方、採用内定は、将来の入社について、企業が採用する意思を通知した状態を指す場合が多い言葉です。
例えば、「新しい社員を採用する」という文章は、人を雇い入れること全般を表します。
一方、「来年4月入社予定者に採用内定を通知した」という文章では、将来の入社について正式な意思表示を行ったことが中心です。
「内定通知」との違い
「内定通知」は、企業が応募者に採用内定を知らせること、またはその通知です。
一方、「内定」は、一般的には採用することが正式に決まった状態を指します。
例えば、「内定を受けた」という文章は採用内定の状態を表し、「内定通知が届いた」という文章は、その内容を知らせる連絡や文書について述べています。
ただし、通知の名称や形式だけで、労働契約の成立時点が必ず決まるわけではありません。
「採用予定」との違い
「採用予定」は、今後採用する見込みや計画があることを表します。
内々定と近い意味で使われる場合もありますが、採用予定という言葉だけでは、特定の応募者に採用の意思を伝えているかどうかまでは明確ではありません。
例えば、「来年度は新卒者を10人採用予定です」という文章では、企業全体の採用計画を表しています。
一方、「応募者に内々定を通知した」という文章では、特定の応募者に採用の意思や予定を伝えていることが中心です。
「採用決定」との違い
「採用決定」は、採用することを決めたという意味で使われる表現です。
ただし、企業内部で採用を決定した段階なのか、応募者本人に正式な通知を行った段階なのかは、文脈によって異なります。
そのため、「採用決定」という言葉だけで、労働契約が成立したと断定することはできません。
就職活動で重要な連絡を受けた場合は、その言葉の意味だけでなく、具体的な通知内容を確認することが大切です。
「取消し」と「撤回」の違い
一般的な日本語では、「取消し」は、いったん行った行為などを取り消すこと、「撤回」は、いったん示した意思や決定などを取り下げることを意味します。
就職活動では、企業が採用内定を取りやめる場合、「内定取消し」という表現が広く使われています。
一方、応募者が自分から内定を受けないことを伝える場合には、通常「内定辞退」と表現します。
なお、法律上の取消しや撤回には専門的な意味があるため、具体的な法的効果については、一般的な日本語の意味と区別する必要があります。
「辞退」と「退職」の違い
「辞退」は、勧められたことや与えられた機会などを遠慮して断ることです。
就職活動では、内定や内々定を受けた後に、入社しない意思を伝える場合、「内定辞退」「内々定辞退」と表現します。
一方、「退職」は、勤めていた職を辞めることです。
ただし、内定によって既に労働契約が成立している場合には、辞退の法的な扱いについて、契約の終了に関するルールが関係することがあります。
内定・内々定をめぐるトラブルを防ぐための5つのポイント
1. 企業からの連絡内容を保存する
採用に関する重要な連絡を受けた場合は、メールや通知書などを保存しておくとよいでしょう。
電話で連絡を受けた場合は、日時や担当者、伝えられた内容を記録しておく方法があります。
特に、正式な内定通知の予定や入社日、労働条件などについては、内容を正確に把握することが大切です。
2. 今後予定されている手続きを確認する
内々定の連絡を受けた場合は、その後どのような手続きが予定されているのか確認しましょう。
例えば、正式な内定通知の時期、必要書類、回答期限などについて、企業から案内されている内容を確認する方法があります。
ただし、企業によって採用手続きは異なるため、ほかの企業と同じ流れで進むとは限りません。
3. 労働条件に不明な点があれば確認する
入社後の仕事内容や勤務地、賃金、勤務時間などは、就職先を選ぶうえで重要な事項です。
企業から示された労働条件に不明な点がある場合は、採用担当者などに確認しましょう。
内定を受けたという理由だけで、不明な条件をそのままにしておく必要はありません。
4. 辞退する場合は、できるだけ早く連絡する
内定や内々定を辞退することが決まった場合は、できるだけ早く企業へ連絡することが望ましいでしょう。
採用人数の調整や、ほかの応募者への連絡など、企業側にも必要な対応があるためです。
ただし、企業から不適切な要求を受けた場合など、個別の事情によっては、専門家への相談が必要になることもあります。
