家族の介護が必要になったとき、仕事を休むための制度として「介護休業」と「介護休暇」があります。
名前はよく似ていますが、取得できる日数や利用する目的、申請方法、給付金の有無などには大きな違いがあります。
例えば、親が突然入院し、退院後の介護サービスを手配するためにまとまった休みが必要な場合は「介護休業」が選択肢になります。一方、親の通院に付き添うため、月に数時間だけ仕事を休みたい場合には「介護休暇」が適しています。
介護休業は、仕事と介護を両立できる体制を整えるためのまとまった休み、介護休暇は、通院の付き添いやケアマネジャーとの面談など、日常的な介護の用事に対応するための休みです。
この記事では、2026年9月時点の制度をもとに、介護休業と介護休暇の違いを徹底比較します。取得できる日数、対象となる家族、給与と給付金、申請方法、2025年の法改正などを整理し、具体的な利用場面も紹介します。
- 結論|介護休業はまとまった休み、介護休暇は短時間・短期間の休み
- 【徹底比較】介護休業と介護休暇の違いを一覧表で解説
- 介護休業とは?取得期間・対象者・利用目的を解説
- 介護休暇とは?年間5日・10日と時間単位取得の仕組み
- 介護休業と介護休暇の対象になる家族は?
- 介護休業と介護休暇の給与・給付金の違い
- 介護休業給付金の申請方法と注意点
- 介護休業と介護休暇の申請方法の違い
- 2025年の法改正で何が変わった?2026年時点の制度
- 【実践】介護休業と介護休暇はどちらを選ぶ?5つのケースで比較
- 介護休業と介護休暇を併用する方法
- 介護休業・介護休暇以外に利用できる制度
- 介護休業・介護休暇を会社に申し出る際の例文
- FAQ|介護休業と介護休暇に関するよくある質問
- まとめ|介護休業と介護休暇を組み合わせて仕事と介護を両立する
- 参考リンク
結論|介護休業はまとまった休み、介護休暇は短時間・短期間の休み
介護休業と介護休暇は、どちらも育児・介護休業法に基づき、家族の介護と仕事を両立するために設けられた制度です。
最大の違いは、休みを取得する目的と期間にあります。
- 介護休業:対象家族1人につき通算93日まで、3回に分けて取得できる制度。介護サービスの手配や家族間の役割分担など、今後も仕事を続けながら介護できる体制を整える際に役立つ。
- 介護休暇:対象家族が1人なら年間5日、2人以上なら年間10日まで取得できる制度。通院の付き添いや介護サービスの手続きなど、日常的・突発的な用事に対応しやすい。
例えば、親の退院に伴い、介護保険の申請や介護サービスの利用調整、自宅の環境整備などをまとめて行う場合には、介護休業を利用する方法があります。
一方、すでに介護サービスを利用しており、月に1回の通院に付き添うだけであれば、介護休暇を利用する方法が考えられます。
なお、介護休業は、93日間すべてを自分で介護するために使うことを想定した制度ではありません。厚生労働省は、介護サービスなどを利用し、仕事と介護を両立する体制を整えるための期間として活用することを勧めています。
【徹底比較】介護休業と介護休暇の違いを一覧表で解説
| 比較項目 | 介護休業 | 介護休暇 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 仕事と介護を両立する体制を整える | 日常的な介護や突発的な用事に対応する |
| 取得できる期間 | 対象家族1人につき通算93日まで | 対象家族1人なら年間5日、2人以上なら年間10日 |
| 分割取得 | 対象家族1人につき3回まで | 年間の取得可能日数内で必要に応じて取得 |
| 取得単位 | 原則として一定期間の休業 | 1日または時間単位 |
| 申出方法 | 原則として休業開始予定日の2週間前までに書面等で申し出る | 口頭でも申し出られる |
| 給与 | 会社に支払義務はなく、就業規則などによる | 有給か無給かは会社の規定による |
| 雇用保険からの給付 | 要件を満たせば介護休業給付金の対象 | 介護休暇自体を対象とする介護休業給付金はない |
| 主な利用場面 | 介護体制の整備、サービスの手配、退院後の生活準備 | 通院付き添い、ケアマネジャーとの面談、介護サービスの手続き |
| 年次有給休暇との関係 | 年次有給休暇とは別の制度 | 年次有給休暇とは別の制度 |
介護休業の93日と介護休暇の年間5日・10日は、別々に定められた制度上の枠です。介護休暇を取得したからといって、その日数が介護休業の93日から差し引かれるわけではありません。
