「再就職手当」と「就業促進定着手当」の違いとは?支給条件・計算方法・申請期限を徹底解説

「失業保険を最後まで受け取る前に就職したら損をする?」「再就職後の給与が前の会社より下がった場合、追加の給付金はある?」など、退職後の再就職について考える際、気になるのが雇用保険の給付制度です。

雇用保険には、失業中に受け取る基本手当だけでなく、早期の再就職を支援するための「再就職手当」や、再就職後の賃金低下を補う「就業促進定着手当」があります。

どちらも再就職に関係する給付金ですが、対象となる人や支給条件、金額の計算方法、申請する時期が異なります。

結論からいうと、「再就職手当」は基本手当の支給日数を一定以上残して安定した職業に就いた場合の給付、「就業促進定着手当」は再就職手当を受給した人が同じ再就職先で6か月以上働き、離職前より賃金が低下した場合の追加給付です。

例えば、失業保険を受けている途中で新しい会社に就職した場合、基本手当の支給残日数などの条件を満たせば、再就職手当を受け取れる可能性があります。

さらに、その会社で6か月以上働き、以前の会社より賃金が下がっていた場合には、就業促進定着手当の対象となる可能性があります。

この記事では、二つの給付金の違いを比較表で整理し、支給残日数による60%・70%の違い、2026年の上限額、就業促進定着手当の計算方法、申請期限、転職した場合の扱いまで詳しく解説します。

  1. 「再就職手当」と「就業促進定着手当」の違い【結論】
  2. 【徹底比較】「再就職手当」と「就業促進定着手当」の違いを比較表で整理
  3. 「再就職手当」とは?意味と支給条件
    1. 再就職手当は、基本手当を残して早期に再就職した場合の給付
    2. 支給残日数は所定給付日数の3分の1以上必要
    3. 安定した職業に就く必要がある
    4. 待期期間中の就職や以前の勤務先への再就職に注意
    5. 「再就職手当」の例文
  4. 「就業促進定着手当」とは?意味と支給条件
    1. 就業促進定着手当は、再就職後の賃金が下がった場合の追加給付
    2. 再就職手当を受給していることが必要
    3. 同じ事業主の下で6か月以上雇用される必要がある
    4. 「就業促進定着手当」の例文
  5. 再就職手当はいくらもらえる?60%と70%の違い
    1. 例1:120日のうち80日を残して就職した場合
    2. 例2:120日のうち40日を残して就職した場合
  6. 【2026年8月改定】再就職手当の計算に使う基本手当日額の上限
  7. 就業促進定着手当はいくらもらえる?計算方法と上限額
    1. 基本的には、離職前と再就職後の賃金日額の差から計算する
    2. 2025年4月1日以降に再就職した場合の上限は20%
    3. 計算例:離職前より1日当たり1,000円賃金が下がった場合
  8. 再就職手当と就業促進定着手当は両方もらえる?
  9. 申請期限の違い|再就職手当は1か月、就業促進定着手当は6か月経過後
    1. 再就職手当は、原則として就職日の翌日から1か月以内
    2. 就業促進定着手当は、再就職から6か月経過した後に申請する
    3. 必要書類の違い
  10. 【実践】再就職手当と就業促進定着手当が関係する5つの場面
    1. 場面1:失業保険を受け始めて間もなく再就職した
    2. 場面2:再就職した会社の給与が前職より低かった
    3. 場面3:再就職後3か月で別の会社へ転職した
    4. 場面4:再就職後の給与が前職より高くなった
    5. 場面5:再就職後に給与制度が変更された
  11. 就業促進定着手当を申請する前の5つの確認ポイント
    1. 1. 再就職手当を受け取っているか
    2. 2. 再就職先で6か月以上継続して働いているか
    3. 3. 離職前より賃金が低下しているか
    4. 4. 出勤簿や給与明細を準備する
    5. 5. 申請期間を確認する
  12. 再就職手当と基本手当は、どちらも受け取れる?
  13. 「再就職手当」「就業促進定着手当」と似た言葉の違い
    1. 「基本手当」との違い
    2. 「就業手当」との違い
    3. 「常用就職支度手当」との違い
    4. 「高年齢再就職給付金」との違い
  14. 「再就職手当」と「就業促進定着手当」の3秒判定
  15. よくある間違いと注意点
    1. 「再就職すれば誰でも再就職手当をもらえる」は誤り
    2. 「就業促進定着手当は、6か月働けば必ずもらえる」は誤り
    3. 「再就職手当と就業促進定着手当は同時に申請する」は誤り
    4. 「就業促進定着手当は以前のように最大40%もらえる」は現在の制度では原則として誤り
    5. 「基本手当日額が9,000円なら、再就職手当も9,000円で計算する」は誤り
  16. 「再就職手当」と「就業促進定着手当」の例文12選
    1. 「再就職手当」を使った例文
    2. 「就業促進定着手当」を使った例文
  17. FAQ|「再就職手当」と「就業促進定着手当」のよくある質問
    1. Q1. 再就職手当と就業促進定着手当は同じ制度ですか?
    2. Q2. 再就職手当はいくらもらえますか?
    3. Q3. 再就職手当は、いつまでに申請すればよいですか?
    4. Q4. 就業促進定着手当は、いつ申請できますか?
    5. Q5. 二つの手当を両方受け取ることはできますか?
    6. Q6. 再就職先で給与が上がった場合も、再就職手当はもらえますか?
    7. Q7. 再就職後、6か月以内に転職した場合はどうなりますか?
    8. Q8. 2026年の再就職手当の計算に使う基本手当日額の上限はいくらですか?
    9. Q9. 就業促進定着手当の上限は何%ですか?
    10. Q10. パートや契約社員でも再就職手当は受け取れますか?
    11. Q11. 個人事業主として開業した場合も、再就職手当の対象になりますか?
    12. Q12. 申請期限を過ぎた場合は、もう受け取れませんか?
  18. まとめ|再就職時の給付が再就職手当、6か月後の賃金低下に対する追加給付が就業促進定着手当
  19. 参考資料・出典