5. 取り消しなどの問題が生じた場合は相談する
企業から内定や内々定の取り消しを通知された場合には、まず通知内容や理由を確認しましょう。
企業との話し合いだけでは解決できない場合は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーなどを利用する方法があります。
また、就職活動中の学校の学生であれば、学校のキャリアセンターなどに相談することも考えられます。
問題が発生した際の具体的な働きかけについては、「対応」と「対処」の違いも参考になります。
「内定」と「内々定」の3秒判定
どちらの言葉を使うか迷った場合は、次の表を参考にしてください。
| 伝えたい内容 | 使いやすい言葉 |
|---|---|
| 正式な採用内定通知を受けた | 内定 |
| 正式な内定に先立ち、採用予定の連絡を受けた | 内々定 |
| 内定通知書が届いた | 内定 |
| 企業が正式な内定を出す予定だと伝えた | 内々定 |
| 採用することを社内で決めたが、本人には未通知 | 採用決定・採用予定など、状況に応じた表現 |
| 採用に向けた評価が続いている | 選考中 |
| 本人から入社しないことを伝える | 内定辞退・内々定辞退 |
| 企業が採用の意思表示を取りやめる | 内定取消し・内々定取消し |
ただし、この表は一般的な言葉の使い分けを示したものです。労働契約が成立しているかどうかは、名称だけでは判断できません。
よくある間違いと注意点
「内々定には法的効力がない」と断定しない
一般的な内々定では、まだ労働契約が成立していない場合が多いとされています。
しかし、企業からの通知内容や、その後のやり取りなどによっては、内々定という名称であっても、法的に採用内定と判断される可能性があります。
また、契約が成立していない場合でも、企業による不当な取消しが損害賠償の問題につながることがあります。
「内定通知書があれば必ず契約成立」と考えない
内定通知書は、採用の意思表示を確認するうえで重要な資料です。
しかし、労働契約の成立については、通知書の名称や有無だけでなく、採用に関する当事者の意思表示や、今後予定されている手続きなどを踏まえて判断されます。
書面が届いたという事実だけで、すべての法的効果を判断しないようにしましょう。
内定辞退と企業による内定取消しを混同しない
「内定辞退」は、応募者本人が入社しない意思を伝えることです。
一方、「内定取消し」は、企業が採用内定を取りやめることです。
どちらが意思表示を行うのかが異なるため、同じ言葉として扱うことはできません。
また、労働契約が成立している場合には、それぞれの法的な扱いも異なります。
内定式に参加しなければ内定が成立しないとは限らない
企業によっては、入社予定者を集めて内定式を開催する場合があります。
しかし、内定式への参加は、労働契約の成立に必ず必要となる手続きではありません。
正式な内定通知が行われた時期や、その内容などによっては、内定式より前に労働契約が成立していると判断される場合があります。
「内定」と「内々定」の例文12選
「内定」を使った例文
- 第一志望の企業から採用内定の通知が届いた。
- 内定後の手続きについて、人事担当者から案内を受けた。
- 複数の企業から内定を受け、入社先を検討している。
- 内定通知書に記載された入社予定日を確認した。
- 内定式に参加し、入社予定者と交流した。
- 事情が変わったため、内定辞退について企業に連絡した。
「内々定」を使った例文
- 最終面接の翌日に、採用担当者から内々定の連絡を受けた。
- 正式な内定通知に先立ち、内々定をいただいた。
- 内々定後の手続きについて、企業に確認した。
- 別の企業からも内々定を受けたため、入社先を検討している。
- 内々定者向けの説明会に参加した。
- 内々定を辞退することになり、採用担当者に連絡した。
FAQ|「内定」と「内々定」のよくある質問
Q1. 「内定」と「内々定」は同じ意味ですか?
同じ意味ではありません。一般的には、内定は企業が採用する意思を正式に伝えた状態、内々定は正式な内定に先立って採用する予定であることを伝えた状態を指します。ただし、法的な扱いは、名称だけではなく、通知内容や採用手続きなどによって判断されます。
Q2. 内々定をもらったら、必ず正式な内定がもらえますか?