反対に、介護休業を取得した後でも、要件を満たしていれば介護休暇を利用できます。
介護休業とは?取得期間・対象者・利用目的を解説
介護休業の基本的な意味
介護休業は、要介護状態にある対象家族を介護するために、労働者が一定期間仕事を休むことができる制度です。
法律上の要介護状態とは、負傷、疾病、身体上または精神上の障害によって、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態を指します。
介護保険制度における要介護認定を受けていることが、必ずしも取得の条件になるわけではありません。
例えば、家族が突然倒れて入院し、退院後も長期間にわたって介護が必要になる見込みであれば、介護保険の認定結果が出る前でも、法律上の要件を満たす場合があります。
対象家族1人につき通算93日まで取得できる
介護休業は、対象家族1人につき、通算93日まで取得できます。
また、この93日間は、3回まで分割して取得できます。
例えば、父親の介護のために次のように利用するケースが考えられます。
- 1回目:退院後の生活環境を整えるために20日間取得する。
- 2回目:介護サービスや自宅での生活体制を見直すために30日間取得する。
- 3回目:介護体制を再調整するために43日間取得する。
この場合、合計93日となり、取得回数も3回です。
なお、93日は対象家族1人についての通算日数です。毎年93日ずつ取得できる制度ではありません。
また、休業期間は、原則として休業開始日から終了日までの暦日で数えます。会社の所定休日を除いた出勤日だけで数えるわけではありません。
介護休業は介護体制を整えるために使う
介護休業は、93日間ずっと家族の介護を自分で担うためだけの制度ではありません。
厚生労働省は、仕事と介護を両立する体制を整えるための準備期間として活用することを案内しています。
具体的には、次のような対応が考えられます。
- 市区町村や地域包括支援センターに相談する。
- 介護保険の申請を行う。
- ケアマネジャーと相談し、介護サービスを手配する。
- デイサービスや訪問介護などの利用を検討する。
- 家族で介護の役割分担を決める。
- 必要に応じて自宅の生活環境を整える。
例えば、親が退院して自宅で生活することになった場合、最初の数週間を介護体制の整備に充て、その後は介護サービスを利用しながら仕事に復帰するという方法が考えられます。
介護休暇とは?年間5日・10日と時間単位取得の仕組み
介護休暇の基本的な意味
介護休暇は、要介護状態にある対象家族の介護や世話を行うために、必要に応じて仕事を休める制度です。
介護休業とは異なり、まとまった期間の休業だけでなく、通院への付き添いや短時間の打ち合わせなどにも利用しやすいことが特徴です。
例えば、次のような場面で活用できます。
- 親の通院に付き添う。
- 介護サービスに関する手続きを行う。
- ケアマネジャーと面談する。
- 家族の介護に必要な用事に対応する。
- 介護が必要な家族の体調変化に伴い、世話を行う。
対象家族が1人なら年間5日、2人以上なら年間10日
介護休暇の取得可能日数は、対象家族の人数によって異なります。
- 対象家族が1人の場合:1年間に5労働日まで。
- 対象家族が2人以上の場合:1年間に10労働日まで。
例えば、父親だけが対象であれば、年間5日まで取得できます。
一方、父親と母親の両方が要介護状態にあり、どちらも制度上の対象家族に該当する場合には、年間10日まで取得できます。
なお、対象家族が2人以上いる場合の10日は、必ず1人につき5日ずつ使わなければならないわけではありません。必要に応じて、同じ家族の介護に10日間を使うこともできます。
ここでいう1年間は、会社が特に定めていなければ、毎年4月1日から翌年3月31日までです。
介護休暇は時間単位でも取得できる
介護休暇は、1日単位だけでなく、原則として時間単位でも取得できます。
例えば、親の通院に付き添うために午前中だけ仕事を休んだり、ケアマネジャーとの面談のために数時間休んだりすることができます。
ただし、法律上の時間単位取得は、原則として始業時刻から連続する時間、または終業時刻まで連続する時間での取得を想定しています。勤務時間の途中だけを抜ける、いわゆる中抜けを認めるかどうかは、会社の制度も確認しましょう。
また、時間単位での取得が困難と認められる業務について、適切な労使協定が締結されている場合には、時間単位取得の対象外となることがあります。
介護休業と介護休暇の対象になる家族は?