「再就職手当」と「就業促進定着手当」の違い【結論】

二つの制度を使い分けるポイントは、再就職した時点の給付なのか、再就職後に6か月働いた後の給付なのかという点です。

  • 再就職手当:基本手当の受給資格者が、基本手当の支給日数を一定以上残して安定した職業に就いた場合などに支給される一時金。
  • 就業促進定着手当:再就職手当を受給した人が、同じ再就職先で6か月以上雇用され、離職前より再就職後の賃金が低下した場合などに支給される追加の一時金。

例えば、所定給付日数120日の人が、基本手当を40日分受給した後、残り80日の時点で再就職した場合です。

再就職手当の要件をすべて満たしていれば、支給残日数が所定給付日数の3分の2以上あるため、70%の給付率で再就職手当を計算します。

その後、再就職先で6か月以上働き、所定の方法で計算した賃金が離職前より低い場合には、就業促進定着手当を申請できる可能性があります。

つまり、早く再就職したことに対する給付が再就職手当、再就職後の賃金低下に対する追加給付が就業促進定着手当です。

【徹底比較】「再就職手当」と「就業促進定着手当」の違いを比較表で整理

比較項目 再就職手当 就業促進定着手当
読み方 さいしゅうしょくてあて しゅうぎょうそくしんていちゃくてあて
制度 雇用保険の就職促進給付 雇用保険の就職促進給付
主な目的 早期の再就職を促進する 再就職後の賃金低下による負担を軽減する
主な支給条件 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あることなど 再就職手当を受給し、同じ事業主の下で6か月以上雇用され、賃金が低下したことなど
支給される時期 再就職後、申請・審査を経て支給 再就職から6か月経過後、申請・審査を経て支給
支給額 支給残日数×基本手当日額×60%または70% 所定の方法で算定した賃金日額の低下分×賃金支払基礎日数。ただし上限あり
賃金の低下 支給要件ではない 支給要件の一つ
再就職手当の受給 この給付そのもの 受給していることが必要
申請期間 原則として就職日の翌日から1か月以内 再就職から6か月経過した日の翌日から2か月間
主な申請先 再就職前に雇用保険の受給手続きを行ったハローワーク 再就職手当の支給申請を行ったハローワーク