必ずしもそうではありません。企業から内々定の連絡を受けた場合でも、その後の事情によって正式な内定に至らない可能性があります。ただし、企業による内々定の取消しが、個別の事情によって法的な問題となる場合もあります。
Q3. 内々定にも法的効力はありますか?
個別の事情によって異なります。一般的な内々定では、まだ労働契約が成立していない場合が多いとされています。しかし、通知内容などによっては、法的に採用内定と判断される可能性があります。また、労働契約が成立していなくても、不当な取消しについて損害賠償責任が問題となる場合があります。
Q4. 内定を辞退することはできますか?
原則として可能です。ただし、既に労働契約が成立している場合には、契約の終了に関する法律上のルールが関係します。辞退することが決まった場合は、できるだけ早く企業に連絡することが望ましいでしょう。
Q5. 内々定を辞退する場合も、企業に連絡する必要がありますか?
はい。内々定を辞退することが決まった場合も、企業に意思を伝えることが大切です。採用担当者が今後の手続きを進めている可能性があるため、できるだけ早く、丁寧に連絡しましょう。
Q6. 企業は内定を自由に取り消せますか?
自由に取り消せるわけではありません。内定によって既に労働契約が成立している場合には、内定取消しが解雇として扱われ、法律上の制限が問題となります。客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない取消しは、無効となる場合があります。
Q7. 内々定なら、企業は自由に取り消せますか?
必ずしもそうではありません。一般的な内々定では、まだ労働契約が成立していない場合が多いものの、個別の事情によっては採用内定と認められる可能性があります。また、採用への期待を不当に侵害するような取消しが行われた場合には、損害賠償責任が問題となることがあります。
Q8. 内定式の前でも、正式な内定が成立することはありますか?
あります。内定式は、必ずしも労働契約の成立に必要な手続きではありません。内定式より前に、企業と応募者の間で労働契約が成立していると判断される場合もあります。
Q9. 内定や内々定の取り消しで困った場合、どこに相談できますか?
都道府県労働局の総合労働相談コーナーなど、公的な相談窓口を利用する方法があります。また、学生であれば、学校のキャリアセンターなどに相談することも考えられます。相談する際には、企業からの通知やメールなど、経緯がわかる資料を整理しておくとよいでしょう。
まとめ|内定と内々定は、正式な意思表示と労働契約の成立状況が重要
「内定」と「内々定」は、どちらも企業が応募者に採用の意思や予定を伝える場面で使われますが、一般的には次のような違いがあります。
- 内定:企業が採用する意思を正式に伝えた状態。個別の事情によっては、労働契約が既に成立していると認められる。
- 内々定:正式な内定に先立って、採用する予定であることを伝えた状態。一般的には、まだ労働契約が成立していない場合が多い。
- 共通点:どちらも企業が採用の意思や予定を伝える言葉であり、名称だけで法的な扱いが決まるわけではない。
就職活動での一般的な使い分けでは、正式な採用の意思表示を受けた場合は「内定」、正式な内定に先立って採用予定を伝えられた場合は「内々定」が自然です。
ただし、最も重要なのは、企業が使った言葉だけではなく、実際の通知内容や採用手続きです。
内定や内々定の連絡を受けた場合は、入社予定日や今後の手続き、労働条件などを確認し、不明な点があれば企業に問い合わせましょう。取り消しなどの問題が生じた場合には、必要に応じて公的な相談窓口を利用することも大切です。
参考資料・出典
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厚生労働省|採用の内定・内々定について、取消や辞退する場合の注意点
採用内定と内々定の法的な違い、労働契約の成立、企業による取消し、応募者による辞退について確認できます。
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厚生労働省|内定や内々定を取り消すときの留意点
事業主向けに、内定と内々定の法的な扱いや、取消しに関する注意点が解説されています。
-
厚生労働省|採用内定の取消しに関する裁判例
採用内定による労働契約の成立や、内定取消しが認められる条件について、裁判例を基に確認できます。