介護休業と介護休暇は、どちらも法律で定められた対象家族について利用できます。
対象となる家族の範囲は、基本的に共通しています。
| 家族の関係 | 対象になるか |
|---|---|
| 配偶者 | 対象。事実婚を含む |
| 自分の父母 | 対象 |
| 配偶者の父母 | 対象 |
| 子 | 対象 |
| 祖父母 | 対象 |
| 兄弟姉妹 | 対象 |
| 孫 | 対象 |
例えば、別居している親の介護でも、法律上の要件を満たせば制度を利用できます。同居が必須というわけではありません。
また、配偶者の父母も対象となるため、義理の親の介護について利用できる場合があります。
要介護認定を受けていなくても利用できる?
介護休業と介護休暇における「要介護状態」は、介護保険制度における「要介護1」などの認定区分と同じ意味ではありません。
そのため、要介護認定を受けていない場合でも、育児・介護休業法上の要件を満たせば利用できることがあります。
ただし、会社は対象家族が要介護状態にあることなどを確認するため、一定の証明書類の提出を求めることができます。
介護保険の認定区分については、「要支援」と「要介護」の違いと受けられる介護サービスも参考になります。
介護休業と介護休暇の給与・給付金の違い
制度を利用する際に気になるのが、仕事を休んでいる間の収入です。
介護休業と介護休暇では、雇用保険からの給付金の有無に大きな違いがあります。
介護休業中の給与は原則として会社の規定による
法律上、介護休業中の給与を会社が必ず支払わなければならないという義務はありません。
そのため、無給としている会社もあります。
一方、会社独自の制度として、介護休業中に一定額の給与を支給する場合もあります。
実際の取り扱いについては、勤務先の就業規則や給与規程を確認する必要があります。
介護休業には介護休業給付金がある
介護休業を取得した人が雇用保険の一定の受給要件を満たす場合には、介護休業給付金を受け取ることができます。
給付額は、原則として次の計算式で求められます。
休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%
例えば、休業開始時賃金日額が1万円で、支給日数が30日となる期間について、休業中の賃金が支払われていない場合の概算は、次のとおりです。
1万円 × 30日 × 67% = 20万1,000円
ただし、給付額には上限があり、休業中に給与が支払われる場合には、支給額が減額されたり、支給されなかったりすることがあります。
また、介護休業を取得した人すべてが給付金を受け取れるわけではありません。原則として、介護休業開始前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が12か月以上あることなどの要件を満たす必要があります。
介護休暇には原則として雇用保険からの給付金がない
介護休暇については、介護休業給付金のような雇用保険からの給付制度はありません。
また、介護休暇を有給にするか無給にするかは、会社の規定によって異なります。
例えば、会社が介護休暇を有給として定めていれば、所定の給与が支払われる場合があります。一方、無給としている会社では、取得した時間や日数に応じて給与が控除されることがあります。
介護休暇は年次有給休暇とは別の制度ですが、必ず有給になるわけではない点に注意しましょう。
介護休業給付金の申請方法と注意点
介護休業給付金は、介護休業を取得しただけで自動的に振り込まれるものではありません。
所定の申請手続きが必要です。
原則として会社を通じて申請する
介護休業給付金の申請は、原則として事業主を通じて行います。
通常は、勤務先の人事部や総務部などが必要な書類を準備し、ハローワークに申請します。
ただし、本人が希望する場合には、自分で申請することも可能です。
介護休業の取得を検討する段階で、給付金の申請方法や必要書類について会社に確認しておくとよいでしょう。
休業中に働いた場合は支給要件に注意
介護休業中に一時的に働いた場合、就業日数や支払われた賃金によっては、介護休業給付金が減額されたり、支給対象外になったりすることがあります。
例えば、1支給単位期間について就業日数が10日を超える場合には、原則として、その期間は給付金の支給対象になりません。