なお、上記は代表的な要件を整理したものです。実際に受給できるかどうかは、雇用保険の加入状況や雇用期間、就職先が決まった経緯など、ほかの条件も含めて判断されます。

「再就職手当」とは?意味と支給条件

再就職手当は、基本手当を残して早期に再就職した場合の給付

再就職手当は、雇用保険の基本手当の受給資格がある人が、支給日数を一定以上残して安定した職業に就いた場合などに支給される給付です。

例えば、失業保険の受給資格を得た後、求職活動によって早期に新しい会社への就職が決まった場合です。

ただし、失業保険の受給資格がある人が再就職すれば、無条件に再就職手当を受け取れるわけではありません。

支給残日数は所定給付日数の3分の1以上必要

再就職手当の代表的な条件の一つは、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あることです。

例えば、所定給付日数が90日の人であれば、原則として30日以上の支給残日数が必要です。

所定給付日数が120日の人であれば40日以上、150日の人であれば50日以上が基準になります。

所定給付日数 再就職手当に必要な支給残日数 70%の給付率になる支給残日数
90日 30日以上 60日以上
120日 40日以上 80日以上
150日 50日以上 100日以上

実際の支給残日数は、就職日の前日までの失業認定を受けた後の残日数などによって決まります。自分で計算した日数だけで判断せず、ハローワークで確認しましょう。

安定した職業に就く必要がある

再就職手当では、原則として、1年を超えて引き続き雇用されることが確実と認められるなど、安定した職業に就くことが必要です。

また、雇用保険の被保険者となることなども、代表的な支給要件です。

例えば、数日間だけの短期アルバイトに就いた場合は、通常、再就職手当の対象となる安定した職業には該当しません。

一方、有期雇用契約でも、契約更新の見込みなど、実際の雇用条件によって判断される場合があります。

待期期間中の就職や以前の勤務先への再就職に注意

再就職手当を受給するためには、7日間の待期期間が満了した後に就職することなどが必要です。

また、離職前の事業主や、関連事業主への再就職については、原則として対象となりません。

受給資格決定前から採用が内定していた事業主へ就職した場合なども、支給対象外となります。

さらに、過去3年以内に再就職手当や常用就職支度手当を受給している場合は、支給要件との関係で注意が必要です。

「再就職手当」の例文

  • 基本手当の支給日数を十分に残して再就職したため、再就職手当を申請した。
  • 再就職手当の支給条件について、ハローワークに確認した。
  • 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上あったため、70%の給付率が適用された。
  • 就職日の翌日から1か月以内に、再就職手当の申請書を提出した。
  • 再就職手当の支給決定通知書が届いた。

「就業促進定着手当」とは?意味と支給条件

就業促進定着手当は、再就職後の賃金が下がった場合の追加給付

就業促進定着手当は、再就職手当を受給した人が、引き続き同じ事業主の下で6か月以上働き、再就職後の賃金が離職前より低下した場合などに支給される給付です。

例えば、前の会社では月給30万円だった人が、再就職先では月給25万円になった場合です。

ただし、月給の金額を単純に比較するだけで、必ず支給対象になるわけではありません。

実際には、離職前の賃金日額と、再就職後6か月間の賃金から所定の方法で計算した日額を比較します。

再就職手当を受給していることが必要

就業促進定着手当を受けるには、再就職手当を受給している必要があります。

例えば、失業保険をすべて受け取ってから再就職した場合や、再就職手当の支給条件を満たさなかった場合は、原則として就業促進定着手当の対象にもなりません。

再就職後の賃金が以前より低いという条件だけでは、受給できない点に注意しましょう。

同じ事業主の下で6か月以上雇用される必要がある

就業促進定着手当では、再就職手当の対象となった再就職先で、引き続き6か月以上雇用保険の被保険者として雇用されていることが必要です。

例えば、再就職後3か月で退職し、別の会社へ転職した場合は、通常、就業促進定着手当の対象にはなりません。

再就職手当を受け取ったという事実だけで、6か月後に必ず追加給付を受けられるわけではありません。

「就業促進定着手当」の例文

  • 再就職先で6か月働いたため、就業促進定着手当の申請条件を確認した。
  • 前職より賃金が下がったため、就業促進定着手当を申請した。
  • 再就職手当の支給決定通知書とともに、就業促進定着手当の案内が届いた。
  • 就業促進定着手当の申請に必要な給与明細と出勤簿を準備した。
  • 就業促進定着手当の上限額について、ハローワークで説明を受けた。