また、一定額以上の賃金が支払われた場合にも、給付額が減額されることがあります。
在宅勤務や短時間の就労を組み合わせる場合は、給付金の条件をあらかじめハローワークに確認しましょう。
介護休業と介護休暇の申請方法の違い
両者は、取得する際の申出方法にも違いがあります。
介護休業は原則2週間前までに申し出る
介護休業は、原則として休業開始予定日の2週間前までに、書面等で会社へ申し出ます。
勤務先に所定の申出書がある場合には、その様式を使用しましょう。
なお、会社が就業規則などで、2週間より短い申出期限を認めている場合もあります。
親の入院や退院などで急いで休業する必要が生じた場合には、できるだけ早く人事部などに相談することが重要です。
介護休暇は口頭でも申し出られる
介護休暇は、書面による申請に限定されておらず、口頭でも申し出ることができます。
例えば、親の体調が急に悪化し、その日の午後に病院へ付き添う必要が生じた場合にも、利用できる可能性があります。
ただし、会社によっては、勤怠管理のために所定の申請書やシステムへの入力などを求めている場合があります。
緊急時にどう連絡すればよいのか、あらかじめ勤務先のルールを確認しておくと安心です。
2025年の法改正で何が変わった?2026年時点の制度
育児・介護休業法の改正により、2025年4月1日から、仕事と介護の両立を支援するための新しい措置が施行されました。
2026年9月時点で確認しておきたい主な変更点を紹介します。
介護休暇の取得要件が緩和された
2025年3月31日までは、適切な労使協定がある場合、継続雇用期間が6か月未満の労働者を介護休暇の対象外とすることができました。
しかし、2025年4月1日からは、この除外規定が廃止されました。
そのため、入社してから6か月未満であることだけを理由に、介護休暇の取得対象から除外することはできません。
ただし、週の所定労働日数が2日以下の労働者については、労使協定により対象外となる場合があります。
なお、介護休業については、継続雇用期間が1年未満の労働者などを労使協定で対象外にできる規定があります。介護休暇との違いに注意しましょう。
会社による制度の個別周知と意向確認が義務化された
2025年4月から、労働者が家族の介護に直面したことを会社へ申し出た場合、事業主は介護休業や介護両立支援制度などについて個別に周知し、制度利用の意向を確認することが義務化されました。
また、介護休業などを申し出やすくするため、研修の実施や相談窓口の設置など、所定の雇用環境整備措置を講じることも義務となりました。
さらに、介護に直面する前の早い段階で情報提供する仕組みも導入されています。
介護の必要が生じた場合は、制度を知らないまま退職を決断するのではなく、まず会社の相談窓口などで利用できる制度を確認することが大切です。
【実践】介護休業と介護休暇はどちらを選ぶ?5つのケースで比較
ケース1:親が突然入院し、退院後の介護を準備する
親が突然入院し、退院後は自宅で介護を受けながら生活することになった場合を考えてみましょう。
介護保険の申請、病院との退院調整、介護サービスの手配、家族との話し合いなど、短期間に多くの対応が必要になる場合があります。
このように、まとまった時間を確保して介護体制を整える必要がある場合には、介護休業が選択肢になります。
ケース2:月に1回、親の通院に付き添う
すでに介護サービスを利用しており、月に1回の通院に付き添う必要がある場合には、介護休暇が利用しやすいでしょう。
例えば、午前中の診察に付き添い、午後から仕事へ戻る場合には、時間単位の介護休暇を利用する方法があります。
ただし、取得可能な時間数や勤怠管理の方法については、勤務先の規定を確認する必要があります。
ケース3:ケアマネジャーとの面談がある
ケアマネジャーとの面談や、介護サービスの見直しに関する打ち合わせなども、介護休暇を利用できる場面です。
例えば、介護サービスの利用状況を確認するため、平日の午後に2時間ほど面談する場合には、時間単位の介護休暇を利用することが考えられます。
また、介護サービスの内容そのものを見直す場合には、訪問介護や訪問看護など、それぞれの役割を理解しておくと役立ちます。
在宅介護のサービス選びについては、「訪問介護」と「訪問看護」の違いと利用条件・サービス内容も参考になります。
ケース4:介護認定の更新や区分変更に対応する
介護保険の認定有効期間が近づいた場合や、家族の状態が変化して認定区分を見直す必要が生じた場合には、所定の申請が必要になります。
こうした申請や調査への立ち会いなどで短時間の休みが必要な場合には、介護休暇を利用する方法があります。
一方、介護状態が大きく変わり、介護サービスや生活環境を全面的に見直す必要がある場合には、介護休業の利用も検討できます。
なお、更新申請と区分変更申請では、手続きを行うタイミングや目的が異なります。詳しくは、「更新申請」と「区分変更申請」の違いと介護認定の手続きをご覧ください。
ケース5:親の介護が長期化している
介護が数年にわたって続く場合には、介護休業だけで対応し続けることは難しいでしょう。
介護休業は対象家族1人につき通算93日までという上限があるためです。
そのため、長期的な介護では、介護休暇に加え、短時間勤務制度や残業の免除・制限、介護保険サービスなどを組み合わせることが重要になります。
介護休業を利用する場合にも、休業が終了した後、どのように仕事と介護を両立させるかを考えておく必要があります。
介護休業と介護休暇を併用する方法
介護休業と介護休暇は、どちらか一方しか利用できない制度ではありません。
例えば、親が退院した直後には介護休業を取得し、自宅での介護体制を整えます。その後、仕事に復帰してからは、通院の付き添いやケアマネジャーとの面談の際に介護休暇を取得するという使い方が考えられます。
また、介護休業を取得する前の段階で、病院との面談や役所での手続きに介護休暇を利用することもできます。
ただし、それぞれの制度には取得日数や申出方法などの条件があります。特に、介護休業は1人につき3回までという回数制限もあるため、必要な時期を考えながら利用計画を立てましょう。
介護休業・介護休暇以外に利用できる制度
仕事と介護を両立するための制度は、介護休業と介護休暇だけではありません。
育児・介護休業法では、一定の条件のもとで、次のような制度も設けられています。
- 短時間勤務等の措置:対象家族1人につき、利用開始から連続する3年以上の期間において、2回以上利用できるようにするための制度。事業主は法定の選択肢から、少なくとも1つの措置を講じる必要がある。
- 所定外労働の制限:要件を満たす場合に、所定労働時間を超える勤務を免除してもらう制度。
- 時間外労働の制限:一定の上限を超える時間外労働を制限する制度。
- 深夜業の制限:一定の要件のもとで、午後10時から午前5時までの勤務を制限する制度。
また、2025年4月からは、要介護状態にある対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるようにすることが、事業主の努力義務とされました。
ただし、テレワークがすべての会社や職種で必ず利用できるという意味ではありません。
実際にどの制度を利用できるかについては、勤務先の就業規則などを確認しましょう。
介護休業・介護休暇を会社に申し出る際の例文
介護休業を相談する場合のメール
件名:家族の介護に伴う介護休業取得のご相談
〇〇部長
お疲れさまです。
このたび、父の介護が必要となり、退院後の生活環境の整備や介護サービスの手配を進めることになりました。
つきましては、介護休業の取得についてご相談したく、ご連絡いたしました。
現時点では、〇月〇日から〇月〇日までの取得を希望しております。
業務の引き継ぎや必要な申請手続きについて、ご相談のお時間をいただけますでしょうか。
お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。
介護休暇を取得する場合のメール
件名:介護休暇取得のご連絡
〇〇課長
お疲れさまです。
〇月〇日、母の通院に付き添う必要があるため、午前中に介護休暇を取得したく、ご連絡いたしました。
当日の業務については、事前に必要な対応を進めておきます。
所定の申請についても対応いたしますので、よろしくお願いいたします。
なお、これらはメールの記載例です。実際の申出方法や必要な記載事項は、勤務先の規定に合わせて確認してください。
FAQ|介護休業と介護休暇に関するよくある質問
Q1. 介護休業と介護休暇は同じ制度ですか?