再就職手当はいくらもらえる?60%と70%の違い

再就職手当は、原則として次の計算式で算出します。

支給残日数 × 基本手当日額 × 給付率

給付率は、再就職時点で基本手当が何日分残っているかによって異なります。

  • 所定給付日数の3分の2以上が残っている場合:70%
  • 所定給付日数の3分の1以上が残っている場合:60%

ただし、基本手当日額には、再就職手当の計算に使用する際の上限額があります。

例1:120日のうち80日を残して就職した場合

所定給付日数120日、基本手当日額6,000円の人が、80日を残して再就職した場合を考えます。

支給残日数が所定給付日数の3分の2以上あるため、給付率は70%です。

80日 × 6,000円 × 70% = 336,000円

この例では、ほかの支給要件も満たす場合、再就職手当の計算額は33万6,000円となります。

例2:120日のうち40日を残して就職した場合

同じく、所定給付日数120日、基本手当日額6,000円の人が、40日を残して再就職した場合を考えます。

支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あるため、給付率は60%です。

40日 × 6,000円 × 60% = 144,000円

この例では、再就職手当の計算額は14万4,000円です。

ただし、実際の支給は、安定した職業に就いたことや、待期期間が満了していることなど、すべての支給要件を満たす場合に限られます。

【2026年8月改定】再就職手当の計算に使う基本手当日額の上限

再就職手当の計算では、基本手当日額に上限があります。この上限は、通常の基本手当日額そのものの上限とは異なります。

2026年8月1日から適用される上限額は、次のとおりです。

離職時の年齢 再就職手当の計算に使う基本手当日額の上限
60歳未満 6,745円
60歳以上65歳未満 5,454円

例えば、45歳で離職した人の通常の基本手当日額が8,000円だったとしても、再就職手当の計算に8,000円をそのまま使用するわけではありません。

2026年8月1日以降の上限額に基づいて計算する場合は、6,745円を使用します。

仮に、支給残日数が100日で給付率が70%の場合、次のようになります。

100日 × 6,745円 × 70% = 472,150円

なお、上限額は原則として毎年8月に見直されるため、実際の受給時期に適用される金額を確認しましょう。

就業促進定着手当はいくらもらえる?計算方法と上限額

基本的には、離職前と再就職後の賃金日額の差から計算する

就業促進定着手当の支給額は、原則として次の計算式によって求めます。

(離職前の賃金日額-再就職後6か月間の賃金の1日分の額)×再就職後6か月間の賃金支払基礎日数

例えば、離職前の賃金日額が1万円で、再就職後の賃金の1日分の額が9,000円だった場合です。

賃金日額の差は1,000円になります。

この差額に、再就職後6か月間の賃金支払基礎日数を掛けて、基本的な支給額を計算します。

ただし、離職前の賃金日額には所定の上限額や下限額があり、再就職後の日額についても、給与形態に応じた計算が必要です。

2025年4月1日以降に再就職した場合の上限は20%

2025年4月1日以降に再就職手当の対象となる再就職をした場合、就業促進定着手当の上限は、原則として次の式で求めます。

基本手当日額 × 再就職手当の支給対象となった支給残日数 × 20%

なお、基本手当日額には、就業促進定着手当の計算に使用する際の上限があります。

2025年3月31日以前に再就職した場合は、当時の制度に基づく別の支給率が適用されるため、再就職した日にも注意が必要です。

計算例:離職前より1日当たり1,000円賃金が下がった場合

次の条件で考えてみましょう。

項目 金額・日数
離職前の賃金日額 10,000円
再就職後の賃金日額 9,000円
賃金日額の差 1,000円
6か月間の賃金支払基礎日数 180日
基本的な計算額 180,000円

この場合、基本的な計算額は18万円です。

しかし、例えば基本手当日額が6,000円、再就職時の支給残日数が100日だった場合、2025年4月1日以降の制度による上限は次のとおりです。

6,000円 × 100日 × 20% = 120,000円

そのため、この例では、計算額18万円よりも上限額12万円が低く、就業促進定着手当は12万円となります。

これは、すべての支給要件を満たすことを前提とした計算例です。実際の賃金日額や賃金支払基礎日数、支給額は、提出書類などに基づいて判断されます。

再就職手当と就業促進定着手当は両方もらえる?

所定の条件を満たせば、再就職手当と就業促進定着手当の両方を受給できます。

例えば、基本手当の支給残日数を十分に残して新しい会社に就職し、再就職手当を受け取った人が、その後も同じ会社で6か月以上働いた場合です。

再就職後の賃金が離職前より低下し、ほかの支給条件も満たす場合には、就業促進定着手当を追加で受け取れる可能性があります。

ただし、再就職手当を受け取れば、必ず就業促進定着手当も支給されるわけではありません。

再就職後の賃金が下がっていない場合や、6か月以上の継続雇用などの要件を満たさない場合には、就業促進定着手当の対象外となります。

申請期限の違い|再就職手当は1か月、就業促進定着手当は6か月経過後

再就職手当は、原則として就職日の翌日から1か月以内

再就職手当の申請期間は、原則として就職日の翌日から1か月以内です。

申請の際には、再就職手当支給申請書や、雇用保険受給資格者証などの必要書類を提出します。

申請書には、再就職先の事業主による証明が必要な部分もあるため、就職が決まったら早めに必要書類を確認しておくとよいでしょう。

就業促進定着手当は、再就職から6か月経過した後に申請する

就業促進定着手当の申請期間は、再就職した日から6か月経過した日の翌日から2か月間です。

例えば、再就職手当の対象となった再就職の日から6か月以上、同じ事業主の下で働いた後に申請します。

申請には、所定の申請書のほか、6か月間の出勤簿や給与明細、賃金台帳などが必要になります。

なお、一般的な申請期間を過ぎた場合でも、雇用保険の給付には時効に関する取り扱いがあります。期限が過ぎている場合も、受給できないと自己判断せず、ハローワークへ確認しましょう。

必要書類の違い

書類 再就職手当 就業促進定着手当
支給申請書 再就職手当支給申請書 就業促進定着手当支給申請書
雇用保険受給資格者証 原則として必要 原則として必要
事業主の証明 雇用開始や雇用条件などについて必要 6か月以上の雇用や賃金などについて必要
6か月分の給与明細・賃金台帳 通常、主な申請書類ではない 原則として必要
6か月分の出勤簿 通常、主な申請書類ではない 原則として必要