いいえ。どちらも仕事と介護を両立するための制度ですが、取得期間や目的が異なります。介護休業は対象家族1人につき通算93日まで、3回に分けて取得できます。介護休暇は対象家族が1人なら年間5日、2人以上なら年間10日まで取得できます。
Q2. 介護休業は毎年93日取得できますか?
いいえ。介護休業の93日は、対象家族1人についての通算日数です。毎年93日ずつ取得できるわけではありません。また、取得回数は3回までという制限があります。
Q3. 介護休暇は毎年5日取得できますか?
法律上の要件を満たしていれば、対象家族が1人の場合は1年間に5労働日まで取得できます。対象家族が2人以上の場合は年間10労働日までです。ただし、未使用日数を翌年度へ繰り越せる制度ではありません。
Q4. 介護休業中は給料が出ますか?
会社に給与の支払義務はないため、就業規則などによって異なります。無給となる場合でも、雇用保険の受給要件を満たしていれば、介護休業給付金を受け取れる可能性があります。
Q5. 介護休暇は有給ですか?
会社の規定によって異なります。介護休暇を有給としている会社もあれば、無給としている会社もあります。介護休暇は年次有給休暇とは別の制度ですが、法律上、必ず有給にしなければならないわけではありません。
Q6. 介護休暇は1時間だけ取得できますか?
原則として時間単位で取得できます。ただし、時間単位での取得が困難と認められる業務について、適切な労使協定が締結されている場合などには、1日単位での取得となることがあります。また、勤務時間の途中だけを抜ける取得方法については、会社の制度を確認しましょう。
Q7. 要介護認定を受けていない親のためにも取得できますか?
取得できる場合があります。育児・介護休業法における要介護状態は、介護保険の要介護認定と必ずしも一致しません。負傷や疾病などにより、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態かどうかなど、法律上の基準に照らして判断します。
Q8. 入社してすぐでも介護休暇を取得できますか?
2025年4月1日の法改正により、継続雇用期間が6か月未満であることを理由に、労使協定によって介護休暇の対象から除外する仕組みは廃止されました。ただし、日々雇用される労働者は対象外であり、週の所定労働日数が2日以下の場合には、労使協定によって対象外となることがあります。
Q9. 介護休業と介護休暇を両方取得できますか?
はい。それぞれの制度の要件を満たしていれば、両方を利用できます。例えば、介護休業で介護体制を整え、仕事へ復帰した後に、通院への付き添いなどで介護休暇を利用する方法があります。
Q10. 介護休業や介護休暇を取得すると会社を辞めさせられますか?
育児・介護休業法では、介護休業や介護休暇の申出・取得を理由とする解雇などの不利益な取り扱いが禁止されています。取得を理由とする不利益な扱いを受けた場合は、勤務先の相談窓口や都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)などに相談できます。
まとめ|介護休業と介護休暇を組み合わせて仕事と介護を両立する
介護休業と介護休暇は、どちらも家族の介護が必要になった際に、仕事を続けながら対応するための制度です。
- 介護休業:対象家族1人につき通算93日まで、3回に分けて取得できる。介護サービスの手配や家族間の役割分担など、仕事と介護を両立する体制を整える際に役立つ。雇用保険の要件を満たせば、介護休業給付金を受け取れる場合がある。
- 介護休暇:対象家族が1人なら年間5日、2人以上なら年間10日まで取得できる。通院への付き添いやケアマネジャーとの面談など、短時間・短期間の用事に対応しやすい。時間単位での取得も原則として可能。
例えば、親の退院後に介護体制を整えるためには介護休業、仕事に復帰した後の通院付き添いや面談には介護休暇というように、両方の制度を組み合わせる方法が考えられます。
また、介護が長期化する場合には、介護休業や介護休暇だけでなく、短時間勤務制度や残業の免除・制限、介護保険サービスなどの活用も重要です。
介護の必要が生じた場合は、一人で対応を抱え込まず、勤務先や地域包括支援センターなどに相談し、仕事を続けながら介護できる体制を整えていきましょう。