必要書類や具体的な提出方法は、個別の状況などによって異なる場合があります。申請先のハローワークから案内される内容を確認しましょう。

【実践】再就職手当と就業促進定着手当が関係する5つの場面

場面1:失業保険を受け始めて間もなく再就職した

基本手当の所定給付日数を多く残した状態で、新しい会社への就職が決まった場合です。

例えば、所定給付日数120日のうち、80日を残して安定した職業に就いた場合、ほかの条件も満たせば再就職手当の給付率は70%です。

この時点では、再就職後の賃金が下がっているかどうかは、再就職手当の支給条件ではありません。

場面2:再就職した会社の給与が前職より低かった

再就職手当を受け取り、その後も同じ会社で6か月以上働いたものの、以前より給与が下がった場合です。

この場合は、離職前の賃金日額と再就職後6か月間の賃金日額を比較し、就業促進定着手当の対象となるか確認します。

月給や年収の額面だけでなく、制度上の計算方法によって比較することが重要です。

場面3:再就職後3か月で別の会社へ転職した

再就職手当を受け取った後、最初の再就職先を3か月で退職し、別の会社へ転職した場合です。

就業促進定着手当では、再就職手当の対象となった同じ事業主の下で、6か月以上継続して雇用されることが必要です。

そのため、通常、このケースでは就業促進定着手当の対象にはなりません。

場面4:再就職後の給与が前職より高くなった

再就職手当を受給した人が、同じ会社で6か月以上働き、前職より給与が上がった場合です。

再就職手当については、再就職後の賃金が上がっても、それだけで支給対象外にはなりません。

一方、就業促進定着手当は、所定の方法で計算した再就職後の賃金日額が、離職前より低下していることが必要です。

そのため、賃金が上がった場合は、通常、就業促進定着手当の対象にはなりません。

場面5:再就職後に給与制度が変更された

再就職先で6か月働く間に、基本給や手当、勤務時間などが変更された場合です。

例えば、入社後3か月目から給与が上がった場合、就業促進定着手当では、原則として対象となる6か月間の賃金を基に計算します。

入社時の給与だけを前職と比較しても、実際の支給対象になるかどうかを正確に判断できるとは限りません。

給与条件が変わった場合は、変更前後の給与明細や賃金台帳などを整理しましょう。関連する言葉の使い分けについては、「変更」と「修正」の違いも参考になります。

就業促進定着手当を申請する前の5つの確認ポイント

1. 再就職手当を受け取っているか

まず、再就職手当の支給決定通知書などで、再就職手当の受給状況を確認しましょう。

就業促進定着手当は、再就職手当を受給していることが前提となります。

2. 再就職先で6か月以上継続して働いているか

再就職手当の対象となった再就職先で、6か月以上継続して雇用されているか確認しましょう。

勤務先が途中で変わった場合などは、実際の雇用関係や雇用保険の資格取得・喪失の状況が重要になります。

3. 離職前より賃金が低下しているか

離職前の賃金日額と、再就職後6か月間の賃金の1日分の額を比較しましょう。

ただし、再就職後の賃金日額は、月給制か日給制・時給制かなどによって計算方法が異なります。

例えば、月給制の場合は、原則として6か月間の対象賃金の合計額を180で割ります。

一方、日給制や時給制の場合は、対象となる賃金を、原則として実際の労働日数などで割って計算します。

4. 出勤簿や給与明細を準備する

就業促進定着手当の申請では、再就職後6か月間の出勤簿の写しや、給与明細・賃金台帳などの資料が必要になります。

例えば、休職や欠勤などによって賃金の支払基礎日数が変わっている場合には、実際の勤務記録が重要です。

申請書の内容と給与明細、出勤簿などの情報に相違がないか、事前に確認しましょう。

書類の記載内容を確かめることと、複数の資料を照らし合わせて正確性を調べることの違いについては、「確認」と「検証」の違いも参考になります。

5. 申請期間を確認する

就業促進定着手当の申請期間は、再就職から6か月が経過した日の翌日から2か月間です。

再就職手当の支給決定通知書などと一緒に、申請についての案内が届く場合があります。

必要書類の準備に時間がかかることもあるため、6か月の経過時期が近づいたら、申請書類や会社への証明依頼について確認しておきましょう。

再就職手当と基本手当は、どちらも受け取れる?

再就職手当は、基本手当を一定以上残して再就職した場合に、所定の条件を満たすことで支給されるものです。

例えば、所定給付日数120日のうち、40日分の基本手当を受け取った後、残り80日の時点で再就職する場合です。

この場合、再就職前に40日分の基本手当を受給し、さらに再就職手当の支給条件を満たせば、残り80日を基に計算した再就職手当を受け取れる可能性があります。

ただし、再就職手当の支給対象となった残日数について、基本手当と再就職手当を二重に受給できるわけではありません。

また、受給期間内に再び失業し、所定の条件を満たす場合には、再就職手当の支給額に相当する日数を除いた残日数などについて、基本手当を再び受けられる可能性があります。

再就職後に離職した場合は、前回の雇用保険の受給資格が残っているのか、新たな受給資格が生じているのかなど、個別の確認が必要です。

「再就職手当」「就業促進定着手当」と似た言葉の違い

「基本手当」との違い

基本手当は、雇用保険の受給資格者が、働く意思と能力がありながら就職できない状態にある場合などに支給される、いわゆる失業給付です。

一方、再就職手当は、基本手当の支給日数を一定以上残して、安定した職業に就いた場合の給付です。

失業中の生活を支える給付なのか、早期の再就職を支援する給付なのかという違いがあります。

「就業手当」との違い

就業手当は、かつて雇用保険に設けられていた給付です。

一定の条件を満たして、再就職手当の対象とならない形態で就業した場合などに支給されていました。

しかし、就業手当は2025年4月1日から廃止されています。

そのため、古い記事などで就業手当が紹介されていても、2026年時点の現行制度と混同しないようにしましょう。

「常用就職支度手当」との違い

常用就職支度手当は、障害があるなど、就職が困難な一定の受給資格者が安定した職業に就いた場合などに支給される給付です。

例えば、再就職手当の対象となる支給残日数がない人でも、就職困難者などの所定の条件に該当する場合は、常用就職支度手当が関係することがあります。

ただし、対象となる人や就職先の条件などは、再就職手当とは異なります。

「高年齢再就職給付金」との違い

高年齢再就職給付金は、一定の条件を満たす60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者について、再就職後の賃金が低下した場合などに支給される給付です。

一方、就業促進定着手当は、再就職手当を受け取った人が、同じ再就職先で6か月以上雇用され、賃金が低下した場合などに関係します。

両者は対象者や支給条件が異なり、同じ再就職について自由に重複して受給できるわけではありません。

「再就職手当」と「就業促進定着手当」の3秒判定

伝えたい内容 使いやすい言葉
基本手当の支給日数を一定以上残して、早期に再就職した 再就職手当
支給残日数が所定給付日数の3分の2以上あり、70%で計算する 再就職手当
再就職手当を受け、同じ会社で6か月以上働き、賃金が下がった 就業促進定着手当
再就職から6か月経過後、2か月間の申請期間がある 就業促進定着手当
失業中、所定の条件を満たして基本手当を受ける 基本手当
障害があるなど、就職が困難な一定の人が安定した職業に就く 常用就職支度手当
2025年4月から廃止された、短期的な就業などに対する旧制度 就業手当

再就職した時点での給付なのか、再就職して6か月以上働いた後の賃金低下に対する給付なのかを考えると、二つの言葉を区別しやすくなります。

よくある間違いと注意点

「再就職すれば誰でも再就職手当をもらえる」は誤り

再就職手当を受給するには、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あることなど、複数の条件を満たす必要があります。

例えば、支給残日数が少ない場合や、待期期間中に就職した場合などは、対象とならないことがあります。

「就業促進定着手当は、6か月働けば必ずもらえる」は誤り

就業促進定着手当は、6か月以上働くことだけでなく、再就職手当を受給していることや、再就職後の賃金が離職前より低下していることなどが必要です。

また、同じ事業主の下で継続して雇用されていることも重要です。

「再就職手当と就業促進定着手当は同時に申請する」は誤り

再就職手当は、原則として就職日の翌日から1か月以内に申請します。

一方、就業促進定着手当は、再就職から6か月が経過した日の翌日から2か月間が申請期間です。

両者は申請する時期が異なります。

「就業促進定着手当は以前のように最大40%もらえる」は現在の制度では原則として誤り

2025年4月1日以降に再就職した場合、就業促進定着手当の上限は、基本手当日額に再就職時の支給残日数と20%を掛けた額です。

以前の制度では、再就職手当の給付率に応じて30%または40%の上限が設けられていました。

古い情報を参照する際には、再就職した日がいつなのか確認しましょう。

「基本手当日額が9,000円なら、再就職手当も9,000円で計算する」は誤り

再就職手当には、通常の基本手当とは異なる日額の上限があります。

2026年8月1日からの上限は、離職時の年齢が60歳未満の場合は6,745円、60歳以上65歳未満の場合は5,454円です。

基本手当日額がこの上限を超える場合は、上限額を用いて計算します。

「再就職手当」と「就業促進定着手当」の例文12選

「再就職手当」を使った例文

  1. 早期に就職が決まったため、再就職手当を申請した。
  2. 基本手当の支給残日数を確認し、再就職手当の支給要件を調べた。
  3. 再就職手当の計算には、60%または70%の給付率が使われる。
  4. 就職日の翌日から1か月以内に、再就職手当の申請を行った。
  5. 再就職手当の支給決定通知書が届いた。
  6. 再就職手当の金額について、ハローワークに問い合わせた。

「就業促進定着手当」を使った例文

  1. 再就職先で6か月以上働いたため、就業促進定着手当の申請条件を確認した。
  2. 再就職後の賃金が低下したため、就業促進定着手当を申請した。
  3. 就業促進定着手当の計算に必要な給与明細を準備した。
  4. 2025年4月から、就業促進定着手当の上限が変更された。
  5. 再就職手当を受給していなかったため、就業促進定着手当の対象にならなかった。
  6. 就業促進定着手当の申請期限について、ハローワークで確認した。

FAQ|「再就職手当」と「就業促進定着手当」のよくある質問

Q1. 再就職手当と就業促進定着手当は同じ制度ですか?

どちらも雇用保険の就職促進給付ですが、支給目的や条件は異なります。再就職手当は、基本手当を一定以上残して安定した職業に就いた場合などの給付です。一方、就業促進定着手当は、再就職手当を受け取り、同じ再就職先で6か月以上働き、離職前より賃金が低下した場合などの追加給付です。

Q2. 再就職手当はいくらもらえますか?

原則として、基本手当の支給残日数に基本手当日額と60%または70%の給付率を掛けて計算します。ただし、再就職手当の計算に使用する基本手当日額には上限があります。

Q3. 再就職手当は、いつまでに申請すればよいですか?

原則として、就職日の翌日から1か月以内です。必要書類や事業主の証明などについて、早めにハローワークで確認しましょう。

Q4. 就業促進定着手当は、いつ申請できますか?

再就職した日から6か月経過した日の翌日から、2か月間が申請期間です。再就職後6か月間の出勤簿や給与明細、賃金台帳などを準備する必要があります。

Q5. 二つの手当を両方受け取ることはできますか?

所定の条件を満たせば、両方受給できます。ただし、就業促進定着手当を受けるには、再就職手当を受給したうえで、同じ再就職先で6か月以上雇用され、賃金が低下したことなどが必要です。

Q6. 再就職先で給与が上がった場合も、再就職手当はもらえますか?

再就職手当は、再就職後の賃金が低下することを支給条件としていません。そのため、給与が上がった場合でも、ほかの支給要件を満たせば受給できる可能性があります。一方、就業促進定着手当については、賃金が低下していることが必要です。

Q7. 再就職後、6か月以内に転職した場合はどうなりますか?

就業促進定着手当は、原則として再就職手当の対象となった同じ事業主の下で、6か月以上継続して雇用されていることが必要です。そのため、6か月以内に別の会社へ転職した場合は、通常、就業促進定着手当の対象にはなりません。

Q8. 2026年の再就職手当の計算に使う基本手当日額の上限はいくらですか?

2026年8月1日からの上限は、離職時の年齢が60歳未満の場合は6,745円、60歳以上65歳未満の場合は5,454円です。通常の基本手当日額の上限とは異なります。

Q9. 就業促進定着手当の上限は何%ですか?

2025年4月1日以降に再就職した場合、原則として、基本手当日額に再就職時の支給残日数と20%を掛けた額が上限です。2025年3月31日以前に再就職した場合には、当時の制度が適用されます。

Q10. パートや契約社員でも再就職手当は受け取れますか?

雇用形態だけで決まるわけではありません。雇用保険の被保険者となることや、1年を超えて引き続き雇用されることが確実と認められることなど、安定した職業に就いたと判断されるための条件が重要です。

Q11. 個人事業主として開業した場合も、再就職手当の対象になりますか?

事業を開始した場合でも、所定の条件を満たせば再就職手当の対象となる可能性があります。ただし、会社に雇用される場合とは要件や確認事項が異なるため、事業を開始する前にハローワークで相談することが重要です。

Q12. 申請期限を過ぎた場合は、もう受け取れませんか?

雇用保険の給付には時効に関する取り扱いがあり、通常の申請期間を過ぎても申請できる場合があります。ただし、必要書類の確保や、支給要件の確認が難しくなることもあるため、早めにハローワークへ相談しましょう。

まとめ|再就職時の給付が再就職手当、6か月後の賃金低下に対する追加給付が就業促進定着手当

「再就職手当」と「就業促進定着手当」は、どちらも雇用保険の就職促進給付ですが、支給されるタイミングと条件が異なります。

  • 再就職手当:基本手当の支給日数を所定給付日数の3分の1以上残して、安定した職業に就いた場合などに支給される給付。支給率は原則60%または70%。
  • 就業促進定着手当:再就職手当を受給し、同じ再就職先で6か月以上働き、離職前より賃金が低下した場合などに支給される追加給付。
  • 2026年時点の重要な変更点:2025年4月1日以降に再就職した場合、就業促進定着手当の上限は原則20%。2026年8月には再就職手当などの計算に使用する基本手当日額の上限も改定されている。

特に重要なのは、再就職手当を受け取っても、就業促進定着手当が自動的に支給されるわけではないことです。

就業促進定着手当については、6か月以上の継続雇用や賃金低下などの条件を満たし、必要な書類を提出する必要があります。

再就職後の給与が下がった場合は、再就職手当の受給状況や6か月間の給与明細、出勤簿などを確認し、申請期限内に手続きを行いましょう。

手続きが進まない場合や支給条件について疑問がある場合は、ハローワークへ相談することが重要です。問題が発生した際の行動の使い分けについては、「対応」と「対処」の違いも参考になります。

参考資料・出典

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